時代劇の風景 ロケ地探訪
− 摩気の民家 −
北側の農地から |
摩気橋の北詰に大きな民家がある。現住建造物かどうかは不明だが、門は長屋門で大きな蔵を持ち、邸内には大木が天を突いて生えている。 その規模から、庄屋屋敷として使われることが多い。ことによると、実際にこの地の古い庄屋屋敷かもしれない。 北側の農地から眺めた姿はまことに美しく、よくぞ残してくれたものと思う。夜や薄暮のシルエットも格別で、蔵と木が印象的である。 |
門 | 摩気橋と門 |
村なかの小路と建物 |
この屋敷が目いっぱい使われた例に続・三匹が斬る!「獅子舞の童が聞いた子守唄」がある。 金の茶釜を愛でるどケチの庄屋の屋敷として設定され、紅一点のお千がバイトに入っているほか、千石が茶釜泥棒よけの用心棒として雇われる。千石は目つきの悪い下男に気を取られている隙にまんまと茶釜を盗まれてしまい放逐されるのだが、この際蔵周辺が使われている。くぐり戸などもうまく使われている。また、門周辺や前の小路も使われている。 御家人斬九郎5「最後の忍者」では老忍を連れて上州をゆく斬九郎が襲撃されるシーンで北側外観をバックに田圃のなかで大立ち回りが繰り広げられた。おそらく薄明に撮られたと思われるが、シルエットが実に美しい。 盤嶽の一生「落としもの」では怖い地回りの丸傳屋敷として使われ、くぐり戸から入る下っ端の姿の上方に見える蔵にでかでかと丸傳マークが付けられていた。 |
道から北側外観 | 北側の薪置場 |
北東角を見る |
鬼平犯科帳「雨乞い庄右衛門」では東海道三島宿手前の農地で小休止する老盗・庄右衛門の姿が北側の農地に見出せる。彼が飽かず眺めやるのは足踏み水車を漕ぎ続ける農夫の姿。死期迫ったことを自覚するかつての大盗の目に映るこの日常風景が全体のテーマとして扱われ、裏切った手下との乱闘の末事切れる庄右衛門の脳裏に去来するのもこの「みずぐるま」の光景なのであった。 鬼平ではほかに「山吹屋お勝」において年甲斐もなく茶屋女に狂う平蔵の「従弟どの」の巣鴨大尽屋敷として使われた。「血頭の丹兵衛」では丹兵衛のアジトがようやく判明するくだりで使われた。 |
萱葺屋根と蔵 | 南塀 | 堤から南側外観 |
川堤と建物 | 南側窓 | 対岸から |
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摩気 表紙 |
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