吉宗評判記
暴れん坊将軍
  80〜99話

1978-1982テレ朝/東映


第80話 暴走!旗本八万騎 1979

 決闘鍵屋の辻を翻案したお話。
起こりは碁の席で相手を斬り殺し出奔の鹿野藩士、ゴロツキ旗本がこれを匿ったことから、外様大名と旗本八万騎の相克となる。面目を潰され激怒した鹿野藩主は病昂じて頓死、おおごとに発展するのを防がんと動く上様、父の仇を討ちに来た二天一流の剣士の人柄を見込み、御府外で尋常の敵討の運びに持ってゆく。

ロケ地
・鹿野藩上屋敷、大覚寺大門
・解決に乗り出した加納じいのことを相談の上様と忠助、金戒光明寺東坂
・江戸市民のため事の解決を新さんに説く辰五郎、大覚寺護摩堂前。
・江戸入りした新免又十郎に襲いかかる旗本連差し回しの刺客、下鴨神社泉川畔。
・掛川へ向かう多田伝八郎一行に立ちはだかる又十郎、下鴨神社河合社裏。
*新免又十郎に倉石功、旗本連のヘッドは勝部演之で彼らに与する示現流の剣客に石橋雅史。


第81話 姿なき勇士たち 1979

 紀州者の重用を妬んだ伊賀衆が、次々と助八の配下を襲う。裏には、助八とおそのに汚職の証拠を突きつけられ失脚した元勘定奉行。内密で動く庭番を案ずる上様、危機にはちゃんと駆けつけワルを成敗、配下の不始末の責任をとって腹を切ろうとする伊賀衆の頭領をとどめ、自らの不明を詫びるのだった。

ロケ地
・庭番・中川次郎太が巡察使を見張りながら江戸へ戻る街道、谷山林道(遠方からロングの画もあり。途中差し込み女に騙され襲撃を受ける祠と脇の川、不明)
・助八相手に剣のお稽古上様、姫路城西の丸。伊賀衆御庭之者詰所、姫路城菱の門西側に看板(上様、中の話を発ち聞き)。助八とおそのが物陰で語らうのは西の丸の外壁犬走り。庭番不在なので、城を出る際忠助の中間のカッコして通る上様は大手門
・不平派伊賀衆の忍び宿、赤山禅院境内とお堂(新さんが怪しい雲水を尾行)
*伊賀衆組頭は丹波哲郎、彼に待遇の不満を申し立てる伊賀者の一人に福ちゃん、口ひげつき。旗本とグルの不満分子の伊賀者は近藤宏、失脚し減封された旗本は北原義郎。父を殺された紀州くノ一に三浦リカ。


第82話 天女のようなガキ大将 1979

 出羽から、出稼ぎに行ったまま帰らぬ父を探しに江戸へ来る少年たち。彼らを不憫に思い、兄貴然と振舞う妙ちきりんな男装の娘・お雪。彼女は大奥勤めを勧める母に反発して家出中。町で会った彼らを気遣い調査の上様、お雪をお嬢様に戻し、少年たちの父が監禁状態で強制労働の採掘場に乗り込み、ピンハネ作事奉行たちを成敗。

ロケ地
・出稼ぎ人足たちが放り込まれている州崎埋立用土砂採取地、砕石場か(ド派手爆破あり)
・荷車の後押しで知り合うお雪と少年たち、金戒光明寺東坂。少年たちが待機しているのは放生池の太鼓橋たもと。
・柳の局から逃げ出した上様が体を拭く池、枳殻邸印月池(袴も足袋もはいたままで入り、池水に手拭を浸して拭く←剣のお稽古後で上半身はだけ)
・採掘場で逃亡をはかり殺された人足の死体が上がる汀、嵐山公園中州下手
・少年たちが野宿する橋の下、中ノ島橋下。め組に連れられ帰るお雪、橋上(見上げ)
・弓のお稽古上様が忠助の報告を聞く、枳殻邸印月池畔芝地・背景に侵雪橋。
・故郷へ帰る少年たちを見送る渡し場、広沢池東岸に船着きと茶店あしらい。
*お雪は岡田奈々。作事奉行は内田勝正でつるむヤクザは早川研吉、人足ビシバシのえげつない手下に中田博久。人足の一人に北村英三、出羽から出てきた田舎親爺が似合いすぎ。子らに荷車引いてもらうオヤジは北見唯一、駄賃ちゃんとくれるいいおじさん。*加納じいの嫌味に怒った柳の局内心の声「嫌味かまきり」。


第83話 天下を狙う盗賊 1979

 大盗・雲霧仁左衛門が天領からの御用金三万両を盗み、そのうえ江戸城の御金蔵を狙う。
雲霧が養女としていた元手下の娘からアシがつき、一味挙げて会合を持っているところを新さんに乗り込まれてしまう。

ロケ地
・勘定奉行・塚本邸へ入る信濃代官の早馬、大覚寺参道石橋大門(この前に映る地道は酵素ダートか/御用金の荷駄がゆく道も同所)
・本陣から御用金を奪ったあと、早立ちの旅人たちが証拠隠しのため惨殺されている街道筋の川、大覚寺御殿川河口(検分シーン)
・芳町の検番を探ったあと新さんが一味に襲撃される道、大沢池北西畔
*雲霧仁左衛門は葉山良二、養女・お幸は遠藤真理子。泡食って駆けつける代官に西田良、勘定奉行は中村錦司、ラス立ち福ちゃん入り(侍に化けた雲霧の手下)。*このお話の雲霧は凶行もはたらく物騒な賊。


第84話 おさいが翔んだ! 1979

 玉子会所の不正に我慢ならず、影で糸を引く寡占商人に斬りかかる仲買人の平助、志ならず返り討ちに遭い負傷。町方と武蔵屋双方に追われる彼を助け匿ったのはおさいだった。
家を飛び出したおさいに怒る辰五郎だが、平助が昔おさいを病から救った恩人と知り、仇を討ちに神輿で殴りこみ。新さんは裏にいる役人を処断。

ロケ地
・武蔵屋に斬りかかる平助、今宮神社石橋たもと。辰五郎と喧嘩して家出してきたおさいが稲荷社前に来かかり、倒れている平助を発見。
*平助は山本紀彦、武蔵屋は浜田寅彦、グルの北町の役人は田口計。*おさいが浮気と勘違いし憤慨する小頭や妙な妄想のおまっちゃんが笑える。


第85話 富士が見ていたあばれ槍 1979

 久能山東照宮参詣の帰り、気ままに旅する上様は、川止めの宿で爽やかな武士と出会う。これに従うお茶目な忠僕あり、彼らと親しむ。しかし武士は駿府奉行の鼻つまみの弟と取り巻き連に嬲り殺され、忠僕の嘆きを見た上様は仇討ちの場をセッティングしてやり、助太刀も買って出るのだった。

ロケ地
・久能山東照宮、石清水八幡宮(本殿、楼門)
・め組が参詣の身延山、神護寺(山門、石段周辺他各所)
・馬子の引く馬に乗った新さんが渡る増水した江尻の巴川、木津川流れ橋(ほんとうに増水)
・岩淵宿、川止めの旅籠は映画村セット。
・岩淵宿の隣村へ娘の土産を買いに出かける内藤主馬、駿府奉行の弟と取り巻きに鉢合わせしてしまう野道、丹波国分寺南側田畔。連れ込まれ惨殺される寺、丹波国分寺境内。
・駿府奉行所、大覚寺明智門
・仇討ちの富士川、木津河原(富士山合成)
・ご主人様の遺骨を抱いて房州へ向かう鈴平を見送る富士川渡し、広沢池東岸に船着きセット。
*鈴平は火野正平、ご主人の内藤主馬は西沢利明。仇の駿府奉行の弟は岩尾正隆、奉行は五味龍太郎。冒頭、堺の賭場で鈴平をボコる中盆は福ちゃん(権造とクレジット)。*正ちゃん全開の一話、ひとしきりお得意のギャグが出るほか、死体揺さぶって大泣きするし、槍を振るっての仇討ちもあり。


第86話 天下御免の大泥棒 1979

 盗んだ金のありかを吐かぬ盗賊ばかりの破牢が頻発。うるさ方の老中が忠助の不行き届きと責めるのに、つい期限を切って解決を請け負ってしまう加納さま。これに対し上様のとった策というのが、自ら牢に潜入し囮になるという無茶。大金隠し持ってる設定にまんまと乗ってくるワル、罪が白日の下に曝される。これに、微罪で捕まった際、牢役人の逃がしの算段聞いてしまい追われる大工の話が絡む。

ロケ地
・知り合いの娘の恋心を察し渡り大工を呼び出すおさい、金戒光明寺善教院前坂三門
・市中で行き合わせた浪人のただならぬ気配に尾行した新さん、狂犬が渡り大工に斬りかかるのを見る、金戒光明寺鐘楼下〜長安院下坂永運院下坂
・弓のお稽古上様、枳殻邸印月池畔。野点の上様トリオ、枳殻邸傍花閣前芝地。
*入牢の上様、羽目板で尻ぶっ叩かれるのを忠助が覗き見てアチャーの顔が傑作。上様はこのあと小判ばらまき畳全部貰い、上に乗って煙管をぷかー。お仕置きの際上様を羽交い絞めにする一人に福ちゃん、このあとラス立ちにも用心棒役で登場。牢名主は汐路章の怪演。うるさ方の老中鷹野備前守に遠藤太津朗、ちっちゃい丸眼鏡して可愛い。牢奉行は高城淳一で悪徳商人は北九州男、手下に深江章喜や八名信夫。


第87話 八百万石を狙う凶弾 1979

 加納じいの不吉な夢からはじまる。
お話は、貧しい孤児の娘が盗賊に身を落とし流刑となるが赦されて更生、健気に同じ境遇の幼児らを助けて生きるも、そのための入費に窮し再び悪の道に入りかけるのを阻止し救い上げる上様、という情話。しかし、その過程で助八が命を落とすという悲劇が待ち構えていた。

ロケ地
・葛西船で帰城途中、篤実な鍛冶橋門番が殺害されるのを見る上様、彦根城佐和口多門櫓前濠(中間が落とされる石垣はいろは松の向い)
・ワルの手から元盗賊のお甲を救ったあと彼女を諭す新さん、広沢池東岸(夕景)
・裏で彼女を操る長崎奉行就任に野望を抱く石黒主膳の屋敷、大覚寺大門
*助八が自分を庇い凶弾に斃れるのを見た上様、峰を返し石黒以下三人をマジ斬り・石黒にはもう一度背中を「おのれぇ」と叫び斬り下げ。SEもいつものぶっ叩きではなく、明瞭に「斬る」音になっていて、ここが38話との違い。従って確実なマジ斬り初回はこのお話と言える。*お甲に長谷直美、悪党の手下の中間に曽根晴美、石黒は小笠原弘。ガミガミ老中のエンタツも出てくる。


第88話 燃やせ!限りある命を 1979

 労咳で余命いくばくも無い息子に財を注ぎ込む微禄の奥祐筆、材木商に工事情報をリークして金を得る。新さんは息子に道を説き、奥祐筆も改心するが密殺され、次の漏洩役を忖度するワルの座敷に乗り込み上様、「証拠は」などと開き直られているところへ「新」御庭番が証拠品を持って現れる運び。

ロケ地
・水野の寮、大覚寺望雲亭。おまちを描く庭は嵐亭延命閣
・おまちの勧めで屋形船に遊ぶ主税、大覚寺大沢池
・新さんが主税に道理を説く、大覚寺放生池堤
*奥祐筆に内田稔、彼を使嗾していた目付役は小林重四郎で悪徳商人は潮万太郎。*加納じいが手配した助八の後任は伊賀組・大月半蔵、お目見得前に独自に動いていて探索先でおそのと鉢合わせ。


第89話 花も恥じらう一番手柄! 1979

 伊勢講を募り、途中で有り金巻き上げて放り出す大掛かりな詐欺団が出る。これを追求して命を落とした名岡っ引の娘は、父の仇を討つべく手下を引き連れ探索、ワルどもに露見し危機に陥るところを新さんが救う。

ロケ地
・伊勢講の騙りが増加傾向と報告を受ける弓のお稽古上様、相国寺庫裏(庫裏と方丈の間に書割の天守、庫裏の裾には幔幕)
・庭番に岡っ引の娘・おみねの動向と、おみねの父岡っ引殺害の件の報告を受ける上様(城内)相国寺鐘楼前。
・道中安全のお祓いが行われる神社、不明(鳥居越しに拝殿)
・伊勢講のお師を探り露見、追われるおみねが走る掘割、大覚寺有栖川河床。追いつかれ目つぶしで応戦、五社明神。追っ手を撃退した新さんがおみねに話を聞く、大沢池堤水門脇に祠と鳥居あしらい。おみねの回想、父が殺された大川、広沢池東岸汀。
・講中が大挙してゆく街道、程土ヶ谷宿へ差し掛かる茶店のある辻、不明(地道、傍に池)
・藤沢宿で騙りが正体を現したことを小頭に聞き馬で出る新さん、酒屋神社(鳥居から出て参道を東へ、鳥居越しに割拝殿が映り込む)
・騙り一行が落ち合う笹目峠六地蔵、不明(谷地田沿い地道、道脇に小屋、小山の植生は竹に松まじり)
・事後、め組とともにお伊勢参りにゆくおみね、安倍川の渡しは広沢池東岸に茶店セット、輦台がゆく大向こうに富士山を合成。
*おみねは西川峰子、悪事に加担する寺社方に横森久、ニセお師は田中浩、その兄の悪徳商人は高野真二、おみねの父岡っ引は河合絃司。


第90話 奮戦!辰五郎先生 1979

 風邪をひいた寺子屋の先生に代わり、天神様への遠足を引率の辰五郎たち。お昼を使っているところへ侍に追われた娘がキャー、もちろん割って入るめ組の面々だが、連れていた子の一人がさらわれてしまう。身柄と引き換えに要求されたのは、元大坂町奉行の勘定方だった寺子屋の先生の持つ、奉行の不正を暴く機密書類。苦悩の果て子の命を取る先生、受け渡し場所で始末されかかるところへ正義の扇が飛んでくる。

ロケ地
・大坂から里入り忍の密書をつけた鳩が来る小屋、姫路城はの門前塀際・石垣下にセット。庭番が弓のお稽古上様にこれを報告、西の丸(背景に天守、じいが射てそれた弓を半蔵がキャッチ)
・寺子屋(看板には幼童筆学所)のある正覚寺、相国寺大光明寺(門、前庭、中仕切り)
・平河天神、上御霊神社。参拝には本殿、め組が侍たちと揉み合うのは本殿裏手、倉庫なども映り込む。
・さらわれた子を探しに出た新さん、庭番に江本を見張るよう命じるのは相国寺弁天社
・江本の内儀に話を聞く新さん、宗旦稲荷鐘楼
・内儀の回想、大坂城代の命令として帳簿を渡すよう迫られた城下、不明(連子窓の続く建物・腰板際には植え込み/向いの塀は細かい線入り)。大坂を逃れ山道で追っ手かかり連れていた娘が転落、保津峡落合落下岩
・帳簿と子の交換が行われる長命寺裏、大覚寺五社明神
*先生は島田順司、冒頭にげほげほ咳き込むシーンあり、元天満同心。大坂町奉行は高桐真で手下に木村元。


第91話 対決!嵐の甲府城 1979

 山流しと甲府勤番を忌避する旗本たち、その中にあって偉そうに心得を説く大久保頼母。こいつも勤番が嫌で御数寄屋坊主に図り裏で回避策を巡らすが、普段の言動がもとで勤番支配方を仰せつかってしまう。彼の怒りは、金をとって何の甲斐もなかった御数寄屋坊主と、最後の工作資金を貸してくれなかった知る辺の料理屋に向かう。事を隠蔽するため更なる悪行を重ねる一味だが、町場をうろつき回っている上様の知るところとなり、甲府城で得々と就任挨拶している席へ乗り込まれてしまうのだった。

ロケ地
・甲府勤番が忌避されていることを加納じいから聞く上様、枳殻邸印月池畔。
・甲府城は派手な書割。
*大久保頼母は川辺久造、上様の指弾を受け覚悟を迫られるや「偽者」とか言い出して部下に斬れ斬れと連呼するが誰も動かず。部下を掻き分け一人武器庫に走り上様に銃を向けるが、半蔵の飛び道具に阻まれ上様のマジ斬り成敗。甲府城大広間に入ってきた上様が「頼母、余の顔見忘れたのか」←会話の流れの中で出るので、定着段階か。*御数奇屋坊主頭は小田部通麿、好人物の料亭の主人は岩田直二。大久保の用人は入江慎也、使嗾されるヤクザは山本清、用心棒の怖い浪人は有川正治、内藤新宿のヤクザの一人に福ちゃん、おそのに斬られて海老反るも復活。


第92話 乾盃!藪医者 1979

 町の名医・玄庵は人の心を無視するとして蘭方がお嫌い、娘と交際の療養所の若いのと角突き合わせたり。赤痢を誤診し凹むところへ上様が洋学を重用するのに危機を抱く典医頭が付け込み、蘭方医をハメようとするが頑固爺が聞くはずもなく、却って療養所での毒殺事件を典医たちの仕業と看破し乗り込んでくる。危機には上様の扇、ワルは叩きのめされる。

ロケ地
・療養所の医生と玄庵の娘と新さんが話しながらゆく太鼓橋、神泉苑(渡りきったところでさらさらヘアーの典医の手先に因縁つけられる。おそのとツナギは摂社)
・療養所での毒殺事件を弓のお稽古上様に報告する忠相、相国寺庫裏(幔幕巡らせ/背景に天守の書割)
*玄庵に左右田一平、青木文蔵設定はクリアで白髪まじりの頑固爺。娘の交際相手の蘭方医は大竹修造。*典医頭は神田隆で、手下のサラサラヘアー軍団は大木正司、綾川香、平沢彰。彼らには柳の局も加担しているが、患者毒殺を知り怖じて離脱。サラサラ軍団が養生所の悪評を広める酒肆、キリシタンで毒と聞き「えらいこっちゃでオイ」と派手なリアクションを見せる大工に福ちゃん。


第93話 呆れかえった武門の意地 1979

 一大歓楽街に発展した深川だが、大名が幅を利かせはじめ町民大迷惑。千代菊姐さんと知り合った新さん、彼女にハッパをかけ大名相手に辰巳芸者の意地を貫かせる。

ロケ地
・深川の解説にかぶる神社、不明(本殿は富岡八幡宮に似る)
・千代菊を尾けてくる大名の家来に囲まれる新さん、嵐山公園内料亭・錦前。斬りかかって来るのをいなす、中州岸(堀に叩き落しあり)。千代菊姐さんと別れる橋、中ノ島橋
・弓のお稽古上様がじいと武門の意地の話をする芝地、枳殻邸印月池畔。
・芸者のおそのが連れ込まれる大名屋敷、不明(五本線・出窓)
・じいが大名たちを呼びつけて叱るよう上様に進言する橋、枳殻邸侵雪橋
・事後、再び市民の町に戻った深川の賑わい、石座神社参道石段に縁日あしらい。
*千代菊は中山麻里、「用心棒」で朝右衛門も出る。カリカチュアとして描かれる大名と家来たち、対立する二人は白塗りで強調の梅津栄と伊達三郎でちょっとおじゃる風味。傑作なのはおそのを連れ込んで「あーれー」をやらかす藤尾純、おそのの着物の下から出てきたのは忍び衣装で、ボコられた挙句顔にいたずら書きされたり鬘被せられたり。


第94話 初春や昼行燈も浮かれ出し 1980

 勤続25年の勘定奉行所の下っ端役人、物堅い昼行燈で通るこの男が、何を魔がさしての公金持ち逃げ。またその金が奉行の裏金だったからややこしい事に。
一方、奉行所の若手が、奉行の経費水増し裏帳簿などの悪行に耐えかね決起。
これらに、上様はじめ大岡さまもお屠蘇気分のめ組もからんでの大騒ぎ。処々で乱闘を繰り広げワルをぶちのめす。

ロケ地
・新年の儀式に疲れ果てた上様と加納じいが衣冠束帯のまま伸びをする庭、枳殻邸傍花閣(遣水も映る)
・若侍たちが気勢を上げる愛宕神社、石座神社(参道石段、拝殿前)
・酒肆で見た持ち逃げ侍・熊谷を追う新さん、大覚寺放生池堤。熊谷が経緯を告白する大木の根方、天神島
・ラスト、ワルの行く末など語るナレーションに被せ弓のお稽古上様、枳殻邸印月池畔。
*昼行灯の六兵衛に谷村昌彦、勘定奉行は江見俊太郎で手下に外山高士、飼ってある怖い顔の用心棒は城所英夫で、宴席に乗り込んできた奉行の配下に福ちゃん(ラス立ちは不在)。*悪党誘い出しの大宴会、呆れるほど長い尺をとって馬鹿騒ぎ。


第95話 炎の海に虹を見た 1980

 深川に新しい岡場所を作ろうと画策の房州屋、ちんぴらを追い使い住民を追い出しにかかる。北町奉行がグルでしまいに放火という悪辣さ、しかし上様に全部見破られていておじゃん。これに、辰五郎の旧知で火事で亭主を亡くし窮する女の話が絡み保障制度創設でメデタシ。

ロケ地
・大火の折のめ組の働きを話す上様トリオ、姫路城西の丸
*辰五郎が身請けする品川の飯盛女が旧友の女房、宮園純子。悪徳商人は武藤英司で北町奉行は永野達雄。品川の楼主に中村錦司、じいご贔屓の料理屋主に村田正雄。


第96話 お城の狸をいぶり出せ! 1980

 庶民にまでその悪行が知れ渡っている勘定奉行、川尻丹後。老中を後ろ盾に、抜け荷の手助けなど汚職まみれ。身辺に調査の手が入ると知るや、隠居して年金まで貰おうとする欲深さにキレる庶民、怒る上様。最後は欲で釣って、一旦大金を手にさせ目の前で取り上げ。しかしそのあと新さんと加納じいを暗殺しようと謀るにおよび成敗しようとすると、川に飛び込んで逃げやがるみっともなさに嘆息する上様であった。

ロケ地
・川尻邸、相国寺大光明寺
・鯉の餌やり上様が忠相に町で聞いた川尻のことを問う、枳殻邸印月池(ラストシーンも同)
・目安箱に川尻の悪事を投書した「徳田新之助」が襲撃される林、下鴨神社馬場、河合社脇。
*川尻丹後に織本順吉、みみっちい悪党ぶりをコミカルに演じる。大金を私している割に妾等がお下品でセコく、数で勝負。老中は南原宏治、川尻の妾に藤江リカと北島マヤ、つるむ悪徳商人は山岡徹也で殺し屋は出水憲司。魚河岸のくだり、役人に楯突く魚屋は波多野博で賄方の配下に福ちゃん。*殺し屋引き連れて市中に放火しようとしていたのを阻み大立ち回り、一人になった丹後を追い詰めた上様、「命だけは助けてとらそうと思いおったに」と峰を返す→畏れ入って自刃かと思いきや「助けてくれー」で欄干乗り越えてドボン。


第97話 おっ母なんか要らねえや! 1980

 下総関宿藩の家老の娘・滋野、子まで生した恋を父・家老に引き裂かれ、男は失踪、赤子は船に乗ったまま利根の流れに。その後八年を経て、姫の乳母として江戸へ出た滋野は、生きていた息子と巡りあうが一時の邂逅に終る。上様や辰五郎との関わりは、拾われて成長した滋野の子(馬子)から。子を拾った酌婦の馴染みで父親も出てくる奇縁つき。

ロケ地
・滋野と恋人が逃亡を図るも追っ手がかかり子を乗せた船は利根川へ出てしまう船着き、大覚寺大沢池畔。
・辰五郎が利根吉の馬に揺られる江戸への戻り道、不明。利根吉の身の上を聞く道は大覚寺放生池堤
・姫が国元を出立と早馬が来る関宿藩上屋敷、相国寺大光明寺南塀
・関宿藩の姫の行列が襲われる草加の街道筋、日吉大社西本宮参道大宮橋たもと。利根吉の馬に乗りに行った新さんが居合わせて介入、殺陣は走井橋上に移動(新さんがくぐる山王鳥居、下部のみ映る)
・荷の仕事で関宿藩邸に入った利根吉が、滋野を母と確認するも家老のあしらいに怒り走り去るのは相国寺大通院前〜鐘楼前。
・鞍替えする小ときが上州へ向かう道、日吉大社境内・奥の院登り口付近(新さんが利根吉と馬で駆けつけ)
*滋野は吉行和子、小とき(酌婦)は三浦真弓、その客の浪人・捨次郎(元瀬戸源三郎・滋野の恋人)は中野誠也で家老は北村英三。家老を逆恨みの側室とつるむ悪党に待田京介。*近松の「丹波与作待夜小室節」がベースのお話。


第98話 狼の里から来た娘 1980

 奥州・伊佐山藩の隠し金山を見てしまった猟師が殺され、残された姉妹は仇を追って江戸へ。ターゲットの狙撃に失敗し追われ、町方に捕縛される姉には斬罪が言い渡される。しかし土壇場でその娘を恩人と覚った朝右衛門により難を逃れ、以降上様の介入で真実が明らかとなり、幕閣入りを狙っていた伊佐山藩江戸家老と、猟師を殺した大槌屋は断罪される。

ロケ地
・奥州の山中で猟師親子に助けられる朝右衛門、保津峡落合崖上〜河口巌脇。
・破牢させたユリを隠してある小屋近く、薬を買いに出たおそのと様子を見に来た新さんがばったり出会う塀の角、下鴨神社河合社脇。
・伊佐山藩江戸屋敷、大覚寺大門
・大槌屋を狙った妹のサキが失敗し殺される、下鴨神社河合社脇の馬場〜池跡。
・ユリと二人乗りで悪党退治に向かう新さん、馬場。朝右衛門が合流するのは河合社門前。江戸家老が大槌屋に金塊を渡す松戸宿、仁和寺九所明神(ラス立ちも同じ)
*ユリはジャネット八田、山師の大槌屋は名和宏で伊佐山藩江戸家老は今井健二。手代に西田良、ユリの父に玉生司郎、福ちゃんは藩士や浪人。*ラス立ち、久々の「俺の命は天下の命、三ツ葉葵の風が吹くってなぁ」が出る。でも自裁を求められた江戸家老は「吉宗ぇ!」と喚き向かってくる。


第99話 男、炎の土俵入り! 1980

 無役の旗本の不満に付け込み返り咲きを画策する元側用人、しかしその企みは辰五郎や龍虎らの正義心を見て己を恥じた侍により潰える。その死を看取った上様は、阿部大学邸に乗り込み正義の刃を振り下ろす。

ロケ地
・登城風景、寄合旗本の大出が加納じいに声をかける、彦根城天秤櫓(内側)
・好花堂が御用達の看板を剥奪された経緯について忠相に聞く上様、西の丸三重櫓前。庭番に報告聞くのも同所、遠景に湖が見える。このほか庭番報告場面に佐和口多門櫓際も。
*未だ隠然たる力を持つ先代・先々代側用人に小池朝雄、彼に使嗾される寄合旗本に田口計と剣持伴紀(土壇場で改心)、阿部大学の家来に波多野博。昔、荒れる龍虎を叱りつけた恩人の芸者で現・好花堂女将のお梶に片山真由美。*怪我人多出、龍虎にボコられた田口計は置いといて、おそのが肩に一発食らい阿部邸乗り込み辰五郎は斬られまくり。極めつけは土壇場で改心した旗本がお梶拉致を止めようとしてバッサリ(但しこの功でお家存続)。*半蔵、火薬投げすぎ。そのほかでっかい顔が隙間から覗く場面も多すぎで笑える。*上様乗り込み時の名乗り「俺の顔見忘れたか」で「カーン」効果音入り。


話数は、時代劇専門チャンネルで再放送時に打たれたナンバーに準拠しています。
これにはスペシャル番組やフィルム亡失分が含まれていないので、本放送時と異なります。
私的資料をここに挙げたナンバーで作ってしまっているので、ここはこのままにします。
全話リストを別に作りましたのでご参照下さい。

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