桃太郎侍

第81話 「瞼に咲いた白い花」 1978.4.30

 桃さんが出会った、落ちた小鳥を気にかける優しい女には裏の顔。それ以上の「犯行」をやめさせ、救おうとした桃さんの思惑をよそに、女は自ら煉獄に落ちてゆく。
凄腕の女殺し屋ができあがるプロセスはリリカルなイメージ映像で描かれ、こういうときによく使われる南部牛追歌が被されている。

ロケ地

  • にわか雨に遭い走る人々、上賀茂神社奈良社鳥居前。やしろでお夕が雨宿りしているところへ、桃さんが駆け込んでくる。ここでお夕が小鳥を保護。雨がやみ、二人おりてくる坂は金戒光明寺長安院下坂、カッコウの声が入っている。
  • 芸者衆と戯れているところをお夕に暗殺される三州屋(香具師元締)、青龍苑か(池泉端、築山と石段も見える)。ダイナミックな跳躍などあり。
  • 桃さんを迎えに来た播磨屋(浅草の香具師元締・桃さんの患者)の女中・おふう、二人行く道は上賀茂神社ならの小川畔。
  • 播磨屋と乾分を殺害した夜、短刀を研ぎながらお夕が思い出す故郷、不明(雪降り積もる在所、山裾に家。畦畔木と思われる立木が雪から突き出ている)
  • 播磨屋が死亡し職を失ったおふうがとぼとぼ行くところへ駆けつける桃さん、上賀茂神社ならの小川畔。江戸屋へ連れてゆき、臨時雇いに。
  • 夜道に勘定奉行・稲垣の駕籠を襲う嶋屋の乾分ども、相国寺鐘楼前。桃さんが駆けつけ阻止。
  • 殺し屋・お夕が嶋屋からのツナギ文を見る林、上賀茂神社渉渓園遣水端。
  • つばめに嶋屋の動きを聞く桃さん、広隆寺東塀(木あり)。つばめは立ち聞いて知ったお夕の正体について語らず、意味深な喩え話をする。
  • お夕の稲垣殺害を阻止し、逃げたお夕を捕まえ訳を問う桃さん、夜の林は上賀茂神社渉渓園。稲垣の家来からお夕を隠す桃さんだが、お夕はわざとけたたましい笑い声を上げ、捕まって連行されてゆく。この際、先に出た在所イメージがまた映し出され、母におぶわれ神社を出てくる幼いお夕の絵なども出てくる(石造りの大きな両部鳥居、脇には由緒書の看板も見える。参道には杉の巨木が並び、奥に宮が見える)。村を襲った凶賊のシーンの後には、山裾のはさ木脇で、死んだ母の傍らに立ち尽くすお夕の姿もある。丹波か湖西か。
  • お夕の処刑後、小鳥を空に放す桃さん、上賀茂神社奈良社鳥居前。

桃太郎/高橋英樹 玉川つばめ/野川由美子 熊造/茶川一郎 おはる/玉川スミ 仁兵ヱ/深江章喜 おふう/杉村留美子 おみよ/吉本真由美 お兼/南条みづ江 かん平/桂小かん 文七/青木義朗 お夕/加賀まりこ 小森右京太夫/天津敏 嶋屋長五郎/北原義郎 稲垣対馬守/富田浩太郎 播磨屋利兵ヱ/村田正雄 蔵三/長谷川弘 忠兵ヱ/伊東亮英 三州屋/堀北幸夫 島次/丘路千 直七/宮川珠季 元締/芦田鉄雄 定八/土橋勇 玉川すずめ/西川峰子 雉の与之助/藤岡琢也

脚本/和久田正明 監督/山下耕作

※おふう、桃さんの手伝いをして長屋に住むことに決まる。


  → 桃太郎侍 表紙

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