1975-1976ABC/松竹 キャスト 第1話 一筆啓上地獄が見えた 1975.7.4 北から南へ配置換えの主水が仕置に戻るプロセスと、チーム形成を説く一作。市松との緊迫したやりとり、捨三との再会、印玄との出会いがハードに描かれる。 ロケ地、おいとの野辺送りを見遣る主水、嵐山自転車道(川側からの撮り)。 第2話 一筆啓上罠が見えた 1975.7.11 シリーズ御馴染みの悪役・津川雅彦が登場、色悪に加え大騙りの底知れぬワルを好演。役どころは市松の養父で今回の的、彼の暗黒面を見て仕置に至る市松の葛藤がドラマの主題。 ロケ地、市松と主水のツナギ、中ノ島橋下堰堤脇右岸。亀吉が橋上から主水を呼ばわる。鳶辰を呼び出し仕置の常念寺鐘楼、相国寺鐘楼。印玄が鳶辰を「歩かせる」屋根の部分はセットに切り替え。羽交い絞めにして歩くところは鐘楼の階を使用。 第3話 一筆啓上紐が見えた 1975.7.18 女をとことんまで食い物にする、たちの悪いヒモが的。おこうの様子から主水は何事かを察し、はじめ捨三も男の性質を見誤るが、観察するうち女房の妹が食い物にされてゆくプロセスをつぶさに見ることとなる。 ロケ地、おさとが絶望の果て入水する橋、中ノ島橋。加吉が仕置されるのはこの橋の真下の右岸汀。市松に仕置され水に落ちる男を主水と亀吉が橋上から見る。 第4話 一筆啓上仕掛が見えた 1975.7.25 おこうの長屋を追い立て、一大歓楽地を作ろうと企てる桔梗屋、追い出しには放火もする。 *印玄の殺しは屋根落としだが、前段に付け火の炎につっ転ばし「消して消して消して」のあと屋根歩かされ「止めて助けて止めて助けて」。*主水は新築祝いの席を抜け出し、尻っぱしょりで京楽宅に駆けつける。この際走りながら髭を剃るという荒技。 第5話 一筆啓上幽鬼が見えた 1975.8.1 ターゲットは芸者、表面は華やかな中州芸者たちの、凄惨な嫉妬の嵐。チームと別行動をとり、もう一方の許せぬ悪を始末する市松が見られる。 ロケ地、自宅に来た商家の付け届けを「返す」主水がゆく市中、亀吉を殴り倒す、今宮神社東門外。菓子折の小判を取り箱を投げ捨てる、門内橋上。願掛けに来たおように死相見えると告げる印玄、今宮神社本殿〜合祀摂社前。おようをメッタ突きにしてきた菊次の付き人が走る、嵐山公園中州河川敷(栗石敷いた部分)。血のついた手を洗う彼を突き落とし、這い上がるのを蹴落とす菊次、堰堤。 第6話 一筆啓上怨霊が見えた 1975.8.8 新盆の宵、死んだはずの夫の声を聞く井筒屋の後家。まさかの思いに沈む彼女に、出入りの髪結いであるおこうは調査を申し出る。 ロケ地、清二郎が浪人たちと共に兄を謀殺する箱根山中、保津峡落合トンネル。谷底に落とされる兄の死体、清滝川(落合橋下)。おこうがおそのに調査結果を伝える、化野念仏寺(石仏群)。 第7話 一筆啓上邪心が見えた 1975.8.15 蝮と異名をとる南町同心・堀内が仕置屋に追い込みをかける。依頼者の先走りによる綻びを利用され、おこうが見張られる・市松が牢に放り込まれるなどあり緊張の展開、慎重に隙を見てさくさく始末してゆく主水たち、堀内と女房の相対死を繕い、仕置屋の話は世迷言に。 ロケ地、おこうが茂作から依頼を受ける、大沢池木戸。 第8話 一筆啓上正体が見えた 1975.8.22 「主水、同僚にハメられかける」話。 *犯人とされ冤罪に落ちかかる幼馴染の男を匿うおこう、雨宿りの際鼻緒を挿げ替えてやったおしまが無惨に殺されたことを知る市松の、それぞれの挿話が物語に奥行きをつける。 第9話 一筆啓上偽善が見えた 1975.8.29 大奥をネタにして黄表紙を書いた戯作者・蛙亭文蝶に伸びる魔手、悲惨な経過のあとおためごかしで近づく大奥出入りの貸本屋は、実は隠密回り。そのうえ、意向に沿わぬ戯作者を処分したい版元の手先でもあった。 ロケ地、貸本屋・孫兵衛が赴く大奥七ツ口、大覚寺宸殿裏手回廊。 第10話 一筆啓上姦計が見えた 1975.9.5 峻烈な南町奉行が「綱紀粛正」係として着任させた用人・土方左馬之介は、ど助平の変態。 ロケ地、主水にたばかられたりつがお百度を踏む谷中・笹森神社の子授け地蔵、今宮神社境内の祠。餌につられやって来た土方を始末する主水、高倉脇の坂。殺しの際の台詞は土方への強烈な皮肉「奉行所心得その十三・部下に破廉恥なる行為を強要したる者即日切腹のこと」が傑作。 第11話 一筆啓上悪用が見えた 1975.9.12 次々と手柄を立てる岡っ引・黒門町の佐平次。しかし裏では弱味ある人間を脅し大金を巻き上げるというとんだ悪党。 ロケ地、佐平次の脅迫現場となる神社、今宮神社(境内、石橋)。印玄屋根落しの下谷正慶寺、今宮神社東門(門扉は閉まっている)。 第12話 一筆啓上魔性が見えた 1975.9.19 市松メインの一話。凶盗が入って皆殺しの現場に行き合わせ恨みを託されるのも、いち早く盗っ人のアタリをつけるのも、仕置が動き出す前に襲ってきた盗っ人一味をさくっと始末し、残った盗っ人の頭の女房を密かに送るのも市松。 ロケ地、願掛けのおるいに声をかける市松、金戒光明寺三門。話しながら歩く、本堂大屋根をバックの大胆な絵柄。 第13話 一筆啓上過去が見えた 1975.9.26 印玄を名指しの仕置依頼が来る。 ロケ地、上州中宿、妻に去られ幼い印玄を抱き無理心中の父、保津峡落合落下岩。およねの遺体を買い受け埋葬してやる印玄、桂川松尾橋下手右岸堤上。市松が女衒を仕置きする花火見物で賑わう橋、中ノ島橋。出陣シーン他に水路の岸も使われる。 第14話 一筆啓上不義が見えた 1975.10.3 市松の幼馴染・浅吉は米問屋の篤実な番頭。しかし主の囲い者とデキてしまい、逢瀬の夜に目撃した盗賊の件を立場上訴えて出られず悩む。 ロケ地、甲州屋へ入った盗っ人を追い走る捕り方が渡る橋、中ノ島橋。橋下で泥棒たちお着替え、これを見てしまう浅吉カップル、水路分岐の堰堤上。幼時、市松と浅吉の出会いの稔りの田、北嵯峨農地か。おそでが浅吉に逃げようと持ちかける川辺、桂川松尾橋付近(判断材料に乏しいが、右岸であることと流末が大きく左に曲折していることから、松尾橋下手と思われる。市松が二人にアドバイスの川辺も同所と思われる)。夜の六郷堤をゆく浅吉たちが泥棒二人組に刺される、嵐山公園中州。 第15話 一筆啓上欺瞞が見えた 1975.10.10 才溢れ人気も高い、清元佐太郎の息子で二代目の佐一郎。 ロケ地、佐一郎にたばかられ旗本の若様に売られた師匠が乱れた姿のまま渡る橋、中ノ島橋。座主の娘に無体を強いている佐一郎は橋下河川敷。開き直った佐一郎が師匠の手を振り解き去るシーンは河川敷に下りる鉄の階、夜間撮影なのでOK。 第16話 一筆啓上無法が見えた 1975.10.17 藩の公金を横領し、事を糾した同僚を卑怯なやり口で殺す悪党あり、奸計は露見し追われるがまんまと旗本奴の庇護下に。そのうえ、無頼旗本に知恵をつけて更なる姑息な悪行を重ねる始末。こやつらにはまとめて仕置依頼が出る。 ロケ地、亀岡藩天守、彦根城。藩からの追っ手から逃げる久坂、相国寺大光明寺南路地。亀田藩江戸屋敷、大光明寺庭先と玄関。腹が減ったという弟を宥める仇持ちの娘、鐘楼。 第17話 一筆啓上裏芸が見えた 1975.10.24 他座の忠臣蔵の客をも奪う水芸一座、大はやりの訳は姉妹の太夫が繰り広げる怪しのヌードショー。 ロケ地、お雪が弥吉の後を追って縊死、死体が横たえられているのは嵐山公園中州舳先。 第18話 一筆啓上不実が見えた 1975.10.31 角兵衛獅子あがりのちんけなチンピラと、騙されて遊女となった女。 *酷薄なチンピラに石橋蓮司、不実を絵に描いたような優男を好演。 第19話 一筆啓上業苦が見えた 1975.11.7 荒行で死んだ商家の息子の親から依頼が来る。ターゲットは主水の同門で元侍の修験者、全覚。彼は師の仇でもあった。 ロケ地、全覚に「事情聴取」の主水、金戒光明寺石段。全覚が去るシーンには三門越しのショットも。秩父の全覚の寺、西寿寺。山門から石段、本堂前と縁先が使われる。石段では印玄のくるくる階段落としが為される。主水らの師・田所の道場(心形刀流)、大覚寺明智門。 第20話 一筆啓上手練が見えた 1975.11.7 藤岡宿で横暴の限りを尽くす石神の辰五郎、母を売られ父を殺された幼女が、父の今わの際の言葉を頼りに江戸へ走り仕置を依頼する。 ロケ地、上州への道中に使われる竹林と畑地の道、北嵯峨農道。 第21話 一筆啓上迷夢が見えた 1975.11.14 筆頭与力の急死にはじまる、後任を巡る大騒動。 ロケ地、筆頭与力酒井の葬儀、相国寺大光明寺門の内外。樋口与力に入れあげる深川の材木商・檜屋が暗殺される橋、夜の中ノ島橋(檜屋はドボン)。 第22話 一筆啓上狂言が見えた 1975.11.28 強欲な三原屋に父を謀殺された娘は、狂気を装い密かに仕置依頼をするが、芝居と露見してしまい、隠していた札差の株も奪われてしまう。そして、仕置に入った主水は娘が吊るされているシルエットを見るのだった。 *三原屋の番頭の元軽業師に蟹江敬三、手裏剣の達人で探りを入れた主水を縫いとめ脅しつけるなど活躍。最後は印玄に誘い出され屋根落としに。 第23話 一筆啓上墓穴が見えた 1975.12.5 賭場を開帳する寺と組んで私腹を肥やす寺社回り筆頭与力、寺社回りの甥二人を引き入れ利用しようとするが、悉く失敗。この過程で買った恨みは、仕置人によって身に跳ね返ってくることになる。 ロケ地、祥雲寺、相国寺(庫裏前、回廊、墓地、大光明寺南塀)。門は心当たり無し。寺社奉行所、相国寺林光院門。千住堤へ棄てられる清吉(筆頭与力榊の甥・清二郎)の死体、桂川松尾橋上手右岸汀。 第24話 一筆啓上血縁が見えた 1975.12.12 自ら泥の中に咲く悪の花とうそぶく悪党の兄妹、各地の富商に後妻として入り込んでは殺しと乗っ取りを繰り返す。そして、女将を殺し入り込んだ新たなターゲット宅にいた女中は昔捨てた娘と判明、身の安全のためこれをも始末してのけようとする冷血の兄妹。しかし殺された女将に拾い育てて貰った女中は仇討ちを仕置屋に託し、実の母でも仕置されるべきと言い放つのだった。 ロケ地、毒婦・おきぬと悪党の兄・伝蔵の回想、下総小田村から妹を連れ去る際の夫殺し、柊野堰堤落差工下河原。 第25話 一筆啓上不倫が見えた 1975.12.19 謹厳実直な同僚の死に不審を抱く主水、これにまつわる公共工事の不正入札の件で貰っていた金が仕置料となる。貞淑に見えて、あっさり夫を裏切り死因を作る羽目になった同僚の妻女を見る主水の心情は複雑、仕置された性悪の女たらしを探し回る狂態を見て家路につき、せんりつにこき使われる自分に納得したり。 ロケ地、降り続く雨で決壊の危機にある小石川新堀河岸、柊野堰堤(落差工下段に土嚢積み上げ)。 第26話 一筆啓上脅迫が見えた 1975.12.26 質屋から金を盗ろうとして金蔵に細工した大工を罠にはめる岡っ引。入牢させた挙句死に至らしめるばかりか、父の命を盾に娘を吉原に売り飛ばす。 第27話 一筆啓上大奥が見えた 1976.1.2 大奥に娘や養女を送り込んで侍の地位を得る元古着屋の溝口甚兵衛。しかし、養女のほうは婚約者のある身を甚兵衛に騙され上がり、お手つきとなって戻れぬことを悲観し駆け落ち。これは二人ながら密殺され、実の娘が事を知って訴えるというのも殺してしまう外道ぶり。 ロケ地、道行きの竹次郎とおときを誰何する主水、今宮神社石橋上。その後二人が追いかけてきた浪人に斬られる、相国寺大光明寺南の路地。横溝邸、相国寺林光院(門を内外から)。横溝が死んだ養女の代わりに目をつけた娘・みわに声をかける市松、大覚寺放生池堤。みわと、おときの母がやって来るお城の御門、彦根城天秤櫓。通りかかった甚兵衛の娘・おさとが二人に事情を聞く、佐和口多門櫓前堀端。主水が甚兵衛とグルの徒歩目付らを殺る、相国寺大光明寺南塀際。 第28話 一筆啓上崩壊が見えた 1976.1.9 市松が殺しを見られ、崩壊の序曲が鳴り響く。殺った相手は外道殺し屋・睦美屋佐兵衛の息子、愛息の死に激発の佐兵衛は強引なやり口で仕置屋たちを追い詰める。その過程でおこうと印玄は落命、市松は訴人され捕縛されてしまう。進退窮まった主水は、闇に佐兵衛を葬り、市松が伝馬町へ護送される途中「へまを仕出かして」逃がすが、減俸・降格が待っているのだった。ラストは、マフラー巻いて寒そうな牢屋敷回りの主水を映して、幕。 ロケ地、中村家へ髪結いに赴いたおこうと話す主水、大覚寺放生池堤(今わの際の「告白」を仄めかす意味深な会話がなされる)。おこうが佐兵衛一味に連れ出されるのを阻み「連行」する主水、中ノ島橋。その橋から二人が見る、依頼者父子の「心中死体」、中州舳先の河原。逃げおおせた市松が、主水から渡された握り飯を食う、広沢池観音島。 |