助け人走る

今宮神社高倉キャスト
中山文十郎/田村高廣 辻平内/中谷一郎 島帰りの龍/宮内洋
(20話-)
お吉/野川由美子 油紙の利吉/津坂匡章 為吉/住吉正博
(-24話)
中山しの/佐野厚子 清兵衛
(元締)/山村聡
←写真は「しのの勤める茶店」今宮神社高倉

 明治期を舞台とする佐賀潜の盗賊もの小説「清兵衛流極意」を元ネタに持つ、必殺シリーズ中でも少し毛色の変わった作品。原作にある細かい掟や清兵衛の人となりが生かされ、人助けを第一とする話の数々が紡がれてゆく。
ふだん助け人の要員としてドブ浚いや留守番などをこなし僅かな日銭を稼ぐ文さんや平内さん、しかし許せぬ悪には「裏の顔」を持つ。元締の趣味の工房はそのとき謀議の場となり、恨みを託した金が置かれる。
文さんは凄腕の浪人剣客、太刀のほか短剣も使い、後段では鉄棒で相手を撲殺したりもする。妹・しのに言い寄る男を事毎に追い払う口やかましい兄さんでもある。芸者・お吉にぞっこん惚れられているが、すげない態度で怒らせることもしばしば。
平内さんは煙草の大好きな坊主頭の遊び人で元は武士、しかし養子先を飛び出しての無頼の日々。別れた妻が決まった日に養育費を取り立てに来るというお決まりがある。武器は煙管に仕込まれており、ぷかぁーと煙を吐きつつターゲットに近づきブスリと殺る。
利吉は清兵衛が盗賊だった頃からの子飼い、連絡役をつとめるほか元泥棒の特性を活かし潜入捜査も担当。文さんの妹にめろめろ設定の道化役。元締不在の際には裏稼業を仕切る厳しい顔を見せるくだりもある。
龍は中途加入の助け人、怪力系。当初は馴染まず偉そうな男だが、曲折を経てチームに和合、最後は身を捨てて皆を逃がす役割を担う。ビジュアルはザンギリ頭に袴で下駄を履く。下駄は時に武器にも使われる。
元締・清兵衛は元大工で棟梁と呼ばれるが、かつての裏稼業は大盗。口入屋を営み、町内の雑事を引き受ける温厚な人物。口コミで裏稼業を聞きつけた依頼者が大金を積んでも理不尽な頼みは受けず、受けても定額しか取らない一徹な男で、仕事に間違いあれば即座に死んで詫びる覚悟で日々を送る。直属配下の為吉獄死を受けて巡礼となり菩提を弔う身となる。


第1話 女郎大脱走 1973.10.20

 ドブ掃除や犬の番などの助け人たちの生態がひとしきり描かれ、やがて「裏」の仕事が入ってくる。
依頼は女郎の足抜け、一人の筈が平内の軽口で25人に。この大量脱走を巧みな仕掛でしてのけるチーム、切見世女郎たちの哀切なさまも活写される。

ロケ地、おしのの茶店に簪を持ってくる利吉、今宮神社高倉下に店をセット、簪を渡すのは脇の、文十郎が妹にコナかける男をシメているのは合祀摂社付近。女郎の投げ込み寺の浄願寺、犬の番の文十郎のくだりの無縫塔の墓地、女郎が埋められる穴の背後に映る大屋根、金戒光明寺と思われるが確信なし。ラスト、依頼人の足抜け女郎が法華信者の扮装の姉(他の女郎も一緒)と会う橋、木津川流れ橋


第2話 仇討大殺陣 1973.10.27

 高田馬場で評判をとった堀部安兵衛を雇った浅野が羨ましい殿様、昔の事件を蒸し返し、仇討ちを強要。しかし討たれる側の侍は、藩のためを思い公金横領の奸物を果し合いの形で討った忠義の士。これと懇意の清兵衛は、自らが依頼者となりチームを動かす。
仙石原で行われる仇討ちには助太刀が15人も用意されており、平内と文十郎最後にはへたへた、女も酒も要らんとススキ原に沈むのであった。

 ロケ地、文十郎が船のもやいを切って流してしまう狩野川の渡し、嵐山公園中州。仙石原へ向かう山道での戦闘、保津峡落合落下岩落合河口。水中での殺陣もあり。


第3話 裏表大泥棒 1973.11.3

 茶碗フェチの高慢な妾の歓心を得ようと、戸沢家の家宝の赤井戸茶碗を助け人に盗ませる富商、もちろん話は取り繕ってあるが、この盗難の件で腹を切った御納戸役がたまたましのに岡惚れしていた侍で、文さんのお気に入りだったからたまらない。仲立ちをした隠居は自ら筋を通しに富商のもとに乗り込むが、じゃらんじゃらんと積まれる大金に隠居の手下が狂わされ、主を刺し殺し後釜に座るという暴挙に出る。しかも富商は彼に助け人の始末を命じるのだった。

 ロケ地、おしのの茶店に今宮神社高倉。仕事に入った利吉と平内が見張る新庄藩邸、相国寺大光明寺南塀(窓越しの画、セットか合成か)。妹に手出したといきり立つ文さんにボコられる新庄藩御納戸役の若侍、金戒光明寺長安院下坂
*主を殺すに至る伊太八の心情を目で語らせる、演ずるは志賀勝。その後の開き直ったワルぶりもなかなか凶悪で見せる。


第4話 島抜大海原 1973.11.10

 町人との婚姻を咎められて御蔵島に流罪となった女を救い出す話。
平内さんは、実の父親が御蔵島に送られたことで、その消息も知りたくて行く。波濤を乗り越え着いた島で知るのは苛酷な事実、暴動を起こした流人たちの騒ぎに乗じて女を救い出し江戸へ戻る二人、文さんを呼ぶ島娘の声が波間に哀切に響く。そして本土、狂疾の女に高額の治療代を添えて亭主に引き渡す助け人たち、今度もタダ働き。

 ロケ地、海の情景はマジ海、日本海ぽいが確定に至るもの見出せず。ご赦免の申し渡しが行われる御蔵島の神社、鳥居本八幡宮(舞殿越しに本殿)。川崎宿、女房に会いに飛んでくる信吉、中ノ島橋


第5話 御生命大切 1973.11.17

 ゴロツキの辻斬りにやられ手傷を負い、ともにいた同輩を失い武士の面目丸つぶれの若侍。切腹の危機に、若侍宅に使える女中が助け人に依頼、文さんたちが仕留めたゴロツキを主人の手柄に偽装して名誉を回復させる。一転して武門の誉れと評判をとり昇進の沙汰もおりるが、噂を聞きつけたゴロツキの一味が恐喝にかかる。これをアフターケアの助け人、女中は身を引き、残された若侍は悲愁を噛み締めるのだった。

 ロケ地、辻斬りが出る藩邸近くの橋、大覚寺参道石橋。高島藩上屋敷は大門(内と外両側からのショットあり)。元締の隠れ家へお吉を「連行」する文さんと平内さん、嵐山公園中州水路(船上)。水門を開けてアジトへ入るシーン、広沢池を使用か(水門の向こうにちらっと映る)
*文さん宅へしけこんでいて、平内の軽口から「助け人」のことを聞いてしまうお吉、本来始末されるところを元締の声掛かりで仲間に。その日のうちに仕事に入る。*必殺悪役にはお馴染の津川雅彦、ゴロツキ浪人のヘッドを怪演。髭の剃り跡も青々とした、欲望ギラギラのビジュアル。最後は一人だけ無様に逃げ出し、藩邸の門を叩き「辻斬りやっつけ」を虚偽と喚くが、門内で待ち受けていた平内に始末されてしまう。頭から衣を被せられ、くるくるとのたうち回ったあと、口の中にぐっさりと仕込み煙管を突き立てられる。いつも通りの傑作な断末魔もちゃんと叫ぶ。*面目失いの小山内圭介に「シャア・アズナブル」池田秀一。


第6話 上意大悲恋 1973.11.24

 道行っぽい男女を行きがかりで助ける文さん、女の懐剣には三つ葉葵の御紋があったりしてタイヘン。余計なものを引きずり込んだと怒る元締だが、変態殿様に引き裂かれた悲恋の仲と知り、逃がす算段に出る。しかし、女の懐妊を知った男の怒りと迷いから、事態は最悪の方向へ転がってゆく。
そして二人の死後、元締は亡き人の気の済むようにしてやるのも助け人のつとめと、文さんと平内さんを藩邸に向かわせるのだった。

 ロケ地、津島小十郎と待ち合わせのあずさが藩主に目をつけられる、粟生光明寺石段。婚約者を殿に連れ去られた小十郎が激昂し騒ぐ城の廊下、相国寺方丈(内からの撮り、塀越しに法堂が垣間見える)。取り返されてしまったあずさを追って小十郎が駆けつける浜田藩上屋敷、随心院薬医門(門に至る道には塔頭の塀なども映る。この頃の塀は漆喰が剥落)。変態藩主が小十郎の目前であずさを嬲る、大玄関式台
*なかなか身の上や事情を言わない男女をめぐって、文さんの長屋で繰り広げられるやりとりも見応えあり。藩邸玄関での小十郎の壮絶な斬り死にも、様式美ありなかなか。藩主を殺しに入った平内さんが煙草に気をとられぷかぁーと呑気に一服、のくだりは笑わせる。しかし、文さんに小判投げつけられ、額に半分陥没してるのに死なない殿様って怖いぞ。この殿様、悪さの動機も碌に語られてないし。


第7話 営業大妨害 1973.12.1

 稼げなくなった女郎を密殺する、楼の主たちを束ねる金主。「楽な軽い仕事」からこれに関わってゆく平内さんと文さん。小遣い稼ぎにわざと岡場所で桶伏せになる平内さんが見る真実、からくりに感付いて消される女郎と、復讐し損ねて同じく消される気のいい女衒。男が死の間際握った二両で動く二人、カッコよくワルをさくっと始末してのけるが、元締からは女衒の育てていた孤児たちの世話を押し付けられて勝手に動いちゃダメと釘を刺されてしまうのだった。

*桶伏せになってる平内さんとこにやって来る養育料取立ての妻・綾。遊里でも変わらずの権高さが面白い。


第8話 女心大着服 1973.12.8

 わるいヒモに食らい尽くされる女の悲哀を描く。
はじめの依頼は、飛脚屋の「重鎮」おていを苦境に追いやる難癖つけの検校を懲らしめる役、しかし文さんが踏み込んでみると当の相手は消されていて、ここから色悪は本領を発揮し女を泥沼に叩き込もうとする。二回目の依頼は、使い込みがバレて逐電したおていの捜索、この過程でヒモの本性が明らかとなり、始末された恋人の前で女は自刃することになる。このとき、助け人二人はヒモの本性と死を見た女が取る行動に制約を加えず、黙って見送るのだった。

 ロケ地、文さんの妹にコナをかけに来る長次、今宮神社高倉下に茶店セット。長次の馴染みの船宿、嵐山公園内料亭・錦(門、裏手掘割)。うまうまと女衒のもとへとヒモに連れ出されるおてい、グルの浪人が芝居を打ちにやって来る、下鴨神社泉川畔。


第9話 悲願大勝負 1973.12.15

 将棋の鬼才・玉井市左衛門は、腕を妬んだ将棋所家元に陥れられ流罪に。雌伏する彼が得た勝負の機会、しかしこれも家元たちの画策により勝負中ほどで遂に命を落とすことになる。
この一番に手を貸す助け人たち、さんざん走り回った挙句玉井とその娘の悲惨な死に遭い、裏の仕事に移行するのだった。

 ロケ地、御将棋所、相国寺大光明寺(門越しに中仕切り、玉井座り込みのシーンでは内外を映す)。大一番の勝負所となる寛永寺、不明(鐘楼越しの大屋根、金戒光明寺に似るも確信なし・見覚えの無い建物もあるし)。文さんと平内さんのヘボ将棋に口出しの玉井、いつものしのの茶店は今宮神社高倉下。
*罠に落ち重傷の玉井のため代わりに駒を指す文さん、位置がわからず目を数える姿が可愛い。この際の、助けチーム四人で次の一手をリレーのさまが見もの。


第10話 水中大作戦 1973.12.22

 身持ちが悪い程度ではない大身旗本、人妻を手籠にした挙句15年にわたって監禁、自分に逆らうその女の夫を苦しめたいだけのためという悪虐ぶり。その女が弱り果て死の際にあると知った夫は、せめて最期は自分の腕の中でと願い助け人を依頼。しかし救出の際衰弱しきっていた女は死に、夫は敵わぬと知りつつ斬り込み、捕われて磔となる。これがまた、残された息子を誘い出す餌という非道。父に反発し家を出て僧籍に入っていた息子は、お吉に拾われるも救い得ず毒牙にかかり果てる。ここに至り、元締は託されていた金を示し、変態殿様の始末を命ずるのだった。

 救いようのない悲惨な話だが、助け人たちの飄々とコミカルな仕草が描かれ、「水中」でターゲットが始末されるカタルシスへ持ってゆく。
 ロケ地、若年寄・三浦邸、大覚寺大門。しのが兄とお吉の喧嘩を苦にして利吉にぶちぶち、大覚寺大沢池天神島
*女を救出に入る際の平内さん、姿の見える前から判る、屋根の向こうからぷかぁーと煙。ワルを仕留めに入る際の床下潜入も殿様の食べ残しの魚を骨までしゃぶり侍女たちの噂になったり。わけても、息継ぎの煙管が潜望鏡の如く池から突き出ている仕掛けの際のビジュアルは必見。*文さんは、今回ずうっとお吉と痴話喧嘩。


第11話 落選大多数 1973.12.29

 富籤不正もの。
平内さんは一番富に当たった老大工から内職で用心棒を引き受けるが、養育費を取り立てに来た妻とよろしくやっていて依頼主を殺されてしまう。その容疑者として括られ責め殺された男の女房からの、身を苦界に落としての「裏の依頼」に、平内さん私情入りまくり。文さんもまた、困難な仕事に死を覚悟して寺社奉行に仕掛ける。

 ロケ地、冒頭の富籤の宮、不明。南町奉行所、大覚寺明智門(一旦引っ張られるも疑惑解け出てくる平内さんのシーンは御殿川からの見上げ・喜八が連行されてくるのは参道)。富籤に当たった者たちの相次ぐ変死を告げる元締、放生池堤石橋上。


第12話 同心大疑惑 1974.1.5

 正月早々、平内さんが八丁堀に目をつけられひと悶着、元締が賄賂を使い事をおさめようと動くその同心は中村主水。この後もねちねちと絡む主水は、文さんと死闘を繰り広げたり元締にヒント貰った件で手柄を立てたりマメ。その手柄の一件の盗賊の話が平さんの長屋の夫婦とからみ、裏の助けは彼らに波風を立てる女房の昔の男(盗賊)を始末する運びとなる。
事後、主水は市中で文さんと平さんに絡み、儲け話には噛ませろと囁くのであった。
*主水の身辺を調べ上げてくる為吉、一刀無心流免許皆伝・手柄無しの養子で恐妻家・甘いもの好きなどと述べ立てるのが笑える。珍しい主水のキリキリ捕物場面も見られ、文さんとの立会いでは大跳躍もアリの派手な殺陣を見せる。平内さんが脅迫盗っ人を成敗するくだり、闇の中に浮かぶ煙管の赤い火はヒッチの「裏窓」みたいで緊迫感をいや増す。


第13話 生活大破滅 1974.1.12

 物価高騰し品物も不足の江戸の町、この情勢に買占め抜け荷抜け買いでボロ儲けを企む商人と、高遠藩の家老。両者のパイプ役をつとめさせられ饗応を受ける藩の小役人が話の軸となる。彼の妻から元締に依頼は、妾のことと道を踏み外さぬよう戒めてくれとの話。助け人たちの働きで一旦改心しかける小役人だが、身籠ったとの作り話で一年前に子を亡くしていた男はコロリ、愛人のもとに走ってしまう。その女のもとに乗り込み斬りかかる奥方、しかし阻まれ消されてしまい、用済みとなった男はその罪も着せられ刑場の露と消える。

 ロケ地、小堀の妻が家路をゆくシーンと愛人の使いに会う武家屋敷街に相国寺大光明寺石庭と南の路地。愛人が小堀を待つ永代橋、中ノ島橋。小堀の妻の死体が上がる、桂川臨川寺地区の川岸。
*小堀を演じるは小林昭二、転落の道を辿る小心な小役人を好演。行きつ戻りつする苦衷の表情が秀逸。愛人には緑魔子、稚気残る口調の毒婦がハマリ過ぎ。


第14話 被害大妄想 1974.1.19

 気鬱の病の小普請組の旗本が奥方を斬ってしまうことから事件ははじまり、誤魔化しに奔走する旗本の父は、巻き添えを食って父母を亡くした哀れな幼女も手にかけるに至る。旗本屋敷に駆けつけた元締は、その屍を見て大仕掛けに入る(祝宴張ってる中尾父子の席に芝居仕立てで助け人を送り込み)

 ロケ地、父母の遺骨を抱いて祖母のもとへ発つという中尾家用人の遺児・お美代を見送る助け人たち、しのの茶店(今宮神社高倉)。中尾邸、不明。


第15話 悪党大修行 1974.1.26

 世を騒がせる稲妻小僧の正体は、幼児のトラウマから知らずのうちに盗みを働いてしまう悲しい青年だった。
彼の心を癒し盗んだ品を返して回る助け人たち、しかし再び角兵衛獅子の親方と会ってしまい盗みを強要される。元締は、裏の顔は凶盗のその親方を盗っ人の風上にも置けぬと仕事抜きで乗り込み、危機には文さんと平内さんが現れメデタシ。

 ロケ地、元締が旧知の盗っ人仲間・さそりの銀平と出会うおしのの茶店、今宮神社高倉(稲妻小僧の瓦版が売られるシーンは稲荷社前)。依頼者の「稲妻小僧」弥助の失踪後、銀平を難詰する元締、嵐山公園中州水路堰堤脇。


第16話 掏摸大一家 1974.2.2

 寄る辺無き身を拾われ、掏摸の元締に育てられた女たちは彼をお父さん、仕切り女をお母さんと呼び日々懸命に働いてアガリを納める。
彼女らに自由は無く、ささやかな男との逢瀬も元締が十手持ちの表の顔も使い介入、簀巻きにされて消される始末。掏摸女の一人・おようの恋人が約束の場所に来ない女を案じお吉に相談、助け人たちが動く。

 ロケ地、紙入れを掏られた平内さんが女を追う縁日、今宮神社境内(途中しのの茶店通過)。宮を出てなお追う橋、中ノ島橋(橋上、下流から側面、おようは橋から身を躍らせ逃れる)。服を乾かしているところへぬっと現れる平内さん、広沢池東岸葦原。おようの男と勘違いされた平内さんが簀巻きにされ放り込まれるのも広沢池。事後、幸せそうに江戸を後にするおようと恋人、広沢池堤
*平内さん、簀巻きでドボンから這い出てくるという荒技、猿轡噛まされたまま・蓆巻いたまま文さん宅に辿り着く。不死身か。その後実行犯をとっ捕まえやり返すのが傑作、「簀巻きのダンナ」とか呼んでるし。*掏摸女に「りつ」と「加代」。


第17話 探索大成功 1974.2.9

 十年前、凶賊に引き裂かれた母子の涙の対面が軸のお話。その十年前の賊が江戸に現れ、母が子を探しているという話を聞きつけ金を毟ろうとするのに、助け人たちの手が入り皆殺し・母子は無事引き合わされるのであった。

 ロケ地、しのの茶店へ来て話す「子」弥吉、今宮神社高倉下。
*凶賊を追う町方に、蕎麦屋帰りの文さんと平内さん「さっきの一味」と捕縛される。これはすぐに釈放となるが、瓦版に名前と似顔つきで質屋に入った盗っ人として書き立てられてしまう。平内さんの顔がたいへん兇悪に描かれており見もの。


第18話 放蕩大始末 1974.2.16

 無頼の旗本のどら息子たちに無体を働かれた大工の娘、恋人ともぎくしゃく。助け人たちの奔走で馬鹿息子どもの所業は親バレ、金で示談となる。しかしさすが馬鹿の親は馬鹿、大金を毟られた腹いせに娘の父が島帰りと暴露。整いかけていた娘の祝言もこれがため破談、娘は自害。それでも娘の父は己が身から出た錆として忘れようとするが、或る日再びの馬鹿息子たちの蛮行を目撃してしまう。

 ロケ地、どら息子の探索について話す文さんと平内さん、相国寺大光明寺南路地(塀越し)。夜鷹を助けた際聞いた名をもとに旗本・内堀邸を訪ねる文さん、大光明寺門(出てくるのは別人で名を騙られていたものの、一味)。大工の娘・お咲が恋人に別れを持ちかける水辺、罧原堤下河原。茶店でしのに目をつけるどら息子たち、今宮神社高倉下。身投げしたお咲の死体が上がる汀、桂か木津か。しのを道案内と連れ出し襲う大源寺、下鴨神社河合社(破れ寺を演出した表具越し、大工の平八が通りかかるシーンは塀内側から見越し)。江戸を離れるため渡し場に来る馬鹿息子たち、木津川流れ橋上手左岸河原(汀に小さな桟橋と小屋をセット)


第19話 世情大不安 1974.2.23

 からきし腕の立たぬ仇討ち侍・高坂は、助け人を動かすことを思いつく。
彼の仇は富商の内懐にあり、そのつながりで仇討ち赦免状も老中により無効とされており、仇を富商から引き離すため蔵を襲う策を企画。物資隠匿と諸価高騰で市民が困窮という世情が背後にあり、世のため人のためと乗る元締、泥棒たちを大量に召集し蔵を破る。しかし破牢にブチ切れた仇は高坂を引きずり出し妻子ともども斬殺、しののもとに残された、高坂がずっと持っていた仇討赦免状を見て文さんと平内さんは出陣する。

 ロケ地、高坂の腕前を見る文さん、大覚寺天神島。三洲屋の蔵目指して走る泥棒の大群、護摩堂罧原堤下河原中ノ島橋(下の河原も)
*泥棒たちに号令かける元締だが、今回話にのぼるだけで姿見せず。大坂まで人集めに行ったと語られる。*今回、仕置の際平内さんは文さんが投げて寄越した短刀で、文さんは壁に刺さっていた平内さんの煙管で仕留める。


第20話 邪恋大迷惑 1974.3.2

 幼い女児連れで按摩して回る美しい女、盲いた目には悲しい過去が隠されていた。
粘着質の岡っ引に横暴の限りを尽くされ、遂に亭主が再び島送りにされ現地で没し、それでも生きてきた女の恨みの一撃は通じず返り討ちに遭う。そして雪の夜、平内さんと文さんは出陣しグルの同心以下も殲滅してのけるのだった。

 ロケ地、音羽の萬蔵に追われる按摩・おさよを送ってやる平内さんと文さん、途中渡る橋に中ノ島橋
*「島帰りの龍」偉そうに登場、今回はサワリのみ。龍に「後家殺しの平内」と名乗る平内さんがおかしい。*しつこいしつこい岡っ引に伊藤雄之助、ぬらぬらといやらしい顔が全編を覆いつくす。やはり怪優と言わざるを得ない。これとつるむ同心が今井健二だから凄い。しまいまでぎとぎと。でもこれらより怖い、吉田日出子の鰻を刺したあとの顔…いつか怪談で見た「刺さりましたか?」の座頭を髣髴とさせる。


第21話 心中大悲憤 1974.3.9

 方々で女を弄び金を毟り、さんざん吸い尽くしたあと捨てるという性質のわるい男あり、絶望の果て赤子と共に入水するも死に切れぬ女は無惨にも処刑。また、別の女は子を捨てるまでに思い詰める。つのる悪行、遂に刑死した女の老父から元締に依頼が来る。
はじめワル側に雇われる設定で龍がメンバー入り。元締を背後から狙うも迫力に屈し仲間に。

 ロケ地、おすえが子捨てのしのの茶店、今宮神社高倉下。おわかの磔、罧原堤下河原。おわかの同僚の回想、相楽藩邸裏口に生まれた子を見せに矢崎雄之助を訪ねるおわか、相国寺大光明寺南通用門。矢崎の仕打ちに絶望し入水のおわか、桂川松尾橋付近汀。
*矢崎を龍に譲り、朋輩のワルどもを成敗の平さんと文さん、お獅子と猪のかぶりもの付けて登場、お獅子の鼻から煙がぷかぁー。


第22話 父子大相克 1974.3.16

 富商の娘との政略結婚を進める父に恋人を斬られ息子が暴発、既に大事なものをなくした彼の行動は、関わる全てを破滅に引きずり込んでゆく。
富商の娘と、さらわれた彼女の探索を元締に依頼していた恋人が龍によって落とされるのが唯一の救いの、悲惨で暗い話。

 ロケ地、田原邸、相国寺林光院(前庭でバイト中の平さんと文さんが壁土を捏ねている)。しのの茶店、今宮神社高倉下。誘拐犯に探りを入れるため侍に変装し偽りの身代金を持ってゆく利吉、下鴨神社河合社塀際。富商の娘の仮親・公事方吟味役・金子邸、相国寺大光明寺


第23話 裏切大慕情 1974.3.23

 番頭から入り婿となり富商の後を継いだ男は、真面目な顔の裏に暗部を隠す。唯一の趣味という夜釣りに事寄せ、ゴロツキ浪人に権高な女を誘拐させ屋形船で無体を働くこと何人にも及ぶ。この被害者となった貞淑な人妻は元締に殺してくれと依頼、唐突な申し出に様子を見るうち幸せそうだった夫婦に破滅が訪れる。

 ロケ地、美濃屋主人の屋形船、桂川左岸船着きに係留。しのの茶店近く、仲良さげにやって来る橘夫妻、今宮神社高倉脇坂。誘拐者の石田浪人と行き会う、合祀摂社若宮社前。その後再度美濃屋の毒牙にかかったゆきがふらふらと乱れた姿のまま歩く水辺、嵐山公園中州舳先〜岸。
*権高な女をいたぶるのが趣味の美濃屋、店で平内さんの奥方を見てターゲットに。これは龍に阻まれ事なきを得るが、平内さん慌てて駆けつけるという可愛らしさ。でも冷たぁくあしらわれててカワイソ。


第24話 悲痛大解散 1974.3.30

 タイトル通りの、悲惨な一話。
為吉が町で使った元文小判からアシがつき、北町の鬼同心に捕縛されてしまう。罪なき者を何人も磔台に送ったその同心は、助け人の裏稼業を暴くべく苛酷な拷問を為吉に加える。手も足も出ない助け人たち、屍となって帰ってきた彼の墓の前に立ち尽くす。その後為吉の仇は討ち果たす彼らだが、元締は江戸を去ることとなる。
 ロケ地、北町奉行所、京都御所の厚生省施設。為吉の墓、くろ谷。江戸を去る元締が遺骨を抱いて乗る船、桂川松尾橋下。
*為吉が小判を使った買い物は、幼子に文房具を求めてやったもの。そしてこの子は彼の実子、島帰りの身を慮ってずっと父と名のらず「為のおじちゃん」と呼ばせていた事実が涙を誘う。


第25話 逃亡大商売 1974.4.6

 全編を覆う重苦しい空気、「その後」の助け人たち、元締がいなくなってからひと月。
表の稼業も無く監視下の日々、懐も寒い彼らに来た仕事は先ごろ処刑された盗賊の女房から、恨みを晴らす殺しではなく自身の逃亡のヘルプ。真っ向から奉行所に対抗する仕事に文さんは躊躇、逃がし屋に回すことに。しかし逃げおおせた筈の女房は鈴ヶ森で夫のあとを追って死んだと知らせが入るのだった。

 ロケ地、夕立小僧の処刑の鈴ヶ森、下鴨神社糺の森池跡。しのの茶店と周辺(今回は秘密裡にツナギをとる役をしのがつとめる)今宮神社高倉下、合祀摂社舞殿前の木(お御籤結んでツナギのしるしに)。後段、逃がし屋差し回しの駕籠が夕立小僧の女房に接触は合祀摂社高倉前。
*北町同心とつるんでいて文さんや盗賊の女房を騙した逃がし屋・弥平次に伊丹十三、最後は文さんの怒りの短刀を腹に受ける。激しい怒りの表現、刺して刃をぐいぐい押し付ける際襖をつごう四枚突き破り。


第26話 凶運大見料 1974.4.13

 運命に翻弄されるか弱い女たち、縋った易者はもっともらしく巳年四月生まれの男となら幸せになれる、脅迫者に金を払い続けないといけないなどと見立てる。これがワルのゴロツキと組んでの大騙り、近しい者を殺され自身は売り飛ばされ不幸のどん底に落とされる女たち、境涯を救うことはできなかった助け人たち、怒りの鉄槌を下し恨みの筋は果たされる。

 ロケ地、易者・慶雲堂が店を開く根津権現、わら天神参道(遠景は六勝大神)。文さんがまとめ屋の安を峰打ちし辻斬り芝居(ヤサを突き止めるため)桂川松尾橋下右岸堤。妻を受け取りに行って殺された多吉の死体が上がる河原、桂川松尾橋付近汀。龍が安を脳天逆落としで始末、わら天神本殿と綾杉明神の境(南望、遠景に舞殿)。文さんが巳之介を始末の林、下鴨神社河合社裏〜林間。
*相変わらず文さんたちにはお上の目が光る。早々に見つけ出した巳之介宅では寸前に町方が来て阻まれ、文さん宅に物売りを装って入ってきた暗殺者を追おうとしても岡っ引。緊張状態のなか、ピリピリして文さんはほとんど笑顔を見せない。*今回の仕掛けは白昼、平内さんと龍は人ごみの境内で堂々と殺る。


第27話 江戸大暗黒 1974.4.20

 強引な手口の強請り頻発、被害者の一人・船宿の女将から依頼が来る。
彼女が強請られているネタは男との密会、しかしこれは江戸払い中の亭主と会っていただけで、定法破りゆえ訴えて出られなかったもの。利吉にも理由を言わない女にはじめ断りが入るが、この件を追っている八丁堀に話が通るようはからってやる助け人たち。だが相手は木っ端役人には荷の勝つ大物で上司もグル、若手同心は消されてしまう。

 ロケ地、駕籠かきに強請りネタを仕掛けるくだり、今宮神社石橋〜高倉(しのの茶店)〜高倉脇坂(一旦駕籠を降り、忘れ物と言って駕籠に飛び込み向こうへ飛んで出て「怪我」と言い立てる)。口止め料を取り立てに来る船宿の裏口、嵐山公園中州湛水域岸。強請りの元締・大門の大五郎寮、中山邸(通用門、参道)。新たな手口で店明け渡しの証文作られた女将が佇む水辺、嵐山公園中州堰堤脇。江戸払い中の船宿の亭主のもとへ赴く平内さん、北嵯峨御陵への道。田は付近か。八丁堀のお蔭で手を汚さずに済みそうと文さんにツナギの利吉、今宮神社若宮社脇。
*お吉のため刀を売って金を作ってくる文さん、武士の魂をと驚くお吉にそんなものはとっくに捨てたと微笑む。そして今回の仕事の際には鉄棒を携え大立ち回り、ごりごりと胸を潰す痛い技も披露。*「元締」の顔を見せる利吉、彼のふざけた笑顔も稀となる。


第28話 国替大清算 1974.4.27

 勤番侍に恋した町娘、国へ帰る男についてゆくと執着。邪魔に思う男は、乱暴にも藩邸に巣食う悪い中間を使って思いとどまらせようとするが、これをネタに逆に脅され身の破滅を招くこととなる。はじめ話が平内さんに来たことや、娘がしのの稽古友達なことから関わってゆく助け人たち、藩邸に捕われた娘を救出するなど働き、最後は若侍の恨みを晴らすべく折助たちに向かってゆく。しかし元々の若侍の意図は娘に知らせずにおいてやるのだった。
 ロケ地、しのの茶店、今宮神社高倉、摂社(お上を憚ってこっそりツナギ)。高須藩邸、相国寺大光明寺(門、南通用門)。中間部屋の小頭に脅される勤番侍、下鴨神社河合社裏手。折助たちと乱戦となる「強請り」の金の受け渡し場所の谷中・神龍寺、糺の森池跡


第29話 地獄大搾取 1974.5.4

 遠い国から連れて来られた人夫たちは、地獄のタコ部屋に押し込まれ連日の苛酷な労働に狩りだされるが、彼らを追い使う親方は作事奉行とつるみ入費をごまかし私腹を肥やす悪党だった。
依頼は、その中にいるかもしれない夫を探してくれとの女房からのもの。利吉は依頼者の国を聞き、もしや五つの頃生き別れた兄がとの望みを抱きのめりこんでゆく。はじめ情による道楽仕事はタコの共食いと渋る平内さんたちだが、しっかりバックアップしてくれているのだった。

 ロケ地、出羽出身の人夫の土左ヱ門があがる汀、広沢池東岸。これについて詮議を求めるが却下され出てくる夫探しの女、北町門前に京都御所管理事務所北門。タコ部屋から逃げるシーンの荒地、天神川に地質似るも確証なし。
*工藤栄一監督のスピード感溢れる一作、逃げ回るシーンや雑踏のくだりのカメラワークが見もの。タコ部屋で逃がし屋によるプチ大脱走が見られるのも楽しい。*龍の今回の技は逆落としのほか、必殺怪力系名技・人体二つ折りの「腰骨はずし」。


第30話 貸金大仕掛 1974.5.11

 足を洗った元錠前切りの老爺のもとに、昔の仲間から依頼が来る。
人助けとたばかられ盗みに手を貸してしまった老爺は翌朝邪魔とばかりにあっさり消され、彼からもしもの時にはと孫娘への品と金を預かっていた助け人たちは孫娘の嘆きと怒りを無視し得ず唐津屋一味に仕掛けることとなる。

 ロケ地、唐津屋が融資した金をまんまと盗み出す松崎藩邸、大覚寺明智門。祖父の死に茫然と水辺に佇む孫娘、嵐山公園中州堰堤脇。松崎藩から帰る唐津屋を藩士が襲撃、大覚寺五社明神(文さんと龍は祠の後ろに隠れて見ている)


第31話 狂乱大決着 1974.5.18

 元清兵衛配下だった逃がし屋桃助登場、不幸な女に深く同情し身の立つように世話する気配りの男。
彼は義憤にかられ八州取締の妻を東慶寺に駆け込ませようと図るが、悪どい八州の手が回り、あらぬ罪を着せられ獄門に。桃助が出立間際託した金が利吉の手によって助け人たちに手渡される。

 ロケ地、桃助が辿る鎌倉への間道、谷山林道かと思われるが確信なし。
*八州に戸浦六宏、極度の刀フェチで欲しいとなれば神官ぶっ殺して奉納刀をゲットなどする悪党、また出世のため妻を上司に差し出しておきながら後になってDVという癇立ち男を好演。背の小っこさもよくハマる。


第32話 偽善大往生 1974.5.25

 火事の被災者にお救い小屋を建てたり供養したりで仏の称ある備前屋、しかし当の火事はこやつの火付け。悪事を知る手下が密かにあるじから金を脅し取ろうとして一騒動、これに助け人たちが巻き込まれる。依頼自体は火事で親を失った幼い娘から来る。

 ロケ地、備前屋が脅迫者の求めに応じ千両箱を置く猪牙船のもやる大川端、広沢池東岸。強請りに加担の浪人の仕官予定先の高須藩邸、大覚寺明智門。依頼者の幼女と、放火犯を求めて通行人を見る平内さん、中ノ島橋上。備前屋に雇われた龍が文さんの「死体」を投げ込む川、嵐山公園中州側河川敷(栗石敷きの右岸)
*龍が文さんを襲撃して殺すお芝居、おとなしく担がれてゆく文さんの「死に顔」が頓狂でなんとも可愛い。


第33話 忠誠大心外 1974.6.1

 密命を受け妻に去り状を渡し死をも覚悟し阿波に潜入の男、そして夫を信じ待つ身重の妻、遊び金欲しさの江戸家老に悉く裏切られ踏みにじられる。妻の側から利吉たちが、夫の側からは旅先で関わった元締が金を託されていた。藩邸に忍び再会を果たす助け人たち、久し振りに全員揃った席で仕掛けにゴーサインが出される。

 ロケ地、行き暮れる日田の妻を助けるしのの茶店、今宮神社高倉下。元締が旅先で木彫の仏を寄進の寺、不明。藍屋に差し出された日田の妻が入水しようとする橋、中ノ島橋。阿波から戻る途次、街道で襲われる日田平之助、桂川松尾橋下手右岸堤。須坂藩邸、相国寺大光明寺(門、塀)


第34話 必死大逃走 1974.6.8

 代がわりした差配役を抱きこみライバルを消し、お上御用を我が物と企んだ塩問屋。
陰謀が進行するうち、当の差配役が家付きの妻を過って殺してしまうという馬鹿な事態が起こり、子飼いの男をスケープゴートに立てようとするが、助け人たちに阻まれたうえ差配役ともども仕置されてしまうのだった。

 ロケ地、坂出屋が差配役・諸口に提供する妾宅、中山邸通用門。物見遊山接待の最中、三平に腹踊りを強要する諸口、今宮神社高倉(しのの茶店)
*養子の差配役・諸口に菅貫太郎。接待の場での態度が傑作。妾宅に乗り込んだ妻を殺してしまうのはぶっ叩いてるうち鞘が壊れ刃が出てしまうアクシデント、その後の暗ぁい表情は狂気じみてて凄い。最後は龍に刀を跳ね飛ばされ、投げられた際上向きに落ちていたそれに脳天を貫かれる痛い死に方を遂げる。*腹踊りの三平を匿った小屋を囲まれる助け人たち、矢場のゴロツキたちとの大乱闘は見もの。元締は出ず。


第35話 危機大依頼 1974.6.15

 冒頭仕掛けの際負傷する文さん、療養の日々。その不在に利吉が二段構えのニセ依頼でハメられ、助け人たちは未曾有の危機を迎えることとなる。ほぼ清兵衛の店で進行するドラマ、作中ずっと降り続く激しい雨が緊張感を高める。
夫の仇を取りに来る毒婦に南田洋子を配し、平内さんのスペア煙管も披露され、へろへろで駆けつける文さんの殺陣もなかなか。

*元締不在は依頼者=仇討ちの闖入者の柘榴組の姐御により語られる。


第36話 解散大始末 1974.6.22

 久方ぶりの元締からの招集は危険極まりない大仕事、大奥からお手つき中揩脱出させるというもの。町方の目光るなか様々に手段を講じる助け人たち、しかし半ばにして将軍薨去の報が入る。これでお中揩燉「へと息をつくも束の間、お手つきの女人は落飾のうえ比丘尼屋敷とも称される女の地獄・桜田御用屋敷へ籠められてしまうのだった。

 ロケ地、利吉が招集をツナぐしのの茶店、今宮神社高倉下。手段を協議のチーム、お城イメージに彦根城天秤櫓天守。今夜もと上様の伽を申し付けられるおちさの方、仁和寺白書院(南庭越しに勅使門下部映りこみ)。御用商人の伝手で下調べに入る利吉と龍を見送る平内さんたち、いろは松下。二人が入る平河門(?)天秤櫓。再びの誰何、太鼓門櫓。大奥へ入る二人、仁和寺宸殿東側衝立宸殿広縁(七ッ口)。葛西衆の船で堀から接近の文さんと平さん、桜場下中濠(天守遠景)佐和口多門櫓前濠。墓参の光明院(おちさ)を連れ出したあと捕り方と大乱闘、船を用意の水辺は木津川流れ橋(殺陣は橋上、河原)。おちさとしの二人を連れ舟でゆく利吉、保津峡。旅ゆく平内さん、落合トンネル付近の道(一部トンネル内使用)
*大仕事ののち解散となる話、殿軍を買って出た龍が死闘の末捕り方を道連れに川に落ちるくだりは圧巻。橋下を通過中の舟から見上げた大胆なアングルも見もの。利吉に妹を託す文さんの笑顔が泣かせる。また、文さんの辛そうな顔を見て黙って去ったお吉が草原で待つ夕陽の赤も胸に染みる。大乱闘の際は三味の音、それぞれに旅立つチームのバックは番違いの主題歌と凝っていて楽しい。


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