時代劇ロケ地探訪 本法寺 |
堀川寺之内、表・裏の千家の祖が開いたゆかしい庵があり、寺が密集するエリアの一角に本法寺がある。 |
仁王門 | 多宝塔と本堂 |
開山堂 | 本堂 |
1983年版大奥「醜聞に消えた美女」に見える護持院には、本法寺の多宝塔と本堂大屋根を仁王門越しに見たショットが使われている。護持院は、桂昌院の深い帰依を受けた僧・隆光が起こした巨刹。数々のドラマで、将軍生母に取り入り希代の悪法・生類憐みの令発布に関わった怪僧として描かれる隆光だが、実のところそれを示す証拠は残っていない。事実はさておき、隆光は新義真言宗の僧であり、神田橋御門外にあった護持院はたいそうな大寺と伝わるので、多宝塔があって大きな本堂が背景に来る本法寺が護持院として用いられたのは、理屈として納得がゆく。 同じシリーズの「女帝への階段」は、七代将軍生母・月光院の成立を描くお話。側用人の間部詮房に見出され六代将軍家宣の側に上がったお喜世の方が、男児出産のお礼参りに訪れる芝増上寺がここに設定されている。お喜世の方の駕籠が入ってゆくのに仁王門が使われ、寺の廊下をゆく一行に本堂前廊が使われた。このとき、ひと目お喜世の方を拝もうと群がる民のなかに実父である僧が交じっていて、見届けて去り際、男と出奔した妻と出会う。お喜世の方の母であるその「妻」は落ちぶれて乞食となり、お堂の下で三味を弾く、そのお堂は開山堂。お喜世の方の性格形成に影を落とした「姦婦」の奏でる糸は諦観の果てに澄んで美しく、父僧は聞き惚れる。父母の邂逅を知らぬ娘は堂上をゆき、相見ることなく増上寺のシークエンスは終わる。 |
京都市上京区本法寺前町 |
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