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社前の畔道から社叢を望む |
亀岡から本梅谷へ抜ける道は山あいの谷。そこから更に細い谷筋に入った神前(こうざき)の里の鎮守は、石垣を積んだ丘に鎮まる。社叢は杉を中心にこんもりと繁り、遠目には小山のように見える。祭神は素盞鳴命と牛頭天王、口丹波に多い疫除けのお宮さんである。素盞鳴神社とも称され、ところの方々は天王さんと呼んでおられる。
あたかも城郭のような石垣が風情たっぷりで、拝見した折、漫画「子連れ狼」にある「小高い丘の城跡とおぼしき朽ちかけた…」と説かれた場面が思わず脳裏に浮かんだ。
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鳥居 |
雲霧仁左衛門「狙われた男」は、メンが割れた因果小僧六之助の線から雲霧一党に危機が迫る話。
六之助を目撃し火盗改に密告した男の実家が葛飾村で、始末しに赴いた六之助と州走りの熊五郎は、村人や母親に化けていた火盗改の手下にまんまとはめられかける。
六之助と州走りが村にやってくる場面でまずロングで社叢全景が映り、二人は石垣際を歩いてくる。雲霧が来たことを村人に化けていた男が潜んでいる岡っ引へ知らせに走るシーンでは、鳥居と石段が使われている。
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社叢脇の谷地田 |
やしろの脇には小さな谷地田がある。柵は猪避けと思われる。このあたりでは「猪肉」「山肉」と書かれた看板をよく見かけるが、時宜を得られず買えたためしがない。
この棚田は、村人に化けた火盗改の男に六之助が道を尋ねるシーンで使われた。
雲霧は外観の使用のみだが、また又・三匹が斬る!では境内を使っている。
神君から永代安堵のお墨付きを貰った村がその特権をヤクザに狙われる話で、設定は越中・月ノ庄村。当地に駐在する郡奉行の下役は自他共に認める昼行灯で、ヤクザの跋扈を止めるどころか簀巻きにされて川に放り込まれたりする。絶望した昼行灯が首吊りをしかけるのが、ここの境内。「殿様」矢坂平四郎がすんでのところで阻む。昼行灯を演じているのはケーシー高峰で、コミカルながらしんみりと哀調漂う場面。
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石段見上げ |
境内 社殿脇から東望 |
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境内南東奥 |
前面の塀 内側 |
境内はごくシンプルで林立する杉が清々しく、木漏れ日差す地面は苔むしている。
首吊り失敗のあとは境内を半周ぐるっと見回すアングルが使われ、駆け去る昼行灯は石段を降りてゆく。
この「また又三匹」ではほかに田畑や萱葺民家なども映っているが、現在このやしろ付近は圃場整理が行われていて確認は難しい。今後どう変わるか判らないが、鳥居前には溜池があった。北大路欣也が密命を受け各地へ飛ぶ大目付を演じた隠密奉行 朝比奈の奈良の回では、大和郡山城下の金魚の池がここ。池越しに鳥居下部が映り込んでいる。池には多数の金魚がすだいているが、これには本物の郡山の養魚池が使われていて金魚すくいに使われる小赤が群れている。
京都府亀岡市宮前町
→ロケ使用例一覧
参考文献
・子連れ狼 其之二十二「別れ霜」 小池一夫/小島剛夕 スタジオシップ
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