ニュー・三匹が斬る!

 キャスト
  矢坂平四郎
(殿様) 高橋英樹
  吉良右近
(千両) 近藤真彦
  燕陣内
(たこ) 春風亭小朝

 本シリーズでは、「千石」こと久慈慎之介が脱け、かわって「千両」吉良右近が新たに加わり三匹となる。千石脱退の経緯は初回のスペシャル版「さらば千石、大江戸の烈風ついて早飛脚(1993/12/23)(再放送では放映されないことが多い)で語られる。陣内には子が生まれ、本作ではこれを旅に伴う設定(おそろいの服を着て可愛い)。新メンバー・千両は吉良上野介の子孫と称する総髪の若侍、生業は料亭・八百善の借金取り立て屋。殺陣の際「待った」をかけ相手の流儀を聞くのが癖。


第1話「女駆け込み寺にゃ魔物が棲んでいる!」1994.1.6

 鎌倉・東慶寺の寺役人として、不幸な身の上の女たちの世話を焼く松岡伸之丞。時には我が身を危険に晒しても役目を果たす。その行動原理は、かつて放蕩の果て妻を死に至らしめた自責の念から。そして彼は、駆け込み女を密かに始末する「闇の防ぎ屋」と対決し落命するが、闇の組織の元締は松岡とは対照的な、駆け込み妻により禄を失い憎悪に燃える男だった。
 ロケ地、東慶寺、山科毘沙門堂薬医門下石段ほか。荻野藩次席家老邸、不明。防ぎ屋の雲水を尾行する殿様、妙心寺雑華院前路地。その雲水が消される路地、福寿院への小路。防ぎ屋のアジトの寺、勝持寺参道石段。松岡の妻の妹が殿様に松岡の過去を話す海浜、琵琶湖西岸松原(毒を盛られた千両が翌朝顔を洗う浜も同じ)。陣内が荻野藩次席家老の妻を伴い東慶寺へ辿る亀ヶ谷、酵素ダート(待避所に茶店セット)。松岡がお雪を見て身を隠す路地、妙心寺大通院裏のラウンド塀際。ED新規、千両のゆく塀際、高山寺石水院をプラス。


第2話「拝領のお鷹で儲ける悪い奴」1994.1.13

 幕府から押し付けられたお鷹には鷹匠がついてきて、葵の紋を傘に着てブイブイ、藩主もげんなり。冥加金を出さぬ商家は消され、逆らった下役は罠に落ちる。当のお鷹を好事家に売り飛ばして大儲け企む鷹匠たちは、ブチ切れ三匹に乗り込まれてしまう。
 ロケ地、縁日で露天商の陣内、お鷹の行列が通るのは大覚寺五社明神。陣之介のおむつ替えの陣内、護摩堂縁先。牛若城、福井・丸岡城天守。料亭で豪遊の鷹匠たちのもとへ殿様が嫌味をかましに行く、中山邸門。お鷹様餌取役の筧がいなくなった秀丸様(鷹)を探し歩く雨の道、大沢池堤。彼が下男の制止を聞かず鷹匠らを討つと行ってしまう道、放生池堤。鷹匠らとグルの骨董屋・よろず屋の城下はずれの別邸、中山邸通用門。筧らが三匹を見送る街道筋、山室堤道(藩主も騎馬でやって来る、これが田中さま)


第3話「先乗り源五、素っ首賭けた不義密通」1994.1.20

 石高を傘に着た大藩の横暴は、小藩の小役人のひそやかな恋を蹂躙し死に追いやることとなる。民を思い家臣を気遣うフランクな藩主の、家宝を捨てての行為も届かず、ワルは三匹の怒りの鉄槌を受ける。
参勤交代の先乗りを務める矢島藩の小役人に若林豪、女には奥手っぽい、しかし芯の通った中年武士を好演。
 ロケ地、道中風景、不明。遠州屋の内儀との関わりを千両に話す大野源五衛門、大覚寺放生池堤。「密会」の鐘楼、勝持寺鐘楼。ラス立ちの神社、走田神社参道(殿様の背後に稲荷の重ね鳥居)


第4話「大騒動!富士の高嶺の御霊水」1994.1.27

 富士の裾野の泉湧く日奈村、ここに将軍家側室の寮が設けられる話があり、村を我が物として大儲けを企む富商と、三島代官が結託。村の衆をハメて借金でがんじがらめにして、という企みは、殿様と千両の介入でおじゃん。あきらめきれぬ代官は強権発動で迫るが、三匹に乗り込まれ敢無く皆殺しと成り果てるのであった。
 ロケ地、殿様が腹をこわしてよたよたと行く街道、木津川堤に富士山合成。日奈村の茶店、谷山林道切り通しにセット。観音水に仕立てる泉は酵素河川敷の上手に岩などあしらいセット。陣内が売り出す黄金の観音水、酵素ダート待避所。


第5話「艶姿!度胸で渡す大井川」1994.2.10

 大井川総元締の座を狙っての陰謀、金谷代官もグル。これに捨て子拾いで関わる陣ちゃんと殿様、難癖をつけられ斬られた正田屋の仇を報じんと三匹が乗り込む。
 ロケ地、金谷の東西の街道筋に谷山林道、茶店セット。金谷手前の街道筋で足を痛めた仇討ち女(詐欺師)を助ける右近、大覚寺護摩堂前。陣内が捨て子を拾う宇津ノ谷峠夜鳴塚、鳥居本八幡宮石段と鳥居。大井川島田の渡し、木津河原
*正田屋の嫁・気風のいい若女将に八代亜紀。*陣ちゃん、夜鳴塚に「手押し車」を「ごとごとと」やって来る…しっかり仕込み槍や堺筒もついてそうな感じ。出陣三匹は「死して屍」とかテロップ入ってもおかしくないふうに横並びで道を行くパロディ仕立て。


第6話「葵のご紋の印籠で関所破りの大盗賊!」1994.2.10

 「お役者喜平次」なる窃盗団が各地で大名家のお宝を盗み、悪さを重ねる。一味に女あり、娘の頃惚れた侍に身を売ってまで貢ぐも捨てられ、盗っ人にまで堕ちたもの。そして哀しい女は、仲間にも出世した元の男にも裏切られ、しかし束の間の芝居の夫婦だった千両の優しさに感謝しつつ死んでゆく。
 ロケ地、緋桜のお涼が右近に夫婦のふりをしてくれと頼む吉田手前の街道筋、広沢池東岸。殿様がお涼を説得する城下の水辺、広沢池西岸(水中に祠セット)
*今日も怪しい物売り陣ちゃん、媚薬のお香に本日は正宗の包丁とお出かけセットまで付けちゃう。


第7話「お伊勢参り、妖怪の正体見たり狐花」1994.2.24

 抜け参りの女を拉致り女衒に売り飛ばす一団あり、次第によっては殺すという悪辣さ。アジトの偽装に狐の崇りを使う一味の正体は、女宿の主と目付、そして藩主の縁戚という善人面の尼僧。邪魔な家老を消し、更なる悪事を重ねんとするワルに三匹の鉄槌が下る。今回は女でも容赦せずぶっすり。
 ロケ地、殿様が茶店の転寝で見るお伊勢参りの女が殺される夢、霧にけぶる夜の大覚寺五社明神(舞殿に扉セット、殿様は中で寝ていてすき見)。その茶店、谷山林道にセット。白蓮の寺、中山邸(門、参道)。目付・荒谷邸、妙心寺衡梅院門。千両が寝ていて取り立てた金が石に変じる祠、鳥居本八幡宮舞殿。家老が殺されたと騒ぐ野良の村人、広沢池西岸農地


第8話「紀州旅、毒矢が狙ったお犬様」1994.3.3

 舞台は紀州、藩主の愛犬の狆を押し立てて横暴の限りを尽くす犬飼方同心たち、これがため恩人のお嬢様を殺された侍女は雌伏し狆を狙ったり。三者三様に関わった三匹、元侍女で見世物小屋の出刃打ち芸人・おりんの死を見て立ち上がる。
 ロケ地、和歌山城天守、本物。犬飼方が狆を放す御狩場、酵素(殿様が行き合わせるのはダート、おりんが狆に毒矢を吹くのは獣道、狆が走るのは河川敷)。犬飼方の戸田に無体を働かれ縊死した庄屋の娘の墓、二尊院墓地。吊りの木は酵素ダート下林間。墓地のある寺、常寂光寺(仁王門、石段、庭)。陣之介をおぶって根来の子守唄(ちょっと歌詞違う)を歌うおりん、広沢池西岸湿地。島野屋の手代が主家から盗んだ狆を犬飼方に渡しに来る橋は湿地付近にセット。島野屋の孫をさらった犬飼方が狆と交換に指定の八幡神社、鳥居本八幡宮(石段、鳥居下広場)、ここでラス立ち。旅の一座を見送る三匹、広沢池東岸に桟橋セット。


第9話「辻斬りが、好きな殿の紋所!」1994.3.10

 尊崇を受けた父のあとを継いで立派に諫止役となる青年の成長を描く。藩主追い落としの陰謀は巡らされているは、実は父は毒殺されているは、青年自身は篤農家志望であんまり腕っ節が強くなかったりして、気の強い姉をやきもきさせる。
 ロケ地、自生している砂糖黍を採集していた清原和馬と知り合い、栽培に意欲の話聞く殿様、酵素河川敷。山菜採りの娘が斬殺される、大覚寺五社明神裏手塀際。茶店で娘に無体を働く次席家老の息子を蹴散らす殿様、護摩堂裏手に茶店セット。陣ちゃんに描かせたヤラしい絵を持って出た侍が入る長屋門、(北から)。龍野城、彦根城天守。大手門は二条城本丸櫓門。意を決した和馬が白装束で脇坂淡路守を諫めに行く庭、梅宮大社神苑汀。


第10話「女ねずみ、不老長寿の秘薬が消えた!」1994.3.17

 岩波藩の殿様に献上された清国の不老の秘薬が奪われ、警護役の若侍が窮地に。侍の父といい仲だった元盗賊の酒肆の女将は、かつての自分の犯行が彼らを浪々の身に追いやったことを知り、償いにと秘薬の行方を探るうち命を落とす。秘薬は城代がナイナイし金満家の公家に横流しと知った三匹、取引現場に踏み込み成敗の雨嵐。
 ロケ地、金満公家・甘露寺雷光の居所・雷雲寺、西明寺(山門、境内)。秘薬窃盗犯とされた漁火の権次探索の藩士たちが走る街、妙心寺大通院裏路地〜福寿院道、おもんが身を潜めるのは雑華院の門。チクリ屋の情報でおもんが権次を訪ねる網浜、琵琶湖西岸松原。二宮志津馬が権次と結託とされ連行される路地、妙心寺大庫裏西の路地(塀には突っかえ棒みたいな丸太が組まれている)、北のクランクも映る。
*漁火の権次に福ちゃん、顔が映った時には斬られてて台詞も「あうあう」で血塗れ、斬られるシーンはないが「のけぞって」死ぬ。


第11話「四国八十八ヶ所、命を賭けた夫婦遍路」1994.4.14

 播磨・林田の小藩が後嗣に将軍のご落胤を押し付けられ、それだけでもメーワクなのに本人がとんでもない乱暴者ときてタイヘン。お定まりの、家来の女を強奪という展開に。思い詰めた二人は逃れ、四国八十八ヶ所を巡ることで愛を昇華しようとするが、追ってくる追ってくる、馬鹿殿自身に加え、女も含めた家臣を遍路に化けさせ襲ってくる始末。
そして二人は遂に荒くれの手に落ち、嬲られた末殿様たちに最後の札所へのお参りを託して落命。怒り頂点の三匹の断罪の刃が下される。
 ロケ地、87番札所・長尾寺、西明寺(山門、本堂、境内)。最後の札所への山道、風化した尾根筋、湖南アルプスと思われるが確信なし。三匹が代参の大窪寺、善峯寺(山門裏側、参道石段、観音堂)
*狂乱の馬鹿殿・左京亮に遠藤憲一。


第12話「欲ぼけ騒動!満月の夜に狸の恩返し」1994.4.21

 舞台は阿波、大里村の鎮守の霊山を翡翠求めて無理に掘る郡奉行、お狸さまを信心の庄屋は抵抗し城代に訴えると席を立ったあと闇討ちに遭う。庄屋が以前引き裂いた娘の恋人が舞い戻っていて、狸の使いと称し陰から手助けの哀話も挿まれる。もちろん、奉行と、結託の海産物問屋はまとめて三匹に成敗される。
 ロケ地、翡翠を掘る鎮守、鳥居本八幡宮(鳥居下、広場)。庄屋屋敷、民家。庄屋の娘が恋人を待ち続ける大里橋および人夫の死体が上がる大里川、不明。阿波の港、八幡掘新町浜。怪しげな薬を売っていて役人にとっ捕まる陣内、大覚寺護摩堂。千両と陣内が事の次第を話す、天神島。庄屋が刺客に襲われる村はずれ、五社明神


第13話「金毘羅代参、馬鹿は死ななきゃ治らない」1994.5.5

 舞台は丸亀から琴平、乱暴で博打好きの漁師の若者は密かに慕うマドンナの勧めによる百個の流し樽奉納を成し遂げ、結願の樽から見つかった密書はそのマドンナの亡き兄の遺志を果たす結果となる。
 ロケ地、隠し目付の密書入りの流し樽が漂着する坂出の浜、琵琶湖西岸松原(砂浜に茶店セット)。丸亀藩士(藩主直属の隠し目付)・高岡新八郎邸、金戒光明寺長安院(下の坂と脇の小路も使用)。金毘羅宮、本物の神殿が映ったあと吉田神社石段にスイッチ。陣ちゃんの膏薬売りは若宮社下。石段は岩松が傷つきながら百個目の樽を担いで登る夜のシーンにも使用、階に生えた木のシルエットが美しい。兄の借金返済のため身売り寸前のマドンナのため、樽を売ろうとした岩松が湊屋一派を呼び出す琴平の閻魔堂、御室八十八ヶ所お堂。
*岩松に沖田浩之、単純馬鹿で一本気な漁師を好演。


第14話「偽りの心中!鯨潮吹く土佐の海」1994.5.12

 舞台は勇魚泳ぐ土佐の海、クジラ利権を巡っての陰謀が渦巻く。陣屋の殿様と結託した鯨組合の親分が、ライバルを蹴落とそうとして自分の養女を相手の息子と偽装心中させ、責任をと迫り権利の放棄を求める。殿様たちの説得で訴人して出た「養女」は消され、その心中相手だった息子も斬られるにおよび三匹の怒りが爆発、血の雨が降る。最後には殿様の寒いギャグに陣内の紙吹雪も散る。
 ロケ地、海浜は日本海か。千両が南海屋の養女・お篠を殿様に会わせるやしろ、鳥居本八幡宮舞殿前(のち、消されたお篠の死体が放られるのは広場)


第15話「秘境で会った七百年前の亡霊」1994.5.26

 松山藩領の隠れ里、平家の落人部落には未だ再興の夢を見て暮らす末裔。父の願いを空しいと知りつつ、娘の「姫様」は藩大目付の言うがまま手先をつとめてきたが、殿様との出会いを経て改心、明日に向かって歩み出そうとした矢先悪玉の凶弾に斃れてしまうのだった。
陣ちゃんは巡検使に化け詐欺を働こうとしたり、千両は妙な儀式の片棒を担がされかかったり。
ロケ地
・渓流で顔を洗う右近に矢を射かけ、次いで「花婿さま」とか言って館へ同道を願い出る落人部落の男たち、清滝河畔。
・野々瀬村(平家落人部落)イメージ、美山萱葺き民家集落遠景。
・松山藩大目付陣屋、芦浦観音寺(主に門、内部も映る。後段、恋人たちが再会し去るシーンには参道見返りの画も)
・「儀式」を済ませた朝、起き出してきた右近に首尾を尋ねる名主、民家長屋門(畑越しのローアングルで萱葺き屋根を映す画から導入)。
・姫(敦子)のところへ走ってきた朱実が、夕べは右近のはからいで切り抜けたと話す水辺(汀近くにお堂あしらい、ズームアウトすると斜面の墓地が映る。前の池には根方が水没したヤナギが見える)、神吉の廻り田池(後段、殿様が姫に直訴を勧めるくだりでも出る)。。
・茶店にいる殿様と再会する右近、走田神社社務所前〜鳥居前(鳥居脇に茶店あしらい。畑地の緑越しの極端なローアングル)
・落人村、これ以上盗っ人の真似はごめんと姫に詰め寄る若者たち、走田神社境内(本殿前のポーチ)
・大目付の罠にはまった経緯を殿様に告白する姫、清滝河畔。
・道後温泉イメージ、清滝河原と朱の橋(西明寺前か神護寺前か特定できず)
・松山城イメージ、唐津城(海から見たアングル)
・松山を去る三匹、北嵯峨農地・広沢池西岸寄り。
*ラス立ちには三人とも衣冠束帯を着け登場、陣ちゃんが最も似合っているのは恰幅ゆえか。悪辣大目付は亀石征一郎、配下の捕り方に福ちゃん。


第16話「藍玉に惚れた阿呆と盗る阿呆」1994.6.2

 藍作農民を庇護し正当な商いをする阿波屋、ライバルの徳島屋と、つるんで悪事を働く藍方代官に消される。後を継いだ娘も妨害に遭い商い停止となるのに立ち上がる三匹、「許せん」発動。これに、侍を捨てて阿波屋で働く元仇討ち青年と、彼の父の仇で徳島屋の刺客に雇われた浪人の哀話が絡む。
 ロケ地、阿波の藍畑をゆく殿様、摩気民家北側の畦道。徳島城下の茶店で仇持ち侍に斬りかかられる千両、山室堤道に小屋セット。刺客たちを飼ってある徳島屋の冨田浦寮、中山邸(門、参道)


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