時代劇の風景 ロケ地探訪
![]() 堰堤などという人工物はまず時代劇に馴染まないものだが、ここは頻繁に用いられるロケ地である。もちろんプロの仕事だからテレビを見ていて違和感などはなく、あれが農業用水取水のダムだなんて気付く人はあまりいないだろう。 |
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府道38号(左岸)から | 堰堤の下から |
ふだん見る流れと違い、テレビで見るそれは景気よく豪快に流下している。ロケの日には脇にある水門を操作して水を落としているのかも知れない。 この二段になった堰堤の段差工の中に役者が入り立ち回りが行われるのである。 |
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左岸堤から | 堰堤下段 |
堰堤下段の真ん中には巨岩が鎮座している。この岩がうまく演出に使われる。 川下にカメラを構えて撮ったり、岩に役者を座らせて演技させたり、様々に使われる。 必殺仕舞人「身を投げ生きる安里屋ユンタ」では坂東京山が依頼人の琉球娘クバの身の上を聞くシーンで使われた。二人は岩に座って話をする。 必殺仕事人Wの最終話「秀夕陽の海に消える」ではかんざしの秀がお民を遊ばせているシーンに使われた。ここでお民と友達になった女児に秀が顔を見られたことが仕事人チーム解散の因となり、秀は江戸を離れることになるのだった。 服部半蔵 影の軍団第一シリーズ「柔肌は渦に沈んだ」で瓢六とお霧の幼少時の回想シーンに使われたのもこの岩のところ。 いずれも岩を中心に据え背後に堰堤の水が落ちるという画になっている。 |
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堰堤下段に食い込む大岩 | 堰堤上段の壁面にある水抜き穴 |
全体が映される例のひとつは新必殺仕置人「濡衣無用」。長雨で大川が増水し、決壊を防ぐため土嚢を積み上げる作業が夜間行われる、というシーン。珍しい使われ方と言えよう。狭いところにいっぱい人を入れての撮影。必殺ではうらごろしで行の滝になったり、スペシャルで温泉の打たせ湯になったり、強引とも思えるユニークな画も見られる。 御家人斬九郎ファイナルシリーズ「最後の忍者」では、斬九郎と老忍が日光への道中で襲われるシーンで使われていた。 轟々と落ちる水をバックに渡辺謙の派手な殺陣が繰り広げられる見せ場で、この水抜き穴がばっちり写り込んでいた。ああ、まずいことを思っているとこれは演出の一環で、なんとこの窪みに敵方の忍者が不気味に潜んでいるという趣向だったのだ。プロは凄い。 |
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堰堤下、水門からの水が作る滝瀬 | 庄田橋から全景 |
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堰堤側面 左岸から | 堰堤上段の落水 |
☆柊野堰堤 ロケ使用例一覧 |
京都市北区上賀茂−西賀茂間 |
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