キャスト
藤枝梅安/緒形拳 西村左内/林与一 音羽屋半右衛門/山村聡
岬の千蔵/津坂匡章 櫓の万吉/太田博之 おくら/中村玉緒
第1話 仕掛けて仕損じなし 1972.9.2
のっけから殺しの依頼、ターゲットは作事奉行と材木商。横暴の限りを尽くすワルの行状が描かれ、殺っちゃえムード漸次高まる。材木商は梅安が、奉行は左内が。それぞれに見所多い仕掛け。妾のおぎんを誑し込んでの梅安のコミカルな振る舞い、万吉が長屋衆を煽動しての奉行への仕掛けもリズミカル。事後、態度を豹変させる伊勢屋に釘刺した帰り、擦れ違いざま大岩の背に刀をぱすっと入れる元締がいちばんコワかったりして。
ロケ地
・左内に仕掛を邪魔される梅安のシーン、暗すぎて不明、くろ谷か。
・左内を釣りに誘い仕掛人の話を切り出す半右衛門、大沢池に屋形船を仕立てて(堤の松は今と違うが、池面一面に浮く蓮、半右衛門に人斬りを指摘される左内の背後に映り込む「ゆる」は銭形平次などでも確認できるので、大沢池で決まりと思う)。
・奉行が検分に来る現場、背後に嵐山と思われるも不明。
*辻斬りと鍼医者の出会いとなる殺陣、頭巾裂かれる梅安、草履を鍼で縫いとめられる左内、名シーン。狆のカクちゃんに仕掛ける梅安も傑作。
第2話 暗闘仕掛人殺し 1972.9.9
湯治場の梅安と左内が何者かに襲われる。急ぎ江戸へ帰る一行、二手に別れてみると狙いは梅安のほう。井筒に逃げ込んだ梅安はおぎんと再会。
その後、音羽の元締から頼まれた鷹匠の始末にかかる梅安だが、偵察に行き悪行を聞くうちターゲットを見て驚愕。鷹匠はむかし梅安が密通した女の亭主。間男を見つかった際の女の裏切りが許せず、梅安は女を殺したのだった。湯治場の刺客が鷹匠・小野寺の仕向けたものと知った梅安は、先手は王手と小野寺を襲いあっさりと始末、自宅を襲う「仕掛人」は左内の手も借りて返り討ちに。最後に襲ってきた仕掛人の親玉が湯治場で息子を助けてくれた老僧と知り、左内の苦悩は深まるのだった。
ロケ地
・湯治場(弘法霊泉とあるのは箱根設定か)、保津峡落合(旅館、河口)。
・千蔵が捕まる大川端、桂川か。
第3話 仕掛けられた仕掛人 1972.9.16
蝋燭問屋・辻屋の後妻がターゲット。妙な話作り女を自宅に誘き寄せる梅安だが、これが盗賊の一味でボコられ拉致されてしまう。だが盗賊のかしらは梅安をあっさり解放、仕掛人としての勤めを果たせと言う。後妻殺しを依頼したのはその盗賊で、引き込みに入りながら途中で遺産目当てに変節した女を始末するのが目的だった。一方、女のほうからも音羽の元締にかしらをターゲットに依頼が来る。これも受けた半右衛門は、戻ってきた梅安に女を始末させ、自ら盗賊のもとに乗り込み、左内を使って仕掛けるのだった。
ロケ地
・辻屋の主人に死相出ていると持ちかける梅安、梅宮大社神苑池端に茶店セット。
第4話 殺しの掟 1972.9.23
山形屋の紹介で元締に持ち込まれた依頼は、町医者・玄竹の女房が狂暴な侍・松永彦七郎に無体を働かれた仇を、というもの。さっそく左内が仕掛けるが腕は互角に近く、互いに浅手を負ったうえ松永の師匠・中根が介入し水入り。しかもこのあと山形屋らが偽りを述べていたことが明らかに。千蔵の再調査の結果、松永は妹夫婦を殺された謹厳実直な男で、トンデモ侍は山形屋らがつるむ法眼・金子安斎の庶子のほうと知れ、元締の怒り爆発。
左内は両国の川開きに船を出す法眼の息子を襲い松永のもとに届ける役を果たし、梅安と元締は玄竹と山形屋を始末。騙された元締はけれん味たっぷりに山形屋を追い詰める、迫力。
ロケ地
・冒頭うずくまる松永、下鴨神社河合社前。行き合わせ具合を聞く左内、糺の森林間。襲ってくる刺客を返り討ちの松永、泉川畔。
・玄竹が申し立てる松永の掛川での悪行のイメージ、黒谷路地。
・左内と半右衛門のツナギ、大覚寺大沢池か(方形造りの大きめの堂が些か疑問、蓮と護摩堂らしき堂あり)か。
・松永に仕掛ける左内、黒谷墓地。水入り後立ち去る左内、茶店の梅安に声を掛けられるのは金戒光明寺本堂前石段上。
・左内の回想、師匠の思い出は桂の堤か。
・松永のもとに馬鹿息子を送り届ける船頭姿の左内、大沢池か。
第5話 女の恨みはらします 1972.9.30
依頼は、娘に無体を働かれたうえ店を潰される羽目になった亀屋の主人から。犯人の六人の富商の放蕩息子たちには与力の大井が手を回していて、ほぼお咎め無し「叱責」のみという仕打ちに、亀屋は最後の財を投げ出す。この与力というのが昔おくらを脅して食い物にしたワルで、偶然出会ってしまったおくらをまたまた脅すという、因果めぐる話。
窮したおくらの行動と、禁に触れ捕縛された長屋の鋳掛屋を左内の女房が気遣うエピソードなど絡み、複雑な感情が交錯する。
仕掛けのほうは、六人の馬鹿息子をさくさくと始末。梅安の仕掛けがトリッキーで見せる。母の形見の簪を質入れして左内の女房に頼まれた金を作るおくら、これを知った左内はおくらに事情を聞きその足で与力を斬りにゆく。これには後段あり、与力配下の下っ引がタカリに来るのを釣竿に仕込んだ刀でぶすっと殺る半右衛門、帰宅した彼がおくらに渡したのは彼女が流用した左内から預かった金と、質入れした簪だった。
ロケ地
・おくらが与力に脅される神社、松尾大社(亀の水場、拝殿、用水に架かる橋)。
・梅安が六人の一人・伊之助を殺る向島への渡し舟、大覚寺大沢池。
・元締が下っ引を殺る、保津峡落合河口。
第6話 消す顔消される顔 1972.10.7
市中でいい女を見てふらふらとついてゆく梅安と千蔵、夫・直吉の見えぬ目のことで夫婦で願掛けに来たさまを見、乱暴な夫の態度に「殺す」などと呟く。ここから目の治療で夫婦に関わってゆく梅安、そんな折元締から指示されたターゲットはその女・お妙の父。はじめは火事場での働きから尊敬されている人物をなぜと訝る梅安だが、次第に事情は知れる。直吉の目が見えなくなった経緯、彼を襲う女殺し屋、火事の大もとなどのエピソードが散りばめられる。
直吉の家に火をつけに行くターゲット・多左衛門を殺る梅安、金も貰ってないのにそっと入ってきて共犯の手代をさくっと殺ってゆく左内、お妙のため父の不名誉は避けてやる優しさを見せる梅安がいい。
ロケ地
・お妙夫婦が願掛けの「神社」、神光院本堂(蔵や中興堂も映りこむ)。あとでお妙に事情聞くシーンは庭の池に架かる石橋上。
・元締に仕掛けをせっつかれる船の上、大覚寺大沢池。
第7話 ひとでなし消します 1972.10.14
迎えた婿がトンデモで、家の金を使い倒す放蕩者のうえ、妻に毒薬を飲ますは忠実な下男を斬るは富商の娘を誑かして妻に迎える算段しているはの、まるで四谷怪談のようなお話。
薬を飲まされて放心しているお此を助けた左内は以降ずっと関わることに。微妙なからみを見ていた左内の女房はヤキモキしまくり。
はじめお此の依頼を断る半右衛門だが、のちに事情を把握し受けることに。最後は仕掛に夫婦揃って一役買う。仕掛の当日が息子の誕生日の、左内の振舞が傑作。
ロケ地
・ならず者の浪人からお此を助ける左内、罧原堤下河原。
・仕掛終わった左内が急ぎ帰宅するところに襲撃かけてくる浪人者、大覚寺放生池堤。
*左内一家がやってくる縁日、金魚すくいのシーンにガラス板使ったアオリ。*今回梅安はお此が夫の引き込んだ「下男」に手籠めにされかかるところへ登場、ぷすっと始末。登場はこれだけ。*お此の夫の色悪に中尾彬、クレジット見るまで判らなかったくらい若い。
第8話 過去に追われる仕掛人 1972.10.21
左内に過去の因縁が忍び寄る。藩のため領民の苦衷を救うため、無謀な干拓工事を進める奉行を斬って捨て逐電した左内。しかし殺したと思った相手は生きていて、江戸詰家老となりおおせていた。しかも音羽屋に左内殺しを依頼し、かつての左内の同志を抱きこみ刺客に仕立てるなどの策謀が企てられる。その同志も結局消され、元締のバックアップもあり左内は再び「昔斬った男」を斬るのだった。
ロケ地
・蔭山藩邸、大覚寺大門。
・左内に江戸を離れるよう促す元締、大覚寺護摩堂前の大沢池畔に茶店セット(堂は映らず石仏や放生池堤が背景に)。
・左内の元同志・松岡弥太郎が斬りたてられ逃げる藩邸付近、大覚寺門前〜参道橋〜御殿川〜有栖川池水落ち口。松岡は探っていた千蔵の船で大沢池へ。
・元締が主膳を誘き出す墓地、愛宕か。
*左内を同志の墓に誘い出し斬ろうとする松岡、過去と現在が交錯する緊張の場面や、左内に協力し藩邸に早桶持って乗り込む半右衛門の侠気が描かれるなど見せ場多し。墓地で左内の死体役やって目むいてる千蔵ちゃんも良し。*今回は仕掛けは無しの梅安、何度も逢瀬を邪魔されるコミカルなシーンが描かれ、刹那的享楽を大肯定する台詞がキマっている。
第9話 地獄極楽紙ひとえ 1972.10.28
弱い立場の者から金を毟りまくる御数寄屋坊主を成敗する話。梅安はカツアゲの現場に行き合わせ、伊皿子日乗の手下をシメて刺客を差し向けられたり、潜伏先の寺で日乗の美人局に引っ掛ったりと散々な目に。やがて美人局の餌に使われている女から、元締に日乗殺しの依頼あり、カツアゲに赴く日乗と用心棒は梅安と左内に始末される。
ロケ地
・狆のカクちゃんを抱いた梅安がカツアゲ現場に行き合わせる、相国寺方丈塀際〜黒谷路地。
・梅安が日乗を仕掛ける石段、知恩院勢至堂への石段。
・左内が用心棒を斬る鐘楼、知恩院鐘楼(斬られた侍が突き棒にぶら下がり梵鐘ゴーンと鳴り響く)。
・事後、脅されていた夫婦が釣り船に遊ぶ、錦水亭前の八条池(梅安が堤道をゆくのを見て夫婦は緊張)。
第10話 命売りますもらいます 1972.11.4
頼母子講から派生した命講がおおはやり、保険金めあての殺しも横行。そんななか舞い込んだ依頼は、金をせびるヤクザ者の兄を殺してくれというもの。はじめ命講がらみを疑う一同だが、調べのすえ境遇に同情を寄せる。しかし殺し屋が迫ることを関知したか、当の兄は姿を晦ます。依頼主の弟のもとへ届く不気味な文、さらわれる子供。時折、追う左内たちの前にちらりと姿を見せるがその都度鮮やかにかわし逃げる、その正体は依頼主本人で、多大な借財を整理するため自分に命講を掛けてあったのだった。
ロケ地
・ターゲットの兄の情婦のところへ聞き込みにゆく千蔵、中ノ島橋上手階。
・左内にこれを報告の千蔵、中ノ島橋上。
・事後、依頼主が音羽屋へ宛てた文を見る寝転び左内、柊野堰堤下河原。
第11話 大奥女中殺し 1972.11.11
江戸城大奥筆頭年寄・浦尾の部屋子が責め殺され、音羽屋に浦尾殺しの依頼が来る。無理に近い仕掛と半右衛門は言うが、梅安はやりがいがあると乗り気。以降、仕掛の準備がいきいきと描かれる。
調査段階でも、元締自ら大奥出入りの商人に助平親父を演じて入り込む芝居や、左内が代参の増上寺で仕掛ける(ターゲット来ておらず失敗)などあり、緊迫感が高まる。
このあと、遂に大奥潜入を決意したチームは葛西船、年末の畳替え、古い瓦版から見付けた金蔵破りの侵入経路など三方向から支度を進める。盗っ人よろしく忍び込んだ梅安が湯殿で侍女と××の浦尾をぷすっと始末し、左内がサポートして半右衛門の操る葛西船で逃走。小気味良いテンポで仕上げられた必殺大奥モノの祖形。
ロケ地
・千蔵の知り合いの大奥お末が語る大奥の説明に彦根城玄宮園魚躍沼と龍臥橋、池畔。・大奥出入りの碇屋の番頭について大奥へ入り込む元締のシーンに彦根城各所。堀端に佐和口多門櫓、白川御門に天秤櫓、このあと太鼓門櫓をくぐりその都度鑑札のチェック入る。大奥入口、入ると七ツ口というところの伊賀者詰所、天守下部南西角。七ツ口、大覚寺宸殿まわり。警護の伊賀者がうろつく御広敷門、大覚寺勅使門。
・増上寺廊下、大覚寺回廊。
・左内の仕掛け失敗後後図をはかるチーム、彦根城佐和口多門櫓前堀端(埋木舎前)。
・盗っ人経路で入る梅安、彦根城各所(犬走り、石垣、天秤櫓)。畳職人の混じって入る万吉、太鼓門櫓。畳替えの大奥、大覚寺回廊。仕掛け後逃げる梅安が伊賀者に囲まれる、彦根城西の丸三重櫓の南・観音台へ通じる石垣付近。半右衛門の操る葛西船を待つ、内濠犬走り。
第12話 秋風二人旅 1972.11.18
乞われて京へ赴く梅安たち、仕掛けの相手は町衆を苦しめる山犬の如きゴロツキ浪人六人。仕掛人・彦造と道中の梅安、見かけた侍が女房と子供の仇と言う彦造。しかし彼の家族を嬲り殺した犯人はその侍の弟で、今回のターゲットの首領格の男だった。しかも依頼人は見かけた侍・山犬の実の兄。大勢なのと手強いのとで、少しずつ殺してゆく梅安たち、途中彦造がフライングして斬られる場面もあるがそつなく仕掛けを終える。
事後、「兄」と街道筋で会った梅安は白子屋の名を出し、訝る左内にアレが一番の悪党かもと感想を洩らすのだった。
ロケ地
・侍と行き合う峠、保津峡を見下ろすビュー、下六丁峠か。
・津山悦堂の墓所・墨染の欣浄寺、西寿寺(墓地、石段)。
・山犬衆が山端から洛中へご出勤の道、谷山林道。
・事後、「兄」と接触後梅安と左内が渡る橋、渡月橋(今と様態は異なる)。
*原作をなぞりながら微妙にニュアンスの違う一作。彦さんの設定がそもそも違うが、兄と弟二役の天知茂が凄過ぎ。原作の気弱そうな兄の設定飛んでるっぽい。どうかすると山犬の弟より凄味あり。
第14話 掟を破った仕掛人 1972.12.2
受けた仕事を遂行しに入る仕掛人たち、しかし先を越されてターゲットは惨殺されていた。その後も「殺されても仕方ない」者たちが連続してむごたらしく殺され、先の仕掛けの依頼人まで消される。一連の事件から仕掛人に悪い噂がたち、依頼はぱたりと途絶える。そんななか久しぶりに来た依頼は大身旗本から。ターゲットの動向を示唆され甲府への道中を襲う仕掛人たち、しかしここでも怪しの一団に囮に使われる結果に。江戸へ取って返した半右衛門が依頼者の旗本に会うと、依頼直後別のが売り込みに来たので念には念を入れそちらも頼んだのだという。また、後金を渡す段に襲われたともいう。そのうえ、その別口を殺ってくれと新たな依頼をする始末。
そしてまた殺人、ここでいつも現場にいる岡っ引を見つけ話は急展開、仲間の仇をとりにきた仕込みの依頼などあり、しまいにおくらがさらわれる。
正体を現した黒幕の依頼人の旗本と対峙する元締、堂々の論陣を張り、一瞬の隙を見ておくらを救出、左内と梅安も襲い掛かり始末するのだった。
ロケ地
・井島玄斎邸、大覚寺参道橋〜大門。
・甲府への道、ターゲットの駕籠を見る仕掛人たち、北嵯峨農道か。
・岡っ引を拉致する橋上、中ノ島橋。
。おくらを捕われた元締が赴く上野霊雲院、くろ谷墓地石段〜金戒光明寺三門。
第15話 人殺し人助け 1972.12.9
エロ梅安、女に鍼取られてこれが突き立った死体が家の前に置かれ万事休す。音羽屋にも調べ入り、半右衛門と左内は奉行所へ連行される。その隙に音羽屋へ賊入り、おくらは土蔵に逃げ込むが、マサカリで壁を突き崩しにかかる凶悪な男あり。このどこかキレてる男は新進の仕掛人・鳥越の松十郎で、同心もグルとなり音羽屋に匿われている伊勢屋の長子を殺そうとしていた。
これは伊勢屋の後妻が依頼したもので、はじめ半右衛門のところへ来た話。断られて外道の松十郎のもとへ持ち込まれた。狂暴な松十郎の手口に窮地に追い込まれる音羽屋、しかし内懐に飛び込み死闘のすえ外道を仕留める。
ロケ地
・釣りの左内が同心・留中に連行される、広沢池観音島。
・後妻が来る伊勢屋の墓、西寿寺か(羊歯がそれっぽいが確証なし)。
*松十郎に津川雅彦、ちょっと異常でキモチワルイ色悪を熱演。これの情婦で梅安を誑しこむ女が土壇場で音羽屋に松十郎殺しを依頼するシーンは哀切。
第16話 命かけて訴えます 1972.12.16
甲州16ケ村の窮状を老中に訴えるべく、選ばれた青年たちが江戸を目指す。安女郎が客を殺し金を奪い、音羽屋に駆け込み青年たちのガードを依頼する。その女郎の弟が一行にいるのだった。
大菩薩峠で役人達に追われる訴人一行を助ける梅安と左内、うち一人はそこで落命するも残った二人を江戸に連れ帰る。濡れた訴状を書き直してやり、段取りを整えてやり、吉原に売られた恋人と会いたい・女郎の姉に会いたいとの願いもかなえてやる梅安たち。しかし一人は姉が刑場の露と消えるのを見て臆し、一人は恋人への思い断ちがたく煩悶する。死ぬのは一人でいいと籤が引かれ、引き当てた男は恋人たる女郎と共に直訴するも、門前で代官シンパの旗本たちに斬られて果たせず終わる。
二人を葬った塚の前で、千蔵は自分が訴人して出ると言い出し承認される。村人になりおおせた千蔵の訴えは老中に届き、代官の首は飛び村は老中預かりとなる。牢にぶち込まれた千蔵は昔とった杵柄で抜け出すが、屋根には梅安と左内が助けに来ていた。
・ ロケ地、訴人一行が襲われる大菩薩峠、清滝川畔の地道か(1972当時は土道の水尾への道か)。
・役人を殺った梅安たちを信じず岩を登って逃げようとする百姓たち、保津峡落合落下岩。狙撃され一人が落命する岩場、落合河口。
・半右衛門の保護下から逃げ出す甚八がゆく桜橋、中ノ島橋(シルエット・見上げ)。
・左内が甚左をとっ捕まえる、鳥居本八幡宮舞殿。
・お清の刑が執行される刑場、下鴨神社糺の森。
・老中酒井邸、大覚寺明智門、勅使門橋。
*弥んぞが恋人の女郎とめそめそしているのを見た梅安が、その女郎を買うと言い出し左内と対立するシーンは圧巻。梅安さんだって可哀想と思ってだと割って入る千蔵、このあとの身代わり申し出とともに侠気を見せる。
第17話 花の吉原地獄への手形 1972.12.23
飢饉にあえぐ下総25ヶ村、娘の身売りもザラ。この地の大庄屋として民から絶大な信頼を集める庄右衛門だが、とんでもない裏の顔を持っていて、藩留守居役と結託しでっちあげの運上金を民から搾り取り吉原で大盤振る舞いを繰り広げる。しかし、売られた恋人に会いたい一心で江戸へ出て来た青年が吉原で大庄屋を見かけたことから、事態は動き始める。
恋人の花魁から大庄屋の真実を知った青年の依頼で梅安たちが動くが、庄右衛門とお供の斧吉は柔術の達人、下総では仕掛けられぬと舞台は吉原へ。大庄屋のあそぶ見世へ登楼り大騒ぎを繰り広げる梅安、女郎や幇間を交えて踊りながら近づき斧吉を殺。大庄屋が助平たらしく花魁の布団をはぐると左内、しかし火箸で左内の首を締め上げるという抵抗を見せる。最後は左内に三味の撥で首を刺されて絶命。
ロケ地
・日本堤で釣りの左内をからかう千蔵、大沢池樋門。吉原を出た総吉が斧吉に襲われるのはこの近くの大沢池堤。
・下総某藩邸、大覚寺大門(大庄屋が薩摩藩士を片付けるのも同所・御殿川の中からの見上げ)。
・下総の橋は不明、欄干あり・川原は砂地。
*吉原での左内さん傑作。宴席での憮然とした態度、とりわけ敵娼に迫られる正座姿は爆笑もの。
第18話 夢を買います恨も買います 1972.12.23
飄々としたクーデタの闘士に近藤正臣がゲストの一作、左内との心の触れ合いが描かれ、未だ侍根性抜けぬ殺し屋の苦衷が焙りだされる。
元締が受けた依頼は、殺された経師屋の復讐。富籤のからくりの秘密を守るため消されたもので、左内が寺に調査に入るが、応対に出た武宮浪人に煙に巻かれる。どころか同士にと請われる左内、武宮に親近感を感じるも、あまりに青い理屈に同じることはできず物別れに。
武宮たちは結局裏切られ、裏で糸を引いていた大ワルたちは別口で梅安がさくっと始末。
左内に斬られるのを望むかのような武宮、迷いのうちに刀を抜く左内は結局彼を殺すことになるのだった。
*井筒で武宮と歓談後、珍しく上機嫌で平家の一節を謡いながら帰宅の左内、妻に万吉の来訪を告げられ一気に醒める酔い、左内の苦悩がはじまるあたりは圧巻。
ロケ地
・富籤の蓮華寺、不明。
・左内と武宮の対決の荒川成瀬の渡し、木津河原と思われるが判断材料欠き不明。
第19話 理想に仕掛けろ 1973.1.6
筆頭老中に招ばれた進歩派の学者・清沢正堂は、その座で老中を刺し殺すという挙に出るが唖然とした周囲は手を出せず。この行為が英雄視され、図に乗った正堂は同志に次席老中をも襲わせるが、これは失敗し逃亡。逃げ込んだ下総の村にも追っ手かかり、一同は庄屋の家に立てこもる。周りを捕吏に囲まれ膠着状態となり、囲みを解かせようとして自分を信じきっている百姓を人質に仕立て捕吏の目前で斬る始末、小屋では村娘を陵辱する者も出る。
女房を殺された庄屋は音羽屋に依頼、梅安と左内が現地に赴く。まず左内が、次いで梅安が捕吏の放つ銃弾をかいくぐり小屋に駆け込み、左内は火箸で、梅安は刀で、ならず者と化した「革命者」たちを斬り捨てるのだった。
ロケ地
・陽天塾へ向かう火盗改の捕り手が走る路地、随心院参道。塾の門、長屋門。
・正堂に心酔する女・鳴枝を送ってゆく左内、鳴枝が落とした櫛を大事そうに拾い上げるのは今宮神社合祀摂社前。
・次席老中襲撃は随心院薬井門前。壊走する正堂たちが船で逃れるシーンは嵐峡か。
・下総、同志の一人が討たれた銃声を聞き固まる正堂たち、桂川と思われるが場所が特定できず、松尾橋付近か。立てこもり現場はどこかの砕石場かと思われるがこれも不明。
*今回のみどころはなんと言っても左内と梅安のやりとり。青臭い正堂の言説にかぶれた左内はめちゃめちゃ失礼な言葉をを梅安に投げかける。前回の近藤正臣には大人の余裕で見下すような態度もあったのに、佐藤慶にはがぶり寄る左内さん。手を血で染めた殺し屋の癖にナマに青い「理想」を得々と説く。でも正堂の情婦・鳴枝のことを持ち出されると途端に黙ったり。しかしさすがに小屋に入って荒廃を嗅ぎ取ってからは仕掛人に立ち戻り、冷徹に仕事をしてのける。梅安さんは相棒の豹変にも動じずいつもの通り飄々、しかしさすがにムカついたか、左内の飲んでる呑み屋に入ってぷいっとUターンかましたり。ラストの「あたしゃ理想とまずい飯は苦手でね」は名台詞。
第20話 ゆすりたかり殺される 1973.1.13
商家を脅ししゃぶり尽くし破滅に追い込む、性悪コンビの徒士目付と岡っ引がターゲット。仕掛けにゆく梅安だが、目の前で凄腕を見せ付けられる。この徒士目付の息子が、ふとしたことから左内の押しかけ弟子を気取りまとわりついていて、父に左内を推挙する。身辺に危険を感じた徒士目付は左内を用心棒にと屋敷に呼ぶが、このとき配下の岡っ引が左内は仕掛人との情報をもたらす。庭先で立ち会う左内と徒士目付、勝負は辛うじて左内の勝ちに終わる。
ロケ地、左内の息子に父の居所聞く徒士目付の息子、松尾大社楼門脇の通用門。釣りの左内、大沢池屋形船上。徒士目付の息子と立ち会う左内、大覚寺放生池堤〜天神島。徒士目付一色主水邸、相国寺大光明寺。
*左内、一色と立会いの際たばさんでいるのは竹光。はじめ脇差を抜き戦う。竹光も抜くがすっぱり斜めに斬りおとされる。真剣白刃どりも見せる。最後は斜めカットの竹光で脇腹をぶすり。
第21話 地獄花 1973.1.20
岡っ引殺しの現場を見られてしまう梅安、見た浪人・神谷兵十郎は小金を強請る。もちろんそのままでは置かない梅安は神谷を付け狙うが、返り討ちに遭いかける。この場に元締が現れ水を差し、神谷を不在の左門の穴埋めに雇おうとするが断られる。
禄を離れて久しい神谷は貧の裡にあり、仕官を切望。神谷の妻は貞淑な働き者であるが、内職を届けた先の呉服屋に夫の仕官話を持ち掛けられ、支度金を作るため大身武士の一夜妻となる話に乗ってしまう。一方、神谷は仕掛人の話を蹴ったものの、同じく困窮の暮らしを送る親友が辻斬りを働いて捕縛される惨めな姿を目の当たりにし、一度だけ暗殺業を受ける決意をし場に赴く。ターゲットの侍を殺り、寝所の布団をはぐった神谷が見たのはしどけない妻の姿。これを斬って捨て失踪する神谷、事後元締は神谷を誘った己の行為を自問するのだった。
ロケ地
・梅安が岡っ引殺しを見られる縁日、今宮神社高倉下。
・仕掛先を下見の梅安たちが船を浮かべる川、桂(河畔林は竹、川面は幅いっばいの浅瀬)か。
第22話 大荷物小荷物仕掛けの手伝い 1973.1.27
大八に轢かれ盲目となった娘の治療のため仕掛を行う老仕掛人の哀話。
仕損じ無しと言われたカニの七兵衛だが、ブランクと老いには勝てず仕損ない、半右衛門に助力を申し出るが断られる。しかし境遇に同情したおくらや、興味を持った梅安は肩入れする。
ターゲットは大奥とも通じる生臭坊主の日朝。祈祷に来た女を食い、脅して金をせびる悪行ぶり、その正体は昔「島」で半右衛門が世話になったむささびの吉だったりする。
日朝の用心棒に殺られる七兵衛、これを受け現役仕掛人たちが動き出す。
ロケ地
・日朝の神応院、宇治興聖寺(山門、境内、琴坂)。
・日朝の用心棒に襲われ手裏剣を背に受ける七兵衛、木津河原(蟹を獲る汀は宇治か?)。
・日朝を呼び出す半兵衛、鳥居本八幡宮。
・仕掛の際、囮となり用心棒を引きつける千蔵、左内とスイッチは大覚寺天神島。
第23話 おんな殺し 1973.2.3
音羽屋に母を殺してくれと駆け込む少女あり、とりあわない元締だが千蔵を遣る。少女の家の料理屋には後添えの艶婦、千蔵は取り込まれかけ襲撃を受け負傷。そして明らかとなる、梅安が殺った前の女将は罪も無い善良な女で、「起こり」は今の女将のお美乃という事実。そのうえメンを確かめに行った梅安は、お美乃が己の実妹であることを知る。
ロケ地
・鳥善の先の女将を仕掛けた深川八幡、わら天神参道(一人境内に立つ梅安の立ち姿が、過去の仕掛け当日の縁日に切り替わる)。
・お美乃の示唆で娘を連れ出した千蔵が襲撃される道、大覚寺護摩堂前。
第24話 士農工商大仕掛け 1973.2.10
深作監督の一作、軽快なテンポで進むおちゃらけ編。仕掛けのたんびにおぎんの金切り声がぎゃーぎゃー響く、賑やかなお話。
念仏講に事寄せた、それぞれ階級の違う四人のヒヒ爺集めての回春サロン、ここで無体はたらかれたうえ殺された女の恋人から音羽屋に依頼が来る。これに、借金で首の回らないおぎんが仕掛人を騙ってバイトの話が絡み、仕掛の先々に立ち回り、死体を見てはきゃあきゃあ喚く。「仕掛」にゆくのに狆抱いて入るもんだから、これがまた騒ぎのもとに。でも最後のサロン開催の大ワル坊主を仕掛けるくだりはハード、取っ組み合いのすえ刃物で仕留める梅安。たっぷりと仕掛人・梅安を見たおぎん、始末されるかと思いきや「忘却のツボ」に針入れられて幕、でも梅安たちのことまで忘れてしまうというオチ。
ロケ地
・サロンでいたぶられて殺された女の死体が上がる、大覚寺放生池堤。
・士農工商「士」の南部源之助邸、相国寺大光明寺門と路地。
・「農」の次郎左衛門邸への道や屋敷、不明。
第25話 仇討ちます討たせます 1973.2.17
隣に住む訳ありっぽい浪人を、例のごとく構う左内。彼が大した忠義者と感心した下僕は、長年仕えながらも主の過去の所業を深く恨み、不幸のどん底へ叩き込もうとしていた。
下僕が元締に仇の抹殺を依頼したことから深く関わってゆく左内と梅安、当の侍は陰謀により一命を落とすが、妹には立派に仇をとらせてやるのだった。
ロケ地
・下僕の市助が探索の武家屋敷、大覚寺大門。
第26話 沙汰なしに沙汰あり 1973.2.24
公共工事の不正入札に絡み、普請奉行の下級役人が続いて罠にはまり密殺される。その際東照宮で自刃という態に繕われるため、親族に累が及ぶというたちの悪さ、遺族の恨みは仕掛人を動かすこととなる。
仕掛にあたっては、公儀隠密との鉢合わせや、富商の飼う手槍使いの手練れとの対決、元締自身が普請奉行宅に乗り込むなど見せ場多し。下奉行と富商を揺さぶり、相互不信に陥らせるくだりは傑作。
ロケ地
・加東の妻・里枝が目付邸門前で訴え、相国寺林光院。回想、加東夫妻が就任挨拶に赴く下奉行邸中庭、相国寺大光明寺中庭。
・下奉行遠藤忠晴邸に潜入の隠密と梅安が鉢合わせし争うのは大覚寺御殿川・参道石橋下。
・夫の墓参の里枝を尾行する石屋の用心棒を見る左内、西寿寺墓地〜本堂への石段(本堂大屋根バック)、密会の芝居は同所か不明。
・石屋と遠藤が密談の屋形船、大沢池畔(手前に庭湖石)。
・石屋の用心棒が遠藤の駕籠を襲い暗殺、大覚寺大門〜明智門。
第27話 横をむいた仕掛人 1973.3.3
軽妙な旅もの、ターゲットは切支丹伴天連という毛色の変わった一作。
娘を奉行所の役人に娶わせ、身の保全を図る富商・町田屋が依頼者。当の娘は切支丹にハマっていて、これがバレると大変とばかり梅安たちを急かす急かす。
はじめ伴天連が悪い!と意気込む梅安だが、信心堅固な彼らを見て毒気を抜かれ、しまいには彼らを逃がし捕われの身となってしまったり磔刑台にのぼらされたり。破天荒に進行するストーリィ、命じられた仕掛をし了せなかった言い訳は「元締めは宗教関係ダメだから」って、いいのかそれで。
ロケ地
・入洛の梅安と千蔵、中ノ島橋上〜御室桜越しの仁和寺塔〜大文字〜金戒光明寺長安院下坂と鐘楼(塔と大文字はイメージ)。
・切支丹信者火刑と梅安の磔刑の四条河原、不明(背後の山並みは湖北っぽい)。
・切支丹船で逃亡の海浜、琵琶湖西岸松原汀。
第28話 地獄へ送れ狂った血 1973.3.10
仕掛人・源次郎が受けた困難な仕事は理不尽なものだった。彼と旧知の梅安は、ターゲットの侍が保護している女を診て不審を持ち、源次郎の仕掛を止めることとなる。
裏の事情が明らかとなり、仕掛への張りを失った源次郎は、筋の通らぬ仕事を仲介した元締めを殺し、梅安はおおもとの、変質者の殿様を始末するのであった。
ロケ地、石川友五郎に斬りかかり返り討ちに遭う仕掛人、粟生光明寺石段。石川が女を保護している芝・常在寺、神光院(山門、本堂裏手)。浜町の嶋田大学屋敷、大覚寺(万吉が三沢用人を呼び出しに赴くシーンは大門内側、梅安と万吉が様子を窺いにゆくシーンは明智門)。嶋田の父の法要が行われる芝聖坂の功運寺、不明。嶋田の死に気づいた家臣たちが曲者を追って走る聖坂付近、梅安と源次郎は平然と擦れ違う、下鴨神社河合社塀際。
第29話 罠に仕掛ける 1973.3.17
嵌められて店は欠所・自身は島送りとなった男、赦されて江戸に戻るが再び冤罪を着て死罪に。彼を女房と結び付けていた鈴は、ワルが男をハメる道具に使われ、女房に男が死罪になったことを告げるしるしとなる。
ロケ地
・札差三人が襲撃される弥生橋、中ノ島橋。
・山城屋妾宅、中山邸(参道、通用門)。
*お白州で猪之吉の無罪を勝ち取ろうとする元締と左内、しかし役人と結託した富商の前には無力、結局闇に始末する仕掛人たち。島帰りを虫けらの如く扱う世間に怒る音羽屋も見もの。
第30話 仕掛けに来た死んだ男 1973.3.24
音羽の元締が溜め込んだ金を狙って、駆け出しの四ツ玉の勘次が陰謀をめぐらせる。この走狗となり元締を襲う刺客は神谷兵十郎、妻の裏切りを見て以来酒びたりの日々を送り、その精神は既に死んでいた。
企みの主を探るため半右衛門の葬式を出す、おくらや千蔵が拉致されるくだり、身代金受け渡しの際の緊迫したドラマと見所多し。しかし勘次の見積もりを半分に減じている、元締のお金の使い方がいちばんの見ものかも。
ロケ地
・元締がいつも釣りをしている大池、大覚寺大沢池。船上、船着き、放生池堤など今回はここが主舞台。池が元締の持ち物と明かされる。
・元締を膾にした神谷を尾行する千蔵、神谷は大覚寺明智門〜参道(欄干越しのショット)〜勅使門橋、千蔵は御殿川の中をゆく(川中で拉致される)。
第31話 嘘の仕掛けに仕掛けの誠 1973.3.31
呉服屋・丸幸の主・定吉は、女房と、浮気相手の番頭に扼殺される…があくる日何でもない顔をして現れ、恐慌を来たした女房は「埋めた場所」に走り掘る掘る、出てくるは番頭の死骸。女はパニくった姿のまま音羽の元締のもとに駆け込み、始末を依頼。梅安たちは調査のうえ真相を探り出し、依頼を果たすとともに、虚偽の申し立てをした女を掟により抹殺するのだった。
ロケ地
・定吉がひそかに囲っていた妾が、旦那の変化に思いあぐねて梅安を訪ねた際出かける神社、梅宮大社本殿。その後更に事情を聞く地蔵茶屋、神苑汀に茶店セット。
*定吉の故郷・二子村に調査に赴く梅安、仮寝の夜目撃する口減らし、その後村の老婆から定吉の出生を聞くシーンは凝っている。村の女たちが寄って唱える地蔵和讃の哀切さ、老婆の賽の河原は「田園に死す」を思わせる不気味さで目をひきつける。*丸幸の女房、伊之吉の情婦、定吉の妾と三様の女たちに対する梅安さんの態度も味わい深い。
第32話 正義にからまれた仕掛人 1973.4.7
人気役者・沢井菊次郎が、取り巻きの女たちを騙し弱みを握り売春を強要、中には自死者も出る。その一人の旗本の奥方の自殺現場に居合わせたことから関わる梅安、以降話はこの件を追う老同心・岡島久兵衛を中心に進む。元締と岡島の因縁、岡島の上司の菊次郎との癒着などあり、貧の裡に妻女を亡くした同心は仕掛けを依頼しにやって来るのだった。
ロケ地
・梅安の座敷で死んだ登世の邸(旗本・牧野邸)、大覚寺(大門、参道、式台玄関)。
*今回の見ものは、何と言っても同心の久兵衛を演じる伊藤雄之助。設定は清廉潔白な小役人で、その昔半右衛門を島送りにした凄腕。しかし、その正義ゆえに貧しく、病の妻女を医者にもろくろく診せられず死なせてしまうに及び、初めて十手を悪用し仕掛けの依頼金を捻出するくだりなどは心に迫る。上司に十手を放り投げ職を辞するが、それには紐ついててずるずる引きずって歩くとこなんか、おかしいのに哀切極まりない。
第33話(終) 仕掛人掟に挑戦! 1973.4.14
必殺シリーズ第一作の掉尾を飾るお話は、以降のシリーズ同様別れの話。
元締衆のなかに南町与力に通じる裏切り者が現れ、半右衛門を残して全員が捕縛され、斬り殺される。裏切り者を求め、また捕われの大元締の救出に、伝馬町の牢へ潜入するチーム、土壇場という真の切所で内通者の正体は知れる。
与力屋敷へ仕掛けに入った梅安と左内は最後の仕事を遂行し、音羽屋は休業の貼り紙を出してチームは別れゆく。
ロケ地
・駒込の音蔵たちが連行される南町奉行所、大覚寺明智門。
・与力・山根左馬之介邸、相国寺大光明寺(門、南路地)。
・旅立つ梅安と左内、大覚寺放生池堤。左内の妻子が待つのは護摩堂前。左内一家がゆく道、天神島。半右衛門夫妻が漕ぐ舟、桂川松尾橋下の屈曲部か。
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