時代劇の風景 ロケ地探訪
入口の大鳥居 | 楼門 |
全国各地にある「天神さん」のおおもと、北野天満宮は左遷先の大宰府で亡くなった菅原道真を祀ったことにはじまる。現在の社殿は秀頼の寄進になる桃山建築。学問の神様ゆえ今でも修学旅行生の姿が目立つ。 時代劇に使われるときは江戸市中のほか、主人公が上洛中で北野さんへ参詣するというそのままの設定も見受けられる。 |
参道 | 参道鳥居 |
参道の使用例は剣客商売「井関道場四天王」で、秋山大治郎が謀殺された渋谷寅三郎の仇を討つべく小沢主計を待ち受ける夜のシーンに用いられた。連続する灯籠と照らされた参道の敷石が印象的。各灯籠にはめられた統一デザインのプラスチックのセードははずされていた。 また、映画・御法度では加納惣三郎と井上源三郎が小川亭へ向かう夜の京の道として使われた。 必殺!ブラウン館の怪物たちでは主水の出陣シーンに使われた。黒谷屋敷の住民を見殺しにしたと仲間に責められる主水が呟く「俺たちゃぁな、仕事人だぜ」のセリフが印象的な名シーン。 |
三光門(中門) | 三光門勅額 |
施された彫刻から三光門と称される中門には後西天皇の勅額が掲げられている。鬼平犯科帳5「艶婦の毒」ではうさ忠を供に上洛中の長谷川平蔵が参詣する北野天幡宮のシーンで大写しになっていた。必殺!ブラウン館の怪物たちでは仕事料が置かれるシーンに使われている。新春スペシャルの悪人チェック!ではお静の危機に駆け出す主水がくぐっている。 |
社殿 | 社殿 | 社殿回廊 | 参道の牛 |
社殿は御霊系のやしろらしく華やかな派手めのもので内の回廊にも外にも金色の灯籠が下がっている。 また、境内のあちこちに牛の像があるがこれは菅公が亡くなった日にち・刻限に因むもので、頭が良くなるとして人々に撫でられぴかぴかに光っている。 この牛は剣客商売「婚礼の夜」で女にフラれてクサる大治郎の剣友・浅岡がぺちぺちと叩いていたものである。設定は大坂の縁日。 |
社殿裏手北西角 | 社殿裏手北東角 |
社殿裏手北側 | 社殿裏手東側 |
北野天満宮が使われた例のなかでも印象的かつ使用頻度の高いのが、社殿裏手の紅殻の塀に梅鉢御紋入りの灯籠が連なる部分である。灯籠はころんと丸いぼんぼりで、底には可愛い猫足がついている。北側には華やかな門があり、大きな石灯籠が二基脇を固めている。 ここは江戸市中という設定で使われることが多い。町並みだったり、富岡八幡宮だったり神田明神だったり鳥越明神だったりするが、たまに吉原の廓内の描写として使われることもあり、天神さんの罰が当たらないかひやひやものである。 必殺渡し人では渡しチームのツナギの場所として設定され、夜のシーンで使われ、「渡し」に向かってドラマが収斂してゆく記号となっている。 雲霧仁左衛門「兄いもうと」では雲霧に情報を流している内通者の火盗改与力・岡田が挙動を怪しんだ岡っ引に尾行される場面に使われた。岡田与力が岡っ引を塀ぎわに押し付けて締め上げるシーンでは特徴のある灯籠が鮮明に映る。江戸中町奉行所「大奥に棲む魔物」では殺害現場を見にゆく中町同心・水流添我童が通る神田明神下、という場面で使われた。幕府お耳役檜十三郎「秘密を盗んだ女」では十三郎の調査対象の芸者・小太郎が里子に出している息子に月一度会う場所に用いられた。八丁堀捕物ばなし「黄八丈」では縁日がセットされ、同僚をハメた南町同心が背中に「ひとごろし」と大書した紙を貼られるシーンで使われた。 吉原という設定で使っているのは炎の奉行大岡越前守で、尾張候が天一坊を連れて繰り出す吉原のくだりで使われた。席の下品さにたまらず逃げ出した天一坊を忠相の妻が匿う場面である。吉原設定はほかに必殺4恨みはらしますで、愚連隊の一人を殺ったあと逃げる主水と文七のシーンに使われている。 そのほか暴れん坊将軍や長七郎江戸日記などの定番ものでも多用されている。 |
地主社 | 文子天満宮 | 文子天満宮 | 北参道 |
社殿の北には摂社などの祠が散在する。地主社や文子天満宮などは規模が大きい。 朱の色も鮮やかな地主社は北野創建より古いこの地の神様で、時代劇では登場人物たちがお参りする祠としてよく使われる。鬼平犯科帳「金太郎そば」ではお竹と由松が蕎麦屋を出して一年目の願ほどきにゆくシーンに使われている。喧嘩屋右近「迷い姫、危機一髪!」では姫様のラブストーリィを演出する右近夫婦が、婿に決まっている相手の若様に姫を救う芝居をさせるシーンで使われていた。 文子天満宮は菅公が北野に祀られる起こりとなった巫女・多治比文子を祀るもので、方除けの神とされ春に祭事が行われる。御家人斬九郎「白魚の吉次」では甲州金がらみでの斬り合いに割って入る斬九郎の姿がこの社の前で撮られている。喧嘩屋右近「私を捜して!消えた娘」では身代金をガメた手代がこの社付近から旅装に着替えて出てくる。 |
東塀 |
北野さんの西にはお土居があり天神川が流れているので、天然の塀となっている。東はふつうの寺社にあるような塀が続いている。 *御土居も使われる。→別項「御土居」参照 京都市上京区馬喰町 |