嵐山公園は渡月橋と中州を中心とした一帯で、保津峡を抜けてきた桂川が山城の野に出る山紫水明の地は、古来より愛でられたスポット。 ■ 嵐峡 渡月橋のすぐ上手の大堰の上は湛水域となっており、貸ボートや遊覧船がゆったりと浮かんでいる。ここを嵐峡と称する。五月に車折神社の三船祭が行われ、王朝絵巻が繰り広げられる場所である。保津峡船下りの終着点でもある。 |
嵐峡 左/左岸から、右/右岸から | |
嵐峡 船着き |
嵐峡は船遊びのスポットだが、ドラマも同じ。静水面に芸者を乗せた屋形船が浮かんでいたり、船着きが使われたりする。 ■ 中州 大堰でせかれた水は左右に振り分けられる。大堰の杭から流れ落ちるのが本流、右手の掘割へ行った水は桂川用水に導水後再び本流に戻る。 |
中州舳先 上流側 | 水門 |
中州 渡月橋上手 南面 |
掘割がはじまってすぐの水面には、たくさんの船が舫っている。 ■ 渡月小橋 掘割には渡月橋から続く道に架かる小橋がある。掘割がたっぷり水を湛えているので、橋桁と水面が近い。橋の様態は渡月橋に準じたデザイン。欄干は木製で、桁隠しもちゃんと付いている。橋南たもとにある石段は、保津峡下りの船頭さんたちが使っている。 |
渡月小橋 下流側から | |
渡月小橋たもと 階 |
橋桁の下を覗き込んだアングルや橋たもとの階などは、たくさんの堀を巡らせていたお江戸の水景を表現するのに絶好のアイテム。撮影所の水面と組み合わされ、絶妙の効果を生む。 ■ 中州掘割 水門の下も、中ノ島橋の上手にある堰によりまだ湛水域。護岸はかっちりと組まれた石垣で、このあたりに来ると岸と水面には距離ができる。 |
中州掘割 |
この石垣と静水面が、よい画を提供する。 ■ 錦 中州にはたくさんの飲食店が軒を連ねる。気安く麺類や軽食を出す店にまじり、本格の料亭もある。そのひとつが桜宿膳が名物の「錦」で、かの池波正太郎も贔屓にした店である。中元歳暮におつかいもんにする惣菜を出している錦味は、ここの経営。 |
錦 |
佇まいが昔から変わらないのが、古い映画やドラマで確かめられるのも一興。 ■ 中州下手 中ノ島橋上手の堰堤を過ぎ橋をくぐると、水は元の川に戻る。中州もここで終わり、下端の舳先は草深い汀に続いている。南側の河原は花見時にはゴザを敷いて宴会場となり、普段の平日にはサークル活動の場となる。 |
中ノ島橋上手堰堤 | 中ノ島橋下手河原 |
河原へ下りるステップ | 河川敷と中ノ島橋 |
中州舳先 下流側 | 中州下手汀 |
堰堤まわりの使用例は「中ノ島橋」の項に譲り、ここでは橋下手の風景を取り上げる。 ■ 桂川 渡月橋をくぐった桂川本流は、浅い瀬を噛んだあと落差工に堰かれる。広々とした浅瀬には水鳥が羽を休め、盛夏時には涼を求めて足を浸す人で賑わう。 |
中州から見た桂川堰堤 | |
渡月橋下手 左岸から見た桂川 |
堰からの落水も涼しげな水景はもうそれだけで絵になるので、主人公の男女が逍遥するムーディーな場面で音楽を流していたりする。 |