時代劇の風景  ロケ地探訪

− 落合 崖下 −

清滝川河口左岸側  奥は保津峡
 落合は清滝川の河口である。清滝川はほぼ上流域の川相のまま保津峡へ流れ込む。深い谷を刻んでの流入で、両岸は切り立った崖となっている。
上写真の水際部分をよく見ていただくと判るが、保津峡には舟運の船が亀岡へ帰る際に人力で船を引っ張り上げた桟道が残っている。砂地の少し上に細かい玉石が規則的に積まれている部分がその名残である。水の少ない時期なら伝って行ける。
こうした岩場を使って時代劇が撮られる。設定は圧倒的に街道筋が多い。例えば、上写真の岩の向こうから旅ゆく千石こと久慈慎之介が現れたりする(続、および続続・三匹が斬る!エンディング)
保津峡落合左岸 保津峡落合左岸
保津峡落合  船下りがゆく
 新必殺仕置人「宣伝無用」では能登へ向かう街道筋として使われ、鉄と間違えられた無辜の者が殺されたりする。新必殺仕舞人「三界節娘恋し父恋し」では娘を売らざるを得なかった父親が入水しようとするのを晋松が助けるシーンに、同「別れ囃子は阿波踊り」では浜坂藩の侍と急速に親交を深めるおはなの下りで使われた。炎の奉行大岡越前守で遠流になった姉・生島のことを問い詰められる秋月数馬のシーンで使われている。江戸郊外には些か不似合いとも思えるが、こうした例は心象を表すものでもあろう。暴れん坊将軍 II 「風雲八ヶ岳・男の祭り唄」では人質交換に霧ケ峰へ赴く糸割符商人の下りで使用された。
清滝川河口右岸側(対岸から)
 京極夏彦「怪」の「赤面ゑびす」ではラスト、狂乱の甲兵衛の手にかかって生き別れの妹を亡くした算盤の徳次郎が、上写真手前の河原に座り石を投げるシーンが撮られている。スキンヘッドの火野正平は、さも面白くないといった様子で、大きな石をどかんぼこんと川に投げ入れる。それに佐野史郎の百介の御馴染みの決めセリフ「世に不思議無し云々」が重なる。この上は層状チャートの「書物岩」である。
保津峡 表紙

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