時代劇の風景 ロケ地探訪
− 境内 −
日吉大社境内には数多くのやしろがあり、山王二十一社ともいう。そのうち西本宮・東本宮などを含む上七社が重要な施設で、大木が林立する中に点在する。西本宮には大己貴神を、東本宮には大山咋神を祀る。西本宮から東本宮への道は坂となっており宇佐宮、白山宮と降りてゆく。 これらのうち時代劇に使われるのは参道や宮と宮をつなぐ石段、散在する小祠などが多い。シチュエーションでは旅のシーンが多い。 日吉の各宮の特徴は狛犬が殿舎の内側の縁に鎮座していることで、他の神社との識別ポイントの一つとなる。 |
西本宮参道 | 山王鳥居 | 西本宮楼門 |
西本宮拝殿 | 宇佐宮から白山宮 | 宇佐宮を見返る |
白山宮 | 白山宮の祠群 | 神輿 |
西本宮参道は緩い坂で、間隔の広い段が刻まれている。その段がゆるく湾曲しているので判別しやすい。暴れん坊将軍などで大宮橋が使われるとき、画面の端にちらっと映っていることも多い。 続・三匹が斬る!「黒髪の尼に乞われて用心棒」では池上藩の藩主のダミーをつとめてくれと殿様が依頼されるシーンで白山宮付近が使われた。 続続・三匹が斬る!「五木の里、つむじ風吹く女人屋敷」では白山宮が人吉城下はずれの県神社として使われ、薩摩から来た正室と目付が藩政を壟断するのに対し家老を中心に決起する、という場面に使われた。日吉造(ひえづくり)の特徴のある社殿が上写真下段左と同じ横からのアングルで撮られている。また、これに助力申し出る殿様が家老に事情を聞くシーンに白山宮横の祠群が使われた。写真にある祠は檜皮葺の屋根が傷んで改修中、トタンが張られている。これに加え、その昔僧兵が朝廷への強訴の際繰り出した「神輿」も使われている。決起したことを嗅ぎ付けた正室一味の手勢が家老一派を襲うが、宮の扉をばーんと開けるとそこには神輿に凭れて殿様が寝ているだけ、といったシチュエーションである。細かく何でも使うものだと妙に感心させられた。 |
東本宮楼門 | 東本宮本殿 | 東本宮参道(二宮橋を見下ろす) |
東本宮参道はけっこう傾斜のきつい坂で、二宮橋が坂の下にある。 京極夏彦「怪」「福神ながし」では強力な陰陽師・中禅寺州斎の武蔵晴明社参道として使われた。宮本体は修学院の鷺森神社が使われているが、参道はここに設定されている。深い森の闇と橋が画に欲しかったためと思われるが、贅沢なことである。 また、続続・三匹が斬る!「まぼろしの父が恋しい夢芝居」ではラストの旅立ちの場面で、二宮橋上でカッコつけてる殿様と千石をよそに旅役者一座の荷車を引いて娘達の気を惹こうとしているたこの姿が東本宮参道にある。 |
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日吉大社 表紙 |
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