時代劇拝見日記
2007年3月

・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪表紙テキスト版 ・ロケ地一覧 ・時代劇の風景トップ
・このサイトについて  ・サイトトップ

←2007/22007/4→

2007/3/31

■ 遠山の金さん 第64話「引き廻しの女」1976.12.23NET/東映

 前奉行が死罪と裁可を下した強盗致傷の女、どうにも疑問なお奉行は処刑を延ばしのばしにしてきたが、大目付からやいのの催促にとうとう強攻策。出てきたのは義民の父を死に追いやった憎き賊どもを狙う、意志強き母子だった。
 ロケ地、刑場へ向かうおさんの引き回しに乱入し奪い去る金さん、下鴨神社糺の森(青木さまと気を合わせて/おさんを乗せた馬に乗りタンデムで逃げ去るのは馬場)。匿う用意の小屋はちょっとした起伏の上、44話「心の旅路をたどれ」で出たのと同じ。近付く町方を小屋の羽目板から覗く際見える風景は下鴨神社泉川畔、合成か板を置いての撮影か。小屋から出て町方を引き付ける金さん、小屋近くには池、そのあと逃げるシーンに石段二種類(様態は智積院大師堂付近に似る)。この隙におさんを連れて船で逃げるお京、広沢池北岸。小屋のくだり、設定は千住河原。
*おさんに紀比呂子、母のおしげ(人柱のおたつと二ツ名)に稲野和子、金の大黒を所持する元盗賊は岡田英次。*ハラキリ芝居を止めて貰えないなど笑える青木さま全開、佐野屋潜入ではピッキングや蔵の格子切りなど大活躍、妙なことに堪能と判明。

■ 必殺仕事人 III 第30話「スギ花粉症に苦しんだのは主水」1983.5.6ABC/松竹

 堅気になった勇次の仕事仲間は、持病に付け込まれ夫婦ともども地獄を見る。悪党は主治医のほか御典医にヤクザ、女房の絵の師匠までてんこ盛り。
 ロケ地、賦分けの野原、糺の森か。竜とお峰の出会い、椿を取ろうとして滑落したお峰を助けた竜、保津峡落合落下岩。町で竜を見かける勇次、中ノ島橋の上と下。
*百花の竜に苅谷俊介、お峰は鈴鹿景子、主治医は真田健一郎。*勇次の仕掛け、三の糸でモチーフの椿を散らして。

★訂正

 ・銭形平次24話「捕縄の掟」
 長門裕之が屯する茶店がある神社
  誤 松尾大社
  正 新日吉神社

 ・銭形平次217話「金が敵」
 富突きが行われる天神さま
  誤 松尾大社
  正 新日吉神社

 ・銭形平次322話「美女えらび」
 美人コンテストが行われる会場
  誤 松尾大社
  正 新日吉神社


*松尾さんにしては桂川用水が見えないとか書いちゃってる…恥。あんな大昔に掘った用水がなくなるワケないのに大馬鹿。いまひえさんの境内あんまり覚えてなかったとしても間抜けすぎ・穴掘って入りたいよ。★斯様な真似も仕出かしますので、書いてあることは鵜呑みにせずご自分でお確かめ下さい。
2007/3/30

■ 銭形平次 第388話「人情大利根往来」1973.10.10フジ/東映

 賊にさらわれ船で流されてしまった赤子を拾ったのは、子の無かった漁師。真の我が子とするため江戸へ出て八年、悪党の企みから経緯が知れ、親子は引き離されかける。
 ロケ地、赤子をさらわれた下総の庄屋・本庄喜左衛門邸、賊が乗り越える塀は民家南塀、中から賊を追う人数が出てくるのは民家長屋門。賊が船に赤子を乗せるも、追っ手をやり過ごす間に船を流してしまう川、大堰川か。赤子を拾った漁師の小屋、大堰川河川敷にセット。八年後の江戸、成長したその子が遊ぶ祠、大覚寺天神島。兄弟分に託された兇状持ち(八年前庄屋宅に入った賊)を伴い下総に帰った二足の草鞋・取手の島蔵が立つ利根河原、大堰川河川敷(利根川の道標)。平次が親子四人を伴いやって来る取手の河原も大堰川河川敷と堤、ラス立ちも同所。河川敷の様子や遠景の山なみ、川相から宇津根付近と思われる(参考)
*拾い子の母に藤間紫、ベタなれど涙ものの別れの愁嘆場が実父の庄屋をあきらめさせるに足る熱演。その庄屋は西山嘉孝、取手の島蔵は安部徹、兄弟分のヤクザは織本順吉(平次からこそこそ隠れるのが傑作)。*天神島で遊ぶ子らを見て、通りがかった万七が子供はいいなぁと目を細めるが、やってる遊びは捕物ごっこ、役を決めるのに負けたら万七・勝ったら平次と言うのを聞きむくれまくり。子らのおもちゃの十手が可愛い。

■ 大江戸を駈ける! 第5話「身勝手な欲望」2001.1.8C.A.L

 ストーカーの果ての殺しも、年少者ゆえ罪は軽減と北町のお裁き。これに触発された悪ガキが、志乃につきまとった挙句拉致という挙に。白州に引き出されても不逞な少年、生々しく胸糞のわるい経過を、お奉行の泣き笑い人生劇場で料理。
 ロケ地、ストーカーに追われ殺されてしまう町娘、大覚寺天神島と汀。死体発見者の植木職人が歩いてくるのは放生池堤。お使いに来た志乃が出てくる木村若狭守邸、大覚寺明智門。帰りの夜道、参道石橋参道(共に御殿川から見上げのアングル、尾行者は御殿川河床にいて、このシーンでは足だけ登場)。事後、冒頭の事件の現場を見つめる求馬、天神島(夕景ということでフィルムは真っ赤に演出)
*拉致されあわやの志乃の危機に出てくるのは親父の師匠、悪ガキをボッコボコ…求馬が居所を探し当てるのは描写があったけど、師匠がどうやって知ったのか謎。*若狭守は北町の大甘お裁きに関与とされるほか、何やら師匠に意味深な文。御本人の登場はなし。

★昼間のKBSで紹介されてた蔵田先生の本「シネマの京都をたどる」、即ホイホイとネットで注文。後で気付く、淡交社で今出してる古寺巡礼の相国寺はもう出てたのね。アマゾンなら関連事項で注文画面に出てたかな。
2007/3/29

■ 銭形平次 第387話「私の好きな平次親分」1973.10.3フジ/東映

 平次のお膝元で頻発する押し込みは、とんだ逆恨みによる意趣返し。賊を追う過程で平次ファンの娘がからみ、コミカルな騒ぎを巻き起こす。
 ロケ地、正体を隠して碁会所を探りに行った平次を賊の一味と怪しむ看板娘のおすみ、瓦版売りの仙太と二人で尾行は御香宮。本殿脇で見失ったと騒ぎ/「柄の悪い平次」に脅され/通りかかった八にアレを捕まえろと迫る。仕方なく親分と芝居の八は拝殿脇←おすみが社務所前の蘇鉄に隠れて見ている。賊が化けたニセ平次に呼び出されるおすみ、木島神社本殿前。
*おすみは岡崎友紀、瓦版売りに佐藤蛾次郎、賊の首領(表の顔は俳諧宗匠)は河津清三郎。

■ 大江戸を駈ける! 第4話「師走の目撃者」2000.12.18C.A.L

 仕込みの殺しでお奉行をハメようとする若狭守と武蔵屋、不遇な若者の心をくすぐり「南町に見殺しにされた」被害者を創出。しかし殺しの現場を、歳暮の品をくすねた女中が見ていた。
 ロケ地、目撃したことが犯人にバレた女中がゴロツキに襲われる道、大覚寺放生池堤(あまり水面を映さず)。助けた求馬が事情を聞くのは天神島池端・庭湖石が見えている。遂に家を襲われた女中が告白するのは天神島大楠の根方。事後、お酉さまで女中と子を見かける求馬(志乃の買い物に駆り出され熊手を担いでいる)五社明神に縁日あしらい。
*松平伊豆守は吉田輝雄、井筒屋の義弟を使嗾する浪人に岩尾正隆(求馬に敗れ自刃)。*カズノコ盗の女中には温情裁き、「きっと叱りおく」お奉行の所作がイイ。*家を襲われた女中を助けるのは師匠、ゴロツキが子を人質にとるが師匠には通じない。*若狭守も武蔵屋も名前が出るのみで登場せず。
2007/3/28

■ 銭形平次 第386話「夏の終り」1973.9.26フジ/東映

 テキ屋の源兵ヱは、久しぶりに出た江戸で男と逃げた女房を見る。しかも女房の倅が、源兵ヱが大事に育ててきた養女と恋に落ちてしまう、奇妙な縁。娘への深くかつ複雑な愛が節目を迎え、けだるげに季節が移ってゆく。
 ロケ地、祭りが行われる深川八幡、御香宮。導入は参道、お参りをする源兵ヱと娘は本殿、娘にからんだ地回りに食ってかかった火消しの青年がボコられるのは本殿前、テキ屋たちが露店を出すのは本殿脇、雨宿りするテキ屋一同は絵馬堂、源兵ヱから逃げた女房の言い訳に重なる雨宿りシーンは拝殿裏手、源兵ヱがヤクザに刺されるのは境内摂社脇。
*源兵ヱはハナ肇、「暴れ馬」と異名をとった強面が実によく似合う。娘は市毛良枝、火消しの青年は古谷一行、ヤクザの親分は藤岡重慶、テキ屋仲間の桜井センリ(蝦蟇の油売り)、古川ロックの甘酒売りも味わい深い。

■ 大江戸を駈ける! 第3話「明日なき暴走」2000.12.11C.A.L

 家庭の事情からグレた若者たちが起こす無軌道から、公儀御用がらみの悪事が露見。不和の因となった後妻が正体を現し、憑き物は落ちる。
 ロケ地、材木商・木曽屋の娘が御籤でツナギをとるのに使う鳥越明神、梅宮大社(御籤を結ぶのは集会所前、舞殿の端っこが映り込む。求馬が駆け入って来る等の出入りには神苑の門から境内に)。ツナギの秘密に気付いた求馬が周平を追うルート、梅宮大社本殿前から大覚寺護摩堂有栖川河床から御殿川河床。木曽屋の先妻の墓、二尊院墓地
*木曽屋の娘が父から金を脅し取るのに使うのは改修普請工事裏取引の念書、武蔵屋と老中の名が出るがバックレ。*木曽屋が娘を拉致しようとして差し向ける荒くれ、拉致用に連れて来られた駕籠舁きに福ちゃん←求馬が出たので真っ先に逃走。墓地で出る後妻側の用心棒のセンセイも福ちゃん。
2007/3/27

■ 銭形平次 第385話「海の狼」1973.9.19フジ/東映

 下田へ抜け荷の大悪党を貰い受けに赴く話、同行する同心の内に内通者がいたり、悪党を慕い逃がそうとする女などからみ、危険な旅が続く。途中平次が気付いた通りの伏兵もいて、最後は江戸に巣食っていた奴らを一網打尽。為さんに道中の危険さを吹き込まれ脅かされていたお静が、帰ってきた親分に駆け寄る安堵の顔で締める。
 ロケ地、海浜・街道とも間人海岸と周辺。
*護送される「伝兵衛」に早川研吉、彼を逃がそうとする姐御に町田祥子、内通者に長谷川明男(攪乱などあり最後に判明する趣向だが、このキャスティングだとハナっから「こいつじゃん」なのも一興)。

■ 大江戸を駈ける! 第2話「殺された純情」2000.12.4C.A.L

 若狭守の落胤と縁談のある武蔵屋の倅だが、岡場所の女に純愛。その女が殺され、怪しい筋を当ってゆく求馬、エキセントリックな面々は結構純情な人ばかり、指令を出したに相違ない武蔵屋は、実行犯が己の一存と申し立てのうのうと逃れる。
 ロケ地、江戸城イメージ、皇居巽櫓。求馬の追及を逃れるため人質にされる師匠、藩士が屋敷へ同道する道に大覚寺参道石橋(もうここで鯉口に手)、屋敷の門は明智門。武蔵屋の番頭と手代に呼び出される法明院、不明。事後、町ゆく求馬に寄ってくる青木、南禅寺僧堂坂
*武蔵屋の倅に鷲生功。縁談の相手・お京を慕う人足頭に聞き込みのくだりで喧嘩に参加する人足、および法明院で出てくる用心棒の浪人に福ちゃん。
2007/3/26

■ 銭形平次 第384話「殺しを見た女」1973.9.12フジ/東映

 水茶屋女の偽証の裏には、踏みつけにされる弱い立場の女の哀れ。その心情を充分に汲んだ親分は、女を不幸に追いやった男を強い態度で責める。捕物は、先走る万七を制し真実を探り当てる、いつものパターン。
 ロケ地、水茶屋の小女が墜死した橋、中ノ島橋。証言者の女・おたきが参る亡児の墓(下谷)永観堂墓地(鐘楼と段差を効果的に用いる)。小女殺しの真犯人が転がり込む本多越中守屋敷(中間部屋に賭場)、会いに来たおたきを殺そうとするのは永観堂千佛洞脇塀際(立ち回りは「洞」である蔵周辺の御影堂との間で。仲間が回廊下からわらわらと出てくる。この際御影堂基壇のほか、多宝塔へ登る道もはっきり見える。設定は屋敷外か)
*おたきに谷口香、小女に渡された手切れ金を見て悪心を起こした源三に遠藤征慈、身籠った小女を捨てた富商の甥は柴田昌宏、墓守に北見唯一。

■ 大江戸を駈ける! 第1話「隠密同心誕生!」2000.11.27C.A.L

 爺さまの方針で正式に隠密回り同心となる求馬、早速の拝命はお奉行の命が狙われた件から、政敵の老中探索。しかし実行犯には全く別の動機、怪しい蔓がほの見えて沙汰やみ。
 ロケ地、酔っ払い綾を連れ帰る途中で水に落ちたおせいを拾う夜道、大覚寺放生池堤。事件に関わる怪しの浪人と立ち話する師匠を見る求馬、南禅寺僧堂坂。追った求馬に斬りかかる浪人たち、南禅寺三門林間。おせいの男・喜八が出入りの賭場、広沢池北東岸萱葺民家を池越しに(設定は武蔵屋所有の葛飾の元庄屋宅)。そこから逃げた喜八を追う求馬、浪人が出てチャンバラは木津河原(染物干し場あしらい、師匠が出て浪人らを捕まえ損ねる)。所払いとなったおせいと喜八を見送る求馬、大覚寺境内か。
*お奉行の好物の豆大福に仕込まれていたのはテトロドトキシン…どんな味なわけ。それより数分で出る分析結果のほうが気になる、恐るべし江戸時代科学。
2007/3/25

■ 新・座頭市3 第23話「不思議な旅」1979.10.29勝プロ/フジ

 様々な顔をして市に近付く女、望みは母の仇討ち。父と呼ぶ声をひとまず受けて、市は血刀を振るう。
 ロケ地、飯をやった乞食女が水に向かってゆく市を止める桟橋、湖畔か。道端で酒盛りの乞食女と市が人捜しの渡世人たちに声を掛けられるくだり、土手越しの湖面か(土盛り側の水面は水溜り?)。乞食女が市を案内する尼寺、西の湖園地か(葦原に萱葺きのお堂、花頭窓あり)。奉納相撲が行われる祭りの神社、不明(求馬の4話や暴将などでも出たいつもの土俵か)。香取を去る市、道端に三味を弾く娘、西の湖付近か。
*乞食女、尼の声、女郎屋へ上がり市を揉み療治に呼ぶ女、原田美枝子。女の生き血を吸うヤクザに小林昭二。

■ 新・座頭市3 第24話「おてんとさん」1979.11.5勝プロ/フジ

 その山でご来光を浴びれば目が治ると信じ大挙してやって来る盲人たちを騙し、金鉱へ放り込み労働を強いる悪党ども、市も姑息な手で仕込みを奪われなす術なし。親分の情婦がこっそりお山へ導いてくれるが、縋る思いで待ったお天道様が照らし出したのは、悪党に斬り殺された無惨な死体だった。
 ロケ地、盲人たちが婀娜っぽい姐さんに先導されゆく山道、不明。市に治ると信じているのか問う親分の情婦、お堂は高山寺に似るも不明。ボタ山、タコ部屋のある山間、不明。姐さんの回想、盲人の母と門付けの日々・追われる家、美山か。目が開いて姐さんを見る市の夢、背後の水落ちは柊野か。ご来光を拝むお山、不明(山頂に大きなケルン状の石積み、上に祠)
*親分の情婦に太地喜和子、幼女にも容赦ない親分は藤岡重慶で手下に松山照夫、孫娘を連れた盲人の老爺に村田正雄。*あまりの無惨に、それまで開眼を期して拝んでいた太陽に唾する市、名シーン。

■ 新・松平右近 第19話「怪談 すすり泣く古井戸」1983/4-9

 貧乏御家人が欲にかられて妻女を殺す話、大身旗本の娘と婚儀とか話を持ちかけるのが宅悦じみた茶坊主とか、微妙に四谷怪談に似た仕立て。しかし藪さんが科学者なので「出る」一件に不思議なし、成敗時には仇討ちもさせてやる。
 ロケ地、旗本・青山主膳の娘が暮らす向島別邸、中山邸通用門。御家人の妻女が放心して帰る道、大覚寺大沢池(護摩堂前で藪さんが見かける)。主膳の娘と夜の川端でデートの御家人・田村、広沢池東岸(蛍を追ってゆくと繁みに「出る」)。事後、御新造の墓に参る双子の妹と田村家の郎党(旅装)、不明(高台か)
*御家人・田村貞次郎に亀石征一郎、妻の幽霊を見て錯乱→祝言相手の旗本の娘を斬殺のおきまりパターン。旗本は戸浦六宏、御新造を手篭めのヒヒ爺。茶坊主は北九州男。御新造は二宮さよ子、妹の軽業師と二役。*平四郎ダンナが採取してきた井戸水を濾紙使って分析したり、器具とか使ってるのは久しぶり。
2007/3/24

■ 遠山の金さん 第63話「愛と憎しみの果て」1976.12.16NET/東映

 三年の間にあいた、原因不明の大穴に困り果てる勘定奉行。金の動きはよくある横領で動機は怨恨、ドラマは血の繋がらぬ娘に対する父の感情を不思議なタッチで描く。
 ロケ地、勘定奉行・田河内膳正邸、大覚寺大門内外。
*勘定方組頭に根上淳、娘は瞳順子、勘定奉行は花柳喜章。
2007/3/23

■ 銭形平次 第383話「悪の細道」1973.9.5フジ/東映

 三年前の犯行時に顔を見た左官を消しにかかる盗賊ども、その動きが親分の不審を招き、進めていた大仕掛けが露見する。しかし「目撃者」は彼らの思い込みで左官は何も覚えておらず、気抜けして肩を落とす悪党どもに親分の高笑い。
 ロケ地、妹連れの若狭屋が船を下りたところへ番頭と妾が来かかり話す船着き(妾が「妹」の簪を見咎める)嵐峡船着き。
*左官は亀石征一郎、女房は菊容子で結婚を反対され勘当の身。その実家が悪党に見込まれていた次第。悪役陣、神田隆に穂高稔、有川正治等お馴染みの面々。旦那の悪行を見抜き平次に注進の妾は三島ゆり子。*お静が雨漏りに騒ぎ、悪党燻り出しの算段を思いつく親分が笑える。

■ 南町奉行事件帖 怒れ!求馬 II 第17話「すべてを賭けて守るもの」2000.2.28C.A.L

 心ならずも別れたかつての許婚者に出会う姉崎、女の身の変わりように驚くも束の間、とんだ大事件に巻き込まれる。
 ロケ地、あいまい宿の摘発から佐和を庇ったあと話していると遊び人と旗本の殺し合いに遭遇、結果的に直参を斬ってしまう姉崎、今宮神社高倉下。江戸城イメージ、姫路城天守。佐和がたばかられ呼び出される椙森稲荷、今宮神社稲荷社。意を決し千石屋へ向かう佐和の駕籠、仁和寺境内石畳。事後、佐和の寺子屋を見てきた求馬と姉崎がゆく市中、仁和寺中門塔裏手疎林。豆千代から逃げて町を走る求馬、仁和寺参道(背景に塔頂部)
*佐和は真行寺君枝、千石屋は草薙幸二郎で一味の旗本は青山良彦。用心棒に福ちゃんや峰蘭太郎、福ちゃんは走る求馬に驚く通行人でもチラ出。

■ 逃亡者おりん 第21話「江戸城大乱!明かされる陰謀」2007.3.23TX/C.A.L

 母に会うため、父の仇を討つため、おりんは江戸城へ。罪をでっち上げ政敵を屠る大岡忠光だが、ここから暗雲が垂れはじめ、道悦の城内乱入で巻き起こる大騒動のなかで仕出かしてきた悪行が白日の下に曝される。

ロケ地
・鎌倉・琳光院を訪ねるおりんと宇吉、直指庵山門、庫裏(道場)、本堂前庭(甲賀者の影)
・田安宗武邸に現れるおりん、不明(座敷から庭、おりんが出てゆく門は鹿王院に似る)
・大岡忠光邸、西本願寺大玄関門(田沼が密書届け)
・大御所の法要に上野寛永寺へ詣でた御台が襲われる門前、随心院薬医門(おりんが現れ御台と母を門内に退避させる)。御台が手当てを受ける寺の座敷、随心院表書院
・江戸城、姫路城天守(大岡が森川土佐に御台襲撃の罪をなすりつけ)
・江戸城を見やるおりん、姫路城全景を南西から遠望。
・森川土佐への指弾が行われる辰の口評定所、姫路城いの門
・如春尼を退去させようと将軍のもとにやって来る大岡のくだり、導入に好古園甍越し姫路城天守、将軍が御台と寛ぐ東屋は白沙村荘倚翠亭、如春尼が茶を点てているのは問魚亭。
・侵入者ありと次々城門が閉められてゆくくだり、姫路城腹切丸脇路地への門付近、西の丸内部から天守、菱の門等各所。
・騒動を見て92門全て閉めるかと呟くおりん、二条城外濠端から西門を望む。
・大事に駆けつけた田安宗武が田沼に阻まれる城門、二条城北大手門
・母の身を案じ濠端を走るおりん、姫路城三国濠端。甲賀者に囲まれ戦うのは大覚寺五社明神裏手。
・夜、城に侵入すべく石垣に取り付くおりん、二条城石垣(石積から判断)
・城へ入ったおりんが警備兵をやり過ごすくだり、姫路城はの門下坂(兵が走る)にの門(おりんが兵を襲い装備を取る)、ほの門?(甲冑を着込んだおりんが入ってゆくところを誰何される)腹切丸脇塀(狭間から矢)への門内側天守下(兵士とやり合い、への門を外へ)
・城へ入っている宇吉、ここが墓場かと孫娘を思い出す石垣際、姫路城小天守(はの門内側から見上げ)。そこへおりんが現れ合流するのははの門内側。城中へ侵入する二人、西の丸内部(大奥設定)
・弥十郎と道悦の戦いが城内から林へ移動、鳥居本八幡宮広場。おりん参戦、逃げた道悦を追っての決戦は篠山城天守台(道悦が落ちる石垣下にスモーク焚き)
・弥十郎の出自が明かされ、おりんが弥十郎の申し出を断り、将軍がおりんと如春尼に詫びる城内の東屋、白沙村荘倚翠亭
・父の墓に参るおりん、広沢池北西岸(水無)
・根来の里、おりんと宇吉の帰りはいつと話す幼女二人、北嵯峨農地

*セガサミー一社提供できたシリーズ、ゲームもパチンコもやらない層にも十二分の訴求効果はあったぞと、ちょっとヨイショ。刺激は足りてるのでハァ?だったけど、今の状況とかわかってCM部分も楽しく見たのは確か。カセットみたいなのを嵌めて使う機種で、イタリア人の配管工がキノコをアレして姫を救うゲームで終ってる奴に言われてもしょうがないんだけどね。
2007/3/22

■ 銭形平次 第382話「海鳴りが牙をとぐ」1973.8.29フジ/東映

 奉行のお声掛りで下総の海に沈んだ御用金を求める親分、何やら上つ方も加担の簒奪を防ぎ大立ち回り、若い恋人たちを苦しめる悪い網元もついでに成敗・家を取り戻してやる。
 ロケ地、下総・椿浦の海浜、丹後海浜か(柱状節理の露出)。朝吉ととねを会わせてやるお堂、御室霊場お堂。
*先の網元の娘で難所に潜る能力を有する娘・とねに三浦真弓、恋人の朝吉は酒井修、彼らを庇う酒肆の親爺に見明凡太郎。阿漕な網元は福山象三、御用金狙いの怪しの浪人は外山高士で相棒の御家人くずれは飯沼慧。*ヤクザ紛いの網元一家へ入り込むための変装は渡世人、よって立ち回りの得物は道中差・八は十手と二丁でブン回し。

■ 南町奉行事件帖 怒れ!求馬 II 第16話「鯛だけが知っている」2000.2.21C.A.L

 賄方の不正、御用の魚を料亭に横流し。求馬と意気投合した無役の若侍が全ての罪をおっ被せられかけるが、正直者の彼は元帳を持ち出し求馬に渡す。
 ロケ地、賄方に出勤途中の筧を呼びとめ御納屋に暗殺犯が匿われていないか聞く求馬、妙心寺衡梅院生垣際。
*無役の小旗本・筧青年に石橋保、能書家設定。賄方頭は小林勝彦、配下に成瀬正孝、つるむ悪徳商人は出光元。向こう見ずに捩じ込んで殺される魚屋は櫻木健一、為吉の知人。*話の起こりに横流しの鯛を食っちまう兄弟、栄太郎さまが不正な鯛をと「ここだけの話」の一同が大笑い。千鳥の二階で筧にリークを頼み込む一同を「討ち入りの相談みたい」や、横流しのせいで城中の食事が不味かったのを根に持っている爺さまも笑える。

■ 必殺仕事人 III 第29話「老眼鏡を買わされたのは主水」1983.4.29ABC/松竹

 罪をでっち上げ牢にぶち込んだ囚人から金を巻き上げるシステム、与力と岡っ引に牢名主が組んでの悪行。金を作らせるのは娘の身売り、これには岡っ引の愛人の裁縫の師匠がからんでいて、順ちゃんの淡い恋の相手が毒牙にかかってしまう。
 ロケ地、伝馬町牢屋敷、大覚寺明智門(裏口はセット)。囚人の死体が運び込まれる墓地、例の場所か。順ちゃんがお袖とデート、大覚寺大沢池(お袖の父が窩主買いで捕まったと知らせが来るのは放生池堤)
*岡っ引は藤岡重慶、愛人の師匠は一柳みる、牢名主は汐路章。
2007/3/21

■ 銭形平次 第381話「天女を女房にした男」1973.8.22フジ/東映

 記憶喪失の美女を拾い保護した男、女に頼られ縋られ夫婦気取りで有頂天。じきに女の身元は知れ二人は引き離され、挙句女は大川に落ち死んだものとされるが、起こった出来事は全て大店乗っ取りの仕込みだった。
 ロケ地、備前屋に引き取られていった記憶喪失の女が、なぜか店には戻さず留め置かれる深川の寮、中山邸通用門(裏口はセット撮り)。寮から清八と逃げた女が店の者たちに追いつかれる橋、中ノ島橋(女が川に落ちるのは橋たもとの中州岸から)。清八が死んだと思った女を見かける両国界隈、仁和寺水掛不動入口。女の墓、金戒光明寺本堂裏墓地
*悪党に見込まれ利用されてしまうダメ男に財津一郎、朗らかな売り声が印象的。彼の「天女」は森秋子、ダメ八にほだされる展開。お店乗っ取り首謀者の分家の弟に柳生博、グルの番頭は牧冬吉、汚れ仕事を引き受ける駕籠舁きに平沢彰と宮城幸生。

■ 南町奉行事件帖 怒れ!求馬 II 第15話「疑惑の炎」2000.2.14C.A.L

 卑劣極まりないやり口で横恋慕男に亭主を二度も殺される、求馬が姉とも慕う女。火事場での火消しに手の出ぬ憤懣を、お奉行が飄々と裁く。
 ロケ地、火消し同士の大喧嘩に介入する求馬、嵐山自転車道。おはまとの祝言が決まったは組の纏持ちが二人して神前に報告の帰り、に組の纏持ちにからまれる境内、今宮神社東門と橋。事後、赦されるも巡礼として発つおはま、嵐山自転車道(半田同心が声もかけられず涙ながらに見送る←純情一目惚れ)
*おはまに平淑恵、父・は組の頭に山田吾一、纏持ちに伊吹剛。おはまに横恋慕・火事場の掟を悪用し亭主を死に追いやるに組の纏持ちに伊藤敏八。
2007/3/20

■ 銭形平次 第380話「朧夜の甘い匂い」1973.8.15フジ/東映

 双親の仇を討とうとする娘、手を汚させまいと動く親分。仇の二人が殺しあうよう捨て身の色仕掛けで持ってゆく女軽業師の緊迫のドラマ、彼女のため命を賭けて紀州の家老に訴えたり、盗っ人紛いの潜入を敢行したりと平次の見せ場もたっぷりで、痛快な懲らしめのあと娘の店が復活するめでたい結末。
 ロケ地、お竜が大和屋や田尻と会う料亭・辰巳屋、嵐山公園・錦(平次が様子を窺うのに隠れる塀はあしらいもの)。お竜が参る両親の墓、化野念仏寺(石仏群傍の新墓)。紀州藩中屋敷、大覚寺大門(参道を家老の駕籠が来て、門をくぐる家老は内側から/平次が跪き願い出るのは式台玄関前の植栽脇・聞き届けた家老は式台玄関へ)
*お竜は光川環世、色っぽい姐さんも罠にはまった悪党を嗤う悪女っぽい顔も良し。爺やは北見浩一、紀州のご家老は竜崎一郎。お竜の親を害し紀州家出入りゲットの悪徳商人は高野真二、手を貸した紀州家御納戸役頭は天津敏。お竜に手玉にとられるヒヒ爺っぷりがお二人ともなかなか。*折角のオフを鯵二匹の釣果に費やしお静を怒らせる親分、狙いの鯛がバースデープレゼントだったと知って嬉し涙のお静、もうどうにかしての熱々夫婦のおのろけ入り。

■ 南町奉行事件帖 怒れ!求馬 II 第14話「妹は可愛い小悪魔」2000.2.7C.A.L

 辻斬り事件頻発の折り、警戒中の町方にとっ捕まった美人局娘は、求馬の父の隠し子だと言い張る。辻斬りを脅していた相棒が殺され、頭に来た「隠し子」は無鉄砲にも仇を討ちにゆき捕われ、お奉行が出張り求馬が命懸けの果し合いに臨む展開に。
 ロケ地、辻斬り犯の見当と隠し子の話をして市中をゆく求馬と姉崎、妙心寺東海庵脇に出てくる。およしの回想、相棒の長吉が「若様」を尾行した鎧の渡し、広沢池東岸(後段、およしが若様に包丁で突きかかるも当て落とされ連れ去られるのも同所、夜のシーンなので当然真っ暗・嵐峡かもの疑念残る)。「若様」との果し合いに赴く求馬に介添えすると出てくる姉崎、妙心寺大通院裏塀付近。隠し子の一件が嘘と知れたあと、求馬とともにお奉行に会うおよし、庭の池辺不明(小態な池の端に刈り込み・池に家鴨小屋?の小屋根)。養生所へ働きにゆくおよしを見送った求馬が母に見咎められ逃げ出し走る路地、妙心寺路地
*およしは岩崎ひろみ、辻斬り若様は柄沢次郎、父の旗奉行は滝田裕介。

■ 遠山の金さん 第9話 2007.3.20テレ朝/東映

 阿漕な取り立てで死人まで出す件で怪しのヤクザ一家に潜入した金さんは、他ならぬ遠山金四郎を妹の仇と憎悪する浪人と出会う。
 ロケ地、暗闇一家が屋形船で開帳する賭場、大覚寺大沢池。事後、お袖の墓に参る金さん、大沢池北東汀・菊ヶ島前。
*実は南町与力でけっこうなワルの浪人に中条きよし、ヤクザの親分に団時朗、手下に上杉祥三、黒幕の両替商に鶴田忍、賭場の帰り殺される旦那に穂積隆信。
2007/3/19

■ 必殺仕事人V激闘編 第33話「主水、裏ワザで勝負する」1986.7.25ABC/松竹

 闇の会を乗っ取った上方の仕事人たちの的は、主水の新しい上司。主水の意志が示されるや、上方勢は竜や政たちをお尋ね者に仕立て上げ追い立てる。
 ロケ地、小堺の密偵が殺される夜道、大覚寺護摩堂前〜放生池堤石橋。翌朝の見分は放生池堤、小堺が殺されたのは自分の密偵と打ち明け巨悪を倒すと宣言する墓地、化野念仏寺・石仏群内陣。竜が探りにゆく元老中・松平伊予守邸、大覚寺大門。その帰り昼を使う竜に襲いかかる上方勢の女仕事人、金戒光明寺三門。その場から逃げた女を尾行する政、金戒光明寺極楽橋中山邸門(天満屋寮)。天満屋(上方の元締)と会う主水、マジ海の岩場・不明。その帰りの主水をつかまえ小堺の密偵が託した書付を見せる壱、不明(神社境内、丹後か)。主水を騙って呼び出された小堺が暗殺される祠、大覚寺天神島祠脇。小堺の墓(主水が妻女に仕事料を託される)、マジ海の際・不明、セットか有り物かストゥーパ様の石塔が見える。手配がかかり逃げまどう主水チームの仕事人たち、政が隠れるのは大覚寺御殿川河床(勅使門橋を捕り方が走る)。伊予守と取引の主水、下鴨神社二の鳥居(主水の背後に楼門が浮かぶ)
*天満屋は島田順司、伊予守は神田隆、小堺は藤堂新二。*最後のツナギでは別れの言葉が出るが、シリーズお得意のメンバーのその後は無く、盛り場をゆく主水のみ。

■ 銭形平次 第379話「雪の日の記憶」1973.8.8フジ/東映

 行き倒れたところを助けられた母子は、名も告げず去った男を待ち続けるが、再会は男の市中引き回し。その人は罪人でないと叫ぶ幼女、仕置は日延べとなり、男が頑として何も白状しなかった真の理由が明らかとなる。
 ロケ地、泳がせるため解き放ちとなった政吉が、母子を危険から遠ざけるため急ぎ江戸を離れる夜道、盗賊仲間が現れ三人を始末にかかる町角は相国寺方丈塀際。
*政吉に内田良平、妻子を大火で亡くし悪の道に・行き倒れの母子が妻子と被る設定。母子に「ごじょもんさん」の話をする老巡礼は藤原釜足。*ごじょもんさんは寒村の民が言い伝える、神とも救世主ともつかぬ霊的な存在。水神や山の神、祖霊神への信仰が凝って山越阿弥陀等に至るプロセスと同じか。親分の分析は義民等の神格化。こんなペダンチックな要素が出るかと思えば、政吉の塒に踏み込んだ万七の「寝床が冷たい」に、清吉の「まるで赤穂浪士」発言も飛び出す。

■ 南町奉行事件帖 怒れ!求馬 II 第13話「孫の駆け落ち」2000.1.31C.A.L

 蜀山人に頼まれ、芸者と駆け落ち芝居を引き受ける求馬。ごく内輪の秘密のはずなのに派手な襲撃が続く不思議、そも芸者自身が仕組んだ罠で狙いはお奉行、しかし芸者も使嗾を受けているという次第。
 ロケ地、芸者と求馬が駆け込むはずの小梅村知人宅へやって来る蜀山人、中山邸通用門(庭で二人は来ていないと聞かされる)。襲撃者から逃れ竹屋の渡しへ近づくも見張られていて逃げ出す二人、広沢池東岸。仕方なく向かった橋場の百姓渡しでも襲撃、罧原堤下汀(漁具あしらい、乱闘で染奴が足に傷を負う)。求馬をタテにされ今戸へ呼び出されるお奉行、罧原堤下河原。監禁小屋はセット撮り。
*染奴は小松千春、怪しいと知りつつ親身に手当てする求馬に、お奉行の人となりも識る運び。親の仇と染奴を焚きつけ筋を書いた高利貸し=お奉行に仕置された凶賊の手下に津村鷹志。
2007/3/18

■ 新・座頭市3 第21話「渡世人の詩 前篇」1979.10.15勝プロ/フジ

 小貝川のほとりで久しぶりに会った老侠客は、かつて市に斬られた痕を一生傷として生きてきた男。彼は市が草鞋を脱いだ先と対立関係にある一家の客分なのだが、なぜか敵方の若い衆の名を出し、心に留めるよう市に頼み込む。そしてほどなく両者は一触即発の緊張状態に。
 ロケ地、藤代一家が仕切る朝市、丹波国分寺境内に屋台あしらい。小貝川の河原、木津か(河原は砂地と葦原)。黒磯一家へ乗り込み脅しをくれる市、会談の座敷を開けると広沢池東岸(北望)の汀が見える趣向(堤に桜開花)

■ 新・座頭市3 第22話「渡世人の詩 後篇」1979.10.22勝プロ/フジ

 老侠客が、気にかけてくれるよう市に頼んだ青年は、弟分の横死を見て心を決め、藤代一家に盃を返し一人仇に向かう。彼の侠気に値せぬ仇、義理立てに値せぬ親分、あたら若い命を散らさぬため市と利助が動く。
 ロケ地、黒磯の親分を脅しつけた帰り、市と桜花で丁半を競う利助、広沢池東岸。小貝川河原、木津河原か(利助が市にわざと斬られる道は堤か)
*老侠客・利助に森繁久彌、ホトトギスの生態で清吉との関係を暗喩。絶息の際にも口ずさむボウフラの歌が味わい深い。清吉は根津甚八、彼の親分は小池朝雄(はじめ人望厚い設定で出るが果たして欲深の経済ヤクザ)で子分に和崎俊哉。

■ 新・松平右近 第18話「大金貸す奴御用心!!」1983/4-9

 悪徳高利貸しが横行、死人まで出るきつい取り立て。しかも返済金を用立てた先に盗みに入り、親切面で金を貸し込む非道な手口、彼らの手先となり盗みの手引きをしていた女の哀しい死に様が描かれる。
 ロケ地、常八親分にコナをかけるおたき、中ノ島橋上。文蔵が保証人になっていた友吉が縊れて見つかる木、大覚寺天神島大楠。お店者を誑し込み駆け落ちの約束をするおたき、大覚寺護摩堂脇。土壇場で裏切り逃げたおたきが斬られる神社、今宮神社稲荷社(駆けつけた藪さんと常八は高倉前で悲鳴を聞く)。おたきの墓に参る常八、黒谷墓地(様子を見ていた藪さんたちが帰るのは墓地石段、背後に塔)
*おたきに夏木マリ、高利貸しは須賀不二男で金主の佐倉藩留守居役は北原義郎。*結婚を持ちかけられ舞い上がる常八親分、目当ては彼の部屋を空けることで隣の米問屋が賊のターゲット。もちろん騙されたわけだが、女は亡夫の恨みを晴らすため賊をお上に捕縛させようとしていた。*音松、高利貸しの手先で布袋屋に現れ非道の振る舞い。
2007/3/17

■ 遠山の金さん 第62話「八万石の闇を撃て!!」1976.12.9NET/東映

 勘定奉行を暗殺した我が子を銃殺せざるを得なかった鉄砲方は武士を捨て江戸に暮らすが、腕を欲した国家老のオファーが来る。狙撃の相手は奸物で彼の倅を扇動した張本人と吹き込まれるが、国家老こそ藩金を濫費し国を疲弊させた悪党なのだった。
 ロケ地、荒垣重兵衛の息子が処刑される野、大覚寺天神島(幔幕めぐらせ、罪人をくくった杭は嵯峨帝碑の前にあしらい)。江戸で植木職人となった荒垣がいい加減な剪定をする奉行所の庭、相国寺放生池(バランス崩して池ボチャ)。荒垣が断りを入れにゆく真壁藩上屋敷、相国寺大光明寺(門番は峰蘭太郎)。帰り道の荒垣に藩命と迫る徒士組の藩士、大覚寺天神島(金さん介入)。真の敵を知った荒垣が藩邸へ走る道、相国寺大通院塀際〜大光明寺南通用門(こじ開けて押し入り)
*荒垣重兵衛にハナ肇、国家老は稲葉義雄、実は正義派だった元勘定奉行(荒垣の息子が斬ったのは前任者)に大友柳太朗。*息子を銃殺した夫に含むところある内儀、ラストに彼の撃ったのは空砲とお奉行が明かす趣向。 

■ まぼろし天狗 中川信夫監督作品/結束信二脚本 1962.8.12東映

 時は田沼時代、政の腐敗を憂える若き与力・守屋周馬は巨悪に挑むが、孤剣空しく凶弾を肩に受けてしまう。追われ逃げ込んだ先で彼を匿ってくれた、八方破れの磊落な殿様・浅川喬之助は、周馬とそっくり同じ顔をしているのだった。
周馬が看取った女が吐く謎の言葉からはじまる事件、名前からして怪しい「闇の御前」はビジュアルも相当に奇ッ怪。殿様の屋敷に屯する陽気な人物像も楽しい、美女に惚れられ悪を懲らす痛快作。

ロケ地
・田沼に取り入る一味が麻薬を隠匿している増上寺五重塔、仁和寺五重塔(遠景を使用、塔でのお芝居は内外含めてセットの模様)
・訪問者のお供がずらりと門外に控える田沼意次邸、仁和寺本坊表門
・闇の御前のもとから田沼の紋入り権門駕籠で運び出される麻薬を摘発する清吉親分、下鴨神社河合社脇。
*守屋周馬と浅川喬之助はもちろん大川橋蔵の二役、与力は真面目な白皙の美青年で、殿様は暗闇坂の天狗屋敷に無聊をかこつ磊落な大身旗本。周馬は早々と負傷しラス立ちに出てくるまで療養の身、闇の御前の正体に迫る役どころは喬之助が彼に代わって引き受ける次第。殿様の髷はムシリ頭。*周馬に仕える岡っ引・明神の清吉は高田浩吉、殿様まわりは妹が三田佳子で屋敷に屯する「天狗一党」は千秋実はじめ河原崎長一郎など芸達者揃い。悪役陣は田沼に山形勲、闇の御前に月形龍之介のほか、自分もヤク中で果ては始末される嫌な岡っ引に多々良純、派手に斬られる怪しの刺客・闇の蝙蝠に汐路章、周馬への恋の恨みも重なる小悪党・きすぐれの仙吉に菅貫太郎、その恋の相手の矢場女・お艶姐さんは桜町弘子で内実は純情な可愛い女(抱きついたのが周馬でないと知り悪態をつくとこが最高)。*闇の御前は椅子で平行移動、お付きはザンパノみたいな怪しの半裸男と唐人。冒頭の田沼さまおもてなしの出し物は半裸美女の騎馬戦で、演技中の一人が禁断症状に苦しみ外へ捨てられるのが発端。兄上さまにはお城からお呼びがかかり、弟は奉行に出世で、田沼失脚後清新の風を見せてエンド。

■ おんな牢秘抄 1983.10.13CX/映像京都

 小伝馬町牢屋敷・女部屋に起居する女囚たちの哀歓を描くドラマ。名物の取っ組み合いの喧嘩や、日常の様々なしきたり等が丁寧に描きだされる。処刑の日が来て引き出される者などあり、ひとしきり各人の個性が見え出した頃、どうやらハメられて入れられた娘が身籠っていると知れ、女たちは彼女を処刑直前に脱獄させる挙に出る。
出された娘は思わぬ悲しい事実も知るが無罪となり、女部屋には新入りがやってきて日常は続いてゆく。
真のワルに薄々気付き、女たちの行動を黙認し裏で動く牢奉行や鍵役、愛嬌たっぷりの付人の婆さんなど役人側の人々も見もの。

ロケ地
・小伝馬町牢屋敷、大覚寺明智門
・ワルの手先となりなおの命を狙った女囚が解き放ちになり走る水辺、大覚寺放生池堤(このあと大川で土左ヱ門)
・おけいの恋人が捕縛された回想シーン、捕り方に追われ囲まれるのは中ノ島橋上手堰堤から背割石積み。捕縛を見るおけいは橋上、恋人が連行されてゆくのは橋下手右岸河川敷。
・脱獄してきたなおを連れて逃げる政次、上にお堂が見える石段、不明(まっすぐな切石で組んである)。夜の町で捕り方から身を隠すくだり、町方がいるのは相国寺法堂基壇。堀を逃げる二人、大覚寺有栖川河床。二人の前に立ちはだかる吟味与力、相国寺大光明寺南塀際。
・政次の島送りの船に呼びかけるなお、琵琶湖西岸汀。
*長牢の萩村けいに江波杏子、政治犯の恋人を匿い入牢。面倒見のよい怜悧な女、恋人の最期の言葉を受け牢で哀しい女たちの世話を見ることを生涯の仕事と選び取る。女部屋の他の面々も個性豊か、なおは大場久美子。石出帯刀は久米明で、吟味与力は山本清。


2007/3/16

■ 銭形平次 第378話「あに、いもうと」1973.8.1フジ/東映

 島から帰った疾風組一味の男を警戒する平次と新米岡っ引・英次郎、天涯孤独と供述していた男に妹がいたことが知れるが、それは英次郎が求婚中の娘だった。訪ねてくる妹に縁は切ったと突っぱねる兄、犯した罪も何もかも妹の幸せを願っての行動、平次はその心を十二分に汲んでやるのだった。
 ロケ地、妹の回想、孤児院を出てそれぞれ奉公した兄妹がたまさかに会う市中、御所高倉橋厳島神社境内汀。
*兄・伊三郎は目黒祐樹、妹・おしのは中津川みなみ、母・おふさは日高澄子、英次郎は岡崎二郎。妹と英次郎を添わせてやるため母を探し出し、妹は貰い子で血縁なしと証言させる芝居を打つ兄、幼子だった自分たちを捨て惨めな境遇に追いやった憎い母に見せる優しさも泣かせる。

■ 南町奉行事件帖 怒れ!求馬 II 第12話「料理切手は悪の味」2000.1.24C.A.L

 幼馴染と再会する求馬、彼女は根岸家出入りの献残屋の娘で、爺さまも可愛がっていた。未亡人となった彼女は亡父の店を復し繁盛していたが、或る日持ち込まれたブツが盗品で、北町に捕われ酷い痛め吟味。たかが料理切手一枚に躍起になる北町の妙な動きはきっちり怪しく、公事師と組んだ吟味与力の悪事が明らかとなる。
 ロケ地、牢のお葉を見た北町同心・島田が深い溜息をつく帰り道、妙心寺東海庵前路地。このあと、虚無僧に化けた求馬が八丁堀のお長屋へ赴く道、清七をシメる半田と結城、切手を売りに来た御新造を発見した求馬が出入り商人に素性を聞く町角、島田の帰りを待ち構え証言を迫る求馬なども同所と付近で、段差なども利用しそれぞれアングルを少しずつ変えてある。公事師を見張るお景らのくだり、萬屋の駕籠がゆく道は妙心寺玉鳳院前で、入る吟味与力邸は衡梅院
*お葉は北原佐和子、島田同心は篠塚勝、吟味与力は伊藤高、北町奉行は高野真二。*お葉捕縛時に居合わせた求馬は、出張った権田を殴ってしまいお尋ね者に→探索は虚無僧姿で。北町奉行に南の横暴を訴えに来る悪党だが、次の間に爺さまが控えているという次第、よって高野真二は今回悪役に非ず。

■ 逃亡者おりん 第20話「運命の対決! 根来・後編」2007.3.16TX/C.A.L

 背負った過去は、子を置いてもおりんを道悦との対決に向かわせる。その戦いには子が割って入り道悦は事実を知るが、彼もまた信念を曲げることかなわず死地に。おりんの目的は密書奪還となり、父を陥れた真の敵を追う旅がはじまる。
 ロケ地、江戸城イメージ、皇居巽櫓(田安宗武登城)。根来・龍厳寺、神護寺山門(手鎖人と根来衆の戦闘は境内林間)。おりんと道悦が対峙する林、不明(土塀際の林)和歌山城、本物の天守外観。鎌倉・琳香院、粟生光明寺山門。城から鉄砲隊が走り出るのを見る桔梗、和歌山城岡口門。道悦のいる城下はずれの不動寺へ向かうおりん、寺門は勝持寺仁王門(門を入ったところで手鎖人たちと立ち回り)。佐介が田沼意次らに襲われ密書を奪われる浜辺、雑賀崎付近か。娘を置き旅立つおりん、眺めやる紀州の海は番所の鼻から雑賀崎望。宇吉と歩む浜辺、雑賀崎付近か。
*とっぱなに上様お成りで大岡忠光口あんぐりが来ているが、佐介の懐から出た鳩には何にもついてなくてアチャーな上様・将軍としてのお言葉はも一つ呂律回ってない感じ。*弥十郎に続き道悦も不死身?の被弾シーンあり。きっちり死んじゃったのは佐介だけの模様…いや、付家老も死んでるか。レオタード成敗は手鎖人・白虎に、道悦は手で止めてるので材質にますます疑問が湧く。
2007/3/15

■ 銭形平次 第377話「歪んだ花芯」1973.7.25フジ/東映

 死罪になった父を持つ少年は人情家の老目明しに育てられ、大商人に暖簾分けを認められる青年となったが、祝いの当夜お店から貰った大金を盗られてしまう。自棄になる彼を苦労も厭わず支えようとする健気な婚約者、かたや邪まな手段で彼を手に入れようとする愚かな女、対照的な二人の女が描きだされる。
 ロケ地、目明し・佐兵衛の墓へ参る宇之吉と平次夫婦、不明(墓標は坂道の傍ら、坂の下に甍がのぞく)。祝いの席からの帰りに宇之吉が襲われる常念寺横の夜道、下鴨神社河合社(塀越しの俯瞰もあり/昼間、平次の検分も)。万七に狂言だ血は争えぬと悪態をつかれ医師宅を飛び出した宇之吉が佇む川辺、下鴨神社泉川(流水に濁り)。宇之吉を見舞った帰りのお蕗に顔を貸せと声をかける男、中ノ島橋上。伊与造に聞き込みにゆく木場、他社の年代の違う作品にも出てくる「例の場所」。親と平次に仕出かしたことを告白するお蕗、強請られたときの回想、仁和寺観音堂(伊与造が浪人に突っ転ばされているのは蔵脇)。浪人らに金を渡す約束の西福寺(伊与造と堀田原で落ち合って、とお蕗が言っているので蔵前と推測される)仁和寺観音堂(いろんなアングルが使われる)
*宇之吉に夏八木勲、死罪の父と二役・罪人のほうは髭ぼうぼう、自棄を起こしての酒肆での喧嘩で振り上げた拳を一旦おさめ躊躇うあたり、演技も脚本も出色。三浦屋主は潮万太郎、浅薄な企てで窮地に陥る出戻り娘のお蕗は池田幸路、嫁ぎ先の材木屋の川並人足の伊与造は唐沢民賢(もちろんくわせもの)、脅迫者の浪人に五味竜太郎。宇之吉を待ち続けるお妙は服部妙子。*万七親分、嫌味が過ぎて平次に「面ぁ張り飛ばしてやりてぇぜ」まで言わせる、見る者も思わずムカっとくる熱の入り方がなんとも。

■ 南町奉行事件帖 怒れ!求馬 II 第11話「お見合いにご用心!」2000.1.17C.A.L

 今回母上が持ってきた縁談は大身旗本の一人娘と、しかし当の娘は求馬のほうからから断ってくれと申し出る。娘の親は求馬をお気に入りで話を進めるつもりでいると誘拐沙汰、求馬は経緯に疑問を抱く。
 ロケ地、見合いに連れて行かれる求馬、妙心寺方丈北西角クランク北総門へ続く路地。お相手の白川邸(番町)、妙心寺隣華院。見合い相手の琴江が誘拐されるくだり、若党がボコられるのは妙心寺春光院南路地(東望)。侍女が琴江を隠す祠、大覚寺五社明神本殿(見分の求馬が内陣を見て争った形跡なしと見る)。周囲の武家町を聞き込むお景ら、中間に聞くのは金戒光明寺長安院下坂・鐘楼脇、駕籠舁きに聞き込むのは東坂下石垣際。お松の泣き落としに応じた琴江の乳母が「相手の男」に会いにゆくも「若様」たちに阻まれる道(青山付近)大覚寺大沢池北辺並木。「若様」たちに名指しで呼び出された求馬が青山へ向かう道、二日酔いの為吉が脱落するのは大沢池堤、お景がこの辺と足を止める御屋敷街は妙心寺方丈西塀際。琴江を連れ帰る求馬、もう歩けナーイに手荒く扱う道、妙心寺方丈脇路地
*とんだじゃじゃ馬をもちろんきっぱり断る求馬、いつもにも増して態度が「ケッ」。後付けに、まだ町で豆千代にからんだりする性懲りもない若様がたが求馬の制裁髷切りを受けるくだりも。

■ 必殺仕事人 III 第28話「相撲取りに惚れられたのは加代」1983.4.22ABC/松竹

 三年前腹を空かせて絶望していた力士志望の青年を助けてやった加代、彼は十両に出世して現れ不器用なアプローチをかけてくる。しかし勝つところを加代に見て欲しかった青年は、親方に持ちかけられた八百長を断りガチで勝ちに行ったすえ殺され、彼を好いていた幼馴染の娘と、恨みの筋は二人分。
 ロケ地、腹減らして絶望の果て入水を試みる青年を助ける加代、罧原堤下汀。「三年後」の再会も同所、水面に嵐山東公園の並木映り込み。長屋の大工夫婦が心中を擬装された死体で見つかる川端、広沢池東岸
*自ら手を下そうとする加代を、主水が止める。八百長で大儲けのうえ阿漕に貸し込む勧進元の相模屋は牧冬吉。
2007/3/14

■ 銭形平次 第376話「命を賭けて」1973.7.18フジ/東映

 札差殺しで疑われる、店を追い出された腹違いの弟。彼の女房は罪を被って「自首」して出るが親分は信じず、真実を聞き出し裏に隠れた悪を引きずり出す。
 ロケ地、浅蜊行商のお直が立ち寄り茶を貰う田所稲荷、鳥居本・平野屋(石段下から愛宕神社鳥居越し/お直の元許婚者が現れるのは下六丁峠へ通じる道のほうから)。死体検分の際、悔みに来た叔父の態度を怪しんだ平次らが尾行し立ち塞がる道、大覚寺勅使門橋と付近の林間。叔父が名を出した新次郎の家を訪ねた帰りの平次らを襲うヤクザども、大覚寺五社明神(宮の前に出る「道」の脇に竹垣あしらい/立ち回りは宮の前から池端で)。とっ捕まえた一匹(森章二)から聞き出した隻眼隻手の浪人のことを聞き込みに行く田所稲荷、平野屋
*お直は水野久美、新次郎は久保明、実は五体満足のふざけた浪人に穂積隆信。*お直の「自首」、虚偽を見破られぬため万七に申し出。親分、「だから三輪に」がひそかな笑いポイント。手柄は万七に譲り。

■ 南町奉行事件帖 怒れ!求馬 II 第10話「江戸から米が消えた!」2000.1.10C.A.L

 凶作で米が高騰、関八州に打毀し多発。ここを儲けどころと米を隠匿し値を吊り上げる札差がのうのうと言い逃れるさまに、お奉行は求馬を大坂に遣わす。その働きで得た情報をもとに当の札差に単身乗り込んだお奉行に、猛り狂った用心棒どもが斬りかかるもんだから一巻の終わり。
 ロケ地、大坂で嗅ぎ回っていた求馬を始末にかかる用心棒たち、広沢池東岸(巡礼姿のお景らが合流)。研屋に変装して料亭で情報を得た三人が協議の寺、長建寺竜宮門の内外。手打ちを終え江戸へ帰る札差一行の前に立ちはだかり、捕まっていたお景を救出する求馬、松本酒造酒蔵前・東高瀬川左岸堤。助け出したお景を保護する小屋は右岸汀にあしらい、背景に流れと蔵。
*札差の元締・武蔵屋に川合伸旺。お白州で役人も排除して二人きりで対峙し、泣き落としにかかるお奉行とのやり取りが傑作。上方の米を牛耳る顔役に森章二、上方の柄の悪い用心棒に岩尾正隆、上方にも江戸にもいる用心棒に福ちゃん。*責め問いされボロボロで江戸へ帰り着いたお景、求馬に抱きついて感涙にむせぶも「殺し」と聞いて走ってゆく求馬はにべもなくぺちっと放り捨ててゆく。
2007/3/13

■ 銭形平次 第375話「黄金の牙」1973.7.11フジ/東映

 河岸人足から大商人に成り上がった札差の阿漕さが心胆寒からしめる話、倅が拐かされても投機を優先、そも誘拐も過去の非道の報い。親分は、人命は尊び事件を解決するも、微妙な駆け引きで奸商に鉄槌を下す。
 ロケ地、周防屋の若旦那が父の商いを女中に愚痴る大川端(誘拐現場)大覚寺五社明神(船で逃走の「大川」は大沢池か)。身代金を乗せた船が下ってゆく大川、罧原堤下桂川(金をとった一味が上陸する汀は堤下汀か)
*周防屋は沢村宗之助、取引はフイになり妻子にも見限られた彼が、折しも鳴りだした半鐘に狂気の態を見せる姿を炎でフレーミングして終劇・隈作ったギョロ目も迫力の熱演。あまりの非人間性に万七も己の行動を反省。倅は池田秀一、父を自死に追い込まれた意趣返しに入り込んで若旦那に求婚されていた娘は東三千で、彼女を手助けする元手代の「誘拐犯」の船頭は御木本伸介。誘拐に手を貸すチンピラに江幡高志。

■ 南町奉行事件帖 怒れ!求馬 II 第9話「噂の女」1999.12.20C.A.L

 お奉行が通い詰める怪しげな酒肆は盗っ人宿、老いらくの恋と騒ぐ周囲が前段、南町チーム一同に見張られていた盗っ人はまんまとお縄。
 ロケ地、酒肆・ひさごから出た「無尽講」に参加の男を尾行するお景たち、仁和寺中門をくぐり茶店(盗っ人宿の一つ)。首領を呼びに行った「薬屋」を尾行し甲州街道をゆく求馬、娘に無体の浪人を懲らしめる茶店は山室堤下畦道にセット。ひさごの酌婦・おもんの長屋を訪ねたお奉行が彼女と話すのは梅宮大社神苑汀〜境内。事後、求馬に雨宿りの女なんか送っていかないでと拗ねる豆千代、仁和寺水場。駆ける求馬、観音堂脇。
*ひさごの主は栗塚旭、独特の台詞回し。賊の首領は山本昌平。お奉行の「噂の女」おもんは網浜直子。求馬が浪人を帯切りで懲らしめる茶店の親爺に小峰さん。*おもんを傘に入れ送ってやったのは偶発、濡れるのに出したままの襦袢に不審を持つお奉行の慧眼が光る。賊とは全くの無関係で、解決にヒントをくれたおもんには手厚いケアなのも泣かせる。

■ 遠山の金さん 第8話 2007.3.13テレ朝/東映

 侵入した形跡もなく酒問屋の蔵から忽然と消えた六百両、新築時からの細工が露わとなり、犯罪を糊塗するための惨たらしい殺しも白日の下に曝される。
 ロケ地、失踪した父を案じる娘が、事情を知っていそうな恋人の大工を問い詰める川端、上賀茂神社ならの小川畔。事後、所払いとなった大工と、彼とともに川越へ発つ娘を見送る鶴やの女将も同所河畔。それを陰で見ていた金さんと女将がゆく縁日、仁和寺参道
*秘密を見て殺された大工の娘に遠山景織子、きりっと吊り目が凛々しく可愛い。普請に細工の小頭は蛍雪次朗。
2007/3/12

■ 必殺仕事人V激闘編 第32話「鍛冶屋の政、水中で闘う」1986.7.18ABC/松竹

 手強い殺し屋集団が主水以外のメンバーを強襲、主水に裏稼業を退かせるのが狙い。早期退職者募集に心が動いたり、敵の首領が依頼者を吐かなかったことで潮時と歎ずるなど、主水の口から終焉を予感させる言葉が出る。殺し屋の中に政の幼馴染がいて、戦わざるを得ない哀話も挿まれる。
 ロケ地、政が鎌を届けに行く農家、民家前畑。その帰り道の田畔、北嵯峨農地。通り抜ける鎮守、鳥居本八幡宮(入口の黒木鳥居から鳥居前に広場、竹林が使われる。お参りに来ていた老夫婦が巻き添えを食うのは石段/後でそれに手を合わせに行った政が健太と話すのは舞殿)。二人の回想、水遊びの小鳥を助けた川、罧原堤下桂川(水面に公園の並木映り込み/溺れた健太を引き上げる河原は礫)。女連れでピクニックを装い、隠れている竜と接触する壱、流れ橋上手河原(小屋は襲われ炎上、壱の彼女は巻き添えで斬られる。竜が紐を投げるのは橋上から)。卍組が主水に接触してくる夜道、相国寺方丈塀際、回廊。闇の会の元締に呼ばれた主水が帰り際ズタボロの加代を見るのは法堂前。卍組と雌雄を決すべく川越へ赴く仕事人たち、政がゆく野道は北嵯峨か(松の根方)。竜がゆく街道、川堤か。加代が壱の操る船でゆく川、広沢池か(流れはなく水が濃い緑)。主水がゆく道、広沢池東岸。健太と対峙する政、中ノ島橋(夜間撮影、向き合う二人は橋下手から側面のアングルもあり、堰堤下の流れにライトが当る。この後組み合い二人してドボン、プール撮りのあと再び堰堤下に)
*健太は内藤剛志。*決戦、壱と竜が大人数と立ち回りは「隠亡堀」でよく見る、浅い流れの葦原セット。

■ 銭形平次 第374話「むしけらの魂」1973.7.4フジ/東映

 強請りタカりの地回り殺し、下手人はすぐに名乗り出て目撃証言もあるが、平次は動機に得心が行かない。誰を庇っての、という視点は案の定で、青年に目をかけていた仏の目明しの「事情」が出てくるほか、若気の至りで逆目に出た、母を思っての過ちが哀切。
 ロケ地、強請りの源助が殺されて見つかる神社裏、赤山禅院池端。源助に脅されていた山形屋の女将に話を聞く神社、赤山禅院本殿内陣。箱田の弥平の回想、チンピラ仲間にボコられ命乞いをする友吉を助けた弥平、赤山禅院本殿玉垣際。懐いた友吉と釣りの池、赤山禅院本殿脇池の切石橋上。弥平が茶汲女のお甲に呼び出され強請られるのを見る八、赤山禅院井戸(現在、前に「還念珠」)。出家した弥平が参る友吉の墓、不明(林間の小丘、欅の根方)
*友吉は小野川公三郎、弥平は花柳喜章。源助は中田浩二でお甲は長谷川待子。源助の仲間に聞き込みのくだり、川谷拓三がちらっと。

■ 南町奉行事件帖 怒れ!求馬 II 第8話「変装大作戦」1999.12.13C.A.L

 求馬の剣友の蘭方医は「仁術」の人、貧乏人からはろくろく金もとらぬ裕福とは対極の、彼の息子がさらわれた狙いは毒薬、大名家のお家騒動が浮上。子の命がかかっているので、町方一同は皆変装するのがタイトル。
 ロケ地、医師の息子が遊んでいてさらわれる川端、嵐峡船着汀。両国橋で毒薬を受け取った藩士を尾行する道、妙心寺方丈北西角クランク方丈西路地(別の藩士に受け渡し)〜船着は嵐峡船着きで岸辺の道に「蔵の壁」をセットしてある。
*求馬の変装は雲水、立ち回りもこのままで。髷は切り下げで得物は錫杖。豆千代も「変装」して藩邸潜入、行儀作法の見分とか言って入るのでわけわかんねーお作法の指導も。
2007/3/11

■ 新・座頭市3 第19話「静かなくらし」1979.9.10勝プロ/フジ

 盗っ人の爺さまに頼られてしまう市、崖から落ちて頓死した爺さまの遺品を娘に届けるが、隠し金のことが知れるや娘夫婦の静穏な日常は一変してしまう。市が爺さまを殺しただの大金を一人占めだのいう的外れな忖度や、金に群がる亡者どもが描かれ、凄惨を見た夫婦は憑き物が落ちたようにもう金は要らないと笑う。
 ロケ地、渡世人に襲われている爺さまを助ける市、広沢池東岸。爺さまの娘夫婦が経営する石和山中の茶店、保津峡落合を望む立地。爺さまの隠し金のことを夫婦に告げた亭主の昔のワル仲間と喧嘩になりドボンの渓流、保津峡。ガキに手を刺された市が身を寄せるお堂、不明(ガキが市に山羊の乳を持ってくる/後段夫婦が逃げ込んでくるのも同所)
*爺さまは小沢栄太郎、娘は二宮さよ子で亭主は河原崎次郎、亭主のワル仲間は中野誠也。

■ 新・座頭市3 第20話「祭りばやしに風車」1979.9.17勝プロ/フジ

 かつて懲らしめた賭場荒しと再会する市、堅気になり嫁と楽しく暮らす彼を再び悪の道に誘う仲間を斬り、黙ってその地を去ってゆく。
 ロケ地、賭場荒しの鉄砲水の八が市に指を斬られたあと、貸元の衆に嬲られる林、酵素河川敷・木の前。貸元衆を斬った市は竹林のほうへ去り、その後ゆく街道や顔を洗う河原、大堰川堤と汀か。風車を売る「八」、買った子らが走り去るのと入れ違いに市がやって来る道、大覚寺放生池堤。商売に出る「八」が通る里の道、北嵯峨農地か。当地を去り際、鳥居に石を乗せ祈る市、大覚寺五社明神
*鉄砲水の八は石橋蓮司、女房は萩尾みどり。市を家に招く「八」、彼も市も昔の話はおくびにも出さずハイテンションで惚気話など続ける。市が気付いていたことの表現は、悪に立ち返るなと諭すくだりで八の手を優しく撫でることでなされる。

■ 新・松平右近 第17話「浮世絵女の怨み唄」1983/4-9

 富商の女将を色仕掛けで恐喝する一味あり、藩御用の看板が欲しい悪徳商人と結びつき、いつもの手で乗っ取りを仕掛けるが、その店に出入りしていた藪さんの知るところとなり、つるんでいた留守居役ともども荒療治を受けることとなる。
 ロケ地、結城屋の座敷と庭、不明(縁先まで寄せる池泉)。脅され店の譲渡証文を渡す際激しくなじった結城屋の女将が襲われる帰り道、大覚寺護摩堂前。案じて駆けつけた藪さんが「縊死」している女将を見つけるのは天神島。設定は不忍池。
*色仕掛けの絵師は三田明、つるむ瓦版屋で元侍の強面は山本昌平、乗っ取りを画策する悪徳商人は武藤英司。結城屋番頭の早崎文司もいい味。*スケベ心満タンの音松、ケダモノの息づかいが大笑い。

■ 四千万歩の男 〜伊能忠敬〜 2001.1.3NHK

 子午線一度の計測を志す五十過ぎの隠居・伊能忠敬は、測量の旅に出るため蝦夷地調査にかこつけて、公儀御用の旗を押し立て奥州路をゆく。道中では、秘事を漏らされては困る方面から暗殺部隊が繰り出されるほか、元辰巳芸者の女房がついてきてしまっているうえに、妙な随伴者も増えてゆく。蝦夷の調査も終え大図を完成させた忠敬は大いに面目を施すが、本人は歩測による誤差が肝心の数値を誤らせたことに落ち込み、再度の旅を希う。

ロケ地
・白河藩邸、不明(西本願寺大玄関やお東内事門に似た、控所を持つ豪壮な作り)
・大沢宿の夜、旅籠を抜け出した荷駄係の長助が咲田らに一行の白河到着日を報告するやしろ、鳥居本八幡宮
・河原で仕事中の一行に測量術を学びたいと願い出る少年、大堰川に似た礫の河原。
・幻燈による夜毎の悪夢に脅えた長助が、白河宿では別の宿をとったほうがいいと言い出す白坂峠、谷山林道切り通し。
・津軽・三厩の海岸、間人海岸か。
・三厩で別れて四月後、江戸へ戻っているお栄のもとに届く忠敬の文、蝦夷地での測量シーンの一部はよく出てくる小滝の落ちる砕石場跡のような崖下。
・千住宿近く、帰ってきた一行が渡る橋、流れ橋(橋たもとの茶店に忠敬の娘・稲と孫娘が出迎える)
・お栄に地球そのものを見た夢の話をする忠敬、二人が乗る船は八幡掘白雲橋下手をゆき、お栄は用足しがあると明治橋たもとの堀端で降りる(以降彼女は姿を晦ます)
・伊豆で測量の忠敬、不明(荒磯)
・房総の浜辺、不明(漁具小屋に幼時の己を幻視)
・お栄を求め佐原に向かう忠敬、往路の船は近江八幡水郷(西の湖園地近くの黒橋川か)
*伊能忠敬に橋爪功、脇目もふらずたったか歩く爺さまを好演。四人も女房を持ったくせに色事にキョドるのも可愛い。元辰巳芸者の四番目の妻・お栄は高島礼子、暗殺者に啖呵切るのがかっこいいが、鳥追い姿を見ていると暴将のお庭番を思い出し、仕込み出しそうで笑える。忠敬をハメにかかる、息子の禁書所持を許してくれと「脱ぎだす」お内儀の余貴美子や、「仙台藩用人」の平泉成や、泊まらないと聞いて怒り出す白河宿の旅籠の親爺の名古屋章など、面白い配役も見られる。何言ってるかわからない訛りのお捨もいい味。このほか、松平定信に片岡仁左衛門、「浅草先生」高橋至時に風間杜夫、三番目の妻の父・桑原隆朝に鈴木清順。*ロケ各所も美しい映像だが、測りたかった対象の地球そのものが夜空に大写しになるのは圧巻。ファンタジー色のつよい佐原の丘の夜空も良し、星空が精密なのもなかなかで、房総の漁具小屋で幻が消えたあと見上げる夜空に輝くオリオンがことのほか印象的。
2007/3/10

■ 遠山の金さん 第61話「浪花の仇を江戸で討て!」1976.12.2NET/東映

 般若面の辻斬り強盗現ると聞き動揺する煮売り屋台の親爺、その後身持ちの悪そうな浪人が相次いで殺される。そして明らかとなる大坂での連続強盗殺人、親爺は一人息子を殺されており、仇を求めて江戸へ来ていた。
 ロケ地、白州へお出ましのお奉行が通る廊下、大覚寺宸殿廊下。
*屋台の親爺に大村崑、残った仇に吶喊をかます悲壮な役まわり。金さんは瀕死の彼に身分を耳打ち、親爺は安堵のうちに逝く。悪党は四人組、食い詰めた二人が危険視され始末される運び。

■ 必殺仕事人 III 第27話「暴力塾生にいじめられたのは順之助」1983.4.15ABC/松竹

 親の権威を笠に着て傍若無人の若様だが、新任の塾講師は腕っ節も正義感も強く捻られお灸を据えられる。もちろんそんなことで根性が直る筈もなく、卑劣漢は最も弱い部分を突きにくる。身籠っていた妻の無惨を見た男は、正面から乗り込んでゆくが馬鹿息子の親もまた卑劣なのだった。
 ロケ地、夜釣りの旗本(馬鹿息子の父)に仕掛ける秀、柊野堰堤落差工下・堰堤上。お供の郎党を感電死させる順ちゃんは堰堤下。
*塾講師は森次晃嗣、旗本は田口計。

■ 銭形平次 森一生監督作品 1951.4.28大映

 千両箱を担いだ変死体の手がかりを求めて絵師を訪ねるとその男も変死、二つの死体の共通点は骰子の刺青、そうこうするうち殺される弟子の腕にも骰子。また、絵師はさほど儲かっていそうもないのに大所帯という不審、身持ちの悪そうな女房と、血の繋がらぬ美しい姪、使用人に忌み嫌われている居候の浪人など、各人怪しさ満点なるも手がかりはつかめず、平次は苦悩しお静は心を痛める。
調書から、一年前箱根山中で御用金をたんまり盗んだ賊のうち、捕われて死んだ男の腕に骰子の刺青があったと判り、謎は徐々にほどけてゆく。最後は大芝居に打って出て悪党を燻り出し、お静の身が危うくなる緊迫の場面もある。

ロケ地
・土左ヱ門を見物の群衆が鈴なりのの業平橋、三条大橋(欄干の金具や擬宝珠、桁隠しが一致)
・八五郎が注進に走りこむも不在の平次は、明神さまで子らの騎馬戦に参加中、松尾大社楼門前。
・調書で六人組の賊の件が判明し、八五郎に関わりある者の肌を調べるよう指示を出す平次、妙心寺東海庵南塀際。
・絵師の碁会参加メンバーの道場主を探っていて叩き出される八五郎、大月道場は妙心寺養徳院。そのあと通りかかった万七が嫌味を言うシーンでは向いの蟠桃院が映り込む。
・絵師が亡くなって一月目に行われる川施餓鬼、屋形船を浮かべる川は嵐峡か(対岸の町なみは合成?)
・屋形船に恐喝に来た浪人たちに間浪人の芝居と聞いた平次、解せぬと考え込む帰りに万七が犯人逮捕と知らせが来る道、妙顕寺か(門前の題目碑/灯籠に妙×寺の刻印)
・平次の嵌められて隠し金を掘る一味、不明(中島の祠に石橋が渡る)
・事件解決後、楽しげに子らと綱引きをする平次、松尾大社参道
*川向こうの事件、石原の利助が病を得ているので娘のお品が平次の助けを乞う次第。*絵師の姪で屏風絵のモデルの美人が平次に岡惚れの展開、秘事を語る段では妨害があり御用の役には立たず、しかし彼女は監禁されていたお静を助けてくれる。

キャスト
銭形平次/長谷川一夫 お静/長谷川裕見子 八五郎/佐々木小二郎 お品/日高澄子 三輪の萬七/光岡龍三郎 清吉/三上哲 笹野新三郎/市川男女之助
お栄(絵師の姪)/三篠美紀 お喜多(絵師の女房)/大美輝子 亀造(船宿主)/香川良介 大槻源六郎(道場主)/沢村国太郎 間重太郎(絵師宅居候・浪人)/清川荘司

2007/3/9

■ 銭形平次 第373話「昨日の風が後を追う」1973.6.27フジ/東映

 炭屋の番頭は未亡人の女将を助け店を盛り立てて働き、跡取りの坊も彼に懐くが、女将は狎れない。しかし彼の過去が身を危うくする事態に、女将は己が心の真実を知る。
 ロケ地、俵屋番頭の仁吉を待つ五十海浪人、吉田神社竹中稲荷拝殿前(丁稚が来れぬと告げに来る/背後に三高碑への石段)。業を煮やし俵屋へ現れる浪人、表でと二人してゆくのも竹中稲荷、参道前・大元宮へ通じる道へ平次が通りかかり二人を見かける。浪人が仁吉を詰るのは本殿前。神社の設定は妻恋稲荷、俵屋は妻恋町。湯島の妻恋神社か。
*仁吉に和崎俊哉、元松井田宿の目明し。彼を狙うのは浪人だけでなく、盗賊の兄を獄門台に送られた弟(深江章喜)とその一味(もちろん賊)も・こっちは逆恨みの仇討ち。上州浪人・五十海(いかるみ)新八は大山克巳、妹の恋人を無実の罪で獄死させた仁吉を斬りに来る。余人に殺させぬと賊に襲われる仁吉を守り、遂には恨む心を押し殺し去ってゆく、渋い役どころ。

■ 南町奉行事件帖 怒れ!求馬 II 第7話「友を斬る!」1999.12.6C.A.L

 浪人していた竹馬の友が江戸へ帰ってくるが、仕官話は罠。碌でもない由比正雪紛いが引き起こす騒擾に巻き込まれかけるが、友情は揺るがない。
 ロケ地、半田同心が浪人に果し合いを挑まれ散々にやられる市中、大覚寺天神島(背景に大楠と祠)。道端に寝っ転がっていた求馬が街道をやって来る友と再会、嵐山自転車道堤法面と堤道(遊ぶ子らの背後に公園の一部が映り込む)。道場で試合ったあと昔よく稽古帰りに来た場所へ走ってくる求馬と進之介、大覚寺天神島(対岸から島東端を見る構図)。本堂の企みで求馬と進之介が対決させられる辰巳社、鳥居本八幡宮(やしろへ入る求馬は入口の黒木鳥居、舞殿前に進之介が待っていて、本殿前には進之介の妹に刃を突きつけている一味、二人の剣戟は石段〜舞殿上←ここで息を合わせて反撃・妹を取り返し一味に取りかかる。逃れた妹に斬りかかる浪人に駒は広場、捕り方を従えたお奉行も登場)。ラストシーン、子らと駆けっこの求馬は嵐山自転車道
*進之介は山本陽一、父の改易以来十年の苦衷で僻み、妹に拙速を危惧され求馬にジェラシーをぶちまけ、すわ悪事に加担かと思わせる運び。本堂兄弟は兄が荒木しげるで弟は鷲生功、兄はさらさらヘアーの由比正雪ふう、弟は酔った勢いで同心と諍い腕をなくしている設定。好き者の旦那衆を集めて同心と浪人の果し合いを賭け事にして大儲け。

■ 逃亡者おりん 第19話「母と呼べぬ子 根来・前編」2007.3.9TX/C.A.L

 ようやく辿り着いた根来の里で娘・お咲に会うおりん、しかし子は突然のことに戸惑い養母に縋り泣くばかり。得心し去りかけるも襲い来る手鎖人たち、宇吉が託した風車から出た密書はおりんから弥十郎に渡されるが、道悦のほかに紀州藩からの手が伸びる。
 ロケ地、山中でおりんを襲う手鎖人たち、酵素河川敷(川中、木の前)。やり過ごし紀州の海を見るおりん、雑賀崎番所の鼻。城下へ入るおりん、和歌山城外観を北側から。根来へ向かうおりんを手鎖人が襲っているところへ紀州の銃隊が現れる神社、不明(巨杉のある境内)。そこから逃れたおりんが行く、根来へあと一里の谷川、清滝か。根来の里へ入ったおりんが遊ぶ子らに声をかける池端、広沢池北岸農地。お鶴が現れ誘われる桔梗の家、民家(門のほか内部も使用)。桔梗宅が襲われたあと落ち合う根来・龍厳寺、神護寺山門(僧兵がいておりんを案内する)。おりんから密書を託されたあと、佐介が鳩を飛ばし弥十郎が江戸へ向かうべく馬で出発する野、酵素河川敷。弥十郎が馬を走らせる道、酵素ダート(?)〜駒をつなぎ水を飲む川、清滝河畔か(手鎖人の襲撃、根来衆の介入で弥十郎を行かせる)。このあと竹林で道悦が出ておりんが介入し手鎖人たちと戦い、逃れた弥十郎が道悦と一騎討ちは保津峡落合落下岩(崖道からの構図も/紀州の銃隊が出て撃たれた弥十郎は崖落ち)。落ちた弥十郎を捜すおりん、落合河口(弥十郎の笠が流れてゆく)。手鎖人・赤竜とやりあうおりん(お咲を人質にとられレオタード変身)酵素ダート待避所林間(おっ母ちゃんと叫びおりんの胸に飛び込んでくるお咲のシーンもこの付近か/林床にはみっしり落ち葉)
*お咲を育てていた桔梗は父の姉の娘でおりんの従姉妹、遠野凪子。おりんをはじめ道悦一派ばかりか、弥十郎も始末にかかる紀州の付家老は安井昌二。龍厳寺の無辺老師(琵琶法師ふう)は津嘉山正種。*前回映らなかった鳩飼ってる人、「正常」顔初出。
2007/3/8

■ 銭形平次 第372話「誰も知らない」1973.6.20フジ/東映

 ただ一人信じ愛した女が己を訴人したと知った男は寄場を脱走、意趣返しに向かうが思い知らされる我が身の罪深さ、男にとって道は一つしか残されていなかった。
 ロケ地、脱走した源次が逃げ込む葦原、広沢池か(けっこう広大、水に逃れる際にはとぷんとたゆたうアオコっぽい緑が見える)。源次がおしのの姿を求める上野山内、仁和寺境内(まず御室桜越しに塔が映り、おしのを含む通行人が行き交う御室桜の西側にパン。観音堂脇に源次の姿、駆けつけた平次が万七と合流するのは観音堂前で背景に塔。市が立つのは水掛不動参道で、源次は鐘楼基部に腰掛けて雑踏を注視。その中にはおしのがいて野菜を求めるが、平次が来て源次は隠れ、ここでは見つからず)。おしのの話を聞き己の罪を思い知った源次が、おしのに求婚している番頭を見て家を飛び出し向かう崖上の寺、智積院密厳堂。源次の墓、黒谷か。
*源次に菅貫太郎、純で一本気な人物を演じるのは珍しいが感情表現はさすがの巧者。おしのは三好美智子、菅貫におしの訴人の件を吹き込む男に西田良(回想シーンで丸いフレームに登場もあり)で、彼や菅貫をシバく同心は国一太郎。

■ 南町奉行事件帖 怒れ!求馬 II 第6話「生き返った幽霊」1999.11.29C.A.L

 蜆河岸に出る幽霊は二体とも生モノ、高家と茶匠が組んでの茶道具詐取に関わった蒔絵師は、死んだと見せかけ身を隠していた。堀端に出ていた職人の女房と子を守る求馬、哀れな親子を引き裂く悪人ばらに怒りを爆発させる。
 ロケ地、蜆河岸、八幡掘(堀端各所のほか、蒔絵師が入水したとされる橋は白雲橋)。高家肝煎・望月義定邸、妙心寺隣華院。蒔絵師の女房と子を祭りに連れてゆく求馬、日牟禮八幡宮境内(蔵の前にシャボン玉売り、茶匠の手下が出るのは拝殿前、坊の拉致を阻むお奉行は東寄りの林間)。さらわれた子をさがす母が菊を乗せた笹舟を見つける蜆河岸上流の河原、桂川松尾橋付近汀。笹舟を流す生きていた亭主を見つけるのは西の湖畔か(湛水域)
*蒔絵師の女房に杉田かおる。役名は「菊」で、笹舟に乗せられた菊花で亭主生存を確信する次第。

■ 百万両五十三次 小沢茂弘監督作品 1959.10.18東映

 時は幕末、朝廷で勢力を伸ばしつつある薩長を抑えるための資金が、輸送途中に襲われる事件が頻発。緊迫する情勢のもと、徳川の運命を賭けた御用金を京へ届けるよう厳命を受けた浪人・馬場蔵人の大活躍を描く旅もの。襲い来る薩摩侍たちに加え、コミカルな盗っ人どもも登場する道中、京入り寸前の瀬田では橋が爆破される派手なシーンもあり、いかなる事態にも動じぬ主人公のダンナの豪快なガハハ笑いが全編を染める。

ロケ地
・箱根関所、不明(山道に柵あしらい)。江戸へ走る早馬、不明(松並木の堤?)
・京・二条城、本物の隅櫓。
・浅草奥山の情景、浅草寺山門は清涼寺山門、朝若一座にいる蔵人が呼び出されて老中のお召しと知らされるのは清涼寺本堂を望む境内。
・薩摩藩江戸屋敷、東本願寺内事門
・品川宿を通過する蔵人宰領の荷と和泉屋の嫁入り行列、不明(水辺に小橋と家並み)
・金五が接触してくる小休止の茶店、琵琶湖畔か。
・六郷の渡し(船に荷)、不明(流れは瀞、堤に並木)
・嫁入り行列に酔態で因縁をつけ探る薩摩侍、不明(谷地田、小橋あり)
・小田原宿で勝負をつけると謀議の一味、走田神社か(内から鳥居、巨杉)
・朝若一座がやって来て合流の箱根山、谷山林道か。
・街道を走る桃吉を捕まえる薩摩侍、不明(崖道)
・鈴鹿峠で荷を待ち構えるも肩透かしを食らう薩摩一味、不明(切り通しの山道)
・瀬田大橋、不明(爆破シーンはミニチュアと推定、一味が潜む橋下やチャンバラはもろにセットだが、橋自体はどこかの本物の橋としか思えない←流れが瀞だし唐橋か宇治橋が近いと思うが、水面に出ている橋脚の高さは渡月橋や三条大橋並み。どの橋も特定に足る一致条件はなく、撮影用に橋を作った可能性もある)
*蔵人のダンナは大友柳太朗、老中は月形龍之介、所司代の部下は山形勲で薩摩侍のヘッドは戸上城太朗、盗っ人の金五は若山富三郎でお蓮は長谷川裕美子、朝若太夫は丘さとみ、講釈師の子供は白木みのる。
2007/3/7

■ 銭形平次 第371話「とんだ道連れ」1973.6.13フジ/東映

 はるばる伊勢から店の窮状を訴えにやって来た娘、目安箱へ入れた訴状は却下されるが、彼の地を知る南町奉行はお伊勢参りにかこつけて平次を遣わす。その旅には樋口さまから託された爺さまが同行、平次が命懸けで伊勢に巣食う悪党を召し捕った段で正体を現す趣向の、痛快な「印籠もの」。
 ロケ地、評定所、大覚寺大門。藤堂和泉守と南町奉行が話す城中の廊下、大覚寺宸殿。朝霧峠をゆくおるい(巡礼姿)、谷山林道か安行山か(足を止め富士山を見やる/直後平次一行がやって来て茶店で休む)。早起きして水辺にいる平次に爺は置いていこうと持ちかける八、中山池汀。結局三人で行く街道、爺さまが孫をおぶう婆さんを見て首をひねるのは北嵯峨農地・竹林際。宇津之谷峠に差し掛かる橋(爺さまが八に財布を預ける)中山池堰堤に架かる橋。爺さまの尻を押して登る坂、平和台公園・安行山登り道(地道、登りきったところで護摩の灰が出て立ち回り)。新居関所、不明(地道に柵あしらい/関所を出たところの茶店で平次らが待つくだりは植生が安行山に似る)。伊勢山田へ入る直前の山道、安行山か(伊勢湾を望む峠設定、二見夫婦岩のイメージ画が挿入される/おるいは平次らと別れ間道をゆく←分岐道が映っている)。伊勢山田へ入る橋で羅生門一家が通行料を取り立てるのは中ノ島橋。平次を追ってきたお静が雲助にからまれる宇津之谷峠、平和台公園・安行山
*同行の爺さま・幸兵ヱは辰巳柳太郎、藤堂のなり立てご隠居。道中、過食したり大鼾かいて八を悩ませたり、とてもご老公とは思えない素振りが傑作で、さすがの貫禄。ヤクザとつるんでいた伊勢山田奉行は畏れ入っておしまい。*京都縦貫道開通は1988年だから、1970年代初頭なら全く様相が違ったわけで、今は平和台公園内の道も舗装されているから特定が難しく、一部谷山かとの疑いも捨て切れない…全部そこで撮れたものをわざわざよそへ行く筈もないと思うが。

■ 南町奉行事件帖 怒れ!求馬 II 第5話「父親はだれ?」1999.11.22C.A.L

 チンピラに我が子を俺の子と言われ、思い惑うも自己解決する大店の主で前後をしめた作りの、恋と欲で身を滅ぼす男と女の群像劇。欲をかいて自業自得の女の腹で陽の目を見ずに逝った子の哀れ、お奉行も慨嘆を書き記す。
 ロケ地、越後屋の主に跡取りの坊ちゃんは俺の子と脅しつける島帰りの仙太、清涼寺本堂(樋受けの水盤や灯籠が効果的)。脅迫者を仙太と忖度するお景・為吉に求馬、仁和寺中門参道(背景に塔)。もしやの事情を勘案し仙太捕縛を却下したお奉行に、判っちゃいるものの腹立つ求馬が姉崎同心にボヤく道、仁和寺勅使門前。越後屋の妻子が休む茶店、清涼寺茶店(妻子のもとへやって来る越後屋の背後に仙太、半田同心や為吉に阻まれるシーンでは多宝塔が映りむ)。水茶屋女のおときが殺されて見つかる神社、鳥居本八幡宮本殿裏手崖(後段出てくる殺害時の回想シーンも同所、見下ろしのアングルでは舞殿映り込み)。おとき殺しの疑いで入牢していた飾り職人が、解き放ち後に詣でるおときの墓、仁和寺境内北東部疎林に簡素な墓石あしらい。月参りの越後屋一家を見かける求馬たち、仁和寺塔付近〜茶所脇。走り出した求馬を見て笑う豆千代と姉崎、仁和寺中門(北望)
*仙太に堤大二郎。*求馬の青い怒り炸裂、仙太の塒のスラムでは怒りに任せて桶を破壊、仙太捕縛シーンでは持ってちゃ斬っちゃうので大刀を脱してからボコる。
2007/3/6

■ 銭形平次 第370話「母子草」1973.6.6フジ/東映

 自分が殺人犯と疑われても口を閉ざす幼児、それは祝言を心待ちにしている母を悲しませたくない一心からだった。平次は彼の心の襞を読み、真犯人に行き当たる。
 ロケ地、鉢植えをかっぱらう新吉を見る植木市、赤山禅院参道。新吉がよく遊びにゆく八幡様、赤山禅院境内各所(池端中心、母犬をさがす幼女と経巡るのは拝殿脇や十六羅漢に本堂前、喜助が出て新吉に刃を向けるのは本堂脇の池端)。新吉の母が倅の無事を祈りお百度を踏む天神様、木島神社本殿
*新吉に大川辰五郎。こんな小さな坊が鉈で人の頭をカチ割るはずも無いと思うが、ここにはツッコミなし。

■ 南町奉行事件帖 怒れ!求馬 II 第4話「女将と泥棒 味な対決」1999.11.15C.A.L

 料亭・花やの女将は、突然転がり込んできた盗っ人に亡き亭主の正体を聞かされたすえ居座られてしまう。口の卑しい男に振り回されつつの奇妙な同居は、女将の行動を訝しんだ求馬が乗り込むまで続く。
 ロケ地、居座り和助の要求で鮨と菓子を買いに出かける女将の駕籠がゆく道、妙心寺黄鐘調鐘脇路地。お景の父・文吉の墓、不明(起伏のある墓地、女将が和助に頼まれ出向くのと遭遇、設定は下谷常念寺付近)
*おせいは多岐川裕美、和助はモロ師岡、賊の首領は長門勇。和助とおかしらは二人ながら天然おせいに屈服し降参の運び、疾風の五郎蔵を名乗っての凶行はかしらの不在に乗じた手下の犯行、うち一人は福ちゃん。負傷した仲間の傷薬を求める薬屋には小峰さん。グルメ風は奉行所にも吹き、一両するという八百善の茶漬けを再現して一同で啜ってみたり。

■ 遠山の金さん 第7話 2007.3.6テレ朝/東映

 鶴やに閑古鳥が鳴くのは新興の口入屋のせい、妙な一人勝ちの裏にはきっちりどす黒い事情があり、恋しい男を思う娘心も悪事に利用する。
 ロケ地、大黒屋のやり口を金さんに愚痴るおまき、仁和寺境内石畳。二人がおたえとおはるの言い争いを見るのは水場脇の石段上、おはるがおたえを引っぱたくのは観音堂脇。おはるの死体が見つかる大川端、広沢池東岸(水無し)。大黒屋に苦情申し立ての寄合の帰り、金さんがおまきに尾行者の存在を知らせる道、仁和寺金堂前〜鐘楼前。思い詰めたおたえが袂に石を仕込み入水の寸前止めに入る金さん、松尾橋下手右岸水制
*大黒屋の裏にいた凶賊の首領に笹野高史、親切面の貸本屋の親爺も良し、白州では手向かいも。おたえは大路恵美。
2007/3/5

■ 銭形平次 第369話「ただ一度の裏切り」1973.5.30フジ/東映

 盗賊の引き込み女は凶行に嫌気がさし、思い詰めて身投げ。これを助けた若旦那は、女の運命を狂わせた父の贖罪と自身の慕情から親身に世話を焼くが、賊の手はそこにも伸びてくる。
 ロケ地、平次の追及を煙たがった賊が放った殺し屋が襲ってくるのは御室霊場巡拝路。偽の印形を彫った職人を殺し逃げる仙三郎、船を奪う渡し場は嵐峡船着き上手汀(駆けつけた平次らの背後に嵐亭の建物)。仙三郎が若旦那を呼び出す祠、松尾大社本殿脇摂社
*お関に赤座美代子、蓮っ葉な女がよくハマるが手配書ヒドい・もっとキレイだし。若旦那は永井秀和、お関の情夫に早川保。

■ 南町奉行事件帖 怒れ!求馬 II 第3話「おれは用心棒」1999.11.8C.A.L

 困窮する浪人に用心棒バイトの口を譲る求馬だが、腕はからきしの彼のサポートで振り回される。雇い主は、謎の浪人殺しを知ってから落ち着かず殺されると脅えるが、狙われるに充分な過去を抱えていた。長槍で襲う殺し屋や、殺し屋が犯した人違いに呵責の念を抱く「依頼者」など見どころ多し。間違って殺された浪人の後を継いで傘貼りに精を出す弱虫浪人が、その後、どうなったか、誰も知らない。
 ロケ地、人違いで殺された浪人の検分、嵐峡汀。
*求馬にサポートされる弱っちい浪人にルー大柴、元越後浪人だった雇い主は江藤潤。
2007/3/4

■ 新・座頭市3 第17話「この子誰の子」1979.8.27勝プロ/フジ

 葬儀の席に現れ隠し子だと偽り金をとる騙り母子、女にはわるいヒモがついていたが、欲をかいて策に溺れる。心惑う母の手を引く坊が頼もしい。
 ロケ地、騙り母子に金を渡す庄屋の屋敷、不明(萱葺民家、周囲の町なみも映る)。お留が上がりをとりに来る捨吉を待つ木の根方、北嵯峨か。市が休む茶店、不明(前に小川、水車が回る)。市を殺るつもりの石見銀山の効き目を相棒で試す捨吉、大堰川堤法面か。
*騙り女に藤村志保、ヒモに蟹江敬三。お留と捨吉という名の対比も面白い。ヒモが市のことを注進におよぶヤクザは江幡高志、ラス立ちでは市に斬られたうえ坊にボコられ。*訓練のすえ関係ない時でも頭に手を置くと自動的に泣き出す子、市に毒を盛りにかかるも徳利をすり替えられ自分が飲んでしまうヒモなど、ユーモラスな場面がたっぷり盛り込まれている。

■ 新・座頭市3 第18話「犬と道づれ」1979.9.3勝プロ/フジ

 村娘を女衒に引き渡すヤクザを殺った市を、一宿一飯の恩義を返すため狙う渡世人。市の行為を正当と語る彼を、市は斬らない。市が足を斬った渡世人と、彼に足を傷つけられた犬は、同じ医者に手当てされる趣向で、医師宅でドラマが展開される(医師は獣医)
 ロケ地、娘たちが女衒に連れて行かれかける渡し場、広沢池東岸。犬を連れて川辺をゆく市、木津川汀。焚き火をしているとヤクザの手下が上から降ってくる橋、流れ橋。犬を診てもらう医者の家、不明(萱葺民家、けっこう立派で傍には蔵のような建物も)
*市を狙い足を斬られる渡世人はにしきのあきら、医師は小野進也(柔の達人で長崎帰り、豪胆な人物)。手伝いの婆さんは武知杜代子で、渡世人にシナ作ったりする。常連の馬子に梅津栄、愛馬にどぼどぼ酒を飲ませていて体調不良の因を作っている模様。*犬と市の交流は温かく微笑ましい。一つ椀の飯を共に食らうシーンは秀逸。市の犬はメスの柴で、医師宅の三本足はちょっと洋犬っぽい黒ちゃん。医師の進言で二匹は夫婦に。ついてきてしまう犬を制する市の仕種もなかなか。

■ 新・松平右近 第16話「藪が名医で名医が藪か?」1983/4-9

 阿漕な金貸しが非効率なので新たな儲け口を考え付く両替商、典医を餌に偉そうな町医者を抱きこんで弱者を騙し、骨までしゃぶろうとする。お話は、悪徳商人に飼われている青年が恩と正義の板挟みになり懊悩を描き、彼の口から黒幕の名が藪さんに知れる趣向。
 ロケ地、両替商の用心棒が御典医を暗殺する夜道、大覚寺有栖川(河床から見上げ)。仕える相手の悪事に気付き悩む仙太が思い悩む水辺(藪さんが出てお説教)広沢池西岸(葦原をかきわける形で桟橋をあしらい)
*仙太は宮崎達也、但馬屋は浜田晃で仙太の兄貴分は苅谷俊介、用心棒は福ちゃん(典医暗殺時の殺陣がシャープ、ラス立ちでは障子突き破ってうわぉ)。悪徳医師は山岡徹也で黒幕の坂井豊後守は外山高士。*音松、ボコられて濠に落ちた仙太を発見←立小便してて、這い上がってきた仙太を見て「あ゛ー腫れちゃう出た河童」パニック。音松ちゃん、ミミズと間違えてない?
2007/3/3

■ 遠山の金さん 第60話「裏切りを覗いた女」1976.11.25NET/東映

 父に盗みをやめて欲しくて思い詰める娘、別れさせられた恋人に執を残すが、男の正体は賊より上手の悪党だった。
 ロケ地、奉行所で門前払いされたあと、夜回りの赤目に縋るも袖にされたおえいが泣きながら暗い流れを見つめる橋、中ノ島橋(このあと夜釣りの金さんが浮いているおえいを引き上げるのはセット)。訪ねてくるものの何も話さないおえいを追う和七、相国寺大通院南塀際〜鐘楼(黒犬組一党が出て和七に斬りかかる)
*おえいの父で黒犬組首領に加藤嘉、賊とつるみ融通させる十手持ちだった和七に藤巻潤、彼に踊らされおかしらを裏切る一味の男に木村元。

■ 必殺仕事人 III 第26話「嫁の勤めを果たしたのは加代」1983.4.8ABC/松竹

 強請りの小悪党が、上前をはねようとした二足草鞋に殺られる話。死んだ片割れに頼まれ母に会いに行った青年は、目のわるいおっ母さんに息子と誤認され、悪さをしつつも孝行しようとするが母ともどもヤクザの手にかかってしまう。
 ロケ地、亥之吉と伊之吉のコンビが強請りの上がりを分けようとしているところへ赤鬼一家が現れる大川端、大覚寺大沢池(ヤクザは五社明神の方からやって来る)。刺された亥之吉が伊之吉に母へと守袋を託す堀、御殿川河床。伊之吉が一旦はまともに稼ごうとして出向く工事現場、大沢池堤(地固め工事演出)
*土方をしくじった伊之吉が強請りに転じるくだり、恐喝する三人は順ちゃんに秀と勇次。冒頭の二人組での強請りはお嬢様(伊之吉のほう、けっこう似合う)と中間に化けて。*タイトルは、亥之吉のおっ母さんに嫁に来てくれと言われた縁で。
2007/3/2

■ 銭形平次 第368話「兄弟しぐれ」1973.5.23フジ/東映

 寄場送りの身で見事に更生を遂げた元盗っ人、平次は我がことのように喜び目をかけるが、ただひとつ残った懸念はやはり現実のものとなる。
 ロケ地、金のない兄弟に飴を買い与える新助(配達中)今宮神社東門内側。旅姿の伊太郎がやって来てアジトの小屋に入る林、不明(林の奥に池、小屋は起伏の上、林は落葉樹の多い明るい林)
*捕まれば死が掟の一味、しかし伊太郎は負傷し逃げられぬ弟・新助を仲間から庇った、このことが親分の気がかりで、果たして新助は逃げ込んできた兄を匿ってしまう。そして曲折の果ての土壇場で、弟に向け放たれた刃を身に受ける兄。今はの際の言葉は「あの時殺しておけばよかった」の悪態、平次は新助にこんな悪い奴もう思い切れと口添え。しかし伊太郎は刃を受ける前、弟の立ち位置を確かめている。庇った上で負担にせぬ為の気遣いか、偶発事で言葉通りか、事後考え込む親分にも真実は遠い、余韻を残す作り。*新助は森次浩司、女房は葉山葉子、伊太郎は松原光二で賊の首領は外山高士。

■ 南町奉行事件帖 怒れ!求馬 II 第2話「泣きぼくろの女」1999.11.1C.A.L

 血も涙もない外道働きの凶賊が横行、しかし名乗りは十年も前に暗躍した三ヶ条の掟を守り通した盗賊のもの。本格のお盗めしか許さなかったおかしらの名を汚され怒る、かつての仲間を燻し出す策略だったが、当の本人は一味の中におかしらの娘がいるのではとの思いから危険を承知で乗り出してくる。
 ロケ地、お奉行がコソ泥をおちょくってネタを得た、恵比寿の利兵衛のツナギ役だった婆さんのいる麻布・長徳寺門前の花屋、金戒光明寺茶所(絵は、門前ではなく思いきり本堂前)。求馬に伝言を持ってくる豆千代、長安院下坂を鐘楼の方へ登ってくる。怪しい挿絵描きをつけていた求馬は東坂下石垣際、その喜之助は東坂を登ってゆく。茶所で婆さんと接触する喜之助を物陰から見る求馬たちは経蔵。婆さんから花を受け取り墓地へ向かう喜之助、本堂裏手墓地(求馬を撒く)。墓地を走り抜けた求馬が差しかかる坂、吉田神社大元宮脇坂(荷車が坂を転げ落ち、喜之助が幼女を助けに飛び出してくる)。事後、おかしらの娘を捜す旅に出る喜之助を見送る求馬、金戒光明寺永雲院下坂〜その下の東西の路地。
*喜之助に山城新伍、隠し金目当てで彼を呼び寄せる凶賊は石山律雄、花屋の婆さんに正司照枝、凶賊の用心棒に福ちゃん。お奉行にお慈悲バーター話でたばかられ情報を吐く、牢にぶち込まれ中の爺さんは江幡高志。*求馬は喜之助と意気投合し用心棒をつとめる次第。

■ 逃亡者おりん 第18話「争奪!姉様人形」2007.3.2TX/C.A.L

 弥十郎の危機に現れるほか、重傷を負った彼を庇うおりん。今まで何度も助けてくれた男を見捨てられなかったおりんは、隠れた小屋で秘事をも語り心を開いてゆくが、弥十郎の任務が密書取得と知り不信を募らせ、再び心に鎧をまとう。
 ロケ地、重傷を追った弥十郎を連れて逃げるおりん、二人して飛び降りる崖は保津峡落合落下岩。佐介が道悦らにとっ捕まるのは崖道。この先に小屋がという、おりんに支えられた弥十郎、落合河口汀。江戸城イメージ、姫路城天守。田安宗武邸、大覚寺大門。おりんと弥十郎が身を寄せる小屋、沢ノ池東岸にあしらい(手鎖人に操られた佐介がやって来る坂や道はダートと降り口。小屋は爆発炎上)
*おりん紀州入りルート、ナレーションでは「古市から海沿いを通り和歌山を抜けさえすれば根来はすぐそこ」と来て「和歌山へ」と書かれた道標が映る。逃れ旅の事情を勘案しても、羽曳野から根来へ行くのに海へ出る奴は稀かと。紀泉往還に落合ロケが似合うかは別として、ひょっとして羽曳野南ICから南阪奈道乗って阪和道とかじゃないだろうな…映像にあった「古地図」と妙に被るし。前回木津川水系から浪花とか言ってたし、これまでも?な行程だしテレ東だから忖度は意味ないと思うが、おりんルート考察は楽しい。*手鎖人に催眠術かけられる佐介、「犬になれ」でワォーンって遠吠え。*まともに喋ってる鳩愛好者、遂に出現。
2007/3/1

■ 銭形平次 第367話「日陰に散った涙花」1973.5.16フジ/東映

 苦労人の酒肆の女将は、娘が良縁を得て幸せになることだけを希うが空回り、当の娘と齟齬を来す。娘のため犯した大罪に加え玉の輿と思った縁談は詐欺、挙句娘に家出されてしまい、女将は悲嘆に暮れる。初手から女将が大事を引き起こしてきたことが明らかな作り、罪を告白し過去を語る愁嘆場に尺が費やされる。
 ロケ地、両替商・讃岐屋との見合いの料亭、錦水亭東屋(前庭と橋、草戸)
*酒肆・喜楽女将に藤間紫、見合いの席で娘をいたたまれなくさせる下品さと卑屈さや、娘の男を殺してしまう浅薄さ、しどけなくほつれた髪で酒を呷るさまも真に迫る芸。

■ 南町奉行事件帖 怒れ!求馬 II 第1話「消えた美女二人」1999.10.25C.A.L

 お奉行に駕籠訴した娘を罪に落とさぬようはからう求馬だが、彼女を預けてあった豆千代宅が襲われ、姐さんはさらわれてしまう。奔走のすえ出てくるのは大名家内部で起こっている金のトラブル、欲深者たちが引き起こしたとんだ悪企みが明らかとなる。
 ロケ地、お奉行の行列に駕籠訴しようとした娘を求馬が機転を利かせ処理するくだり、妙心寺大庫裏門前付近〜法堂脇。豆千代捜索中の結城同心に手がかりを聞く求馬、広沢池東岸。蓮田藩邸門、妙心寺大庫裏門。お絹が兄(蓮田藩中間)の隠れている廃屋に求馬らを案内する道、草叢の背後に見える建物は暴将9の2話で玉緒ちゃんの庵で使われた寺と同じ、不明。札差・加島屋向島寮、中山邸門
*お絹に三船美佳、蓮田藩江戸留守居役に田口計、加島屋に頭師孝雄。*女岡っ引と千鳥女将、若手同心に新キャストのほか、北町のうるさいコンビも新規加入。求馬は相変わらず無闇に走るが、がさつさ加減が強調されている←町を走れば荷をひっくり返し、千鳥では備品をぶちまけ(兄上も壺割りをやらかしていて大笑い)。

■ 新はんなり菊太郎 第8話「おかえり菊さん」2007.3.1NHK

 お凛騒動に決着がつくお話、誘拐事件はお凛の実家の商売がらみ。誘拐を目撃したお信はつけていって捕まってしまい、監禁された二人の会話の中でお凛の家出のわけが語られる。お凛が江戸へ帰ったあと、仕切り直しの恋人たちの台詞がタイトル。
 ロケ地、二人が監禁される家、酵素(家本体は民家セット、様子を窺っていたお信が去り際浪人に阻まれるのは竹林〜木。駆けつけた菊さんが浪人とやり合うくだりは、民家セット前から竹林に移動、福ちゃんが竹を真っ二つに斬るのをクレーンショットも使って撮られたくだりは別撮りかも←酵素にしては林床整いすぎ。このシークエンスの後は竹林から走り出て木の前で対峙←草刈ってある)。お凛を見送ったあとお信に会う菊さん、仁和寺観音堂(背景に塔)。お信に簪をやるシーンは山室堤
*今までもちらちらNHK作品に出ていたが、今回は総時間もたっぷりで極めつけの浪人役の福ちゃん、役名は三嶋源内。二人の見張りで炉の前で端座する姿勢からして決まっていて、「性に合わん」とお信の縄切ったり竹を両断も良し、菊さんの気合に呼応するのもなかなかで、刀投げ出した菊さんとのやりとりで説得されちゃって口の端で笑うのがかっこいい。*宍戸錠の迫力でちんぴらビビらせるのもなかなか。*「酵素」の設定、「新町通を北山裏?に入ったところ」と銕蔵が語っているので、通り北詰の玄以あたりか。
←2007/22007/4→

・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪表紙テキスト版 ・ロケ地一覧 ・時代劇の風景トップ
・このサイトについて  ・サイトトップ