時代劇ロケ地探訪 園部城址
園部城は、数奇な経緯を持つ。
この地には元和年間に小出氏が入封し維新まで続いたが、陣屋が築かれたのみであった。これが一転、徳川の治世も終わった明治の世に至り、新政府に請願して城の整備がはじまる。三層の櫓や巽櫓などが建てられたのは明治元年から二年にかけて、戊辰戦争が戦われていた期間の普請である。そして世の趨勢定まった明治五年、せっかく作ったお城はほとんど毀たれることになる。
いま跡地には公園が整備され、コンクリート製の小さな天守(右写真)が建っていて、手前にはプールがある。これはほぼ撮影には使われない。残った巽櫓は園部高校の一部となり、これがロケに使われる。
また又三匹が斬る!「摩訶不思議、恋の行方と肉付面」は、次期藩主の若様の恋と、地位をめぐっての骨肉の争いを描くお話。富山の薬売りの娘に恋する若様は、お城を空けて出て行ってしまい、近習が苦肉の策で身代わりをつとめる燕陣内にお面をかぶせて繕うというのが、タイトルのエピソード。金ヶ崎城大手のシーンがここで撮られている。アングルは上写真上段左と同じ。
斬り捨て御免!第二シリーズ「女渡り鳥凶状旅」は旅もの、舞台は上州・風間宿。お城では、聡明な殿を監禁し首をすげ替えようとする城代の陰謀が進行中。ここへ、殿様の活発な姉姫が渡世人に身をやつし登場、城代の悪事を暴くべく奔走するというお話で、いよいよ城へ乗り込む姫のシーンが門前で撮られた。
2005年の国盗り物語では、主君・信長の苛烈さに苦悩し離反する荒木村重の城・摂津伊丹城として使われた。説得に訪れた明智光秀が帰ってゆく姿が門前にあり、荒木家に嫁いでいる光秀の娘が、父の背を櫓門から見ている。
小体なお城に適当なものはなかなか無く、よく大寺の門などを工夫して使うなどされるがお城の雰囲気は出にくい。そうした用途にぴったりのサイズと作り、得難い素材である。
この立派な門のなかには、右写真のごとく近代的な学校が建っているのも面白い。
→園部城址ロケ使用例一覧
南丹市園部町小桜
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