時代劇の風景  ロケ地探訪

− 好古園 −

好古園玄関 好古園は姫路城の北西にある武家屋敷跡につくられた広大な庭園で、名は藩校に因む。十余りの庭園群はそれぞれ築地塀に囲まれ、入口には屋敷門や長屋門が設けられている。通路は武家屋敷街を現出させ、塀の中には水をふんだんに用いた大名庭園や茶庭が隠されているという趣向である。のびやかな林泉はまた野鳥等の良きハビタットとなっていて、遣水にカルガモの姿が見られたりもする。
屋敷門 御屋敷の庭 御屋敷の庭 遣水のカルガモ
活水軒穴子弁当 松の庭 流れの平庭 築山池泉の庭
 好古園庭園群の特徴はふんだんに使いまわされる流水。城の西を流れる川から取られた水は各庭を巡り、或いは滝組から豪快に落ち或いは遣水となってさらさらと行く。大名庭園らしい大らかさと数寄を凝らした繊細さがほどよくミックスされた見所の多い名勝である。
活水軒と称される御屋敷の庭を望む食堂では名物の弁当が供され、天守に向かって建つ裏千家監修になる茶室では抹茶が頂ける。
御屋敷の庭はお城の庭としてよく使われ、屋敷門は武家屋敷や公的機関として使われる。
屋敷門西の路地 夏木の庭門前(西向き)
茶の庭西の路地 夏木の庭門前(東向き)
 それぞれに趣の異なる庭を内包する築地塀が連なる路地は、裃を着けた武士が行き交ってもなんの違和感も無い空間。このあたりは藩主の下屋敷や武家屋敷があったところで、再現されたこの路地はあたかも往時と現在を時空を越えて繋ぐかのようである。
 2003年の大奥では、島津候の養女として家定将軍にお輿入れの篤子と、大奥へ奉公にあがるまるとの出会いのシーンが、茶の庭前で撮られた。暴れん坊将軍でも、後期シリーズによく使われている。クレーンを使う例も多く、カメラが引いてゆき天守がフレームインしてくると迫力。好古園の俯瞰は、箱庭のように美しい。
長屋門(南から) 長屋門内側
 長屋門は松の庭の入口となる門で、両翼に小部屋を持つ典型的な作りとなっている。
その構造を活かし印象的なシーンが撮られたのは2002年正月の壬生義士伝で、主人公・吉村貫一郎の友人・大野次郎右衛門邸として使われた。すなわち、「ずろえ」の母・ひさが押し込められているあの場所である。格式ゆえに生母を暗く狭い空間に籠めねばならなかった心優しい母思いの「ずろえ」は、出仕の行き帰りに「おがさ」に声を掛けるのであった。
暴れん坊将軍では旗本屋敷や火盗改役宅に用いられた。2003年正月の忠臣蔵 決断の時では、大野九郎兵衛宅として使われた。
茶の庭 門 夏木の庭 門 築山池泉の庭 門
 長屋門以外の各庭の門はたいてい似たつくり。茶の庭の門は比較的よく使われる。路地使用の際にもよく映り込む。
夏木の庭の門は、暴れん坊将軍 VI「天下を正す無頼漢」で、じい・田之倉孫兵衛の屋敷として使われた。武家屋敷の門前を借りて腹を切るというパフォーマンスで涙金をせびる手口を編み出した浪人が、徳田新之助を誘ってハラキリ芝居をやらかしに行く門がここで、中からは介錯してやると張り切るじいが出てきてしまうのだった。
築山池泉の庭の門は、2004年末の忠臣蔵における加古川本蔵邸である。大石主税と本蔵の娘が許婚者という設定。萱葺きの亭のある庭を逍遥する二人の姿も見られる。

・姫路城ロケ使用例一覧

姫路城表紙

・ロケ地探訪目次 ・ロケ地探訪テキスト目次 ・ロケ地資料 ・時代劇拝見日記
・時代劇の風景トップ ・サイトトップ