時代劇の風景  ロケ地探訪

鳥居本八幡宮

入口 鳥居から
 鳥居本八幡宮は観光客で溢れかえる嵐山・嵯峨野からはずれた北縁の山裾にある。前の道を西にゆけば化野、東にゆけば大覚寺へ出る。嵐山・高雄パークウェイに通じる道であるが交通量はあまり無い。その道沿いは竹林で覆われている。うっかりしていると見過ごしてしまうような入口の木の鳥居を入っていくと鬱蒼と繁る林の中に石の鳥居が見える。
 いつ訪れても人の居たためしは無く、木々のざわめきと鳥の声しか聞こえないひっそりした社で、由来書きのひとつも無い。観光ガイドなどにも載っているのを見たことはない。少し前まで日本のどこにでもあった村の鎮守のひとつなのだが、太秦に近いゆえに時代劇撮影スポットとなっている。
鳥居 東から 舞殿を見上げる
 つくりは石の鳥居に続く石段、登りきったところに舞殿、その奥に拝殿がある。かなり古いもので褪色等激しいがよく手入れされ清げな佇まいである。
使用例はそのまんまの村の鎮守のほか街道筋の祠、江戸市中のお宮さんとしても用いられる。
拝殿 舞殿
舞殿 舞殿
井戸 鳥居
 使用例を挙げてみよう。必殺関連では旅ものでの使用例が目立つ。必殺からくり人「賭けるなら女房をどうぞ」では一揆衆が気勢を上げる村の鎮守、必殺仕舞人「秋田音頭は国盗家老の冥土唄」ではおはなと仕舞チームが合流する村はずれの鎮守、新必殺仕舞人「喧嘩も楽しい河内音頭」では八尾市上垣内の鎮守として用いられた。河内の一件では境内に河内音頭の櫓を立てる騒ぎである…今気付いたが江戸期に河内音頭は…ま、いっか。
 必殺では他に必殺仕事人4必殺まっしぐら!三味線屋勇次等で使用例がある。
 雲霧仁左衛門(山崎努版)最終回「最後の大仕事」で兄の処刑後藤堂藩国家老の後を尾け東海道をゆく雲霧のおかしらが瞑目し沈思する祠として使われ、江戸中町奉行所2「夫婦喧嘩を犬が食った」では尾行中の多吉が凶盗・紅薊一味に襲撃される現場に、幕府お耳役檜十三郎「生まれたままの悪女」では幕閣の手先となった女盗賊が秋田藩の裏帳簿引渡しを拒否するシーンに、豊臣秀吉 天下を獲る![1995TX]では日吉丸の故郷・尾張中村郷の鎮守として用いられた。盤嶽の一生「落としもの」では身請けしたおぶんを連れた金太が隠れる村はずれの堂に使われたほか、オープニングで阿地川盤嶽が大の字になって寝転がっているのが舞殿である。京極夏彦「怪」の「赤面ゑびす」では乱心した甲兵衛が駆け入る戎島の堂に使われ、狂乱の態で村人から逃げ回る本田博太郎の迫真の演技が繰り広げられた。
 境内は常緑樹の大木繁る少し暗めの森、背後は山、周囲には竹林が多い。この竹林では御家人斬九郎5「最後の忍者」の斬九郎と忍群の大立ち回りが撮られた。キャプチャしてある写真には巨大な岩が映っているのですぐ判るだろうと思って行ったが竹林には電柵がしてあり入れず。猪除け、或いは筍泥棒除けと思われる。
初冬の昼下がり

鳥居本八幡宮ロケ使用例 1989年以前 1990-1999 2000年代

撮影日 2001.12.16/2002.4.28 京都市右京区嵯峨鳥居本一華表町


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