時代劇の風景   ロケ地探訪

八坂神社

東大路に面した西楼門
 四条通りの東の突き当たりに鎮まる古社は「祇園さん」の名で親しまれる。京の夏を象徴する祭り「祇園祭」はこの社の祭礼である。また、全国各地にある祇園社はここから勧請されたものである。創建には諸説あるが、上代に高麗からの帰化人・八坂氏が牛頭天王を祀ったのが初めともされる。
本殿に祭られるのはスサノオノミコト。厄除けおよび商売の神さんとして篤い信仰をあつめる。
参道に並ぶ屋台 舞殿
 祇園さんの風景を特徴づけるのは奉納された多数の提灯で、飲食店関係のものが目立つ。境内の至るところ、楼門などに朱の巴紋のついた提灯が鈴なりにぶら下がっていてこの社の活況を示している。
本殿と舞殿 南楼門(正門)
 祇園さんが時代劇に使われるときは他所に擬してではなく劇中設定が八坂神社に指定されているときが多い。シチュエーションは晦日から元旦にかけておけら詣りで賑わう境内、というものがよく使われる。
 1986年暮れに放送された「白虎隊」においては会津藩士たちが家族連れで大晦日に参る場面で使われている。場所は本殿、お祈りを済ませたあと参道を西楼門方面へ歩き、新撰組の土方歳三・沖田総司と行きあい挨拶を交わすというもので、シーンは夜。暗い画面に丹の赤がよく映えていた。
必殺スペシャル「仕事人、京都へ行く」は舞台が京都なので、観光案内かと思われるほどいろんな名所が映るが、もちろん現代の京都に所司代も公家屋敷も無いので、それらには御馴染みの大覚寺等が使われている。しかし、北野の天神さんと祇園さんだけは設定通りの本物。事態が急を告げるなか、京の仕事人・元結の新吉の真意を糺す政の場面で、本殿や西楼門が使われた。
御家人斬九郎2「雲隠れ」では、妻子を殺され復讐の鬼となった男の事件で、蔦吉がさらわれる深川界隈として境内が使われている。
南楼門上部 本殿大屋根

 時代劇において本物を使えることなどごく限られている。往時人で賑わった場所が今も姿を変えず、なおかつ活気を呈しているという点でも稀で貴重なことと言えるだろう。

京都市東山区祇園町

八坂神社ロケ使用例

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