川を訪ねる旅 疏水の庭
平安神宮は明治28(1895)年、遷都千百年記念祭の折に造られたもので、平安京創始の帝・桓武天皇と京最後の帝・孝明天皇を祀る。
岡崎の地に広大な神域を持ち、当時の朝堂が5/8のスケールで再現されている。
神殿まわりには広大な神苑があり、これが小川治兵衛の手になるものである。
平安神宮神域図
東神苑には栖鳳池という大きな池があり、まんなかに橋殿(泰平閣)が渡されている。疎水の水はまずこの池に導かれ、中神苑の蒼龍池へ流れてゆく。
蒼龍池には臥龍橋という飛石が配されている。
中神苑から出た水は本殿の裏手を細い流れとなって巡り、西神苑の白虎池へ滝組を経て落とされる。
西神苑には様々な草木が植えられ、あたかも植物園のようである。南端には古い市電が展示されている。
神苑にあるまじき展示物のようだが、このことから平安神宮神苑は先に見てきた個人所有の二つの庭と違い、パブリックスペースとしての性格が強いことがわかる。
神域だけあって、同じ植治の手になる公的施設・円山公園ほどさばけてはいないが、良くも悪くも趣味性は低い。
しかし栖鳳池へ注ぐせせらぎや、東神苑と中神苑をつなぐ水路に施された工夫には植治独特の作風をうかがわせるものがある。
また、広々とした池に渡る橋殿はなんといってもみどころのひとつだろう。
大極殿 | 応天門から大鳥居を望む |
拝観についての詳細は平安神宮ホームページを御覧下さい