時代劇の風景 ロケ地探訪
− 東門周辺 −
東門 境外から | 東門 境内から |
東門を入ってすぐの朱橋 | 近接してある朱橋と石橋 |
今宮神社には南側にある朱塗りの大きな正門と別に、東側にも門がある。こちら側も短いが参道になっていて、二軒の茶屋が営業している。 東門を入ってすぐ朱塗り擬宝珠つきの小さな太鼓橋があり、すぐ脇にも小さな石橋が架かっている。 鬼平犯科帳第五シリーズ「浅草鳥越橋」では、目黒不動近く・大鳥神宮の縁日の雑踏をゆく押切の定吉という設定で朱橋を渡り東門をくぐる姿が撮られている。その他同様のアングルでさまざまな作品で用いられている。朱橋はもう少し色褪せた状態で映っているものもある。時々は塗り替えられるからであろう。 |
門前茶屋・かざりや | 門前茶屋・一文字屋 |
門前の二軒の茶屋はいずれも風情たっぷりの建物で、店先の床机に腰掛け茶を頂いているとちょっとしたタイムスリップ気分である。「かざりや」の建物は鬼平犯科帳「笹やお熊」で本所の銕の古馴染・お熊婆さんの茶屋として用いられた。同「女掏摸お富」では王子権現前の茶屋という設定でかざりやの床机が使われている。 一文字屋のほうも雲霧仁左衛門「おかね富の市」で急ぎ働きの盗賊・鳩栗の大五郎が盗みを働く場面に使われた。 江戸中町奉行所では殺し屋の手下を追って水流添我童と木暮楽太郎が参道を走り東門を通って境内に走り込むシーンに用いられている。 |
今宮神社 東参道 |
そして、最も印象的な画を見せてくれるのは鬼平犯科帳エンディングである。ジプシー・キングスの「インスピレイション」が流れるなか、ノスタルジックに江戸の四季の風物が回り燈籠のように映し出される、その「夏」にここが採用されている。参道奥から荷を担いだ風鈴売りが短冊を揺らしながらやって来る…カメラはゆっくり右に寄って行き、一文字屋の店先に立てかけられた朝顔を絡ませた陽除けが映し出される…カメラ更に右に寄り店先の床机に座りところてんを啜る男、石灯籠が映し出され、今宮神社のシークエンスは終わる。 |
今宮神社名物 あぶり餅 |
今宮神社に行ったら名物の「あぶり餅」を食さぬ手は無い。親指ほどの大きさにのした餅を細く裂いた竹に刺し、店の方が丁寧に炭火で焙った香ばしいそれを味噌だれでいただく。この味噌が甘過ぎず濃過ぎずの絶妙の味わいで、辛党にも是非お奨めしたい逸品である。 このような宣伝じみたことを書かずとも、茶屋の前に流れる炭に焼かれた餅の香を嗅げばふらふらと床机に座ってしまうことは請け合いである。 |
かざりやの座敷から 着物を着た人を配置して扇風機やポットをどければ、もう江戸時代 |
・今宮神社表紙 |
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