顔

2016.11.12時代劇専門チャンネル(池波正太郎時代劇スペシャル)

キャスト
松平健 石黒賢 小野塚勇斗 佐藤友紀 中原果南 今里真 鈴川法子 松田苺 坂田雅彦 浦野REN 安藤彰則 瀬野和紀 池田勝志 峰蘭太郎 西山清孝 守殿愛生 三浦加洋子 仲野毅 山口幸晴 本山力 いわすとおる 田中蒼馬 大迫英喜 加藤正記 田井克幸 川崎あかね 鶴田忍 冨家則政 火野正平 中村嘉葎雄

制作/時代劇専門チャンネル、J:COM、松竹
原作/池波正太郎「顔」
脚本/金子成人
音楽/遠藤浩二
監督/山下智彦

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 温厚な妻子持ちの浪人の、裏の顔は殺し屋。いつも的を選ぶ彼が、気の乗らぬ相手と認識した勘は当たっていた。
たばかられたことへの落とし前をつける男だが、運命の輪は正しく回り、新天地での幸福はふいに消えてしまうのであった。

千歳町国分

ロケ地

  • 冒頭、的(峰蘭太郎)を斬る木村重蔵、八幡堀堀端・夜間撮影。明治橋が見えていて、堀端には残雪が演出されている。
  • 仕事の後金を久五郎から受け取る重蔵、大覚寺放生池堤たもとに舫った屋形船のなか。船は大沢池側につけてある。
  • 重蔵が住まう池之端七軒町イメージ、広沢池岸に堂塔合成。池の水はほぼ抜かれていて、水脈があらわれている。後段、朝靄の景色も映し出される。
  • 重蔵の回想、十五年前旅の絵師・伊川梅渓と出会った信州・須坂の地、お供えの柿をとろうとして梅渓に止められた坂と周辺、丹波国分寺周辺で撮影して雪嶺を合成(重蔵がおりてくる坂は千歳町・護勇比丘墓所のある段丘続きの土手、坂下に石仏があしらってあり、重蔵はお供えの柿を見て腹を鳴らす。このシーンではアングルが変わり、田畦越しに牛松山の頂が映り込む。その柿を食すと自分のように腹を壊すと忠告する梅渓は、石仏の裏の畑地側にいる。梅渓を助け起こし、ともに街道をゆくシーンは丹波国分寺南側の農地にスイッチ、段丘林のうしろに雪嶺が合成されている。須坂宿まではすぐと言う重蔵のくだりでは、同じ国分寺前だが西向きの画になり、竹林主体の段丘林がうしろに来て、ここでの遠景の山は行者山と思われる)。須坂の宿を出て旅立つシーン、梅渓の杖をつかんで段差を引き上げてやるのは、丹波国分寺山門東側の崩れ塀から境内へ入る図。梅渓をおぶって歩く河原は大堰川河川敷。
  • 久五郎が丸屋と名乗って重蔵宅を訪ねてくるくだり、導入は広沢池池底に佇むアオサギ六羽、二人家を出て「仕事」のことを話す葦原は東岸近くの葦原、後段にも同様のシチュエーションで出る。
  • 和助を殺らない重蔵に、迷っているのかと問う久五郎、油日神社楼門続き回廊右翼。
  • 柏屋を出たあとスケッチをする重蔵、広沢池観音島下池底。絵に興味を持った和助が声をかけてくる。アオサギやケリが飛び立つ画を入れてある。
  • 自分の絵を見てほしいと重蔵を招く和助、「上野東叡山に近い三橋の料理屋」は大覚寺望雲亭。導入は大沢池越しに見た北側外観、荷船が過ぎてゆく。座敷を使い、庭越しに心経宝塔が見える趣向。
  • 盗賊としての手下・勘兵衛と会う和助、大谷祖廟参道石畳・夜間撮影。勘兵衛は分け前のことを問いただしに来た次第。
  • 重蔵の絵が見たくて突然訪ねてくる和助のくだり、彼が帰ったあとの「和助が描いた一本道の絵」の一枚と、梅渓が坂をのぼって去るシーンが重なる幻像は丹波国分寺前の段丘林坂、梅渓と重蔵出会いの、あの坂。殺ろうとして果たせなかったうえ、和助の父が梅渓と知ったあとの、重蔵の心象。
  • 久五郎に前金を返すも容れられず、懊悩を深める重蔵、娘に顔が怖いと言われたあと、寺で観音像をスケッチするも途中でやめてしまうくだり、愛宕念仏寺堂内観音像前。
  • 重蔵の回想、看取って葬った梅渓の塚、丹波国分寺境内(越後山中に葬ったと、重蔵が和助に告げている)。現実に戻り拝むほとけは愛宕念仏寺境内石仏群(この仏たちがタイトルバックになっている)
  • 久五郎が重蔵の娘をさらい仕事を急かすくだり、家を出て八幡屋へ向かう重蔵、広沢池東岸近く池底。
  • 和助を連れ出して斬る入谷田圃、西の湖園地。二人は橋を渡り島の葦原へ。
  • 和助の死後、火盗改にタレコミをしたうえで江戸を売る信吉(八幡屋従業員/黒南風一味としては腹心の部下)、勘兵衛らに待ち伏せされ囲まれてしまう、板橋宿手前の茶店は民家南塀際に設営。
  • 責め問いのすえ隠し金のありかを吐く信吉、勘兵衛らが捜し当てる枯れ井戸のある林は龍潭寺参道脇林間。信吉が殺されたあと捕り方が出て立ち回り。設定は谷中天王寺。
  • 和助は実のところ本格の盗賊だったと知ったあと、後金を貰うため久五郎と会う屋形船、大覚寺放生池堤たもとに舫い。今回は夜間撮影、久五郎が始末されたあと船は舫いを解かれ漂ってゆく。
  • 重蔵が妻子を伴って移り住む、京洛外・大原の家、みなくち子どもの森・かやぶきやねの家と前畑。林は冬枯れ、法面には花菜が植え出されている。

みなくち子どもの森

みなくち子どもの森 かやぶきやねの家

※松平健演じる木村重蔵は、元岸和田藩勘定方の父を冤罪で失ったあと諸国を放浪、信州で旅の絵師(伊川梅渓/中村嘉葎雄)の絵に感動して弟子入り、以降なりわいは殺し屋となっても絵筆は取り続けていた。江戸で娶った妻・お沢は佐藤友紀、舅の印判師・柏屋は鶴田忍、騒がしい性格のお沢の姉は中原果南。
※石黒賢演じる仏具商・八幡屋和助、裏の顔は盗賊のかしら。腹心の信吉は小野塚勇斗、裏切る手下・鬼首の勘兵衛は冨家則政。和助の父は妻子を捨て失踪したままの「旅の絵師」。
※火野正平演じる香具師の元締・暗闇坂の久五郎はドラマオリジナル設定、原作ではかの「音羽屋半右衛門」で、丸屋と名乗るのは原作どおり。この男の行動と「死に様」を変えてあるので、重蔵の最期も変更されている。
※2016年6月4日、J:COMプレミアムチャンネルにて初OA。

参考文献 池波正太郎「殺しの掟」所収『顔』 講談社文庫

油日神社

油日神社

丹波国分寺

丹波国分寺

広沢池

広沢池


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