時代劇拝見日記
2007年8月

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2007/8/31

■ 銭形平次 第495話「身代り鴉」1975.11.5フジ/東映

 旅の空、瀕死の男に頼みごとをされた渡世人は所払いの身をおして江戸へ。男の老母にこれこれと次第を話しかけるが、いきなりよく帰ったと泣き縋られ、まさか悪い仲間入っていて殺られたなどとは言えず、やむなく「息子」芝居を続けることに。よくある筋立てを見事に料理、情味も緊張感もたっぷりに描く職人技に脱帽。
 ロケ地、賊一味が伊太郎らを呼び止める戸田川堤、大堰川か。その直後瀕死の乙吉に縋られる道は田脇の林か。弟分の丑松と別れる伊太郎(中仙道・鳩ヶ谷付近)藪田神社参道(丑松が去るのは南の小道)。蕨宿の賊が江戸入りとネタをつかみご機嫌の万七、平次とばったり会うのは今宮神社東門。乙吉の母に縋られてしまった伊太郎が、事実を話せないと落ち込む水辺、大覚寺放生池堤石橋上。賊の巣食う寺、龍潭寺山門。両親の墓に参り、できなかった親孝行の真似事をすると語りかける伊太郎、龍潭寺参道脇・祠裏に卒塔婆あしらい(谷中の墓地)。伊太郎を見かける僧衣の賊、今宮神社東参道。伊太郎の正体を八に口止めする平次、今宮神社石橋たもと。伊太郎に接触する僧衣の賊、今宮神社摂社前。賊が伊太郎に押し込みの手引きを強要する物陰、龍潭寺回廊下。八の発言を聞いた丑松(伊太郎を追って江戸入りし居合わせ)が動揺しとっ捕まる茶店、今宮神社門前茶屋・一和。伊太郎が金箱を持ってゆくと賊に約した鳥越の森、下鴨神社河合社(来た渡世人は平次で、ラス立ち)。江戸を去る伊太郎たちを見送る平次、今宮神社東門
*伊太郎は寺田農、目の悪い老母は堀越節子、人の良い大家は北見唯一、医者は岩田直二。賊は上野山功一、山本弘に福ちゃん(役名は弥五郎で「福本清二」表記)。*親分の立ち回りは渡世人姿で得物は長脇差。丑松を見咎める万七に「親の墓参で草鞋脱がなければ目こぼし」といたずらっぽく笑う親分がおかしい。

■ 将軍家光忍び旅 第7話「襲撃!女だけの村」1990テレ朝/東映

 「将軍」の間近に迫る忍びの者、竹之進が本物と知れ襲撃を受ける。気味の悪い秘術で他人になりすまし人を苦しめる風魔に、将軍の怒り炸裂。

ロケ地
・江戸城イメージ、姫路城天守(伊豆守に白々しく接触する都築のくだり)
・吉原宿手前の街道をゆく将軍の行列、木津堤(バンク映像)、刺客が駕籠を窺う道は北嵯峨農地・竹林際。
・竹之進らがゆく千本松原、琵琶湖西岸松原に漁具あしらい。
・吉原本陣、摩気民家(お供が摩気橋上にずらりと控える/刺客の気配など無いと呟く竹之進と十兵衛は橋たもとの灯籠の陰に)
・新吉を襲い失敗した女忍者が這って戻り仲間に影武者だったと伝えこときれる神社、鳥居本八幡宮石段。古賀村の女たちに助けを求められ同道する竹之進、忍びに襲われる夜道は鳥居本八幡宮広場
・古賀村へ向う竹之進たち、谷山林道
・古賀村、竹之進が野良を手伝っていると忍びが襲い村娘が巻き込まれる田んぼ、摩気
・寿々の回想、山津波で亡くなった者たちの慰霊碑が建つ「現場」、砕石場か(土むきだしの山地/領主・薬師寺の殿様が寿々を慰め励ますシーン)。遠乗りデートの寿々と殿様、田畔は不明、駒を繋ぎお昼をつかう野辺は丹波国分寺礎石
・ツナギをとる竹之進たち、摩気神社裏手(塀越し)
・薬師寺邸、大覚寺大門(竹之進らは御殿川に潜み様子を窺う/酔ったお蔦が来て門番と揉め、隙を見て一同は中へ→式台玄関前へ出てセットにスイッチ)
・村人が集められる鎮守、摩気神社(ニセ領主がやって来て竹之進を出せと迫る)。皆殺しとか喚いているところへ笛吹いて現れる「将軍」は楼門、拝殿前等を派手に使って大立ち回り。
・当地を発つ竹之進たち、琵琶湖西岸松原
*寿々は吉川十和子、殿様は南条弘二。*今回の風魔のヘッドは「おばあちゃんて感じ」の紫染め/都築の吉原で小判撒いてガハハがたいへんお下品。*寿々が襲われ芝居で竹之進をひっかけるくだり、映画村オープンセットの山から何か出てくるアレの前、盛大に水流してたけどどういう効果を狙ったんだろう…。

■ 刺客請負人 第6話「嫉妬の果て」2007.8.31TX/松竹

 的は留守居役奥方殺しの腰元、しかし依頼者の言い分は嘘。腰元を守る側に立つ刑部だが、代わって仕事を受けた闇猫に手を焼き、依頼そのものを消しにかかる。

ロケ地
・新名藩邸イメージの甍(煙とり付きの屋根あり)、粟生光明寺か。
・狙われ続ける腰元を隠した刑部、そこへ向う道で尾行されるが徳松の手下が耳打ちする通り、今宮神社東参道
・留守居役と藩主の正室が密会する池之端の出会茶屋、宝厳院通用門
*腰元は星野真理、兄の浪人は山崎銀之丞。正室は筒井真理子、留守居役は隆大介。*胸を病んだ兄が吉良の付け人だった設定は出ず、刑部に妹を守らせるため壮絶な自刃というのもナシ。*女性心理について忖度する件はうまく場面ごとに挿んであり良い味わい。*留守居役の髷切りは原作と少し経緯が違うが、アタマの「その後の処置」は大幅に異なり、いたずら心を出して山岡頭巾を剥いだ闇猫さんの爆笑を誘う趣向。
2007/8/30

■ 銭形平次 第494話「武士道無残」1975.10.29フジ/東映

 侍の嫌いな平次の「お武家ってヤツは」もの、今回は釣りで知り合った気さくな武士が相手なので、身分を笠に着た嫌味な振る舞いを懲らしめるいつものパターンと趣が異なる。事件の真相を知った平次は、このまま行けば待っている結末を止めたくて殿様を口説くが、互いに生き方は変えられないのだった。
 ロケ地、釣りに行った平次が矢沢の殿様と一緒になる水辺、広沢池観音島。酔った矢沢の長男が水茶屋女と左官に無体を仕掛ける夜の川端、大覚寺大沢池(抜いたところまでで、場面は「長男」頓死の検分にスイッチ)。水茶屋女を尾行する若侍たちのくだり、若様殺しの犯人と目される左官が隠れている小屋は赤山禅院境内西側の池端(小屋はいまは無い建物、介入した平次の立ち回りは林間)。また釣り場で会った平次と殿様、茶でもと誘われ行く土手、広沢池東岸並木(左官を捕まえようとした若侍の一人の矢沢家の「次男」が現れる)。矢沢邸、正門は相国寺大光明寺門、殿様に目通りを願い出る平次は通用門。屋敷を辞する平次を見てそそくさ立ち去る地回りが腰掛けていたのは湯屋角、その男が斬られるのは方丈南塀際。矢沢家に勤めていた乳母に話を聞きに行く平次、乳母がお参りのやしろは神泉苑善女竜王社、平次が渡る橋は法成橋(兄弟仲について聞き込み)。道場帰りの「次男」を呼び止めブラフをかます平次、大覚寺境内か(竹垣際)
*大番頭のご大身・矢沢の殿様は中村竹弥、次男坊は南城竜也。

■ 将軍家光忍び旅 第6話「偽将軍と踊り子の恋」1990テレ朝/東映

 沼津代官の悪事を暴き、虐げられていた民を掬い上げる成敗ばなし。新吉の岡惚れが空回りするちょっと気の毒な結末だが、彼以外メデタシな大団円。

ロケ地
・将軍一行がゆく街道、木津堤(バンク映像)、沿道に平伏する民の中に小菊太夫を見つける新吉のくだりは不明(一座の泊りは沼津と新吉が推測)
・小菊太夫一座がならず者に襲われるところへ竹之進が介入する脇街道、不明(酵素ダートや大原野神社−勝持寺間の林間に似る)
・沼津本陣、妙心寺塔頭か。
・沼津代官所、民家長屋門。門前払いを食った村名主の息子たちを見る十兵衛の、門から見返りのシーンは広沢池西岸。代官所に侵入する庭番のくだりで出る裏塀は民家西塀
・代官所に囚われた村名主を奪還した息子たち、隠れる宿場はずれの来迎寺は勝持寺本堂、はじめに出る情景は夜の闇に浮かぶ花頭窓、将軍一行が発ったあと襲撃をかます代官一派のくだりは昼間で、本堂階と周辺を使い大立ち回り、横笛を吹いて現れる「真打」は鐘楼から。
・沼津を発つ竹之進、海辺で「上様」に餞の舞を捧げる一座は琵琶湖西岸松原。
*小菊太夫は西崎みどり、一座の先乗りで村名主の倅の「新吉の恋敵」は篠崎勝で父の名主は溝田繁。沼津代官は浜田晃、百姓町衆が積み立てた狩野川築堤費用を着服するほか、旅の一座の先乗りが持ってた金も取り上げるトンデモ悪辣代官という設定。*コロッケの歌は小菊太夫ラブを「側近」に聞かせる馬鹿話のくだりで出る「喝采」。
2007/8/29

■ 銭形平次 第493話「甘い凶器を追え」1975.10.22フジ/東映

 悪どいやり方で店と女房を奪われたひ弱な男、思いつくのは毒殺。石見銀山を名店の最中に仕込み憎い相手に渡したはいいが、菓子折りは途中ですり替えられており、大騒動が持ち上がる。
 ロケ地、観音一家に目をつけられた利兵ヱの汁粉屋、今宮神社境内にあしらい(帰り道に石橋も映る。設定は観音さまの境内)。すんでのところで土産が毒入りと知った左官、悲観してその最中を食おうとするお堂、御室霊場
*利兵ヱは大泉滉、観音一家の親分は天王寺虎之助、左官は人見きよしでガミガミ女房は西岡慶子、金目のものと誤解し「最中」を弁当箱とすり替えた男は伝法三千雄。*毒最中を子供が食べる可能性ありと知った平次たちのてんてこ舞いが見もの、権高な菓子屋が毒入り危険の貼り紙にクレームつけにくる場面もちゃんと入っている。*ヤクザの親分は毒食らって頓死するが、こっちのオチと大むくれの万七に面目を施させる逸話をからめ仕立ててあるのもさすが。

■ 将軍家光忍び旅 第5話「箱根に散った花一輪」1990テレ朝/東映

 お忍びで箱根へ来ていた伊達政宗を利用し、ニセモノ将軍を暴いて紛争を起こそうとはかる都築安房守。間の悪いことに、本物のほうは十兵衛をまいて太閤と独眼竜ゆかりの底倉を訪ねようとして迷っているのだった。もちろん十兵衛が危惧したとおりそこは風魔の巣で、竹之進を狙う者どもが湧いて出るが、良心を捨てきれぬ娘の献身で切り抜ける。

ロケ地
・十兵衛をまいて走ってくる竹之進と太助、保津峡落合河口。底倉への道がわからず誰かに聞こうと歩き出すのは保津峡左岸巌上。
・子供をさらう忍者を阻む竹之進たち、清滝河原(銃で援護した桔梗と出会う)
・将軍の行列がゆく道、随心院参道(バンク映像)、箱根駒本陣は妙心寺大庫裏門
・政宗のふっかけた難題に江戸の伊豆守へ早馬が走る街道、木津堤
・桔梗とその兄が百姓衆のために掘る温泉、清滝か。
・竹之進を襲う風魔、酵素か(十兵衛が駆けつけ難を逃れる)
・都築と結んだ風魔の和尚が巣食う山寺、西明寺(山門、石段、境内)
・風魔にさらわれた子らを救出したあと本陣へ急ぐ竹之進、お蔦が馬を持ってくるのは谷山林道分岐道と本道。なお襲う風魔、和尚と桔梗がやり合うのは切り通し。事後一同が参る桔梗の塚も切り通し。
*伊達政宗は近藤洋介。
2007/8/28

■ 銭形平次 第492話「いとこ同志」1975.10.15フジ/東映

 やくざな父を持った青年は、世間の白い目に耐え切れず道を踏み外しかけるが、ただ一人従姉妹のおみのは彼を信じ慕う。その心根に打たれた平次が身柄を引き受ける運び、ヤバい局面もあるが、お静の与えた真心が彼を救うのだった。
 ロケ地、嫌がらせと誤解に耐えかねた仙吉が備前屋を飛び出し佇む池端、赤山禅院本殿脇池端。叔父からおみのが心変わりして嫁ぐと聞かされた仙吉、落ち込むところへ破牢してきた悪い仲間が出て押し込みに加担するよう唆す池端、赤山禅院境内西部の溜池と林。押し込み当夜、仙吉を連れに来る三五郎の手下、上賀茂奈良社か。
*仙吉は三ツ木清隆、おみのは森川千恵子、父の備前屋は天草四郎。賭場の中盆に福ちゃん、声も。*読み書き算盤ができない仙吉を優しく導くのはお静、今回寺子屋の臨時教授をつとめている設定。彼に与えた古い算盤が、押し込みの片棒を担ぎかけた仙吉の懐から落ちて思いとどまらせるアイテムに。*お静のいない留守宅で、八が裁縫をしながらやらかす気色悪い一人芝居が大笑いなほか、暇を持て余すと大掃除をはじめる親分のカッコも笑わせる。

■ 将軍家光忍び旅 第4話「暗雲たなびく女狐の湯」1990テレ朝/東映

 箱根山中で十兵衛とはぐれた竹之進は、鄙びた湯宿に辿り着く。そこに湯治に来ていた爺さまは夏の陣の生き残りで彦左のお友達、彼の記憶が非常にマズい老中たちは都築の手下と結び、爺さまたちのみならず「上様」ごと消そうと企み成敗の憂き目を見る。悪党どもが父を求めるお蔦を利用する一幕も。

ロケ地
・「将軍」の行列がゆく平塚宿を過ぎたあたりの道、随心院参道(東望)
・竹之進と十兵衛が忍者に襲われる箱根山中、谷山林道か。
・十兵衛とはぐれ道に迷った竹之進が魚を獲る少女と出会う滝、琴滝
・少女の家の塔の沢の湯宿、酵素河川敷に小屋あしらい。
・箱根元湯、不明(石垣のアプローチを持つ萱葺長屋門)
・老中の側室が渓流沿いで野点をするところへ異臭煙攻めで嫌がらせの爺さまたち、清滝川畔か(ニンニクとかニラとか燃やし)
・唐木の爺さまの回想、大坂夏の陣の掃討戦で目撃した、現老中主従が軍用金を掠めて口封じに味方を殺した生駒山中、酵素ダート北崖
・爺さまたちが囲まれてピンチの大平台、不明(植生や足もとの砂地からすると河川敷か)
*唐木甚五衛門は品川隆二、湯宿の主人は牧冬吉。悪辣な過去を持つ老中主従は川辺久造と大木正司、都築の手下は出水憲。

■ 素浪人 月影兵庫 第6話 2007.8.28テレ朝/東映

 跡取りを亡くし寝込む女将のため、次男坊のフリをするよう頼まれてしまう半次。本物はとうに来ていて兄を害した悪党を探っていたが、身を持ち崩したことを恥じ母に顔見せならぬと渋るところへ、親子芝居をしてきた兄哥の鉄拳が見舞われる。

ロケ地
・兵庫がゆく街道、腹減り半次が草を食らう池辺、茶店等不明(堤/溜池?/地道)
・料亭・和泉屋外観、錦水亭東屋(セットにも「紅殻」をあしらい)
・和泉屋の跡取りが土左ヱ門で見つかる堀、八幡掘新町浜近くの堀端。
・兵庫を待つ桔梗が釣り糸を垂れる堀、八幡掘白雲橋−明治橋間左岸堀端(下段)
・和泉屋の仲居・お美代の回想、ヤクザにからまれているのを助けてくれた弥助、大覚寺五社明神(大沢池や心経宝塔も映り込み)
・また釣りに出た桔梗が常磐屋の土左ヱ門を見つける堀、八幡掘舟橋下手左岸堀端、戸板に乗せられた常磐屋に取り縋る女房と弟は舟橋上。
・当地を去る兵庫と半次、琵琶湖畔か。
*女将は野川由美子、幽鬼の如き病人が怖すぎ。半次の作った塩入れすぎ粥のくだりが泣かせる。本物の息子・弥助は志村東吾、代官と組み料亭に魔手を伸ばすヤクザは中田浩二。和泉屋のために立ち回るも消されてしまう気の毒な常磐屋は峰蘭太郎。
2007/8/27

■ 銭形平次 第491話「あばずれお仙」1975.10.8フジ/東映

 殺しの罪を着ようとした「元」莫連女、行動の裏には重大な秘密。三年間の心の平安を謝し、棄教したうえで邪魔者を排除にかかり、凶刃に斃れたお仙に情けをかける親分、彼女が守ろうとした「仲間」も、死に際に掛けてやった言葉通りに見逃してやる。
 ロケ地、殺された山城屋の検分、相国寺宗旦稲荷。釈放され奉行所を出てくるお仙、大覚寺大門。お仙をつける平次、参道石橋→セットにスイッチ。山城屋の墓に参るお仙、相国寺墓地か(言い寄る男が出るが数珠ならぬクルスを見て逃げ去り/万七らが慌てる場面では水場の屋形が映り込む)。お仙が脅迫者を誘い込み刃を向ける祠、大覚寺天神島。江戸を去る信仰者たちを呼び止めお仙の位牌を渡す平次、走田神社社務所(地蔵の祠あしらい/相模屋らは社叢脇の道を南に去る)
*お仙は本阿弥周子、信仰仲間の相模屋は村田正雄、脅迫者は村上不二夫。*江戸を去る者たちを笑顔で見送る親分だが、見逃しは一応命懸け・樋口さまが来て十手を渡す場面を入れてある。クルスを見てしまう万七らと異なり、地道な調査でキーワード「天草」に行き着く平次の手法が丁寧に描かれているのも良い肉付け。

■ 将軍家光忍び旅 第3話「日蔭に咲くか夫婦武士道」1990テレ朝/東映

 相模入りの一行、藤沢宿で人足たちの抗争を見た家光は激怒し、治安回復に乗り出す。人足頭と博労の親方は、女郎屋や賭場を作る土地を狙い悪事を重ねるが、ところの御支配はもっと腹黒。テーマは狙われた土地にある寺子屋の先生夫婦の生き様、三河以来の家柄を汚したと怒る彦左に対し、惚れた女に賭けるのも武士道と上様は笑う。

ロケ地
・相模入りの「将軍」の行列、木津堤(藤沢宿手前・泊りは平塚宿)
・藤沢宿へ向う竹之進ら、北嵯峨農地畦道(広沢池西岸)
・子らに植物の講義をする寺子屋の先生・羽生田新兵衛、広沢池北西岸(竹之進が微笑ましく見ていると人足たちの小競り合いがなだれ込み)
・藤沢宿村名主・幸右衛門邸、走田神社社務所(韮山代官に無法を訴えに行こうと旅支度で出た名主が塀際で刺殺される)。事件を聞き出役の韮山代官所藤沢出張陣屋、民家長屋門
・彦左の罵りを受ける夫・新兵衛を見て首を吊りかける妻女、広沢池畔か。それを止めた竹之進が新兵衛に経緯を話す水辺、広沢池西岸・養魚場流れ込み畔。
・人足対博労の大出入りが繰り広げられる馬入河原、木津川下流部
・相模を発つ「将軍」の行列、当地を発つ竹之進一行、ともに流れ橋
*羽生田新兵衛は丹波義隆、足軽の娘を選び旗本の家を捨てた男で彦左とは親戚付き合い。彼に好意的な村名主は玉生司朗。人足頭は田中浩(竹之進が入り込み)、博労の親方は曽根晴美、漁夫の利を得ようとする陣屋支配は小笠原宏。*コロッケの「芸」、駕籠が窮屈とボヤくくだりで裸の大将と美川憲一の物真似。このほか春日局コスプレも。
2007/8/26

■ 長谷川伸シリーズ 瞼の母 1973NET東映

 幼い頃に別れた母を求めさすらう渡世人・番場の忠太郎。旅の空にやっとこの人と訪ね当てた先では、タカリとばかりの冷たいあしらい。今一度と食い下がるが埒あかず母の料亭を去る忠太郎、娘に諭された母が追ってきて名を呼ぶが答えず去る。
 ロケ地、忠太郎が弟分と飯岡に仕掛ける野、河川敷か。知るべを頼み倅と別れた女を探すくだり、近江出身の瞽女に話を聞くのは今宮神社楼門(頼まれた男が待っているのは門前茶屋の一和、忠太郎と合流し入ってゆくのは東門)。瞽女が母でないと知ったあと、楽しげにゆく母子を凝視する忠太郎は石橋上。母の料亭を辞した忠太郎がゆく夜道、チンピラと浪人が襲う原はインドアセット。
*忠太郎は高橋英樹、母は月丘夢路。料亭に巣食うチンピラは江幡高志、彼に雇われ忠太郎を襲う浪人は平沢彰。*脚本/野上龍雄、監督/山下耕作

■ 長谷川伸シリーズ 蝙蝠安 1973NET東映

 けちなタカリで世を渡る安、いっぱし人様の役に立っているつもりなれど世人は彼をゲジゲジ扱い。そんな彼が一世一代、気の毒な恋人たちを添わせてやろうと打った大芝居、馴染みの師匠は真意を悟り惚れ直し安と二人の未来を夢見るが、その夜安に恥をかかされたヤクザが安を襲う。
 ロケ地、掛け取りの金を盗られ絶望した泉州屋の手代に金を与える安(盗っ人から掠めた当の掛け取り金)広沢池東岸。縁談が壊れるようお参りの泉州屋の娘、今宮神社本殿(彼女といい仲の手代が祈るのは「お金をくれて助けてくれた人に会わせて」)。手代の金を盗った男が岡っ引に追われるのに出くわし手助けの安、今宮神社東門。お嬢様と逃げるよう手代を唆した安が二人を待つ夜の川端、下鴨神社泉川橋たもと(境外から二人がやって来る)。娘を駕籠に乗せた安が手代を振り切り去ってしまうのは馬場(参道の可能性あり)。泉州屋女将に頼まれ出張ったものの恥をかかされたヤクザが安を襲う夜道、下鴨神社河合社脇。
*安は若山富三郎、頬に蝙蝠の刺青。馴染みの常磐津師匠宅では三味を爪弾くシーンがほんのちょっと出てくる。師匠は浜木綿子、恋人たちは石山律と珠めぐみ。安を殺すヤクザは大木実。*脚本/高岩肇、監督/山下耕作

■ 長谷川伸シリーズ 六車の額太郎 1973NET東映

 恋人を置いて草鞋を履いた額太郎は、或る日旅の途中で幼馴染が金を盗られ殺されるのに行き合わせる。遺髪を携え戻った故郷、その幼馴染の父が己の両親を焼き殺したと聞いた額太郎、その「仇」も恋しい娘も今は江戸と聞き息巻いて出てくるが、実家の火事の因は別にあり、娘が思わぬ者と縁を結んでいることを知る。
 ロケ地、儀八が法印一味に殺される葦原、西の湖か(汀にたくさんのヤナギ/戸板を持ってくるくだりで映る堤が疑問、蛇砂川か)。額太郎が下仁田六車(ろくしゃ)村へ帰ってくるくだり、渡る橋は若森廃橋(下手右岸から菜花と堰堤越し)、散歩に出ていた弁吉親分(恋人・お金の父)を見かけて挨拶するのは藪田神社境内。額太郎の実家である旅籠の焼け跡、両親の墓、不明。火をつけたと噂の儀八の父・総兵衛の家へ行ってみる額太郎、萱葺民家(中はセット)。復讐の念に燃え江戸へやって来た額太郎が儀八殺しの子分を見てシメる花見の稲荷(王子稲荷か←宴席に玉子焼きの包み)、イメージの楼門は不明(王子稲荷に非ず)、汐路章をシメる花見の席は大覚寺大沢池(池畔に茶店あしらい、茶店傍らに鳥居をセット/女中はお金という奇縁)。額太郎のその後を語るナレーションに被る街道、本梅川堤(若森廃橋上手・左岸堤、汀に子守あしらい)
*額太郎は林与一、お金は藤田弓子、弁吉は中村竹弥で総兵衛は原健策、儀八は青山良彦。強殺に放火の極悪一味のかしら・法印七之助は戸浦六宏。*脚本/高岩肇、監督/倉田準二
2007/8/25

■ 遠山の金さん 第85話「夕闇に消された女」1977.6.9

 邪魔な女を消させた若旦那だが、亡霊に脅え続けた挙句悶死。しかしそもそも殺しは起こっていないのだった。
 ロケ地、子ができたと伊勢屋の若旦那に訴えるおしず、広沢池東岸。釣りの浪人におしずの件で相談を持ちかける若旦那、大覚寺護摩堂前。夜、若旦那が伴ってきたおしずを「斬る」浪人、大覚寺石仏前〜護摩堂裏。浪人はおしずを放生池(水無し)に蹴り落し、埋めてあった早桶に入れて蓋(設定は六万坪埋立地の沼地)。寺嶋村のおしずの実家、広沢池北東岸の「民家」か(離れて見やる金さんとお仙のシーン、老母に会いに行く金さんの寄った絵では別の萱葺き民家)。おしずの回想、息子が誘拐されたあと呼び出され、若旦那に芝居を仕掛けるよう強要された法泉寺裏、二尊院か(無縁塚を寄せたような一画・卒塔婆立ても見える)。堀切の伊勢屋寮、不明(銭平でも見たような料亭ふうの門)
*おしずは今出川西紀、伊勢屋の後妻は西尾美恵子。ハマりすぎの薄幸の女と、絵に描いたような毒婦。

■ 必殺仕事人IV 第13話「お加代りつの殺しを頼まれる」1984.1.27ABC/松竹

 りつを的の依頼が来るがもちろん裏あり、ボランティアに精出すお人好しの八丁堀同心の御内儀は名前を騙られていた。悪党に恋人ともども斬られた依頼者の娘は、這って逃げ出し最後の息で人違いを告げて逝く。
 ロケ地、兄を籠絡され店をとられた小雪と、りつを騙る「奥様」に染料の調合書をとられた小雪の恋人が「心中死体」で見つかる川端、中ノ島橋下手右岸河川敷
*騙り女は赤座美代子、その亭主の悪徳商人は牧冬吉でつるむ勘定吟味役は上野山功一。*本当に妻が的でもやったかと順ちゃんの青い質問つき。
2007/8/24

■ 銭形平次 第490話「おっ母ぁ!」1975.10.1フジ/東映

 生き別れの母子再会情話。母を求めて江戸へ出た青年はお定まりのチンピラ稼業、悪党の手先をつとめ強請っていた女将は実母という奇縁、情深い親分の采配が泣かせる。
 ロケ地、儀十の手下から逃げる与吉、大覚寺有栖川河床。追っ手は放生池堤、去ったあと与吉が堤中ほどの橋たもとから這い出し、更に五社明神に逃げて万七にブチ当り。甲州屋の女将が与吉に金を渡す神社、赤山禅院本殿。一心に地蔵に祈る女将の背を叩き強請りにかかる与吉、大覚寺護摩堂脇。与吉の命をネタに女将を強請る儀十、「材木置場」(見張る平次たちは「玉垣の内にいて背後に葭簾あしらい)。監禁されていた与吉を連れ出してきた平次が彼の出身地と母の名を聞く林、不明。儀十に金を渡しに行く女将の前に出る平次、赤山禅院参道
*与吉は小倉一郎、母は高田敏江。儀十は天津敏で手下は井上茂と浜伸二。

■ 将軍家光忍び旅 第2話「父ちゃんの海を返せ!」1990テレ朝/東映

 本隊は程ヶ谷宿から戸塚宿、海辺をゆく竹之進は中浜で悪党に泣かされる民を見る。干鰯狙いの奸商とつるみ禁漁を強いる代官は処断され、家光は父を捕われ嘆く庄吉坊との約束を果たす。

ロケ地
・相州中浜の海、不明(ちょっとした砂丘、防砂林?がみっしり)
・中浜のはずれの辻堂(母子を送ってゆく竹之進のくだりとツナギと二回出る。堂はあしらいモノ、設置場所は林でちらっと低い塀・五社明神裏手か河合社裏か)
・戸塚本陣、建仁寺久昌院
・彦左と早苗が怪しげな浪人者が屯するのを見る街道、谷山林道か。
・中浜代官所、随心院長屋門。早苗が潜入した影丸とアイコンタクトをとる塀は本堂裏の土塀、内部から見た早苗が頭を覗かせる塀は撮影所セット。
・漁師たちを連行してくる代官の前に立ちはだかる家光、走田神社(参道〜本殿脇。立ち回りは本殿前で。漁具と潮騒の音あしらい)
*悪徳商人は小沢象でお供に西田良、手先のゴロツキは岩尾正隆で雇われ浪人は福ちゃんと壬生新太郎/浪人(一)と(二)、代官は遠藤征慈(手向いするも自刃)、庄吉坊の母は三浦真弓。コロッケの鼻歌は「ギンギラギンにさりげなく」…こんなタイトルだと初めて知った。
2007/8/23

■ 銭形平次 第489話「虹の橋」1975.9.24フジ/東映

 事件は両替商押し込み、錠前はずしの技で大得意の新入りは仲間と齟齬を来し、チクリは兄貴分と思い込み無茶を仕出かす。しかし平次宅に「微罪」のほうで投げ文をしたのは、彼の身を心から案ずる同郷の娘だった。
 ロケ地、目の前で多吉が逮捕されたあと店を飛び出し水辺に佇む女中のおみの、大覚寺大沢池(酒肆は「河岸裏」)。仮牢の多吉に会いにきたおみのに話を聞く平次、大沢池(背景の竹垣はあしらいものか)。おみのの回想、江戸へ来たばかりの頃、田舎訛りをからかわれしょげているおみのを「だんべ仲間」と慰め励ましてくれた多吉、今宮神社合祀摂社前。破牢した多吉が捕り方に前後を固められ飛び込む橋、中ノ島橋
*おみのは有吉ひとみ、多吉は北条清嗣、反目する兄貴分は轟謙二、多吉を始末するのに雇われた浪人の一人に福ちゃん。*多吉の錠前破りは漆喰で固め音を消し爆破という巧妙なもので、彼は火薬職人くずれ。地方出身の若者たちの苦悩も筋に取り込んだ良い脚本だが、感情の交錯が激しいのでお話はねっとりと重い。タイトルは腹の子を二人を繋ぐものとおみのの表現。

■ 将軍家光忍び旅 第1話「ふたり将軍京を目指す」1990テレ朝/東映

 先の二回で窮屈な旅に懲りた家光は、今回の上洛に条件を提示。一介の浪人として通すというプランを呑んだ伊豆守と彦左が仕立てるは影武者、危なっかしい企ては将軍が身を挺して自分を救ってくれたと大感激の新吉で固まってゆく。

ロケ地
・野に出て家来と乱取り上様、天神川河床(伊豆守が馬を飛ばして呼びに来る)
・江戸城イメージ、姫路城天守。家光の出した条件について話しながら城を下がってくる伊豆守と彦左、はの門下坂
・影武者に選ばれた新吉が連れてこられる松平伊豆守邸、不明(門越しに破風)
・浪人として行くほうの同行者に引き合わされる家光、姫路城西の丸
・影武者のほうの美々しい行列が出る城門、姫路城菱の門
・将軍家品川本陣、随心院薬医門
・拉致された影武者が連れ込まれる山寺・常念寺、常寂光寺仁王門(陰謀の主・都築安房守が山岡頭巾被って入ってゆく。今回の計画が頓挫したあと呪詛を吐きながら下りてくるのは参道石段)
・品川本陣を発った一行がゆく街道、木津堤
*海ロケは不明、遠州かはたまた日本海か。*都築が使嗾する風魔陣十郎は田口計。コロッケの鼻歌は「伊勢崎町ブルース」(冒頭のスキャット)。
2007/8/22

■ 銭形平次 第488話「竜王崎の狼煙」1975.9.17フジ/東映

 伊豆湊で沈船、御用金が不明となり潜入した勘定方の役人が失踪という事態に乗り出す平次。そこには、妙に金まわりのいい荒くれ男たちとどう見ても怪しい雲水がいた。
 ロケ地、後に伊豆の海女と知れる女が襲われ斬られる夜道、大覚寺五社明神(女は碁石金入りのアイパッチをはずし来合わせた平次に託す)。海ロケ、日本海か(坂の漁師町や海の見える丘なども使用。呑海のお堂も現地と思われる)
*江戸で死んだ海女の妹は森崎由紀、その姉と誼を持ち協力を要請した勘定改役は三島史郎(黒潮組潜入)。黒潮組元締は五味竜太郎、配下の一人に福ちゃん(役名「貝助」、クレジットは「福本清二」。半裸の荒くれ鯨漁師・肌も黒く塗ってある)。正体は海賊の雲水は富田仲次郎、竹切ってる時点で正体と目的バレバレ。*今日はないと油断していると留守宅が出てきて、おちよちゃんが表へ出て鐘ゴーンでアラきれいな夕焼け→歌、伴奏つき。
2007/8/21

■ 天を斬る 第26話「血斗暁七ツ」1970.3.30NET/東映

 続々と京へ向う長州勢、怪しまれ捕まった見知りの密偵を救うため人質をとるなど無茶をするダンナ方、しかし助けた男の口からは三人に下された冷酷な処置。殺到する長州勢を斬り伏せた後、三人はいずこともなくそれぞれの道へ散ってゆく。

ロケ地
・長州勢をつけて山道をゆく孫兵衛、不明(途中に茶店あしらい)
・密偵を助け出したあと一行が集まる宿はずれのお堂、不明(堂はインドアセット、参道は神社か/入口の外は二又道、脇に小川と橋。これまでも何度か出ている)
・ダンナ方を追って駆けてくる万五郎たち、安行山。別れゆく三人、中山池池尻(南西端)、権田は池端を西へ、桜井は安行山方面へ堤を、牟礼は今の縦貫道の方へ(今は無い池端の小丘等も映り込む貴重な映像)
*牟礼たちの人質にされ、不覚をとった原因を郎党と情婦になすろうとして目付役に斬られる長州藩士は片山晴彦、情婦は田村奈巳、郎党は大丸二郎。*京へ帰れと言われたにも関わらず襲い来る敵に立ち向かおうと薪ざっぽなど構える万五郎と百太郎、しかし「亀の子」の「義を見てせざるは福来る」に膝が抜けたり・西田良可愛すぎ。

■ 銭形平次 第487話「鬼の棲む町」1975.9.10フジ/東映

 番外地スラムもの、潜入し消された岡っ引の無惨な死を見た平次は迷いもなく自分も中へ。散々に痛めつけられもするが腕に偽装した佐渡帰りの入墨が効き、内部抗争に利用しようとする者も出る。強敵である、極楽島を支配する辰巳屋の用心棒は胸を病んでおり、会いにやって来た娘のことで平次に協力する運び。
 ロケ地、今戸の先にある極楽島、流れ橋下にバラックあしらい。橋からは簡易階段がおりている。用心棒が平次に託して娘を逃がすくだりでは炎上シーンもあり迫力。立ち回りは橋上、橋下でも行われ、捕り方が橋に殺到する。平次が島へ入るシーンでは側面と川をゆく船の組み合わせ。スラムの表現はセットと併用。父の遺骨を抱き津軽へ帰る娘を見送るのは堤。
*スラムを支配する辰巳屋は村上冬樹、後釜を狙う袈裟蔵は永野達雄で手下の大入道は大前均。用心棒の人斬り主膳は吉田輝雄、経文散らしの着流しで丹下左膳ふう。アイヤ節を歌う津軽の娘は斉藤浩子。
2007/8/20

■ 天を斬る 第25話「春雷の中の女」1970.3.23NET/東映

 人っ子一人おらぬゴーストタウンの宿場町、世話役父子はそれぞれの理由で居残り。牟礼たちの力押しで悪代官は家老に引き渡され大団円、しかし自棄になった男の一言が事態を最悪の方向へ持ってゆく。

ロケ地
・宿場町イメージに穴太の里遠景、町なみはここなどをオープンセットと組み合わせて。一行が上がりこむ酒肆は萱葺きの広壮な一件、もう無いかも。
・郡代屋敷、民家長屋門
・当地を去る一行が休む茶店、不明(池端、ここへお京が入水)
*世話役父子は永井柳太郎と高角宏暁、郡代屋敷の女中・お京は加賀ちか子、郡代は中村孝雄。

■ 銭形平次 第486話「十手に散った白い蟻」1975.9.3フジ/東映

 新興のとかく噂のある材木商に関係した変死が二件、黒幕を探り出した万七たちや、姉の死の真相を知るべく潜入した妹も囚われあわやの危機に、ここは町場と啖呵を切った平次は作事奉行をも「退治」、手柄は万七に譲り縄尻を渡すのだった。
 ロケ地、人足で遠州屋に潜入の万七たち、「材木置場」。おちよが万七拉致を見る町角、上賀茂神社ならの小川畔、神事橋、奈良社裏。
*黒幕接待の座敷に幇間で入る万七と清吉、けっこう気色わるい踊りを披露。公儀の屋台骨を食い荒らす「白蟻」は奉行に圧力をかけてくるが、平次は樋口さまに熱くもキツい言葉を浴びせる。

■ 水戸黄門37 第20話「男意気地の悪退治」2007.8.20TBS/C.A.L

 舞台は松島・代官領、弱きを助け強きを挫く、一徹馬鹿の男伊達がいた。面に貰った向こう傷の謂れも笑いを誘う強面が悪役人どもに二重にハメられるのを救い、老公は去ってゆく。
 ロケ地、現地イメージに松島遠景と瑞巌寺。浜辺の情景は琵琶湖岸。長兵衛を襲う目付の部下、弥七の介入で見失うのは大覚寺境内。長兵衛が代官に呼び出され殺されかける家、大覚寺望雲亭、ここへゆく父を見かけるお久は勅使門橋、長兵衛が渡るのは参道石橋
*長兵衛は名高達郎、啖呵切って裸になったあと老公のちゃんこ着たり女房の着物着たり傑作。彼を支える女房は朝加真由美、代官は伊藤高でつるむヤクザは上杉祥三。実は悪かった目付は永井秀和、部下は峰蘭太郎。ラス立ち福ちゃん入り。
2007/8/19

■ 長谷川伸シリーズ たった一人の女 1973NET東映

 嫁ぎ先も決まっていた娘が渡り鳥と恋に落ち、手に手をとって出奔するがお嬢様は慣れぬ暮らしに弱り病没。娘を失った親と、出奔の際に兄を斬られたヤクザと、ただ一人の女を亡くした男と、一様に虚ろに陥る心情が物悲しい。
 ロケ地、出奔の際の丘の上の寺か神社、不明(参道と門、坂道にうねる印象的な塀)。逃避行の街道筋、棚田か。
*女を死なせてしまう渡世人は山口崇、お嬢様は松本留美。親に頼まれお嬢様を奪還に来て斬られてしまう親分は金子信雄、その弟で八年も仇を追う男は早川保、お嬢様の父親は河野秋武。*脚本/松村正温、監督/大西卓夫

■ 長谷川伸シリーズ 刺青寄偶 1973NET東映

 ふと出会った渡世人と女郎は運命的な恋に落ちるが、逃避行の果て女は儚くなり「一生に一度の男」に嘆きを見せる。臨終の場にやって来た女衒たち、男は死因を作った者ども相手に大立ち回り。
 ロケ地、連れ戻される道中で女衒らに気を吐く女郎、北嵯峨農地竹林か。幼馴染を頼り職を得た男が立ち働く木場、「材木置場」(蔵が見えている)
*運命の男女は菅原文太と吉行和子、男の母は万代峰子、女衒は江幡高志。*容態篤い女を励まし誠を示すため、女の指に針を握らせ女の名を彫る刺青が哀れ。タイトルの訓は「いれずみちょうはん」。*脚本・監督/マキノ雅弘

■ 長谷川伸シリーズ 道中女仁義 1973NET東映

 親の仇を求めさすらう渡世人・御殿の縫三、行きがかりで助けた湯女に「この世でたった一人の男」と惚れられるが、受け入れてやれぬ事情があった。別れのあと自棄を起こした女は悪党とつるみ美人局を働いていたが、その悪党と仲間の浪人が縫三の仇という奇縁、また縫三の「事情」を薄々察しつつも女は仇討ち叶うようはからい凶刃に斃れる悲劇が袖を絞らせる。
 ロケ地、信濃路の湯宿、日吉山荘(宿はセット撮り)。縫三と別れたあと彷徨うおのぶを見つけた九郎蔵が言い寄るお堂、大雲寺閼伽井屋形前。逃げたおのぶがお前と一緒になるくらいならと飛び込む橋、中ノ島橋。仇探しの旅の縫三と岩松、北嵯峨農地竹林際。祠で休む女を見かけおのぶではないかと見てみる道、広沢池西岸の道(祠は観音島)。九郎蔵が相良浪人暗殺を企むやしろ、大雲寺石段石座神社境内。駆けつけた縫三が相良たち相手に大立ち回りは本殿前。
*縫三は美空ひばり、父の仇を討つため男に身をやつし道中。同行者の弟分は香山武彦。おのぶは浅丘ルリ子、心中に失敗した過去を持ち、縫三がその男に酷似という仕立て。湯宿の地回りは梅津栄で手下に平沢彰や川谷拓三、ここへ客分で来ていた九郎蔵は藤岡重慶で相良浪人は神田隆。*脚本/宮川一郎、監督/佐々木康

■ 長谷川伸シリーズ 直八子供旅 1973NET東映

 嫉妬に狂った男に挑まれ傷を負った直八、それがもとで大病を患い、薬代のため女房は自ら苦界に。母を恋しがる子が女郎屋のまわりをうろつきはじめたため直八は旅へ、そこでろくでもない仁義を押し付けられたうえ事情が変わるや命を狙われるが、追っ手は横恋慕男が引き受けてしまうのだった。
*野面、田畔等全く不明。「関の弥太ッペ」同様中村・三船プロ制作なので関東撮りと思われる。*直八は萬屋錦之介、女房は波乃久里子。横恋慕して直八に重傷を負わせる渡世人は御木本伸介。恩着せがましく汚れ仕事を強要する親分は神田隆、子分に中田浩二、実は弟だったと知れる追い剥ぎ浪人は高橋昌也。*病み付きうらぶれた風情の前半、金をつかんで女房を身請けすると決めてからは肝のすわった兄哥に豹変。追っ手をまいて子に追いついた際の「泣き」もありいろんなヨロキンが見られて楽しい。*脚本/池田一朗、監督/土居通芳

■ 長谷川伸シリーズ 殴られた石松 1973NET東映

 旅先で仇討ちに関わる次郎長一家の話。はしゃいで仇討ちを煽る石松をいなしつつ、仇討ちの困難さを思い青年を案じていた親分は、襲撃に失敗し囚われた青年の身代りに唐丸へ入り帰りを待つ「メロス」展開。タイトルの殴打は、常吉と入れ替わりに唐丸を出た親分が次郎吉を気が利かぬとポカリ、なぜ一日遅らせて恋人たちを一緒にしてやらなかったと怒る逸話。
 ロケ地、頬桁の久六に助っ人で名古屋へ赴く次郎長一家、石松が親分にお茶を持ってくる橋は本梅川若森廃橋。親分のはからいで故郷の三河・森村へ赴く石松、畦道や幼馴染の家(萱葺)は不明、代参の豊川稲荷は吉田神社竹中稲荷参道重ね鳥居。常吉の兄が木堂浪人に殺される氏神さま、藪田神社境内(浪人に斬られた道は鳥居の南の小道)。このあと出てくる三河の風景は主に棚田、本梅あたりか。仇を討って急ぎ戻る常吉らが渡る夕景の橋は流れ橋
*石松は松方弘樹、はじけたおちゃらけぶりを披露。仇持ちの常吉は目黒祐樹、恋人は三条泰子。次郎長親分は大友柳太朗、大政の兄貴は伊達三郎。*唐丸身代り申し出の段、発心の説明に佐渡法難の折の日朗上人の橘の故事を引く。*脚本/結束信二、監督/大西卓夫
2007/8/18

■ 遠山の金さん 第84話「地獄のかっぽれ」1977.6.2

 幇間を連れて船遊びの富商が拾った身投げ女は彼の亡き娘に酷似、記憶喪失のうえ探す者もない女は当然の成り行きで養女として引き取られるが、彼女と「父」は母の遺恨を晴らしに来ていた。
 ロケ地、荒木屋が出した屋形船が身投げ女を拾い上げる大川、桂川松尾橋下手(右岸から)。荒木屋が小野寺藩櫨方の役人と密談中の回想、駿府へ直訴に向おうとした亀助の女房たちが捕縛された国境、酵素河川敷(導入は大胆な俯瞰)。お白州の前の大覚寺甍は使い回し。
*幇間の亀助は柳沢真一、放蕩が妻を死に追いやったと悔悟、馬鹿踊りは針の山で踊ると自嘲するのがタイトルの所以。娘は瞳順子、小田原藩の櫨を買い叩き民を苦しめる荒木屋は伊沢一郎。

■ 必殺仕事人IV 第12話「勇次鼠小僧と間違われる」1984.1.20ABC/松竹

 大名屋敷に賊が入るが、書き置きは先年獄門になったはずの鼠小僧。もちろん騙りの攪乱だが、見返られた腹いせに勇次が鼠小僧と言い立てたり、しまいには密談を聞いたお女中とその恋人の火消しを犯人に仕立てて殺す大悪党たち。直接の依頼はなく、兄貴分の勇次が遺品を売った金を置く。
 ロケ地、出初式、罧原堤下河原
*鼠小僧に化けてなにがしかの金を撒いて歩く大名家の家来は河原崎建三、目撃者を装う奥女中は桜町弘子、一味の茶坊主は伴勇太郎、途中から儲け話に割り込む与力は鈴木淳。
2007/8/17

■ 天を斬る 第24話「使命は間者」1970.3.16NET/東映

 長州の動きを探ろうと武芸に秀でた者を選抜したさる藩だが、この人選が大ハズレ。武門の誉れ高き家に生まれた堅物は、母親が危ぶんだとおりガチガチに緊張し、敵の偵察部隊に易々と正体を覚られてしまう。

ロケ地
・さる西国の藩の城、彦根城天守。密命を受けた五人が下城の道は観音台への橋。一人家へ向かう寺内、朋輩に話しかけられるも上の空の堀端は玄宮園前堀端、石垣に残雪。寺内邸、民家長屋門。登城風景は佐和口多聞櫓付近の堀端や大手橋、20話同様12話の使い回し。
・寺内らの正体を知り旅籠を夜発ちした「鼠」を追った百太郎が彼を見失う道、19話の宿場口と同じ橋たもと。
・寺内以外の四人が殺される追分、6話はじめ何度も出ている「道隈」。
・思い詰めた寺内が切腹しかける茶店、流れ橋脇に建物をあしらい、階段や手すりを付けて橋上には床机もあしらい。やって来た長州勢と牟礼・桜井がチャンバラは橋の上と下で。
・長州へ向かう寺内夫婦、琵琶湖(沖ノ島の見え方からすると東岸、松原沿いの陸側の道から浜辺へスイッチ・残雪あり)
*寺内は亀石征一郎、緊張しすぎて仲間から狂人の目とか言われてるし、命が下される場で既にわなわな震えてるのを上役が訝しんでいる…止めろよ上司。妻女は北林早苗、長州の密偵は玉生司郎。*ダンナたちは、町人に身をやつすものの旅籠中に聞こえるような大声で「間者」とか話している寺内たちをたしなめ忠告することで関わってゆく。

■ 銭形平次 第485話「お京の身代金」1975.8.27フジ/東映

 大店の令嬢誘拐事件は、欲をかいた万七のために八はとっ捕まるわ責任を感じた女中が身投げするわのマズい展開。しかしそんなことは問題にもならぬ、悲惨な事実が明らかとなる。
 ロケ地、灘屋の娘・お京がさらわれる町角、仁和寺観音堂脇〜御室桜林脇西塀際(野辺送りの早桶に押し込んで拉致)。灘屋が身代金を持ってゆくお玉稲荷、石座神社(万七が玉垣下に潜み、灘屋が金箱を置くのは舞殿、一味がお京を連れて降りてくるのは本殿前石段)。お嬢様が戻らず絶望した女中がふらふらとゆく夜の水辺、中ノ島橋下手右岸河川敷(死体検分もここ、ラストシーンで「現場」に立ち死者に詫びる引かれ者のお京は中ノ島橋上)。一味が巣食う寺、神光院(中興堂がメインイメージ、回廊や「監禁」の蔵のほか、宝筐印塔なども効果的に使われる)。再度の身代金受け渡しに指定の大川端・弥助桜下は広沢池東岸、船で逃げる一味を葦原に船を潜ませていた親分が追う。捕り方に合図の、平次が寺の裏で粗朶に火をつけた煙は葦原越しに見える趣向。
*一味の首領は武藤英司、配下の怖いおじさんは汐路章。*潜入親分はアイパッチにムシリ頭、腕っ節を見込まれ雇われ。監禁中のお京や八とツナギをとったことが悪党の正体暴露につながる運び。

■ 刺客請負人 第5話「死神の町」2007.8.17TX/松竹

 臥煙が跋扈する新開地、名主に頼まれ用心棒として入る刑部だが、彼らを刺激し状況を悪化させたとしてすぐにお払い箱。捨て置いては敵の思う壺と居座る刑部、加えて赤穂残党の助っ人がやって来て、ならず者を使った「黒幕」の思惑は潰えてしまう。また、騒動の最中には闇猫のお吉が現れ刑部に助け舟を出しスカウトする一幕も。

ロケ地
・越中島海浜、琵琶湖西岸砂浜。小屋爆破あり。
*死神の首領・吉蔵は海東健、名主は鶴田忍で娘のお蝶は木内晶子。*お蝶が住民に立ち上がるよう働きかけていることや、刑部に乗り込まれてしまった一味が両国橋に晒される件等、原作と微妙に違う場面もある。死神メンバーのなりは傾き者というより路上パフォーマーみたいな感じ。吉蔵の武器はランボーナイフばりの匕首。
2007/8/16

■ 天を斬る 第23話「石に咲く花」1970.3.9NET/東映

 京へ行く武士が斬られるポイントでの裏話は悲話、待っても還らぬ者を待ち続ける哀れな主従を支えていたのは、その因を作った若者。己の行為に心苛まれていた男は再度の殺戮を拒否し落命、宿場口で売れもせぬ造花を並べて来ぬ人を待ち続ける二人に事実は知らされず、その姿は伝説となる。

ロケ地
・老僕が主の娘の作った造花を売る宿場口、不明(6話はじめ各話で使われた切り通し)
・宿場町、見たことのあるような家並みが映るが特定できず。
・娘と老僕を残し先に行った武士、二人が残された宿場手前の茶店は中山池畔にあしらい。武士が斬られた竹林は不明。
*造花を作る娘は赤座美代子、狂態も示すが基本はきりっとした武家娘。老僕は岩田直二、娘と別れた直後殺されてしまった武士は永田光男。造花を買い上げ主従を助ける郷士の若者は長谷川哲夫。老僕にショバ代を要求しダンナ方に散々にやられるヤクザは山岡徹也、田口計、志賀勝等々。

■ 銭形平次 第484話「消えた流人船」1975.8.20フジ/東映

 流人船の針路を曲げる悪党ども、樋口さまの要請で当地へ赴く平次たち。そこでは、哀れな囚人のみならず現地の民も泣かされていた。
 ロケ地、海崖や砂浜、岩場、日本海と思われるが不明。
*黒幕の与力は田口計、当地のヤクザの親分は福山象三、囚人の一人で一味に加担する極悪浪人は原口剛。平次と「喧嘩」して意気投合・手を貸してくれる荒くれ漁師は有川正治、浦賀奉行所の嫌味言うけどすることはしてくれる与力は西山嘉孝、兄が船に乗っていた見習同心は酒井修、流人船を目撃し崖から落とされた老爺の孫は服部妙子。
2007/8/15

■ 天を斬る 第22話「春の祈り」1970.3.2NET/東映

 山里の小藩で起こる悲劇、許婚者を寝取られた青年が斬った相手は殿様のお血筋。青年の周囲のほか、若様の守役たちも死ぬよりほか道はなく、仄かな恋を喪った大工の若者も悲しみの地を去る。

ロケ地
・山里の小藩イメージに雪嶺と雪の里。陣屋のことが語られるくだりに出るのは民家長屋門
・事件の起こる里、萱葺民家多数残る里。美山に似るも一面の雪で特定困難。
・逃げた村尾が牟礼たちに追いつかれる道、不明(小川に橋、まわりは田んぼ)
*村尾新八郎は石橋蓮司、じたばた悪あがきをした後、お屋形さまへ呪詛を喚き散らすのも凄絶。村尾の妹にして「目撃者の大工のマドンナ」は松木路子。大工の若者は加賀爪清和、怠け者の兄貴分は井上茂。守役は和田文夫、配下の藩士に福ちゃん(クレジットは「福本清二」。台詞回しはいつもとちょっと違うトーン)。*大工の若者が完成させずにいった祠は「京の宮大工」の万五郎が作り上げてちょっといい話←これが里に春を告げる運び。

■ 銭形平次 第483話「親父はつらいよ」1975.8.13フジ/東映

 どじな亭主は富籤に当った事実を隠蔽、誰にも内緒の夢の暮らしを続けていたが、賞金の五十両は贋金、勧進元に捩じ込み死ぬ目をみる。大怪我と聞き駆けつけた女房はおんおん泣いて縋り、亭主は面目を施すかと思いきやそうはいかない笑い話。
 ロケ地、贋金造りに加担した元金座職人がタレコミを約したお堂、大覚寺護摩堂(平次らが張りこんでいると天神島朱橋を渡って職人、しかし脇から浪人が出てバッサリ)。浪人を追う平次、大覚寺大沢池木戸(ここで浪人の足に銭)〜見失う建応寺(富突興行の寺)赤山禅院参道石段、和尚に話を聞くのは雲母不動堂前。贋金のことを談じに行く留助も同所、富突き興行は雲母不動堂で。
*甲斐性なしと侮られる留助は山城新伍、夢は庭付きの家で金魚を飼うこと。勤め先や家で大量の卵を損じる手つきが傑作。女房は有崎由見子。贋金を作らせ賞金にしていた生臭坊主は多々良純、用心棒は笹木俊志。*お静も富籤を買い親分に呆れられ。お勝さんのは見事当るが、受け渡しのそのとき銭が飛んでくる絶妙のタイミングで、幸運を逃し呆けた顔が大笑い。
2007/8/14

■ 天を斬る 第21話「遠い足音」1970.2.23NET/東映

 様々な人々が行き交う「要所」の宿場町、牟礼たちが出会った新米の酌婦は不吉な文を運ばされる。公金を掠めた悪党たちは欲をかいて滅び、空しさだけが残る。

ロケ地
・桜井が百太郎にこの宿場は要所と説く辻、相国寺方丈南西角・湯屋の「辻」(元勘定方の瀬川から身を隠す元両替商番頭の彦兵ヱを見かける)
・瀬川らが斬られる法然寺裏の通り、不明(低い石垣の上に建物・裾は海鼠壁)
・瀬川らが葬られた町外れの寺、不明(墓地)
・城下の瀬川邸、東福寺一華院(ラストに出てくる際は門前を通り過ぎる侍の行く手に大機院の石段が映り込む)
・仲間の浪人・日下部を呼び出し殺す彦兵ヱたち、御香宮本殿裏手〜猿田社前。
*彦兵ヱの仕込みで柄のわるい酒肆に勤めさせられる元両替商の奥女中は菊容子、彦兵ヱは春日章良。*タイトルは瀬川を待つ妻女や、彦兵ヱからの吉報を待つ欠所になった両替商父子が待ちわびる「足音」、通過するだけのそれを空しく聞き溜息の描写がやるせない。

■ 銭形平次 第482話「手裏剣を打つ女」1975.8.6フジ/東映

 不実な男を愛し遠島の罪に服した女、しかし子までなした縁は保身をはかる男にとって煩わしいだけのつながり。幸薄い女は恩ある人のためにした事で再び人殺しの疑いをかけられてしまうが、意外な線から真犯人が浮上、女は出直し旅に江戸を発つ。
 ロケ地、金貸し殺しの容疑が晴れ釈放されたお袖がもといた一座にやって来る段、小屋掛けをしている林は仁和寺境内林。罪に服した小春太夫に代わって座頭となり江戸を発つお袖、仁和寺五重塔前〜御室桜林。見送った平次が去る道は参道
*お袖は八木孝子、いい仲の華道師匠が女絡みで殺されかかるのを見て思わず投げた簪が心臓を貫いてしまう設定。太夫は加藤和恵、容色の衰えで落ちる深間に愛憎ないまぜの哀れな役まわり。「闇の顔役」の金貸しは富田仲次郎、手下に平沢彰。お袖の子を引き取り育ててくれた牢番は北村英三。*お袖を見返った不実な男に平次の怒り爆発、打擲してシメる。止めに入った万七が突き飛ばされるのは笑うところか。

■ 素浪人 月影兵庫 第5話 2007.8.14テレ朝/東映

 桔梗の悲しい過去が清算される話、兄を裏切った許婚者である桔梗を憎悪する弟がグレた挙句に悪党の道具にされるのを、颯爽と助け悪を懲らし過去の悲しい事情も解きほぐす兵庫のダンナだが、ご自分の事はままならず今回も遁走。

ロケ地
・ダンナがやって来ている宿場町、イメージに八幡掘を映しセットに移行。
・権藤一味が仕込みの浪人を斬り捨てる騒ぎのあと、逃げた兵庫を追うも見失う東馬、八幡掘明治橋下堀端(ダンナは船に潜んでやり過ごす)
・娘に無体をはたらく男たちを懲らす伊織、八幡掘船橋(兵庫が堀端にいて剣筋を見定め)
・半次が鶏泥棒をはたらいて追われる百姓家、酵素民家セット。追うも自棄を起こす親爺のもとへ年貢アップの知らせが入る。
・高札を出す代官に詰め寄る百姓衆、大覚寺護摩堂前。
・庄屋・藤兵衛邸、摩気民家(導入は裏手、一揆と騒ぐ百姓衆の内庭の場面はセット、青年らをアジって出てきた権藤一味に立ち塞がる桔梗のくだりは門と摩気橋たもと)
・一味に加わっている伊織のことを話す兵庫と桔梗、摩気神社本殿裏手。
・代官所、大覚寺明智門
・「決起」に応じた百姓衆が暗殺されるくだり、堤下のクリークか。半次は酵素民家セットで。
・伊織を百姓衆殺人犯として葬ろうとする一味、鳥居本八幡宮か(竹林と大岩)
・事後、伊織に老中の書状を渡す桔梗、八幡掘新町浜
・桔梗から逃げた兵庫がフラれて落ち込む半次に声をかける河原、大堰川河川敷
*兄を見返り玉の輿と桔梗を恨む伊織は加藤雅也、彼を利用する旗本くずれのリーダーは谷口高史、悪代官は磯辺勉。
2007/8/13

■ 天を斬る 第20話「雪割人形」1970.2.16NET/東映

 世を憂え諫言を企てる若侍たち、友人面でそれを裏切る狡猾な男。裏切者の伝言を若様に取り次いだことを責められ嘆く女中に手を貸す牟礼、しかし仇を討ってやっても、若様の家も女中の人生も元には戻らず、潰れたお店が復することもない。

ロケ地
・寺田家付近および川口の家等の城下、上賀茂社家町。寺田家はここに設定され、藤木社から明神川を見たアングルや宮自身も使われる。川口家も川沿い。
・寺田家の若様・敬太郎と同志が川口を待つ神社、木島神社(舞殿、元糺の池鳥居、本殿前、参道)
・敬太郎らが藩の追っ手に襲われる葦原、広沢池北東岸(水抜き後の池底も使用。逃げ込む茶店は東岸の建物を転用、ここに御一行がいて「匿う」)
・組頭に働きを誉められ江戸へ行くよう指示された川口、ヤクザの辰蔵一家を誘いどんちゃん騒ぎの温泉は日吉山荘飛龍の滝にスモークを焚いて演出。川口を懲らしめにやって来ている一行は大宮川左岸の林間、同行した女中が川口を詰ってやりたいと言い出す。建物内部も使われているが立ち回り等はセットで。
・登城風景、彦根城天守を映したあと堀端や大手橋に藩士を配置(12話と同じ映像)。続けて閉門となった寺田家が映し出される。
・当地を去る一行がゆく道、北嵯峨農地竹林際(権田があの女中の里と見遣る)
・出家した女中が勤行の合間に若様に貰った雪割人形を作り続ける山里の寺、古知谷阿弥陀寺(雪の山門を映したあと参道の坂、尼が起居するのは本堂)
*寺田家下女の加代は新井麻夕美、下男は北見浩一、川口は柴田p彦。

■ 銭形平次 第481話「幸せの行方」1975.7.30フジ/東映

 田舎から江戸へ出てきた同期の若者たちは、折に触れ集まり歓談し助け合うことを誓うが、一人減り二人減りする状況。そんななか、紅一点のおるいの姉が賊の手引きをする事件が持ち上がり、紐帯は完全に切れかかり娘を慕う青年が大事を仕出かすが、何分にもこうした若者たちを見過ごしにする親分ではない。
 ロケ地、おるいの姉がはじめ勤めていた材木商を聞き込みの親分、「材木置場」。捕まった姉と番所で再会したあとおるいが佇む水辺、大覚寺大沢池畔。卯七に身を売っても姉が仕出かした盗難の金を工面すると言うおるい、大覚寺有栖川畔・五社明神脇。卯七がおるいを見返った勝次のお店の娘を誘拐し監禁する船小屋、罧原堤下河原か。
*おるいは関根世津子、卯七は穂積ペペ。若者たちが集う甘酒屋の親爺は吉田義夫。

■ 水戸黄門37 第19話「耐えて忍んだ嫁いびり」2007.8.13TBS/C.A.L

 家を守るため郡奉行に言われるまま貢いできた庄屋の女将だが、色好みの悪党の要求は募り、後家の嫁を差し出せと言い出す。ワルを懲らしめたあと女将にも「裁定」を下す老公、二人の女を縛ってきたしがらみは解きほぐされる。
 ロケ地、山形イメージに最上川。紅花を洗う女たち、大堰川河原。アキが平吉の流した手拭を拾うのも同所。庄屋女将の紅餅買い叩きをおはなに訴える百姓衆、龍潭寺山門。おはなの回想、父が紅花の種を落としてしまった小川、堤下のクリークか。当地を発つ一行、大堰川堤か。
*女将は二宮さよ子、庄屋は滝田裕介、おはなは高橋由美子、京で成功したと嘘をついていた幼馴染の平吉は二反田雅澄。郡奉行とグルの高利貸しは浜田晃。
2007/8/12

■ 長谷川伸シリーズ 暗闇の丑松 1973NET東映

 強く思い合う丑松とお米は祝言を挙げぬまま暮らし始めるが、欲をかいた養親は二人を引き離そう画策。こそこそとしたその企みは、丑松が養親と用心棒を殺めてしまうというとんだハプニングを出来させる。兄貴分の勧めで一人江戸を去る丑松、涙の別れで中ほど。
 ロケ地、丑松とお米が所帯道具を求める浅草・聖天さんの宵の市、上賀茂神社。導入は一の鳥居、一時二人がはぐれるのは二の鳥居続きの朱垣前、丑松がお米を見つけて呼ばわるのは神事橋、兄貴分の四郎兵ヱに所帯を持つと話すのは北神饌所前、暮れて神灯が点されるのはならの小川畔。どのシーンにもたくさんの露店や行き交う人々を演出。江戸を去った丑松がゆく道、川堤か。
*丑松は長谷川一夫、お米は山本富士子、四郎兵ヱは水島道太郎、お米の養親は清川虹子、丑松の始末を頼まれるも馬鹿な結果に終る用心棒は伊達三郎。*脚本/衣笠貞之助、監督/マキノ雅弘

■ 長谷川伸シリーズ 暗闇の丑松 (後編) 1973NET東映

 落ち着き先からの便りはお米に届かず、互いに消息知れぬまま時が経ち、焦れた丑松は江戸へ向かう。その途中の板橋宿、宛がわれた宿場女郎はお米なのだった。お米と丑松のやり取りにたっぷり尺をとり、「女郎」の縊死から一気に復讐へ進む。
 ロケ地、寄居宿イメージ、本梅川若森廃橋(北望、旅人あしらい)
*主要キャストは前編に同じ、サブタイトルに「後編」とは入らず。

■ 長谷川伸シリーズ 髭題目の政 1973NET東映

 人を斬ることに疑問を抱く渡世人・政。我が身を守るため襲撃者を倒し、あるときは我が身に仇なす者の難儀を救う。己と似た女郎との出会い、その女の妹が女衒に連れられてゆくのを旅の空で見た政だが救おうとして叶わず、このとき旅僧に会い指針を見出すのだった。
 ロケ地、賭場の諍いで斬り合いになるのを避けた政を追い襲う黒塚の子分衆、藪田神社前田畔(手を洗う小川もあり)、立ち去る姿は神社境内の小道。彼を仇と追う黒塚の子分・勝造が病み苦しむのを助ける道端、藪田神社参道脇銀杏の根方。放っておけと言う勝造に構わず担いでゆく途中、旅僧と出会う橋は若森廃橋。善光寺イメージ、金戒光明寺御影堂甍と鐘楼。善光寺宿の飯盛女・おふじの妹が女衒の手にあるのを救おうとした政、再び会った旅僧に金を貰う山道、不明。女衒一行を追ってゆく道、不明(田畔)。僧に貰った金を使い果たした政が、その金を酒色に使えばきっと膾刻みにされ死ぬと戒めた僧の言葉を思い出す道端、藪田神社参道脇銀杏の根方(勝造を助けたシーンにははっきり映らなかった灯篭が見えている)
*政は菅原文太、善光寺宿で出会う飯盛女・おふじは渚まゆみ。黒塚の親分は小池朝雄で子分の勝造は工藤堅太郎、旅僧は殿山泰司。女衒の汐路章もいい味。*「髭題目」は渡世人をやめた政の姿、春をひさぐ女たちに施しをして歩く旅人(出家とは語られない)、笠の下は髭ぼうぼう。ふつう髭題目とは筆端を派手にはねた字のお題目のことだが、関連は不明。*脚本/高岩肇、監督/工藤栄一

■ 長谷川伸シリーズ 獄門お蝶 1973NET東映

 お尋ね者の女渡世人・お蝶は、優男に騙され馬鹿な死に方をした女を看取るが、旅の途でその優男と出会う。男と連れ立っての旅路は、女の墓へ続いていた。
 ロケ地、親分の言いつけで姐さんを殺しに来る子分たち、大覚寺天神島朱橋護摩堂前。今度は姐さんの「男」を追って旅立つ子分たち、姐さんの墓のある薄原脇の道、不明。道中、谷に架かる木橋、不明。桶川宿でお蝶に追い払われた子分たちが待ち伏せる宿場はずれの祠、不明(橋たもと)。お蝶と松三郎がゆく道、まず渡る橋は下河原橋か。以降の道、不明(川堤か)
*お蝶は江波杏子、松三郎は待田京介でお蝶の昔の男と二役。回想シーンが被り、白面の優男と強面の兄哥が交互に出る趣向。子分二人は小松方正と田口計。*脚本/西沢裕子、監督/井沢雅彦

■ 長谷川伸シリーズ 抱き寝の長脇差 1973NET東映

 対立する大州の弟を斬ってしまった磯の源太は草鞋を履くが、三年の間に矢切の親分は病み一家はほぼ離散、当の大州が幅をきかせ民を泣かせていた。自分のため苦界に身を沈めた女と別れを惜しんだ源太は、町衆の助けも借り大州一家を殲滅、捕り方とやり合いつつ「磯節」とともにフェイドアウト。
 ロケ地、矢切と大州の大出入り、琵琶湖畔か。お露に別れを告げる源太、大覚寺大沢池堤。源太の旅の情景、竜ヶ尾山から穴太の里遠望〜クリーク脇〜琵琶湖(琵琶湖大橋から南湖)〜木津堤と思われる「街道筋」〜雪嶺〜萱葺民家(雪景)大覚寺五社明神舞殿(壁あしらい)。三年経ち常陸へ帰ってくる源太のくだり、渡る橋は流れ橋、渡船や船着場は琵琶湖(突堤)や西の湖付近水郷と思われる水辺、里中のクリークも。祭礼の神社、石座神社(鳥居前から石段、旅に出た源太の無事を願いお百度を踏むお露は本殿)
*源太は渡哲也、お露は丘みつ子、矢切の親分は嵐寛寿郎、女按摩は春川ますみ。捕り方の一人に福ちゃん。*旅の情景には「天を斬る」に出てきた景色がたくさん。*脚本/マキノ雅弘・滝沢一、監督/松尾正武
2007/8/11

■ 遠山の金さん 第83話「しじみに咲く花」1977.5.26

 百両の当り籤をめぐって起きる仲間内の殺し、目撃者であり知らずに籤を運んでいた蜆売りの少女が狙われる。もちろん危機には金さんが出て事なきを得るが、柄のわるい男たちに脅える少女がはじめ金さんをも怖がるくだりが笑える。
 ロケ地、殺された小唄師匠といい仲の浪人が巣食う空き寺・無音寺、招善寺(墓地参道坂、墓地門、本堂前など使われ、悪党の一味が「七地蔵」裏に潜んでいる)。門前に潜んでいた連中をひきつけて「まく」お仙は大覚寺へスイッチ、五社明神から護摩堂裏の広場へ誘導、木にのぼってやり過ごす。
*一味の首領格の浪人は天津敏、師匠殺しのゴロツキは西田良。蜆売りの少女は蝦名由紀子、病の母は野口ふみえ。*百両は少女に下げ渡し、狙われないかの危惧は母の判断で町役に預けられる運び。タイトルは蜆桶に入っていた菜の花をさしての金さんの台詞。

■ 必殺仕事人IV 第11話「秀催眠術をかけられる」1984.1.13ABC/松竹

 秀はじめ勇次に順ちゃんまで精神を操られ、おりくばかりか主水も加代もあわやの危機。一人でケジメをつけるというおりくに、俺は関係ない/しかしあの女は気に食わないと「仕事」にする主水が渋い。
 ロケ地、順ちゃんに宝船を売りつける加代、今宮神社稲荷社前。お京に初夢を買わないかと誘われるのは楼門。旅先の勇次に接触するお京、北嵯峨農地。お京が主水を籠絡しようとする水天宮、鳥居本八幡宮。緊急避難でお民を連れ江戸を出ようとした秀がお京一味に阻まれる街道筋、広沢池東岸。「秀の簪で殺された」死体が見つかる小塚ッ原、広沢池北西岸。決戦の右京ヶ原はセット。
*お京は秋野暢子。暗示解除は笛の音VS三味線。
2007/8/10

■ 銭形平次 第480話「三十六番目の若様」1975.7.23フジ/東映

 半ば厄介者の将軍家の若君、小藩へ養子にやられるのが不満でと見えた出奔には彼なりの理由。気の毒がって世話をした清吉と八の親身に人の情けを知った捨丸ぎみは、己の命を狙った「家来」を庇い立派な殿様ぶりを見せる。
 ロケ地、お城、よくできた書割か(姫路城モデルは確実)。高取藩江戸屋敷、相国寺林光院。捨丸ぎみの母の墓、永観堂墓地。捨丸ぎみの駕籠を八と清吉が担いで渡るのは上賀茂神社神事橋、高取藩士の襲撃はならの小川畔。
*捨丸ぎみは松山省二、じいの珊太夫は今福正雄(樋口さまの本家筋)。高取藩不満分子のリーダーは川辺久造。町場に屯ってお邪魔の藩士たちを退かせるくだりの普請場の大工、平次が藩士を見て古着屋に隠れる段で通り過ぎる風鈴売り、の福ちゃん二態。*暴れん坊将軍第1シリーズ「百万石の冷飯くらい」は同じ迫間健脚本で、設定を少し変えた同じお話。若様は松平健の二役。

■ 天を斬る 第19話「幽鬼」1970.2.9NET/東映

 倒幕思想を説く「口だけ先生」に踊らされる若者たち、或る者は天誅を企て打ち懲らされ、或る者は師に付き従っての旅に斃死。そして口舌の徒も厄介者に成り果てたイヌも共倒れ、風雲急を告げる時勢に呑み込まれてゆく。

ロケ地
・目付役が通るのを宿場口で待つ浪士たち、不明(橋たもと川沿いに民家)
・牟礼と桜井が用心棒をつとめる目付役が隠れている祠、鳥居本八幡宮(舞殿に扉あしらい、石段ほか小柴垣道も映り込む)
・金が無くて宿を断られた関口が病を発した弟子・吉村を置いて塒を探しにゆく道、広沢池西岸沿いの道。吉村夫妻が休むのは養魚場流れ込みの際、船をあしらい。
・目付役を狙う浪士たちが師・関口を見て駆け寄る道、北嵯峨か。
・吉村の妻女に罵倒された後、目付役に斬りかかってゆく関口、広沢池西岸湿地
・関口の亡骸が無縁墓地へ運ばれてゆく道、北嵯峨農地竹林際。
*青年たちの指導者・関口は成瀬昌彦、過激分子を摘発し追放した目付役は横森久。天誅浪士の一人に川谷拓三。病没した青年の妻女は金井由美。*口舌の徒を罵る役割は吉村の妻女、内実はケダモノと知る哀れな役回り。血塗れで旅籠へ戻り絶命する「師」の執着も怖し。*目付役の護衛はするが、初手の襲撃を防いだあと放り出すダンナたち。スタンスは変わらぬものの、どういった筋のアレで動いているのかもはや不明。

■ 刺客請負人 第4話「武士と人間の間」2007.8.10TX/松竹

 用心棒を頼まれる刑部、赴いた旗本屋敷には奇妙なカップル。愛し合う「仮面夫婦」は、預かりものの妻女の男児出産により清算される。

ロケ地
・気配を察し営業を終えた刑部の帰途を襲う刺客、大覚寺大沢池北辺並木。刺客を操る藩士・田宮は遣水跡の芝地側に。
・六郷藩下屋敷、大覚寺大門
・闇猫のアジト、丹波国分寺門。
・闇猫のお吉におこのが男児出産とツナギをとるお役者信次、広沢池東岸(依頼者と会っているお吉の屋形船に小船で接触)
・刑部の前に討手として現れる横目頭・葛又五郎、上賀茂神社ならの小川(刑部は左岸を傘さしてやって来て、葛は対岸から声をかける。葛の存在に気付かずお静が神事橋を渡って刑部に駆け寄り水入り)
*依頼者の旗本・渋江武左衛門は布施博、「妻女」のおこのは大河内奈々子。この二人には原作にないニュアンスが加味されていて、抗えぬ運命を共に明るく生きようと誓った「設定」が絵的に説得力を持たせなかなか利いている。おこのに通ってくる男が大身とのみ聞かされていた刑部は葵紋を見て衝撃を受けるが、原作と違い将軍とは明らかにされず。
2007/8/9

■ 天を斬る 第18話「暁の脱出」1970.2.2NET/東映

 公儀の使者が消える理由を知るため、ヤクザの用心棒になる牟礼たち。果たして勘は当り、「倒幕ヤクザ」は会津藩士を消そうとしていた。

ロケ地
・おきよが女衒に連れられてゆく道、谷山林道か(切り通し)
・会津藩士一行がやって来る道、流れ橋〜堤。宿場手前の街道、不明(6、11、17話で出たものと同じ。里はずれの風景には家居も)。一人落とされた若党が走る里の路地、不明。
・牟礼らのはからいで宿場を逃れた若党が京へ向けて走る道、河原林町あたりの農地か。
*おきよは鷲尾真知子、彼女と同郷の若党は小川真司。ヤクザの親分は福山象三、代貸は宗近晴見。*だるま宿に「勤める」権田、とんでもないメニュー説明が大笑い。

■ 銭形平次 第479話「ある愛の終り」1975.7.16フジ/東映

 島帰りの凶賊にたばかられ、平次を狙う女。一途な愛は女を盲目にする。
 ロケ地、お直に嘘を仕込んだことを手下に話す利助、桂川大堰下手中州岸。時次郎に売られた女をお直に見せた雨の帰り道、上賀茂神社校倉脇。時次郎がろくでもない悪党だったという事実を否定するお直の回想、時次郎とデートした祭礼の夜、大覚寺天神島朱橋〜祠。お直を呼び出した利助が「平次の質問」についてしつこく聞く町角、仁和寺九所明神。八の尾行を太鼓で知らせる手下、仁和寺水掛不動。利助を恐れつつ持ち出された時次郎の遺髪欲しさに手下の船に乗ってしまうお直、嵐峡か(湛水域、設定大川端)
*利助は蜷川幸雄、平次に検挙され島送りになったことを深く恨む。飴売りに化けている手下は江幡高志。お直は武原英子。*利助に刺され落命したお直の亡骸に、時次郎はいい男だったよと餞の言葉をかける親分が哀切。
2007/8/8

■ 天を斬る 第17話「通夜の酒」1970.1.26NET/東映

 代官所が襲われ、サボりの二人以外皆殺しに。検棹に不正をはたらく代官を斬った渡世人たちを見つける三人衆だが、はじめから見逃す気満々。詰め寄る土地の目明しらを威嚇し、病没した渡世人の片割れのため酒を酌み交わす。

ロケ地
・代官が殺されたと知らせが入る在所、不明(6、11話で出た里と同じ。桜井が背にした石垣には龕があり地蔵がおさまる)。土地の目明しの見張りが出る道隈も同所、見逃された渡世人がゆく切り通しも同じ。
・代官所、民家長屋門
・渡世人たちが潜む神社、不明(道から一段嵩上げされた高みにあり境内はごく狭い。潜むのは社務所か参集殿のような建物)

■ 銭形平次 第478話「影の女」1975.7.9フジ/東映

 阿漕な金貸しが殺され、彼の子を孕んだという妾たちも次々と殺され、女の恨みを示す遺留品や投げ文が出る。いかにもの小道具には騙されぬ親分も決め手を欠き苦悩するが、思わぬところでヒントを得て密室殺人の謎を解く。
 ロケ地、夜回りの平次らが身投げ女を見つけて止める川、中ノ島橋とたもとの岸(橋上手中州・堰堤脇)。釣りをしている情夫に岩戸屋からたんまり金を頂く話をする亀造の妾・まさ江、嵐山公園派流岸辺(右岸)。亀造の妾・とみが渡世人に斬られる道、嵐山公園派流端林。岩戸屋の若旦那が渡世人に襲われる菩提寺、永観堂墓地。花屋をしている亀造の妾・ひなを襲った渡世人が平次に追われて船で逃げる川端、広沢池東岸(漁具・船着きあしらい)。奉行所帰りの平次が、子が手繰り寄せる凧を見てヒントを得る道端、下鴨神社河合社(健太が桶放り出して子を構っている場面)
*若旦那は大丸二郎、近所で弓を教えている浪人は高木二郎、入墨者の番頭は鮎川浩。*殺られても仕方ないかもの岩戸屋の所行、四人もの蓄妾に加え身投げの御新造は借金のカタに手篭めというのも鬼畜。ぞろぞろいる女たちの性格も活写されるほか、妾羨望を口にしてお静の柳眉を逆立たせる八の挿話をラストで受けるオチもある。
2007/8/7

■ 天を斬る 第16話「氷雨の宿」1970.1.19NET/東映

 藩から追っ手をかけられる武士、成り行きで彼を守る立場になる三人衆。彼の口からは法に触れる目的が語られるが、それ以上の手助けはしない代わり追及もしない判断がなされ「勝手に行きなさい」。

ロケ地
・吉村と若党が追われる街道筋、不明(田畔や水路、農地の小屋など)
・吉村の御新造を迎えに行った牟礼たちが追っ手にさらわれた主従を助ける神社、木島神社(舞殿まわりと本殿)
・異国へ向けて旅立つ吉村たちがゆく浜辺、間人海岸
*吉村は中野誠也、同志の商人は中村敦夫。主人を追っ手から逃すため体を張る若党は森章二で父の老僕は山田禅一、御新造を泊めた旅籠の女中は岩村百合子。*御新造が連れ出されたことで己を責める宿の女中や、倅を失い主とも別れる老爺、宿場を徘徊するお薦さん等の群像も活写されいい味。

■ 銭形平次 第477話「死人の復讐」1975.7.2フジ/東映

 慶事を前にした男たちが次々と惨殺される。繋がりが判らず容疑者も上がらず難渋、出てきたのは遠い日の怨恨・人の心の恐ろしさだった。
 ロケ地、徹夜明けの万七らがボヤきながらゆく道、下鴨神社河合社前(三井社玉垣越し)。呉服屋の番頭の死体が見つかるのは泉川(沈)、万七が騒ぎを聞きつけるのは紅葉橋上。
*旅籠の主におさまっていた「土竜の辰」は戸浦六宏、松前屋隠居は潮万太郎。松前屋一行が島送りの辰に唾を吐きかけ悪罵を浴びせた回想シーン、傍らにいる町衆の一人に福ちゃん。

■ 素浪人 月影兵庫 第4話 2007.8.7テレ朝/東映

 盗っ人の代替わりのごたごたに巻き込まれた赤子を世話するハメになる兵庫と半次、遠慮なくわんわん泣く子を連れての珍道中。子を双親に返して気抜けするものの、いたいけな幼子を危険にさらした者どもはきっちり成敗。

ロケ地
・カブトムシぶらさげて街道をゆく兵庫、山室堤道
・赤子を抱いた女が追われ殺される山中、赤子連れの道中、不明。
・子の伝手を求めて辿り着く秋葉大権現、摩気神社(参道、楼門)
・兵庫の行方を求める桔梗を無視してゆくお涼、兵庫がでんでん太鼓(自作)としゃぼん玉を交換する道、谷山林道切り通し。
*ラス立ち、あまりにものけぞる修験者の格好の一人は福ちゃんか。
2007/8/6

■ 天を斬る 第15話「旅の終りの女」1970.1.12NET/東映

 公儀の使者がよく「消える」ポイント、そこには殺し屋を差し向ける政商。手先に使われていた浪士はこれを限りと刀を捨てるつもりでいたが、待たせていた女と見えることはなかった。

ロケ地
・城下町、天守とオープンセットを合成の絵、天守は浜松城に似る。
・暗殺が行われる芦浦の湊、琵琶湖西岸の浜と流入河川河口。浜には灯台をあしらい。砂浜と葦原が印象的。
・「待つ女」が赴く約束の茶店、琵琶湖流入河川の河原にあしらい・河畔林は竹。「茶店」手前には欄干のない簡素な木橋。「旧街道筋」の地道は川堤か。
*殺し屋の浪士は前田吟で「待つ女」は亀井光代、政商・山城屋は野口元夫で手下に波多野博、つるむ役人は玉生司郎。*浪士に喧嘩を吹っかけたり、家老に会わせろと嘯いたりしてわざと「入牢」のダンナ方を案じる百太郎がメルヘンしてて可愛いのがちょっとした見もの。

■ 銭形平次 第476話「殺しの罠」1975.6.25フジ/東映

 義母を誤解しグレる若旦那、悪党の仕込みで親殺しの罪を着せられかかるが、平次の粘り強い捜査と説得で命拾い。尻尾を出さぬ悪党には芝居をかけて力押し。
 ロケ地、伊勢屋の後妻・お澄が襲われる道、仁和寺鐘楼前〜水掛不動参道。一味の中間が伊勢屋番頭にツナギをとる神社、不明(朱鳥居二基と祠)。真実に迫りかけた平次が襲われる夜道、上賀茂神社ならの小川畔。
*お澄は長谷川待子、若旦那は平井昌一、番頭は服部哲治でグルの中間は汐路章。*若旦那を捕縛の万七は平次の動きに怒るが、お芝居の牢送りはちゃんと勤める。八の無理矢理聞き込みやお薦さん変装も笑える。

■ 水戸黄門37 第18話「真夏の恋の物語」2007.8.6TBS/C.A.L

 短筒作りで脱藩した男に差し向けられた討手は友、しかも妻女はその「友」に婚約を破棄された女。愛憎渦巻き陰謀蠢くが、悪い役人だけ排除して友情を復し老公は去ってゆく。妻女の恨みは印籠が出る前に自己解決。
 ロケ地、銀山の説明のくだりに白銀の滝、延沢道は不明(林道、脇に低い石垣)。短筒作りが行われている廃坑、酵素に坑口をセットか。坑に忍び込んで見つかった真崎翔之介を逃がしてやるお娟、嵐峡(船で逃走、ここは以降何度も出る)。真崎が身を寄せる兼吉の家、酵素民家セット。上意討ちが行われる野、酵素河川敷に幔幕張り巡らせ(「木」の前あたり、川も使用)。尾花沢を去る真崎と友情を確かめ合う津久井、吉田神社竹中稲荷本殿前。お娟に別れを告げる真崎、竹中稲荷参道と舞殿を見下ろす、三高碑へ通じる坂。メソって走ってきたお娟を慰める弥七、神護寺明王堂前の林間。当地を発つ一行、酵素ダートか。
*真崎は永島敏行、短筒作りの津久井は新藤栄作で妻女は若林志穂、代官所手代は藤堂新二。上意討ちの場に控える見届け人の一人に福ちゃん、立ち回りはあんまりないが印籠にびっくりしてキョドり。
2007/8/5

■ 長谷川伸シリーズ 旅の馬鹿安 1972NET東映

 気のいい渡世人・安兵ヱは短気で早とちり、たまたま知り合った女の難儀に持ち金を投げ出すが、それがもとで人を殺めることとなり江戸を退転。後年旅先で後の始末を聞き、あらためて己を罵る「馬鹿安」だった。
 ロケ地、安兵ヱが旅人に江戸の話を聞く茶店、亀岡盆地の田(ここから安兵ヱの回想となり、ラストにまた茶店に戻る。田畔には「はさ木」)。騙され店から連れ出されたお賎が悪党に追われる十文字渡し、大堰川河川敷(草叢や堤、汀)。芸者・蝶吉が山ほどおもちゃを抱えた安兵ヱと出会う神社、不明(坂上がると殿舎)。広吉が安兵ヱに意見する水辺、広沢池東岸(投網を打つ漁師あしらい)。旅人から蝶吉が恋わずらいで死んだと聞かされ己を馬鹿となじる安兵ヱ、大堰川
*馬鹿安は北島三郎、蝶吉は高田美和、蝶吉の姉・お賎は日色ともゑ。お賎を騙す悪党は佐藤蛾次郎、彼が依頼する苦情引き受けの法師の辰は玉川良一。安兵ヱの友人・広吉は松山英太郎、旅人は岡八郎。*脚本/鈴木兵吾、監督/工藤栄一

■ 長谷川伸シリーズ 江戸の花和尚 1973NET東映

 魯智深よろしく背一面に刺青の花和尚・熊ンベは怪しの経を上げて回るが、行く先々で人助け。さらわれた娘の奪還に乗り出し、親が裂いた仲の男と娘を娶わせるのをご褒美にして、祝言の模様を垣間見た和尚は去ってゆく。
 ロケ地、富商・紙屋から金を盗ってきた三次が泥棒装束を着替えていると和尚にとっ捕まる祠、大覚寺天神島。岡っ引に問い詰められる和尚、金戒光明寺放生池(腕の入墨を見て、自分を諌めて死んだ娘を回想)。人質交換の猿屋河岸、広沢池東岸(金も娘も船で持って行かれてしまう)。言いつけに背き紙屋から礼金を貰った三次を突き放す和尚、大覚寺大沢池堤(露店あしらい)。和尚を追いかける三次、金戒光明寺参道石段、登りきったところで悪党の道場主らが出て大立ち回り、助太刀の緒方浪人は経蔵で寝ていて参加(和尚に刀を投げ渡すも不要と返される応酬が何度か反復される)
*和尚は植木等、三次は左とん平、緒方浪人は多々良純。道場主は安倍徹、紙屋の娘は中山麻里で恋人は太田博之。*脚本/吉岡昭二、監督/井沢雅彦

■ 長谷川伸シリーズ 関の弥太ッペ 1973NET東映

 妹を身請けに行く途中、関の弥太郎は訳ありの枕探し男に金をとられたうえ、妙な経緯で娘を託されてしまう。これがため虎の子の五百両を失った弥太ッペは、苦界から妹を救えず自棄となり、殺し屋稼業の狼ができあがる。利根河原の飯岡・笹川の大出入りで中ほど。
*山道や渓谷に野面、皆目判らず。スタッフも見覚えないし中村・三船両プロ協力とあるし、おそらく関東撮りと思われる。*弥太ッペは萬屋錦之介、妹の居場所を教えてくれた才兵ヱは中村伸郎、お小夜の父で淵に身を投げてしまう枕探しが生業の男は仲谷昇、お小夜の祖母だった沢井屋の隠居は細川ちか子、弥太ッペの妹の馴染みだった渡世人・箱田の森介は西村晃。*タイトルの「弥」は旧字表記。*脚本/成沢昌義、監督/土居通芳

■ 長谷川伸シリーズ 関の弥太ッペ 後編 1973NET東映

 乱戦のさなか、敵方に森介をみとめた弥太は場を離脱、この際己が加勢していた飯岡方の男を斬ってしまい追われる身に。才兵ヱは討手に斬られ、弥太の剣を封印して逝く。森介は小夜を届けたのは自分と名乗り出たのち結婚を迫り傍若無人の振る舞い、しかし弥太に真実を聞き改心。名乗らず去った弥太は討手の待つ場所へ、森介も同行し死に場所を求める。
*成長したお小夜は鮎川いづみ。スタッフは前編に同じ。

■ 長谷川伸シリーズ 越後獅子祭 1973NET東映

 渡り鳥の片貝半四郎、願を掛けての道中で助けた太夫は当の会いたかった相手、しかも太夫を贔屓の勧進元はその昔彼を口べらしに売った父親なのだった。
 ロケ地、山道をゆく半四郎、清滝河畔。怪我をした角兵衛獅子に代わって舞う小陣一座、上賀茂神社北神饌所前、校倉も映り込み。草鞋を脱いだ先の頼みで仇討ちをすける半四郎、天神川か。十日町へ二丁の道標がある飯山道、大覚寺護摩堂(角兵衛獅子だった半四郎とお小夜が泣く泣く別れた場所、幼い半四郎が祈った祠は堂脇にあしらい)。高崎を追われた小陣一座が十日町へ向かう道、不明。半四郎が十日町へ向かう道、清滝河畔〜大覚寺大沢池畔(護摩堂前で駒沢が出る)。仇討ちを邪魔した件は許してもらったものの、贖罪の念で駒沢と道中を共にする半四郎、大覚寺大沢池堤(以前助けた角兵衛獅子が道端で昼を使っていて、太夫の来着を教える)。父と会うものの身を退いて町を後にした半四郎がゆく街道、保津峡左岸の地道落合・書物岩下
*半四郎は森進一、太夫は新藤恵美、妹分に山口いづみ。高崎の二足の草鞋は名和宏、髭面の仇討ち浪人は葉山良二。*脚本/飛鳥ひろし、監督/佐々木康
2007/8/4

■ 遠山の金さん 第82話「三割三分三厘」1977.5.19

 稼ぎの悪さで女房に悪態をつかれるダメ亭主、うまい話に乗ってしまうがやはり裏アリ。夫婦ともども消されかかるところへ、飲み仲間の金さんがおうおうと現れる。
*ロケなしセット撮り、お白州の前に大覚寺の甍が映るがバンク映像。*船宿におさまったはずのお仙だが、当たり前のように密偵をつとめ金さんも仕方なく了承の運び。長命庵には看板娘として西崎みどりが入る。*贋金造りと見えて、以前公儀が出してすぐ引っ込めた悪貨をこっそり隠していた悪党が放出にかかる事件、タイトルはその悪貨の金銀銅比率。首魁の地金屋は伊達三郎、猫の蚤とりが生業のダメ亭主は桜井センリ、きっつい女房は正司花江で金さんに塩まいたり。

■ 必殺仕事人IV 第10話「主水せんを張り倒す」1984.1.6ABC/松竹

 権力維持を目論むお局さまは将軍に差し出すため美しい娘に目をつけるが、絵師の父親に断られ卑劣な手に出る。そのうえ娘の身分がバレるや父も密殺、娘のため描かれた心尽くしの歌留多が変事を告げる。
 ロケ地、初参りの順ちゃん、北野天満宮地主社。娘の恋人の絵師が殺されて見つかる川辺、桂川松尾橋上手汀。江戸城イメージ、姫路城天守(ラストの一枚はシルエット)
*黒幕は早川保、娘の恋人の弟子を誘惑する中揩ヘ佐野アツ子。
2007/8/3

■ 天を斬る 第14話「暗殺者の指示」1970.1.5NET/東映

 飛脚が運ぶ状箱には物騒な指令の文、金に困ったゴロツキがこれを盗んだことで事態は変わり、牟礼たちが保護していたターゲットは命拾い。暗殺団とヤクザは殲滅されるが、飛脚は失職するものの身は損なわず大団円の珍しい展開。

ロケ地
・京の飛脚・周太が走る橋、流れ橋(端に霜)。堤外地の堤法面に「穴太宿すぐ」の道標、周太は堤の登り道を走ってゆく。
・穴太宿はずれの橋、穴太橋。橋たもとに火の番の小屋と物見櫓あしらい、櫓に引っ掛かった凧をとってやる間に状箱を盗まれる。盗った島次郎を追う周太は走田神社社叢裏の田畔民家前(宿場)路地(里人に行き会う)、このあとの宿場風景はセットにスイッチ。
・暗殺団の的・大森作左ヱ門が逗留している庄屋屋敷、摩気民家(裏手から・イメージのみで内部はセット)
・当地を去る六人、不明(谷地田脇、溜池や小屋が見える)
*飛脚は近藤正臣、困り果てた表情がナイス嵌り。状箱を盗るゴロツキは佐藤蛾次郎、当地の貸元のもとに兄貴分二人と草鞋を脱いでいて五両の不義理をしている設定。*状箱を盗られたことをボロクソに罵る万五郎たちだが、凧に託して生い立ちを語る周太にホロリ、百太郎は自分も同じだったとしんみり、万五郎は「ワシこんなんアカンねん」と涙し「取り戻してきたる」と息まいたり。*穴太宿の設定だが、近江にも河内にも類似地名あり特定困難。しかし一連のシリーズでたびたびロケに使われている曽我部町の里を念頭に置いて書かれたシナリオと考えれば口丹波でOKなのかも。この際流れ橋の設定が問題、京→丹波で普通に道を辿れば老ノ坂越え、大堰川は渡らない…或いはそれ以前の道程で桂の西大橋とかかも。*この回から桜井氏ムシリ頭、何の説明もナシ。

■ 銭形平次 第475話「十手を持った狼」1975.6.18フジ/東映

 外道目明しのせいで将来を閉ざされた男女の哀話。男を見限りその外道に靡くかに見えた女だが、平次の慧眼は真情を見抜いていた。
 ロケ地、逃走した源次郎らが潜む葦原、不明。源次郎がお秋を呼び出す厩河岸、宇治公園左岸(お秋に「刺された」源次郎は瀞へドボン)。久六と千住へ赴くお秋、走田神社社務所前〜参道(お秋が足を止め、源次郎が出てくるのは稲荷社前)。平次が二人を連行してゆく道、境外社叢脇。
*源次郎は亀石征一郎(クレジットには源太郎)、お秋は赤座美代子、外道目明しは沢村宗之助。*無宿人狩りを嫌う平次が仮病でサボタージュ、樋口さまも黙認のエピソードあり。

■ 刺客請負人 第3話「かけ落ち指南」2007.8.3TX/松竹

 刑部に残る「武士の尾」、またまた的を斬らぬ方向へ。思い合う恋人たちを護り人生の指針まで示す刑部、彼の指向を読んで動く徳松は一枚上手。

ロケ地
・形屋の一人息子・市太郎と駿河の山持ち・山惣の娘とのお見合い、広沢池に屋形船。
・駆け落ちの市太郎と初花を乗せた渡船、大覚寺大沢池。中心部から北辺水路へ漕ぎ入れ、天神島にあしらわれた苫屋に闇猫のお吉がいて船を見ている趣向。
・形屋が二人の仲を許し決着したあと、刑部と徳松がゆく帰り道は金戒光明寺。永運院下坂〜東坂下石垣際〜参道石段(徳松がガメた金を出してみせる)
*柳橋芸者・初花は雛形あきこ、市太郎は大柴隼人で父は平泉成。形屋のライバルが初花につけた用心棒で初花に惚れてしまう暗闇助四郎は小沢和義、闇に溶けて剣を繰り出す強敵だが、刑部に陽を入れられて形無し(原作では早い段階で闇猫に射殺され)。*凶刃から自分を庇い市太郎を叱咤する初花にほだされる父、王道の情話に仕立ててあるが原作では父子の和解はナシ。
2007/8/2

■ 天を斬る 第13話「魔性の鐘」1969.12.29NET/東映

 頻発する銃撃事件、得物は新式銃、出所を追って一同は兵庫へ。取引をしていた浪士に化け怪しの回船問屋へ乗り込む牟礼だが、当の浪士の女がやって来てしまう。

ロケ地
・兵庫へ向かう前に権田が遥拝する寺院、東福寺日下門から仏殿。このあと西塀沿いを歩き出す。
・三人のダンナを追ってきた万五郎たちが休む茶店、不明(河畔林が柳の川堤、簡素な木橋がかかるたもとに建物あしらい、道標に「湊川」)
・兵庫港イメージ、琵琶湖(琵琶湖大橋あたりから南湖西岸を見たものか)。万五郎たちが権田と出会う海岸、琵琶湖岸(石積護岸)
・回船問屋・西田屋が訪ねる玄雲の寺、東福寺一華院(直前の桜井尾行シーンの塀は映画村内広隆寺塀か)
*銃売り捌きの生臭坊主・玄雲は金井大、西田屋は永野達雄、情夫が斬られたと思い込み兵庫へやって来る女は河村有紀。*「主義主張ではない」浪士が仕出かす武器商売が、女を死に追いやり男を独りにし、ささやかな幸せを破壊する経緯が如何にも「らしい」一話。

■ 銭形平次 第474話「おみくじは凶と出た」1975.6.11フジ/東映

 「鬼瓦みたいな顔で毒づく」万七親分が施した情、その恩に報いようとする富商の心尽くしが悪心を呼び覚ます。
 ロケ地、万七がお御籤を引く神社、今宮神社本殿。欲ボケ話をしながら御籤を結ぶのは稲荷社裏手。万七が呼び出され銃撃されかかる誓願寺、永観堂墓地。よくも命を狙ったと京太郎をシメる万七、今宮神社石橋
*万七に千両の遺産を残そうとした材木商は岩田直二、遊び人の倅・京太郎は柴田p彦、主の遠縁で何くれとなく本店の世話を見る「忠義面」の分家は中田博久。*御籤の示す「凶」は万七宅の小火、これを幼き京太郎が因の大火とイメージをリンクさせた脚本がなかなか。情に脆かったり潔かったりする万七、お金欲しかった俗っぽさも見せてやっぱりいつもの万七親分なのもイイ。
2007/8/1

■ 天を斬る 第12話「襲撃札の辻」1969.12.22NET/東映

 国士気取りの侍が馬鹿な経緯で破滅に至るいつもの流れに、百姓あがりの若党の、遭わずに済んだかも知れぬ悲劇を上乗せ。無惨を見るメンバーの顔は常に増して暗い。

ロケ地
・吉田彦太郎の藩の情景、登城風景は彦根城(佐和口多聞櫓や内濠端、外濠端から天守遠望など)。吉田邸は民家長屋門。別の武家屋敷に民家長屋門。武家屋敷に奉公叶った若者が衣装や刀を見せに来ている畑、先の民家前畑と蔵。このくだりでは武家屋敷の内情が語られる。
・京の都イメージ、友禅流しの川(不明)三条大橋
・吉田家の若党・三平が訪ねてゆく藩の京屋敷、京都御所管理事務所東門
・主君の仇を討って国へ帰る三平が「仇」の藩の討手殺される札の辻、舞子浜(三平がゆく街道は松原、死体発見現場は汀)
*吉田の属する藩については大藩という話も出るが、具体的には語られず。「札の辻」もいずこと明確には出てこないが、メンバーがすぐ駆けつけているところからすると大津か。*塚本三平は山根久孝、吉田家下男の孫市は小栗一也、三平にお役目を振ったうえこそこそ逃げ出す用人は楠義孝、吉田彦太郎は不破潤、彦太郎を妾とともに斬り捨てる「志士」は森山周一郎。

■ 銭形平次 第473話「風が恐怖を呼ぶ」1975.6.4フジ/東映

 大風の吹く日に盗癖が出る娘、これをネタに強請りが出現。経過とともに、癖の元となった恐怖の記憶は鮮明になってゆく。
 ロケ地、沢木同心が万引をネタにおよねを強請りにかかる町角、下鴨神社河合社脇。「孤児」だったおよねが育てられた下谷正燈寺、赤山禅院境内(父から逃げた幼いおよねが和尚に保護されるのは羅漢像付近)
*正燈寺と字をあてたが、下谷にあるこの寺の訓は「しょうとうじ」。親分は「せいとうじ」と発音。*およねは森川千恵子、父の三島屋茂平は水島道太郎。和尚は天草四郎でおよねの恋人は剣持伴紀、強請りグループ首領の八丁堀は波田久夫。
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