時代劇拝見日記
2010年10月

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2010/10/31

■ 森の石松鬼より恐い  沢島忠監督作品 1960.11.22東映

 石松芝居の舞台演出家がタイムスリップし、当の石松になってしまう。ひとくさり抵抗したあと、石松としてやっていくほか無いと腹を決める男だが、彼は石松の運命を熟知する者であった。
 運命は変えられると励ましてくれる恋人とともに金毘羅代参に出る「石松」、しかしどう抗おうとも閻魔堂を避けては通れず、筋書き通り石松は都鳥一家に襲われ膾に。「石松」としての息をあきらめて崩れ落ちる男、そのとき再び不思議が起きる。

ロケ地
  • 乗らない舞台に嫌気がさし銀座へ繰り出す石井、望遠で導入の市街は東京か(都電が高架をくぐる)
  • タイムスリップし、石松に変じて目覚める石井、三保の松原
  • 富士の裾野をゆく石松とおふみ、富士演習場か。夕景の海辺は不明。
  • 佐吉に預けられてしまった千両を抱えて旅ゆく石松、木津堤(下は茶畑)。賭場荒らしが追われ斬られるところに出くわすくだりは木津堤法面の道、セット併用。
  • 賭場荒らしに託された幼児を連れて三人で旅ゆく石松たち、不明(堤道か、河畔林は竹ほか雑木)
  • 石松たちが小休止していると、千両入りの荷物を盗まれかかる川辺、保津峡落合河口。
  • 御難続きの旅にキレたおふみを宥める石松、旅ゆく三人の遠景イメージは流れ橋
  • 伏見船番所を訪ね、佐吉の老母は河内へ行ったと聞かされ、そこへ行くべく乗り込む三十石船、宇治川下流部(撮影は右岸から)。流れはゆったりとした瀞、堤上には並木。船上で「追っ手」とトラブルになり大立ち回り、何人かは川に叩き込まれ。佐吉の嘘を知り癇癪を起こした石松が金箱を水に放ったあとには、残ったヤクザ全員金を追って川にザブン。
  • 兼吉に頼られた都鳥一家が石松への追っ手を出すくだり、松明かざし夜の町を走る都鳥の子分は大覚寺放生池堤。このあと、その灯を遠目に見て火祭りと誤解するシーンはインドアセット、七五郎の家も閻魔堂もセット。

2010/10/30

■ 喧嘩鴛鴦  田坂勝彦監督作品 1956.5.25大映

 叔父さんに頼まれて密書を届ける若者の道中は、女難剣難の連続。どんな女も惹きつけるモテモテ男なうえ、剣をとっては無双の腕の新八郎だが、口癖が「馬の屁」だったりして、どこかお間抜け。
三条大橋からお江戸日本橋まで、賑やかな東下りの「上がり」は、晴れて兄に認められての出世。関わったトラブルもきれいに片付け、また旅空の新八郎は爽やかに笑う。

ロケ地
  • 二組の女たちを避けて三条大橋の橋桁にぶら下がる新八郎、橋はオープンセットで、ぶら下がった際に見える河原はロケ(河原は礫、遠景に河畔林と土手が見える。桁隠しと橋脚も映っていて、橋が河原に影を落としている)
  • 足を痛めた女が新八郎に助けを求めるも頭天堂を見て逃げる街道、不明(二川合流点の堤か、家の軒が土手に接している)
  • 虚無僧姿の倉地一角が、鳥追い姿のおけいを呼び止める街道、不明(一角が座っているのは用水路畔、おけいが来た道には天井川堤を越す坂が見える。用水路脇にも土手があり、竹の河畔林が沿う)。おけいがピストル出して脅しをくれて去ったあと、京都所司代家中の穴沢たちが通りかかる。
  • 祭りで賑わう草津神社、梅宮大社。楼門前にたくさんの人出や露店があしらわれ、頭天堂と新八郎がいる「矢場」の屋台につなげる。ここへ悪者に追われていると女が駆け込んできて新八郎が連れて逃げるくだりは、東参道から堀の石橋を渡って神苑へ、池側には掛小屋か何かの葭簀があしらわれ目隠しに。神苑に入ったところで女が殺されてしまい、柳生大和守への届け物を託される。穴沢らは新八郎に詰め寄るが、古典ギャグで逃げられ。
  • 草津宿を発った新八郎がゆく山道、谷山林道か。鷹司の姫と称する女と、妙にきれいな若衆が通りかかる。
  • 熱田の旅籠で、姫と誤認され穴沢たちに捕まった角兵衛獅子の姉弟を助けるくだり、囮をつとめ逃げてきた新八郎を呼び止める角兵衛獅子の子・太郎吉、琵琶湖岸松原(夜設定、湖面が光っている)
  • 鷹司の姫と若衆が一角に悪さをされるくだり、不明。まずちゃっきり節入りで茶畑が出て、奥に富士山。茶摘み娘たちが帰る田畔を映し、街道にパンすると姫たちがいる運び、その道は田から少し高く、反対側には水路があり向うは一段と高くなっていておけいがその上の道を来る。おけいは彼らを見かけて法面を駆け下り、欄干の無い小橋を渡る。一角が若衆を連れ込む小屋は林の中、しかし開けると新八郎が中に。このあと斬りあいになるが、山腹の模様。
  • 柳生大和守の舎弟と名乗り、りゅうとした姿でお供に姫や頭天堂を紛れさせて通る関所、不明(湖畔松林か)
  • 酒匂川渡し、不明(山峡から出たあたりのけっこう幅広い川、河原は礫で河畔林は竹、流れはかなり早く水量も豊か。芸者衆がやって来て穴沢らの目をあざむくくだりでは、土手の向うに民家が見える)。頭天堂と新八郎の女装が見られる。新八郎に逃げられてがっかりの姐さんのシーン、対岸堤に車が走っちゃっててアレ。
  • 江戸、柳生屋敷、大覚寺大門。新八郎や穴沢らの出入りの際には、参道も映る。
  • 弟を伴って登城する大和守のくだり、お城イメージは二条城、東大手門前から東南隅櫓を望む図。大和守がゆく御廊下は仁和寺書院廊下(東面)、将軍が頭天堂の話を聞くのは仁和寺宸殿前縁、頭天堂は前庭白州に。新八郎の足もとに一角の果たし状が飛んでくる廊下はセット。
  • 一角と果し合いの護持院ヶ原、不明(湖畔の松林。頭天堂が一角の素性を明かし告白するくだりで見える水面は、内湖っぽい。新八郎が機転をきかせて衣で仇を討ち、姉弟と駆け去る道は広大な草原)
  • 姫が駕籠をとめ新八郎たちを見る街道、琵琶湖畔。松原脇の地道を街道に見立て、新八郎たちは田畔に控えていて、田越しに荒神山が見える。松林越しの湖面の絵では、多景島がちらり。

2010/10/29

■ 服部半蔵 影の軍団 第15話「地獄を招く妖僧」1980.7.8関テレ/東映

 幼君奪還を依頼された半蔵は、事の困難さを鑑み、伊賀の里で助っ人を徴募。紀州へ向かう道中からして危険がいっぱい、あろうことか半蔵がやられ脱落というハプニングが出来。裏切りも出て幼君あわやの危機に、お約束でおかしらの復活。

ロケ地
  • ひとり紀州への道を辿る半蔵、高山寺参道。外道衆が襲ってくるのは脇参道、巡礼姿の大八らが合流。
  • 伊賀の里を遠見する山道、谷山林道頂上付近。
  • 墓石を鎖で戒められた服部家の墓、二尊院墓地。禁じられた墓参に来ていて咎められた老婆、半蔵と再会しての回想、初代半蔵が甲冑つけて馬を駆る野原、酵素河川敷。伊賀の里人に助けを依頼する半蔵、二尊院湛空上人廟前、石段の手すりには竹カバー。
  • 江戸から来た阿里助が合流したあと、紀州目指してゆく半蔵たち、谷山林道切り通し(遠望)。一旦断った仁王吉らが思い直して合流のシーンは酵素ダートか北嵯峨か。
  • 紀州山中で迷う一行、梓巫女に道を聞くくだり、林道か。
  • 女外道衆だった巫女の襲撃を受けた翌日、岩壁を這い登る一行、保津峡。書物岩を登攀していると、落下岩から巫女が半蔵の背に槍をブスリ→「半蔵」谷川に落ちて以降消息不明に。ここの設定は紀ノ川上流。半蔵失踪後、和歌山城乗り込みの算段を話す大八、保津峡落合・巌上。
  • 和歌山城、イメージに本物の天守。城代に取り次ぎを申し出る外道衆の老爺のくだり、城門は彦根城天秤櫓。城代と会うくだりに挿まれるお城の庭イメージは彦根城玄宮園
  • 雲水に化けた大八らが城にやって来るくだり、城門は彦根城天秤櫓で、囚われの幼君が天守から見下ろす絵に和歌山城天守から二の門を見る図(イメージカット)。雲水に狙いを定める銃口、彦根城石垣や太鼓門櫓など。幼君付きの腰元・美和が大八らに向けて放った矢文が刺さるのは彦根城観音台橋、ここで銃撃され伊賀の里の二人がやられ、お霧も足を撃たれる。
  • 美和の矢文に記されていた岬の洞窟、および城の水門、不明。
  • 江戸城イメージ、姫路城天守。浄空に唆された孝子が、尼将軍として立つべく大法要に出るための衣装を着込んでいるくだり。
  • 前将軍・家光の大法要当日、うきうき道長の歌なんか吟じていた頼宣が無事な幼君見て呆然のくだり、お寺イメージに東寺、金堂甍越しの五重塔。

2010/10/28

■ 服部半蔵 影の軍団 第14話「将軍蒸発!女狐の陰謀」1980.7.1関テレ/東映

 家光に顧みられなかった御台所、憎悪はその子である家綱に向けられる。手を貸す怪しの一団あり、遂に幼君を誘拐。保科の爺さまに泣きつかれた半蔵は、知ったことかと嘯くものの、己が胸に縋った幼な子の顔が脳裏を去らないのだった。

ロケ地
  • 粗朶を運ぶ瓢六、半蔵が現れて荷車を後押しし西瓜食って小休止の坂、毘沙門堂参道坂。いきなり飛び道具で西瓜割られて、前後を荒法師に固められる。
  • 荒野聖・浄空が孝子に会うくだり、お城の庭イメージは玄宮園か。
  • 長持に入れられ城外へ連れ去られる幼君、荒法師が出て駕籠舁きを倒す町角は相国寺境内か。
  • 頼宣と会い幼君を殺める企みを協議する浄空、紀州邸の縁先は毘沙門堂宸殿。枝垂桜の若葉が繁っている。
  • 家綱は芝浜御殿にいると孝子に吹き込まれたお楽の方、罠と言い聞かせても納得しないので連れ出すお霧、大覚寺有栖川と御殿川の河床。お楽の方が息絶え絶えなさまを見る半蔵は勅使門橋の上に。
  • これ見よがしに置かれている長持、予想外の集団が出てくる御殿(?)、不明(山の斜面、他作品でも見た覚えあり、萱場か)

2010/10/27

■ 服部半蔵 影の軍団 第13話「真夜中の美女」1980.6.24関テレ/東映

 大八ばかりか、田舎に暮らす老爺まで狙われる伊賀一族。かたや、町では枯れ井戸を甦らせ病人を癒す「世直し様」が大評判、束ねの美女の正体がお話のツボ。

ロケ地
  • 世直し様の寺、善峯寺。髪結いに来たお霧がくぐる山門、境内石垣際など出て、甦ったという「井戸」は釈迦堂前の水場、石段から見上げで屋形が映るアングルも。後段でも、山門や境内坂が出る。内部はセット撮り。
  • 草加宿はずれに住む、父の片腕だった爺さまを訪ねる半蔵、道は酵素ダート、老爺の住む家は河川敷奥に小屋あしらい。荼毘に付していると川べりに怪しの老婆が現れ、竹林から「一味」の山伏が殺到。
  • 雉子の湯の常連の軽業師が気触れて彷徨う市中、中ノ島橋下河川敷。橋上をゆく市民もあしらい。
  • 操られていたことをお霧に告げる半蔵、夜の川端は嵐峡か。

2010/10/26

■ 服部半蔵 影の軍団 第12話「夜の蜘蛛は親でも殺せ」1980.6.17関テレ/東映

 町内に出た凶賊を、思わずやっつけてしまう瓢六と大八。奉行所は二人に褒美を出すが、あまりの強さに不審を持ち、執拗に探りを入れてくる。それもそのはず、お役所は上から下まで薄気味悪い盗っ人にタカって甘い汁を吸っていたのだった。

ロケ地
  • 目明しの父・万之助に交際を咎められたと大八に話すおなみ、広沢池東岸汀。そうこうするうち、「通りかかった」虚無僧が二人を拉致。

2010/10/25

■ 服部半蔵 影の軍団 第11話「花嫁と暗殺の鬼」1980.6.10関テレ/東映

 初代服部半蔵に滅ぼされた一族の末裔が、伊賀者を狙う。動きを察知し集会を持とうとする半蔵、しかしその日時場所を知るため、山に隠れ住む半蔵の友が狙われる。忍者とは関わりない彼の妻は、身籠っているのだった。

ロケ地
  • 夜叉神党に襲われる、伊賀忍の隠れ里、酵素河川敷。「木」の裏や竹林から虚無僧たちが殺到、戦いは川中でも行われる。里居のセットあしらい。
  • 上下関係を離れ肝胆相照らす仲の友・伊三郎に会いにゆく半蔵、信濃路の街道は谷山林道か(切り通し遠望)。敵と思い伊三郎と一当りの林間も不明(前出の祠あり)。互いを認識したあと破顔のシーン、うしろの谷川は保津峡。伊三郎の住む山は鉢伏山。
  • 洗濯をしていて夜叉神党に拉致される、伊三郎の女房・お美代、不明(谷川)。帰ってきた伊三郎がお美代をタテに脅される「家」、酵素か。逃がされたお美代が、連れ去られる伊三郎を見て呼ばわる崖、保津峡落合落下岩。夜叉神党がゆく道は山道。
  • 江戸入りの夜叉神党、店を出していて伊三郎のコンタクトに気付いた大八が彼らをつけてゆく町角、相国寺庫裏(大八は回廊で寝そべり)。このあと下鴨神社河合社裏手の茂みを過ぎ、セットの日光御隠殿へ。
  • 阿片漬けにされ、集合場所を吐いたあと消される伊三郎、黒谷墓地か(集合墓)
  • 集合場所の錦糸堀・聖天寺、高山寺。参道坂の石段を主に使い、林間での立ち回りもあり、見返りのシーンに敷石も映り込む。爆破されて崩壊するお堂はもちろんセット撮り。
  • 事後、旅立つお美代を見送る半蔵、北嵯峨農地小丘・松の根方。
■ 水戸黄門42 第3話「その縁談一肌脱ぎます」2010.10.25TBS

 三度も荷を襲われ窮する紬問屋、その若き主に好条件の縁談が持ち上がるが、裏には思いがけぬ陰謀。若主人の幼馴染で、彼の求婚を退けた過去のある楓が大活躍。

ロケ地
  • 老公一行がゆく街道、不明(高台の池畔?)。梓屋の荷を運ぶ中馬が野盗に襲われる山道、不明(雑木まじり林道)
  • 上田城イメージ、本物の大手門。梓屋が城に呼ばれ叱責されるくだり。
  • 襲撃現場に現れた野盗をつける楓たち、ツナギ文を見に入ってゆく大星神社は鳥居本八幡宮(鳥居〜本殿。楓は広場の木の陰から見ていて、追おうとして助に止められる)
  • 野盗が隠してあった金を引き上げる船、および土手からそれを見る人影、大堰川か桂川か、暗くて判らず。設定は千曲川。
  • 梓屋の主・清治郎が荒金屋の娘・志津とお見合いの茶店、走田神社参道に茶店あしらい(緋毛氈の床机等)。志津の回想、悪ガキにのされた幼い清治郎、大堰川河川敷。
  • 楓が清治郎を連れ出し、荒金屋の企みを告げる「いつもの所」、龍潭寺。二人の会話では山門から境内を使い、清治郎が去ったあと弥七と話すのは参道脇崖の林間。
  • 父のしていたことを知り、武石村へ向かう志津を楓が呼び止めるのは龍潭寺参道、清治郎を託す旨話すのは参道脇崖の林間。
  • 野盗が巣食う、武石村イメージ、谷山林道からの眺望か。アジトの荒れ寺、勝持寺仁王門。お堂はセット撮り。後段、老公にハメられ金を持ってくる荒金屋のくだりも同所。
  • 上田城イメージ、本物の西櫓。
  • 楓を避難する主に対し、昔の経緯を話す梓屋の番頭の回想、先代の墓のある墓地、不明(五輪塔など多し)
  • 荒れ寺で立ち回りの段、八兵衛が城代を伴ってくる道、不明(植林杉林道)
  • 楓が清治郎を呼び出す「いつもの所」、行ってみると志津がいるのは龍潭寺境内、二人の背後に境内各所の建物が映り込む。
  • 事後、弥七が楓にしばらく信州ともお別れと話す野面、大堰川堤。このあと河川敷緑地や汀なども映る。老公一行がゆく街道は不明。
*梓屋乗っ取りを企む仲買・荒金屋は田中健、娘の志津は今村雅美。梓屋「若旦那」清治郎は近藤公園、忠実な番頭は中西良太。荒金屋とつるむ勘定奉行は成瀬正孝、城代は森下哲夫。ラス立ち福ちゃん入り、どアップで登場し老公を背後から襲うも楓に背中突かれて海老反り。
2010/10/24

■ 江戸無情  西山正輝監督作品  1963.5.22大映

 綱紀粛正を天命とする寺社奉行は、大奥の女どもが乱行を繰り広げる魔窟に着手。しかし潜入させた腰元が色魔の毒牙にかかり、当の娘はおろか恋人の若者も、苦悩のどん底に叩き込まれてしまう。そのうえ淡路守自身には粛清された向きから復讐の刃、加えて幕閣の糾弾。危機募り遂に切所を迎えるが、情は戻ってくるのだった。

ロケ地
  • 大奥の老女たちが愛欲に溺れる谷中・延命院、西教寺。まず本坊・本堂の甍の俯瞰が出て、「湖」側に町なみが合成されている。初瀬の駕籠が来たと触れて回る柳全のくだり、本堂脇から本坊。「長持」の行列がやって来るルートは勅使門〜石垣際。町衆が行列を見て囃す茶店は、茶所から本堂を望む図。長持が運び込まれ、老女たちが愛人と睦むくだりは、本堂裏手の渡廊や客殿縁側、書院廊下など出てクレーンショットもあり。後段でも「内部」が諸所使われている。延命院は日蓮宗設定。
  • 柳全とつるむ殺人犯の浪人を追う岡っ引のくだり、浪人が寺へ向かう坂道は西教寺真盛上人御廟参道石段。浪人が入る庫裏は不明、それを見張る岡っ引の背後に西教寺二十五菩薩来迎群像。寺を出てきた浪人を尾行した岡っ引が消される林、不明(山の斜面、林へ入るのは御廟参道から)
  • 嘆くつやに詫び慰めたあと、茶を所望する淡路守、野点の庭は勧修寺庭園。船を出して櫂で子供っぽいいたずらをするシーンもある。この際、弁天堂映り込み。後段、再登場の際は宸殿側に幔幕が張られている。
  • 事後、国表へ向かう淡路守の行列がゆく街道、川堤か。

2010/10/23

■ 戦国乱世の暴れん坊 斎藤道三 怒涛の天下取り  1991.1.3テレ朝/東映

 寺に収まりきらなかった風雲児が、美濃の蝮と称される梟雄になる過程を描く。
寺を出奔した庄五郎は、死期を覚った父の手荒い餞を受け、乱世に身を投じる。奇縁から京の富商の主におさまった彼は、その財を足がかりに美濃の守護大名家へ入り込み、曲折を経て遂には国主に成り上がる。そして老境にさしかかった「蝮」は、娘婿に天下人の片鱗を垣間見るのだった。

ロケ地
  • 冒頭、戦に出てゆく道三のイメージシーン、大堰川堤内地か。道三は畑に籾殻撒き中、畦道を母衣武者が駆けてきて国境に敵と告げる。出陣後、軍勢がゆく野は台地か。
  • 永正15年の京、荒くれ者が市を荒らし、略奪も日常風景な町角、妙心寺法堂脇に「市」あしらい。
  • 日蓮宗・妙覚寺、妙顕寺。南陽坊が監禁中の法蓮坊に飯を運んでやるくだり、三菩薩堂〜尊神堂との間の渡廊(現存せず)、閉じ込められている蔵はセット撮り。法蓮坊が逐電するくだりは本堂周辺、渡廊や幅広の燈籠など映り込む。このシークエンスで出る回想シーン、法蓮坊と叡山僧のトラブルは妙心寺黄鐘調鐘脇、辻説法中の法蓮坊が荒法師にからまれる。
  • 寺から逃げた法蓮坊が戻る家、不明(萱葺きのお堂?がのぞく塀囲い、簡素な門。アプローチ下は石垣)。床についていた父との会話の段で出る幼時の回想、二人流れ歩いた道程の「川」は木津河原か、門前払いを食らった武家屋敷は長屋門か割拝殿か。父と立ち会った林、北嵯峨か。父を荼毘に付す河原、大堰川河川敷。父の世話をしてくれていた娘・あぐりが庄五郎についてきてしまう道、林道か。二人が梵天八兵衛と再会し合流する河原、不明。
  • 庄五郎がならず者から多鶴を助けるくだり、市立つ京市中は今宮神社高倉前に「市」演出。平安鬼平太一味とやり合うのは稲荷社裏手。
  • 平安鬼平太一味が庄五郎を見つけて騒ぐ回廊、妙心寺法堂前渡廊。一味に追われ逃げる庄五郎たち、方丈・法堂まわり。このあと逃げ込んだ林で木の間から金閣を見て、足利将軍を越えてみせると庄五郎が発言。
  • 北条早雲の城・小田原城、丸岡城天守
  • 甲斐山中、息子・晴信を連れ野駆けの武田信虎、谷山林道切り通し。ここから先は信濃、その先は美濃と息子に語る。
  • 尾張清洲城、芦浦観音寺(門)。吉法師の稽古を見て叱咤する織田信秀、庭先のシーンは不明(必殺仕事人・激突18話と同所、クリーム色五本線入り塀の外側、手前に石積み)
  • 美濃さして旅ゆく庄五郎たち、木津川河川敷。
  • 美濃・革手城城門、彦根城太鼓門櫓(内側)。土岐政頼と頼芸兄弟が対立中、と解説入る。
  • 庄五郎たちが訪ねる、元南陽坊の日運上人が住持する鷲林山常在寺、不明(高い石垣に囲まれ、ステップ上がると門で、石積みはかなり腰高)。上人と話す座敷は芦浦観音寺本堂縁先。庄五郎の部下が諍いを起こした土岐家家臣・権田原宗源との果し合いは下鴨神社河合社脇〜池跡(捕まった部下が括られ)。軍勢が押し寄せた芝居の松明バイトが馬場に出る。
  • 土岐政頼に謁見するも侮辱された庄五郎、詫びる長井利隆は広沢池東岸(船を舫い)
  • 次いで会いにゆく土岐頼芸の館・鷺山城、亀山城址(二の丸・三の丸間の橋をナメて建物)。ここで頼芸の誼を得て執事となり、西村勘九郎と改名。
  • 鷺山城内、勘九郎を呼び止める矢野五左衛門、相国寺方丈前縁。導入は外から塀越しに方丈建物を見るクレーンショット、その後執務室で話す二人は方丈座敷、障子が開いていて塀越しに法堂がのぞく。この後方丈裏庭を望む廊下に出て、庭を逍遥する深芳野を凝視(深芳野がゆくのは裏庭ではなく、前庭の西塀際)
  • 梵天八兵衛が京の奈良屋へ勘九郎の現況を告げるべく馬を走らせる街道、不明(川堤か、かなり草深い)。深芳野へのギフトを持ち帰る役目も。
  • 革手城にやって来る政頼の異腹弟たち(揖斐五郎光親、鷲巣六郎光敦)彦根城太鼓門櫓(内側)。「よそ者の油屋」に牛耳られた頼芸が頼りない、鷺山城を攻めよとブチ上げ。
  • 先制して奇襲をかけようとする勘九郎、頼芸に止められ僅かな人数でやって来る矢野のシーン、不明(土塀際、内陣には萱葺屋根)。出陣する勘九郎に懐妊を告げにやって来る深芳野、入城のシーンは彦根城石垣と太鼓門櫓(表側)。土壇場で利隆が軍勢を率いて入り、勘九郎に知行地も家臣も家名も譲ると申し出。
  • 政頼の宴、相国寺方丈前庭に幔幕張り巡らせ、夕顔が舞う。政頼の席は靴脱ぎの廊下付近で、西を向く。月明かりの下、城に侵入する勘九郎たちは彦根城佐和口多聞櫓(内側)。様子を窺う段で映る建物は、彦根城旧西郷家長屋門に似る。奇襲は成功し、政頼は一乗谷へ落ち、頼芸が美濃守護職に。
  • 美濃の変が急報される織田の城、芦浦観音寺門。知らせを聞く織田信秀は本堂玄関。
  • 頼芸が引き入れた長井長弘が明智に謀反の気配と吹き込み、そのことを利隆に相談する新九郎(長弘の追従で「長井新九郎」と改名)芦浦観音寺本堂座敷。
  • 東美濃・明智一族の館、不明(石畳の坂道の途中に門、前に石積と大刈込の植栽、湖東三山に似る)
  • 明智光継から届けられた、京からの部下・百々丸と大吉の首を見て号泣する新九郎、芦浦観音寺本堂座敷(日運上人立会い)。首桶と共に来た明智の人質は庭先に。
  • 小見の方の輿入れ、行列がゆく道は大覚寺遣水跡
  • 頼芸に赤子を見せにゆく深芳野、相国寺方丈前庭。頼芸が自分の種か否か迫る。
  • 長弘の讒言を立ち聞いた矢野が、新九郎にそのことを伝える城内、彦根城佐和口多聞櫓(内側)
  • 長弘の館を夜襲する新九郎、西明寺二天門(内部はセット撮り)。この際落命したあぐりの棺を流す川、大堰川
  • 美濃の土豪たちが長弘殺害に憤激し押しかけるくだり、軍勢がゆく野、不明(台地か)
  • 新九郎を放逐するも、たちまち軍事的に窮する頼芸、近隣諸国が美濃攻略の兵を挙げたと知らせる母衣衆が騎馬で入る革手城城門、彦根城太鼓門櫓(内側)
  • 美濃へ呼び戻される新九郎が馬を駆る道、木津河原か(砂地)。以降、山城入道斎藤道三と名乗る。
  • 織田軍が展開する野原、不明(台地か、大がかりなモブシーン)
  • 道三により大改修された稲葉山城、彦根城博物館と隅櫓。道三の長子・高正と光秀が相撲をとるのは博物館脇。
  • 鷺山城を攻める道三、亀山城址。石垣のほか、二の丸・三の丸間の橋と下の通路(濠跡)など。かなりな人数を入れての夜間撮影で、橋の上と下を駆けめぐるモブは迫力。城館内部はセット撮り。
  • うつけ殿・信長が鉄砲を試す林、不明。
  • 織田軍とぶつかる斎藤軍、出陣する道三は彦根城天秤櫓。会戦の野原、不明(バンクフィルムまじり?)
  • 信長が道三を撃ちに来て失敗、光秀に追われるくだり、二人が斬り結ぶ林、不明(竹まじりの雑木林、巨岩あり。幼杉が植えてあったり、林の切れ間から開けた農地?が見える感じは北嵯峨にも似る)
  • 帰城する信長、芦浦観音寺門。境内で、父の突然の死を知らされる(濠まわりの林が映り込む)
  • 濃姫の輿入れ、出てゆく城門は彦根城天秤櫓。行列がゆく山道は谷山林道
  • 娘婿と会見のくだり、うつけ殿の道中を垣間見る道三は大堰川堤下にあしらわれた小屋の窓から覗き。対面の場・富田ノ庄正徳寺は興正寺。山門越しに御影堂を望む図が出て、家来衆が前縁に控えている。お堂内部も使っていて、大広間がよい絵を提供(「見真」の額映り込み)。信長が傾いたなりとは一転涼やかな武者ぶりで現れたり、道三が敦盛を舞ったり。
  • 道三が軍を展開する野、不明。

2010/10/22

■ 服部半蔵 影の軍団 第10話「黒髪は恨みに燃えた」1980.6.3関テレ/東映

 恥辱に歯噛みする水口は、お甲とお菊を伴い仇討ちの形をとって半蔵に挑むものの、再び破れ地に伏す。しかし鬼畜めいた弟が現れ、不敵な言辞を吐いて去る。

ロケ地
  • お菊がくノ一修行と称し魚を狙う川、柊野堰堤落差工。お菊を連れ帰るお甲、その前に現れて拉致されたお梅について問う半蔵、広沢池北岸。半蔵の戻り道、鬼四郎と行き会う坂は二尊院紅葉の馬場
  • 偶然夜道で会った半蔵とお甲が乗り込む屋形船、広沢池か。
  • 水口とお甲姉妹の名で呼び出された半蔵、桔梗ヶ原へ向かう道、嵐山公園堀端か(並木沿い)
  • 桔梗ヶ原、木津河原。半蔵がやって来る際くぐるのと、戦闘中にも流れ橋が映る。川中での立ち回りもある。
  • 事後、旅立ってゆくお甲姉妹、渡し場は広沢池東岸。並木の陰から半蔵見送り。夕暮れの戻り道、木津堤か。

2010/10/21

■ 服部半蔵 影の軍団 第9話「女忍びの五月闇」1980.5.27関テレ/東映

 伊賀の里から出てきたお転婆くノ一は、叔父・半蔵の不甲斐なさを詰る。しかしまだ青い彼女は、伊賀一族を滅ぼす企みに乗せられ泣きをみることに。

ロケ地
  • 江戸城イメージ、姫路城天守。酒井忠清が保科に、伊賀者のことで嫌味たっぷりに釘を差すシーンの前に。
  • 下城してくる酒井、駕籠を止め水口とツナギをとる坂は毘沙門堂参道坂。
  • 大八を助けようと牢屋敷に潜入するも、当の本人に拒否されたキララにお甲が声をかけるシーン、不明(キララは橋下の流れに、お甲は木橋の上に。上流方向に落差あり)
  • お甲に伴われ水口と会うキララ、不明(墓地?)
  • 水口の使嗾で酒井を襲うキララ、酒井が出席する野点の席は毘沙門堂宸殿前(枝垂桜開花、本堂側に幔幕張り)。帰り道の酒井を襲うキララ、坂は毘沙門堂参道坂、キララは坂東側の茂みに潜む。
  • 事後、子供のようにはしゃいで追っかけっこをする大八とキララ、毘沙門堂宸殿前枝垂桜下。花に隠れて見ていた半蔵が呆れ顔、しかし傍らにおりんが。

2010/10/20

■ 服部半蔵 影の軍団 第8話「潜入!大奥の昼と夜」1980.5.20関テレ/東映

 御台所の信任篤いお局さまは、奉公に上がっている娘たちを贄に、親の富商から大金を毟り取っていた。捨て置けぬ酷さを見聞きし立ち上がる半蔵たちだが、政治的配慮という壁が立ちはだかる。

ロケ地
  • 殺された髪結いの弟分と称し営業するお霧に、実は御所忍びな折助が声をかけるのは毘沙門堂仁王門石段下石積際。崖に作られた塀を屋敷に見立ててカメラがパン。
  • 折助の口車に乗って大奥女中を買いにゆく大八、「現場」の寺イメージに金戒光明寺(石段から本堂見上げ、夜補正)
  • この件にはドロドロの裏があるかも、と京之介から聞かされた半蔵が眺めやるお城、姫路城天守
  • お勢以の吊りを止め事情を聞いた半蔵が赴く「寺」、金戒光明寺。石段途中に、更なる大金を要求され放心したお勢以の父・駿河屋が座り込み。一条局は既に金を持って去ったと聞き、追ってゆく半蔵が走る路地は長安院下坂。お甲の知らせで出張る保科の爺さま、半蔵の前に立ちはだかるのは毘沙門堂勅使門石段下。
  • 水口がお甲に半蔵たちの始末を命じる庭、不明(お甲の盲いた妹が花摘み)
  • 神田川に船を出す半蔵たち、広沢池東岸。池端に甲賀者が伏せている。
  • 半蔵たちの船爆破を受けて引き上げる甲賀衆、潜んでそのさまを見ている半蔵は毘沙門堂参道坂脇の林間。その後取り付くお城の石垣は彦根城天秤櫓。

2010/10/19

■ 服部半蔵 影の軍団 第7話「標的は謎の女」1980.5.13関テレ/東映

 保科正之を弾劾する凶賊、首領は女。一党は保科により国を追われた高遠の侍で、あろうことか女は保科の実の娘なのだった。父に棄てられた娘の恨みは深く、命のやりとり寸前まで行くが、親子の絆は恩讐を越える。

ロケ地
  • 娘は死んだと主張し聞く耳持たぬ保科、気を回した用人が半蔵を呼び出し事態の収拾を依頼するのは大覚寺天神島鳥居傍。
  • 保科の娘・おえんの墓、宝塔寺墓地。夜、探りに出た瓢六は墓をあばく甲賀者を見る。
  • 本当に父を殺すのかと、おえんに問う弥太郎、不明(塔頭か)
  • 僧に化けていて露見し捕まる高遠の残党、伝馬町牢屋敷に潜入する大八、測量したり溝へ入ったりは相国寺境内か(地下道と牢内はセット撮り)。
  • アジトを急襲され、弥太郎により逃がされたおえん、己の墓に辿り着き保科の字を削り落とそうとするのは宝塔寺墓地、現れた半蔵に過去の経緯を語るのは本堂縁先(楼門が背景にちらり)
  • 酒井の駕籠がやって来る道でツナギをつける水口、宝塔寺寺務所下坂。
  • 半蔵の介入で弥太郎を取り戻したおえん、父を呼び出す橋は流れ橋。高遠の残党は橋上で待ち構え、保科は単騎堤を来て馬に乗ったまま法面を下り、橋たもとで下馬。保科の危機に駆けつける半蔵は河原、戦闘は全て橋上で・ドボンあり。

2010/10/18

■ 服部半蔵 影の軍団 第6話「夜霧の港に消えた女」1980.5.6関テレ/東映

 伊賀の隠れ忍びにかかった嫌疑のため、半蔵が長崎へ。ことの起こりの、老いた忍びの心境を知った半蔵は、彼を新天地へ羽ばたかせ当地を去ってゆく。

ロケ地
  • 唐人屋敷の門、不明(中華ふう/黄檗宗の寺か)
  • 半蔵たちが長崎へ急ぐ街道、不明(山道)
  • 表稼業の飴売りにいそしむお竜にツナギが来る市中、今宮神社境内。
  • 事後、不知火である孫市を待つお甲に、彼は来ない旨伝える半蔵、不明(頂上付近と思われる山道、茶店あしらい)
  • 亡き娘と酷似した遊女・おそのと野道をゆく孫市、不明(枯れ木枯れ草丈高い野原)
■ 水戸黄門42 第2話「許すな相撲をけがす奴」2010.10.18TBS

 幸薄い少年の魂を救ってくれたのは相撲。それを汚い賭けの道具にされ、負けを強要されて苦悩する青年だが、格さんの熱い言葉が彼を奮い立たせる。

ロケ地
  • 甲州街道をゆく老公一行、草鞋を替える茶店をしつらえた道は酵素ダートか。
  • 諏訪大社、本物をイメージに(動画、巫女さん立ち歩き)。相撲踊りが奉納されている土俵は、大原野神社境内土俵(後段の奉納試合も同所)
  • 辰五郎と初めて相撲をとる格さん、大原野神社境内か。
  • 辰五郎の回想、親に死なれ親戚縁者の間をたらい回しされていた兄妹がとぼとぼゆく道、不明(土手か、ラストの街道と同所?)。雪の町はセット撮り。
  • 格さんに礼を言う辰五郎、妹と檜屋も来て一行を見送るのは大原野神社参道。
  • 諏訪を発つ一行、街道へ出る「坂」、不明(土手と法面?)

2010/10/17

■ 侠客 幡随院長兵衛  時代劇スペシャル、1995.10.6TX/松竹

 有名な、湯殿での「例のシーン」を冒頭に持ってきて、実はこの二人の間には深い友誼が、というフリではじまる裏話。
父を殺された若侍が、たくさんの人の助けを得て仇を討つプロセスが詳細に描かれている。彼が晴れて仇を討ち、武士を捨てて侠客として立つところでドラマは終わり、水野とのその後は語りで。

ロケ地
  • 伊太郎が父・伊織の亡骸を運び込む、幡随院・新智恩寺、粟生光明寺方丈甍(薄明演出)。お堂内部は阿弥陀堂。
  • 伊太郎の父の墓、粟生光明寺石段上部・手すり際(背景に本堂甍)
  • 父の死の真相を知るべく大坂へ向かう伊太郎、富士山の見える橋は流れ橋。富士を合成したロングの絵のあと襲撃場面、橋上から橋下、河原も使い水に入っての立ち回りも。刺客の首領・笹又に腿を斬られ危機一髪のところ、山脇宗右衛門一行に救われる。
  • 負傷した伊太郎の代わりに大坂へ赴く権兵衛のくだり、大坂イメージに大阪城天守。伊太郎の父の家来だった塩田半平が営む数珠屋は松竹のセット、「隠宅」に似たアレ。
  • 江戸へやって来た半平が待ち伏せていた笹又に斬られる夜の川端、大覚寺放生池堤。伊太郎を連れ帰った宗右衛門が、要請に応じ幡随院へ連れてゆく途中、半平の亡骸を発見する運びで、その前に様子を見に出ていた八百屋の小平と出会うのは五社明神
  • 幡随院・新智恩寺イメージ、粟生光明寺方丈石庭俯瞰。伊織の隣に葬られた半平の墓に頭を垂れる一同、先と同じ石段上部。傷をおして歩き回り倒れる伊太郎は紅葉道・薬医門。
  • 唐津藩・寺沢兵庫頭堅高上屋敷、随心院薬医門。殿のお召しを待つ間、藩士・辻十郎が、笹又に討ちもらしたことの嫌味を並べ立てるのは相国寺大光明寺玄関前庭・方丈石庭中仕切り際。殿が女に無体をはたらき狂乱の態を示す茶室はセット撮り、辻らが控える茶室前の庭は大光明寺石庭。このときいたぶられていた女は辻の妻女、という次第。
  • 殿の側近の三木兵七郎が屋敷を辞した笹又を追ってきて、伊太郎暗殺に加え辻殺害を示唆する邸外、相国寺大光明寺南路地(塀越しのアングルも)
  • 水野十郎左衛門邸、随心院長屋門。奴さんが扉を開けると庫裏の破風がのぞく仕掛け。
  • 笹又をお供に吉原で悪遊びをしてきた帰り、酔った辻がオダを上げる橋は中ノ島橋、河原へおりていった辻が斬られるのは橋下、通りかかった水野は見届けて進ぜると叫び橋から飛び降りてくる。まだ息のある辻を運び込む水野邸は、先と同じ随心院長屋門、下から見上げ。
  • やっと歩けるようになり喜び合う伊太郎とお金、粟生光明寺本堂縁先。水野が焼酎漬けの辻の早桶を持って現れるシーンは阿弥陀堂、カメラ中から。すぐ彦根へ発つことになり、お金と別れを惜しむのは阿弥陀堂座敷、外がちらちら見えて効果的。
  • 生き証人のいる彦根へ赴く伊太郎と水野、彦根イメージに彦根城天守、佐和口多聞櫓。犬上郡富之尾の野道、七谷川河畔林沿い田畔。茂平次が寺男をしている山寺は丹波国分寺、一行は門をくぐり小坊主に声をかける。茂平次は石仏の裏に隠れていて、堂内(セット)へ逃げ込み。
  • 自らを刺し危篤に陥った茂平次の回想、当時の若殿・堅高が稽古で無体の広場、不明(大覚寺か)。遠乗りに出て茂平次の妹をさらう堅高、不明(「崖の下のアレ」か)。さらわれた挙句死体で見つかる妹は大覚寺御殿川河床、この検分に伊織もいて若殿廃嫡を願い出る運び。
  • 江戸城イメージ、姫路城天守。水野邸、随心院長屋門。水野の母堂が伊太郎に、仇討ちの手助けができて倅も天晴れと「激励」。
  • 小平や権兵衛が堅高を探ってくれている間、山脇の手伝いをする伊太郎のくだり、お金とお昼をつかう川端の船は広沢池東岸、お金の夫婦芝居が哀れ。
  • 笹又と会う三木、粟生光明時総門。先に門をくぐり坂を上がっていった六部たちは三木の手の者、笹又が去ったあとくるりと踵を返す。
  • 六部が三木を乗せた船で漕ぎつける川端、広沢池東岸。汀に苫屋あしらい、笹又と「情婦」のお栄が住んでいて、船から狙撃される。
  • 堅高を討つべく、仕込槍を携え雲水に化けて向かう伊太郎、大覚寺放生池堤。お金の駕籠や堅高の行列がやって来る道は大沢池堤、それを眺める伊太郎は天神島。このとき石仏脇に笹又が潜み、そのうしろを駕籠がゆく。伊太郎が斬り込むのは五社明神、少し離れた場所で笹又が同じく斬り込む。堅高を仕留めるのは五社明神本殿裏手、乱闘のさなか馬でやって来る水野は心経宝塔を背にして立つ。襲う場所の設定は白金あたり、堅高の目的地だった目黒下屋敷は大門。
  • 季節イメージ、東寺塔と桜。「長兵衛」のなりで水野邸へ挨拶にやって来る伊太郎、随心院長屋門。お金は入らず門外で待つ。

2010/10/16

■ 水戸黄門42 第1話「お前は助さん俺は格さん」2010.10.11TBS

 新キャストの助格のお披露目と、お娟姐さん卒業の「始末」に尺を割く、スペシャル版の第一話。
老公の旅の動機は、養子に出した実子が殿様をしている高松藩での騒動。幕府には京都行と称し願い出る老公だが、糸魚川で出るらしいヒスイの件にも関わりができてしまい、道は中山道をとることに。そんな旅だから、四谷大木戸を通るところから尾行がついているのだった。

ロケ地
  • 西山荘で静かな日々を過ごす老公、不明(直指庵か、縁先と庭ちらり)
  • 糸魚川の回船問屋・鳴海屋に潜入し「ブツ」を持ち出した「密偵」が追われ落ちる谷川、清滝か。
  • 助三郎を供に水戸街道をゆく老公(二人は侍姿)大覚寺大沢池北辺水路端並木道。
  • 逃避行のさなか、法華衆を見て山へ身を隠す密偵、不明(林道)
  • 高松藩下屋敷、門は妙心寺龍泉庵。廊下と座敷は大覚寺宸殿。偶然藩邸へ顔を出した塩問屋・翁屋と話す庭は妙心寺退蔵院庭園、遣水端の東屋を使用。
  • 江戸へ向け街道をやってくるお娟、大沢池畔か。
  • 水戸家下屋敷、不明(大きな玄関、唐破風つきで柱に金色の飾り鋲、左右の壁は縦桟入りと五本線入りと。前庭に枝垂れと鉢植えの蓮)
  • 江戸城イメージ、二条城北大手門(衛士配置)。水戸家からの旅願いが幕閣の協議にのぼる段。
  • お娟に翁屋を暴漢から助けた話を聞く老公、不明(藩邸の庭)
  • 水戸街道を来る格之進、馬子とやり合うのは大堰川河川敷(大堰川緑地)
  • お娟を連れて浜松町の翁屋へ赴く老公、渡る橋は神光院本堂前石橋(茂み越し北西望のアングル)。帰り道、縁談が持ち上がっていることを話すのは神光院蓬月庵前(茶店仕立て)〜石橋。
  • 弥七を格之進に引き合わせる茶店、今宮神社門前茶屋・一和。八兵衛は中から出てくる。
  • 老公登城、江戸城イメージに姫路城菱の門。旅の許可が出るほか、老中・土屋相模守から妙な依頼を受ける。
  • 内藤新宿を過ぎ、街道をゆく老公一行、大覚寺大沢池北辺水路端並木道。
  • 信州・海野宿付近の街道をゆく弥七、不明(山道)。問屋場の藤右衛門に頼んだ手練の助け手・丑寅と待ち合わせ約束の小仏峠、谷山林道(作業場向かいの崖際切り通し)。丑寅が来るのを楓がウソついて追い返し。
  • 八王子付近の甲州街道をゆく老公一行、大覚寺大沢池堤。空模様が怪しくなってきて、八王子本郷宿へ着くと土砂降り。
  • 小仏峠へ差し掛かる老公一行、谷山林道頂上付近林道(分岐道)。高雄山中設定の植林杉の林道(場所特定できず。「脇街道」沿いには沢あり)で天狗面の襲撃者に遭う。老公と知って改心した天狗面の浪人たちと別れる峠、谷山林道頂上作業場。途中、富士山をイメージに挿入。

2010/10/15

■ 服部半蔵 影の軍団 第5話「柔肌は渦に沈んだ」1980.4.29関テレ/東映

 瓢六や大八の幼馴染が、美しいくノ一となって現れる。任務に随行した彼女は、瓢六に体当たりで思いを伝えるが叶わず、しかも非情な運命が駆け足でやってくる。

ロケ地
  • 瓢六がトレーニングしている林へやって来るお夕、北嵯峨か(竹林)
  • 旅の夫婦者を装い、讃岐から阿波へ入る瓢六とお夕、休む水場は谷山川沿いか。
  • イメージに渦潮を入れたあと、半蔵たちが上陸する浜は広沢池西岸
  • 山中で過ごす夜、お夕の回想、大きくなったら嫁に来いと言った幼い瓢六、柊野堰堤落差工下(瓢六は釣り中)
  • 目付の配下・入道が駆けつけ封鎖する関所、谷山林道頂上付近。瓢六たちも十把ひとからげに捕えられてしまう。
  • 目付屋敷へ向かう半蔵たちが囲まれ戦う野原、酵素河川敷。ここでお夕落命。
  • 事後、野の仏に祈る瓢六、酵素風呂下手の水子地蔵。

2010/10/14

■ 服部半蔵 影の軍団 第4話「京の春・お歯黒の罠」1980.4.22関テレ/東映

 倒幕をはかる、不穏分子の公家衆が蠢動。半蔵は、保科の依頼を受け京入り。お甲の入れ知恵でおじゃる側に人質を取られてしまうが、罠と知りつつ渦中に飛び込む、熱いおかしらなのだった。

ロケ地
  • 御所イメージ、京都御所大路と建礼門。
  • 地に伏せ足音を聞く京都在の伊賀忍び、北嵯峨農地小丘。怪しの修験者たちが上ってゆく石段、西壽寺石段。親幕派の公家が暗殺される夜道、相国寺方丈西塀際(このとき里隠れ・庄助の親爺も斬られ)
  • 父の墓参に赴く半蔵、二尊院。甲賀忍びと行き会い緊張の坂は紅葉の馬場、墓地は境内墓地。先に香華を手向けていた保科の爺さまに京行きを依頼される運び。
  • 伊賀者の首が盗賊として所司代名義で晒される六条河原、罧原堤下河原
  • 京都所司代、知恩院北門。所司代・牧野を詰問するため、半蔵が座敷に忍ぶ。所司代の仕業でないと知った半蔵が物思う野、北嵯峨農地小丘・木の根方。
  • 京都市中イメージ、三面大黒天境内から望む八坂の塔頂部。伊賀忍びが襲撃される市中(セット)につなげる。
  • 黒幕と目される東大路公房邸へ潜入する伊賀忍び、相国寺大光明寺南路地。内部はセット撮り、鞍馬忍びとの戦闘が終わったあと、公房が通用門から顔を出す。
  • 友禅流しを見る半蔵、対岸にお甲、大堰川河川敷と堤。お甲が渡る橋で中ノ島橋を併用、流水イメージに橋上手の堰堤の落水も使われる。
  • 山城屋の荷駄が来る道、松尾橋下手堤か(並木のシルエットが似る)
  • 荷駄を運んだ人足たちが毒殺され流される船、松尾橋上手川中
  • おじゃるに化けて潜入した伊賀忍びが、お甲の差し出口で露見する庭、青龍苑か。
  • 庄助と、恋人の白川女がさらわれる市中、今宮神社。修験者がうろつくのは楼門、白川女のお里をつけるのは東参道〜東門、誘拐実行は稲荷社前、見ていた庄助も捕まり。
  • 庄助らが監禁される、鞍馬忍びのアジトの寺、不明(破れ障子から塔が見える趣向、東寺塔に似る)。寺名は、庄助が「げんせんじ」と発音。
  • 庄助とお里を括り、半蔵が現れるのを待つ洛北・二ノ瀬谷、不明(山をぱっくり真っ二つにして切り口を見せたような「切り通し」、頂には青々と木々が茂る。崖下の裾は水食地形、ここが「かかし半兵衛ひとり旅」で出た荒れ地と似る)

2010/10/13

■ 服部半蔵 影の軍団 第3話「悪魔が呼んだ奥州路」1980.4.15関テレ/東映

 主筋から難題を押し付けられた小藩の苦悩、理不尽に取り潰された藩での悲劇、それらが全て陰謀と知った半蔵は、欲深な悪党に鉄槌を下す。しかし企みの大元である老中・酒井忠清の処分は、保科の爺さまに握り潰されてしまうのだった。

ロケ地
  • 一揆衆の晒し首が林立する、烏山城下の水辺、広沢池西岸(首がぶら下がった杭は水中に突き立つ)
  • 改易となる烏山藩の収城使を仰せつかったとの知らせを持った早馬が駆ける街道、不明(北嵯峨か林道か)
  • 烏山へ向けて出発する平久保藩の先発隊、出てくる門は大覚寺明智門
  • 平久保藩に雇われた牢人衆(半蔵入り)がゆく街道、広沢池西岸の道・北嵯峨農地の田んぼ越し(積み藁の陰にお甲がいて一行を凝視、このあと水口に注進に及ぶ)。ここは、後段お甲が預かった密書を届けに行く際も映り、池端の柳がきれいに映り込んでいる。
  • 家老・頼母率いる、真田藩支藩・平久保藩の先発隊がゆく山道、何個所か出るが不明(大内登り道に似た山道など)
  • 平久保藩一行が真田忍びに襲われる街道、酵素河川敷。ダート上を赤座瑞軒らが走るのを見上げた絵も。襲撃の際は「右岸」側の竹林から出て殺到。ここで頼母頓死。
  • 烏山城、彦根城。まず一行はいろは松の堀端に立ち櫓越しに天守を望む。開門と呼ばわる城門は天秤櫓、門が開けられる絵では太鼓門櫓。
  • 突きつけた密書を破り燃やされた半蔵、悄然と帰る道は並木端と酵素河川敷

2010/10/12

■ 服部半蔵 影の軍団 第2話「闇に潜む牝豹」1980.4.8関テレ/東映

 逼塞した伊賀者の中から、過激分子が出る。甲賀に取って代わろうとするその一派を、伊賀者全体のため泣く泣く斬る半蔵。そして戦いと駆け引きは続く。

ロケ地
  • 雉の湯へ潜入したお甲が、水口に経過報告する夜の水辺、木津川畔か(スガカンの背後の「柱」が流れ橋のコンクリ橋脚に見える←水のゆらぎも映っている)
  • 大猿一派を尾行したお霧が見つかり囲まれる竹林、不明(かなり起伏あり)。
  • 大猿たちと戦う半蔵チーム、流れ橋と周辺の土手、河原。大猿を荼毘に付すのは橋下の汀で夕景。設定は丸子河原。

2010/10/11

■ 服部半蔵 影の軍団 第1話「虎は嵐に爪をとぐ」1980.4.1関テレ/東映

 家光の死後擁立された将軍は幼君、ために野心家が蠢く。そんななか起こった要人暗殺事件は、幕府を恨む服部半蔵の仕業とされ、一族誅滅の沙汰が下りかける。この件で半蔵は保科正之に接触、互いの利害から関係がはじまる、起こりの話。

ロケ地
  • 不審な忍びを洗い出す半蔵の配下たち、聞き込みのワンシーンは「材木置場」。
  • 保科の駕籠を窺う忍びに「先んじて」中の人を「刺し殺す」半蔵、下鴨神社馬場
  • 水口鬼三太に指示されたお甲が半蔵をつけてゆく道、大沢池畔か。

2010/10/10

■ 鬼平犯科帳「流星」1990/2/21

 鬼平を憎悪する大盗が企む暗殺計画を軸に、巻き込まれた往年の名盗の人となりや、平蔵を苦しめるための贄となった身内の悲哀を織り込んで描く情話。老船頭が昔とった杵柄で仕出かすお遊びのお盗めや、平蔵を気遣う密偵たちの逸話もいい味。

ロケ地
  • 病明け後の平蔵、久しぶりの市中見回りの帰りに乗る猪牙船、不明(夜、見えるのは水面のみ)。船頭の友五郎が「なくなった銀煙管」を持っているのを見たあと、粂八を呼び出し芝居を打てと指示するのは鳥居本八幡宮本殿脇。
  • 船宿・加賀屋へ赴いた粂八、友五郎と鬼平の所持品を盗る話をする川端は広沢池(芦原へ船をつける)
  • 生駒の仙右衛門が差し向けた刺客が、鹿山の市之助に試される庭、不明(植え込みの中に燈籠がいっぱい)
  • 小柳安五郎の妻女が暗殺される市ヶ谷七軒町の路上、妙心寺大庫裏脇路地
  • 京極備前守に呼ばれ、火盗の身内警備に弓隊を出すかと問われる座敷、相国寺方丈座敷(前庭に面した座敷、襖が開け放たれていて、法堂が映り込む)。設定は京極の私邸。
  • 鹿山の使いが友五郎に接触するくだり、船宿・加賀屋の船着きは嵐山公園・渡月小橋上手湛水域右岸(下流望)。船を出させての密談は広沢池芦原。
  • 凶賊に襲われる巣鴨・本明寺、境内堂宇イメージは長命寺境内、山門等は不明。
  • 板橋宿へ出張る平蔵、皆が集まり調査結果を上げる町外れの林、不明(雑木まじり竹林の中に巨石のアレ)
  • 刺客浪人の一人・沖が平蔵を襲う街道、酵素。馬子に引かれた馬上から斬りつけるのはダート、その後降り口を駆け下り河川敷でチャンバラ、川中での立ち回りも。
  • 小柳と粂八がゆく新河岸川の岸辺、大堰川堤。対岸に見える無住の寺は合成、河畔林を背に汀にある趣向。流れは湛水。
  • 小柳の知らせを受けて川越へ馬を駆る平蔵と配下、下鴨神社馬場
  • 荷駄をととのえ、出発の支度をする鹿山一味、不明(石積護岸の下で作業、上のほうに見える塀はクリーム色五本線入りのアレ、必殺仕事人・激突18話と同所。ここ続きと思しき通用門あり、石積下は当然ながら水無し)
  • 火盗の手入れから逃れ、友五郎に船を操らせる鹿山一味、広沢池罧原堤下川中
★鬼平第一シリーズを駆け足で見直しての感想…アカンめっちゃ見落としてる全然ダメ嘘書いてばっかし穴掘って埋まりたい状態。
2010/10/9

■ 鬼平犯科帳「雨の湯豆腐」1990.2.14

 平蔵が看破した通り、浅草寺での殺しは「プロ」の仕業。鮮やかに針一本で「的」を仕留める殺し屋は、賊の一味を放逐された過去を持っていた。
殺した分だけ溜まる心の澱、そろそろ限界に近づいていた殺し屋に来た依頼は、忘れえぬ過去の愛憎を滾らせてしまう。

ロケ地

  • 越後屋が殺される浅草寺、清凉寺。導入は山門越しに境内を望む絵で、赤い大提灯があしらってあるのは「エンディング」と同じ、数多の作品で使われてきた構図をなぞる。本堂前石畳に露店がしつらえられていて、そのうちの一つの蝦蟇の油売りを見ていた越後屋が、プスっと刺される。白昼の殺人にどよめく境内、走ってゆく人々を見る、たまたま居合わせた平蔵は茶店にいるが、その床机は経蔵前に出されていて屋根が映り込んでいる。
  • 浅草・塩入土手の時次郎の家、民家。小川の下手から萱葺きの破風を望むアングルで、屋根が半ば土手に埋もれたかのような雰囲気の絵になっている。室内はセット撮り。
  • 「辻屋の内儀」・お照が参る神田明神、北野天満宮。楼門をくぐるお照を時次郎がつけてくる。お照が額づくのは本殿、帰るところを為吉につかまるのは本殿脇紅殻塀際。お照と為吉をつける時次郎の後を、伊三次がつける段ではセット撮り。
  • 請け負ったお照殺しを躊躇い苦悩する時次郎、殺しの先達の浪人・宮沢を呼び出しにゆく賭場は大覚寺聖天堂、前景に崩れ土塀あしらい。

2010/10/8

■ 鬼平犯科帳「引き込み女」1990.2.7

 むかしおまさの妹分だった女が、捜査の網に。彼女について一切の処置を任されるおまさは、昔馴染みへの情に心乱れるが、やがて平蔵の深い心配りを知ることになる。

ロケ地
  • 五鉄の三次が目撃した磯部の万吉を探索に出るおまさ、昔馴染みのお元を見かける深川万年橋、中ノ島橋。おまさは橋上にいて、堰堤脇に佇むお元を見る。
  • お元が勤める菱屋を見張るおまさ、お元が外出したのを尾行、入った茶店で接触するくだり、大覚寺大沢池畔に茶店あしらい。再会を約し別れるのは放生池堤、彦十に苦衷を訴えるのも同所。
  • お元と会い悩みを聞きだすおまさ、今宮神社稲荷社前・若宮社脇。お元を見つめる万吉は稲荷社脇に潜み。
  • もうお元のことは平蔵に任せよとおまさに説く彦十、今宮神社楼門脇。
  • お盗めを前にして店を出るお元、旅姿で行くのを呼び止めるおまさ、夜の橋は中ノ島橋。万吉が出て制裁を加えようとするところ、沢田同心が出て阻む。
  • 見逃されたお元が江戸を離れる街道筋、北嵯峨農地畦道。

2010/10/7

■ 鬼平犯科帳「用心棒」1990.1.31

 張子の虎の用心棒にまつわる情話、盗っ人に付け込まれ窮した弱虫は、町で見かけた強いご浪人に縋る。木村平九郎と名乗ったその人こそ、浪人姿を作って市中見回り中の火盗改長官なのだった。

ロケ地
  • 忠吾が役宅へ使いに出した蕎麦屋の職人が消される川端、広沢池東岸(芦原近く、船上)
  • 掛取りに出た佐野倉の手代・文六の護衛をする高木軍兵衛、居合の極意など得意気に話す道は相国寺大光明寺前路地(大光明寺塀越しに方丈塀を見るアングル)。この後、二人組の浪人に勝負を挑まれる茶店は方丈南塀際にしつらえ、ボコボコにのされてしまう林は法堂南の林間。原作設定は州崎観音。
  • おたみと葛西から帰ってくる途中、あの二人組が若侍にからんでいるところに遭遇するくだり、大覚寺放生池堤〜護摩堂裏(原作設定は深川の三十三間堂)。鮮やかに二人組を懲らした平蔵を追って名を聞く高木、石仏前。
  • 佐野倉へ殺到する馬越の仁兵衛一味が駆ける夜道、大覚寺五社明神。平蔵に追い散らされた人数が、配備されていた火盗とやりあうのも同所。

2010/10/6

■ 鬼平犯科帳「金太郎そば」1990.1.24

 肩の刺青を見せて出前する、蕎麦屋の女将。人目を惹く奇行や、大事にしているお守りの馬には、深く哀しい過去があった。
幸薄い女が醸し出す細やかな情愛は男たちの心を癒し、やがて幸運となって還ってくる。それを大事に思ってやる、おかしらの優しさが泣かせる。

ロケ地
  • 刺青をしてきたお竹が倒れかかるところへ由松がやって来て助け起こす町角、不明(神社境内か、拝殿の裏?に燈籠と「斜めの木」。拝殿は銅葺き)
  • 善助の回想、金屋の主が寝込んだあと、お竹と二人風車を売った露店、北野天満宮本殿脇。金屋の若旦那・伊太郎とお竹が会っているところを目撃するのは上賀茂神社ならの小川畔、善助は神事橋を渡ったところで二人を見る。伊太郎に来た縁談にショックを受けたお竹が、貰った簪を流すのもならの小川。
  • 金太郎蕎麦開店一年の日に、由松を連れて願ほどきに出向くお竹、祈願成就の絵馬を納めるやしろは北野天満宮地主神社。その後そぞろ歩き、由松に告白されるのは境内摂社周辺。

2010/10/5

■ 五瓣の椿 完結編  1987.4.21テレ朝/東映

 的をあと一人残す段になって、病に倒れてしまうおしの。助け起こしてくれた男の手は、憎悪の対象だった男たちとは違っていた。その手への思慕を吐露し、聖処女は逝ってしまう。

ロケ地
  • 料亭花房へ聞き込みの青木たち、不明(坂を駆け上がり。円山か亀山か)
  • おしのが駕籠を止め行き先を変更する指示を出す町角、不明(建物の前?)
  • おしのが居る納屋へ向かう青木、不明(雪の並木道)

2010/10/4

■ 五瓣の椿 復讐編  1987.4.14テレ朝/東映

 父を愛さず蔑ろにし見下していた母と、彼女に群がった男どもを次々に殺す「娘」。怒りのゲージは、父への愛と済まなさの分だけ、止めようもなくはね上がってゆく。

ロケ地
  • 医師・海野得石宅、上賀茂・明神川畔社家
  • おしのの父・喜兵衛の回想、幼時裏山の川辺に咲いた山椿、清滝畔か。
  • 得石を殺し、持ってきた証文を川に流すおしの、上賀茂神社ならの小川
  • 南町奉行所、大覚寺明智門
  • 芝居小屋出方の佐吉に小判を渡し、香屋清一へ取り持てと迫るおしの、大覚寺大沢池船着(小)に係留の屋形船。カイツブリの鳴き声高し。
  • 清一殺害を中止し料亭を出て帰るおしの、料亭の門は嵐山公園・。おしのの乗った駕籠が渡る橋は中ノ島橋。与力・青木が尾行してゆく。
  • 武蔵屋の死んだ娘・おしのに辿りつき、焼け跡を調べる青木、大覚寺心経宝塔前に竹垣を置き、内側に焼けぼっくいをあしらい。塔は頂部のみチラリ。
  • おしのの付け文を見て有頂天になり船を出す清一、渡月小橋上手湛水域。渡月亭映り込み、橋は映らず。
  • 水辺で物思う青木、大覚寺大沢池畔。
  • 落椿の野をゆくおしの、下鴨神社泉川畔。

2010/10/3

■ 豪剣!賞金稼ぎ無用ノ介  二つの顔のお尋ね者 1990.10.8テレビ朝日/東映

 親の代から賞金稼ぎを生業とする、隻眼の浪人・無用ノ介。彼は、賞金首を狩りつつ、父を殺し己が目を斬った男を捜していたが、恨む心はいつしか恩讐の彼方に消えてゆく。しかし、敵を愛してしまった哀れな女が、真の仇の凶弾から己を庇い果てるのを見て、無用ノ介はやはり温もりに背を向けて去ってゆくのだった。

ロケ地
  • 甲州、追われ囲まれ危機一髪のお艶を助ける無用ノ介、神護寺石段。
  • 諏訪、追馬一家と山甚一家の縄張り境界になっている杖突峠、谷山林道分岐道。
  • 松五郎を拾う河原、酵素河川敷。幼児を連れていた男は川中に突っ伏し血を流し死んでいて、子が縋り泣いている。塚を作ってやるのは「木」の傍ら。
  • 松五郎をおぶい街道をゆく無用ノ介、羽束師堤、堤上に茶店あしらい。坊を窺う鳥追い女や、彼女を追う紫組などが現れる。
  • 銀次郎の使嗾を受けた賞金首の孫市らが無用ノ介を囲む橋、流れ橋上。橋脚に取り付いて様子を窺っていた鳥追い・お松が、坊を助けに上がってくるシーンも。
  • お艶の幼時回想、今は生き別れてしまった弟が、お艶が貰われた先に訪ねてきたお堂、不明。
  • 川で遊ぶ松五郎を見守りつつ、竹トンボを作ってやる無用ノ介、日吉大社走井橋下手・大宮川河床。上流側・橋脚の陰から、山甚の釜焚きが窺っている。竹トンボを貰った松五郎が飛ばして遊ぶ道は東本宮参道、山王鳥居が映り込む。
  • 紫組が旅の女主従を引っ掛ける寺、西明寺。山門をくぐってやって来た一行は、鐘楼でお昼を使う女たちを見つけ「詐欺」を開始。女たちが騙り男を介抱してやるのは本堂、このあと山門前で介抱ドロだと騒ぎを起こす。ここへ松五郎の竹トンボが落下、銀次郎に踏み躙られ拉致されるのは山門脇灯篭前。松五郎の急を聞き駆けつける無用ノ介のシーンは日吉大社、走井橋から河畔、境内へ走る。大宮川欄干の隙間越しの絵も。松五郎を取り返す坂は日吉大社西本宮参道、釜焚きが祠脇に潜み見ている。
  • 猿回しに変装した岡っ引・早吉が現れて、坊を追う女・お松の事情を無用ノ介に話す街道筋の茶店は羽束師堤
  • 早吉が紫組を神社に誘い込み捕えようとするくだり、船でゆく紫組は大堰川。松五郎をおぶい川沿いの神社に向かう無用ノ介は走田神社前畦道、足もとは緑の稲穂に隠れている。神社のシーンは鳥居、参道の大木の根方で推移、捕方が潜むのは本殿前。
  • 追馬の孫娘を垣間見する、山甚の若大将・市太郎を見かける杖突峠、谷山林道
  • 弾正に天誅を加えようとする山目付たちのくだり、若者たちが集まり気勢を上げるのは丹波国分寺本堂前。このあと山門をくぐり、畦道を来る弾正に吶喊。弾正一行の背景に、七谷川河畔林が来て効果的。なお、畦道に「はさ木」は見られない。無用ノ介は斃れる若者たちを山門前で見て、居合わせた山甚の親分に事情を聞く運び。弾正たちは、山門前に来て西へ転じ去ってゆく。無用ノ介を見かけて怒る銀次郎たちは酵素、「木」の裏に潜む。
  • 笹目宿の夜道、紫組の使嗾で無用ノ介を襲うカラス組、鳥居本八幡宮広場。首領・鬼火の十蔵と崖を転げ落ちるシーンもある。
  • それぞれ子分や喧しい向きを「寝かせて」トップ会談で決着をはかる山甚と追馬のくだり、無用ノ介が山甚の惣領とゆく野道、不明(高原か、地道の傍らに祠あしらい。山に囲まれた台地状の地形)。ここで若が婿入り志願を表明、固めの盃に。
  • 釜焚きの権兵衛から山甚の難儀を聞き、馬を駆る無用ノ介、谷山林道か。
  • 諏訪を辞した無用ノ介が渡る、中仙道・妻籠宿の橋、摩気橋(橋脚は木)。弾正らが屯する神社は摩気神社本殿前、無用ノ介が楼門に拠り様子を窺っていると、神兵衛が現れ天誅を敢行。神兵衛を託されたお艶が逃げ込むのは本殿裏手の田畔。
  • 捕らわれた無用ノ介を磔にして神兵衛を誘き出す弾正たち、不明(崖の下のアレ、小滝確認)
  • 事後、山甚や追馬の衆に見送られ一人去ってゆく無用ノ介、不明(先に出た高原と同所か、井尻にも似る)

2010/10/2

■ 火天の城  田中光敏監督作品 2009.9.12東映

 希代の風雲児・織田信長に、困難極まる城造りを命じられた棟梁と、彼が率いるチームの苦闘を描く感動作。汗と涙と血を流し、数多の曲折を経て、天下一の城は出来上がる。

ロケ地
  • 熱田の森で愛しそうに巨木を抱く凛、不明(山中)。そこから見る、騎馬武者がやって来る道、不明(丘陵地か、地道は大きく曲折)
  • 熱田神宮境内の普請場、下鴨神社馬場。建物は河合社の横に、信長らがやって来るのは馬場北方から。
  • 五重の天守を持つ城の普請を命じられる、棟梁宅の縁先、鴻池新田会所本屋台所。
  • 城の建設現場を見に、近江へ向かう又右衛門、不明(林道)。「鳰の海」を見晴るかす高台、湖北か。
  • 安土の山に縄張りして歩く信長、淡路ロケか。又右衛門に壮大なプランを語る、琵琶湖を望む絵は合成か。
  • 巨刹を訪ね参考資料を作る又右衛門、東福寺三門(楼上)
  • 宮司が呉れた瓜を食む岡野の大工たち、日吉大社走井橋下の大宮川。
  • 流鏑馬の信長、不明(丘陵、石垣は合成か)。侍大将たちが指図争いの経過を忖度。
  • 将兵が居並ぶ中を進んでゆく、指図を携えた棟梁たち、篠山城大書院裏手広場。書院の背後に櫓合成。
  • 飯場も立ち並ぶ築城現場、下古賀切り通し。
  • 心柱にする巨木を求め、木曽へ向かう又右衛門、谷あいの道は清滝河畔(神護寺境内から)。美林聳える山中、木曽か。又右衛門が面会を申し出て連行される、木曽義昌の砦、不明(山道)
  • 陣兵衛が又右衛門を案内するくだり、寝覚の床、本物(人物入り)。「適当な木」を見せて歩く林、不明。山で夜を過ごし、目覚めると又右衛門が消えているのに気付く陣兵衛、保津峡落合巌。樹齢二千年の天下一の檜、台湾ロケ。
  • 戦に従軍する市造たち、渡渉の行軍は大堰川。市造に追い縋る凛、大堰川河川敷
  • 築城中の安土城全景、不明(湖面に影を落とす山、合成か。後段、完成に近い形も出てくる)
  • 大檜を待つ普請場、淡路ロケ(湖面合成)。無事到着を祈る田鶴、琵琶湖(湖北)伊香具神社本殿。
  • 川で洗濯の女たち、安曇川。田鶴が糸を晒すシーンでは、真上からのクレーンショットあり。

2010/10/1

■ 鬼平犯科帳「敵」1990.1.17

 のちに腕利きの密偵となる大滝の五郎蔵、その起こりの情話。
しばらくなりを潜めていた本格の盗賊・五郎蔵だが、病篤い配下の最後の望みを叶えてやるため、江戸でのお盗めを計画。しかし、かつての仲間の息子に仇呼ばわりされて斬りつけられたり、身辺に怪しの浪人の目が光っていたり、不穏な気配。そして、ずいぶん前から裏切っていた者の正体が明らかとなる。

ロケ地

  • 本所仲の郷本町如意輪寺門前の花屋へ入る五郎蔵を見る岸井左馬之助、建仁寺三門放生池石橋。くぐる門は神光院山門にスイッチ、花屋は水場まわりにセッティング。盗人宿と推測し盗賊改へ足を向ける岸井の場面は再び建仁寺へ戻り、禅居庵と久昌院間の路地・クランク部。
  • 平蔵に旅先で見た情景を語る左馬之助、五郎蔵が亀吉の息子・与吉に親の仇と斬りかかられる三国峠、谷山林道(与吉は両側切り通し部分へ「落下」、塚は道の真ん中に)
  • 三国峠の盗人宿・坊主の湯、栂雄の指月亭(対岸から見た河畔の一室をイメージに。下の河原に掛け流しの樋をスモークで演出)。室内や、金を隠してあった井戸などはセット撮り。ロケ協力のクレジットあり。
  • 葛西から五郎蔵を訪ねてきて利平に声をかける手下、神光院蓬月庵(花屋営業中、導入は本堂前の石橋越し。水場越しの絵も)。その手下にお盗めの刻限を告げる五郎蔵、神光院本堂裏手。
  • 葛西の盗人宿、不明(昼と夜の絵あり、同一個所かは不明。大きな萱葺屋根は「兇賊」で出た盗っ人宿と同所、前庭での立ち回りあり)。原作設定では、小梅村・真成寺の裏。
  • 亀吉を手に掛ける伝八(伝八の回想)罧原堤下汀
  • 事後、身請けした文助の女房を伴い歩く五郎蔵、木津堤。堤上に茶店や燈籠、法面の「道」に赤いぼんぼりあしらい。

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