時代劇拝見日記
2003年7月

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2003/7/31

■ 江戸を斬る 梓右近隠密帳 第19話「盗人ざんげ」1974.2.4TBS/C.A.L/東映

 大久保彦左衛門大ピンチのお話、神君より拝領の三つ葉葵紋入りの陣羽織が盗まれる。
差し金はもちろん張孔堂で、実行犯は仏の長兵衛が情けをかけてやった元盗っ人。女房の薬代欲しさの犯行で、当の女房にその行為を責められた男は張孔堂に忍び入り陣羽織を盗み返し、届けるのであった。
 ロケ地、下城の彦左衛門を襲う正雪の手下・林戸右衛門たち、相国寺大光明寺南塀前路地〜鐘楼前。駆けつけた右近は基壇上から登場。大久保彦左衛門邸、相国寺林光院(門、式台)。伝吉がくちなわの紋次に陣羽織を返してくれと頼む、御室八十八ヶ所の堂。
*彦左襲撃は林の独断、失敗を聞いた正雪が「秘策」を伝授というパターン。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第31話「御狩場から消えた女」1978ANB/東映

 オランダ渡りの銃を手に入れた上様、試し撃ちのため小金井狩場の武市に預ける。或る日、武市は殺され、妻子と銃が消える。
その後、神田にある伊勢屋と名のつく店に入り銃を狙う女盗賊が出没、これこそ武市の女房・お駒で、銃と息子を探していたのだった。探るうち、お駒を見つけ保護し、謎の浪人・一色の助けでさらわれていた勘吉もゲット、ワル一堂に会し祝宴を張る座敷に芸者と幇間として入るお駒と上様、実は御用金泥棒だった伊勢屋を断罪。
 ロケ地、佃島の伊勢屋の寮へ鳥笛吹いて近づく新さん、中から上様手ずから作ってやった勘吉の笛が呼応する、大覚寺放生池堤。寮の塀が堤上にセットされている。ラスト、上様が単騎駆ける小金井御狩場の道、木津川堤
*ラス立ち、幇間姿で入った上様の珍しい股引姿での殺陣。用心棒の一人に福本先生、斬られて二度ほどくるくる回りのけぞる。
2003/7/30

■ 江戸を斬る 梓右近隠密帳 第18話「大奥に挑む」1974.1.28TBS/C.A.L/東映

 お取次役罷免をめぐって春日局と対立の彦左衛門、怖いおばさん相手に糞婆呼ばわりに加え拳を振り上げるなどして上様の逆鱗に触れさんざん。
しかし大奥で進行中の春日局暗殺計画が裏にあり、右近の奔走とお小夜の潜入で解決、最後は彦左と春日局のしこりは解けメデタシ。右近が市中で助けた大店の娘の恋わずらいのエピソードが挿まれる。
 ロケ地、大黒屋の娘が神社でならず者に絡まれるのを助ける右近、今宮神社(合祀摂社、高倉脇坂)。江戸城イメージに姫路城天守

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第30話「裏切り御免!」1978ANB/東映

 市中で、道場破りの病犬のような兄弟から娘を救う若侍・林市太郎。行動に反比例しおどおどと怖じけ名も組頭のものを騙る。祖父が由井正雪の乱で内通者だったことから軽侮され続け苛め抜かれてきた林、しかし名を騙ったことで助けた娘が組頭に好き放題されるのに爆発、上様はこれをサポートし御前で試合わせ名誉を回復してやる。
ちょっと理屈が入り組んだストーリィ、正雪を密告した行為は大火から市民を救うと同義・林を苛める世間にはひょっとして反乱が成功していればマシな世だったかもと思う御上への怨嗟が存在するかもなどと忖度し悩む上様なのであった。
 ロケ地、道場破りの兄弟を見て幸内が新さんに武芸奨励策がマズいのだと話す、大覚寺五社明神。林が助けた娘と歩く、放生池堤。林一家が十年来苛められている訳を語る幸内、護摩堂前。林が組頭が放った刺客・病犬兄弟に襲われる武家屋敷街、相国寺大通院前〜鐘楼
*ラスト、林が助けた娘と晴れて祝言の席、仲人の辰五郎はアカペラでEDテーマ「炎の男」を熱唱。

■ 必殺仕事人 第22話「登城する大名駕籠はなぜ走るのか?」1979.10.12ABC/松竹

 小藩・下野大田原の三男坊・和之は冷や飯食らいの身を市井に沈め、親しい絵草紙屋に居候。その主・伊八が取り持つ縁で材木問屋の娘とラブラブ、ついに武士の身分を捨てる。
しかしその矢先、次兄が事故で死に次いで藩主の長兄が頓死、小藩なりとも殿様の身分が転がり込み180度転換、契った娘は捨てられてしまう。咎めた伊八は斬られ、捨てられた娘のもとに辿り着き和之が送った恋文を諳んじ、実は娘に恋焦がれていた自らの思いを示し事切れる。直後娘も大田原藩士に斬られてしまう。和之に葵紋の賜杯を預けられ、娘のための簪を作っていた秀は工賃四両を仕事料として置くのだった。
 ロケ地、井伊家の行列に鉢合わせ道を譲らされる大田原藩の行列、仁和寺中門下参道。主水と和之は塀際にいる。大田原藩邸、大覚寺(大門、参道と石橋)。侍を捨て婿入りすると宣言する和之、罧原堤下汀。帰らぬ和之のことを話す伊八とおゆき、黒谷か。

■ 必殺必中仕事屋稼業 第13話「度胸で勝負」1975.3.29ABC/松竹

 日光改修のお鉢が回ってきて改易寸前の朽木藩の江戸家老は、資金に窮した挙句とんでもない奇策に打って出る。町で聞いた仕事屋の噂に縋り、密かに蓄えてあった御用金562両を一月のうちに三千両にしてくれと嶋屋に頼み込む大原頼母、無茶は承知の依頼で、いずれ藩は改易、自分は皺腹を切腹と覚悟した老爺は頼んだ一月の間は夢見ていられると力なく笑う。
受けたおせいは半兵衛と政吉の前に562両を差し出し博打を「依頼」。このあと、派手な博打話が展開する。曲折あって出来上がる三千両、しかし藩出入りの札差と、内通している江戸留守居役は大原老人を殺め証文を盗る。
このワルどもに仕掛けるチーム、留守居役は半兵衛と政吉がさっくりと始末。札差のもとに乗り込んだおせいだが、金を作った経緯をぶちまけるとやり返され、証文を盗むにとどめ立ち去る。札差の憎さげな哄笑は長くおせいの脳裏に響くのだった。
 ロケ地、託された金をみんなスってしまい川面を覗き込む半兵衛、中ノ島橋上。ここへ源五郎親分登場、身投げはダメと抱きついてくる。その後髭無しの半兵衛を弄り回す源五郎の背後に堰堤下の水泡が映りこむ、情緒もへったくれもあったもんじゃねー情景。おせいから証文を受け取った大原が留守居役と行き会う、中ノ島橋上。斬られるのは橋下右岸の栗石散りばめた河川敷。
*札差・板倉屋に岡田英次、とてもヒロシマモナムールのアマンには見えない…。
2003/7/29

■ 江戸を斬る 梓右近隠密帳 第17話「飛竜祈願」1974.1.21TBS/C.A.L/東映

 左甚五郎が世に出るきっかけのエピソード。
 日光東照宮の彫り物を巡って寺社奉行の独走に水を差す大久保彦左衛門、ひろく天下に名人を求めるべきと主張。右近の推薦で、大工の甚五郎が寺社奉行・山根丹波の推す広常と試作を作り競うことに。あらぬ罪を着せられ入牢、釈放後も手鎖というハンディをはねのけ彫り上げた甚五郎の雄渾な作品が勝利を収める。
その後広常の弟子で甚五郎の幼馴染の弥平次は板ばさみとなり、苦悩の末甚五郎の右腕を斬り、返す刀で師匠にも襲いかかるというエピソードが挿まれ甚五郎は左利きならぬ片腕というお話に。
 ロケ地、広常の作品が展示される神社、日吉大社東本宮楼門日吉東照宮。広常と甚五郎の作品が対決の宝泉寺、金戒光明寺(石段、本堂、鐘楼)。ラスト、山根が罷免されたことを語る彦左の家の庭、料亭坂口青龍苑
*実在かどうか怪しい部分もある左甚五郎、落語にあるエピソードから、鼠の彫り物が生きているかのように見えるくだりや自由奔放な人柄であることなどが採られたものか。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第29話「大江戸一のドジな大泥棒」1978ANB/東映

 天然系の女掏摸・おみねの陥る危機を救い改心させるというのがメインストーリィ、ついでに掏摸の大元締とこれにタカる奥祐筆組頭を成敗し、掏摸に関する刑罰を整備する上様であった。
 ロケ地、掏摸の銀平と今は堅気の弟分・長吉が再会し話す、大覚寺放生池堤。掏摸の元締・蛇留宅に忍んだ結果報告の庭番、加えて忠相の報告、大覚寺天神島
*奥祐筆組頭に川合伸旺、ねちねちと蛇留にタカる姿が可愛い。最後は上様に召され指弾され、かかってゆくが叩き伏せられ「たわけ者!」。

■  第39話(終)「海原はるかに」1967TBS/松竹

 水野老中への風当たりいよいよ強くなり、市中には糾弾の貼り紙がべたべた。腹心の大目付も裏切り、諸侯ほか上様にまで水野憎しのふう強まる。
そうした情勢のもと、水野が老中就任以前鎖国の禁を破って国外に調査に出した男・村越が異人との間にできた娘を伴い帰還する。一発で失脚材料となる村越を巡り大目付が暗躍、かがりや新十郎に加え甲賀の里から源爺いも駆けつけ男は奪還。しかし時勢の流れ早く、水野のもとには罷免を告げる上使が来る。新十郎は裏切りの大目付が許せず、屋敷に押し入り大立ち回り。大目付はかがりが斬り捨てる。
水野は渋谷村の陋屋に蟄居、新十郎は村越父子と新天地へ船出、かがりは彼と共にゆくのを断念し水野の傍に仕える道を選択する。
*村越の話を聞きアメリカに興味津々で目を輝かせる新十郎、阿片戦争の実相を知り国情を憂える水野、二人の男の対比がなかなか。
 ロケ地、大目付・大鳥甲斐守邸、相国寺林光院(門)

■ 必殺仕事人 第21話「子隠しで昔の恨みを晴らすのか?」1979.10.5ABC/松竹

 誘拐される津軽屋の幼い息子、身代金を払うも殺される。お付の女中は責任感に苛まれ、苦界に身を売って金を作り仕事人に依頼。まるで手がかり無いなか、主水の勘で後妻に入る予定の役者・染次を探る半吉と秀、果たして女は誘拐団一味の姐御で、手引きは仲間と縁切りのためのバーター取引だった。人質殺害はアクシデントで、縄を抜けた幼児が彼女の顔を見てしまったため。そして、彼女の二つ名と腕の痣のことを告げられたおとわは、驚愕と苦悩の淵に投げ出されるのだった。
 ロケ地、船に乗せさせた身代金を持ち去る狐の嫁入り一味、罧原堤下汀。仙太郎の死体上がる汀、桂川松尾橋上手。女中のおみねが半吉に仕事人のことを聞く水辺、広沢池東岸。ラスト、チームに暇を告げるおとわの文のナレーション入るなか旅行くおとわのシーン、広沢池東岸(堤から見下)罧原堤下汀(光る川面)
*苦悩の果て妹に仕掛けるおとわ、舞台上で葛の葉を演じる染次が障子に「恋しくば」の歌を書きつける裏から刃を突き出す。その前におとわの脳裏にフラッシュバックする生き別れの妹の顔・顔・顔。笑う妹・舞う妹・別れの際名を呼び駆け寄る姿、説明を入れない描写が秀逸。

■ 大奥 第9話「凶事を呼ぶ黒紋付の霊」2003.7.29CX

 盆で多くの女中が宿下がり、閑散とする大奥で居残り組が無聊を慰めるイベントの百物語、最後の蝋燭を置きに開かずの間へ入った涼波が惨殺死体となって見つかる。
祐筆に話を聞きにいったまるは、そこでも開かずの間にまつわる黒紋付の女の不吉な言い伝えを聞かされる。涼波の件は針子の歪んだ愛憎の果てと知れるが、家慶公も見て直後頓死した曰くつきの黒紋付の女を上様も見てしまうのだった。
 ロケ地、宿下がりの女たちがゆく、姫路城はの門下坂。墜落櫓は姫路城櫓門に似るも下が空濠みたいだしなんか合成くさかったりして判らない。
*祐筆にふだんはナレーション担当の岸田今日子、なんかちょっと喋るだけで怖い。
2003/7/28

■ 江戸を斬る 梓右近隠密帳 第16話「悲願の直訴状」1974.1.14TBS/C.A.L/東映

 下総・佐倉藩ではうちつづく飢饉にも関わらず圧政敷かれ、佐倉領印旛沼の名主・木内宗五郎は将軍に直訴を試みる。追う佐倉藩士たちから宗五郎を逃がし、幕閣にはかって直訴の罪をナシにと計らう右近だが、宗五郎は小金欲しさの遊び人にチクられ捕われ、佐倉送りとなってしまう。牢にまで赴き宗五郎を救おうとする右近だが、本人に断られてしまう。そして宗五郎は民衆の記憶に深く刻まれる英雄として堂々と刑死するのだった。
 ロケ地、印旛沼の渡し、西の湖か。直訴の将軍参詣の寛永寺、仁和寺参道(塔映りこむ)

■  第38話「刀の中の顔」1967TBS/松竹

 旗本・三田村家では幼少の殿をいいことに用人が家政を壟断、札差とつるみ私腹を肥やす。
浪人・池田種之助は三田村家に仕える友人から剣術指南として入り、殿の傍近くにあって諌める役を果たしてくれと申し出がある。しかし指南役となるには、用人が推す道場主と試合をして勝つ必要があった。この試合を巡りさまざまな妨害をかけてくる用人一派、闇討ちで右手を負傷し一時は自棄になる池田を手荒く励ます新十郎、札差がらみでかがりも動く。
そして試合、池田はここでも奸計に陥ち斬り死にしてしまう。これを聞きぷちんとキレた新十郎、道場へ乗り込みワル皆殺し、道場主ご自慢の長船は真っ二つに両断されるという大立ち回りを演ずる。事後、水野老中が裏切りに遭い暗雲立ち込める気配が示される。
 ロケ地、池田の息子が苛められているところへ通りかかり悪ガキを散らす新十郎、御室88ケ所堂前池と橋。池田が素振り、同所宝筐印塔と石仏群前。以上二ヶ所設定は神田お玉ケ池。三田村屋敷、随心院薬井門大玄関。伊達道場外、新十郎が伊達一角と雷鳴の下対峙、随心院寺務所入口門前。ED、去る新十郎、同所参道
*池田の敗因となった伊達一角の「汚い手」は金ぴかの鍔で光を反射させ目を眩ませるというもの。池田の時は陽光、新十郎の時は雷。

■ 子連れ狼 第4話「愛と死の道中陣!亡き妻の哀しき面影…」2003.7.28ANB/東映

 一刀に亡き夫と君主の仇をと願い出る未亡人はあざみに酷似。共に旅行き暮らすうち心揺れるかに見えた一刀だが、その女が敵と看破していた。女は、一刀を仇と付け狙う夫・柳生軍兵衛の死を見たあと、大五郎を庇ったことで烈堂の制裁を受け横死、一刀は束の間の亡き妻との思い出に浸ったことを謝すのだった。
 ロケ地、祭礼の音響く村を過ぎる父子、美山町萱葺民家群。六道護符の貼られている堂、御室八十八ヶ所の堂。雲海和尚に一刀への仕掛けの段取り聞く軍兵衛、西寿寺(夜景、ライトアップ)。岩間へ向け道中の一刀たち、山室堤道。志乃の屋敷、不明・キャプチャ。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第28話「明日に咲いた影の花」1978ANB/東映

 プチ由井正雪の軍学者が将軍を暗殺し「世直し」を企てる。彼らが鉄砲で殺害した「上様」は吉宗の知らぬところで手配されていたそっくりの影武者だった。
自分の身代わりで人死にを出したことにいたく心痛める上様は、影の唯一の親族である姉を訪ねひととき「弟」を演じ共に過ごすことに。そこで「姉」の恋人がクーデタ主導の軍術道場の一味なことを知る。その男は過激な手法に疑問抱き異を唱えるが、消されかかる。襲撃の一味に立ちはだかる上様、身分を明かしてぶちのめし。
 ロケ地、クーデタ計画の金沢流軍学塾、上賀茂神光院(中興堂、蔵)
*軍学者・金沢に石橋蓮司、酷薄で浅はかな不満分子を好演。影の盲目の姉に中村玉緒。

■ 必殺仕事人 第20話「この世の地獄は何処にあるのか?」1979.9.28ABC/松竹

 旅にある鹿蔵からおとわに依頼が来る。将軍の日光参詣の先乗りをつとめる大目付の非道ぶりは、鹿蔵をして「この世に地獄を見る思い」と表現せしめるほどのもの。
粕壁宿では冥加金を用意できぬ寒村に難癖をつけ、流行病の根絶と称し民家に火を放ち老人や幼児も焼き殺す。また、栗橋宿でも収穫期に村人総出の道路拡幅工事を強要するなどする。
粕壁宿の百姓の血を吐く訴えを聞き届けたチームは栗橋宿に入り、冥加金をゲットし上機嫌の大目付一行を巧みに誘い出し、闇に葬るのだった。
 ロケ地、粕壁宿、大目付の使嗾で殺された者の荼毘、罧原堤下河原。依頼状が仕込まれた馬頭観音の御堂、御室八十八ヶ所堂。栗橋宿の鎮守・栗橋神社、鳥居本八幡宮(石段、鳥居、舞殿)。大目付一行がゆく栗橋宿の街道筋、酵素河川敷(林間から見越し)。大目付一行を狙う粕壁宿の庄屋の倅が撃ち殺され転がる、酵素有栖川
*おとわに意向を聞かれた秀「スカッとするならやる」は二話でのポリシーと同じ。若僧設定の強調?

■ 水戸黄門 第32部第1話「百万石への旅立ち(江戸)」2003.7.28TBS/東映

 加賀百万石に不穏の気配、輿入れ予定の将軍の養女に返事来ない・加賀友禅の品不足など材料出まくり。前田家へ輿入れ予定の松姫が拉致監禁され乗り出す老公、バックを聞きだそうとするが陰謀主体の加賀藩勘定方は老公の前で自刃。加賀に何か起こっていると旅立つ老公で幕。
 ロケ地、水戸藩上屋敷、大覚寺大門、式台玄関。湯島天神境内で脱走の松姫、大覚寺心経宝塔前〜望雲亭〜大沢池堤。拉致される、五社明神本殿裏手。松姫が助さんに再会を期し簪を渡す、大覚寺天神島。松姫が帰還する江戸城、二条城本丸北櫓門。一味のアジトの法性寺、不明・キャプチャ。
*上様が老公に懇願しゆくお忍びは吉原。加賀の動静を探るためと言いながらお楽しみの模様。*松姫を追った助さん「こっここは江戸城」ってなんじゃそりゃ。助格新キャスト、先と同様線が細すぎるような気が。*鬼若の前には性懲りも無く現れる山口馬木也、わけわからんビジュアルでいずれまた、と消える…。
2003/7/27

■ 鬼平犯科帳3 「谷中いろは茶屋」1992.2.5CX/松竹 通算54話

 墓火の秀五郎の凶行が続くなか、木村忠吾は茶屋女に入れあげ佐嶋与力からきつく叱られる。金が続くはずもない忠吾だが、今回は女に惚れられ揚げ代を出してもらうおいしい設定。その金は、女のところへ通ってくる粋人・「川越の旦那」が、酔狂にも好きな男のために使えと出していたものだった。そして、その旦那こそ凶盗・墓火のおかしら。
或る日女に会いたさに役宅の塀を乗り越え谷中へ急ぐ忠吾だが、途中墓火一味を見かけ女への気持ちを振り切って尾行し役宅に急報、一味が江戸を売る寸前に火盗改の討ち込みとなり落着。川越の旦那こと秀五郎は、亡くした息子と同年輩の忠吾に、手柄にせよと自ら身を投げ出し斬られる。
*原作では秀五郎が茶屋女・お松に語る「人間という生き物は悪いことをしながら善いこともするし」云々の台詞はラストに鬼平が口にし、話を締めくくる。
 ロケ地、谷中界隈のイメージの子らが駆けてゆく寺門に金戒光明寺三門。秀五郎一味が江戸での最後のお盗めに走る谷中界隈、大覚寺放生池堤〜護摩堂。ターゲットの善光寺裏の光明寺、反った渡廊が印象的なるも不明・キャプチャ。
2003/7/26

■  第37話「帰って来た男」1967TBS/松竹

 左近が島送りにした元錠前師が赦免となり帰還。更正を誓う彼に世間は冷たく、しかも女房は実の弟と結ばれていた。そんななか昔の仲間が彼を引き込もうと弟を拉致して脅し、錠前破りを強要。許しておけないと踏み込んだ新十郎はワルどもを叩きのめし、窮地から救ってやるのだった。しっとりと描かれる人情話に、新十郎行きつけの酒肆の親爺(入墨者)のエピが加味され奥行きをつける。
 ロケ地、次々と職を追われ疲れ果てた伊太郎が川面を覗き込むところへ伝次が声をかける、上賀茂神社ならの小川神事橋

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第27話「柳生一族を斬る女」1978ANB/東映

 タイトルの「女」は美空ひばり演ずる紀州屋のお奈津、謀殺された剣術の師匠の仇をとるべく単身柳生屋敷へ斬り込む。じいや忠相に止められるも土壇場には介入の上様、飛騨守の弟が裏で乱発していた柳生の免状の件もあわせて糺す。
 ロケ地、飛騨守が上様に稽古をつけるお城の庭、枳殻邸(印月池前の園地に幔幕、じいから遁走の上様は傍花閣の向こうに消える)。柳生道場、随心院(正門に薬井門、助八が逃走する通用門に長屋門)。秋山惣右衛門が柳生玄蕃らに襲撃される路地、随心院大乗院前路地。忠相らが上様にお奈津の件に介入するのはダメと諌める庭先、枳殻邸印月池畔。斬り込み前にお奈津が佇む菩提寺、随心院本堂
*美空の殺陣は柳生邸斬り込みでたっぷり。上様と別れるシーンでは串本節も。
2003/7/25

■  第36話「香木騒動始末記」1967TBS/松竹

 早馬から子供を救ったのが縁で新十郎と意気投合の侍は、他藩との折衝に赴く伊達家の家臣・戸ケ崎精四郎。泉州の浜に流れ着いた香木を入手しようとする伊達家と山内家の評定は屁理屈の応酬となり、最後は香木を二つに分ける運びに。しかし香木のことを知らぬ伊達家は価値の低い上のほうを掴まされてしまう。これには新十郎たちが介入し山内家の御用邸から盗み出す。しかし盗ったほうの香木を寄越せと言い出す戸ケ崎、斬り合いとなる。
後味のわるい結末、伊達のほうの香木も盗み出した新十郎は火祭りに赴き、二つながら火中に投じるのだった。
 ロケ地、泉州双子浜、マジ海か琵琶湖かよく判らない(岩の多い浜、松原)。山内家御用邸、随心院大乗院路地、薬井門。火祭りは鞍馬か。
*かがりは水野の命で当地へ、新十郎は戸ケ崎が心配で、左近は休暇旅行。

■ 江戸を斬る 梓右近隠密帳 第15話「笹野権三郎誉れの仇討ち」1974.1.7TBS/C.A.L/東映

 槍の名手・佐分利左内が立会いで遺恨を持たれ暗殺される。仇討ちに江戸へ出る娘、これを助け師の無念を晴らす弟子・笹野権三郎、右近をはじめ丸橋忠弥や大久保彦左衛門も出張りサポート。張孔堂は逃げ込んできた暗殺者を匿い、大名に推挙するというイヤーな関わり方をする。
 ロケ地、子供が木に絡ませた凧を槍で取ってやる笹野、上賀茂神社神事橋。拉致された八重を探し若槻藩へ帰る家老の駕籠を大宮付近の街道で確かめる笹野、下鴨神社参道。将軍のお声掛かりで晴れて仇を討つ笹野と八重、上賀茂神社北神饌所前。柳生の紋入りの幔幕が巡らせてある。
*笹野に加藤剛、大岡越前見てるみたいなメンバー揃い。八重を拉致する覆面の男達の一人に福本先生。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第26話「朝寝朝酒で出世した男」1978ANB/東映

 無法の町・新宿を牛耳る悪徳商人を一掃するお話。
代官を顎で使い幕閣にも幅を利かす山崎屋、宿場の小商人からきちきちみかじめ料取り立てるが、自分は運上金も払わずぶいぶい。代官以下この放埓を見過ごし供応に預かるなか、ただ一人流れに乗らぬ役人あり、しかし昼間から大酒を食らい子らにも軽侮される昼行灯。この男に誠心を見た新さんは彼を励まし民衆と共に起つよう促す。男は以前悪風に異を唱え、女房を密殺された経緯を持っていた。
 ロケ地、庭番に新宿の件の報告を聞く上様、大坂城外濠。忠相やじいに新宿の化物退治を宣言の上様、大坂城極楽橋上。いずれも天守バック。内藤新宿、茶店の親爺が山崎屋の用心棒に斬られる、大覚寺五社明神。新さんが気配に気付く、放生池堤。去る用心棒と行き会う酒田善右衛門、参道橋。妻の墓に参る酒田に決起を促す新さん、広沢池東岸に船着きと墓セット(徐々に夕景となる)
*山崎屋の手下の一人に福本先生、役名は「子分」。処々で目立ちまくり。*タイトルは事後新宿代官に命ぜられる酒田を指す。

■ 必殺仕事人 第19話「仕事人が女に惚れて何故悪い?」1979.9.21ABC/松竹

 タイトルから丸判りの秀の話。
好きあった女に、殺し屋ゆえ煮えきらぬ態度をとってきた秀。或る日その女は別の男と駆け落ちしたとされ失踪。これには人身売買組織が噛んでおり、駆け落ちの相手にされ消された男の父親から血を吐くような依頼が来る。
女を探す秀にはおとわからきつい叱責があり、反抗する秀に抹殺指令も下るが、仕事を終え恋人の亡骸を抱き殺せと言う秀に「御前を殺すのは止めた」と去るおとわだった。
 ロケ地、女が拉致され吉次の死体が上がり監禁小屋のある江戸の前浜、琵琶湖西岸松原(舞子浜と思われる)。お加代に嫁にしてくれとせがまれる秀、桂川松尾橋上手の早瀬。おとわが秀を呼び出し叱責する、平野神社境内(本殿前の楠の大木の根方、舞殿や透垣に千木掲げた本殿がバックに映り込む)
*恋に迷う秀に、ハナから信用していなかったときつい態度に出るおとわのくだりは見もの。
2003/7/24

■ 江戸を斬る 梓右近隠密帳 第14話「忠長卿謀反」1973.12.24TBS/C.A.L/東映

 駿河大納言・忠長卿は境遇に不満を持ち、諸侯を糾合し幕府転覆を図る。知恵伊豆は潰しにかかり、柳生は事を平穏に収めるべく動く。そのさなか、命がけで駿河に向かう十兵衛・奈美兄弟を助けて動く右近、忠長卿に弟として会い心を尽くし説得する。結果、忠長卿は兵を動かさずに終わる。この件にはもちろん張孔堂が噛んでいるが、忠長卿も駒扱いの正雪くん。
 ロケ地、斬られた伊豆の密偵が浮く川、中ノ島橋(血が派手に流れる)。お小夜が覗き込んで発見。その密偵を埋めた無縁墓に参る十兵衛、二尊院か。駿河へ向かう右近たちが辿る甲州路、谷山林道(杉林の地道)
*忠長卿に中村敦夫、大名衣装も案外似合う。妙と奈美は瓜二つという設定で二役。

■  第35話「若さま飛び出す」1967TBS/松竹

 小大名の部屋住みの身分を嫌い屋敷を出る若様、そのあとに将軍の妹君との見合話が振って湧いて大騒動。江戸家老から、左近にまで探してくれとの依頼が来る。
以降、若様に刺客が放たれるは、見合相手の姫様はかがり連れで町に出てくるはのどたばたが続く。そして刺客を始末して屋敷に帰る若様、実は藩内にいた内通者を焙り出すためのお芝居だった、という結末。陰謀は将軍家の姫を息子のほうに貰いうけ、下賜される領地もゲット企む本家から。これは捕えた刺客に以降の手出し禁じる旨したためた水野老中の文付きで届けられ幕。賭場の手入れから二人して逃げた若様と姫はラブラブ状態、見合の席で再会のオチ。
 ロケ地、刈谷藩上屋敷、大覚寺大門、式台玄関、宸殿。前老中・土井利位邸(本家)随心院薬井門。照姫が出てくる江戸城西の丸の坂、知恩院黒門道。鑑札見せ出る門、知恩院黒門。ラスト、かがりと新十郎がおっかけっこの河原、木津川流れ橋(橋脚のみ映る)
*若様・源次郎に田村正和、江戸家老のじいに左卜全、わちゃわちゃ走り回る様が傑作。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第25話「素破!天下の一大事」1978ANB/東映

 深更、江戸の町に響き渡る怪しの爆音、おののく旗本たちを後目に得たりや応と城に駆けつける騎馬武者あり、その勇を愛でられ長崎奉行に推挙される運びとなる。しかしこの裏には自作自演のとんでもない陰謀が隠されていた。
 倒壊家屋もあり人死にも出て騒然となる市中、流言蜚語飛びまくり。以前出た風来坊の浪人・一色の活躍や、懐に飛び込んできた爆竹職人の娘の情報を届けようと大奥潜入の辰五郎など、スラップスティックドラマが進行する。
 ロケ地、江戸城のシーンに大坂城各所(山里廓周辺、天守、外堀、極楽橋)。城の中をうろうろ辰五郎のくだりに大覚寺宸殿まわり(宸殿縁先・むらさめの廊、庭)

■ 子連れ狼 第2話「鳥に翼 獣に牙」1973NTV

 「とびっちょ」話。先だって北大路版のを見たばかりの目に新鮮に映るワイルドさ。艶っぽいシーンもちゃんと描かれ、殺陣もど派手。蔦の絡む郷森宿の吊橋のビジュアルも良し。若き日の石橋蓮司演じるクナイ使いの紋次郎の酷薄な狂気も見どころ。

■ 必殺仕事人 第18話「武器なしであの花魁を殺れるのか?」1979.9.14ABC/松竹

 花魁に騙され、さんざん貢いだうえ大恥をかかされた田舎者の親父は道中のあづまぢ太夫に斬りかかり獄門・梟首に。その娘は父の行為を愚かと知りつつ男の誠を踏み躙った太夫を許せず復讐に走る。主水に仇討ち免状が欲しいと訴えた娘はそれが叶わぬことと知り、苦界に身を沈め或る夜太夫を襲うが果たせず、間夫の半吉と心中立てで大川に投げられてしまう。
しかし娘が託した願いは聞き届けられ、仕事人たちは警戒厳しい吉原の内に入り込み花魁と加担した者たちをさっくりと始末してのけるのだった。
 ロケ地、お冴が託した依頼金と書状を浅間神社の神木の下から掘り出す秀、鳥居本八幡宮鳥居下の木の根方。
*田舎親父の刃傷このかた、大門で所持品検査厳しくなる吉原に武器を持ち込む算段の仕事人たちの工夫が見せ場のひとつ。花魁の席へ招かれた際や、仕掛けのきっかけを作るため三味を弾き唄うおとわのくだりは保存もの。*結局お冴には利用された形となる半吉、吉原へ赴く際の「痩せた女抱きてー」が笑える。
 ところでうちではミステリ版住人は無用ですお帰りください
■ 必殺必中仕事屋稼業 第12話「いろはで勝負」1975.3.22ABC/松竹

 米問屋・伊呂波屋の裏稼業は「いろは通り」と称する歓楽街の営業。これを嫌った二代目は裏を一掃すると宣言するがその夜のうちに暗殺されてしまう。この仇討ちを依頼されたおせいはいろは通りに探索に入るが、殷賑極める賭場あり岡場所ありの風俗に辟易、仕事のほかに歓楽街の壊滅も託す。しかし潜入した半兵衛と政吉の取り入るための新規プランは大受け、いろは通りをますます繁盛させることとなる。
いろは通りを仕切る三人のうち誰が下手人か探索するうち、曲折あり残ったのはもともと堅物の徳三、動機は二代目の許婚者・篠に横恋慕していたためだった。
*賭場にバカラ導入の政吉、岡場所にソープ導入の半兵衛、しまいにいろはの法被着て重きをなすに至るプロセスが傑作。三代目襲名の段で捨てた女に刺される仙一のくだりなどはヤクザ映画のパロじみている。博打のシーンの描き様は作中傑作の部類に入るかも。
 ロケ地、篠が徳三に二代目殺しの犯人の目星聞く、黒谷墓地
2003/7/23

■ 江戸を斬る 梓右近隠密帳 第13話「巷談八百屋お七」1973.12.17TBS/C.A.L/東映

 神田・下谷一帯を焼く大火、右近たちも焼け出される。避難した駒込・正仙院では一様に落ち込む人々のなかにあって高声で笑う小町娘あり、耳目を集める。これこそ名高い八百屋お七で、以降伝えられるとおりの話が進行するが、お七を唆し自宅に火を放たせ江戸を火の海にしようと企む山伏があり、これが正雪の一味。お七は白州で自分がやったと申し立て市中引き回しのうえ火焙りに処せられるが、磔刑台から新助がすり替え、若い恋人達は右近の計らいで密かに江戸から落とされるのだった。
 ロケ地、正仙院、西賀茂神光院。炊き出しを受ける右近たちが中興堂縁先にいる。また、お七に託された吉三郎への文を取り次ぐ右近のシーンではが使われている。お七が処刑される鈴が森、広沢池西岸農地。旅立つ二人を見送る右近、北嵯峨・陵前の地道

■  第34話「悲願兄妹鏡」1967TBS/松竹

 奸計に落ち改易となった津山藩の浪士たちと知り合う新十郎、リーダー格の侍・吉田清太郎の心底を見て助力を申し出る。目的は公儀に反省を求めることと言い、同志になるべく犠牲が出ない方策を摸索する吉田、恥を忍び昔の恋人で現将軍家側室の女に縋ろうとしたりする。
左近やかがりも動き、大目付と津山藩のあとに転封しようと画策する花咲藩との関係を暴く。水野の使いと称し大目付邸に乗り込み証拠書類ゲットの新十郎たち、大目付は切腹となる。吉報を喜ぶ浪士たち、しかし新十郎は吉田と妹のお新が世上を騒がせた詫び自害しているのを見るのだった。
 ロケ地、大目付の駕籠を襲う津山藩の浪士たち、随心院長屋門前路地。大目付・内藤甲斐守邸、随心院薬井門。中間部屋で賭場を開く旗本・吉川邸、随心院長屋門、変装した左近が入ってゆくのは寺務所門(拝観入口)

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第24話「七里飛脚は鬼より怖い」1978ANB/東映

 両国の船宿で七里飛脚が殺され、宿の女中・お紋が犯人として捕縛される。お紋の父は藤沢宿で二年前そのお七里に無礼討ちになっており動機充分とされ、凶器も彼女の簪。冤罪と確信した新さんは探索に走り、米問屋・武州屋と七里の元締が図ったことと突き止め、七里を使い堂島の相場情報をいち早く知り米の横流しで巨利を貪るという構図を焙り出す。元締のアリバイ崩しには早駆け競争を持ちかけ自ら出場し、両国−品川間を一刻で往復可能と実証する。結果七里役所に手入り、関係者処断されまくりでメデタシ。
 ロケ地、大山へ代参の帰りのめ組の源三と鉄がゆく神奈川宿の瀧の川土橋、木津川流れ橋(夕景)。め組の二人が百叩きの神奈川代官所、大覚寺明智門。助八と槍のお稽古上様、大覚寺御影堂前。め組から帰るお紋を送ってゆく新さん、広沢池東岸。お紋の父が御状箱の中の米の相場表見てしまい七里に無礼討ちされる藤沢宿はずれ街道筋の農地、木津川堤下の堤内地。両国−品川間の早駆け競争、北嵯峨農道大沢池堤放生池堤
*品川の妓楼に調査に入る新さん、訛りのきつい敵娼に押し倒されるシーンにダバダバダーと妙な音楽が被さるのが笑える。

■ 必殺仕事人 第17話「鉄砲で人を的にした奴許せるか?」1979.9.7ABC/松竹

 鉄砲方組頭のどら息子たちに両親を生きた的にされ惨殺された娘は、江戸へ出て路傍に座り込み仕事人を求める。奉行所の目が光るなか願いを聞き届けるおとわ、罠の中に飛び込み仇を討つ仕事人たち。当初危なすぎると渋る主水だが、依頼人の娘が親と同様嬲り殺しにされるのを見届け参加する覚悟を決める。
 ロケ地、大久保村の鉄砲場、酵素(河川敷、降り口、有栖川)。橋を渡り娘が座り込むのを見るおとわ、渡月橋(シルエット遠景、橋上ゆくおとわの背後に法輪寺)。鉄砲方に脅され探しに来た村人に捕まる娘、大覚寺放生池堤(葦繁茂する汀)
*ツナギの際鹿蔵はどうしているかと話題にのぼる。きっちり江戸に来ている鹿蔵、若い娘連れで「じいじ」と呼ばれ往来でデレデレ。見つけた主水は鹿蔵とおとわが「そういう関係」と聞かされる。主水は口止め料を脅し取り危険な仕事の足し前にと図るが、怪しまれおとわに鹿蔵の件バレてしまう。連れの娘に金をさらわれた鹿蔵は仕事に参加する羽目になる。おとわと鹿蔵のやりとりが傑作。*依頼人の娘が惨殺されるシーンはスローモーションで描かれ、最後の息で画止められ「仕事人さん、仇をとって仇を」と印象的。保身のため彼女をたばかった庄屋たちも巻き添えじみた殺され方をするのがなかなか。

■ 子連れ狼 第1話「子貸し腕貸したてまつる」1973NTV

 動的な一刀のアクションがやはり見せる。壬生藩城代がターゲット、腹心の浪人二人を殺る手口も一子大五郎を使うなど卑劣一歩手前。城に籠った家老に近づくのには奸計を用いて入り、乳母車仕込みの武器で暴れまわる。これに依頼者の女郎が大五郎の身を案じるエピソードなどからむ。浪人の一人・振り杖外記に若き川合伸旺、派手な立ち回りが見られる。ロケ地は関東撮りなのでほぼ不明、日光杉など見えるがいい感じ。
2003/7/22

■ 江戸を斬る 梓右近隠密帳 第12話「浪人非情」1973.12.10TBS/C.A.L/東映

 荷運びのバイトで浪人・木塚弥九郎と知り合う右近、禄を離れた暮らしの厳しさを聞く。その後仕官を望む弥九郎は雇主の遠州屋にハメられ辻斬りの罪を着せられる。その前に遠州屋に人殺しを頼まれるなど少し曲折あって、最後は病の妻と心中までしかける彼を救ってやる右近、でもラス立ち後遠州屋に一件の黒幕を吐かせようとしてまたまた失敗。
 今回の陰謀は正雪の配下・林の独断で、札差のトップに昇ろうとする遠州屋と共謀しライバルを消して回っていたという設定。林くん怒られてやんの。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第23話「怒れ!!魚河岸野郎」1978ANB/東映

 賄方の役人が、魚河岸で無茶な御直買いはするは買い上げ料は十年前のままと無体を働き、結果市中に出回る魚が高騰する。調子に乗った役人たちは直買いの量を増やし、密かによそへ卸し巨利を貪る。魚河岸の軽子までして探索の上様、最後は役人宅へ討ち込んだ太吉を助けワルを成敗。
*ぬるい汁と焼き冷ましの魚に辟易の上様、賄い方を覗きにゆく。そこで目にした種々の無駄に呆れ「俺は六人前も食わんぞ/アレも皆俺が食べたことになっておるのか」と嘆息。*今回「乗り込んだ」新さんを誰何のワル、かーんかーんと効果音鳴り上様のポートレートが乱れ飛ぶ初のパターン?

■  第33話「金塊消失」1967TBS/松竹

 佐渡から金を運ぶ勘定方の一行が襲われる。このことで新十郎に助力を要請の勘定奉行。
荷が消えた三国峠に赴く新十郎、行方不明の宰領役の息子の面倒まで見て、金塊は宰領役により襲われる前に隠されていたという真相に迫る。怪しい浪人者の影がちらつくなか、ようやく見つけるも自失の宰領役の記憶を無茶して戻す新十郎だが、実は勘定奉行が企みの主体でチャンバラ。酒肆の女将は欲をかいて金塊の隠し場所に先行し落盤で圧死、憮然とした表情で現地を後にする新十郎であった。
 ロケ地、宰領役が強盗に落とされる三国峠の崖、保津峡落合落下岩。ラス立ちは河口

■ 必殺仕事人 第16話「綺麗な花には何故棘があるのか?」1979.8.31ABC/松竹

 強盗事件が続発、ワーカホリックの南町同心・北出は病弱な体を押して探索を続ける。主水は危ぶむが、初心な北出は強盗を飼っている札差を怪しみつつ、しおらしく近付いた妾にほだされ謀殺されてしまう。その後北出の母は自死、妹は出家し、精霊送りの灯籠を流す。おとわのもとに流れ着いたそれには、恨みを晴らして欲しい旨の短歌がしたためられ、金が添えられていた。
 ロケ地、北出に境遇を語り同情をひく坂井屋の妾、大沢池畔。

■ 大奥 第8話「束の間の夫婦」2003.7.22CX/東映

 大勢としては将軍上洛と、続いて長州征伐が始まる間のお話。家茂は倒れ、看病の和宮と束の間の琴瑟が描かれる。瀧山さまは心労の果て柳丈によろめき、まるの慎ちゃんは戦いに行ってしまう。
 ロケ地、写真をとる和宮、姫路城西の丸。家茂に側室を勧める和宮、彦根城玄宮園魚躍沼・龍臥橋上。上洛の家茂の駕籠が出る、姫路城菱の門。柳丈の如是寺、龍潭寺。慎ちゃんがゆく街道筋、嵐山自転車道
2003/7/21

■ 江戸を斬る 梓右近隠密帳 第11話「小坊主剣客」1973.12.3TBS/C.A.L/東映

 父の仇を討つべく柳生に入門しようと丸亀から出て来た小坊主、もちろん門前払いを食う。これを助け面倒を見てやる右近と奈美、これに丸亀藩のお家騒動が絡み、小坊主の仇討ちに事寄せて讃岐入りの右近たち。姦計におちた城代を助け、陰謀を企てていた次席家老を裁き、きちんと仇も討たせてやる。江戸に銃器を持ち込む陰謀にはやっばり張孔堂が一枚噛んでいたりする。
 ロケ地、柳生屋敷、随心院薬井門。入門を断られた小坊主・坊太郎が佇む丸亀藩邸近くの橋、大覚寺参道石橋大門前の参道を来た丸亀藩士たちに誰何され追い詰められる、天神島。右近宅に引き取られた坊太郎に稽古をつける奈美、今宮神社稲荷社前ほか。右近が長兵衛を伴い調査に赴く品川の浜、琵琶湖西岸松原(舞子浜と思われる)。丸亀へ赴く右近たち、丸亀の浜と港に琵琶湖西岸(松原と船着)。丸亀藩城代屋敷、随心院大玄関

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第22話「天下を支える友情」1978ANB/東映

 珍しく失策を演じる上様、関東郡代の口車に乗せられ、また見聞した僅かな経験から千住宿の綱紀粛正の布告を出してしまう。これにより出店や掛小屋は禁止され追い立てられることとなる。しかし郡代は跡地利用を巡り巨利を得ることを狙い宿役人や地回りと結託しており、逆らう者を消しにかかる。再度千住入りした上様は郡代の実態を知り千住の繁栄を築いた民の声を聞き、職を賭して諫止した忠相の真意を知りいたく反省するのであった。もちろん郡代のもとに乗り込み悪を糺す上様、郡代の放蕩息子に侮蔑を受けたりするが叩きのめし、「どうだ馬鹿将軍の刀の味は」とやり返す。
 ロケ地、千住へ馬をやる上様、下鴨神社糺の森馬場。蝶々亭の座頭が斬られる現場に駆けつける新さん、大覚寺五社明神。蝶々亭の踊り子に面罵された忠相に謝る上様、護摩堂
*行列を止められ千住宿の治安のことで上様に皮肉を言う伊達少将、ラストには忠相と王者の孤独を述懐、話の後先のフレームを作る。

■  第32話「白州の鬼」1967TBS/松竹

 御用金を預かる商家が次々襲われ、富商の嫁入り行列が度々襲われるなどして威信失墜の北町奉行・立脇将監。奉行所に内通者ありと疑われるなか、奉行の娘と祝言間近の与力が槍玉に上がる。苦境に陥る奉行に力を貸す新十郎、奇策の果てワルを焙り出す。陰謀の主は、奉行を推挙しておきながら隠居の身に虚無を感じ返り咲きを目論む元奉行と、奉行の婿となる与力を欲と色と両面から妬んだ同僚の与力だった。ラスト、隠居の爺は腹に刃を突き立てながら、新十郎にもう一度真っ白な白州で罪人どもを見下ろしたかったと少々異常な欲望を口にし事切れる。
 ロケ地、曲者の後を尾け、奉行の婿となる与力の屋敷付近で見失う左近、黒谷塔頭道。婚約者に会うことを禁じられた奉行の娘が抜け出して恋人と会う、大覚寺大沢池堤。怪しい鳥追いを追ってゆく新十郎が刺客に遭う、随心院長屋門前の路地。奉行の娘の輿入れの駕籠が出る、相国寺林光院、行列は塔頭道から金戒光明寺東坂へ。元奉行・高山典膳隠宅、中山邸(門)。かがりが扮した富商の花嫁行列がゆく、下鴨神社泉川畔から参道を見上げ。ワルの手下のアジト、鳥居本八幡宮(舞殿に扉セット)

■ 子連れ狼
 第3話「三人の刺客とあばずれ女!大五郎に母なる味を…」2003.7.21ANB/東映

 己が腹を痛めた子を次期に据えようと画策し世継の君に刺客を放つ側室あり、お家を案じた老武士から一刀に刺客の始末をと依頼が来る。刺客はあっさりと一刀の胴田貫の露と消えるが、その口から秘密が漏れるのを恐れた側室と兄・郡代から追っ手がかかる。
この間、ふと関わった足抜け女郎は郡代差し回しの地回りから逃げた女、一刀父子を売ったりするが内実は優しい哀れな女も大五郎の目の前で死んでゆくのだった。
追っ手を全て斬り伏せる一刀だが、側室は見逃す。この際鍵となるのは「母」、足抜け女は大五郎にようやく炊き上げた飯を食べさせ「母の味」を伝えて死に、冥府魔道をゆく父子の逸話のひとつとなる。
 ロケ地、岡部清衛門から依頼を受ける一刀、鳥居本八幡宮(舞殿に扉セット)。父が仕事に出たあと、下駄で天気占いの大五郎がお仙に当ててしまう、大覚寺五社明神本殿東塀。お仙に乞食をさせられる大五郎、舞殿前。地回りに捕まったお仙が逃げてくる、有栖川(大覚寺東塀沿い)。一刀が依頼の刺客を殺る、石鳥居。これを見て一刀に道連れを懇願するお仙、大沢池堤。一刀たちのあとをついてゆくお仙、酵素ダート。一刀たちが休む小屋、酵素有栖川畔にセット。お仙が米をとぐ、酵素有栖川。一刀を待ち伏せする地回りと郡代、鳥居本八幡宮の大岩のある竹林。乱闘は鳥居下の林間。売ったことを知っていて、と一刀に問うお仙、酵素河川敷

■ 必殺仕掛人 第22話「大荷物小荷物仕掛けの手伝い」1973.1.27ABC/松竹

 大八に轢かれ盲目となった娘の治療のため仕掛を行う老仕掛人の哀話。
仕損じ無しと言われたカニの七兵衛だが、ブランクと老いには勝てず仕損ない、半右衛門に助力を申し出るが断られる。しかし境遇に同情したおくらや興味を持った梅安は肩入れする。
ターゲットは大奥とも通じる生臭坊主の日朝。祈祷に来た女を食い、脅して金をせびる悪行ぶり、その正体は昔「島」で半右衛門が世話になったむささびの吉だったりする。
日朝の用心棒に殺られる七兵衛、これを受け現仕掛人たちが動き出す。
 ロケ地、日朝の神応院、宇治興正寺(山門、境内、琴坂)。日朝の用心棒に襲われ手裏剣を背に受ける七兵衛、木津河原(蟹を獲る汀は宇治か?)。日朝を呼び出す半兵衛、鳥居本八幡宮。仕掛の際、囮となり用心棒を引きつける千蔵、左内とスイッチは大覚寺天神島
2003/7/20

■ 必殺仕置屋稼業 第6話「一筆啓上怨霊が見えた」1975.8.8ABC/松竹

 新盆の宵、死んだはずの夫の声を聞く井筒屋の後家。まさかの思いに沈む彼女に、出入りの髪結いであるおこうは調査を申し出る。その結果知れたのは彼女に横恋慕した義弟が夫を謀殺したという事実、その男と祝言をあげる段取りも進み憎からず思っていた女のとった行動は、仕置の依頼であった。
 ロケ地、清二郎が浪人たちと共に兄を謀殺する箱根山中、保津峡落合トンネル。谷底に落とされる兄の死体、清滝川(落合橋下)。おこうがおそのに調査結果を伝える、化野念仏寺(石仏群)
*夏にOAされた作品らしく、仕置の際にひとりでにぱたぱたと提灯が倒れ「亡霊」もぬうっと出てくる仕掛け。また、若死にした父を弔う市松の姿が描かれ、ラストには仕置した清二郎のため灯籠を流すシーンと相俟って情感を高める。*かきいれ時に奔走の印玄、でもお経はすげーいい加減。屋根落としの断末魔は「助けて止めて」。

■ 鬼平犯科帳3 「いろおとこ」1992.1.29CX/松竹 通算53話

 追っていた盗賊に殺された兄の後を継いだ火盗改同心・寺田源三郎は、兄が使っていた女密偵と出会い仇討ちの糸口を掴む。兄の行動をトレースするかのようにその女と懇ろになった無骨で生硬な「いろおとこ」は、女の身を案じた叔父によって凶賊・鹿熊の音蔵にチクられ危地に陥る。
事後、「いろおとこ」は職を辞そうと鬼平に申し出るが、兄嫁との関係を看破されていてタジタジ、母子と兄の墓参のシーンで幕。
 ロケ地、源三郎が参詣しおせつと出会う回向院、清涼寺(本堂、参道)。逃げたおせつを追い詰める本所界隈、北野天満宮本殿裏手。おせつに話を聞く、上賀茂神社ならの小川畔。兄の追っていた音蔵がここへ入ったのだという亀戸天神門前の料理茶屋・玉屋、永観堂松岳院。おせつと話す船上のシーン、広沢池東岸。音蔵が放った刺客が源三郎を襲う、今宮神社高倉脇坂。兄の墓参に赴く源三郎が遺児の手を引く、粟生光明寺石段。おせつの墓に参るうさ忠とおまさ、二尊院墓地。
2003/7/19

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第21話「纏は見ていた」1978ANB/東映

 富商に放火した上で火事場泥棒を働く一味あり、火盗改長官がグルというこのとんでもない悪党どもを成敗するお話。
火事場泥棒の実行犯の一人は妹の薬代のためいやいや加わっている気弱そうな男で、これに同情した一味の用心棒が土壇場で彼を助け刃を返すエピソードや、め組の纏持ちが大屋根の上で殺され代わりに新さんが纏を立てる一幕もあり見所多し。
*用心棒役に栗塚旭、今見ている「風」との対比が面白い。役回りもどこか似ている。*ラス立ちで新さんと用心棒に加え辰五郎まで加わり大暴れ、外には忠相が出張ってきているが庭番のお園が「もうしばらくお待ち下さい」と告げるのが笑える。
 ロケ地、金が欲しいならという不知火の伝蔵の言に妹の顔を重ね苦悩する幸吉、大覚寺五社明神。幸吉に身辺に気をつけるよう進言する用心棒・一色、下鴨神社泉川畔。

■  第31話「地獄からの使者」1967TBS/松竹

 水野老中大ピンチ。狙撃され負傷した水野を新十郎のもとに連れてゆくかがり、事が知れては社会不安を呼ぶためしばらく屋敷には帰らず市中に潜むことに。
水野を襲うは凶悪な殺し屋・野ざらしの主膳、さしもの新十郎も苦戦を強いられるが、危機にはフィクサーのくらやみの徳兵ヱが現れ辛くも勝ちを得る。
 町屋で過ごす水野さま、左近の旦那は別件でそこへ入ってきて冷汗をかく、かがりは使命感から逸り新十郎に諌められ惚れ直すなどレギュラーの見せ場も多く、ゲストの主膳を演じる南原宏治の凶悪さも光る濃い一作。新十郎の裏の顔が垣間見える徳兵ヱとの一幕もなかなか。
 ロケ地、大川に船を出す水野が狙撃される、木津川。主膳たちのアジト、中山邸(門、参道)。長屋へ乗り込んできた主膳を尾行する新十郎、東福寺東司(南〜西〜北)。気付かれていてチャンバラ、禅堂前。水野を診た医師・玄庵が襲われる、鳥居本八幡宮鳥居下。事後、かがりと大川で釣りの新十郎、木津川

■ 必殺仕置屋稼業 第5話「一筆啓上幽鬼が見えた」1975.8.1ABC/松竹

 三味線のことで張り合った挙句、姉を殺した芸者を仕置してくれとの依頼が来る。ターゲットの中州芸者・おようはなんでも一番でなければ気の済まぬキツい魔性の女。今は絵師・国春が各遊里から一人の女を選んで続き絵を描くという企画に夢中、ライバルの菊次と路上でつかみ合いの喧嘩をしたりする。
市松は同業の知人を脅しつけおようが三味線のライバル芸者を殺すよう依頼した事実を掴む。しかし市松は報告しただけで、今回は別の仕事があるので参加しないと行ってしまう。動くチーム、印玄はおようの旦那を屋根落とし、主水はおようの家に押し入るが当の彼女はメッタ突きにされ死んでいる。これは菊次の付き人の仕業、しかし彼も直後悲惨な最期を遂げることとなる。そして国春のモデルとして得意げにポーズをとる菊次は、衝立の向こうに潜んだ市松に仕置されるのだった。
 ロケ地、自宅に来た商家の付け届けを「返す」主水がゆく市中、亀吉を殴り倒す、今宮神社東門外。菓子折の小判を取り箱を投げ捨てる、門内橋上。願掛けに来たおように死相見えると告げる印玄、今宮神社本殿〜合祀摂社前。おようをメッタ突きにしてきた菊次の付き人が走る、嵐山公園中州河川敷(栗石敷いた部分)。血のついた手を洗う彼を突き落とし、這い上がるのを蹴落とす菊次、堰堤
*おようの旦那の両替商に川合伸旺、屋根落としの際は小判をばら撒きながら「止めて助けて」。絵師に菅貫、すっとぼけた演技で「芸術家」を好演、珍しく死なない役。
2003/7/18

■ 江戸を斬る 梓右近隠密帳 第10話「辻斬り将軍」1973.11.26TBS/C.A.L/東映

 道場で十兵衛に叩きのめされクサクサ上様を近習が市中に誘う。たまたま催されていた相撲大会に飛び入り上様は優勝、お追従でない実力の勝利にホクホク。これに味をしめてお忍びの夜歩きは続く。そんななか辻斬りが出没、犯人は葵の紋をつけていた。このことは瓦版に書き立てられ、市中に良からぬ噂が蔓延、右近らの奔走で陰謀の正体はやはり張孔堂と知れる。
右近たちがほんものの辻斬りを捕え(いつもの証拠隠滅アリ)、正雪と通じていた近習は自刃で解決。
*本作の家光公はなんか貴公子然として上品、と思ってるといきなり「辻斬り」。十兵衛が調査に乗り出す際石でギコギコ刃引きして出るのは、ひょっとしてほんとに上様だったら困るからなのかなー。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第20話「人情あやめ河岸」1978ANB/東映

 本所奉行が長屋を立ち退かせ岡場所を作り、上がりで大儲けを企む。奉行の手下にはお鯱組と称する旗本愚連隊、名古屋城の鯱をモチーフにした羽織をまとい深川で幅を利かせる。羽織は上様に対する反抗の証、彼らのバックには尾張宗春。立ち退き騒ぎと同時に、加納じいの失脚も計画される。これは、じいが紀州時代の恩人の娘が勤める料理屋に上がった際のお鯱組との諍いから発生したもの。もちろん乗り出す上様、じいが拉致された娘のために討ち込む佃島の廃屋に颯爽と現れる。
 ロケ地、尾張藩邸、大覚寺大門。鯉に餌をやりながら密偵の報告受ける宗春、観月台。弓の上様がじいをからかう庭、枳殻邸印月池畔。船で佃島へ向かうじい、広沢池。上がる汀は東岸。お鯱組の不首尾を本所奉行に報告の尾張の密偵、大覚寺宸殿階。
*冒頭、深川で暴れるお鯱組の一人に福本先生。本所奉行・田所監物に川合伸旺。

■  第30話「今千姫」1967TBS/松竹

 倹約令の出る町で、湯水の如く金を使い派手に遊び「今千姫」と評判をとる女あり、ふとしたきっかけで新十郎も宴席に誘われる。どうにも奇妙な行動のその女は、人探しをしているようだと同席の遊び人は言う。女の去ったあとの座敷に首吊り死体が見つかるという不穏な事件も起こる。探るうち、女は水口藩近習頭の妻女で、拝領壺の紛失(翌日に戻る)で詰腹切った夫の死に不審を抱き陥れた仇を求めていることが知れる。遂に陰謀の主を現江戸家老と突き止めた女が仇討ちするのをヘルプの新十郎と左近、かがりは水野の殿様に免許状を貰ってきてやるという働きを見せる。女に付き従う若党のほのかな恋情の逸話も挿入される。新十郎に「美しい」と言わせかがりの嫉妬を買う今千姫に白木マリ、印象的なるも「りつ」から上書きには至らず。
 ロケ地、冒頭OPに被せ橋を渡る今千姫の駕籠、中ノ島橋。今千姫に誘われた新十郎が船に誘われる、大覚寺放生池堤。乗って行く先、望雲亭。新十郎を用心棒に雇った女が駕籠を止める、下鴨神社瀬見の小川橋上。壺盗んだ盗っ人を片付けた女が佇む橋、泉川の橋。仇討ちの場となる谷中斉明寺墓地、真如堂墓地。自分への思いをしたためた今千姫の文を川に捨てる新十郎、中ノ島橋

■ 必殺仕事人 第15話「その仕事の依頼引き受けるのか?」1979.8.24ABC/松竹

 油を隠匿し値を吊り上げる悪徳商人が三つ、このまま放置してはエラいことになると老中が乗り出すが、策は仕事人に三人を暗殺させるというもの。仕事人探しは主水に下りてくる。
或る日、油問屋から逃げてきた娘が惨殺されるにおよび、おとわは主水に仕事を受けるよう手配させる。奉行所が五つの鐘の鳴る間だけ警護を解くなか、仕事人たちは闇に悪徳商人たちを始末してのける。
 ロケ地、江戸城イメージに彦根城佐和口多門櫓、天守には姫路城。秀が助けた小津屋のお手つき女中の回想、庇ってくれた常松とのからみ、罧原堤下川中。秀の家を出た娘が小津屋へ帰る前に佇むのは同所汀。仕事人と与力・伊沢がツナギをとる武者八幡、鳥居本八幡宮(石段、舞殿)
2003/7/17

■ 江戸を斬る 梓右近隠密帳 第9話「決闘鍵屋の辻」1973.11.19TBS/C.A.L/東映

 剣友・荒木又右衛門を助けて渡辺数馬の本懐を遂げさせてやる右近と十兵衛。旗本と大名の対立回避にレギュラーの彦左や柳生但馬守が動く。張孔堂もしっかり噛んできて、今回は旗本に恩を売る。旗本のボス・阿部四郎五郎に河合伸旺。
 ロケ地、捕えた又右衛門が逃げたあと河合又五郎を近藤邸に移す際、渡辺数馬たちが仇と斬りかかる武家屋敷街、随心院大乗院前。河合が人吉へ向かう途中の東海道、琵琶湖西岸松原。藤堂藩領で鍵屋の辻へ河合一行を追い込む罠に使われる狩場、酵素

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第19話「纏持おとこの詩」1978ANB/東映

 世話になった御家人から小頭を養子をと望まれた辰五郎、頭の立場を察し自ら申し出て戸田の家に入った弥八郎だが、町人あがりと朋輩に軽侮され辛い日々を送る。
御目見得も適わぬ低い地位と、五代以来続く側近政治に不満を募らせる鉄砲組の御家人たちは弥八郎にますます強く当たり、ロシアンルーレットを強要したり人斬りの稽古と称して辻斬りをさせたりする。しまいに組屋敷に放火され弥八郎の付け火として切腹を迫る始末、弥八郎は意地を見せ割腹して果てる。駆けつけた上様は見事な切腹と誉め、家名存続を許すが空しいばかりの結末となる。
 ロケ地、戸田について庭番の報告受ける鯉に餌の上様、料亭坂口庭。戸田が辻斬りに出る、大覚寺有栖川畔〜五社明神。戸田の切腹、下鴨神社河合社裏。見届けた上様が馬をやる、大沢池堤
*弥八郎の姑に菅井きん、まんま「せん」。

■  第29話「虫けら野郎」1967TBS/松竹

 どぶ浚いをして暮らす竜吉たち三人組は金を溜め込み、いつか這い上がりハイソな暮らしをと夢見る。そのためには富商を脅すことも厭わず、金を取り返しに来たチンピラも殺す羽目に。
殺しの現場を見てしまった娘・おせきに近づき、甘言を用いて女房にし口を封じる竜吉。しかしおせきの純情に打たれ、始末する段になってためらい、そのうち手下二人もシンクロ、竜吉は一人進み出て左近のお縄を受けるに至る。
 ロケ地、黒汐屋を脅す竜吉たち、金の受け渡し現場は今宮神社(楼門、境内、高倉)。ラスト自首は桂川か(竹の河畔林・石礫…亀岡付近?)
*三人組の理屈がなんか奇妙。大金を掴んで金持ちの娘を買うっていうのがなんだかなー。レギュラーメンバーも彼らに妙なシンパシーを持つが、最後は「罪は罪」パターン。

■ 必殺仕事人 第14話「情は人のためにならないか?」1979.8.17ABC/松竹

 偽金作り話。秀の師匠が引き込まれ、秀自身も捕われる。からがら逃げ出した秀が持ち帰った師匠の簪を「買った」とおとわ、仕事料を置く。左門の旧友が偽金工房の用心棒に雇われていて、ともに殺し屋に身を落とした二人の対決となるが、笠井浪人は左門の刃を受け楽になったと呟き絶命する。
 ロケ地、左門の旧友・笠井源之助が人足たちにボコられる、大覚寺大沢池堤。職人たちが間口邸から逃げる水路、有栖川。秀と師匠の鶴蔵が隠れる、溢水口。鶴蔵の死体が上がる、嵐山公園中州下。笠井を斬る左門、大沢池木戸
*困窮の果て刀を手放してしまっている笠井、用心棒を受けるにあたり竹光を鋭く研いでゆく。これで燭台を縦に両断してみせる。もちろんこれで人も斬る。

■ 必殺仕置屋稼業 第4話「一筆啓上仕掛が見えた」1975.7.25ABC/松竹

 おこうの長屋を追い立て、一大歓楽地を作ろうと企てる桔梗屋、追い出しには放火もする。
 社会悪を書き立てることで民衆に世直し先生と呼ばれる瓦版の書き手・高田京楽は、小間物小町に言い寄り手ひどくはねつけられたことを恨みに思い、娘を放火犯と書き立てる。また、これは桔梗屋を利する行為でもあった。
世間の冷たい目に耐え切れず縊死を遂げるお美津、おこうは瓦版作者を許さぬと主水に依頼金を渡す。市松は桔梗屋を、印玄は放火実行犯の火消しを手際よく殺るが、京楽に向かった主水はスケジュールなかなか合わず右往左往した末、戦慄の隙見て走り瞬殺してのける。
*印玄の殺しは屋根落としだが、前段に付け火の炎につっ転ばし「消して消して消して」のあと屋根歩かされ「止めて助けて止めて助けて」。*主水は新築祝いの席を抜け出し、尻っぱしょりで京楽宅に駆けつける。この際走りながら髭を剃るという荒技。
2003/7/16

■ 江戸を斬る 梓右近隠密帳 第8話「喜内のにわか彦左」1973.11.12TBS/C.A.L/東映

 太助が早合点して助けた(水に落とした)浪人は、やはり困り果てていた。浪人は離れて暮らす娘に大久保彦左衛門の用人に取り立てられたと大嘘をかましていて、奉公先の主の大森代官を連れて挨拶に来るという事態に至っていた。彦左不在を奇貨として喜内がご主人に化けて芝居を打ち対面はなんとか無事に済むが、今度は大森代官が無実の罪で括られてしまう。これには右近が乗り出し、代官の下僚と悪徳商人をブチのめし、グルの勘定吟味方には奉行が乗り出しワル一巻の終わり。
 ロケ地、新助と太助が墓参の待ち合わせ、仁和寺観音堂脇。主の無実を晴らすべくワルの下僚にカマをかけるお節、大覚寺大沢池北畔に茶店セット。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第18話「江戸一番の乱れ打ち」1978ANB/東映

 「はじめてのおまつり」にうきうき上様、加納じいの許し得て宵宮の町へ。しかしめ組へ急ぐ途中商人の駕籠に走りより突き飛ばされる男を助け、事情を聞くとなにやら不穏な空気で祭りお預け。駕籠の男は、信州の寒村で飢饉に苦しむ百姓たちを騙し、お上から下された見舞金を持ち逃げした詐欺師なのだという。調べるうち、その詐欺師は江戸の口入屋で当時の代官と結託していたことが判明、今は勘定吟味役となっている旗本の屋敷へ乗り込み更なる悪企みしているワルどもを成敗の上様、農民たちには新たに見舞金を出してメデタシ。
*じいに許可貰い「行ってもイイのかー」とはしゃぐ上様、でも帰りが遅れてねちねち怒られ、勝手口も汚穢口も閉められてしまう。そこで今回は助八が井戸の抜穴を探してくるが、百年以上使われていないそれは出口が変化していてタイヘン。でもこれが今回の黒幕の旗本屋敷に通じていて、ここからがばあっと新さんが出現するという演出。これはもろに「曲者」。この旗本に菅貫太郎、口調がちょっとおじゃる調。

■  第28話「頼まれた略奪」1967TBS/松竹

 加賀藩の抜け荷を巡ってのすったもんだ。お話は加賀から将軍に献上される仏像を中心に展開する。加賀藩にたばかられ罪に落とされた海運業者の娘、加賀の殿様に無理強いされ側室となる公家の寡婦、事を穏便に進めるため水野から遣わされたかがり、抜け荷の証拠が隠された仏像を入手し殿様を強請ろうと企てる道中奉行、騙されて関わる新十郎。いつもの如く騙し騙され、事態は二転三転。最後は、加賀藩を恨んでいた娘が密書を処分し騒動は収束。
 ロケ地、中山道の風景に木津堤と河原。
*加賀の殿様の妾予定の寡婦、行動が怪しいと思ってたら正体がトンデモ。

■ 必殺仕事人 第13話「矢で狙う標的は仕事人か?」1979.8.10ABC/松竹

 おとわ達に取って代わろうとする外道仕事人の元締・山鹿の才蔵がチーム各人を付け狙い大ピンチ。仕事人に戻ろうとしていたましらの又蔵も殺され、連れ合いはおとわを呼び出し復讐を依頼、その場で殺されてしまうが、頼みは聞き届けられる。
大川の中州での才蔵との「話し合い」、千両を示しおとわに退くよう迫る才蔵だが、おとわは二流・野暮天と決め付け決裂。この際秀は才蔵配下の女に自分の元締殺害を依頼される。彼女は又蔵の女房の双子の妹で、命令に従い姉とその夫を始末したが、才蔵の非情なやり口に恐れを抱いていたのだった。しかし彼女は、最後の対決の場となった採掘場で亭主ともども命を落とすこととなる。主水が才蔵を斬り下げたのちも戦い続ける配下、そのなかには年端も行かぬ少女もいてチームは後味の悪い思いを噛み締める。
 ロケ地、又蔵暗殺の神社、不明・キャプチャ。又蔵の女房が射殺される、中ノ島橋たもと。射手は対岸から狙う。大川中州、広沢池東岸(セットと複合)。採掘場はどこかの砕石場、放置されて久しいのか風化進みエッジは丸い。
*スピード感溢れる才蔵たちの射ち込む矢が印象的。おとわの都都逸が見事、これだけで見る価値あり。

■ 必殺必中仕事屋稼業 第11話「表を裏で勝負」1975.3.15ABC/松竹

 賭場の帰り襲撃受ける半兵衛と政吉、これはその後嶋屋を襲う騒動の幕開け。嶋屋と山城屋の飛脚が次々襲われ、荷を奪われる。弁済に追われさしもの嶋屋の身代も怪しくなり、案じた利助は、おせいに内緒で政吉に大坂へ二千両を運ぶ飛脚の護衛を依頼する。この途次怪しの騎馬侍が突っかかり、政吉は護衛していた飛脚を見失うが、程なく発見した飛脚の死体に突き立っていた簪から全てが明らかになる。同時に山城屋が謀殺されたとの報も入り、おせいは半兵衛と政吉に仕事を依頼、ターゲットは飛脚屋ギルドの世話役と用心棒、結託していた住職と与力。
 ロケ地、浄蓮寺、金戒光明寺(石段、本堂、三門)。嶋屋の受難を話す半兵衛と政吉に放たれる小柄、嵐山公園・渡月小橋下湛水域。東海道をゆく嶋屋の飛脚・仙太が休む茶店、下鴨神社馬場にセット。政吉が騎馬侍に追いまわされる、糺の森池跡。おせいがギルド世話役の伏見屋を接待し始末する野点の茶席、中山邸庭園(苦海付近、豊丸垣と嵐山の借景)
*嶋屋の飛脚・仙太を誑かした矢場の女を始末する政吉、矢場の的に突き立てられた簪のみを映し、馴染みの女に「俺、また人一人殺っちゃった」と言うのみで現場映さず。
2003/7/15

■ 江戸を斬る 梓右近隠密帳 第7話「二人葵小僧」1973.11.5TBS/C.A.L/東映

 ニセ葵小僧が暗躍、凶行を繰り返し市中を不安に陥れる。これにより町奉行・石谷の地位が危うくなり、この後釜に座ろうとする村越兵衛、知恵をつけているのはいつもの通り張孔堂。
右近たちの奔走で忍びのニセ葵小僧を追い詰めるが、追った新助は村越邸に捕われてしまう。松平伊豆守の沙汰書をゲットし村越邸に討ち込む右近と町方、拝領刀の紋を見せ村越を屈服させ黒幕の名を聞こうとするが、これもいつもの通り正雪に阻止されてしまう。
今回は新助と太助が兄弟とわかり涙の再会、のエピソードが挿入される。
 ロケ地、村越邸、相国寺とは微妙に違う…大徳寺?

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第17話「恋のおとぼけ地蔵」1978ANB/東映

 若い恋人達の仲を裂き無体働くサドっ気の薩摩藩留守居役を断罪する上様、忠相は地蔵を小道具にワルの口を割らせる大芝居を打つ。
 ロケ地、恋人の柳橋芸者・音羽からの別れの文を見て走り出し橋上で再度文を見る丹波屋の丹七、中ノ島橋上。薩摩藩上屋敷、大覚寺明智門
*歴代将軍も扱いに苦慮してきた薩摩藩を横紙破りで屈服させる上様、謁見し上様の顔見て留守居役が逃げやがるという展開に島津候もガクー。

■  第27話「若き祈り」1967TBS/松竹

 疱瘡が大流行、種痘をもって市民を救いたいと志す若き医師・大庭正吾は御典医の師匠に破門されても全くめげず、理想に邁進する。そんな彼に水野老中は牛痘の種を入手させるべく手配するが、水野の政敵がこれを阻み追い落としの材料に使おうとする。
周囲の状況なんか見ちゃいねー熱血漢の大庭は、捕われた先でも怪我をした刺客の傷を気遣うなどするイイ奴。その行為に兄貴分の死体を腑分けされたと怒る盗っ人も、夫を切り刻まれた女房も、はじめ反対していた師匠の娘も、手厚い治療受けた刺客も彼の行為に助力する。その結果種痘は世間に認められ、接種にはひきもきらぬ人数が押し寄せることとなる。
 ロケ地、源吉の梟首場、琵琶湖西岸松原(舞子浜と思われる)。大庭が水野の政敵・奥祐筆の梅津の手下に襲われる、下鴨神社(河合社、糺の森池跡)。監禁される目黒不動の荒れ寺、仁和寺経蔵
*大庭に治療受ける刺客・別所一角に河合伸旺。

■ 必殺仕事人 第12話「三味の音は七つの柩のとむらい唄か?」1979.8.3ABC/松竹

 おとわと関わりのあった源八郎の無惨な外道仕事から話が始まる。七人の若侍を斬って捨てた源八郎が、最後の相手と相討ちになったのは受けた仕事を外道と覚っての自死と看破したおとわは、自ら頼み人となり金を置く。
ターゲットは若狭飯塚藩家老、若侍たちだけでなく彼らの関係者まで無情に殺害する容易ならぬ相手。探索の半吉が斬られて傷を負い、秀が捕われ、死んだ若侍の妹を偶然行き合わせ庇ったせんとりつまで捕われ、きつい責めを受ける。家老と情婦(元源八郎の女)はおとわがさっくりと始末、家老の意を受けて秀たちを捕えた外道仕事人のアジトも急襲、残った悪党も金を掘り返しに来たところを始末。陰謀は、若侍たちの墓に不正な経緯で得た絹のあがりを隠すためだったという無惨な話。墓に埋められなかった死体は水底に見つかる。
 ロケ地、石杖峠で斬られる若侍たちの身内、小用を足していて一人助かる石坂きぬ、酵素(ダート、降り口、河川敷)。飯塚藩士を尾行する半吉、中ノ島橋下汀。重石つけられ沈められている若侍七人、大沢池(水中シーンはプール)
*酷似した話は「幕府お耳役秘帳」などでも見られる一話。七つの空墓と沈められた死体が一致。峠の名まで同じ。*源八郎に石橋蓮司、冒頭で死ぬが存在感が凄い。若侍たちを斬るシーンの野面のセット、左右から放水の夜の葦原、四谷怪談の隠亡堀のくだりで見たようなヤツ。特定の様式でもあるのかな。七話の左門の仕事も同じ。*甚兵ヱのアジト探るため遊里に登楼る左門「涼、許してくれ」は笑える。捕われの身を解放してくれた頭巾侍(主水)にべた惚れして興奮のりつはもっと笑える。

■ 大奥 第7話「禁断の恋」2003.7.15CX

 実成院と和宮双方に厳しく指図の瀧山さま、酒控えろ・診察受けろとぴしぴし「始動」。
和宮は診察を受け、子の望めぬ体と判明する。瀧山と実成院の板ばさみとなった初島は恋に逃避、しかし役者を引き込んでいたことが露見し大騒動、和宮の懇願で初島は罪一等を減じられ遠島となる。
やまぬ実成院の放蕩、瀧山さまはそんななかおそのの墓参の折出会った僧侶に家定の面影を見るのだった(柳丈の顔がびよーんと家定にモーフィング)
 ロケ地、おそのの死体を見送るまると初島、のちに初島追放を見送るまる、姫路城いの門。和宮が側付きの女官二人が京へ帰ったことを家茂に話す庭、彦根城玄宮園池畔。家茂が和宮不妊の診断を聞く、魚躍沼龍臥橋上。
2003/7/14

■ 江戸を斬る 梓右近隠密帳 第6話「曲垣流霞隠れ」1973.10.29TBS/C.A.L/東映

 馬を引いて中間連れで江戸にやって来る浪人・和田平助。豪放磊落な彼は紀州藩御馬役が市中で暴れるのを鮮やかに処理したりする。さっそく張孔堂に目をつけられるが、正雪を悪相と言い即座に断る。正雪の手下が襲うが右近が介入、意気投合。長屋に泊めてやり知恵伊豆にはかり仕官の段取りもつけてやる。これが家光の鷹狩の際催される馬術大会に参加して、というもの。聞きつけた優勝候補の紀州藩御馬役は正雪に唆され、和田の愛馬を盗むという挙に出る。右近らの奔走で愛馬を取り戻し会場に駆けつけた和田は、鉄砲ぶっ放す悪党を曲垣流霞隠れの秘技で始末する。この功で仕官かない、奥義を伝えた弟子もゲットでメデタシ。
 ロケ地、お小夜が無断で連れ出した馬を奪われる、落馬のダートは酵素か。鷹狩の黄金ケ原、広すぎ。饗庭の演習場かも。

■ 子連れ狼 第2話「一刀危機一髪!獣たちに監禁された男と女…」2003.7.14ANB/東映

 鄙びた湯治場へ押し入り、客を人質にとるならず者の集団・とびっちょ。ここへ現れる一刀、胴田貫を取り上げられ小突き回され、挙句の果て三遍回ってワンをやらされても黙って応じる。
お上の手が伸びてきたことを察知したとびっちょは宿を放棄することにし、人質を始末しようとする。その際、人質同士を争わせ見物するという悪ふざけを働くが、全員集まるのを待っていた一刀が本性を現す。人質の一人・おりんはなぜ今まで黙過したかと責めるが、最後は拝父子のように自分も子と一緒に暮らしたいと告げる。
 ロケ地、湯治場・郷森宿に酵素民家セット。湯治場への道に立つ見張り、保津峡落合落下岩前。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第16話「対決!花の吉原」1978ANB/東映

 災害続きで困窮する下野在、幕府は徳政令を発布し年貢を五割カット。しかし民の窮状はやまず、娘の身売りや餓死者も相次ぐ。そして吉原の花魁から徳政令の裏にからくりが、との訴状が忠相のもとに。この花魁が殺されたことから、新さんは吉原に乗り込み調査、敵娼から事情を聞き真相に迫る。代官と札差がぐるになって五割カットを三割と偽り懐に入れていたことを探り当てた上様、黒幕の勘定奉行と代官を呼びつけぴしぴし断罪。ワルはかかってくるが最後は庭先で自刃。
 ロケ地、弓のお稽古上様に忠相が投げ文の報告、大覚寺御影堂前。新さん襲撃犯の金蔵について報告のお園、大覚寺五社明神
*吉原で財布をめ組の若い衆に持って帰られていた新さん、一時桶伏せにされる一幕も。

■  第26話「暮六ツまで」1967TBS/松竹

 十手取り上げになった元岡っ引は元泥棒の更正に力を尽くすが、この連中に今働きの疑いかかり、疑いを晴らすべく奔走する。そして彼が捕えた盗っ人は、父を恨み家を出てグレていた息子だった。この間父を誤解していた息子の心が溶けてゆくさまが描かれる。新十郎はこれを邪魔せぬよう左近を抑えたりする。タイトルは、元岡っ引が現役の三次に盗っ人を捕えてくると約した時間。

■ 必殺仕事人 第11話「極悪人ほどよく眠れるか?」1979.7.27ABC/松竹

 御用達の金看板が欲しい呉服屋・唐津屋は側用人の柳原主膳にへつらう。柳原は唐津屋の息子に自分の庶子を押し付けようとするが、許婚者いる息子はきっぱり拒否、家を出てしまう。
今までのやり口を息子に痛烈に批判された唐津屋は意外やあっさりあきらめ、御用達を返上し柳原に縁談を断りにゆくが、無礼討ちに遭う。父の死体を引き取りに行った息子たちがやられかけるところへ主水が現れ、二人を行かせたのちチームが襲いかかる。
今回の依頼は唐津屋の前に食い物にされていた越後屋の女将から、彼女は元柳原の囲い者で越後屋に下げ渡されていた女だった。
 ロケ地、舟遊びの柳原のところへ直訴にきた越後屋が無礼討ちに遭う、大沢池。柳原邸、大覚寺大門。唐津屋の息子と待ち合わせのお春が地回りに乱暴される、広沢池観音島〜西岸。蕎麦屋の屋台出す唐津屋の息子、中ノ島橋たもと。仕事料が渡される屋形船、広沢池東岸。柳原邸通用門、相国寺大光明寺南塀通用門。
2003/7/13

■ 野風の笛 鬼の剣 松平忠輝 天下を斬る! 1987.7.1NTV/東映

 兄・秀忠に疎んじられる家康の六男・松平忠輝の数奇な運命を描く一作。
 習うこともなく武芸百般に通じ、舞も笛も能くする快男児・忠輝だが、生母の身分が低く出世時から冷遇される。しかし明るく隔てない気質ゆえ人望厚く、切支丹が頼りにするほかイスパニア人がクーデタの首領に担ごうとする動きまで出る。自らの死後の秀忠との確執を案じた家康は彼の所領を取り上げ流刑に処すことで世を安んじ、忠輝の命も救おうと企てる。
十年と期限を定めた流刑赦免の日が近づいた頃、秀忠差し回しの柳生の刺客が忠輝を襲う。これを受け、迎え撃って討ち死に・切支丹を糾合し蜂起と家臣から提案されるが、忠輝はこれを退け単身江戸へ出向き兄に会い心情を聞くと言い出す。
ここから始まる大騒動、道中差し向けられる柳生配下の女刺客も忠輝にメロメロ、辿り着いた江戸城では現将軍・家光まで叔父上好き好き状態に。将軍の手引きで秀忠と相対した忠輝は弟の才と人望を羨み、故に徳川家にとって危険人物とする兄の心底を見定め、甘んじて生涯追放の扱いを受けることとなる。
 ロケ地、流刑先の飛騨高山の山中で鷹狩の折り柳生の刺客に襲われる忠輝一行、酵素河川敷。配所の天照寺、不明・キャプチャ。[(回想)少年の頃大坂城に使者として赴き秀頼と城の庭で遊ぶ忠輝、枳殻邸侵雪橋・印月池畔。その折秀頼と互いに戦わぬと約した誓いを守り、大坂夏の陣に際して出陣を渋り川に入って泳ぎ誤魔化す忠輝、木津川下流部。流罪が決まった忠輝のもとへ訪ねてくる妻・五郎八姫、大覚寺大門。伊勢朝熊へ送られる忠輝の行列、霧の中の酵素。]高山の配所から夜陰に乗じて脱出の忠輝主従、大覚寺南東角の塀。江戸への道中に谷山林道切り通し・作業場、酵素ダート。事後、信州諏訪に送られる忠輝一行が渡る橋、夜の木津川流れ橋
*原作および脚本は池田一朗、このひとの描く秀忠と柳生はいっつも超ワルモノで、秀忠くんなんかアブノーマルまっしぐら。しかし本作では弟を妬んでひどい仕打ちをするものの、すんなり妬心を認めるし、大義名分は世の安泰で割合ソフト。

■ 鬼平犯科帳3 「熊五郎の顔」1992.1.22CX/松竹 通算52話

 万に一つの偶然が貞淑な寡婦を苦しめる。
 上州・高崎で捕われる羽黒の長右衛門一味の山猫の三次、ともにいた洲走の熊五郎はきっと仲間を救いに来ると宣し逃亡。粂八はかつて岡っ引の政蔵を熊五郎に殺された経緯から、悔しがることしきり。その政蔵の未亡人・お延は上州・新堀の渡し場で小さな茶店を営んでいたが、或る日助けた旅人と懇ろになり、後日その男が手配された熊五郎の人相書きと一致するのに苦悩する。そして平蔵が自ら出張り捕えた熊五郎を唐丸駕籠に見出し、男が預けていった守袋を川に投げ捨てる。そこへ捕われたはずの男が遅参を詫びつつ現れる。遅れた理由は、行商先の桶川で手配中の熊五郎と酷似していたため留め置かれていたという。混乱するお延に男は、双子の兄がいたが生き別れたと告げるのだった。
 ロケ地、三次が捕縛される高崎のアジト、常寂光寺(仁王門・参道石段・灯籠・本堂・野面積石段)。荒川・新堀渡しのお延の茶店・ささや、山室対岸の桂川岸辺。三次・熊五郎の唐丸駕籠が渡る深谷宿付近の橋、摩気橋(橋脚は木)
*原作を「にっぽん怪盗伝」に持つ一作。原作では熊五郎たちは雲霧配下、出張るのは火盗改だが鬼平ではない。お延に言い寄る和泉屋の設定はなし。
2003/7/12

■ 必殺仕置屋稼業 第3話「一筆啓上紐が見えた」1975.7.18ABC/松竹

 女をとことんまで食い物にする性質の悪いヒモが仕置される。依頼人は島送りとなった男の女房からということになっているが、おこうの様子から主水は何事かを察している。はじめ捨三も男の性質を見誤るが、観察するうち女房の妹が食い物にされてゆくプロセスをつぶさに見ることとなる。
 ロケ地、おさとが絶望の果て入水する橋、中ノ島橋。加吉が仕置されるのはこの橋の真下の右岸汀。市松に仕置され水に落ちる男を主水と亀吉が橋上から見る。
*ヒモの色悪・加吉に中尾彬、市松に言い寄るシーンなんかもある。博打狂いのヒモはあんまり似合わないというか、巨悪のほうがイイかも。*ヒモに加担する小悪党の富蔵を演ずるは江幡高志、初の「やめて止めて」を叫びながら屋根から落とされる。

■ 必殺仕掛人 第21話「地獄花」1973.1.20ABC/松竹

 岡っ引殺しの現場を見られてしまう梅安、見た浪人・神谷兵十郎は小金を強請る。もちろんそのままでは置かない梅安は神谷を付け狙うが、返り討ちに遭いかける。この場に元締が現れ水を差し、神谷を不在の左門の穴埋めに雇おうとするが断られる。
 禄を離れて久しい神谷は貧の裡にあり、仕官を切望している。神谷の妻は貞淑な働き者であるが、内職を届けた先の呉服屋に夫の仕官話を持ち掛けられ、支度金を作るため大身武士の一夜妻となる話に乗ってしまう。一方、神谷は仕掛人の話を蹴ったものの、同じく困窮の暮らしを送る親友が辻斬りを働いて捕縛される惨めな姿を目の当たりにし、一度だけ暗殺業を受ける決意をし場に赴く。ターゲットの侍を殺り、寝所の布団をはぐった神谷が見たのはしどけない妻の姿。これを斬って捨て失踪する神谷、事後元締は神谷を誘った己の行為を自問するのだった。
 ロケ地、梅安が岡っ引殺しを見られる縁日、今宮神社高倉下。仕掛先を下見の梅安たちが船を浮かべる川、桂か(河畔林は竹、川面は幅いっばいの浅瀬…亀岡か京都市か??)

■ 携帯忠臣蔵〜「世にも奇妙な物語」より 2000.11.3CX/東宝

 昼行灯どころではないダメ男設定の大石内蔵之助が、或る日寓居の前で拾った「携帯電話」から話しかける300年後の声に乗せられ、いやいや討ち入りに追い込まれる過程を描く。
異文化との遭遇もコミカルに描かれ、大石の妾は携帯用のストラップを用意するありさま。どうしてくれるんだおまえのせいだと携帯に悪態をつく大石だが、討ち入りの用意整った雪の夜、俺の名は後世に残り生き続けるのだなと独りごち、携帯を雪の上に置き「各々方、いざ出陣」。
 ロケ地、刃傷後の経緯を語るナレーションとテロップの背景に仁和寺中門(モノクロ)。携帯が言い当てた下僕の死を見て走り出す大石、一息ついて携帯に耳を傾ける、神護寺金堂前石段。大石の奇行に呆れた妻が実家へ帰ったのを幸いと妾宅に向かう大石、南禅僧堂坂。大学に処分下り、進退窮まった大石がクサるところへかかってくる電話、南禅寺三門。江戸へ向かう街道筋、おまえのせいでこんなことにと携帯に怒る大石、大覚寺五社明神舞殿前。
*大石一人を現代ふうに描き、周囲はバリバリ時代劇で固めた演出がなかなか。冒頭中東の遺跡から発掘される大石携帯や、ラストの電話室なども傑作。
2003/7/11

■ 江戸を斬る 梓右近隠密帳 第5話「和蘭陀囃子の謎」1973.10.22TBS/C.A.L/東映

 お艶の過去が明らかとなる一話。彼女の父は大手の海産物問屋であったが、同業の淡路屋にハメられ獄死、仇討ちに助力を要請される右近だが、お上に任せろとアドバイス。焦れたお艶は淡路屋の内懐に飛び込むが捕われてしまう。結局助けに入る右近と新助。町方出張り、捕縛された淡路屋と、結託していた役人の髷を斬って仇を討つことに代えるお艶だった。
 ロケ地、日本橋南新堀で南蛮匕首で殺られた浪人の死体上がる、中ノ島橋下手汀。
*今回は仏の長兵衛に右近の身分が明かされる。婿にと思って北町奉行に右近の素性聞きたわけ者と叱責されるというお話。*タイトルはお艶の父の遺品の南蛮時計に仕込まれたオルゴール、これは抜け荷の符牒でもあった。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第15話「春を呼ぶ藪医者」1978ANB/東映

 養生所に患者がさっぱり来ず閉鎖の危機というお話。閑古鳥のわけは市中に流された悪い噂で、笙船が新薬の実験で患者を死なせたなど事実を歪曲したもの。これは養生所が繁盛しては困る町医者たちが画策したもので、バックには勘定吟味方の役人。しまいにただ一人の入院患者が養生所の小者の手引きで殺され、笙船は手鎖の処分となる。
新さんはめ組の力も借りて真相を突き止め、始末されかけた小者は笙船の手術で助かる。最後はワル一堂に会す座敷に乗り込み成敗の嵐吹き荒れる。
*ラス立ち、ヤクザの手下に福本先生。

■  第25話「群狼の町」1967TBS/松竹

 埋立地の州、獄門島と呼ばれるスラムは食い詰め者や後ろ暗い者の溜まり場。そこを支配するのは謎の「棟梁」。ここへお尋ね者を追って潜入した左近が行方不明となる。
一月後、新十郎はアイパッチした怪しの態をつくろい潜入、かがりは辮髪に結った火盗改の人数とともに取引先を装って侵入、しかしバレバレ、いつもの如く事態が二転三転。島の酒場・碇亭の女将や唐人娘、左近を助けた蛮社の獄で追われた蘭方医など多彩な人間模様が描かれ、悲喜こもごものドラマが展開する。新十郎を庇って撃たれる女将のシーンで幕、彼女の昔の男は新十郎の変装と酷似していた。
 ロケ地、州に架かる橋、木津川流れ橋。ロングショットやクレーン撮りもあり。水嵩がずいぶん多い。殺された女の葬送に事寄せて脱出の左近は女装して棺のなか沖へ、琵琶湖北湖。汀のシーンは木津河原と琵琶湖岸を複合して用いたものと思われる。

■ 必殺仕事人 第10話「木曽節に引かれた愛のその果ては?」1979.7.20ABC/松竹

 女郎に惚れた材木商の若旦那、愛の逃避行がはじまる。目指すは女の故郷・木曽。足抜けゆえ亡八の追っ手かかるが、男の親は息子の安全のためこれを始末してくれとおとわに依頼。おとわは二人の仲を裂かぬことを条件に受ける。以降、木曽路。追いつ追われつ、様々な思惑の旅人が中山道をゆく。そして幼稚な恋の結末は悲劇に終わる。
 ロケ地、おとわが木曽屋の依頼を受ける、渡月小橋下。山道をゆく恋人たちが小休止する小川のほとり、酵素河川敷。あと道中シーンに谷山林道清滝川河口付近。女郎・おりえと若旦那・新左の別れとなる寝覚の床、現地ロケ。おりえの死後、木曽屋と配下の勝蔵一家に仕掛ける仕事人たち、関所近くで大胆に仕掛ける左門のシーンに落合トンネル。秀が若旦那を仕留める、落合河口。主水が木曽屋を殺る、落合崖上落下岩。ラスト、せんりつコンビが額づく木曽義仲の墓、興禅寺のほんもの。
2003/7/10

■ 江戸を斬る 梓右近隠密帳 第4話「忠弥 槍の別れ」1973.10.15TBS/C.A.L/東映

 丸橋忠弥が決定的に由井陣営に引き込まれるプロセスを描く。
まず、病床にある丸橋の妻に見舞いと高麗人参が大量に届けられる。次いで、危篤の妻のもとに紀州藩の典医が来て看取る。仕官を焦るあまり罪を犯した弟子を見送った丸橋は右近に別れを告げ、正雪と同じ道をゆくと告げる。
今回の事件は、丸橋の弟子が仕官のための支度金を調達するため押し込みを働くというもの。丸橋は彼を庇い奉行所へ引っ張られるが、その間に彼の妻は落命する。
 ロケ地、弟子を訪ねた帰りの丸橋と行き合わせる右近、中ノ島橋上。丸橋の弟子・三浦が藤堂藩の宴席に出る、嵐山公園内の料亭・錦か。三浦が押し込みの一件を許者に告白する、広沢池東岸。ラスト、八丈へ送られる弟子を見送る丸橋が右近に別れを告げる神社、不明・キャプチャ。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第14話「黄金のからす札」1978ANB/東映

 富籤で不正を働き大儲けの山伏と寺社奉行配下の大検視を断罪し、富籤を公認する上様。怪しの山伏の首魁はめ組の源三の知人の仇だったりする。
 ロケ地、怪しの山伏が主催する富籤の抽選が行われる牛込の紀州仙岳別院、大覚寺大門。庭番の助八に富籤の実態調査命じる上様、大覚寺宸殿階。偽札を源三に売った相州の神官の息子・有馬市之進が療養所そばで妹の治療を新さんに謝す、広沢池観音島(水無)。彼が語る相州荻野在での鬼参坊の振る舞い、広沢池西岸の田地と汀。

■  第24話「無法の宿場」1967TBS/松竹

 上州・竹鼻宿で繰り広げられる大騒動。十手を預かるヤクザを粛清したい水野老中の意を汲んで新十郎やかがり・左近が入り込み、不正を糺そうとして果たしえず自刃した代官の無念を晴らす。代官の娘も潜入していて、彼女の恋人の八州回りも一枚噛んでくる。これに加え、新十郎がくっついている旅の一座の色っぽい太夫も花を添える。
新十郎の目論み通りヤクザを抗争に導き事は収束するが、事後彼の姿は一座からも消えていた。
 ロケ地、元竹鼻代官・林田が切腹する水野老中屋敷前、大覚寺大門

■ 必殺仕事人 第9話「蛍火は地獄への案内か?」1979.7.13ABC/松竹

 義父殺しの冤罪で八丈送りとなった喜市郎が島抜けをして江戸に帰還するが、町方に追われ井筒屋の手下に追われ、逃亡の日々を過ごした彼はやっと探し当てた母の胸で無実を訴えこときれる。依頼は、その母から来る。母がおとわに宛てた文には、DV夫に嬲られる彼女を庇った息子が義父殺しに仕立てられた経緯が記されていた。夜鷹に身を落とした女のバラ銭を仕事料にチームは始動し花火の夜、井筒屋を乗っ取った面々を始末する。
 ロケ地、大川端の情景に中ノ島橋(橋上)、中州上手。
*秀は島抜け息子と殴りあいの末シンパシーを抱き関わりを深くする、お約束の展開。*花火見物で家族サービス中の左門は、ちょっと抜け出しさくっと殺しをしてのけたのち何食わぬ顔で復する。
2003/7/9

■ 江戸を斬る 梓右近隠密帳 第3話「天下の一大事」1973.10.1TBS/C.A.L/東映

 田舎大名と事を構える大久保彦左衛門、さんざんじじいに揶揄されたうえ瓦版(右近作)に面白おかしく書きたてられた殿・川添丹波守は青筋立てて怒りまくり。これに江戸家老が悪知恵をつけるからどうしようもない。しかも正雪の幼馴染ときていて、川添家の実験を握ろうと企む。
或る日、行商途中の太助は誘拐現場を目撃、駕籠を追いかけさらわれた娘を助けようとするが、開けさせた駕籠の中には江戸家老。そのまま捕まり彦左衛門を陥れる道具にされる。勢いで太助の無実証せねば腹を切ると約してしまう彦左、右近の奔走でハラキリ寸前に誘拐の芝居をした証人が揃ってメデタシ。
 ロケ地、誘拐現場の寺町、不明・キャプチャ。川添邸探索の結果を右近に報告する新助、仁和寺五重塔前に茶店セット。川添丹波守邸、大覚寺大門
*今回証人ゲットには正雪くんが貢献。誘拐の芝居をした江戸家老の妾と下女を消そうとして寝返りにあう。本シリーズの特徴のひとつ、正雪くんたちの証拠隠しもたまには失敗。*ラス立ちには片岡の御大も参加、殺陣が見られる。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第13話「嵐を呼んだ江戸土産」1978ANB/東映

 紀州へ帰るお奈津らに土産を渡そうと日本橋へ来る新さん、茶店で包みをすり替えられ、中味が麻薬だったことから町方に捕縛されてしまう。たまらず新さんの身分を口にするお奈津だが、爆笑されるのみで牢に。また、忠相はお灸を据えるよい機会と放置する。お奈津らの奔走で牢から出て真犯人を探す新さん、黒幕の大目付を突き止め叩きのめす。新さんに破牢された定年間近の牢番のじいさまのエピソードなんかも挿まれる。
 ロケ地、お奈津が上様の無事を祈る祠、大覚寺五社明神本殿。お城の庭で忠相に皮肉を言う上様、枳殻邸印月池畔。お奈津に牢番の難儀を告げる佐吉、相国寺宗旦稲荷裏。お奈津が新さんをハメた編笠浪人を見かける、相国寺(庫裏、渡廊、法堂)。大目付・大沢采女正邸、相国寺林光院

■  第23話「野望の絵図」1967TBS/松竹

 タイトルの絵図は地理学者が薩摩の軍備等を詳しく記述した地図。これを公儀に届けられてはと追う薩摩藩の用人。怪しげな用心棒と女道中師を使い動く。当の地理学者は冒頭殺され絵図は不明。これを巡って騙し騙されの大騒動が、川止めの川崎宿で繰り広げられる。一癖ある女道中師に、新十郎もかがり(若衆姿)も用心棒たちも、宿の番頭まで振り回される。
 ロケ地、用心棒の首魁とサシで立ち会う新十郎、木津河原。女たちと六郷の渡しを船でゆく新十郎、木津川

■ 必殺仕事人 第8話「仕事人が可愛い女を殺せるか?」1979.7.6ABC/松竹

 八丁堀同心がターゲットとなる。その男・嶋村はお白州で要領をかまし、富商から金を毟り妾を囲うなどする脂ぎった人物。妾にせがまれ女房毒殺をはかったりもする。依頼はその女房から。この女は闇の仕事人を探すため、夜な夜な柳原土手に夜鷹として出るという挙に出る。迷いつつ女の訴えを受けるおとわ、嶋村はその柳原土手で主水に派手に斬られる。
依頼人の女房は夫が斬られたのを見て毒を呷り自死、妾のほうも組屋敷まで来て女房に死んでくれとねちねち絡むなど、濡れ濡れとした女の情が描かれる。
 ロケ地、嶋村の永代供養料(半分ガメる)を西鶴寺に届ける主水、西寿寺(本堂、石段)。石段上部に映りこむ十三重石塔は今と位置が違う模様。

■ 必殺必中仕事屋稼業 第10話「売られて勝負」1975.3.8ABC/松竹

 性質の悪い壺振りに惚れ、さんざん毟られた挙句父母を亡くし、女郎に売られてしまう世間知らずの小娘。男に貢ぐ金欲しさに店に強盗に入ってきたその娘のことを後々まで気にかけるお春は、仕事屋に娘を探すよう依頼したりする。うるさがりつつ親身に動く半兵衛、しかし最後に見たのは無惨な娘の自死だった。
 ロケ地、仙次に売られたおゆみを連れに来る女衒、中ノ島橋。政吉に十両渡し金張りのイカサマ博打依頼する半兵衛、上賀茂神社北神饌所(雪景)
2003/7/8

■ 江戸を斬る 梓右近隠密帳 第2話「将軍の密使」1973.10.1TBS/C.A.L/東映

 右近が上様に神君の鍛えた葵の御紋入り銘刀を拝領し、隠密として稼動するはじめの一話。
右近の初手柄となる事件は、ならず者に殺された水夫が持っていた猫目石からはじまる。新興の回船問屋・田島屋は抜け荷で大儲けし、由井正雪と通じ紀州候出入りも目論んでいた。秘密が漏れるのを恐れた田島屋は水夫の妹を拉致するが、葵小僧が助け出し、次いで右近に乗り込まれてしまう。捕り方も出張り危機一髪の田島屋、娘を楯にし逃げようとするが正雪くん出てきてばっさり・証拠隠滅。事後、葵小僧は右近が使うということで北町奉行に了承を得るエピソード描かれ、初期設定がだいたい揃う。
 ロケ地、張孔堂から逃げてきた葵小僧を逃がしてやる右近、追っ手とチャンバラは相国寺鐘楼。台座に乗っての大立ち回り。
*娘たちをかどわかすチンピラの一人に福本先生、町人姿。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第12話「紀州から来た凄い女」1978ANB/東映

 上様がまだ紀州の殿様の三男坊だった頃の知人・紀州屋のお奈津が江戸に。良質の材木を売りに来た彼女だが、阿漕な相模屋にさんざんな妨害を受ける。表だった援助はできぬという上様だが、「個人」として奔走、彼女の苦境を助ける。
 ロケ地、お奈津と懇意の棟梁が観音寺一家に殺される、大覚寺五社明神。お奈津が駆けつける、放生池堤。お奈津の弟の訴えを弓の稽古の上様に告げる加納じい、枳殻邸印月池畔。
*お奈津を演じるは美空ひばり、気風のよい女将設定、歌はうたわない。ゲストの意向でもあったのか、今回福ちゃん出まくり、役名も台詞もありの観音寺一家の手下・紋次。美空ひばりに匕首で斬りかかるなど大活躍。

■  第22話「地獄の沙汰」1967TBS/松竹

 諸価高騰し市民の不満が募る。偽金が出回っていることによるが、バックに富商とつるんだ水野の政敵・阿部老中。新十郎は町奉行・鳥居甲斐守の依頼で探索に動く。
一味の女の小唄の師匠に色仕掛けで接触の新十郎はうまうまと偽金作りの工房に入り込む。そこで展開される職人たちの人間模様が見物。最後は捕縛の手入る混乱の際職人たちも師匠も落命してゆく。彼らの境遇にいたく同情した新十郎は、左近やかがりの前からふっと姿を消すのだった。
 ロケ地、茶店で休む新十郎の隣にいた職人が袋を取り違える、今宮神社東門外の茶屋・一和。新十郎は甘酒を飲んでいるが職人の食ってるのはあぶり餅。

■ 必殺仕事人 第7話「主水をあやつる撥の音は誰か?」1979.6.29ABC/松竹

 元締・鹿蔵が去って一月、「仕事」も休止中の主水らに接触する瞽女・おとわ。主水は彼女に試されることとなる。
 事件は絵師・勘次がらみ。彼は「きれいなモン大好き」な男で、目をつけた女はその後大評判をとるというアーティスト。その女たちを食い物にしようとヤクザが勘次に迫るが、頑として情報を洩らさぬのにキレた蝮の吉兵ヱは彼の手を潰しいたぶる。からくもおとわのもとに辿り着いた勘次は、最後に描いた飯炊き女・おさよに魔手迫るを告げこときれる。
おとわは勘次の死体上がる川に架かる橋上で、三味を弾き「仕事人」と吉兵ヱのことを題材にした端唄を唸る。この謎を解いた主水はおとわと接触後チームにはかり、女郎にされてしまったおさよの嘆きを見て仕事に入る。
 ロケ地、冒頭川に入って涼む主水、木津川流れ橋下の川中。百叩きのあと、おとわの鰻屋へ赴く勘次、渡月小橋下手中州の汀、対岸に尾行者。傷ついた体を引きずり逃げる勘次が川に落とされる、渡月小橋。死体は流れ橋下手の汀に上がる。橋上でおとわが三味を弾く。おとわの示唆で下谷天神下で吉兵ヱの仕ざまを見るチーム、今宮神社楼門・境内。おとわを信用していいのか話し合うチーム、流れ橋橋脚下。吉兵ヱを呼び出しての仕掛け、広沢池上に屋形船。船が着くのは東岸
*事後、おとわに鹿蔵との関係を聞く主水、おとわは馬鹿と笑って答えず。*左門の仕掛け場面の野面、左右からホースで放水のシーン、怪談もので見たような絵面、セットかロケか。

■ 大奥 第6話「嵐の予感」2003.7.8CX

 前回の和宮降嫁見逃した…野球キライ。
 和宮を襲った「ご内証」の女は嘆きのまま座敷牢で縊死、側室選びに派手な振る舞いの実成院、家茂くんは御用繁多、ねちねちと話進むなか、和宮と実成院対決の場面にはばーんと瀧山さま復活。それまで時代劇だったが、瀧山さま出た途端「極妻」ふうのヤクザ映画みたいに。若い子のマクドナルドの店員ふう所作とこれは、案外良い取り合わせかも知れない。
 ロケ地、瀧山さまにお戻りを願い出るまるがゆく、姫路城はの門下坂。奥医師に致仕を願い出る慎ちゃん、姫路城好古園屋敷門
*和宮の御所ことば、そのままだととても理解不能のアレをソフトに処理している脚本は大いに評価できるかも。
2003/7/7

■ 江戸を斬る 梓右近隠密帳 第1話 1973.9.24TBS/C.A.L/東映

 将軍家光の弟にして会津の殿様の双子の弟・梓右近は市井に暮らしていたが、或る日大久保彦左衛門に見つかってしまい、将軍直々に裏街道の大掃除を依頼される。由井正雪が紀州と組んで暗躍するきな臭い情勢が背後にあり、これらに翻弄され難渋する民衆のために右近は申し出を受けるのであった。
 今回のお話は登場人物をさらっと紹介するのに旗本の無法組が跋扈するさまを描く。キンキラ衣装の部屋住みの一人に福ちゃん発見。ロケ地、右近の生母菩提寺・目黒成就院墓地…二尊院か神護寺か、不明。

■ 子連れ狼 第1話「冥府魔道の父と子、ふたたび…」2003.7.7ANB/東映

 幼君の秘密で改易の危機に瀕する亀山藩は、指弾の急先鋒たる大目付暗殺を拝一刀に依頼する。依頼方法が変わっていて、一殺五百両のうち百両ずつ持った「腕試し」の若侍が次々現れる。一人目は倒され、二人目は自刃し、三人目に至り一刀はこれ以上無用と殺しを承諾する。もちろん柳生も嗅ぎつけていて、藩には草まで入り込んでいる。
城へ入った一刀は幼君が実は女の子との秘密を知り、烈堂のスパイも片付け京都入りした大目付のもとに忍びさくっと殺ってくるが、今度は幼君が柳生にさらわれてしまうという事態が発生する。警護役の浪江は幼君救出の際落命するが、彼女は「若君」の実母であった。これを見た一刀は柳生が大目付殺害を見過ごした一件を楯にとり亀山藩存続を烈堂に約させる。
 ロケ地、亀山へ向かう一刀父子を見た柳生が連絡の鳩を飛ばす、沢ノ池堰堤近くのガレ場。滝下で沢水を汲む大五郎、菩提の滝。三人目の「依頼者」の鳥追い(浪江)がかかってくる、酵素河川敷。亀山城、彦根城(天守遠望、天秤櫓、玄宮園池畔・橋上・外塀)。京都所司代、大覚寺大門。里入り忍がツナギをとり浪江に見つかる寺、神光院中興堂と本堂の間(バックに蔵)。拉致された幼君を取り戻しに赴く一刀、ついてゆくという浪江に当身食らわせ置いてゆく、大沢池堤。幼君を救出し浪江の死を看取った一刀が烈堂に連絡の鳩を飛ばす、保津峡落合落下岩上。白川女と行き会う一刀、南禅僧堂坂。烈堂と取引、南禅寺三門。烈堂が父子を三門上から見下ろすアングルもあり。
*浪江の回想の「言い寄る殿様」がちょっとお年を召してて気持ち悪いかも。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第11話「日本一の木遣唄」1978ANB/東映

 富商のどら息子が金に物を言わせて旗本の養子に入ろうとするが、それまで仕出かしてきた悪行から上様に叩きのめされたうえ野望を阻止される。加担した旗本たちはもちろんこてんぱんにやられ、以後持参金目当ての旗本の養子縁組が禁じられることとなる。
 ロケ地、鼻つまみの旗本のヘッドは作事奉行と報告受ける上様、枳殻邸傍花閣内部。屋形船仕立てて騒ぐ旗本たち、大沢池上。これに突っかかった恋人を蹂躙された職人を宥める新さん、大覚寺五社明神舞殿。馬鹿息子が養子に入る旗本・有村瀬左衛門邸、相国寺大光明寺(門)
*市中で無体を働く旗本に卵をぶつける新さん、物売りに卵代請求され助八が払うが、ひょっとして卵二個に小判出すつもりだったのね上様。*有村邸へ乗り込むに際して、め組から人数借り受け「強盗」に入る新さん…べつにフツーに入ればよかったのでは。

■  第21話「狙われた雛人形」1967TBS/松竹

 岡部藩の将軍拝領のお雛様を巡って、改易を狙う大目付やその後代官となるを目論む江戸留守居役が暗躍、ここへ甲賀忍崩れの無法者まで絡み大騒動。雛を運ぶ役の娘を新十郎が保護したことからかがりは嫉妬しまくりで邪魔するし。人形を奪い、奪い返されのドタバタが展開され、藩主を慕う娘やこれを狙う留守居役、甲賀忍と愛人の葛藤などあり最後はお雛様が岡部藩邸に飾られてメデタシとなる。女の弱さを見せるかがり、こういうときには源爺いが出てきて大活躍。
 ロケ地、甲賀崩れの長尾重四郎を尾けるかがり、随心院長屋門前。一瞬見失い、しかし土の跡から気付き塀を乗り越え入る、随心院大乗院内部。岡部藩上屋敷、随心院薬井門。留守居役を脅した長尾を追う藩士たち、東福寺三門(バックに東司と禅堂)。これを返り討ちにした長尾が東司付近からやってきた新十郎と対峙する。大目付邸、妙心寺の塔頭っぽいが不明。長尾と留守居役の取引の芝神明裏の林、仁和寺か。

■ 必殺仕事人 第6話「主水は葵の紋を斬れるか?」1979.6.22ABC/松竹

 将軍の弟・松平聖二郎は世を拗ね、市中で横暴の限りを尽くす。小遣い銭(百両単位)を毟りにいった商家の娘に目をとめ陵辱、道場破りをかますなどやりたい放題。三つ葉葵の紋入り提灯持ったお供がいつもこれを掲げ、無理難題を押し付けまくり。
 その無法者に陵辱された娘を道連れに縊死した妻子の恨みを晴らすべく元締めに依頼に来た商人は、難しいと鹿蔵が障子を閉めたその船先へ入水してのける。その行為に打たれた元締はチームに聖二郎殺しを図るが、三人ともに断られてしまう。しかしその後、秀や左門が懇意にしていた長屋の娘が嫁入り行列のさなか聖二郎に拉致され死に至ることと、稲葉老中が可愛がっていた甥が妻を陵辱され亡くしたのち斬りかかり返り討ちに遭うにおよび、仕事を受けざるを得なくなりチームは始動する。手下を秀と左門が片付けたあと、主水は甘言を用いて聖二郎の傍近くに寄り討ち果たす。主水に腹を抉られた断末魔の聖二郎は「いつか俺を殺してくれる奴を待っていた」と述べ絶命。同刻、聖二郎の産みの母である桃源院は門前で数珠珠を散らし自刃。怨嗟こもる血のひとすじはここに絶たれたのであった。
 この大仕事のあと、鹿蔵は主水らに別れを告げ後事を託す。
 ロケ地、戦慄コンビが墓参の際聖二郎一行に「無視される」、粟生光明寺石段下部。元締が聖二郎の生母・桃源院を訪ねるイメージ、粟生光明寺石段上部。聖二郎の邸、相国寺大光明寺(門、南塀)
*黒のお召を着た聖二郎に目黒祐樹、裾さばきも決まる着流しがよく似合い、語尾のスクエアさが化け物ぶりをいや増す。道場破りの際の看板からはみ出さない足さばきも凄い。主水との殺陣は見もの、主水二刀流。
2003/7/6

■ 奇兵隊 第二部「四境ことごとく敵・回天編」1989.12.31NTV/東映

 禁門の変後から明治までを描く。
 四ヶ国艦隊の馬関襲撃と第一次長州征伐での血の粛清と、危地に陥った改革派は高杉の奮起により奇兵隊ほかの諸隊が活躍し萩の保守派を追い落とし、倒幕の爪を研ぎはじめる。薩長同盟も成り、第二次長州征伐は村田蔵六と高杉らの奇略により幕府から小倉城を奪うこととなる。この戦いのさなか病を得ていた高杉は倒幕の派兵を見ず病没、あとは戊辰戦争の略史がテロップで出て、新政府高官となった木戸孝充が大村益次郎の悲報を聞くシーンで幕を閉じる。
 ロケ地、四ヶ国艦隊現るの報を受け山口の政治堂へ急行の高杉、途中伊藤俊輔を拾うのは酵素入口の坂。外国勢と戦闘の山県狂介率いる騎兵隊、酵素河川敷。京での志士狩りから逃れ出石へ逃げる桂小五郎、山道は保津峡落合落下岩〜川へ下りる崖道。城崎温泉でアバンチュールの桂、日吉大社・日吉山荘。井上聞多が襲撃され膾となる山口政庁下の袖解橋、下鴨神社参道の瀬見の小川に架かる石橋。高杉の檄により雪の功山寺に集結する諸隊、三井寺光浄院参道、金堂北側石段。出陣は唐院前の道。奇兵隊が保守派の先鋒隊と戦う、酵素河川敷。薩長同盟の密約が交わされる薩摩藩京屋敷、大覚寺明智門。石州口浜田藩扇原関所、谷山林道
*周布の凄絶な自死を血しぶきリアルに上げて演ずる津川雅彦、巧いというか派手というか。*毛利の殿様の異名「そうせい候」をうまく挟み込んであるのは細かい。*村田蔵六の戦略は丁寧に描かれ、個性的な言辞も活写されている。さすがに「夏は暑いものです」とは言わんかったが。*高杉が病を得て、というのはなんか唐突に出てくる。しかし線の太い晋作ではある。*前回に引き続き海戦のシーンが多く描かれるが、特技監督・川北紘一の仕事はかなりよくできている。炎と波のスケールが少々違和感あるものの迫力。*晋作の愛人のおうの、もうひとつ目立たない。野村望東尼のエピなんか完全に省かれてるから、こんなもんかな。三千世界の鴉を殺し、の端唄は出るが辞世なかったもんな。エンディングを、幾松を演じる池上季美子が締めるのはいい。めちゃキレイ。*大村益次郎に放たれる刺客に福本先生と小峰さん発見。

■ 鬼平犯科帳3「火つけ船頭」1991.12.18CX/松竹

 常々平蔵が懇意にしている船宿の寡黙な船頭は、女房に浮気され苛ついたある夜、ふとしたことから放火によるカタルシスに魅入られる。しかもそのとき、女房の情夫の浪人が盗っ人であることを知る。寝取られ男は間男と盗賊を同一視し憎み、火付けによって企みを妨害する挙に出るが、事の次第を盗賊改に投げ文したことにより平蔵に全てを関知されてしまう。間男は辻斬りに出た際鬼平に斬られ、賊も捕縛され、船頭の女房は不義のかどで遠島となる。火付けの件は温情をもって見逃しとなるが、癖断ちがたく再度の犯行、寸前で見張っていた彦十に制止され寄場送りとなる。
 ロケ地、船宿・加賀屋から「市中見回り」の船を出す平蔵、八幡掘。事後佐嶋と彦十を労うため大川端の料亭へと船を出す平蔵、夕照の西の湖(太鼓橋バックに映る)
2003/7/5

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第10話「花開く目安箱」1978ANB/東映

 対馬藩に後嗣を巡っての騒動あり、また大火の救援に公儀より送られた米が千石も行方知れず。これを糺さんと訴状持ち江戸へ来た対馬藩士がゴロツキに斬られてしまう。行き合わせ、連れの養女を保護した幸内は上様に向け批判まじりの書状を差し出す。乗り出した上様は賭場にまで潜入し探索の末ワルを焙り出し対馬藩邸に乗り込み大立ち回り。途中で藩主出てきて恐縮しまくり。後嗣のごたごたに裁可を与え、江戸家老に自裁を促す(かかってくるけど庭番が成敗)
 ロケ地、じいが庭に上様を探しに来て渡る橋、枳殻邸侵雪橋。上様が訴状を読んでいるのは印月池畔。対馬藩邸、大覚寺大門。庭番とツナギに護摩堂、斬られた対馬藩士の遺児を背負い目安箱へ向かう新さん、有栖川(河床から見上げ)。これを襲う仁王一家とのチャンバラは五社明神

■  第20話「誰がための仇討ち」1967TBS/松竹

 ある夜新十郎が見たゴロツキを斬る浪人はわけあり。妻は亀山藩師範代の娘で、殺された妻の兄の仇を討つため浪人を婿にし江戸へ来ていたのだった。ゴロツキの身内や左近がこれを探るが、新十郎は沈黙。仇討ちを終えてからと見守るが、酒びたり女びたりの仇持ちにしてはあまりに不審な浪人の行動。そして知れる、追う仇などおらず浪人こそ師範代の娘に言い寄った挙句身分違いと断った兄を斬り、無関係な門人を殺して埋め犯人に仕立てた事実。この陰惨な話は新十郎に討ち果たされた瀕死の浪人の口から出る身分制度への怨嗟と妻への思慕、残された妻が父に家名の恥と刺されたことに追い討ちをかけられとてつもない陰惨さを呈して終わる。
 ロケ地、左近とゴロツキが新十郎に浪人のことを聞く、二尊院墓地。落籍した妓とゆく浪人がゴロツキたちに囲まれる、二尊院紅葉の馬場。剣戟後段の石段は不明。自分を身請けした浪人が実は恋人の仇と知った妓が掴みかかる、大沢池東堤
*実相寺昭雄監督の一作、OPは白地に字幕出るのみの変わった体裁。
2003/7/4

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第9話「義賊江戸を走る」1978ANB/東映

 天誅小僧と称する賊が跋扈、富商から盗り民に金をばら撒く。これを奇貨とした尾張くん、捕縛の期日を約したと強弁し忠相追い落としをはかる。忠相の危機に走り回る上様、当の賊を突き止めるが、彼の背後には悲しい事情があり、彼が好いた娘は天誅小僧のせいで不幸になっているという錯綜した事情が。改心する天誅小僧だが、裏にいた連中は黙っておらず、娘が拉致されてしまう。これを叩きのめす新さん、天誅小僧は自首し忠相ピンチ脱出。
 ロケ地、天誅小僧のことで幸内と言い合いの新さん、大覚寺御殿川河口〜大沢池船着。尾張藩上屋敷、大覚寺大門
*今回ラス立ちの際に「正義」の扇初登場、使用方法は今までと同じ立会い前半の武器。大ぶりのもので、白と青のグラデーション。

■  第19話「小指のない武士」1967TBS/松竹

 頻発する辻斬り、辻斬りの被害者の娘で失踪した夫を待ち続ける女、女の夫で仇を求める旅を続ける浪人、後継争い深刻な道場で繰り広げられる人間模様、これら全てがひとつの糸で結ばれドラマが収斂してゆく。軸にいるのは辻斬りで仇で道場の跡目狙って野望ギンギンの男、しかし野望はことごとく新十郎によって挫かれ仇として討たれてしまうのだった。
 ロケ地、一真流・岡野道場、随心院長屋門。果し合いの場であると共に仇討ちの場ともなる鬼伏ケ原、亀岡あたりの桂川か。

■ 必殺仕事人 第83話「沈め技花嫁偽装返し突き」1981.1.23ABC/松竹

 水夫の夫を亡くした女二人は死因を疑うが、奉行所で埒あかぬことから木更津に依頼。雇い主の回船問屋を調査する仕事人たちだが、その間女たちの一人は火事で子供を亡くしたことでつくづく貧乏が嫌になり変質し、金目当てに当の回船問屋の後添えに入ることとなり、もう一人の女を殺すに至る。
木更津の指令を待たず始動するチーム、婚礼の夜角隠しの上に秀の簪が突き立つこととなる。
 ロケ地、お上に絶望したお勢が死のうとしてお妙に制止される橋、中ノ島橋
*変節を責める女、現実の幸福は金と開き直る女、助け合い励ましあい生きてきた二人の別れは突発的とはいえ殺しという悲惨な結末を迎える。二人の暮らし向きがかっちり描かれているぶん悲劇はよりくっきり浮かび上がる。

■ 必殺仕事人 第5話「三十両で命が買えるか?」1979.6.15ABC/松竹

 井筒屋の若旦那は常軌を逸した女好き、素人娘から飲み屋の女将まで手を出しまくり、その都度親に尻拭いをさせるという馬鹿息子。こいつが遊びの最中に過って女を殺してしまうことから、ややこしい事態が展開する。息子を獄門にしたくない井筒屋は、金が欲しい人足の松吉に大した罪にはならないと甘言を用いて息子の代わりに出頭させる。人の難儀を見捨てておけぬ江戸っ子の松吉が入用のの金とは、井筒屋と通じるならず者が蕎麦屋を脅しつけて要求する金(松吉が助けた際のヤクザの側の怪我人の治療代)という皮肉なもので、騙られた松吉は斬首されるが、残された娘は鹿蔵に仕置を依頼する。
 ロケ地、井筒屋の若旦那の取り巻きが口封じされる、大覚寺有栖川(岸、河床)
*松吉が見捨てておけず介入する蕎麦屋への嫌がらせ、これを黙過したことで左門は娘に一時口も聞いて貰えなくなる。*若旦那の罪隠しに秀まで狙われるが、長屋の天井から襲う刺客を見事に返り討つ秀と左門、待ちの体勢で神経を張り詰める場面は秀逸。
2003/7/3

■ 必殺仕事人 第4話「主水は三途の川を避けられるか?」1979.6.8ABC/松竹

 上方の仕事人・壬生蔵人が江戸に現れ、老中を殺り寛永寺の大僧正に迫る。遂行されては仕事人の仕業とされてしまうと、鹿蔵は大僧正を守るよう仕事人たちに命ずる。しかし「守る」相手が高利貸しを追い使い幕閣にも隠然たる影響力を持つ大ワルで庶民を泣かせている奴輩なので、秀などは激昂する。結局蔵人は仕事をし了せ自ら縛につくが、元から病に取りつかれていた彼はその夜牢内で命尽きるのであった。
 ロケ地、日寛僧正が老中と月見の宴、大覚寺観月台。老中須賀遠江守邸、大覚寺大門。蔵人が美鈴の鞠を拾ってやる、中ノ島橋上手堰堤脇の岸。蔵人が病のため倒れる、橋上。寛永寺、相国寺(庫裏、渡廊、鐘楼)。鐘楼は鹿蔵と蔵人対峙のシーンに効果的に使われる。蔵人を待ち構え袴の裾にちょこんと座っている元締がなんか可愛い。鐘楼内部からの撮りもある。
*壬生蔵人に丹波哲郎、得物は鼓。かぽーんと鼓を鳴らして殺しのテーマにする。使用の際には紐をほどき鼓を投げて首を絞めるという荒技。*阿漕な高利貸しが科屋兵ヱというのも笑える。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第8話「黒い十手を握る男」1978ANB/東映

 岡っ引の大物が奉行所役人や悪徳商人と結託し悪事を働くという悪弊を一掃するお話。
こやつらの悪企みにはまって死んだ回船問屋が紀州出だから、じいまで同情ぎみ。回船問屋の娘の許婚者の南町同心で正義漢の早瀬数馬をサポートする上様、何度も懲りずに傷を増やす彼を再三救い、最後はワル一堂に会する座敷に乗り込み大立ち回り。ここでは忠相の制止で首魁は手にかけず寸止め。後日南町へ呼び出された彼等の前に「お成り」、「この顔に見覚えがあろう」と断罪、上様と心中ならとかお命頂戴などと向かってくるワルは取り押さえられ幕。キメのパターンはまだ模索中みたい。
 ロケ地、婚約者と話す早瀬同心、大覚寺天神島北の汀。忠相に目明し退治すると告げる新さん、五社明神
*まだまだあちこちにナメられまくりの上様、どういうふうに風格がついてくるのか、この先変遷が楽しみ。ワルの評判聞いてたまらず市中に出る際の「じい、風呂だ」が笑える。汚穢船がギギーと水門開けての出陣シーンは既存の映像使いまわしみたい。

■  第18話「すばらしい明日」1967TBS/松竹

 水野老中の依頼で加賀に謀反の連判状を奪いにゆく新十郎。巻物はあっさり奪うが、追っ手かかりけっこう苦労する。加賀の家老が差し向けた追っ手には腕を見込まれた郷士の倅がいて、若侍たちはこれを嫌い密殺の計画まで立てている。その郷士は家老の娘と相愛で、これを巡る葛藤に重点が置かれる。タイトルは事後若いカップルを見送る新十郎の餞の台詞から。
 ロケ地、新十郎たちが最初に襲われる汀、沢ノ池?決定的な判断材料なく確信持てず。火攻めに遭う新十郎たち、保津峡落合河口。一行を追いかけてきた家老の娘が駕籠からおりるのに声をかける新十郎、平野屋(愛宕の鳥居がバックに映っている)。郷士・一郎太が家老の娘に自分を害する計画あることを聞く、大覚寺護摩堂前。抜け駆けを責められた一郎太が吊るされる木、大沢池北西畔。事後カップルを見送る新十郎たち、放生池堤
*加賀藩の切れ者家老に戸浦六宏、モノクロ画面で見るといつもより凶悪なビジュアル。

■ 必殺仕事人 第82話「激闘技地獄道暴れ斬り」1981.1.16ABC/松竹

 上方から来た仕事人チームが主水らを消しにかかる話。
 夫を惨殺された女房から依頼が来るが、そもそもここから仕掛け。死体の顔が潰されていたのは身代わりを立てるためだった。秀と左門の身辺には見張りの目が光り、しまいに主水の存在も嗅ぎつけられてしまう。一人メンの割れていないおしまが花売りに化けて探索し、ワルのアジトに身代わりにされた植木職人の未亡人と子が捕われたのを知ったチームは、元締の二回目の依頼も受け始動する。
 ロケ地、顔を潰された船頭「磯吉」の酷い死体が上がる、大沢池北西畔。「磯吉」の女房・おこうが辿る木更津への道、罧原堤下河原。お助け地蔵、広沢池西岸湿地(水無、水脈見えてる)。尾行される秀が足を止める橋、中ノ島橋上。上方の仕事人・八郎兵衛の向島のアジト、中山邸(通用門、参道)
*上方の仕事人一味に阿藤海や八名信夫がいて凶悪さを演出。一味の首魁には小林昭二、今見ている「風」の左近の旦那なのにコケそうになる。その首魁が仕掛けに来た左門に「来ましたね、おでん屋さん」とやるシーンは秀逸。
2003/7/2

■  第17話「過去からの呼び出し状」1967TBS/松竹

 先の怪我で左近が療養している鄙びた山の温泉宿で話が展開する。
 偽手紙で呼び出される新十郎、一癖ありそうな宿の主人、主人と因縁ありげな猟師、離れに滞在する御家人たち、そして謎めいた踊り子。大雨で土砂崩れ起き吊り橋も落ち、外界と遮断された山の宿でまず猟師が、次いで宿の主が妙な武器で殺されてゆく。犯人はかがりが所持品から踊り子の同行者の老爺と調べ上げるが、詮索を待たず御家人が殺してしまう。老爺の位牌に踊り子が語りかけるのを聞いた新十郎は真のワルを突き止める。
*踊り子は南の島に暮らす平家の落人の裔で、宿に屯していたのは島抜けして踊り子の島に辿り着き彼女の両親を殺して逃げた四人という奇抜な設定がなかなか。しかし平家の裔っていうのはあんまりお話にカンケーないかも。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第7話「賽の河原に立つ男」1978ANB/東映

 毎年破堤する大川、被害の大きさに胸を痛める上様は不正を疑い普請奉行を召しだし糺すが埒あかず。そんななか、洪水で家を流されてから身を持ち崩して荒れた男に出会う新さん、その男とともに大川堤の普請場に入ることに。ところが工事の不正を調べに来た隠し目付と誤認され接待攻勢に遭う。途中で隠し目付でないことが露見し普請奉行邸へ引っ立てられるが、奉行は新さんの顔を見て驚愕、初めてフラッシュバックの「カーン」音が入り「こやつは曲者斬り捨てい」の捨て台詞登場、ラス立ち開始。まだ「成敗!」は無く、自身の手で大ワルを叩き伏せあとは自裁という次第となる。今回でほぼ基本設定が完了した模様。
 ロケ地、大川堤の普請場、嵐山公園中州付近(舳先、右岸の栗石敷いた河川敷)。普請奉行・根岸左近将監邸、相国寺林光院(門)。普請奉行の不正について庭番の報告受ける新さん、大覚寺五社明神
*騙りの半五郎に引っ掛かるところや、接待攻勢受けるシーンが傑作。ヨイショの役人に玉助発見、泥鰌掬いを披露。騙り男はめ組入り。

■ 必殺仕置屋稼業 第2話「一筆啓上罠が見えた」1975.7.11ABC/松竹

 必殺には御馴染みの悪役・津川雅彦が登場、色悪に加え大騙りの底知れぬワルを好演。
 おこうのもとに来た依頼は殺し屋の女房から、罠にはまり落命した夫の仇をとってくれというもの。死んだ殺し屋は市松の友で、女房は昔二人で争った女。そしてターゲットは市松の「叔父貴」である鳶辰なのであった。鳶辰は目をつけた富商に殺し屋が狙っているとタレこみ自作自演したうえ、弱味を握って身の安全を図るという外道を働いていて、これを知った市松は葛藤の末養父を仕置する。
 ロケ地、市松と主水のツナギ、中ノ島橋下堰堤脇右岸。亀吉が橋上から主水を呼ばわる。鳶辰を呼び出し仕置の常念寺鐘楼、相国寺鐘楼。印玄が鳶辰を「歩かせる」屋根の部分はセットに切り替え。羽交い絞めにして歩くところは鐘楼の階を使用。
*主水はロリコン?と疑惑を呼ぶ、飯屋の少女に付き纏うシーンが登場。これに対比させたのか、大和屋が礼金持ってくる場面の津川雅彦が少女と同衾は非常にアブナい。ドライに描いてるけど。*金箱の仕掛けに成功したと思い込み手を打って喜ぶ表情、市松が突き立てた竹串に「ん?」と振り返る断末魔は津川ならでは。その竹串に添えられた白い折り鶴が朱に染まる映像効果もマル。*養父を殺ってウルウルの市松、一瞬で表情切り替え憎まれ口叩きつつ主水に金を要求するシーンも秀逸。

■ 必殺仕事人 第3話「仕事人危うし!あばくのは誰か?」1979.6.1ABC/松竹

 一対の牡丹の刺青を背に持つ惚れあった男女の痴情のもつれに加え、男に迫る女敵討ちの追っ手。市中の耳目を集める派手で芝居のようなパフォーマンスは、やはり芝居だった。何も知らされず運命に翻弄される女が男を呼ぶ「与のさぁん」は長く耳に残るフレーズとなる。
食い詰めた浪人たちが考え出した芝居は現実とリンクし真に迫り仕事人たちの目も眩ますが、土壇場でウラに気付いた仕事人たちは個別に冷静に事に当たり対処する。
 ロケ地、大捕物の準備して待つ南町奉行所に注進に及ぶ浪人を密殺する主水、大覚寺御殿川河床(奉行所門前設定)
*与之介の名を呼び悲嘆にくれるお衣に微笑んで近づき、いい子だと頬を撫でながら刺す元締、横顔が怖い。
2003/7/1

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第6話「天晴れ!芋侍」1978ANB/東映

 甘藷栽培をはじめる起こりを描く一作。
 巻き狩りの途中エスケープ上様、茶店で振る舞われたふかし芋にいたく感激、由来を聞き「甘芋先生」を訪ねてゆく。しかしそこで妨害働くならず者を見る。これらは甘藷広まると儲けの減る商人の手先で、更に後ろには関東代官や勘定奉行がいる始末。その後も甘藷先生・青木文蔵を助け、幸内の発案で商人たちを引っ掛け悪事を暴く上様。最後は関東代官と勘定奉行を召しだし蟄居閉門を言い渡す。
 ロケ地、ゴロツキが荒らしに来る目黒の青木の畑、広沢池東岸。弓のお稽古上様、枳殻邸印月池畔、上様諸肌脱ぎ。
*逃散百姓の息子が白米見たこともない事実を目にした新さん、遣り切れない思いを胸に夜の闇に剣振りかざし薄を「斬る」暴れん坊の熱さまし。また、黒砂糖で引っ掛けたワルどもに「そなたたちのようなワルを見るとつむじ風のように大暴れしたくなる江戸の暴れん坊さ」…素で暴れているのか。*代官と奉行ははじめお褒めの言葉を頂いてほくほく、しかし褒美の三宝に乗っているのはふかし芋「余の手作り食べられぬと申すか」と強要の上様が笑える。

■  第16話「いのち果てるとも」1967TBS/松竹

 甲州三ツ口採金場、隠し金の不正が行われているところへ踏み込み首謀者・伊太郎を逮捕の左近、江戸へ連行する。これを奪還しようとする者達との攻防がメインストーリィ。
襲いかかる強敵、人質取ったり取られたり、逃げ込んだり押し出したりまた逃げ込んだりと事態は二転三転する。逃げ込んだ先の農家に立てこもった際の人間模様や、遂に伊太郎が見捨てられ共に殺されかかってからのドラマは秀逸。新十郎を中心に左近やかがりはもとより、農家の夫婦や伊太郎たちとの間に不思議な連帯も生まれる。追っ手を全て討ち果たしたあと自ら縛につく伊太郎、ふつうは彼を慕う於兎の愁嘆場などありそうなものだが描かれずEDに見送る姿あるばかり。「風」にはこういった作りの話がけっこうある。
 ロケ地、江戸の金山奉行邸、大覚寺明智門
*捕縛されてもバックに絶対の自信を持ち余裕の薄ら笑い浮かべている伊太郎、金山奉行に見捨てられたと悟って笑みがすっと引いてゆく演出が上々。

■ 必殺仕事人 第2話「主水おびえる!闇に光る眼は誰か?」1979.5.25ABC/松竹

 頼み人は凶盗に主人を惨殺された女将。鹿蔵の示唆で犯人を近頃江戸に舞い戻った横堀の庄兵衛と目し探索の仕事人たち。一方、主水は先の殺しを見ていた筈の鑿の主を警戒する。
表の仕事の途中聞いたかざり職人・宗次の仕事場へ赴く主水、そこに居合わせあの夜見た仕事人が八丁堀と知る秀は巻き込むことを恐れ、慌てて宗次を匿うが、これが仇となり親友の死を見ることとなる。友の亡骸を掻き抱き嘆く秀に事のゆくたてを説明し仕事に誘う元締。
まず友を騙った庄兵衛の女を始末する秀、盗っ人のアジトに押し入る主水たち。鹿蔵が依頼人を連れてきていて庄兵衛に止めをささせようとするが、女将が手にかける前に事切れる。
事後、元締が誘った際の秀の青臭い言辞を引き、気分はスカっとしたかと聞く主水。ほんとの殺しは苦いものと呟く主水に、秀は仲間に入る旨を申し出るのだった。
 ロケ地、探索の左門が半吉とツナギは今宮神社東門内の二本の橋の向こうとこちら。左門は南の石橋、半吉が荷置くのは擬宝珠つきのほう。秀が宗次を連れて下谷の隠れ家へ急ぐ道、広沢池東岸

■ 必殺必中仕事屋稼業 第9話「からくり勝負」1975.3.1ABC/松竹

 寒さにピンチの半兵衛がお話的にも映像的にも傑作の一話。ストーリィは時代劇定番のひとつ・公儀魚召し上げの横暴。
 お指差し役・古田玄蕃は役目を笠に着てのやりたい放題、ささやかな抵抗を試みる魚屋を斬って捨てもする。嶋屋への依頼は夫を斬られた女房から。初手は寒さに手かじかんだ半兵衛の得物取り落としで失敗、しかしおせいはこれを奇貨とする。窮した魚屋の面々が頼み込んでの訴えを言上に行った顔役が御膳奉行に無礼討ちされてしまった一件でターゲット追加のためだった。ワルも身辺に不安感じ、部屋住み連中を引き入れ警護が厳しくなる。そんななか利助のヘルプもあり両者いちどきに仕掛ける算段を講じる仕事屋二人、お指差し役宅の天井と床にそれぞれ忍び込み時を待つ。視ている者をハラハラドキドキさせる経過を辿り、鮮やかに始末をしてのける。
 ロケ地、御膳奉行・諸角則保邸、大覚寺大門。お指差し役・古田玄蕃邸、相国寺大光明寺(門、南塀路地、庭)。路地と庭を同時に映すクレーンショットもありダイナミック。
*映像は凄い効果のものが多数。屋根裏に潜む半兵衛が置いた筒から漏れた水が天井を伝い落ちる、一滴目と二滴目が非常に効果的に使われる。政吉が床板はずし引きずり込んだ諸角のわななく手が縁下から出ているのも緊張感溢れる一幕。初手にしくじる際のいかにも寒そうな演出も見せる。
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