時代劇ロケ地探訪  京都御所

 御所と仙洞御所を中心として作られた公園・京都御苑は広大な都市のオアシス。御所以外の敷地は緑地となっているが、ここは維新前には公家屋敷の立ち並ぶ町であった。禁門の変の火災で焼失したものも多く、以降順次私の施設は毀たれていった。

建礼門越しに紫宸殿 蛤御門
 御所もまた、京都を表す記号である。イメージに上写真の紫宸殿の画がよく使われ、ナレーションなどが被される。室町御所に擬しての使用例もある。実相寺昭雄監督のあさき夢みしでは御所として建礼門や周囲のみかわ水(溝)などが使われた。諸国を経巡り京へ帰ってきた四条が、北面の武士に上皇薨去を聞くくだりである。
 蛤御門は近代の幕開けとなる歴史の転換期の生々しい現場で、幕末ものでは見せ場の戦闘シーンとなる。
烏丸通に面するゆえ現物を使うことはほぼ無く、セットでの撮影が多い。よく似た作りのよその高麗門を使うときもある。叡山の麓の赤山禅院総門を使って撮られた竜馬がゆく(2004TX)などの例がそれである。「東山界隈/赤山禅院」の項参照
環境省京都御苑管理事務所

 御苑の南西、椹木口を入ってすぐのところにある管理事務所の門は、よく奉行所に使われる。元の閑院宮邸跡で、上写真は北門。
東側の門もなかなかの雰囲気だが、北の長屋門はよそにないスケールで、得難いスポットと言える。
必殺仕置人「恋情すてて死の願い」では北町奉行所として使われ、門前で待つ棺桶の錠の姿が溝の中にある(上写真左下、遠景の塀は宗像神社)
助け人走る暗闇仕留人必殺必中仕事屋稼業必殺仕業人必殺からくり人などでも北町として使われた。当初「必殺」として企画されたという逸話を持つおしどり右京捕物車でも北町はここで、ジュディ・オングが中村敦夫の乗った箱車を押して入ってゆく。必殺シリーズでは南町に大覚寺明智門を使うことが多いが、海鼠壁を持つあちらと見比べるのも面白い。
必殺以外では、勝新太郎が横紙破りの北町同心を演じた、ちょっとエロチックな場面が多い怪作映画御用牙の北町もここに設定されている。

京都市上京区京都御苑


・ロケ地探訪目次 ・ロケ地探訪テキスト目次 ・ロケ地資料 ・時代劇拝見日記
・時代劇の風景トップ ・サイトトップ