2013年4月 フジ/東映
原作/佐藤慶一 脚本/橋本裕志 演出/竹内英樹
∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴
第一夜 2013.4.5
キャスト
織田信長、御長/天海祐希 御濃/小雪 羽柴秀吉/伊勢谷友介 御市/長澤まさみ 浅井長政/玉山鉄二 足利義昭/佐藤二朗 朝倉義景/山下真司 浅井久政/山路和弘 明智秀満/鈴木一真 織田信行/賀来賢人 竹千代/鈴木福 今川義元/三谷幸喜 服部半蔵/佐藤浩市 織田信秀/西田敏行 丹羽長秀/勝矢 前田利家/虎牙光揮 蜂須賀小六/金井勇太 滝川一益/北村昭博 今川家家臣/福本清三 平手政秀/平泉成 土田御前/高畑淳子 柴田勝家/中村獅童 徳川家康/藤木直人 明智光秀/内野聖陽
かの戦国武将・織田信長が実は女だったという、他に例を見ない奇抜な設定のドラマ。
女なのに男として育てられた当初の訳は、正妻の面目というありがちなもの。しかしその後無理押しで女を戦に出す「父の理由」は、ふつうの男では成し得ない、天下統一による平和の出来という高邁な理想であった。
第一夜は、出生から金ヶ崎の退き口まで。
いやいや武将となった信長は、天下布武の過程で恋を得るが、運命の切所において、愛する男の裏切りを見るのだった。
ロケ地
- 田楽狭間に今川義元を討ち取る信長、戦闘は天神川河床。ガレた山肌が背景に来て、戦のシーンでは浅い川が効果を見せている。ここへ至る織田軍が通る山道は林道(不明)。
- 天文3年、姫として出生する信長、その夜雷光に照らし出される清洲城は郡山城址追手門。
- 平手の爺に鍛錬を受ける幼い信長、馬を駆るも落馬するシーンは彦根城内堀端土手。弓の稽古は彦根城博物館塀際。異人のレクチャーを受け種子島銃を撃つシーン、大覚寺大沢池北辺水路際、このとき戦で男手を無くした家族の嘆きを見る・その脇にある祠は天神島。嗟嘆を聞いたあと立ち尽くす信長、夕景の橋は流れ橋(下の川原で男児が競って立小便、かたや女の信長は初潮を迎えるというくだり)。打ちひしがれて帰ると妹の御市が姫としてちやほやされているのを見る庭、大覚寺か。
- 月がかわれば今川へ人質に出されると言う竹千代と話す信長、二人が凭れている清洲城内石垣は彦根城内か。
- 初陣の信長、自らは一人も殺せず、ただ死屍累々を見る丘、井尻か或いは亀岡山中か(見下ろす谷は合成くさい)。
- 御濃の輿入れ、行列が入ってゆく清洲城城門は郡山城址追手門。
- 父・信秀の葬儀が行われる那古野・萬松寺、西教寺本堂。信長はうつけの格好のまま馬で乗りつけ、お堂へずかずか。
- 桶狭間の戦勝に沸く織田軍、油日神社境内。信長は舞殿に座す。
- 今川方に与し敵対したことを詫びに来る家康、歩む清洲城内廊下は大覚寺宸殿廊下(村雨の廊)。
- 美濃を平定、町の名を岐阜と改名する段、岐阜城は彦根城玄宮園を前景にして山を合成、てっぺんにお城を持ってきてある。
- 天下布武のテーゼを掲げ上洛の機運高まるくだり、取り立てたばかりの藤吉郎に浅井長政との和睦を任せるシーン、伏見城天守(眼下の長良川は合成、建物は高欄と戸と軒回りのみ映る)。
- 病を発した信長、侍女・御長に身をやつし城下へ出るくだり、御濃・御市とともにゆく町は日吉大社東本宮前坂(露店あしらい)。御濃が光秀とここで別れたという橋は走井橋、この橋たもとで御長と長政の出会いがある(後段、思いつのって夜中に出会いの場所へ来てしまう信長のシーンもあり、大宮橋が映り込んでいる)。
- 信長と長政の会見成る浅井の小谷城イメージ、彦根城天守。
- 信長の気儘で、浅井との折衝が不調なことを勝家に相談する秀吉、東福寺通天橋上。御市のことで怒った勝家に突っ転ばされる。
- 輿入れが決まった御市へ贈る反物を御濃に託す勝家と秀吉、城内廊下は大覚寺宸殿廊下(宸殿まわり)。
- 城を出てゆく御市の輿、彦根城天秤櫓下石垣際。見送る信長と御濃は橋上。
- 将軍の使いとして岐阜へ向かう光秀、岐阜城を見遣る山道は谷山林道。
- 永禄11年、義昭を奉じるべく岐阜を発つ織田軍、六万の軍勢がゆく道、足元は谷山林道と思われるが、どこかと合成してあるっぽい。
- 畿内を制し都大路をゆく織田軍、仁和寺参道(中門から南望の図、二王門の横になにやら甍が合成されている)。女に手を出して首を刎ねられる織田軍の足軽のシーンは亀山本徳寺経堂前。
- 正親町天皇により将軍宣下を受ける義昭、御所は大覚寺宸殿、導入に宸殿正面全景が映り、芝居は前縁と廊下で行われる。
- 信長の宿館・本能寺、随心院薬医門。長政を招くくだり。
- 京の光秀から岐阜へ差し向けられる早馬、不明(山中の野原)。
- 戦で荒れ果てた都へ入る信長、荒れ屋敷から這い出てくる義昭のシーン、亀山御坊本徳寺。山門と本堂前を使う。建物には「ぼろぼろ」装飾が施されている。義昭の「境内」発言から、宿館にしている寺院と思われる。
- 長政と「御長」の閨を覗いた忍び、秀吉に報告する夜の掘割は大覚寺御殿川河床・勅使門橋下。
- 信長が義昭のため造営する二条城、篠山城大書院。外観も内部も使う。
- 秀吉により光秀裏切りの可能性が囁かれるなか、岐阜へやってくる光秀、岐阜を望む山道は谷山林道、城を出る帰りのシーンは彦根城天秤櫓(月が出ている)。
- 正親町天皇と会見し将軍と同格と世に知らしめる信長、御所は大覚寺宸殿。その年、朝倉攻めの織田軍が行進する越前への道、谷山林道。
- 敦賀を制した織田軍、陣を張る海辺は丹後か(磯)。ここへ浅井裏切りの報入る。
∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴
第二夜 2013.4.6
キャスト
織田信長、御長/天海祐希 御濃/小雪 羽柴秀吉/伊勢谷友介 御市/長澤まさみ 浅井長政/玉山鉄二 足利義昭/佐藤二朗 朝倉義景/山下真司 浅井久政/山路和弘 明智秀満/鈴木一真 丹羽長秀/勝矢 前田利家/虎牙光揮 滝川一益/北村昭博 蜂須賀小六/金井勇太 徳川信康/満島真之介 森蘭丸/竜星涼 服部半蔵/佐藤浩市 織田信秀/西田敏行 延暦寺の女/名取裕子 毛利輝元/吹越満 武田信玄/竹内力 竹千代/鈴木福 柴田勝家/中村獅童 徳川家康/藤木直人 明智光秀/内野聖陽
第二夜は、浅井・朝倉連合軍との戦いからはじまり、本能寺と「その後」に至る。
天命を背負った女は、重すぎる荷を分かち合ってくれる男をようやく見つけるが、恋の成就には山ほどの苦難が横たわっているのだった。
ロケ地
- 越前から遁走する信長、浅井の刺客に狙撃され命からがら逃げる道は酵素ダートか(林道)。
- 光秀への疑念について秀吉と話す信長、岐阜城内の一角は東福寺通天橋上、臥雲橋が見えるアングルも。
- 元亀元年六月・姉川合戦、日野川河川敷。導入は高所からのロング、川中での白兵戦はしぶき派手に上げて迫力。
- 浅井朝倉との膠着状態で調子づく反織田勢力、義昭の密書を持った早馬が走る街道(毛利行きかイメージか不明)、山室堤。毛利の陣は不明(山中の林)。
- 自分の留守中、信長と光秀の間に何かあったのかと御濃に問う秀吉、東福寺通天橋(岐阜城内設定)。その直後、「御長」が光秀と接触するのを見てしまう御濃、永観堂御影堂裏手回廊付近。
- 叡山焼き討ち後、反織田に転じる武田、徳川軍と一戦交える三方ヶ原、西浅井町の山中牧場。
- 反信長をブチ上げ兵に檄を飛ばす義昭、篠山城大書院(京・二条城設定)。
- 武田軍に苦戦し、なぜ信長はこんなに冷たいのか・このままでは徳川は滅亡と父に嘆く信康、酵素河川敷川べり。
- 織田軍が殺到し義昭を引きずり出す二条城、篠山城大書院。殺さず追放。
- 元号を天正と改めさせ、朝廷を動かす権力者となる信長、御所は大覚寺、導入は勅使門(開いていて宸殿がのぞく)、芝居は宸殿前縁で。
- 浅井朝倉攻めへ動く織田軍、兵士が慌しく行き交う岐阜城内は彦根城石垣際。
- 織田は風前の灯と兵を鼓舞する浅井長政、彦根城天守下石垣上(小谷城設定)。
- 小谷城攻めを前に光秀に会い、戦から戻ったらと愛を告白する御濃、日吉大社大宮橋たもと〜走井橋(左岸側)。
- 北近江・横山城を拠点にはじまる小谷城攻め、織田軍のモブは伏見城大天守から旧キャッスルランドゲートを望む図。南側の山の向こうは靄かけて「処理」。
- 小谷城へ詰め寄る織田軍、不明(はげ山?の稜線に浅井勢居並び、山のてっぺんには彦根城天守あしらい。天地明察で出てきた山に似ているような…)。小谷城内の戦闘は彦根城天守付近と太鼓門櫓あたりを使う。
- 長政と父・久政の首級が晒される鴨河原、罧原堤下河川敷(桂川は常よりかなり増水、対岸の緑が鮮やか)。
- 小谷城から連れ出された御市、娘らと遊ぶ岐阜城内の庭は彦根城玄宮園池畔。背景の山には岐阜城天守を合成。
- 投降してきた一向衆を情け容赦なく殺させる信長、法輪寺山門と石段(夜間撮影、設定は伊勢長島か)。
- 長篠の合戦(三河、現新城市)、西浅井町の山中牧場。馬防柵を設置。
- 官位授与を拒否し怒って席を立つ信長、大覚寺宸殿。
- 天空の城を築くとして予定地を見下ろす信長、不明(眼下に安土山と琵琶湖、湖西の山々を見る図を合成した「山」、井尻みたいな地形)。墓石でも石仏でも調達して来いと発言。
- 御濃に会い、信長への忠言を託そうとする光秀、永観堂開山堂バルコニー。眼下に甍。
- 夜の岐阜城イメージ、伏見城大天守シルエット。画面左端に小天守も映り込む。空は月に叢雲。御長が一人で光秀と会うくだりで出る。睦みあう二人の影が障子に映り、凝視する小雪の顔がコワい。ついでに「サル」も来合わせて目撃する運び。
- 織田の敵は西の毛利のみとなりつつあった折、忍びの者が信長に送った早馬が走る街道、山室堤。内容は「家康の嫡男・信康が武田と内通」。
- 信康が切腹した遠江・二俣城イメージ、水口城門(入口正面)。
- 安土城落成のくだり、天守は安土城郭資料館のアレか。城下と琵琶湖を合成?し、俯瞰の図のほか、映画村オープンセットと合成して城下町とつなぐ。
- 京、織田軍の馬揃え、仁和寺参道を中門から南望の図。町衆のモブ多数。
- 武田家滅亡を祝う宴のくだり、イルミネーション安土城は湖畔に影を落とす絵できれいなCG(?)、宴席は伏見城大天守下の石畳に幔幕張り巡らせ。わざと傲慢かつ乱暴に振る舞い、光秀に天下取りを挑発するシークエンス、信長が刃を光秀の喉に突き付け、血がたらーりなんていうシーンもある。
- 安土城外観遠景、総見寺塔が端っこに入る図。合成画面だが、よくできている。秀吉に中国侵攻を命じるくだり。
- 柴田勝家のもとに輿入れする御市、彦根城博物館、背景に山を持ってきて「安土城」を合成。御濃が見送る。
- わざわざ光秀を訪ね、信長との間に何があったか問い詰める家康、会見の座敷は随心院書院。室内から、本堂の庇と庭が見えている。このあと安土城に呼ばれてすったもんだ(猿の信長恐喝、キレた信長の投げ出し発言を受ける光秀)あったあと戻ってきた光秀のくだりでは、導入が外から座敷を見た絵になっている。
- 天正十年6月1日本能寺で茶会、その頃未だ謀反に出られずにいる秀吉のくだり、「毛利輝元と軍義」のシーンは摩気神社舞殿。輝元が渋ったため、自軍のみ率いて出陣の運び。また同じ頃、光秀は静かに出兵の準備をしていたと語られるくだり、夜の城内は伏見城大天守裏手・連郭際。
- 本能寺に殺到する明智の軍勢、随心院薬医門前。
- 炎上する本能寺から服部半蔵により連れ出された信長、昏々と眠り続け「御長」状態で目覚める座敷は彦根城玄宮園鳳翔台。傍らにいた家康が語る、幼い頃目撃した信長の水浴び、保津峡←初めての恋だったと告白。
- ただの一人の女として光秀を捜しに出てゆく御長、山道は酵素か。このあと山室堤、谷山林道頂上付近、琵琶湖東岸(佐波江浜か)と馬を駆る。以降消息不明。
- 安土城炎上シーン、湖に影を落とす絵。「猿」が男気を見せる、いい場面。このあと御所に上がる秀吉で、大覚寺宸殿前縁。
- 老け家康と尼姿の御濃が江戸城天守から町を見遣り語り合うシーン、欄干越しの書割がけっこうイイほか、天守外観は凸版印刷のアレ?
∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴
※安土城炎上のあと、EDに被るかたちで、勝家と御市自刃、御所の秀吉、江戸城の家康と御濃、異国?の港を望む船上の二人、という後日談が来る。
※冠は「二夜連続スペシャルドラマ」。
|