必殺仕置屋稼業

1975-1976ABC/松竹

中ノ島橋 キャスト
 市松/沖雅也
 印玄/新克利 捨三/渡部篤史 おこう/中村玉緒
 中村主水/藤田まこと


第1話 一筆啓上地獄が見えた 1975.7.4

 北から南へ配置換えの主水が仕置に戻るプロセスと、チーム形成を説く一作。市松との緊迫したやりとり、捨三との再会、印玄との出会いがハードに描かれる。
目の前で起きた事件が、奸商と通じた上司の横槍で無惨な結末となるのをなす術も無く見る主水。殺しの依頼を取り次ぐおこうに裏稼業のことをしらばっくれるうち、事態はますます悲惨な状況を呈す。

 ロケ地、おいとの野辺送りを見遣る主水、嵐山自転車道(川側からの撮り)
*市松が幼女に殺しを目撃されるハプニングがあるが、子は盲目で消さずに済む。優しく女児を抱き上げるシーンで市松のキャラクターが際立つ作り。


第2話 一筆啓上罠が見えた 1975.7.11

 シリーズ御馴染みの悪役・津川雅彦が登場、色悪に加え大騙りの底知れぬワルを好演。役どころは市松の養父で今回の的、彼の暗黒面を見て仕置に至る市松の葛藤がドラマの主題。

 ロケ地、市松と主水のツナギ、中ノ島橋下堰堤脇右岸。亀吉が橋上から主水を呼ばわる。鳶辰を呼び出し仕置の常念寺鐘楼、相国寺鐘楼。印玄が鳶辰を「歩かせる」屋根の部分はセットに切り替え。羽交い絞めにして歩くところは鐘楼の階を使用。
*主水はロリコン?と疑惑を呼ぶ、飯屋の少女に付き纏うシーンが登場。しかしこんなのは問題じゃないのが、大和屋が礼金持ってくる場面の津川雅彦が少女と同衾のくだり、非常にアブナい。ドライに描いてるけど。*金箱の仕掛けに成功したと思い込み手を打って喜ぶ表情、市松が突き立てた竹串に「ん?」と振り返る断末魔は津川ならでは。その竹串に添えられた白い折り鶴が朱に染まる映像効果もマル。*養父を殺ってウルウルの市松、一瞬で表情切り替え憎まれ口叩きつつ主水に金を要求するシーンも秀逸。


第3話 一筆啓上紐が見えた 1975.7.18

 女をとことんまで食い物にする、たちの悪いヒモが的。おこうの様子から主水は何事かを察し、はじめ捨三も男の性質を見誤るが、観察するうち女房の妹が食い物にされてゆくプロセスをつぶさに見ることとなる。

 ロケ地、おさとが絶望の果て入水する橋、中ノ島橋。加吉が仕置されるのはこの橋の真下の右岸汀。市松に仕置され水に落ちる男を主水と亀吉が橋上から見る。
*ヒモの色悪・加吉に中尾彬、市松に言い寄るシーンなんかもある。*ヒモに加担する小悪党の富蔵を演ずるは江幡高志、初の「やめて止めて」を叫びながら屋根から落とされる。


第4話 一筆啓上仕掛が見えた 1975.7.25

 おこうの長屋を追い立て、一大歓楽地を作ろうと企てる桔梗屋、追い出しには放火もする。
社会悪を書き立てることで民衆に世直し先生と呼ばれる瓦版の書き手・高田京楽は、小間物小町に言い寄り手ひどくはねつけられたことを恨みに思い、娘を放火犯と書き立てる。また、これは桔梗屋を利する行為でもあった。

*印玄の殺しは屋根落としだが、前段に付け火の炎につっ転ばし「消して消して消して」のあと屋根歩かされ「止めて助けて止めて助けて」。*主水は新築祝いの席を抜け出し、尻っぱしょりで京楽宅に駆けつける。この際走りながら髭を剃るという荒技。


第5話 一筆啓上幽鬼が見えた 1975.8.1

 ターゲットは芸者、表面は華やかな中州芸者たちの、凄惨な嫉妬の嵐。チームと別行動をとり、もう一方の許せぬ悪を始末する市松が見られる。

 ロケ地、自宅に来た商家の付け届けを「返す」主水がゆく市中、亀吉を殴り倒す、今宮神社東門外。菓子折の小判を取り箱を投げ捨てる、門内橋上。願掛けに来たおように死相見えると告げる印玄、今宮神社本殿〜合祀摂社前。おようをメッタ突きにしてきた菊次の付き人が走る、嵐山公園中州河川敷(栗石敷いた部分)。血のついた手を洗う彼を突き落とし、這い上がるのを蹴落とす菊次、堰堤
*おようの旦那の両替商に川合伸旺、屋根落としの際は小判をばら撒きながら「止めて助けて」。絵師に菅貫、すっとぼけた演技で「芸術家」を好演、珍しく死なない役。


第6話 一筆啓上怨霊が見えた 1975.8.8

 新盆の宵、死んだはずの夫の声を聞く井筒屋の後家。まさかの思いに沈む彼女に、出入りの髪結いであるおこうは調査を申し出る。
その結果知れたのは彼女に横恋慕した義弟が夫を謀殺したという事実、その男と祝言をあげる段取りも進み憎からず思っていた女のとった行動は、仕置の依頼だった。

 ロケ地、清二郎が浪人たちと共に兄を謀殺する箱根山中、保津峡落合トンネル。谷底に落とされる兄の死体、清滝川(落合橋下)。おこうがおそのに調査結果を伝える、化野念仏寺(石仏群)
*夏にOAされた作品らしく、仕置の際にひとりでにぱたぱたと提灯が倒れ「亡霊」もぬうっと出てくる仕掛け。また、若死にした父を弔う市松の姿が描かれ、ラストには仕置した清二郎のため灯籠を流すシーンと相俟って情感を高める。*かきいれ時に奔走の印玄、でもお経はすげーいい加減。屋根落としの断末魔は「助けて止めて」。


第7話 一筆啓上邪心が見えた 1975.8.15

 蝮と異名をとる南町同心・堀内が仕置屋に追い込みをかける。依頼者の先走りによる綻びを利用され、おこうが見張られる・市松が牢に放り込まれるなどあり緊張の展開、慎重に隙を見てさくさく始末してゆく主水たち、堀内と女房の相対死を繕い、仕置屋の話は世迷言に。

 ロケ地、おこうが茂作から依頼を受ける、大沢池木戸
*堀内同心に今井健二、やはり苛烈な悪役はピカイチ。*屋根落としされる間夫を見て下で女が「止まって止まって」は笑える。


第8話 一筆啓上正体が見えた 1975.8.22

 「主水、同僚にハメられかける」話。
岡っ引殺しの裏にはドロドロの悪行、裏長屋の人妻を騙し好事家に斡旋する組織。これに南町同心と与力が関わるという図。

*犯人とされ冤罪に落ちかかる幼馴染の男を匿うおこう、雨宿りの際鼻緒を挿げ替えてやったおしまが無惨に殺されたことを知る市松の、それぞれの挿話が物語に奥行きをつける。


第9話 一筆啓上偽善が見えた 1975.8.29

 大奥をネタにして黄表紙を書いた戯作者・蛙亭文蝶に伸びる魔手、悲惨な経過のあとおためごかしで近づく大奥出入りの貸本屋は、実は隠密回り。そのうえ、意向に沿わぬ戯作者を処分したい版元の手先でもあった。

 ロケ地、貸本屋・孫兵衛が赴く大奥七ツ口、大覚寺宸殿裏手回廊
*文蝶とつながりのあった市松、後になってこれをチームに明かすくだりは興味深い。そっけないふうに描かれていた市松の素顔が徐々に剥がれてゆく経緯はさりげなく表現されており、人物像を大事に描く脚本が冴えを見せる。*主水の殺しのシーン、孫兵衛に抜かれた脇差も取り返し振り下ろす演出がなかなか。


第10話 一筆啓上姦計が見えた 1975.9.5

 峻烈な南町奉行が「綱紀粛正」係として着任させた用人・土方左馬之介は、ど助平の変態。
かつて八丁堀小町として名を馳せた人妻を嬲るのに、亭主を姦計に陥れるという悪行を働く。妻は夫を思い、夫は妻を案じ動く結果は心中立ての惨殺。夫婦と親しかった主水は土方に罠を仕掛け、仕置料も彼からとり、りつを餌に彼らを誘う。

 ロケ地、主水にたばかられたりつがお百度を踏む谷中・笹森神社の子授け地蔵、今宮神社境内の祠。餌につられやって来た土方を始末する主水、高倉脇の坂。殺しの際の台詞は土方への強烈な皮肉「奉行所心得その十三・部下に破廉恥なる行為を強要したる者即日切腹のこと」が傑作。
*初手から、子供達に竹トンボを作ってやる「優しいお兄さん」市松の姿が描かれる。たらい回しになった安田の遺児を引き取り「育てる」という市松だが、仕置から帰った彼が見たのは、自らの姿を真似て竹を削り串を作り、蜘蛛を刺す幼児の姿、手離すなら今という主水に力なく答える市松の演技が上々。お痛をした子の尻を叩く印玄にからむくだりは、「馬鹿が移るぞ」の名台詞に加え、印玄の木引っこ抜きとコミカルに進行し、クールでニヒルなキャラクターが仲間を認め人間性を回復するプロセスを積み上げてゆく。


第11話 一筆啓上悪用が見えた 1975.9.12

 次々と手柄を立てる岡っ引・黒門町の佐平次。しかし裏では弱味ある人間を脅し大金を巻き上げるというとんだ悪党。
魔手にかかり、何の罪も無いのに島送りにされ帰還後も陥穽に落ちる男。島送りを自分のせいと思い強請りに応じるが、空しく目の前で男の死を見る女、そして女は仕置屋を求める。

 ロケ地、佐平次の脅迫現場となる神社、今宮神社(境内、石橋)。印玄屋根落しの下谷正慶寺、今宮神社東門(門扉は閉まっている)
*手下の駕籠かきは印玄がダブル落しで始末、佐平次の仕置は市松が実行、主水は死因を取り繕い事件とならぬよう計らう。


第12話 一筆啓上魔性が見えた 1975.9.19

 市松メインの一話。凶盗が入って皆殺しの現場に行き合わせ恨みを託されるのも、いち早く盗っ人のアタリをつけるのも、仕置が動き出す前に襲ってきた盗っ人一味をさくっと始末し、残った盗っ人の頭の女房を密かに送るのも市松。
彼が送った女は、三島宿での幼馴染。彼女は父が盗っ人だったことを同じく盗っ人の夫に聞かされた経緯を持つ。幼い市松もまた父が殺し屋と知らず、三島のあいまい宿に連れられて来ていたのだった。

 ロケ地、願掛けのおるいに声をかける市松、金戒光明寺三門。話しながら歩く、本堂大屋根をバックの大胆な絵柄。
*事後、市松が殺した男を埋め、夫の始末を明るく聞く女。問わず語りに女が話した父の後妻を殺ったこと、そして行灯にたかる蛾を鮮やかに刺す女を見た市松は、閨で静かに女を送る。


第13話 一筆啓上過去が見えた 1975.9.26

 印玄を名指しの仕置依頼が来る。
彼は確かに依頼人の女郎の父を殺していたが、これには暗い過去が隠されていた。
観念し女のもとに赴き仇をとれと申し出る印玄、しかし女は阿漕な女郎屋の親父から同僚を庇い、女衒に刺されてしまう。瀕死の女がおこうに残した文には、ターゲットの変更が記されていた。

 ロケ地、上州中宿、妻に去られ幼い印玄を抱き無理心中の父、保津峡落合落下岩。およねの遺体を買い受け埋葬してやる印玄、桂川松尾橋下手右岸堤上。市松が女衒を仕置きする花火見物で賑わう橋、中ノ島橋。出陣シーン他に水路の岸も使われる。


第14話 一筆啓上不義が見えた 1975.10.3

 市松の幼馴染・浅吉は米問屋の篤実な番頭。しかし主の囲い者とデキてしまい、逢瀬の夜に目撃した盗賊の件を立場上訴えて出られず悩む。
市松のアドバイスもあり、妾との関係を主に告白し、盗賊の件もカタがつくかに見えた矢先、彼らは盗っ人の魔手にかかり二人ながら落命、行き合わせた主水が虫の息の女から恨みを託される。

 ロケ地、甲州屋へ入った盗っ人を追い走る捕り方が渡る橋、中ノ島橋。橋下で泥棒たちお着替え、これを見てしまう浅吉カップル、水路分岐の堰堤上。幼時、市松と浅吉の出会いの稔りの田、北嵯峨農地か。おそでが浅吉に逃げようと持ちかける川辺、桂川松尾橋付近(判断材料に乏しいが、右岸であることと流末が大きく左に曲折していることから、松尾橋下手と思われる。市松が二人にアドバイスの川辺も同所と思われる)。夜の六郷堤をゆく浅吉たちが泥棒二人組に刺される、嵐山公園中州
*今回主水の殺しは無し。好人物の裏で酷薄な所業を重ねる長門屋治平に米倉斉加年、これを殺る市松、死体の上に稲穂をしごき籾を散らす、浅吉との思い出への餞か、印象的なビジュアル。


第15話 一筆啓上欺瞞が見えた 1975.10.10

 才溢れ人気も高い、清元佐太郎の息子で二代目の佐一郎。
これがとんだ痴れ者で、座の者を侮り見下し舞台に穴を開ける、片端から周囲の娘に手をつけ物議をかもす、博打で多額の借金をこさえるなど、旗本の若様とつるんでやりたい放題の毎日。先代から託された佐一郎の面倒を何くれと無く見て、悪事の尻拭いに奔走する師匠にまで手を伸ばすとんだ色悪、最後はその師匠を悪たれに売る始末。疲れ果て絶望した師匠は、かねて聞いていた仕置屋稼業を求め深更おこうの店に現れる。依頼には、自分の目の前で佐一郎を殺して欲しいとの注文がつけられていた。

 ロケ地、佐一郎にたばかられ旗本の若様に売られた師匠が乱れた姿のまま渡る橋、中ノ島橋。座主の娘に無体を強いている佐一郎は橋下河川敷。開き直った佐一郎が師匠の手を振り解き去るシーンは河川敷に下りる鉄の階、夜間撮影なのでOK。
*師匠に山田五十鈴、「われ中空になすな恋」を弾き語るシーンは必見。端々に見える可憐な色気が凄絶。佐一郎には綿引洪、いつもながらの物堅そうな仕草で見せる、いっぷう変わった理詰めの色悪が圧巻。山田五十鈴を押し倒すなんて、余人にはちょっと無理っぽいかも。


第16話 一筆啓上無法が見えた 1975.10.17

 藩の公金を横領し、事を糾した同僚を卑怯なやり口で殺す悪党あり、奸計は露見し追われるがまんまと旗本奴の庇護下に。そのうえ、無頼旗本に知恵をつけて更なる姑息な悪行を重ねる始末。こやつらにはまとめて仕置依頼が出る。

 ロケ地、亀岡藩天守、彦根城。藩からの追っ手から逃げる久坂、相国寺大光明寺南路地。亀田藩江戸屋敷、大光明寺庭先と玄関。腹が減ったという弟を宥める仇持ちの娘、鐘楼
*江戸へ出て旗本奴に知恵つけ庶民を食い物にする久坂に菅貫太郎、姑息さ全開の悪さしまくり。最後まで姑息一本槍、自刃と見せかけて市松に斬りかかる。


第17話 一筆啓上裏芸が見えた 1975.10.24

 他座の忠臣蔵の客をも奪う水芸一座、大はやりの訳は姉妹の太夫が繰り広げる怪しのヌードショー。
客を取り戻したい他座と、公序良俗に反する行為を取り締まって点数稼ぎたい与力の利益が一致、水芸一座はハメられ、座頭は殺され小屋は放火され、水芸の要を握る裏方は主殺しとして斬罪に処せられる。その男の恋人だった太夫の片割れは後を追い縊死。
そして、水芸一座に竹を卸していて関わる市松、水芸ファンの捨三と印玄の三人は残った太夫を焚き付けておこうに「依頼」を出させる。

 ロケ地、お雪が弥吉の後を追って縊死、死体が横たえられているのは嵐山公園中州舳先


第18話 一筆啓上不実が見えた 1975.10.31

 角兵衛獅子あがりのちんけなチンピラと、騙されて遊女となった女。
重なりあうかに見えた心は平行線、性根の腐りきったチンピラは保身のため心中を持ちかけ、女を殺そうとする。しかも別口の殺人を糊塗するためのもの。ハナから来ていた「依頼」は、更なるターゲットを加え遂行されることとなる。

*酷薄なチンピラに石橋蓮司、不実を絵に描いたような優男を好演。


第19話 一筆啓上業苦が見えた 1975.11.7

 荒行で死んだ商家の息子の親から依頼が来る。ターゲットは主水の同門で元侍の修験者、全覚。彼は師の仇でもあった。
単独で仕掛けた市松も仕了せぬ凄腕の剣客、業苦の裡に一筋の光明も見出せなかった「鬼」と対峙することになる主水。しかし鬼の命を断ったのは自らの刃だった。

 ロケ地、全覚に「事情聴取」の主水、金戒光明寺石段。全覚が去るシーンには三門越しのショットも。秩父の全覚の寺、西寿寺。山門から石段、本堂前と縁先が使われる。石段では印玄のくるくる階段落としが為される。主水らの師・田所の道場(心形刀流)大覚寺明智門


第20話 一筆啓上手練が見えた 1975.11.7

 藤岡宿で横暴の限りを尽くす石神の辰五郎、母を売られ父を殺された幼女が、父の今わの際の言葉を頼りに江戸へ走り仕置を依頼する。
江戸へも聞こえていた辰五郎の件で、主水は藤岡出張。チームはともに上州へ。

 ロケ地、上州への道中に使われる竹林と畑地の道、北嵯峨農道
*警戒厳重な辰五郎のガードを突破して仕掛けるは市松、しかし同時に屋根から降って来た「渡世人」が同時にブスリ。彼もまた仕事人なのであった。この謎の渡世人・疾風の竜に中村敦夫、アイパッチ以外はまんま木枯らしの紋ちゃん。えげつない辰五郎には「東八の親父」北村英三、風格あり。


第21話 一筆啓上迷夢が見えた 1975.11.14

 筆頭与力の急死にはじまる、後任を巡る大騒動。
奉行の指示で候補三人から入札となり、冗談のような選挙活動が始まる。富商の賄賂飛び交い、有権者の同心たちに周旋して回る候補者たちのどたばたがコミカルに描かれる。田中金権政治破綻後の世相を反映してか、皮肉たらたらの表現がそこここに。

 ロケ地、筆頭与力酒井の葬儀、相国寺大光明寺門の内外。樋口与力に入れあげる深川の材木商・檜屋が暗殺される橋、夜の中ノ島橋(檜屋はドボン)
*奉行に志村喬、冒頭入札を命じ、ラスト入札の席にそんなこと言ってないと現れ話を締めてゆく。大坂から研修に来たという同心に花紀京、オッズを作ったりする。*はじめ材木屋殺しを市松と思わせる演出があったり、同業者とおでん屋で対決する市松の場面はなかなか←竹串でおでん刺して食う市松。


第22話 一筆啓上狂言が見えた 1975.11.28

 強欲な三原屋に父を謀殺された娘は、狂気を装い密かに仕置依頼をするが、芝居と露見してしまい、隠していた札差の株も奪われてしまう。そして、仕置に入った主水は娘が吊るされているシルエットを見るのだった。

*三原屋の番頭の元軽業師に蟹江敬三、手裏剣の達人で探りを入れた主水を縫いとめ脅しつけるなど活躍。最後は印玄に誘い出され屋根落としに。


第23話 一筆啓上墓穴が見えた 1975.12.5

 賭場を開帳する寺と組んで私腹を肥やす寺社回り筆頭与力、寺社回りの甥二人を引き入れ利用しようとするが、悉く失敗。この過程で買った恨みは、仕置人によって身に跳ね返ってくることになる。

 ロケ地、祥雲寺、相国寺(庫裏前、回廊、墓地、大光明寺南塀)。門は心当たり無し。寺社奉行所、相国寺林光院門。千住堤へ棄てられる清吉(筆頭与力榊の甥・清二郎)の死体、桂川松尾橋上手右岸汀。


第24話 一筆啓上血縁が見えた 1975.12.12

 自ら泥の中に咲く悪の花とうそぶく悪党の兄妹、各地の富商に後妻として入り込んでは殺しと乗っ取りを繰り返す。そして、女将を殺し入り込んだ新たなターゲット宅にいた女中は昔捨てた娘と判明、身の安全のためこれをも始末してのけようとする冷血の兄妹。しかし殺された女将に拾い育てて貰った女中は仇討ちを仕置屋に託し、実の母でも仕置されるべきと言い放つのだった。

 ロケ地、毒婦・おきぬと悪党の兄・伝蔵の回想、下総小田村から妹を連れ去る際の夫殺し、柊野堰堤落差工下河原。
*毒婦を母に持つ依頼者への配慮を話し合う仕置屋たち、トラウマを抱える印玄が激す場面も描かれる。ほんの一瞬町ですれ違っただけで毒婦をも誑かす市松の色気が強烈。


第25話 一筆啓上不倫が見えた 1975.12.19

 謹厳実直な同僚の死に不審を抱く主水、これにまつわる公共工事の不正入札の件で貰っていた金が仕置料となる。貞淑に見えて、あっさり夫を裏切り死因を作る羽目になった同僚の妻女を見る主水の心情は複雑、仕置された性悪の女たらしを探し回る狂態を見て家路につき、せんりつにこき使われる自分に納得したり。

 ロケ地、降り続く雨で決壊の危機にある小石川新堀河岸、柊野堰堤(落差工下段に土嚢積み上げ)
*不貞の妻女に市原悦子、ちゃっかり男の長屋に転がり込んでいるところを主水に咎められ主人の自刃を聞かされてもどこ吹く風、この演技が寒くて生々しくて怖い、さすが。*女たらし(寺田農)は印玄に投網を打たれ屋根上でぶん回しされ、「助けて降ろして、目が回るぅ」。


第26話 一筆啓上脅迫が見えた 1975.12.26

 質屋から金を盗ろうとして金蔵に細工した大工を罠にはめる岡っ引。入牢させた挙句死に至らしめるばかりか、父の命を盾に娘を吉原に売り飛ばす。
大工の老爺は捕まる間際おこうに金を託すが、ターゲットはおろか仕置依頼かどうか判らぬ始末、このどたばたは最後まで尾を引き、主水の殺しは奉行所と往復のマラソン状態。牢の老爺に印玄が接触しターゲットを聞き出すくだりは傑作。必殺畳抜きが見られる。しかし釈放の際の百叩きでぼろぼろの印玄は今回仕置ナシ。


第27話 一筆啓上大奥が見えた 1976.1.2

 大奥に娘や養女を送り込んで侍の地位を得る元古着屋の溝口甚兵衛。しかし、養女のほうは婚約者のある身を甚兵衛に騙され上がり、お手つきとなって戻れぬことを悲観し駆け落ち。これは二人ながら密殺され、実の娘が事を知って訴えるというのも殺してしまう外道ぶり。
主水は、道行きの二人に声をかけたせいでと悩み、大目付から貰った口止め料を仕置料として差し出すのであった。

 ロケ地、道行きの竹次郎とおときを誰何する主水、今宮神社石橋上。その後二人が追いかけてきた浪人に斬られる、相国寺大光明寺南の路地。横溝邸、相国寺林光院(門を内外から)。横溝が死んだ養女の代わりに目をつけた娘・みわに声をかける市松、大覚寺放生池堤。みわと、おときの母がやって来るお城の御門、彦根城天秤櫓。通りかかった甚兵衛の娘・おさとが二人に事情を聞く、佐和口多門櫓前堀端。主水が甚兵衛とグルの徒歩目付らを殺る、相国寺大光明寺南塀際。
*今回主水が自分で仕置料を置くかたちとなり、おこうは介在せず・登場無し。依頼は、印玄がおときの通夜の席で仕置屋稼業のことを口にして、母から金を受け取る。


第28話 一筆啓上崩壊が見えた 1976.1.9

 市松が殺しを見られ、崩壊の序曲が鳴り響く。殺った相手は外道殺し屋・睦美屋佐兵衛の息子、愛息の死に激発の佐兵衛は強引なやり口で仕置屋たちを追い詰める。その過程でおこうと印玄は落命、市松は訴人され捕縛されてしまう。進退窮まった主水は、闇に佐兵衛を葬り、市松が伝馬町へ護送される途中「へまを仕出かして」逃がすが、減俸・降格が待っているのだった。ラストは、マフラー巻いて寒そうな牢屋敷回りの主水を映して、幕。

 ロケ地、中村家へ髪結いに赴いたおこうと話す主水、大覚寺放生池堤(今わの際の「告白」を仄めかす意味深な会話がなされる)。おこうが佐兵衛一味に連れ出されるのを阻み「連行」する主水、中ノ島橋。その橋から二人が見る、依頼者父子の「心中死体」、中州舳先の河原。逃げおおせた市松が、主水から渡された握り飯を食う、広沢池観音島


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