ちかえもん

ちかえもん

2016年1-2月、NHK木曜時代劇

作/藤本有紀 音楽/宮川彬良 劇中アニメ/岡江真一郎

∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥

第一回 「近松優柔不断極 (ちかまつゆうじゅうふだんのきわみ)」 2016.1.14

 曾根崎心中が大当たりするさまを描いたあと、スランプ時代の近松の話が回想される。
演者のぼやきモノローグのほか、誰が悪くて怪しいのか判然としない進行が大笑い。

大覚寺

ロケ地

  • お初徳兵衛道行きの林、大覚寺竹林。曾根崎心中が上演されている浄瑠璃の舞台へ繋げる。
  • 近松が行き来する道頓堀川畔、八幡堀。掘割をすべる荷船を配し、白犬を避けつつゆく近松は堀端。不孝糖売りと出会うシーンは松竹オープンセットにスイッチ。後段、竹本座のだしものが半ばで打ち切りとなり、泣いて帰るシーンも八幡堀堀端・このあと幼き日の「起点」が描写される。

万吉/青木崇高 お袖/優香 平野屋徳兵衛/小池徹平 お初/早見あかり 黒田屋九平次/山崎銀之丞 喜助/徳井優 天満屋吉兵衛/佐川満男 伊八/村上かず お鈴/川崎亜沙美 お里/辻本瑞貴 銀助/三谷昌登 お雛/鳥居香奈 料理人・六/中村大輝 徳川綱吉/宮川彬良 坂田藤十郎/瀬川菊之丞 孝行糖売り/桂弥太郎、桂弥っこ、竹本真之 遊女/赤松悠実 用心棒/平口泰司 染吉/本郷颯 定吉/玉山詩 勘吉/森脇柊哉 少年・近松/松田優祐 近松の父/木内義一 近松の弟/田中蒼馬 琵琶法師/大久保雅由 魚屋/浜崎大介 竹本義太夫/北村有起哉 お玉/高岡早紀 平野屋忠右衛門/岸辺一徳 喜里/富司純子 近松門左衛門/松尾スズキ

演出/梶原登城

※「数ヶ月前」元禄16年正月、竹本座にかかっていたのは「最明寺殿百人上臈」。すげー不入りなうえ、客はちゃんと舞台を見ていない始末。
※平野屋の宴席でいたくプライドを傷つけられた近松、帰り道「これで浄瑠璃も終わりかなと呟いて」悲歌慷慨絶唱が抱腹もの。
※近松の母・喜里、鯖が食べたいと我儘を言うさまはほとんど麻佐女さま。また、母上のお説教をアニメ化してあり、よく見ると王祥んちのお部屋に近松運送で貰ったカレンダーとか黒電話とか分厚いテレビとか描き込んであって笑える。
※近松の名をなかなかちゃんと覚えない万吉、「松のねきの門の…」が最終的に「ちかえもん」呼びに←間髪入れず「縮めるな!」と本人の合いの手。


第二回 「厄介者初、井守黒焼 (やっかいものはつといもりのくろやき)」 2016.1.21

 天満屋の不貞腐れ女郎・お初に一目惚れしてしまう万吉、近松の馬鹿なアドバイスで惚れ薬を作るものの、途中からはマジ自力を志す。しかしその妙薬、まわりまわって「運命の男女」の出会いを作ってしまうのだった。
…よりにもよって、あんな風体のイモリ男に泣かされるとは思わなんだ。

八幡堀

ロケ地

  • 不孝糖を売り歩く万吉のお供をさせられる近松、堀端は八幡堀堀端。

万吉/青木崇高 お袖/優香 平野屋徳兵衛/小池徹平 お初/早見あかり 喜助/徳井優 天満屋吉兵衛/佐川満男 佐七/茂山逸平 伊八/村上かず 銀助/三谷昌登 菊介/山西規喜 お鈴/川崎亜沙美 お雛/鳥居香奈 お里/辻本瑞貴 料理人・鉄/蟷螂襲 料理人・六/中村大輝 客/田村ツトム 染吉/本郷颯 定吉/玉山詩 勘吉/森脇柊哉 唄/藤本秀雛 太鼓/隅田妙子 三味線/長尾多栄、杵家弥久輔 竹本義太夫/北村有起哉 お玉/高岡早紀 平野屋忠右衛門/岸辺一徳 喜里/富司純子 近松門左衛門/松尾スズキ

演出/梶原登城

※歌うちかえもん、今回は「悲しくてやりきれない」。替え歌にはせずそのままサビを歌う。
※またアニメ入り、おなごができる男の十か条。


第三回 「放蕩息子徳兵衛 (あほぼんとくべえ)」 2016.1.28

 何を思ったか万吉、恋のライバルである徳兵衛を不孝糖売りに引っ張り出す。このことが父・平野屋忠右衛門の逆鱗に触れてしまうが、「腐れ物書き」のよけいな口出しは、放蕩息子の真情を絞り出すのだった。

大覚寺

ロケ地

  • 平野屋へ出向いて、これ以上はないあほぼんの悪態を聞かされた万吉と近松、夕暮れの帰り道は八幡堀堀端。
  • 徳兵衛を教育しようとしていた番頭、蔵の鍵を開ける段であるじに見つかってしまうくだり、荷揚げの堀端は八幡堀、堀端の家の石段上の戸口を蔵に見立てる。
  • 万吉と徳兵衛が不孝糖を大いに売る水辺、大覚寺大沢池畔、船着(小)の傍。

万吉/青木崇高 お袖/優香 平野屋徳兵衛/小池徹平 お初/早見あかり 黒田屋九平次/山崎銀之丞 喜助/徳井優 天満屋吉兵衛/佐川満男 佐七/茂山逸平 伊八/村上かず 銀助/三谷昌登 菊介/山西規喜 料理人・鉄/蟷螂襲 料理人・六/中村大輝 瓦版屋/川鶴晃裕 娘/片山友希 染吉/本郷颯 定吉/玉山詩 勘吉/森脇柊哉 大石内蔵助/茂山七五三 大石主税/茂山茂 浅野内匠頭/茂山童司 吉良上野介/丸石やすし 赤穂義士/松本薫、山下守之、島田洋海、鈴木実、茂山逸平 竹本義太夫/北村有起哉 お玉/高岡早紀 平野屋忠右衛門/岸辺一徳 喜里/富司純子 近松門左衛門/松尾スズキ 

演出/梶原登城

※ちかえもんソング、「君とよくこの小屋に来たものさ」イントロから吹き出す仕掛け。客が三人ぽっちなのを表現するのに数取器のカチカチ音入りなのも細かいが、その表示がパーンと弾けるのもアレ。
※「ちかまつがかんがえた赤穂義士」の再現ドラマの背景はアニメ、描線が笑かす。アニメは、平野屋忠右衛門出世噺にも出てきて、こっちは通天閣まで描き込んでギャグ横溢、その財を受け継ぐ徳兵衛に女群がりのシーンで一人の脛に毛が生えているのもご愛敬。


第四回 「善悪不明九平次 (ぜんかあくかくへいじ)」 2016.2.4

 近松の妄想、一人歩きして炸裂の巻。スランプ作家が苦吟している間、平野屋への企みは進行しつつあり、島原から来た遊女の真意も見え始める。

八幡堀

ロケ地

  • 夜の闇のなか行われる平野屋の荷揚げ、八幡堀堀端に雨演出。荷は朝鮮人参、もちろんヤミのブツ。

万吉/青木崇高 お袖/優香 平野屋徳兵衛/小池徹平 お初/早見あかり 黒田屋九平次/山崎銀之丞 喜助/徳井優 天満屋吉兵衛/佐川満男 佐七/茂山逸平 伊八/村上かず お鈴/川崎亜沙美 お雛/鳥居香奈 お里/辻本瑞貴 銀助/三谷昌登 菊介/山西規喜 用心棒/平口泰司 料理人・鉄/蟷螂襲 料理人・六/中村大輝 高部/瀬川菊之丞 同心/美藤吉彦 染吉/本郷颯 定吉/玉山詩 油屋/小堀正博 勘吉/森脇柊哉 大石内蔵助/茂山七五三 大石主税/茂山茂 赤穂義士/松本薫、山下守之、島田洋海、鈴木実、茂山逸平 竹本義太夫/北村有起哉 お玉/高岡早紀 平野屋忠右衛門/岸辺一徳 喜里/富司純子 近松門左衛門/松尾スズキ

演出/川野秀昭

※歌は「傘がない」、「寺坂吉右衛門」に「会いに行かなくちゃ」。アニメは吉右衛門の謎説明の段で出る。
※喜里に寝かしつけて貰う万吉、読み聞かせの本は「出世景清」。笑かす仕掛けと謎解きを一緒くたにして妙味。
※妄想暴走部分で、「朝の沢庵の残り」に反応する「吉右衛門」とかもう抱腹もの。
※平野屋の仏壇にある位牌二つ、戒名が読めるように映してある。


第五回 「標的、忠右衛門 (ターゲットはちゅうえもん)」 2016.2.11

 あほぼんと相惚れと誰もが思う、遊女・初の過去が本人の口から語られる。彼女の狙いは父の仇・平野屋忠右衛門、この強烈な意思の流れに、いいのも悪いのもお馬鹿なのも乗っかってくるのであった。

ロケなしセット撮り

万吉/青木崇高 お袖/優香 平野屋徳兵衛/小池徹平 お初/早見あかり 黒田屋九平次/山崎銀之丞 喜助/徳井優 天満屋吉兵衛/佐川満男 お鈴/川崎亜沙美 お雛/鳥居香奈 お里/辻本瑞貴 銀助/三谷昌登 用心棒/平口泰司 染吉/本郷颯 定吉/玉山詩 勘吉/森脇柊哉 女中/高田真衣 役人/池田勝志 少女時代のお初/花田鼓 格之進の妻/永津真奈 結城格之進/国広富之 赤穂義士/茂山七五三、茂山茂松本薫、山下守之、島田洋海、鈴木実、茂山逸平 義太夫節指導・竹澤権右衛門/竹澤團七 人形監修 小野姫(人形)/桐竹勘十郎 竹本義太夫/北村有起哉 お玉/高岡早紀 平野屋忠右衛門/岸辺一徳 喜里/富司純子 近松門左衛門/松尾スズキ

演出/川野秀昭

※ちかえもんの詠唱は「赤穂浪士の場合は、あまりにもおばかさん」…上っ面だけなのか、実は奥深いのか、わからないへんがイイのかも。松尾スズキをセンターに、脇で茂山一門のダンス。


第六回 「義太夫些少活躍 (ぎだゆうわりとかつやく)」 2016.2.18

 忠右衛門とお初の対峙、その場から徳兵衛を遠ざけようとするちかえもんの気遣いは空回り、しかし事実が周知される結果となり、気持ちはとにかく場はおさまる。
だが、一部始終を次の間で聞いていたどす黒い意思の持ち主は、何のカタルシスも得ていないのだった。

ロケなしセット撮り

万吉/青木崇高 お袖/優香 平野屋徳兵衛/小池徹平 お初/早見あかり 黒田屋九平次/山崎銀之丞 喜助/徳井優 天満屋吉兵衛/佐川満男 用心棒/平口泰司 少女時代のお初/花田鼓 お鶴/田所草子 少年時代の徳兵衛/三澤瑠斗 医師/門田裕 結城格之進/国広富之 義太夫節指導・竹澤権右衛門/竹澤團七 人形監修 小野姫(人形)/桐竹勘十郎 悪七兵衛景清(人形)/吉田幸助 吉田勘市 桐竹勘介 吉田蓑悠 竹本義太夫/北村有起哉 お玉/高岡早紀 平野屋忠右衛門/岸辺一徳 喜里/富司純子 近松門左衛門/松尾スズキ

演出/川野秀昭

※「うた」は「知りたくないの」を替え歌でなくそのまま朗々と。徳兵衛が「ちかえもんがかんがえた相関図」を見てしまうくだり。
※狸の正体はちかえもんの妄想のなかの恩返し喜助。剥製かぬいぐみかわかんないフサフサの一件が煙とともに「ボン」。


第七回 「賢母喜里潔決断 (ははうえきっぱりけつだん)」 2016.2.25

 話が大きく動く。
徳兵衛は九平次に陥れられて追い込まれ、喜里は息子を思い去ってゆく。そして運命の男女は、手に手を取って暗い森へ向かう。

ロケ地

  • 徳兵衛とお初がゆく夜の竹林、大覚寺か嵯峨山林か。ちょっと荒れた感じ。

万吉/青木崇高 お袖/優香 平野屋徳兵衛/小池徹平 お初/早見あかり 黒田屋九平次/山崎銀之丞 喜助/徳井優 天満屋吉兵衛/佐川満男 お鈴/川崎亜沙美 お雛/鳥居香奈 お里/辻本瑞貴 銀助/三谷昌登 菊介/山西規喜 用心棒/平口泰司 黒田屋手代/ドヰタイジ 黒田屋手代/梅林亮太 染吉/本郷颯 定吉/玉山詩 勘吉/森脇柊哉 鬼塚新右衛門/オール巨人 永瀬壱岐守/オール阪神 横川敏斎/桂吉弥 竹本義太夫/北村有起哉 お玉/高岡早紀 平野屋忠右衛門/岸辺一徳 喜里/富司純子 近松門左衛門/松尾スズキ

演出/梶原登城

※「うた」大サービス二種三回入り。「かあさんの歌」は二態、ふるさとの便りがサバの匂いとか笑かすヤツのほか、夜なべ羽織のしんみりバージョン。「おおさか・たそがれ」は、お袖にプロポ後「あかん」言われたちかえもん嘆きの絶唱。
※アニメは弟んちの好待遇、キッチン描写が笑える…スピーカー付き「薄型」テレビとか、新しめのエアコンとか、IHヒーターとかもアレだが、ツボはごちそう鯖三昧の一つの若狭名物串刺し浜焼き鯖の表情。
※黒田屋が奉行に差し出した賄賂の品は、あほぼんが持ち出したブツ。しかし中身は不孝糖、人参は飴に塗されている始末。


最終回 「曽根崎心中万吉心中 (そねざきしんじゅうとまんきちのおもい)」 2016.3.3

 恋の無残な結末を見た近松は、不謹慎と思いつつ言葉が溢れて書かずにいられない。晴れて初演の日、行方不明となっていた九平次が現れ、近松めがけ白刃を振りかざすが、守護者がそれを阻む。結局、初回に出た幼き日の「作家としての発端」が、「彼」の正体であった。
いつもにもまして虚構と現実が入り乱れるみごとな最終回、松尾スズキの顔芸も堪能できる。

琵琶湖

ロケ地

  • 天神の森、雑木まじり竹林に大岩露出のアレ。蓆をかけられた死体のある窪地は下鴨神社糺の森池跡。蓆から出ている足が妙な感じでアップになるが、この時点では、事件現場のベランダをズームアップしたりする類の、卑しい視線に見える。
  • 新作浄瑠璃が大当たりをとった祝いの宴で語られる「真相」、二人がいま鯖を獲って暮らしを立てている越前の浜、琵琶湖東岸汀(砂浜、波は穏やか)
  • 「我が良き友よ」が流れる中、踊りながら不孝糖を売り歩く万吉、亀岡か。「重機で均し固めたような砂地」の向こうから万吉がのぼってくる。このあとは足元映らず(アワダチソウの先っぽがちらり)、山稜が背景に来る。

万吉/青木崇高 お袖/優香 平野屋徳兵衛/小池徹平 お初/早見あかり 黒田屋九平次/山崎銀之丞 喜助/徳井優 天満屋吉兵衛/佐川満男 佐七/茂山逸平 伊八/村上かず お鈴/川崎亜沙美 お雛/鳥居香奈 お里/辻本瑞貴 料理人・鉄/蟷螂襲 料理人・六/中村大輝 定吉/玉山詩 勘吉/森脇柊哉 少年時代の近松/松田優祐 青年時代の近松/今村雄一 瓦版屋/いわすとおる 同心/酒井高陽 近所の老婆/朝比奈潔子 若い頃の喜里/原尚子 義太夫節指導・竹澤権右衛門/竹澤團七 人形監修 お初・九平次(人形)/桐竹勘十郎 お初・九平次(人形)/吉田勘彌 徳兵衛(人形)/吉田幸助 吉田勘一 桐竹紋臣 桐竹勘介 吉田蓑之 吉田蓑悠 桐竹勘昇 竹本義太夫/北村有起哉 お玉/高岡早紀 平野屋忠右衛門/岸辺一徳 喜里/富司純子 近松門左衛門/松尾スズキ

演出/梶原登城

※「うた」はさすがに無いかと思わせて最後に出る。アニメはその後を追う。
※「にんじょうぎょうるり」の起こりも判明。


・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪テキスト版目次 ・ロケ地一覧
・時代劇の風景トップ  ・サイトトップ