ここは京極夏彦「怪」の「福神ながし」において陰陽師・洲斎の武蔵晴明社として設定され、本殿が使われている。
強力な陰陽師の本拠として使われた理由には、ここが元々牛頭天王を祀り素盞嗚尊を祀ることによる雰囲気もあるのだろうか。
武蔵晴明社のビジュアルは凝っていて、ここと日吉大社や木島神社が併せて使われ奥行きをつけている。
鬼平犯科帳「あいびき」では盗賊の手先の神官のいる夢森稲荷として使われた。この神官は二枚目の優男で、棟梁の女房をたらしこみ富商の絵図面を入手する役目をつとめる。この作ではたっぷりと境内各所が使われる。神官が棟梁の女房と逢引に出かける際出てくる社務所にまんまここの社務所が使われているし、市中へ赴く際渡る橋は一乗寺川の石橋である。また、女との密会をネタにチンピラに強請られるくだりでは舞殿が使われている。盗賊一味のアジトは社近くにあるという設定なので、火盗改の人数が囲む薄明のシーンも境内各所を用いている。
同じく鬼平「うんぷてんぷ」では、「本所の銕」が義母を殺めようと思い詰めた際、諭してくれた同門の弟分との永訣の場に使われた。二十年の月日を経て盗賊の用心棒と成り果てている弟分は、平蔵の腕の中で息絶えるのだが、その橋は下写真右の一乗寺川の小橋である。設定は芝の鷺森神社。
|