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柳生の里は1971年の大河ドラマ・春の坂道により一躍脚光を浴びた。のちのヨロキンである中村錦之助が柳生宗矩を演じたこのドラマは、上写真にある家老屋敷を所有していた作家・山岡壮八氏によって書かれたもので、構想はこの屋敷で練られたという。その屋敷や里も、ロケに使われた。現在奈良市の管理になる家老屋敷には、累代の品のほか大河ドラマ関連の資料も展示されている。
大河ドラマ放映時の熱狂的なブームは去り今は落ち着いた雰囲気の鄙びた里であるが、ハイカーや歴史愛好家が訪れる人気スポットで、ロケに使われることはないものの、柳生一族が登場するドラマでは家老屋敷や菩提寺がイメージカットとして映し出される。芳徳寺の山門はよく使われるが、この寺の一世の住職は「烈堂」、俗世の名は義仙という宗矩の息子で、十兵衛三厳や宗春の年の離れた弟である。お寺の裏には柳生一族の眠る墓所があり、宗矩の墓標の脇に父・石舟斎や母・春桃御前のそれが並び、前列を息子の十兵衛や宗冬が占める。
このような史跡や、剣豪の名を冠したとろろ飯が旨い里の茶店や、ドラマに因んだ名の美酒を醸す造り酒屋なども、時代劇好きにはたまらない魅力なのである。芳徳寺の下にある正木坂道場は今も剣道家が集う生きた施設で、式台玄関の豪壮さは柳生の剣を偲ぶよすがとなる。
奈良市柳生町
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