第86話 「大当り貧乏くじ」 1978.6.4
桃さんが千両富を引き当てる。そのあと少しして、桃さんに縋りにやって来た男女のトラブル解決には、八百両の大金が要るという。
オチは見えている話で、騙り一味の手口と、桃さんの騙されっぷりを眺めて楽しむ趣向。仁兵ヱ親方の馬鹿話がフレームになっていて、和尚役の噺家が駄洒落を連発。
ロケ地
- 騙り一味を追っていた山中同心が土左衛門で見つかる川端、嵐峡汀。水辺から見上げのシーンでは、河畔茶店の「亀山家」が映り込んでいて、看板の電灯(洪水にもめげず現役)もそのまま。
- 桃さんたちが菊次への訴えを取り下げてくれるよう頼みに行く、薬種問屋・河内屋の下谷寮イメージ、中山邸通用門。ホトトギスの声が被されている。
- 金が戻らないと取り下げないと突っぱねられ、寮を出てきた一行がゆく道、湯豆腐嵯峨野南塀際。道の北側には大木が何本も生えていて、奥(東)は鬱蒼と茂っている。許婚者と現世で添えないと嘆くお宮は、大きな切り株に伏せてよよと泣く。後段、桃さんが金箱を担いでやって来る際も同所、こんどは往路のはずだが、なぜか撮影は同じ向きで行われている。
- 自身番で菊次が釈放されたあと、役人に取調べを受けているはずの市松(菊次から金をとってドロンしていた男)を捕まえてシメる桃さん、大覚寺五社明神鳥居前(導入は北西方向から俯瞰)。騙り一味の企みを知り駆けつけてくる文七とつばめのシーンでは、観月台が映り込んでいる。
桃太郎、松平備前守/高橋英樹 玉川つばめ/野川由美子 熊造/茶川一郎 おはる/玉川スミ 仁兵ヱ/深江章喜 おふう/杉村留美子 おみよ/吉本真由美 お兼/南条みづ江 かん平/桂小かん 文七/青木義朗 お宮/新藤恵美 市松/富川K夫 半兵ヱ/玉川伊佐雄 徳兵ヱ/新井和夫 雲国/林家木久蔵 菊次/坂口徹 おまん/若柳禄寿 河内屋/石浜祐次郎 佐吉/森章二 小西丹後守/御木本伸介 玉川すずめ/西川峰子
脚本/和久田正明 監督/松尾正武
※ラス立ち福ちゃん入り、チンピラで真っ先に斬られる…桃さんはマジ斬りのはずなのに、もう一回出てたような。桃さんは一味の女(お宮)も容赦なく斬るが、被衣を着せ掛けたりして、ちょっと気遣い。
※桃さんは出入りの薬屋から薬種問屋のあるじたちが草津温泉で保養していることを聞いていて、河内屋が話に出てきた時点で気付く設定。裏にいる大物を引きずり出すため騙されているが、その寺社奉行はラス立ち寸前にようやく現れる始末で、御木本伸介の出番はちょっぴり。
※千両箱は兄上に差し上げ「世のため人のため」資金に。
※仁兵ヱの馬鹿話、冒頭は葬式のシーン、富籤にはずれて発作を起こし頓死・霊前でさんざん悪口を言われ棺の蓋をはねあげて蘇生。ラストは唐饅頭の食いすぎで気を失い、医者でなく和尚を呼ばれてしまうギャグ。
→ 桃太郎侍 表紙
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