桃太郎侍

第173話 「恋女房は人の妻」 1980.2.10

 桃さん宅へやって来た前の住人は、八年ぶりに御赦免になって島から戻った男。女房がいなくておろおろするのを皆して捜してやるが、やっと見つけた女はさる殿様の、という奇譚。歳月は、もうとうてい元の鞘に戻れぬほど、二人を隔てていた。
桃さんは、付け込む悪党をさくっと成敗し、復縁をあきらめて去ってゆく男を見送るのだった。

枳殻邸

ロケ地

  • むかしおしまが境内で倒れ、通りかかった福江藩の殿様に拾われた住吉神社、上賀茂神社。おしまが倒れたシーンは奈良社鳥居付近で、茶店(神事橋たもとに設営)の婆さま(とん太が見つけてきた、おしまのことを話してくれた老婆)が助け起こすと、橋の向こうに駕籠行列が来ているという絵。後段、「亡夫」の祥月命日に参詣に来た御側室に、それが女房と知らされた幸吉が詰め寄るシーンも撮られている。
  • 「亡夫」幸吉が現れた一件を聞き、悪企みをする家老一派、密談の座敷から見える、藩主と御側室、御世継の若君が庭で遊ぶ姿は枳殻邸侵雪橋。このあと、殿様が御側室に思いの丈を語り睦むシーンがあり、枳殻邸遣水端の、枯死した大木の傍。
  • 家老の手下に唆された幸吉が、連れ出された御側室を連れ込む百本杭の船小屋、広沢池東岸汀に設営。水は相当に引いていて、池底部分での立ち回りもあり、杭があしらわれている。
  • 船小屋へ「成敗の討手」を差し向けよと指示する家老、この密談を立ち聞いた留守居役が走り去る姿を窓から見る家老のシーン、窓外の景色は枳殻邸庭園。
  • 藩邸を探りに来たつばめに事の次第を打ち明け、桃さんへの伝言を頼む留守居役、枳殻邸内筋塀際(参観口入って突き当たりの高石垣を右へ行ったところの筋塀、御長屋ふうの建物は映さず。刺客が殺到し、つばめを逃がした白影さんは膾となって果てる)
  • 船小屋で桃さんに邪魔されたと聞いた家老、自ら「成敗」に乗り出すところ、着替えた桃さんに立ちはだかられてしまうのは金戒光明寺。三門内側に騎馬で現れた家老と一派は、参道石段中ほどに置かれた駕籠を見ると、「待っていたぞ逆臣ども」という声が聞こえたので駕籠をぶっ刺すと中にはグルの女という図。このあと真っ赤っか衣装の桃さんが石段に現れて大立ち回り、石段を様々なアングルで使い死屍累々もやって、殺陣は三門下へ移動してゆく。
  • 事後、故郷へ帰るという幸吉を見送る桃さんたち、二尊院紅葉の馬場上に茶店を設営。このあと幸吉は坂をおりて山門の方へ。見送った桃さんたちがこのあとどこへ行こうと大騒ぎするのも同所か(生垣際は参道か/桃さんの背後に懸魚付きの大きな破風が見えている)

桃太郎/高橋英樹 玉川つばめ/野川由美子 彦助/谷村昌彦 仁兵ヱ/深江章喜 お勝/絵沢萌子 とん太/北野清治 おさよ/川本美和 河原崎長一郎 倉石功 北川惠 今井健二 牧冬吉 原良子 山村弘三 鈴木康弘 海老江寛 蓑和田良太 石倉英彦 阿南忠幸 山田良樹 菊地健一 河野清子 道井恵美子 八木田芳寿 森山紹秀 蛙の田之助/山城新伍

脚本/和久田正明 監督/尾田耕太郎

※島帰りの幸吉は河原崎長一郎、女房だったおしまは北川惠。福江藩の殿様は倉石功、留守居役は牧冬吉、藩政壟断を目論む使い込み中の悪家老は今井健二。
※桃さんはお化け長屋に来て三年とちょっと、幸吉が島送りになった八年前は文化12年、仁兵ヱはむかし女衒をしていた等、ほんとかどうかわからない設定が語られている。
※役人に幸吉は島で死んだと聞かされ、絶望し死のうとしたおしま、ここで倒れ殿様に拾われた設定。

★役名、役者についての記述は間違っている可能性があります。


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