萬屋錦之助主演作品 フジ/中村プロ 「闇に笑うこんぴら人形(でこ)」 1981.5.8 「日本」と大きく出るが「長崎犯科帳」とほぼ同じノリ、老中の密命を受けて動く隠密奉行・朝比奈河内守が豪快に紛争を解決する「明るい」ヨロキン全開の痛快時代劇。彼を見張る役目を仰せつかった小人目付には、長崎犯科帳でもコンビを組んだ「ウタさん」新克利。 ロケ地 *朝比奈の妻女に岸田今日子、帰宅した夫に「お土産は?」は麻佐女さまみたい。勘定家老の娘・お紋に使われるゴロツキの一人に福本先生、冒頭街道筋で尻叩いて役人を揶揄「へーっへっここまでおいで甘酒進上」。 金沢編「手箱に秘めた子の涙」 1981.10.9 将軍綱吉に献上された加賀からの塗りの手箱、取り落とした際出てきた、底板に隠されていた紙片に救済を望む謎めいた文言。これについての取り扱いを任されちゃう隠密奉行・朝日奈河内守、加賀さして出発、前回同様見張り役の真鍋くんももれなくついてくる。道中では親分の仇なんつって斬りかかってくる渡世人を拾い、彼の衣装ととっかえて潜入のヨロキン。以降、渡世人姿で当地をうろつき忍びを斬ったり民衆と接したりして悪事の根幹に迫ってゆく。 ロケ地 *前後に朝日奈邸での妻とのやりとりを入れるのは前作と同様、お土産を要求されるが帰ってきたヨロキンは手ぶらというのも同じ。これだけのために岸田今日子を使う贅沢さ。*真鍋くんは全く上役に信用されておらず追者をつけられるが、これがヨロキンに斬りかかったあと「雇われる」ベコの三平で、ラストに正体を現す火野正平、ぎこちない袴姿が愛くるしい。くの一が化けてる腰元の接待攻勢のくだりや、視察の際などコミカルな演技で真鍋くんとからむあたりは長崎犯科帳を髣髴とさせ楽しい。そしてこの二人、殺陣には一切参加せずラス立ちもヨロキン一人でばっさばさ。山中で忍群とやりあうのももちろん一人で。慌しいまでに斬り抜けるさまは拝一刀なみ、でもダークなものでなく「明朗快活」ヨロキン、苦し紛れの真鍋くんの勧進帳の最中現れ「ちょっと替わって貰ったんだ、ゴメンよー」。*今回のワルの首魁、加賀藩からも独立性を保つ偉そうな陶氏の総帥に菅貫。領内の子供を五歳になったら全部徴発して漆器職人か忍者にしちゃうトンデモ専制君主を演じる。アイパッチが酷薄さを演出、最後には正体を現した隠密奉行に「やかぁしぃやい叩っ斬ってやる」とやられてしまう。*山中でヨロキンに襲い掛かる加賀忍びの一人に福ちゃん、台詞あり「貴様ー、渡世人ではないなー」、斬られてくるっと海老反り。 久留米篇「河童が怒る筑後川」 1982 久留米・有馬藩のお家騒動に介入する朝日奈河内守。今回は町で助けた腰元に同情した妻女から頼み込まれた形で九州まで出動のヨロキン、でも見張りの真鍋くんはきちんとついてくるのだった。 有馬家には正室と側室の双方に男児あり、正室の子の長兄が後継と決まっているが、お国御前と国家老が結託し次男を次期藩主に据えようとして長子毒殺を謀る。暗躍する怪しの山師たちはお国御前とつながっているが、これには里に降りることを許されぬ一族の悲哀と希望が託されていた。彼らとつるむ国家老は欲望ギンギラの大ワル、事成った暁には側室と山師を始末して後継者になり了せようとしていた。 ロケ地 *潜入に際し町人姿となるヨロキン、料亭の主を口説くのに諸肌脱いで魚を捌いてみせる。*臨時関所の役人と、山の衆と、牢番の役人に福ちゃん。 |