時代劇拝見日記
2007年9月

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2007/9/30

■ 怪談累が淵  安田公義監督作品 1960.6.26大映

 累ねの因縁を絞り込み、シンプルな筋立てで豊志賀と新五郎の悲恋ばなしに仕上げた一作。
 掛け取りに出向いた鍼医の宗悦は、払う気のない旗本・深見新左衛門に返済を迫り、無礼とばっさり斬られてしまう。下男に金を握らせ死体を始末させる新左衛門だが、妾が宗悦に見え惑乱し斬ってしまい自身はその場で卒中を起こし頓死。下男のほうは死体の入った葛籠を捨てに累ヶ淵まで来たところで金目当ての妾の情夫の手にかかり、絶命するところへ「家出中」だった若様の新五郎が通りがかり「葛籠が」と言い残す。ここまでが因縁の起こり、以降は次代の若者たちに悪縁が降りかかるメインの筋に。
 剣術修行から戻った途端に父の死を見た新五郎は無頼の徒と成り果てていたが、富本の師匠として名を馳せていた宗悦の娘・豊志賀の危難を救ったことで彼女と深い仲となる。関係直後から豊志賀は新五郎に異常な執着を見せ、弟子のお久が彼と話していただけで妬心を起こす。新五郎に追い縋った豊志賀は転んで顔に傷を負い、新五郎は見捨てずよく世話するものの一旦火がついた疑念は去らず燻り、宗悦の亡霊が誘導する悲劇に落ちてゆく。
*ロケ地は、佃一家にやられた甚五郎が深見のダンナの助けを求めに走ってくるくだりで、新五郎の屯する茶店が大覚寺大沢池畔にあしらわれた程度であとはほぼセット。
キャスト
皆川宗悦/中村鴈治郎 豊志賀/中田康子 お久/浦路洋子 深見新五郎/北上弥太朗 お園/三田登喜子 民之助/島田龍三 深見新左衛門/杉山昌三九 橋十郎/東良之助 甚蔵/市川謹也 吉松/須賀不二男 三右衛門/寺島雄作
2007/9/29

■ 遠山の金さん 第90話「夫婦ざくら」1977.7.14テレビ朝日/東映

 大身旗本の家を捨て、芸者と暮らそうとした若者の悲劇。何度も職をしくじりうまく行きかけた矢先、お家大事の父に連れ戻された挙句、用意された祝言の席で惨劇が起きる。桜吹雪もお白州も変調気味の、特異なお話。
 ロケ地、大工をしくじり落ち込む清次郎に声をかける芸者・おりん、大覚寺大沢池(前を美よしの屋形船が通る)
*おりんは新藤恵美、清次郎は藤巻潤。父の旗本は岡田英次、御家来衆は有川正治はじめお馴染みの面々。

■ 必殺仕事人IV 第18話「なんでも屋の加代花嫁になる」1984.3.2ABC/松竹

 富商の花嫁代役を頼まれ主に娘と思うとまで言われる加代だが、祝言の席で主は変死。もちろん身代目当ての汚い企みが裏にあり、お加代さんも危機一髪に。頼み料は貰った前金で買い込んだ品物が換金されぬまま充てられる。
*ロケなしセット撮り、おりくさん参加。
2007/9/28

■ 銭形平次 第514話「子の刻参上」1976.3.24フジ/東映

 番所の牢を破った大泥棒が昔の意趣返しと見えた事件に裏あり、老いた盗賊は立場を利用されていた。見る者には破牢の経緯が示されているので、心の襞を描くドラマが主体。
 ロケ地、妙泉寺の母の墓に参る伊之吉(行動を怪しんだ八が尾行中)、不明。料亭・浜善本家、嵐山公園中州料亭・(竹垣を「足す」形の演出あり/中州湛水域の堀端も使用)。「破牢」した盗っ人・十六夜の重兵ヱが監禁される浜善の寮、中山邸(イメージのみ)
*重兵ヱは北村英三、客の無体に女房を差し出され浜善の主を恨むも、長の年月に加え息子の件で復讐は断念。はじめ意図をもって浜善に入った重兵ヱの倅・伊之吉は北条清嗣、彼と恋に落ちる浜善の娘は松木聖。浜善の主は村田正雄、善人面と本性の差を目つきで見事に表現。雇われ浪人は柳原久仁夫と木谷邦臣。

■ 将軍家光忍び旅 II 第4話「犬山には鬼が棲む」1992-1993テレ朝/東映

 将軍の来訪を利用して簒奪の陰謀が企てられるが、嗅ぎつけ探っていた大目付を消したのが運の尽き。その現場を新吉が目撃してしまい、全ては竹之進の知るところとなり悪党一世一代の大芝居は頓馬な仕儀となる。

ロケ地
・犬山へ差しかかる将軍の行列、谷山林道切り通し(導入は遠望から/出立も同所)
・新吉が大目付暗殺を目撃するお堂、鳥居本八幡宮(舞殿を堂に見立てるが、寄ってのお堂はセット。舞殿下の崖に朱鳥居を二基あしらい、小柴垣道も周辺の描写に使われる)
犬山城、本物の天守がイメージで出て、お芝居部分は彦根城。下城する半四郎が上の空の大目付と行き会うのは太鼓門櫓下・時報鐘前。先乗りとして二階笠の紋入り裃つけて城門に立つ十兵衛は天秤櫓(ここは城門として何度も出てくる)
・藩医・伯典が毒を試した男の小屋、広沢池東岸か。
・家老に伯典の行為を報告した帰り、半四郎と大目付の娘・小夜が襲われる城下、下鴨神社河合社(竹之進が出て阻止/大目付殺しの誤解が解ける/襲撃者に福ちゃん入り)
・伯典の死体が見つかる水辺、広沢池東岸
・当地を発つ竹之進たちと一座、不明。
*犬山藩の殿様は勝部演之、簒奪を目論む義弟は堀内正美でグルの家老は高野真二、毒を調合の藩医は浜田雅史。*頓馬な仕儀は「兄が上様に毒を」と告発の義弟、かねて用意の金魚鉢に酒を注ぐも「なにもおこらない」←彦左が処理済み。
2007/9/27

■ 銭形平次 第513話「闇からの声」1976.3.17フジ/東映

 家付き娘の女房に頭上がらぬ手代あがりの主人、深い仲の芸者と会った帰りに来た文は女房の密殺を請負う内容。そして頼んだ覚えもないのに女房は殺され、金持って来いの脅し文。金を取りに来たのは、平次が気にかけてやっていた掏摸の娘だった。
 ロケ地、お蝶が藤兵ヱの財布を掏る車坂指切り地蔵前、仁和寺御影堂(門前に「指切り地蔵」の標あしらい)。逃げたお蝶を見失う八は観音堂(お蝶は縁下に潜み)。要求された金を木の洞に置く藤兵ヱ、新日吉神社本殿裏手の大楠(劇中設定は椎の大木)
*藤兵ヱは花上晃、とんだ情人だった芸者は原良子で「指切り」の仕草あり、心中立ての謂か。お蝶は黒沢洋子、悪態が可愛い。掏摸の親方は外山高士で極悪。

■ 将軍家光忍び旅 II 第3話「憎しみの荒野に佇む女」1992-1993テレ朝/東映

 貧しい村で踊りを披露する天下丸一座、喜ぶ里人だが野盗が出て空気は一変。しかも同士討ちで死んだ賊を見て人々は悲しむのだった。

ロケ地
・関ヶ原、桃配山で野末の塚に祈る竹之進、不明(松のある野原、合戦部分は使い回しか)
・西野村へ向う一座、谷山林道
・西野村の鎮守、小椋神社(踊りは舞殿、蔵や杉並木、本殿前などが使われる)
・関ヶ原宿の将軍宿所、随心院長屋門
・野盗のアジト、大覚寺聖天堂(イメージ、崩れ土塀などあしらい)
・里長の孫娘・千草に逃げろと勧める野盗一味の若者、酵素か。
・西野村へ向う彦左とお蔦が渡る丸木橋、清滝川
・大垣藩家老・大野邸、相国寺大光明寺。悪企みをして出てきた野盗首領を十兵衛が見ているのは湯屋脇。
・村を襲う計画が本決まりになり、千草に逃げるよう懇願しにくる若者、清滝河原
・当地を発った竹之進たちが一座と合流の街道、山室か(茶店あしらい)
*島左近の郎党だった里長は青木義朗、孫娘は田中雅子。元は朋輩だった野盗首領は大木正司。仕官を餌に野盗たちを追い使い私腹を肥やしていた大垣藩家老は御木本伸介、腹心は川浪公次郎。
2007/9/26

■ 銭形平次 第512話「男は度胸か愛嬌か」1976.3.10フジ/東映

 律儀なお店者がハメられ罪に落とされかかる話、残された女房に岡惚れした猪之吉が首を突っ込み笑いを添える。
 ロケ地、岡っ引キライと悪態ついてひょうたんを出た猪之吉が渡る夜の橋、上賀茂神社神事橋。奈良社から頬っかむりの男が走り出て猪之吉に突き当たり、行ってみると女が殺されていてひぇーで来合わせた万七に捕まり(平次の検分は翌朝、奈良社脇で房吉の煙草入れ発見)。房吉の長屋周辺の描写、今宮神社東門前灯籠に生活用具をあしらい、門内側からかざりや側面などを見せて「長屋」を演出、帰ってくる房吉の女房・おとせのくだりには石橋も使用、猪之吉がおとせを口説く場面では境内に茶店を仕立ててある。
*猪之吉は桜木健一、健太たちの兄貴分設定で惚れたら盲目の「病気」持ち、行動原理が「寅さん」に酷似。旅に出て傷心を癒すなどと嘯くも、お弁当を渡したお静にぽーっとなって誰の言うことも聞かず舞い上がる姿で幕。房吉は住吉正博、おとせは吉野佳子。大番頭の利助は中井啓輔、登場時に話の方向が見えてしまうキャスティング。

■ 将軍家光忍び旅 II 第2話「近江路、直訴状の女」1992-1993テレ朝/東映

 神君のお墨付きを反故にされ困窮した村名主が直訴を試みるが志半ばに散り、娘が遺志を果たそうとする流れ。強欲な藩家老には無幻斉の魔手が伸び、藩主の首をすげ替え反徳川に引き込む企みがなされていた。

ロケ地
・美濃へ向けて近江路をゆく将軍の行列、木津堤(バンク映像)。天下丸一座がゆく街道も川堤っぽいが不明、山室か(堤外地に竹の河畔林)
・中の人が入れ替わった稲木屋一行がゆく街道、酵素ダート
・一座におりょうが追いつき合流する街道、酵素降り口(降り口半ばに一座の荷駄)。出発する段では谷山林道にスイッチか。
・直訴にゆく大須賀藩領水早村の名主・治助に追いつき同行を願う娘・おさき、御室霊場(お堂とお堂の間の巡礼路。名主が藩目付一味に斬られるのも同所)
・将軍の一行が番場宿にかかったと目付に報告する下役、不明(広葉樹の林間)
・お蔦の休む茶店脇を稲木屋一行が過ぎる街道、酵素ダートか(十兵衛がツナギに現れる)
・天下丸一座がお昼をつかう橋たもと、流れ橋(橋下の橋脚傍、汀)
・一座が小屋掛けの境内、上御霊神社本殿脇(お蔦がおりょうに嫉妬し剣突)
・お蔦がおりょうを怪しみつけてゆく街道、酵素ダート(父の変事を聞き故郷へ)
・無幻斉の行方が掴めぬことを竹之進に報告する十兵衛、相国寺鐘楼裏手(お蔦が現れ、見てきたおりょうの事情をまくしたてる)
・稲木屋の回米船が来る川、木津川。江戸でなく京へ回すことを訝った店の者が始末されるのは河川敷葦原。
・亡父の遺志を果たすと、妹に代わって発つおりょう、酵素ダート
・水早村でおさきに事情を聞く竹之進、摩気神社本殿脇か(萱葺屋根と「外構」らしき木組)
・おりょうの直訴を止めようと捜す竹之進、早足に遅れたお蔦がむくれて愚痴る林、不明。
・目付に見つかったおりょうが身を躍らせて逃れる崖、保津峡落合落下岩
・彦左におりょうの事を話し直訴前に止めるよう頼む竹之進、鳥居本八幡宮鳥居下。
・水早村の衆が大挙して直訴におよぶと竹之進に注進のお蔦、広沢池か(葦原)
・醒ヶ井宿を発ち街道をゆく将軍の行列、山室か(一座も同じ)
*おりょうは藤奈津子、旅芸人と出奔し経緯あって一座に加わった設定、家を継ぐ妹に代わり父の遺志を果たそうとする。父の名主は牧冬吉。早々に中の人が無幻斉の手下に取って代わられる稲木屋は遠藤太津朗、野心満々で一味に加担の目付は北村晃一、乗せられる欲深家老は江見俊太郎。*大須賀藩は架空設定か。
2007/9/25

■ 銭形平次 第511話「愛憎流転」1976.3.3フジ/東映

 入水娘を助けたことから、自害に見せかけた毒殺事件の謎が明るみに。運命の綾が複雑に絡み合う、タイトル通りの展開。
 ロケ地、勘当された若旦那は後妻に言い寄ったためと平次に話す才賀屋の女中、「材木置場」。後妻が手代を誘き出し情夫に斬らせようとする夜道、大覚寺五社明神
*若旦那は小林芳宏、彼を慕うも或る事実が判明し入水する娘は志摩みずえ。妙な経緯で店にいる「恩人の倅」の手代は大竹修造、馴染みの小唄師匠は桃山みつる。後妻は黒沢のり子、御家人崩れの情夫は不破潤。大名貸しに悩んでいた才賀屋主人は入江慎也、大番頭は海老江寛。

■ 将軍家光忍び旅 II
第1話「暗雲ただよう中山道!家光を狙う妖しい美女と謎の黒幕!」1992-1993テレ朝/東映

 帰りは中山道を選び再び忍び旅の竹之進だが、京にいるうちから何やら不穏な気配。行く手の近江では長浜の天領に浪人が集められ、裏には石田三成の恩を受けた者どもが暗躍しているのだった。

ロケ地
・最後の京見物に繰り出す竹之進と太助、仁和寺参道(導入は塔)。金閣寺へ行こうとして迷う道は御室桜林、公家の姫が行者に襲われているのを助けるのは観音堂前。
二条城、本物を俯瞰(東大手門をナメて二の丸御殿)
彦根城、本物の天守。井伊直孝が遠乗りに出て狙撃される野道、谷山林道(十兵衛が居合わせ狙撃手を斬るところへ目付役・佐野弥八郎が現れる)
・竹之進と天下丸一座がゆく街道、谷山林道(両側切り通し)
・道に迷った彦左と太助が「湯宿」を見つけ立ち寄るも当て落とされ監禁されてしまう小屋、酵素河川敷にあしらい(おれんが先客で監禁されている)
・逃げ出したおれんと彦左が一息つく浜辺、琵琶湖岸(砂浜と岩場)。ここへ竹之進たちがやって来る松原も琵琶湖岸、彦左と合流しおれんの話を聞く茶店も同じ、東岸か。
・おれんの回想、大坂の目明しだった父が沖津屋の抜け荷買いを探っていて殺された船着き、広沢池東岸(汀に灯台等あしらい、堤に「建物の裏口」を演出)
・続々と浪人たちが入ってゆく長浜天領代官所、芦浦観音寺参道と門。十兵衛に爆破される武器庫、不明(起伏のある野原)
・沖津屋と無幻斉の企みを聞いたおれんが追われ斬られる町角、仁和寺九所明神拝殿。
彦根城に取り付く一味、天秤櫓下石垣。目付が天秤櫓の門を開けて引き込み。
・草津を発った将軍の行列がゆく水辺、琵琶湖流入河川畔か(バンク映像)
・五十鈴らが家光への憎悪も露わに行く先を眺めやる高台、不明。
・天下丸一座が美濃さしてゆく街道、谷山林道切り通し。高みから見下ろす彦左たちは分岐道の上から。
*家光を付け狙うのは三成の隠密頭と、三成の遺児の姫君。京で一座を開いていた新吉は将軍に扮した芝居を咎められ追放→影武者に逆戻り。将軍の京都滞在中「我慢していた」お蔦は帰還と聞いていそいそ現れる。*おれんは伊藤智恵理、悪党に斬られ手当て空しく没。井伊直孝は森次晃嗣、彦根藩目付で正体は三成の近習だった弥八郎に河原崎建三。無幻斉に利用されていた大坂の回船問屋・沖津屋は金田龍之介、鎖国政策が邪魔で家光を狙う運び。沖津屋の水夫頭に岩尾正隆、おれんの父を殺した大入道。福ちゃん多数登場、無幻斉の配下で出るほか、新吉の「将軍」を狙った五十鈴らを阻止する警護の役人だったり、ラス立ちには茶筅髷の浪人で登場して何回も斬られている。
2007/9/24

■ 銭形平次 第510話「頑固おやじ」1976.2.25フジ/東映

 職を転々とし腰の定まらぬ倅が歯がゆいオヤジ、しかし倅のその癖が身を救う妙。女の子に悪さの挙句死なせてしまった若旦那が、司直の手がのびる寸前に殺された裏には、遠大な悪謀が隠されていた。
 ロケ地、平戸屋の若旦那と取り巻きがお春を過って死なせてしまう湯島天神、吉田神社大元宮(源太とデートは大元宮本殿前玉垣際、お春の死体が見つかるのは石垣下、熊五郎が若旦那たちを見かける道は石垣下の坂)。釈放される倅を迎えに出る熊五郎、大覚寺明智門
*熊五郎は桑山正一、息子の現太は河原崎建三。平戸屋は神田隆、お店乗っ取りの腹心でもあった番頭は牧冬吉。源太は道具もまだ持たぬ下っ端と証言する棟梁は唐沢民賢。

■ 将軍家光忍び旅 第22話「京は目前、風魔最後の挑戦!」1991テレ朝/東映

 山道でいきなり十兵衛が撃たれるが、涼しげな若者が出て誤射を詫び里に保護。しかしそこは豊臣残党の里、若者は処刑されたはずの秀頼の忘れ形見。事を聞きつけた都築が現れて竹之進の素性をバラし、絶体絶命の危機が出来するが、ごくまともな育ち方をした若様は騒乱を嫌い事態は収束。お蔦は竹之進を「将軍さま」と呼び、出会いの言葉通り財布を掏って潔く姿を消す。

ロケ地
・間もなく大津と言いながら里をゆく竹之進たち、摩気民家裏手〜摩気橋(雪景)
・山道で子が川にと助けを求められるが風魔の罠、の谷川は清滝水系か(杉林沿い)
・大津本陣、相国寺大光明寺(導入は方丈南西角塀際)
・お蔦らとはぐれたあと十兵衛が撃たれる山道、谷山林道
・都築が風魔に指示を出す山寺、西明寺山門をイメージに。
・豊臣残党の里、鎮守は鳥居本八幡宮。鳥居下、広場、舞殿など各所が出てくる。太助たちがトラバサミにかかる崖地や、武器庫の小屋(爆破あり)等は不明。
・お蔦が竹之進に別れを告げる本陣近くの町角、相国寺鐘楼脇。太助に別れを言う場面は不明(回廊?と水場)
・将軍として駕籠に乗り京を見やる竹之進、谷山林道頂上付近(新吉は草履とり)
・京イメージ、東寺五重塔
*豊臣残党の「若様」は高川裕也、彼を慕う里の娘は加藤由美、都築の甘言に乗る里長は睦五朗。
2007/9/23

■ お兄哥さんとお姐さん  黒田義之監督作品 1961.12.8大映

 ところは上州、お話はヤクザの縄張り争い。貪欲に拡張を続ける外道は、先代の遺言を守り自分限りで組を散らすことを心に決め静穏に暮らす親分のシマを強引に毟り取り、遂には密殺。殺された親分が外に預けてあった娘は男勝り、親の仇を討とうと男姿に身をやつし故郷に帰ってくるが、子分は既に二人きり。死ぬ気でかかればと無茶をするところへ、直参崩れの渡世人・三次郎が颯爽と駆けつける。
 ロケ地、三次郎が当地へやってくるくだりの渡し場付近、木津河原や堤か。島村の渡し(三次郎乗船、八州乗り合わせ)、川と湖を併用か。島村の仙右衛門の娘・お仙が江戸へ向かう街道、不明(松の根方に祠)←船着きで助けてくれた男(三次郎)を思い振り返るお仙をお供の彦兵ヱがからかうくだり。島村のシマを荒らす熊の沢一味のくだり、賭場荒しのあと傘下に下るよう強制する鎮守は鳥居本八幡宮。芸者の注進で三次郎を待ち伏せする熊の沢一味、木津堤か(銃撃され、玉村の一家に助けられる)。お仙が預けられている川甚の木場、例の「材木置場」にも似る(後段出てくる際には「山」映り込み)。玉村の一家を辞した三次郎がおきぬと幸三に送られる道、不明(かなり幅広)。街道をゆく三次郎(勝新の歌入り)、渡る木橋は犬飼川下河原か(欄干つき、河畔に竹林)〜川べり(流れは瀞、河原は礫)。江戸でお仙の様子を見てきた幸三が帰ってくるシーン(玉村一家の屋敷のそば)、琵琶湖か内湖か。僅かに残った子分たちに盃を返した仙右衛門宅を襲う熊の沢一味、上陸は湖畔か。仙右衛門が熊の沢の手にかかったと聞いた三次郎が上州へ急ぐ道、渡る木橋は穴太橋か(ごくごく低い欄干)。渡世人姿で街道をゆくお仙を止めようとする三次郎のくだり、ちんぴらガキがお仙をからかう茶店、ガキどもを返り討ちにするお仙、ともに不明(地道、山道)。仙右衛門の墓、不明。仙右衛門の法事が営まれる正法寺、不明(塀は瓦練り込み、門に鏝細工の狭間、門から庫裏がのぞく)。高崎の石井に掛け合いにやって来る三次郎、大覚寺式台玄関(きっと来てくれと大門を出てゆく)
*三次郎は勝新太郎、お仙は万里昌代。仙右衛門は志村喬、おきぬ(お仙の妹)は小桜純子、彼女と相思の子分・幸三は小林勝彦。熊の沢の親分・八五郎は稲葉義男。三次郎の友人の八州は田宮二郎。
2007/9/22

■ 遠山の金さん 第89話「呼びとめた女」1977.7.9テレビ朝日/東映

 知人の殺害計画を立ち聞いた芸者は急いで文をしたため、通りかかったへべれけの金さんに託す。酔ったまま行ってみるともう殺されてて、キャー人殺しで容疑者。以降、屑屋に化けた金さんが逃げ回りつつ悪党を追い詰めてゆくコミカルな展開に。
 ロケ地、芸者宅に殺し屋が出るが赤目が入ってきて逃走、金さんも逃げて呼子が吹かれるくだり、捕物に騒然となる町衆は今宮神社東参道。そこにいた駕籠舁きが中に入っていた金さんに気付いてうひゃあは境内、ボヤきながら捜す赤目たちは合祀摂社前、お仙の報告を受ける屑屋の金さんは稲荷社前の屋形。
*芸者は賀川雪絵、抜け荷買いの回船問屋は神田隆で殺し屋は山本麟一、グルの御勝手方は久富惟晴。

■ 必殺仕事人IV 第17話「勇次吉原遊女に惚れられる」1984.2.24ABC/松竹

 弟の要領悪さを嘲笑っていた、才長けた兄は女に貢いだ挙句に縊死。ああはならぬと心決めた弟は真面目に働き金を溜め込む。しかし田舎者の悲しさ、江戸へ出た途端に吉原の花魁に岡惚れし舞い上がる。華やかで綺麗な女の内実が真っ黒なほか、とんだ因縁も秘められていた。
 ロケ地、荷を引いて働く弟をよそに女たちを侍らせ宴を張る兄、下鴨神社馬場脇林床(馬場を旅人が通る)。縊死した兄を見つける彦太郎、広沢池東岸(雪景)。媚薬の材料の麝香鹿を狩りにゆく加代、下鴨神社糺の森・笹の繁み。勇次の敵娼を呼び出し刺し殺す天城屋一味、大覚寺有栖川(河床から見上げ)。次いで彦太郎も殺され、二人が心中を偽装して捨てられるのは嵐山公園中州下手右岸河川敷(栗石敷き部分)、見物衆は岸辺・勇次は樹の陰にいて主水とアイコンタクト。
*小紫太夫は風祭ゆき、彦太郎は新井康弘。*依頼は出されず、馴染みの女を殺された勇次と、彦太郎の「恋の相談」に乗っていて寝覚めのわるい加代が金を供出。*彦太郎の故郷は掛川。
2007/9/21

■ 銭形平次 第509話「男の意地に花一輪」1976.2.18フジ/東映

 父の言うままの人形でいることを拒否する娘、きっかけは奔放なあんちゃんとの出会い。富商の財目当ての黒い手が内から外から伸びてくるが、お嬢様の強い意志は暗雲をはねのける。
 ロケ地、浅次らが伊佐吉をけしかけ賭け事に持ってゆく相談をぶつ神社(?)、今宮境内か。升屋の娘の婚約者が殺されて見つかる下谷高徳寺前の道端、今宮神社石橋(夜鳴き蕎麦の親爺に呼ばれた平次が東門から入ってくる)。不忍池で会った伊佐吉と升屋の娘・お冴が「しけこむ」小屋、赤山禅院境内西側池端の小屋(現存せず)。勘当されたあと伊佐吉の姉の髪結床で働きだしたお冴を連れ出し話す伊佐吉、赤山禅院本殿脇池端。浅次のいる旗本屋敷に「使い」に立つ健太、大覚寺大門
*伊佐吉は赤塚真人、お冴は麻田ルミ。*悪党の描く図は、結婚相手を消したうえでお嬢様に黒い染みをつけ、「仕方なく」手代を婿にとる運びにして牛耳ろうとする手の込んだもの。殻を割ろうとしたお嬢様の行動で全てパァになり、平次の仕込みにハマってお縄に。

■ 将軍家光忍び旅 第21話「瞼の父、お蔦、涙の再会」1991テレ朝/東映

 お蔦の素性が知れるお話。お蔦そっくりのお姫様が容態を案じる父の殿様には毒殺の陰謀が進行中、そもお蔦の不幸も悪党が23年前に仕組んだことで、かろうじて赤子のお蔦を見逃してくれた恩人の忠臣は悪謀を察知したことで危地に陥っていた。

ロケ地
・将軍の行列がゆく近江の街道、琵琶湖流入河川の河原か。父の無実を直訴におよぶ前髪の少年・数馬が出るのは酵素ダート。水口藩城代家老の手下が出て数馬を追い回すのは酵素河川敷(竹之進が出て介入、背後の木が派手に折れている)
・姫様が自分とそっくりと聞いたお蔦が城に忍び込むくだり、彦根城堀端(佐和口多聞櫓前〜彦根城博物館を望む堀端)。ちょうど入ってゆく荷駄に従いて入る橋は表門橋
・城内へ入り込んだお蔦が雪姫を見るくだりは彦根城玄宮園。お蔦が潜むのは飛簗渓の橋、父の容態を案じる雪姫が佇むのは魚躍沼(臨池閣越しに天守を望む図、雪景)。姫に秘事を告げようとしたりつを制しに城代父子が出てくる。
・23年前、城代に命じられ羽衣山山中で赤子の「蔦姫」を乳母ごと斬ろうとしてできず見逃した御側御用取次の工藤三郎(回想シーン)、白水峡か(がびがびの山容)
・工藤のもとへ持ち込まれ「罪状」となった鷹の雛の件を調べる竹之進のくだり、鷹匠の権三をシメる山小屋は白水峡にセットか。
・茶会に招かれた京の茶人を装い城に入る竹之進、彦根城天秤櫓
・水口を発つ竹之進に追いついてくるお蔦、白水峡か。将軍の行列は木津堤
*雪姫は萬田久子の二役、殿様は西沢利明。工藤三郎は島田順司で妻女のりつは工藤明子。城代は勝部演之で腹心は林彰太郎、悪徳商人は高城淳一、鷹匠は玉生司朗。
2007/9/20

■ 大江戸捜査網 第2話「裏街道に命を賭けて」1970日活/東京12チャンネル

 沼田藩の御用金が強奪された直後、江戸では辻斬りが多発。隠密同心たちは二つの事件のつながりを探り悪党を打ち懲らすが、助けてやった若き正義派の藩士にあくまで身分を明かさない。

ロケ地
・御用金を狙った賊が出る街道、河川敷のような地道。
・沼田藩上屋敷、大覚寺大門
・辻斬り被害者の一人の検分、大覚寺御殿川河床(東望、遠景に参道石橋映り込み。お七が群衆を掻き分け覗き込む)
・御籤を使って御前や小波、小弥太がツナギをとる神社、第1話と同じ宮さん。
・御用金盗が出た街道へやって来る江戸家老の手先の浪人・蛭沢のくだり、井坂のダンナがいる茶店や蛭沢が百姓に聞き込みをして生存者の存在を知る田畔、生き残りの藩士・牧田が身を隠す荒れ屋敷、全て不明(空き屋敷の萱葺民家はヨロキンの子連れ狼で見たような気が)
・強盗役に雇われた溝部浪人を始末に行かされる変装中の小弥太、お堂の裏に墓地が広がるお寺。
・虚無僧姿の小弥太が井坂とツナギをとる鐘楼、相国寺鐘楼(「洪音楼」の細部は一致、宗旦神社などはっきりとした目印は映らないが、光源院や大通院、開山堂南塀が植え込み越しに映り込むのを確認)
・誘い出しの文に乗った蛭沢たちが井坂とチャンバラ・中に入り込んでいた小弥太が井坂と戦わされる夜の神社、不明(音吉が捕り方を偽装の段で二重の鳥居が見える)
・井坂に保護されるものの、江戸家老の悪謀を知った牧田が国元へ向おうとする街道、鳥居本・平野屋前〜愛宕鳥居。駕籠を囲まれてしまうのは下鴨神社馬場
・江戸家老の妾宅、不明(斬り捨て御免1話で出た門に酷似。扉は細竹編み)
・事後、街道をゆく牧田に駕籠は如何と声をかける駕籠舁きに変装した小弥太と井坂、下鴨神社馬場。牧田が渡る橋、流れ橋(井坂らは頑として身分を明かさず牧田は隠密同心と知らずに江戸を去るとナレーションが被る)
*ゲスト/見晴凡太郎、高木二郎、松本錦四郎
*どういうわけで京都撮りが混ざっているのか不明だが、上に書いた京都ロケは何度も見返し複数人にて検証済みなのでまず間違いなし。というか流れ橋を間違えるのも難しいし。第1話には京都部分全くナシ(だったと思う)、第3話には役者さん入らないイメージで明智門が出てきた(渓谷は清滝とかじゃなくて関東だと思う)。


■ 銭形平次 第508話「腕白坊主の目に涙」1976.2.11フジ/東映

 子沢山の男やもめが賊に引き入れられてしまう話、経緯を知る長兄の坊は頑として口を閉ざし父を庇う。気弱な父が賊に反抗する勇気を、坊の目に滲む涙が与えてくれる。
 ロケ地、熱を出した子のため定斉屋の荷から薬を盗んで見つかりボコられる勘次、荷が置かれた茶店は今宮神社門前茶屋・一和(親切面で銀蔵が金を出してとりなし、勘次に恩を売りそのまま連れ去り/この経緯を重太が凝視)。勘次の足取りを求め賭場に潜入した帰りの平次たちを尾行する男たち、仁和寺観音堂脇。平次らの後をつけてくる重太、仁和寺鐘楼。平次が彼に気付くのは水掛不動参道入口のステップ、重太は途中から「賊」を見掛けつけてゆくが、悪党一味が行くのは御影堂境内、平次は門前で気配を察する。事後、所払いになり江戸を去る勘次のくだり、樋口さまと平次が勘次に従いて待ち、八が子を乗せた大八を牽いてくる町はずれ、御室霊場
*勘次は大村崑で丸眼鏡、錠前屋ゆえ狙われ押し込み先でピッキング。重太は上屋健一、なかなかに達者な子役で仏頂面が可愛い。賊のかしらは近藤宏、一味の浪人は小田部通麿。*子らは一時平次宅に保護されるが、育児放棄だと怒り引取りまで口にするお静と、一線を引く重太の温度差も見もの。

■ 将軍家光忍び旅 第20話「鈴鹿、なみだの夫婦唄」1991テレ朝/東映

 熱々ぶりを見たお蔦が羨んだ新婚ホヤホヤの夫婦に悲劇、しかし隠密だった亭主は目付にとって面白くない報告を上げたため殺され、女房も後を追う。父子二代片田舎に身を潜め役目を果たした御小人目付の死を目の当たりにし、家光は粛然となる。

ロケ地
・将軍の行列が関宿へ向う街道、木津堤。本陣は映画村オープンセット。
・犬を拾っていて置いてきぼりを食うお蔦、谷山林道切り通し。以降、街道風景や坂下の茶店に各所が使われている。
・目付に報告書を上げた帰り、目付の手下に襲われる小四郎、斬られて落ちる谷は谷山林道から切り替えて保津峡
・茶屋に殺到した人数を引きつけて逃げるお蔦、摩気神社裏手谷地田の田畔(物置小屋脇)。追いつかれ囲まれ危機一髪は本殿裏手。
・小四郎とお市の塚、不明(竹林の崖際、遠景に石塔群。墓地か)
・竹之進を見つけられずにいる十兵衛と太助の前に負傷した影丸が転び出る「山門」、西明寺山門前。
*小四郎は大橋吾郎、お市は舟倉由佑子。行列奉行を務める目付は中田浩二、彼とつるみ後継レースに勝とうとする亀山藩家老は五味龍太郎。目付配下の悪党陣は曽根晴美に中嶋俊一、谷口孝史。坂下の茶屋にやって来る青物売りのおばさんに武田てい子。*もうすぐ役目が終るのでブルー入る新吉、帰りも頼むと言われ「回復」。*目潰しに遭い竹之進がヤバくなるほか、影丸も刃を浴び危地に陥るなどの演出入り。
2007/9/19

■ 銭形平次 第507話「消えた証文」1976.2.4フジ/東映

 亡き先代の残した真の宝は忠義者という人材、「事件」解決後平次の諭しを受けた「勘当息子」が改悛し、お店は復する模様でめでたく終る人情話。先代が万一の時にと残した貸し証文をめぐり起きる事件、刃傷沙汰や踏み倒しを目論む者たちを描き、人の心の襞を覗くかたちで謎解きが進む。
 ロケ地、足を棒にして聞き込む日々、番所へ向う平次の通る町角は大覚寺大沢池園地入口付近か。最後に残った容疑者の侍を求め各藩邸を聞き込み回る平次たち、大覚寺大門明智門、映画村のセットも混ぜて。
*純朴な使用人夫婦は谷村昌彦と西朱美、斬られて深手を負う若旦那は小野武彦。兄の証文を探しに図々しく佐野屋へ上がりこんでくる蓮っ葉な女は桜井浩子。佐野屋に借りた金で仕官するも返済を逃れようとして荒事に出る侍は不破潤、雇われ浪人は小田部通麿で万七とのからみが笑いどころ。

■ 将軍家光忍び旅 第19話「家光が用心棒?桑名の宿の仇討ち!」1991テレ朝/東映

 口入屋が派遣した用心棒と誤認された竹之進は、差し迫った困りごとを抱える娘に関わってゆく。果たして娘の言い分通りの悪党が主家を乗っ取ろうとしており、根は桑名藩の中枢にも蔓延っているのだった。

ロケ地
・宮宿から桑名へ向う陸路の脇街道をゆく将軍の行列、琵琶湖流入河川河原か。
・海路をとった竹之進たちが着く桑名の港、琵琶湖岸(石積護岸、岩もある浜からは竹生島が望まれ、松原が控える)
・佐野屋の娘・おふさの回想、帰宅の遅い父を案じ探しに出でて父の亡骸の傍にいる友吉を見た葦原、広沢池東岸(水無)
・桑名本陣、大覚寺大門
・佐野屋殺しとして手配された友吉が隠れる漁師小屋、広沢池東岸にあしらい。
・本陣を出立する将軍の駕籠、大覚寺式台玄関
・桑名を発つ竹之進たちがゆく浜辺、琵琶湖岸(この前に出る鳥居は不明)
*おふさは渡辺ちあき、友吉は加藤純平。佐野屋乗っ取りを目論む番頭は伊庭剛、糸を引く悪徳商人は福山升三、黒幕の桑名藩城代家老は佐原健二で手先の藩士は五十嵐義弘、その下っ端に福ちゃん(ラス立ちにも登場するが、斬られて海老反るところ背中を押されて前のめりという珍しいパターン)。
2007/9/18

■ 銭形平次 第506話「十一年目の父」1976.1.28フジ/東映

 年老い落ちぶれて現れた父を許せない姉娘、頑なさの訳は過去の父の放埓。親爺のほうも訳ありで、悪党の誘いに乗り妹娘の縁を利用し引き込みを仕出かそうとするが、平次のとりなしで改心、悪行の報いは身に受けるものの娘たちへ災いをなすことなく人生の幕を引く。
 ロケ地、屑屋の喜平が洗濯物を盗ろうとして平次に見咎められる町角、大覚寺天神島(水場あしらい)。雑貨屋の民三のもとに身を寄せた喜平を呼び出し、民三に不審な点が無いか問う平次、大覚寺護摩堂前。おたかと連れ立って相模屋へ向う喜平を見かける平次、大覚寺五社明神(舞殿を挟んで向こうとこちら)。相模屋に住み込む喜平を呼び出しおふうの真意を告げる平次、松尾大社摂社(本殿東側)
*喜平は下元勉、盗っ人仲間だった民三は長谷川弘。姉娘のおふうは夏純子。

■ 将軍家光忍び旅 第18話「茶碗一つで天領を狙う悪商人!」1991テレ朝/東映

 世間知らずの名陶工を抱きこみ、お局さまに誼を通じ将軍に茶碗を献上して天領下賜を目論む商人あり。かたや代官とつるみ同じく天領を狙う顔役、いずれも竹之進の知るところとなり濡れ手で泡はパァ。成果は頑固親父の改心で、娘の恋が実ってメデタシ。

ロケ地
・長久手古戦場を竹之進に見せる彦左、谷山林道分岐道上部。下を茶碗献上の一行が通り、浪人の群れが襲う。
・鳴海宿で昼をつかう将軍一行、相国寺大光明寺(門前に駕籠が着く情景を門内から)
・献上茶碗の作者・清右衛門に破門された弟子・伊之助の窯場、酵素河川敷
・代官に始末されかかったお蔦の場面/庭番に代官の悪行を聞く竹之進の場面の切り替えに挿まれる鐘撞きのシーン、西明寺鐘楼。
・清右衛門らと別れ当地を発つ竹之進、北嵯峨農地畦道。街道をゆく竹之進一行、大覚寺大沢池堤
*頑固な名人に山田吾一、彦左との口喧嘩が笑える。彼を利用する悪徳商人は花上晃で、つるむお局さまは佐野アツ子。悪代官は立川三貴、グルの顔役は早川研吉、用心棒は工藤堅太郎で手下の雇われ浪人に福ちゃんや小峰さんなどお馴染みの面々多数。福ちゃんは顔役の賭場で壺振りもしている。
2007/9/17

■ 水戸黄門37 第23話「次期将軍を狙った野望」2007.9.17TBS/C.A.L

 水戸へ戻り大日本史の編纂に勤しむ老公のもとに、凶報が届く。怪しの者どもに拉致された老公の孫・吉孚は、父の教育方針に反発していた間隙を衝かれるかたちで、事件のさなかに息子の成長を見た父・綱篠は無事を喜ぶとともにこれを寿ぐ大団円。誘拐の目的は紀伊大納言家の将軍への野望にまつわるもので、うるさ方の老公を制そうとした陰謀。

ロケ地
・本草学への傾倒を叱られた吉孚が守役に「どこかへ行ってしまいたい」と愚痴をこぼす庭、随心院本堂脇池泉(本堂をナメて書院を望むアングル)。水戸家上屋敷の庭イメージは小石川後楽園大泉水や円月橋。
・孫・吉孚に凶兆をみた老公が江戸へ赴く街道(松戸宿付近等)、大覚寺境内か。
・将軍に拝謁し大日本史を献上する老公、江戸城イメージは皇居巽櫓
・根来衆の情報を聞き込むため昔助けた塗師・権太を訪ねる弥七、回想シーンの鈴鹿峠は糺の森か(野盗の一人は福ちゃん)
・水戸藩江戸留守居役の情婦・染乃の真意を確かめるべく喧嘩を売るお娟、石塀小路
・吉孚拉致の主犯・露庵にカマをかける弥七、上御霊神社(楼門、本殿、水場脇)。設定は入谷鬼子母神、露庵の母が信者とは権太情報から。本名を呼び逃げられた弥七が追うと雲水が出て阻むのは下鴨神社下鴨神社河合社脇、露庵が消える紀州の上屋敷は随心院薬医門
・とるものもとりあえず紀州屋敷へ乗り込もうとした息子・綱篠を諌める老公、随心院大玄関
・脅迫状の指示に従い、屋敷の南小門に出て待つ綱篠、映画村内広隆寺塀。計略の乗せられ馬で出た綱篠を追う弥七、随心院土塀下鴨神社馬場〜池跡。弥七の残した目印を頼りにやって来る助格老公も馬場から池跡。老公が見咎める古井戸も糺の森か。
・助格と弥七がツナギをとる茶店、上御霊神社参道石畳脇にあしらい。
・吉孚が「監禁」されている薬草園、不明(林の中に萱葺、外回りは生垣)
・囮になったアキが籠められた駕籠がゆく夜の橋、中ノ島橋(弥七がつけてゆくが、吉孚を乗せた屋形船が橋上手の湛水域をゆく「擦れ違い」を演出)
・柘植の里へ帰るアキを見送る老公、大覚寺境内か。歩み出すアキは大沢池堤で、鬼若の幻が出る。
*紀伊大納言は平幹二朗、江戸家老は西田健、根来衆のかしらは三浦浩一、手先の兄妹は萩原流行と宮本真希。陰謀の片棒を担ぐものの怖じ土壇場で老公に味方する紀文は中村敦夫。老公の息子の水戸藩主・綱篠は国広富之。鈴鹿峠の護摩の灰ほか紀伊国屋の人足に福ちゃん。
2007/9/16

■ 不知火検校  森一生監督作品 1960.9.1大映

 幼い頃からしたたかに悪かった杉の市、長じるやさらに磨きがかかる。
使いに出た先で癪を起こした男(勘次)を介抱するが、大金を所持と知るや鍼で殺す。
揉み療治に出た先に強盗が入ったのも取り込み、その家の娘(おきみ)を口先三寸で家に連れ込みモノにする。悲観した娘が身投げしてもどこ吹く風。
殿様(岩井藤十郎)に内緒で金が入用の御新造(浪江)の弱味に付け込み破滅させるが、身に危険が迫るや死んだことにしてトンズラ。
しまいには悪い仲間を師匠の検校宅へ押し入らせ、後釜に座ろうと画策。非道ぶりに怖じた兄哥たち(倉吉、丹治)は杉の市を殺ってしまおうとするが、一枚上手でお見通し。強面の兄さんたちは彼の下風に立つことになる。
まんまと不知火検校になりおおせた杉の市だが、金にあかせて手に入れた美女(おはん)は間男(房五郎)するし、妻を亡くした殿様が現れて過去の悪行は悉皆明らかとなってしまう。破滅がやってくるのは、御浜御殿へ将軍の姫の療治に向かう道。位を極めた得意の絶頂で堕ちる大悪党に、民衆の容赦ない投石の雨が降ってくる。
*ほぼセット撮りだが、検校のお使いで川崎へ赴く途中、勘次を殺す鈴ヶ森材木塚のくだりは野外(ロケ地不明/松林のある地道)。
*「白塗り」からのターニングポイントになったと世に名高い一作、企画段階にも伝説を多く残すこの映画は、アイデアマン・勝新の開花とも言える。盲人の所作ほか、女たちとのからみの生々しさ、豊国の描いた美女・おはんに目をつけたあたりで出る「目の開いた夢」で爪弾く三味も見逃せない。


キャスト
杉の市/勝新太郎
生首の倉吉/須賀不二男 鳥羽屋丹治/安倍徹 勘次/光岡龍三郎 不知火検校/荒木忍 おきみ/山本弘子 浪江/中村玉緒 岩井藤十郎/丹羽又三郎 おはん/近藤美恵子 房五郎/鶴見丈二
2007/9/15

■ 遠山の金さん 第88話「じゃじゃ馬姫と贋奉行」1977.6.30テレビ朝日/東映

 赤目の愚行で美よしの前を通る尾張の姫の駕籠に粗相、高慢な姫は居丈高にお仙に謝罪を要求、暖簾を持ち去る。待っても謝りに来ないのに焦れた姫は町名主を通し店だてを食わせようとするが、これが悪党の地上げに利用されてしまい、以降お仙に同情した駕籠舁きたちが金さんを贋奉行に仕立てて送り込んだり、奉行所はお仙だと強弁して姫を捕え土壇場まで行っちゃったり、ノリノリのどたばた喜劇が繰り広げられる。
 ロケ地、陳情に押しかけた町衆の騒ぎを庭で聞くお奉行、尾張の老女が来て捕えた姫を返せと青木に詰め寄る、土壇場に立たされたはずが迎えの駕籠の前という姫、各シーンは全て北町奉行所の庭設定で、大覚寺宸殿の庭。
*姫は田坂都、天然系の姫が似合い。町名主は花沢徳衛、グルの周旋屋は高野真士、名主の手下に木村元。金さんがお奉行にそっくりと駕籠舁きに教える番太は北見唯一。

■ 必殺仕事人IV 第16話「主水転職を夢みる」1984.2.17ABC/松竹

 思い切って役所を辞め居酒屋の亭主になる主水の朋輩だが、母のためまとまった金を掴もうとした義理の息子が汚い仕事に引き込まれ、二人ながらヤクザの手にかかる。倅と亭主を失った女は入水、加代に恨みを託してゆく。
 ロケ地、完成した銃を一丁掠めた政吉が立て籠もる小屋、酵素河川敷にあしらい(追ってきたヤクザの手下は降り口から見張り)。絶望したおすみがやって来る夜の橋、中ノ島橋。死体が打ち上げられる河原は桂川松尾橋下手か(曲折部、対岸に砂州)
*お役を辞した同心は犬塚弘、お相手の酒肆女将は松本留美。政吉にうまい話を持ちかけた口入屋は土屋靖雄、ヤクザは有川正治。
2007/9/14

■ 銭形平次 第505話「上方から来た男」1976.1.21フジ/東映

 孫を連れ江戸へやって来た元天満の目明しという老爺、使命感の裏には凶賊にたばかられ娘夫婦を死なせた悔悟。頑固爺さんをサポートする平次たちの情話が描かれる。
 ロケ地、辰造爺さんを尾行する八、今宮神社境内(掏摸を追っかけて息切れの辰造は石畳〜石橋上)。辰造の回想、蝮一味を尾行する京街道・淀、広沢池東岸(娘夫婦の亡骸を見つけるのは東岸汀)。行商人を張り込む辰造、茶店は今宮神社高倉下に床机等あしらい。ここから出た行商人の一人をつけてゆく辰造、相国寺弁天社前〜鐘楼(回りこんだところで一味の浪人が出て斬られかかり)。万七が六部姿で追う行商人のくだり、相国寺法堂回廊。大坂へ帰る辰造たちを見送る親分、大覚寺大沢池堤(茶店あしらい)
*辰造は花沢徳衛、妙なアクセントの上方言葉も味。蝮の五郎蔵は川合伸旺、手下には唐沢民賢・大矢敬典・川浪公次郎などお馴染みの悪役陣がずらり。

■ 将軍家光忍び旅 第17話「とんだ埋蔵金騒動」1991テレ朝/東映

 藤川宿では太閤の埋蔵金をめぐり血腥い動き、その金を求める黒幕はたいそうな野心家で配下を「有能な悪党」で固めていた。

ロケ地
・藤川への街道をゆく竹之進たち、桂川松尾橋上手右岸河川敷。簀巻きにされた庄屋が流れてくるのは中州南側の派流(藤川宿なので川は山綱川と思われる。乙川支流・矢作川水系)
・竹之進に先に行かれてしまい愚痴りながら道をゆくお蔦たちが通りかかる神社、仰木の小椋神社(参道橋や蔵など映り、埋蔵金の地図を売る男は舞殿)
・庄屋の妾と娘が暮らす家、広沢池北西岸の田畔に小屋あしらい。
・藤川本陣、相国寺林光院
・設楽一万石・堂上長門守別邸、相国寺大光明寺門。
・庄屋の妾宅に現れた怪しい浪人をつける早苗、相国寺宗旦稲荷〜路地(鐘楼脇から十兵衛が見ている)大光明寺南通用門(ここから長門守別邸に入る/扉に井筒の紋あしらい。後段、早苗潜入の際は南塀を飛び越えて中へ)
・庄屋の残した書付を見て堀田神社へ行くも拉致されるお静、日吉大社白山宮石段。
・お静を拉致した赤星一味を見る太助たち、小椋神社境内。設定は小豆坂の古い神社。お静を奪還に来た竹之進が赤星一味とチャンバラは摂社の新宮神社前等で。
・金の在り処に気付いた長門守が配下を引き連れやって来る堀田神社、日吉大社白山宮(竹之進が本殿縁先に笛を吹いて現れ、立ち回りは舞殿や祠前も使って派手に展開、宇佐宮からの水落ちも映り込む)
・事後、竹之進に金を託すお静たち、北嵯峨農地農道(野菜を積んだ大八を牽く)
・当地を去る竹之進たちがゆく街道、小椋神社稲荷社脇参道。
*お静は本阿彌周子、庄屋・土田庄左衛門は川浪公次郎。長門守は北町嘉朗、赤星の首領は出水憲、したり顔でお静を騙しに来る浪人は石山律雄。福ちゃん二態、埋蔵金の地図を求める里人と、赤星の手下の強面(ラス立ち)。

■ 刺客請負人 第8話「死闘 最後の刺客」2007.9.14TX/松竹

 六郷藩江戸表と国元には温度差、元より刑部の預かり知らぬことだが、江戸家老と刑部に結ばれては困る筋から闇猫のお吉に刑部の暗殺依頼が。そして助徳をも巻き込み、闇猫との死闘が繰り広げられる。

ロケ地
・六郷藩上屋敷、仁和寺本坊表門
・江戸家老が刑部を呼び出す屋形船、松本酒造前東高瀬川堤に広い川面を合成(大手筋から向こうは消してある/川は桂川か)
・江戸家老が差し向けた藩士が囲まれる六郷藩城下、大覚寺参道石橋
・徳松たちが襲われたあと、信次を尾行するお六、八幡掘白雲橋〜堀端(左岸側の町なみも「路地」として使われる)
・お静を拉致し刑部を呼び出す闇猫、下谷坂本町の得円寺跡、丹波国分寺(門、本堂、石仏群。本堂裏手には塀をしつらえ、お堂内部はもちろんセット撮り。門と本堂の壁が「紅殻」に演出されているのがはっきり判る)
・六郷藩城、大阪城千貫櫓
*江戸家老・阿部頼母は小野寺昭、藩主・義隆は上杉祥三。組目付の意を受ける出入商人の丸屋は伊藤達広。*闇猫のお吉の身の上が詳細に語られる。武家の出で、浪人した父は辻斬りに身を落し斃死、母は病で逝き、妹は嬲り者にされ狂死、弟は復讐に行き頓死という悲惨極まりない境遇。妹が死んでいた寺がアジト設定の得円寺跡で、7話に出た彼岸花の逸話は妹の死処。
2007/9/13

■ 銭形平次 第504話「闇に立つ虚無僧」1976.1.14フジ/東映

 かつての仲間の凶賊一味を見かけた庄吉は、更生させてくれた平次に注進に及ぶが不在、代って万七が聞き手柄にするが、金一封に浮かれた万七と清吉は狡猾な賊の手先に誘導され「密告」した庄吉の情報を漏らしてしまう。お話は、庄吉夫婦が惨殺されたあと、残された赤子の面倒を見つつ賊の行方を追う謎の女に過半を割く。
 ロケ地、凶賊・黒雲一味が押し込む王子村の名主屋敷、走田神社社務所。庄吉夫婦の弔いの日、長屋の女将に根掘り葉掘り聞き込んだ虚無僧を尾行する八、虚無僧が入ってゆく寺は随心院大乗院(入れ替わりにおもんが出てくる。このくだりでは境内に「移動壁」をあしらってある)。同じ寺で虚無僧の扮装を解いているおもんの前に立つ平次、大乗院境内の祠。場所を変えて話す池辺、不明。おもんが賊の首領・長兵ヱを待つ精心池畔の林、赤山禅院境内西側の池辺か。
*庄吉は藤間文彦、姉のおもんは弓恵子。長兵ヱは伊達三郎、万七たちから巧みに情報を引き出す長兵ヱの片腕に江幡高志。*黒雲は適当な当て字、黒蜘蛛かも。

■ 将軍家光忍び旅 第16話「くの一が惚れた男」1991テレ朝/東映

 都築安房守再びの巻、性懲りもなく風魔とともに家光を狙う。竹之進には捨て身の芝居でくの一が近付き、春日局には怪しの祈祷師が大がかりな芝居を打って近付くが、竹之進にほだされたくの一は仲間を裏切り身を捨てて難を救う。

ロケ地
・間道をやって来る竹之進たち、谷山林道分岐道。黒覆面の男たちに斬られた娘を助け保護。
・豊橋本陣、大覚寺大門
・豊橋城、郡上八幡城(林越し遠景)
・祈祷師・三枝梅雪が住まう光明寺、勝持寺東門
・竹之進が夏生を落とす渡し場、罧原堤下河原(夏生は次手あるを思い出し船を返させる)
・光明寺に忍び二の矢の企みを立ち聞きした夏生が露見し追われる坂、勝持寺南門下参道(毒矢を射掛けられるが煙玉で逃げ、竹之進の旅籠に辿りつく)
・十兵衛の警告により彦左が止めるが聞かず寺へ行ってしまった春日局を救出にやって来る新吉、梯子を掛けるのは勝持寺南門続きの塀
・豊橋を発つ竹之進たちがゆく街道、嵐山自転車道
*夏生は藤奈津子、梅雪は御木本伸介、夢幻は有川正治。*都築は事破れると知るや素早く逃走、お貰いさんに化け竹之進を見て「今に見ておれ」。
2007/9/12

■ 銭形平次 第503話「空巣にご用心」1976.1.7フジ/東映

 平次の動きを封じようとした賊の、怨恨まじりの策は思わぬ功を奏し十手返上の危地に。父を思う娘の心を乱したくなくての心遣いは万七によって無駄になるが、悪党は一気にお縄。己の咎と心痛めるお静、悪党の居直りに歯噛みする平次、愚痴ったり暴走したりするものの力を貸す万七、各人の心模様が細やかに描かれ、存外気丈夫に立ち直る娘で締めてメデタシ。
 ロケ地、鍵型の蝋を渡す段で殺される引き込みの久五郎、上賀茂神社ならの小川(設定は山王権現横の川っぷち)。久五郎の弔いに悔みに行き、娘・久代に事情を聞く平次、相国寺鐘楼(設定は根岸)
*久代は岡江久美子、久五郎は沖ときお。賊の首領は幸田宗丸。*「空き巣」は平次宅に久五郎の血染めの財布を置いてゆき、久代に疑惑を持たれる運び。

■ 将軍家光忍び旅 第15話「旅人泣かせの船宿退治」1991テレ朝/東映

 舞阪・新居間の渡船を使って私腹を肥やす悪党ども、難儀の民を見た竹之進は怒り心頭、寄り集まって世の中金じゃと笑う外道のもとに乗り込み大立ち回り。本陣で悪党の密談を立ち聞きした新吉が「本物さま」の一大事と注進に及ぶ一幕も。

ロケ地
・舞阪に差し掛かる竹之進たち、琵琶湖西岸汀〜松原(詮議のきつい新居関を避け本坂越えをして墜死した旅人を見る)
・舞阪の渡し場、広沢池東岸(うちの船は関所に顔が利くと勧める巴屋を振り切り、閑古鳥が鳴く「定額」の網定をチョイス)。網定の渡船に乗り着く新居の浜は琵琶湖にスイッチ。新居関所は琵琶湖西岸松原と映画村オープンセットの屋敷町を組み合わせて表現。
・巴屋の乗客でなかったため新居の関所を通れず戻った舞阪、網定の若旦那を慕う漁師の娘の家は琵琶湖西岸松原林間に小屋をあしらい、夜間撮影もあり。
・新居を発つ将軍の行列がゆく街道、木津堤(ブツブツ彦左を新吉がからかい)。竹之進たちは琵琶湖汀をゆく。
*彦左に精勤を誉められる槍一筋の家柄の道中奉行兼大目付・南条河内守は亀石征一郎、新居関所奉行は原田清人、巴屋は長谷川弘で手下に北村晃一や江幡高志。網定の若旦那は佐久田修、彼を慕う娘は西尾知香。*巴屋の料金は一人一両、定額の49文と比べ80倍。東海道をゆく旅人が小判に見える/これからは泰平の世で人・物共に流通が増えて大儲けと嘯く悪党どもが笑えない昨今。
2007/9/11

■ 銭形平次 第502話「償いの道」1975.12.24フジ/東映

 酔い潰れた若手同心と当番を代わったお町のダンナ、間の悪いことに凶盗と遭遇し殉職。以来彼の娘を守り育てる若者だが苦労続き、娘の薬代がらみで当の賊が関わってくる。主題は保護者の「おじさま」への思いを募らせる同心の遺児の話。
 ロケ地、孫四郎宅の取り立ての帰り、昔の仲間に呼び止められ「始末」される金貸し徳兵ヱ、中ノ島橋(水音を聞きつける平次らは大覚寺か/検分は橋下の河原)。大沢同心の墓、黒谷か。
*「おじさま」は佐々木剛、久江は斉藤浩子、大沢同心は北原将光。凶賊・丹頂一味だった金貸しは高城淳一、八卦見は沢村宗之助。

■ 将軍家光忍び旅 第14話「浜松、女郎の仇討ち」1991テレ朝/東映

 父の仇を討つ旅で母を亡くし、薬代のため苦界に身を沈めた女は、家に出入りしていた十兵衛を少女の頃から慕っていた娘。宿場女郎に身を落とした女を掬い上げ叱咤する十兵衛の話がメイン、今回竹之進は脇役に回る。

ロケ地
・浜松へ向う竹之進たちがゆく街道、大堰川堤。打擲されていた男を助けてみると十兵衛旧知の家の中間で、手当てしながら事情を聞く河原は大堰川汀
・伊豆が横須賀藩家老を伴い彦左を呼び出す城下、大覚寺五社明神(藩境に出没する野盗が浜松領に逃げ込む件について協議)
・お昼を使っていたお蔦が腹を減らした幼女と出会うお堂、大覚寺護摩堂(縁先に腰掛け)
・お小夜の母の墓、北嵯峨か(小丘と田んぼ)
・仇と目される男の手下が野盗と会っていた情報で出向く竹之進、山賊みたいな男たちが村娘を連れ込む小屋は酵素河川敷にあしらい。
・伊豆が十兵衛にお小夜を許婚者にしてはと提案する城下、大覚寺五社明神
・浜松城イメージ、郡上八幡城天守。
・仇討ちの広場、下鴨神社馬場に幔幕張り。家老が人数を繰り出しラス立ちになだれ込み。
・落飾したお小夜が十兵衛と別れる野原、北嵯峨か。
・竹之進とお蔦がゆく海浜、琵琶湖西岸
*お小夜は速川明子、仇の武芸者は大場順、こやつとつるみ野盗のアガリを掠める家老は石橋雅史。武芸者の道場に通う藩士の一人に福ちゃん、豪華衣装を着てお供連れで道場を出てくる。

■ 素浪人 月影兵庫 第8話 2007.9.11テレ朝/東映

 凶賊に名を騙られてしまう兵庫、亭主を殺された女に狙われたり、「仲間」が捕われ処刑されかかったり。圧倒的な力で解決のダンナ、しかしそれぞれに道は別れてゆく。

ロケ地
・宿場へ入ってくる兵庫、仁和寺鐘楼前石畳。おしず母子が女衒にからまれているのを助けるのはそば(基壇のみ)、九所明神や経蔵がちらりと映り込み。
・お涼らが休んでいた茶店にやってくる兵庫とおしず、大堰川河川敷に茶店あしらい。ここでおしずが半次やお涼から兵庫のことを「ムチャクチャな奴」とか「悪い人」とか聞かされる。ダンナが坊と河原で石投げなども。
・半次が浪人者からお里を助けるくだり、下りてくる坂は今宮神社高倉脇坂、お里を助けるのは稲荷社前。
・おしずが兵庫に斬り付ける町角、神護寺毘沙門堂脇。兵庫が去ったあとお堂階に佇むおしずに、仇を討たせてやると頭巾の侍がやって来る。
・東馬が桔梗らの難を告げに兵庫のもとに走ってくる段のお堂、仁和寺経蔵
・刑場、瑞穂造成地に柵や磔刑台あしらい。兵庫が現れ大立ち回りのあと、正体を現した凶賊がおしず母子をタテにとる場面は保津峡落合落下岩にスイッチ。狙撃され落ちた兵庫を捜す桔梗たち、清滝河原(戸板に乗せられていたのは土左ヱ門で、ダンナはおしずが危ないと走り去る)
・おしずを売り飛ばすか殺すかとやっている賊のもとへ現れ大立ち回りの兵庫、神護寺林間
・それぞれ違う道へと別れゆく「仲間」たち、瑞穂造成地(「大通り」からの分岐道をうまく利用し道隈を表現)
*おしずは池上季実子、裏の顔は凶賊の首領の代官手付は中原丈雄。品川隆二がサービスで再登場。問屋場の主従が小峰さんと峰蘭太郎で、代官所お白州にいる役人が福ちゃん。
2007/9/10

■ 銭形平次 第501話「卍蜘蛛」1975.12.17フジ/東映

 金座を狙う大盗・卍組が江戸へ、偶然手がかりを得た平次が動いて強奪を阻止するほか、悪党の上前をハネる外道もお見通し。
 ロケ地、「天命堂」が露店を出すお堂、永観堂御影堂(ツナギにやってくるお豊が登る石段は池の橋から続く参道石段)。盗っ人に侵入されたことで叱責された金座役人・佐竹がクサって石を投じる池、永観堂放生池(後段の金箱投げ入れ現場/水深を測っていたことを親分に見抜かれ)。金座からお城へ御用金を運ぶルートの途中にある護持院ヶ原、下鴨神社糺の森、馬場(樋口さまたちが林に潜み、荷駄は馬場を来る。挿入される切絵図にある通り、木戸の柵があしらわれている)
*卍組首領は外山高士、鎖鎌使いでふだんのなりは易者。鍵形を取りに入り欲をかいて綻びを招く一味の男は内田勝正、大盗を手玉にとる毒婦は池玲子、金座役人は高津住男。*大半は八の胃におさまると思われるお出かけ用三段重、中身もぎっちり。

■ 将軍家光忍び旅 第13話「決闘!子の刻参上」1991テレ朝/東映

 居直り用心棒に苦しむ村、たまたま里に迷い込んだ竹之進はもちろん悪党退治に乗り出す。しかし思い余って将軍に直訴しに行った娘が彦左を連れてきて、悪党とつるんでいる郡奉行の人質にされてしまうのだった。誤解が解けて村人が団結するのもお決まり。

ロケ地
・お蔦が十兵衛をたばかり竹之進を誘い込む秋葉街道、不明(茶畑?)
・遠州森村およびみほの豊岡村、宇治田原の茶畑か。直訴に行った弥市がゴロツキに消される森村手前の林は酵素か。
・村人の回想、強盗が出て殺された庄屋一家、屋敷は民家門
・彦左とみほを人質にして竹之進を呼び出す天宮神社、鳥居本八幡宮(鳥居前に篝火焚き、彦左らは広場で木に括られ、竹之進登場は舞殿前から)
*居直り用心棒は和崎俊哉と堀田真三、つるむ郡奉行は伊吹聰太朗で配下に福ちゃんや小船秋夫。旅籠の主は村田正雄、直訴に行き殺される弥市は峰蘭太郎。

■ 水戸黄門37 第22話「嘘から出た真ごころ」2007.9.10TBS/C.A.L

 安達ヶ原も近い寂れた旅籠に泊るハメになる一行、客も稀なその宿を狙う者がおり、転がり込んでいるお調子者は悪党の手先。しかし内実は気のいいあんちゃんで、子を思う女将にほだされ悪事は働けないのだった。
 ロケ地、一行がゆく阿武隈川沿い、不明。二本松城、復元の二層櫓。旅籠・鶴屋、酵素民家セット(立ち回り等に河川敷)。宿の裏山に湧いている温泉、不明(崖地)。鶴屋を脅したあとヤクザたちが捨吉がマジで殴ったと笑う帰り道、大覚寺五社明神(後段、鶴屋乗っ取りを急かされる捨吉のくだりは祠脇)。当地を発つ弥七、大覚寺大沢池畔。一行がゆく野道、北嵯峨か。
*女将に野川由美子、捨吉は森脇健児、ヤクザは中田博久に石倉英彦、悪代官は原口剛。ラス立ち福ちゃんチラ出、陣羽織着てるからちょっと位高い?*鶴屋に就職の捨吉、ちゃっかり「水戸御老公お忍びの宿」で営業が大笑い。

■ 輪違屋糸里 (後) 2007.9.10TBS

 前編と同じく、端折るところもあるがほぼ原作に沿って進み、雨夜の芹沢暗殺へ。糸里は「薬」を仕込まずガチでの戦いになるが、鴨も五郎はんもお梅も斬られ、おいとは太夫に進み恋しい男とは別の道をゆく。桜木太夫の初道中でドラマは終り、小浜での吉っちゃんはナシ。
*八木家のお子たちが寝かされている部屋に殺陣が殺到、「鴨居の傷」もつく。どの場面でも血ドバ目立つ作り。*糸里の眼鏡はなかなかファンキーな可愛さ。
2007/9/9

■ 稲妻街道  森一生監督作品  1957.9.21大映

 簀巻きにされ危ないところを助けてくれた婆さんに深く恩を感じた半太郎は、毎年決まって訪ねてくる。その郷では、三州一帯を手中におさめる野望を抱いた貸元が、代官の威光を笠に着て各方面に魔手を伸ばし始めていた。
潰す先の不満分子を抱き込むのが二川の島蔵のやり口、田原の三右ヱ門の娘を好いていた男が婿取りにクサるのを利用する外道。三右ヱ門が殺されたあと復讐に行った子分も返り討ちに遭い、新婚夫婦が窮するところへ颯爽と現れるのが半太郎、彼は昔三右ヱ門が娘の婿がねにと望んだ男だった。
 ロケ地、登場する海浜は琵琶湖の松原、画面が薄暗く稜線がはっきりしないのでいずこと特定できず。渡船の情景には川、河原の礫はけっこう粗い。三右ヱ門の墓は西教寺か(湖を望む高台、対岸に三上山)。島蔵一味の夜襲に気付いた半太郎がおつうを家へ帰らせる夜道、不明(大きな両部鳥居をくぐる)

キャスト
浮巣の半太郎/市川雷蔵 伊予吉(お美乃の婿)/品川隆司 お美乃(三右ヱ門の娘)/浦路洋子 おえん/阿井美千子 おつう/市川恵美 おため/浦辺粂子 田原の三右ヱ門/荒木忍 股五郎/小堀明男 二川の島蔵/沢村宗之助

■ 輪違屋糸里 (前) 2007.9.9TBS

 ほぼ原作に忠実な「会話」で進み、音羽斬殺・大和屋焼き打ちを経て鴨の無理強いの糸里と平間の絡みで中ほど。セットはAKよりは開放的、八木家の縁先はよくできていた。隊士の調練に歩調を合わせてオイッチニの糸里のシーンは水海道の安楽寺。小浜の産屋から見える海は不明、鯖街道は室内セットで京の町は書割の関東撮り。
*新見錦は「しんみ」、山南敬助は「さんなん」と発音されていた。映像作品では「新味」かも。
2007/9/8

■ 遠山の金さん 第87話「お白州で実った恋」1977.6.23テレビ朝日/東映

 お転婆嬢様と中間が結ばれる話。主家の廃絶を伴うあまりめでたくない経緯だが、お奉行は恋の成就を寿ぐ。嬢様の父を悪事に引き込み政略結婚を迫った悪党どもは、もちろん金さんにブチのめされて一巻の終わり。
 ロケ地、遠乗りの菊について走る中間・六平、木津河原(葦原、河原)。材木商・木曽屋を強請った一味の手代が殺されて見つかる両国の水辺、広沢池東岸。青木を呼びつけ強請りで殺された者たちの調査を命じる金さん、大覚寺天神島に茶店あしらい。
*菊は江夏夕子、六平は森次晃嗣。朋輩に菊とのことをからかわれたり、旗本奴らにフクロにされたり、菊の名誉のためアリバイ申し立てを躊躇ったり、森次晃嗣はいつものように被害者まっしぐら。

■ 必殺仕事人IV 第15話「順之助いよいよ受験する」1984.2.10ABC/松竹

 馬鹿息子のお受験、偉いさんが思いつくのはもちろん不正。優秀な苦学生を、学費捻出のための姉の所行をネタに脅したうえ、二人ながら残虐に消した外道どもは闇の手に裁かれる。
 ロケ地、加代がお守りを売っていたり坂出親子が祈祷を受けに来る神社は今宮神社、苦学生が灯籠の下で勉強していたりと各所が使われる。瓦版屋の長次郎が月江とばったり会い、たった今見てきた弟の行為を告げるのも今宮の石橋、楼門。加代と順ちゃんが馬鹿息子を落馬させるのは下鴨神社馬場。主水の出陣はバンクフィルムか(妙顕寺の石畳っぽい)
*一味に瓦版屋がいて脅しネタに。長次郎は巨悪を撃つ手の男、主水の記事はフォーカスのパロ、構図も同じ。

■ オトンの宝物 2007.9.7NHK

 現代劇視聴は久しぶり、舞台が袖志と聞いての不純な動機。栗塚旭が草取りをしていた棚田はやっぱキレイだった。高井田の町工場もなかなか。

2007/9/7

■ 銭形平次 第500話「愚かな母」1975.12.10フジ/東映

 酔って息子の仕事場に来て金をせびり、親方にも悪態をつく伝法な女もやはり母。名人の錠前に手を焼いた凶賊に囚われ合鍵作りを強要されている倅を救うため、身の危険も顧みず捜査に協力。素行に関しては、已む無き境遇を季節感のある美しい映像でさらりと見せる。
 ロケ地、酒肆で兼吉が凶賊の蔵破りに加担という噂話を聞いたお元、店を出て佇む船着きは大覚寺大沢池船着(小)。幼い息子の言葉を思い出しながら歩く道は放生池堤。一味の手がかりを掴むため賭場で芝居を打って出てきたお元が座り込む川辺、上賀茂神社ならの小川(平次らは祠裏に潜み)。事件解決後、親方の店に戻らず川浚いの仕事をする兼吉、大覚寺御殿川河床(有栖川合流手前)
*お元は阿部寿美子、たしか「玉梓が怨霊」の人。兼吉は小野川公三郎、親方は谷口完。夜がらす一味の首領は高橋信行、手下に柳原九仁夫や川谷拓三。お元の男は長谷川弘。*逮捕のタイミングは金座襲撃一歩手前。*万七を番屋から引き離して仲間を破牢させる手口は「そこで殺しが」の定番ネタだが、「素っ裸の女が」に誘い出される万七親分が大笑い。

■ 将軍家光忍び旅 第12話「大井川、決死の関所破り!」1991テレ朝/東映

 島田宿、晴れても続く川止めには裏。江戸家老の悪行を国表に知らせる使命を帯びた若衆姿の美姫を助けたり、ピンハネ役人に逆らって失職した川越人足と共に戦ったり、竹之進はまたひとつ世間を見て成長する。

ロケ地
・「大井川」の濁流は東映作品でしょっちゅう出てくるバンクフィルム。島田側の大井川土手は木津堤。流れ橋上手右岸堤下の「民家」も映り込む。
・若衆姿の「姫」一行を襲う家老方の剣客は広沢池か大沢池堤か。
・川会所役人に逆らった気骨の川越人足・半七の塒、酵素河川敷に小屋あしらい。
・半七らを襲う役人と斬り結ぶ十兵衛、大覚寺天神島(剣客との対決も)
*大井川渡しで「川」が出てこない珍しい例。ラストで輦台に乗ったお蔦が出るが、これも堤法面のみ。当たり前だが流れ橋も一切映らない。*姫は松本友里、中間に身をやつしたお供の柿右衛門は中井啓輔。家老方の剣客は久富惟晴、半七は伊吹剛。

■ 刺客請負人 第7話「密命 刑部抹殺」2007.9.7TX/松竹

 横行する辻斬りを的の依頼が、刑部を名指しで来る。依頼主は六郷藩、仕了せた後の刺客の始末には刑部の剣友が選ばれ、彼には任務完遂後の自裁が命じられていた。

ロケ地
・六郷藩下屋敷、大覚寺大門
・闇猫のアジト、丹波国分寺門、石仏群(前に彼岸花あしらい)、本堂。
・おみつの名を呼ばわるお六、大覚寺護摩堂(裏側からの撮り)。駆けてくるおみつ、放生池堤。刑部とお六はおみつにその先にあるものを見せまいとする、視点の先は松竹オープンセットの橋たもとに切り替わり、おみつの母の夜鷹の死体がある(辻斬り被害者)
・葛又五郎が語る事の経緯、本家筋から話が来た養子の正体を知り評定の国家老たち、六郷藩城イメージに大阪城千貫櫓
・刑部が徳松にはかり噂を流させ、辻斬りを誘き寄せる清水山(柳原土手近くの小丘)大覚寺天神島。現れた辻斬りとの立ち回りは有栖川河床へ移動、かねて用意の仕掛けに誘い込むくだりはセットにスイッチ。
・辻斬りたちの始末後に又五郎と立ち会った刑部、友の亡骸を運んでゆき出てきた藩士たちを恫喝する上屋敷の門、仁和寺本坊表門
*刑部の旧主家が辻斬りの若様を始末すべく依頼を掛けてくるのは原作と同じ、元々刑部追捕を命じられていた剣友との決着をつける話を入れてあるので、生け捕った辻斬りのその後が異なる。また、若様の身分やお供の剣客の流派も変えてある。*刑部の状況を聞いた闇猫のお吉が、己の前身を匂わせる場面を入れてある。*六郷藩国家老に西田健、養子候補の若様始末を刑部にと提案する組目付は勝部演之。刑部がアドバイスを受けにゆく、辻斬りと立ち会って辛くも生き残った浪人はベンガル。若様付きの剣客の一人に峰蘭太郎、ドラマでは小野派一刀流の遣い手で、柳生ではない。
2007/9/6

■ 銭形平次 第499話「金貸し武士道」1975.12.3フジ/東映

 息子の仕官のため金貸しで稼ぐ浪人、やっと口を見つけた段で矢継ぎ早に災難が降りかかるが、裏には外道の仕込みがあった。裏を取るのに命懸けの行動に出る親分、悪党に胸のすく啖呵を切る。
 ロケ地、おみつの身代金について父に頼らないと親友に言い放つ欽吾、大覚寺大沢池畔。龍野藩邸を聞き込んだ帰りを襲われた八、倒れているのを清吉が見つけるのは大覚寺護摩堂前汀。身代金受け渡しに指定の下谷稲荷、大覚寺天神島祠
*金貸しの父は小林昭二、倅の欽吾は小林芳宏。欽吾の親友は達純二、仕官を世話する「龍野藩士」は佐伯徹。*下山浪人にぺこぺこして捜査も安請け合いの万七、やはり借りていて大笑い。

■ 将軍家光忍び旅 第11話「峠に吹いた地獄風」1991テレ朝/東映

 駿河を発った一行は鞠子から岡部へ、一帯を支配する手越代官はかつて竹千代ぎみに漢詩を手ほどきした男で、懐かしんで会いに行った竹之進は彼に違和感を感じ訝しむのだった。

ロケ地
・宇津ノ谷峠をゆく手越代官・河合四郎兵衛、湖南アルプス。角造を呼ばわるのは若布谷流れ込みの天神川河床、馬で渡渉。兄の亡骸を谷底に投げ捨て、代官の衣装をまとった角造が剣を振り上げるのはアルプス山頂部のガレ場。ここから周囲の山なみにパンする映像があり、大戸川谷口や瀬田流域が遠望される。
・駿河府中を発った将軍の行列がゆく街道、北嵯峨農地竹林際。竹之進が十兵衛に会いたい人がいると話す街道も北嵯峨か(田畔の水路際、遠景に愛宕と思しき山なみ)
・手越代官に疑問を抱いた竹之進が代官の叔父の宿役人に会いに行くくだり、農婦に所在を尋ねるのは北嵯峨の田か。釣りをしていて襲われ殺される宿役人は広沢池北西岸にセットの桟橋、ここへの道を辿る竹之進は西岸湿地。
・鞠子宿へ向う将軍の行列、随心院参道木津堤木津河原(水辺は安倍川設定か)
・父代官に持病の薬を届けに行く娘・伊乃と「お供」の恋人・中原が襲われる宇津ノ谷峠、湖南アルプス
・将軍の行列がゆく宇津ノ谷峠下り道、不明(山中の小道で駕籠がぐらぐら)
・代官の娘が襲われたと竹之進に報告する早苗、鳥居本八幡宮祠脇。
・代官の身辺を洗えと影丸に指示する竹之進、北嵯峨農地陵付近(庭石が積まれた道端)
・鞠子宿の茶店に負傷した中原を置き、一人で岡部に向う伊乃がゆく宇津ノ谷峠、湖南アルプス・若布谷
・伊乃が襲われるところへ駆けつけ賊を撃退する竹之進、鳥居本八幡宮小柴垣〜広場。
・秘仏を奪った賊が将軍のなりをした亀助(新吉の危機を察知し自ら身代りに)を吊るす岡部宿はずれの竹林、鳥居本八幡宮広場。
・岡部宿を発った将軍の行列が渡る橋、流れ橋。父代官の墓に額づく伊乃と中原、湖南アルプス。藤枝へ向う竹之進一行が乗る渡船、広沢池(これに先立って「北岸」を西から東にパン、飛び立つコサギの群れが映り込む/設定は一旦鞠子へ戻って駿河湾か)
*手越代官と双子の弟の角造(凶賊の首領)は葉山良二の二役、手下に森章二や井上茂、宇津ノ谷峠で伊乃を襲う手下の一人に福ちゃん。*角造の狙いは黄金仏、将軍の上覧に入れるため出されてくる秘仏で寺は「そうあんじ」と劇中称されているが、具体的設定場所は不詳。
2007/9/5

■ 銭形平次 第498話「愛のきずな」1975.11.26フジ/東映

 子連れ男と縁をもった女の情話。娘を案じ田舎から出てきた母も、身を引こうとする「亭主」も遂には情にほだされてゆく。親分は、尚怖じる男の背を押す役回りを演じる。
 ロケ地、池端(?)で身投げしかねぬ風情だったお加代の母を保護する健太、大覚寺大沢池堤(健太は桶担いで堤を来て、堤下の木杭の上に立つ「母」を見る)。質屋押し込みの片割れを捕えにゆく弥生神社、赤山禅院本殿(捕物のあと、帰りあぐねて野宿した卯之吉が本殿床下から這い出てくるのに遭遇)
*お加代は京春上、卯之吉は荒谷公之、加代の母は戸川暁子。

■ 将軍家光忍び旅
 第10話「陰謀渦巻く駿府城 家光を狙う死の釣天井」1990.12.29テレ朝/東映

 世に不仲を喧伝される弟・駿河大納言と対面しようとする家光、しかし駿府へ入るや風魔の襲撃は苛烈を極めてゆく。家光を憎悪する忠長、遠因は幼時のトラウマだったが、将軍となった兄に害意を抱くに至っては、裏で糸を引く者がいた。そして風魔を操る真の黒幕も姿を現す。

ロケ地
・駿府入り前に家光を殺せと風魔忍びに指示が出される野原、酵素河川敷
・駿府城を見やる暗峠、谷山林道切り通し(風魔の襲撃は両側切り通し)
・竹之進の前で忠長の悪口を言ったお蔦をよそへ引っ張ってゆく太助、神護寺五大堂裏手(六部姿の風魔衆がわらわらと湧き、二人は林間へ転げ落ちる)
・本陣、嵐亭門(葵紋の幔幕あしらい)
・駿府入りした結城主従が仰ぎ見る駿府城、書割か。
・忠長が将軍立ち寄りと報告を受ける馬場、嵐山東公園か。
・将軍来訪で急遽作った駿府城内の持仏堂(神君の分骨を祀る)大覚寺心経宝塔(ここに釣天井仕込み/内部はセット撮り)。階を降りてきた忠長に父の仇と向かってゆく結城姉弟は護摩堂裏から、失敗し逃走。
・忠長の回想、15年前「家光が家来を斬った」江戸城内、大覚寺宸殿白州
・都築が風魔と密談する屋形船、広沢池東岸
・結城千鶴が話す母の死の経緯、帰らぬ母を案じ父と忠長の別邸へ急ぐ道、大覚寺大沢池(堤下の杭上を走る)
・町に人相書を張りだされてしまった千鶴たちが身を寄せる猟師・冬吉の小屋、酵素ダート待避所に設営か。
・蕎麦を食っていると襲われたうえ店を爆破される竹之進、木津河原か。
・船で逃れる一行、桂川か(岸辺に傷つき逃げてきたお蔦、千鶴たちの急を知らせる)
・駿府藩家老・森山弾正邸、妙心寺大通院門。
・蹴鞠のトレーニングに音を上げる新吉、嵐亭延命閣。竹之進が伊豆に千鶴たちを預けに来る段では門内側と延命閣庭入口が映る。
・冬吉の試し撃ち、酵素河川敷
・竹之進を狙撃する冬吉、木津河原
・家光は必ず忠長に会いに来ると話す都築と森山、大覚寺天神島と朱橋。
・城門に出て家光を待つ忠長、大阪城青屋門。単身橋を渡ってくる家光は極楽橋(天守は映さず)
・閉門になった都築安房守邸、妙心寺隣華院門。
・駿府を出立する将軍の行列、随心院参道木津堤(バンク映像)。これを見る竹之進のくだりは南禅寺へスイッチ、僧堂坂・南門前を行き過ぎる行列を見るのは参道との間の林間、千鶴たちが挨拶に出て、お忍びの忠長が遠くから竹之進に目礼。参道をゆく竹之進たちを見て呪詛の言葉を吐く都築は僧堂坂、三門越しに経蔵のほうから来る竹之進を映して幕。
*忠長は金田賢一、家老の森山は江見俊太郎。結城千鶴は渡辺梓、父は長谷川明男で弟は青井敏之、若党は芝本正。風魔鉄石は原口剛、冬吉は藤岡重慶。大御所は丹哲。*ひたすら爽やか設定で愛憎ドロドロはスルー気味の三田村家光、今回の駿河大納言とのトラブルも明朗に切り抜けるし、春日局は容喙するどころか新吉を構っている始末。一応ナレーションでその後の史実を匂わせてはある。*駿府城を見やる峠は「くらがり峠」と風魔鉄石の発言、暗峠の字を宛てたがふつうこの表記では阪奈境のR308。
2007/9/4

■ 銭形平次 第497話「蟻地獄」1975.11.19フジ/東映

 つまらぬ物欲のため生き地獄を見る女、親分の明晰な推理で罪は着ずに済むが、静穏な暮らしは戻ってこない。無法な金貸しの検挙で救われる者のエピソードを入れ、重く沈む展開を情話で締める。
 ロケ地、清次郎に切りつける親爺、今宮神社石橋(金貸しごと連行の運び)。お信の回想、お紋の口利きで清次郎に引き合わされ素人くさい芝居に騙された池端、大覚寺大沢池畔。
*証文通りと言い張る清次郎の言を容れ高金利被害者の親爺を冷淡にあしらう平次、いけしゃあしゃあと番屋を去る悪党どもを見送る怒りに震えた表情が傑作で、このあとの啖呵も生きてくる。*暗ぁい話に盛り込まれる笑いは、八の障子破りと万七の泣き落としの小道具の店屋もの奢り。*鼈甲の簪を買ってしまうお信は三好美智子、笑顔を見せる僅かな場面も寒い暗さが絶妙。邪推でとんだ仕儀となる亭主は牧田正嗣。カモの前で低金利のウマい話を開陳する毒婦は長谷川待子で金貸しヤクザは灰地順。

■ 将軍家光忍び旅 第9話「心優しい暗殺者」1990テレ朝/東映

 浪人の悲哀を描く話。たださえ苦しい暮らしのなか助け合う彼らを、使い捨ての道具にして猟官運動資金を作る悪代官。あろうことか竹之進を隠し目付と誤認し、浪人を刺客に使い始末しようとして墓穴を掘る。

ロケ地
・藤巻浪人の娘の目を治すため分のいい仕事を求めに行った仲間の松枝が、悪党の企みを立ち聞きし斬られる坂、不明(脇は石垣、登りきったところにお堂)
・松枝の墓、二尊院墓地(代官の情婦が竹之進こそ松枝殺しの犯人と吹き込み)
・竹之進に追いついてくる藤巻、北嵯峨農地竹林際。安倍川餅を食う茶店、広沢池東岸にあしらい・竹之進の背に殺気を込める渡し場もしつらえてある。
・娘を人質に取られた藤巻が竹之進を斬ろうとする海岸、琵琶湖西岸松原。
・興津を発った竹之進に追いついてくるお蔦、広沢池東岸(対岸に富士山合成)
*藤巻浪人は沢竜二、興津代官は遠藤太津朗。代官の手下の一人に福ちゃん、身延参りの法華信徒の扮装。*藤巻に浪人救済政策を乞われた家光の件には、微妙なナレーションが入っていて笑える。

■ 素浪人 月影兵庫 第7話 2007.9.4テレ朝/東映

 領民が拠出した金の記録を焼いて誤魔化そうとはかる城代、半次と兵庫を火付けの犯人に仕立てる荒事に出る。正義感の強い藩主のご母堂が悪党の企みを挫こうとするが、この尼様は兵庫と祝言目前で引き裂かれた、師匠の娘なのだった。

ロケ地
・きつね雨の降る街道、東焼田橋に似た橋続きの地道。
・文書庫に火をつける悪党が巣食うお城、遠景は彦根城天守
・半次が文書を燃やす役人を見る葦原、西の湖か(この前に出る橋は冒頭のそれと同じ)。追われ捕まるシーンは広沢池北西岸にスイッチ。
・白秋院(藩主御母堂)が住まう寺、宝厳院門。
・当地を発つ兵庫、山室堤道か。
*白秋院はかとうかず子、弟の蔵人は小沢和義、城代は深水三章。*場所の設定はテレ朝公式サイトによると「滋賀藩」…それっていったいどこ指してるわけ。
2007/9/3

■ 銭形平次 第496話「雨あがりの虹」1975.11.12フジ/東映

 神様のような寺子屋の親子に忍び寄る黒い影、遂に先生は殺されてしまい、残された娘が父の遺志を果たそうとするのを助ける親分、侍相手に果敢に立ち向かう。
 ロケ地、父の死後おゆきが語る事の真相、双子で生まれた若君の片割れが捨てられ日向親子に拾われる南部城下、大覚寺御殿川畔草叢。赤子を抱いて城下を去る父子、相国寺方丈塀際か。若君が預けられていた鶯谷の農家、不明(塀越しに萱葺屋根を望む/イメージのみ)。おゆきの回想、若君を連れて旅した川辺、不明(浅い川)。若君を養育した日々の情景、若君と蝉とりの日向、大覚寺護摩堂前。夜鷹を装い日向宅へ潜り込んでいたお仲が南部藩士・木原を呼び出し難詰する祠、大覚寺五社明神祠脇。虫の息のお仲から木原の名を聞いたあと、木原を呼び出し殿様に会わせる算段をはかるおゆき、相国寺鐘楼裏手碑脇。木原が指定した千住大橋へ若君を連れて歩むおゆき、北嵯峨農地竹林際(陵の方から襲撃者が現れる)。殿様の駕籠が着く上屋敷玄関、相国寺林光院式台玄関
*日向先生は左右田一平、ビジュアルも性格設定も裏通り先生そのまま、漬物切ってきたりするあたりは権田はんみたいでおかしい。おゆきは望月真理子、タイトルは子供相撲の行司をつとめる彼女を見かけた平次の表現。最初から怪しい感じの木原のおじ様は穂高稔。

■ 将軍家光忍び旅 第8話「母恋い街道小さな目撃者」1990テレ朝/東映

 吉原宿で丁稚奉公をしている乙松少年と道連れになる竹之進、旅芸人の母に会える村へ急ぐ乙松だが、領内は何やらキナ臭く凶事に巻き込まれかける。後段は乙松の危機を救ってくれた正義の士の話、悪家老糾弾を志した一派が腐敗し強盗団に成り下がっていたり、将軍に駕籠訴した青年が無礼討ちになったりの大騒動。どっちもワルい二派は竹之進がさっくり成敗。

ロケ地
・蒲原城、彦根城。本陣に打ち込まれた火矢の件について家老の報告を受ける殿様は天守下、部下と犯人について忖度する家老は天秤櫓下石垣際。
・蒲原へ向う竹之進と乙松たち、琵琶湖西岸(乙松が魚とり)
・吉原を発ち蒲原へ向う将軍の行列、水辺不明、林の際は北嵯峨か。
・竹之進たちが昼飯を食いに入る鰻屋、桂川羽束師堤(将軍来るのお達しで営業自粛中)
・竹之進が鰻飯を作る間遊んでいた乙松が強盗殺人を目撃する土手、大覚寺大沢池畔大沢池堤を組み合わせ。追われた乙松が逃げる堀は有栖川河床
・塩の代金が強盗に盗まれたと報告を受ける家老、彦根城観月台への橋
・人殺しを見たと竹之進に駆け寄る乙松、不明(山中のダート)
・領内へ入ろうとすると封鎖されていて乙松を泣かす関所、大覚寺大沢池堤
・乙松の母がいる旅の一座が村人に迎えられる鎮守、鳥居本八幡宮小柴垣〜鳥居下。
・蒲原藩の内情について報告する十兵衛、不明(松の根方、琵琶湖畔か)
・強盗の現場を見た乙松が始末されかかる田畔、不明。
・乙松を助けてくれた青年・川辺に託された訴状を携え城に乗り込む竹之進、彦根城天秤櫓
・蒲原を発ち旅を続ける将軍の行列が渡る橋、流れ橋。母に会えた乙松が竹之進と別れ奉公先へ帰る海辺、琵琶湖西岸
*特産の塩で私腹を肥やす悪家老は近藤宏、これを糺そうとして下野するも志腐り果て強盗も働く始末の元次席家老は山本清、殿様は大竹修造。乙松の母のいる一座の座長は福ちゃん、息子が来るまで待ってと縋る母を容赦なくビシバシ打擲。手踊りの際太鼓叩いてる姿もなんとなくコワいがお客には愛想よし。

■ 水戸黄門37 第21話「おとぼけ主従の珍道中」2007.9.3TBS/C.A.L

 風采の上がらぬ主の供をしながら人捜しの老僕、養子に出した倅を見つけるが、養親は陥れられ改易の憂き目を見ていた。
 ロケ地、白石へ向う一行が休む河原、由良川か。白石城下へ向う途中、仙台藩祐筆が馬を御しかねて暴走するのを助ける道は大覚寺大沢池北辺並木、落馬した祐筆の手当てをするのは天神島祠脇。白石城、本物の天守(祐筆が入ってゆく城門は東映城)。前紙奉行の息子・鹿之介が紙梳きに励む家、美山民家。祐筆が紙奉行の日誌抜け落ちの話をする寺、神光院(山門に駒繋ぎ、和尚と話すお堂は中興堂)。祐筆に白石を出るよう脅すヤクザ、映画村内「広隆寺」塀際。老僕・峯蔵に幼子を養子にしたと聞く老公、大覚寺石仏前。
*峯蔵は赤塚真人、藩史編纂のお役をつとめる主は山田吾一。鹿之介の養父を陥れた現紙奉行は河原崎次郎、つるむ悪徳商人は和崎俊哉、監督不行届の殿様は鷲生功。
2007/9/2

■ その前夜 萩原遼監督作品 1939.10.21東宝

 高瀬川三条小橋越しに「池田屋」を望む旅籠・大原屋、その日常をフレームにして幕末のひとこまを描く。
最近些か左前の大原屋、主は池田屋の主人と将棋友達で入り浸り。事件の前に待った待たぬで大喧嘩、「その日」は池田屋におらず難を逃れる。
長兄は友禅職人だが、洗い屋をはじめて新選組に出入りし仕事を貰う。
姉娘は先斗町の芸妓、実家へ立ち寄るたび叱られ、よそ者扱いと拗ねる。
妹娘は家の手伝い、若い新選組隊士と淡い恋をするが、その男は手柄を焦り池田屋事件で斬り死に。
旅籠には長期滞在の泊り客がいて、絵描きの浪人。志士ではないが、亡き友の妻女が地下活動に関わっており、事件当日は彼女の身を案じ探し回るうち新選組が池田屋に討ち込み、騒動を町衆とともに傍観する立場に。

ロケ地
・友禅流しの川、鴨川と推測。設定も鴨と思われる。流量はたっぷり、右岸堤で隊士が調練、左岸には町屋が建ち込み護岸は石積み。左岸側には礫河原が広がり、隊士の有田や松永が休んでいて川中に仕事中の彦太郎が立ち込む。堤が今ほど高く見えないのは、浚渫前ゆえか。
・新選組屯所、不明。塔頭か。
*大原屋と周辺のセットが出色。池田屋との位置関係がわかりやすく、大原屋自身の立地もよく「現地」を考慮して作られていて、鴨の水を望む勝手口側の路地が印象的。瑞泉寺の道標もある細かさが楽しい。*この映画は山中貞雄追悼作品で、監督の遺稿「木屋町三篠」が原作。脚本は「梶原金八」名義の鳴滝組。

キャスト
瀧川仙太郎(大原屋泊り客)/河原崎長十郎 彦太郎(長兄)/中村翫右衛門 お咲(姉)/山田五十鈴 おつう(妹)/高峰秀子 安田東馬(隊士)/橘小三郎 松永恭平(隊士)/市川扇升
2007/9/1

■ 遠山の金さん 第86話「逆恨み」1977.6.16テレビ朝日/東映

 執拗に商家の主夫婦を狙う浪人たち、辻斬り強盗にまで身を落とした彼らの憎悪は完璧な「逆恨み」。夫婦を保護し悪党どもを捕まえるプロセスを独特のタッチで描く、結束信二脚本になる一話。
 ロケ地、お仙の船宿を引き払ったあと浪人たちが清兵ヱを斬る相談をぶつ林、赤山禅院境内西側池端の林、水面も僅かにのぞくほか「小屋」がまだ建っている。
*清兵ヱは島田順司、女房は佐野厚子でなかなかに濃い被害者を好演。元水戸藩士の浪人たちは沼田曜一、伊吹聡太郎、上野山功一、五十嵐義弘とこれも濃すぎの面々。*主らを保護したあとの桝鍵屋で「人がいる芝居」の青木さまも見もの。

■ 必殺仕事人IV 第14話「主水節分の豆を食べる」1984.2.3ABC/松竹

 外道に堕ちた元締を諌めリンチに遭った青年は、時を経て立ち戻り掟を復そうとするが、信じていた仲間はとうに心を腐らせていた。
 ロケ地、秀が小平次の殺しを目撃する鎮守、鳥居本八幡宮(本殿前、広場、竹林)。秀が傷を洗っていると小平次が羽交い絞めにしてピンチ、中ノ島橋下河川敷(秀を探しにきたお民が岸に現れる)。霞の平蔵の茶亭、阪口青龍苑茶亭(イメージのみ)。爆破される小平次の隠れ家、酵素か。元締と対決をはかるも「仲間」に見返られ殺される小平次、広沢池東岸
*小平次は村上弘明、元締は戸浦六宏で手下は堀内正美と下元年世。
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