時代劇ロケ地探訪 新薬師寺

 奈良公園の南、文豪たちのサロンがあった高畑にある古寺。
夫帝の平癒を祈願した光明子によって開基されたと伝わる。天平時代のまま残る本堂には、本尊と眷属の十二神将がずらりと並ぶ内陣があり、その躍動美は圧巻。
*タイトルの伐折羅大将は「なら奈良館」展示のレプリカ

盛りの萩と本堂 本堂西側・入口の几帳
東門  鎌倉初期・重文

 今昔物語「近江国ノ安義橋ノ鬼、人ヲ喰ラフ話」を基にした早川光監督のアギ 鬼神の怒りは、中世の空気をよく呼吸する映画。
国主の屋形等スタジオセットもよくできているが、ロケも凝っている。鬼の出る安義橋に流れ橋を効果的に用いるほか、宇治上神社が屋形に使われる。そしてここ新薬師寺の東門は、夜の安義橋で鬼女に遭遇し命からがら家に逃げ帰ってくる太郎のシーンで使われた。画面の中の東門を見るとなるほどと納得、水干姿の益岡徹が縋りつく門は、大覚寺や相国寺のそれでは中世の侍屋敷にはならない。新薬師寺でいただくパンフレットの東門の説明には「被衣姿の女性が出入りするに相応しい」とあり、ここをロケ地に選定なさった監督の慧眼に感服してしまうのである。

奈良市高畑福井町


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