長七郎天下ご免!

1979/10/25-1982/3/25テレビ朝日/東映 (全113話)


第1話 「日本晴れ大江戸囃子」 1979.10.25

 神田明神の祭りが老中・松平伊豆守の命で中止に。知恵伊豆は、浪人に不穏な空気があるためという。果たして、伊豆の後を襲おうと企てる阿部備中守が公共工事ゲット狙う材木商と組んで伊豆暗殺を計画、ひそかに浪人たちを集めていた。
長七郎は、金のため挙に加わろうとした浪人の妹から頼まれ奔走、陰謀を暴き暗殺を阻止し、その上でワルの座敷に乱入し成敗するのだった(兄死んでるけど)

ロケ地

  • 神田明神、上御霊神社
  • 深川の加賀屋別業、大覚寺望雲亭(通い道に有栖川、河床から見上げ)
  • 浪人を諌める長さん、広沢池東岸(殴りつけ池落とし)
  • 伊豆の駕籠が襲撃される長命寺裏、大覚寺五社明神舞殿前。

ゲスト
沙織/結城しのぶ、加賀屋市兵衛/田中明夫、阿部備前守/加藤和夫、笹木源八郎/青木義朗、小松帯刀/大木晤郎、青山辰之進/中野誠也


第2話 「誘拐!おさよ危機一髪」 1979.11.1

 医者へ行った浜乃屋のおさよが、若年寄の妻女誘拐の巻き添えを食いさらわれる。犯人の要求は、全ての囚人の解放という無茶なもの。若年寄を妬み失脚を狙う大身旗本と、御用達狙いの米問屋、加えて出世狙いの南町与力がグルという悪企み、密偵らの奔走でアジトを急襲する長七郎たちだが、この際若年寄の妻女は夫を庇い斬られてしまう。
タイトルの危機一髪は、監禁した女二人をアジトごと爆殺しようとして火薬に蝋燭を置く一味の行為から。もちろん火がつく寸前に長さんが駆けつける。

ロケ地

  • 医師・尾形玄庵邸、相国寺光源院(門)。おさよが行く道に同寺鐘楼付近の道。
  • 与力がアジトへ赴くのを尾行する女密偵・なつ、広沢池東岸
  • 知らせを受け永井伊豆守邸から飛び出す長七郎たち、相国寺大光明寺前庭〜門〜路地。
  • 隅田川河口付近のアジトへ急ぐ長七郎たち、広沢池東岸汀。

ゲスト
綾乃/鮎川いづみ、堀田将監/北原義郎、大和屋藤蔵/高城淳一、永井伊賀守/亀石征一郎


第3話 「激突!燃えろ江戸っ子」 1979.11.8

 江戸開府以来の久左衛門町と、新興の新町が対立。嫌がらせレベルからついに名主が殺害されるに及び、諍いはピークに達し暴発寸前に。しかし嫌がらせや名主殺しは作事奉行と両替商が差し向けたもので、町奉行を失脚させ後釜に座るつもりの奉行と、町に歓楽街を建設する目論見の商人の企てた陰謀であった。町と町の間に立って周旋の長さん、ワルの座敷に乗り込み成敗、大喧嘩寸前で町衆を鎮める。
対立する両町の名主の弟と娘が恋仲で、というロミジュリエピソードも挿まれる。

ロケ地

  • 久左衛門町の名主の弟につっかかり長さんに止められる太助、今宮神社稲荷社前。
  • 長さんが久左衛門を呼び出し事情を聞く水辺、大覚寺放生池堤。その後なつとツナギをとる長さんは参道石橋上。
  • 清次とお千代が密会のやしろ、日吉大社白山宮
  • 絶望した恋人たちが身投げしようとする川端、中ノ島橋たもと堰堤前

ゲスト
お千代/木村理恵、清次/佐々木剛、近江屋勘兵衛/神田隆、剣持主馬/外山高士、源造/高桐真、久左衛門/冨田浩太郎


第4話 「変身!炎の京人形」 1979.11.15

 旗本奴の横暴が激化、花之屋も巻き込まれ難儀を蒙る。市中での乱暴狼藉のほか、高利で金を貸し、娘を人質奉公にとるという悪事も働く。これには、きれいな娘を幕閣の面々に差し出し出世を目論む勘定吟味役と、御用達を狙う悪徳商人が裏で糸を引いていた。
密偵・おなつは芝居を演じて自ら旗本奴に拉致され潜入、捕まっていた娘を助け出すと長さんが登場、ワルを成敗。

ロケ地

  • 旗本・黒坂家の奴たちと浪人のトラブルに介入し大喧嘩の長さんと太助、大覚寺大沢池北西畔、五社明神前。
  • 長さんが旗本奴の件で伊豆守と密かに会う屋形船、広沢池か(夕照)
  • 長さんに若い娘を狙った人質奉公の件を報告するおなつ、大覚寺五社明神(有栖川畔、祠脇)
  • 佃島の伊丹屋寮、広沢池東岸にセットか(夜、雨を演出)
  • 十兵衛父子と元朋輩の浪人衆が伊豆守の川越藩に向かう道、広沢池西岸か嵐山の公園か(ローアングルで前景にサルスベリ、背景に大きな広葉樹/道端に竜胆あしらい、岩田直二演じる十兵衛の元上司・鈴木の妻女が好きだった花)

*タイトルの京人形は勘定吟味役が幕閣へのギフトにする娘を生き人形仕立てに箱に籠めるもの。ラス立ちには箱の中から密偵のなつが出現。

ゲスト
室伏陣左衛門(勘定組頭)/戸浦六宏、伊丹屋清兵衛/内田稔、黒坂刑部/山岡徹也、お静/光丘真理、山下十兵衛/内藤武敏


第5話 「情け!高麗人参」 1979.11.22

 高麗人参が品不足で高騰、裏には肥前浦津藩江戸留守居役と、結託した薬種問屋。留守居役は元船奉行で、在任中には抜け荷やり放題で大儲け、その金をばらまき今の地位を得ていた。彼の邸の蔵には干し魚の俵に高麗人参が隠してあり、侍女・おきぬが偶然これを見てしまい始末されかかる。この過程で病弱なおきぬの妹が亡くなり、ワルどもは怒った長さんに乗り込まれてしまう。

ロケ地

  • 冒頭釣りの長さん、広沢池東岸汀。のちにおきぬ姉妹がたばかられ舟遊びに連れ出されるのも広沢池(東岸堤道、船上←船頭は福ちゃん、悪党の仲間には非ず)
  • おきぬの父からの偽手紙で浅草寺裏に呼び出される長さん、大覚寺五社明神
  • 掛川へ帰るおきぬ父子、嵐山自転車道

ゲスト
おきぬ/栗田ひろみ、おちよ/蝦名由紀子、竹内弥之助/左右田一平、六右衛門/織本順吉、神尾重秀/玉川伊佐男


第6話 「天晴れ!へぼ同心初手柄」 1979.11.29

 江戸の町で凶賊が次々と酷いつとめを働く。町方が追い詰めるも、きまって下目黒の境で取り逃がす。支配違いを承知で入った同心が殺されたりもする。これには品川代官が噛んでいて、あろうことか盗賊を囲い込み上前をハネて私腹を肥やしていたのだった。
ガキのおいたを派手に尺とって描いたり、悪党誘い出しにぶっとい釣り針が用意されたり、丸わかりの手柄譲りも笑わせる、勢いで勝負の話。

ロケ地

  • 町方が代官所役人に阻まれる下目黒との境の橋、不明(簡素な欄干付きの木橋、橋下手に瀬が見える)
  • 松平伊豆守が品川代官を自邸に呼び同心殺害について糺す野点の席、相国寺大光明寺石庭
  • 悪さを咎められ浜乃屋を出奔した同心の遺児たちを探し歩く長さんと太助、広沢池(東岸堤道と汀)
  • 凶盗・閻魔の仁兵衛を目黒不動滝泉寺で見かけるおなつ、不明(上の段と角度が違う広い石段)。尾行する際渡る石橋、相国寺天界橋。入ってゆく品川代官目黒出張陣屋、相国寺林光院(門)

ゲスト
山田陽介/深江章喜、山田一平/春日和秀、奥住玄蕃/安倍徹、宇田道之助/小笠原弘、閻魔の仁兵衛/秋山勝俊


第7話 「あきない札を喰った奴」 1979.12.6

 行商人の鑑札をめぐる汚職事件は、わけあって離れ離れだった親子の絆がもとで明るみに。捨て置いた妻子に、どの面下げて会えるかと躊躇う男に、長さんの鉄拳がふってくる。

ロケ地

  • 正太が店を出していて地回りに鑑札が無いとボコられる市、大覚寺五社明神
  • 長さんの回想、九年前掛川宿で行き倒れのおぬいを助けた街道、大内辻堂前。篠つく雨から彼女を保護した小屋は谷地田の中にあしらい、雨上がりに長さんが顔を洗う野井戸は田畔にしつらえ。

*おぬいは服部妙子、掛茶屋勤めの彼女とわりない仲になり勘当された町年寄の家の若旦那は長谷川明男。その家に巣食う悪に通じる総番頭は早川保、賂を受ける南町奉行は山本清、グルの与力は田口計。「同心」とクレジットされて福本清三(ラス立ち要員)。


第8話 「無常!江戸に散る花」 1979.12.13

 大名と回船問屋が組んで銃の密売、利権に食いつこうと南町与力も手を貸す。その過程で、荷揚げを目撃した魚屋が殺され、結婚を餌に与力に騙された湯女が大名への貢物にされた挙句惨殺されてしまう。ワルどもは今回かなり怒っている長七郎ぎみに乗り込まれ、皆殺しの憂き目に。

ロケ地

  • 清次が殺される銃荷揚げの船着場、広沢池東岸(顔を水に浸けられ放り込まれ、南町吟味与力に溺死で処理され)
  • 船着場で鉄砲の部品を拾った長さんが知恵伊豆のところへ持ってゆき庭でお話、相国寺大光明寺玄関前庭(門は映画村セット)
  • おなつと伊助が鉄砲の調査についてツナギのお宮さん、長岡天神稲荷社
  • 回船問屋・肥前屋寮、錦水亭東屋入口と生垣(おなつが探っていると中から試し撃ちの銃声)
  • 両親に会わせるとおしのを騙す松岡、長岡天神八条池畔。手前に白菊あしらい、背景に錦水亭外観。
  • 自らを餌に肥前屋の用心棒をおびき出しボコる長さん、大覚寺大沢池堤。銃で浪人の口を塞いだ男が逃げていくのは有栖川畔、南堤から見下ろす図。
  • 佐竹主水正邸、相国寺大光明寺門。
  • 佐竹について長さんに報告のおなつ、相国寺弁天社前。
  • おしのが佐竹に差し出される中州の料亭・菊屋、錦水亭東屋外観(池越し、ヨタカの鳴き声入り。室内はセット撮りだが赤い敷物を演出)
  • おしのを探し当てるおさよ、長岡天神境内石畳。
  • 松岡に会いに行き、肥前屋の寮で密談を聞いてしまった湯女が殺される水辺、大覚寺大沢池堤水門前(夕景、挿入歌入り)
  • おしのが葬られた野末の塚に参る長さんとおさよ、大覚寺大沢池畔

*丹前風呂勤めの湯女・おしのは中島ゆたか、元大店の令嬢設定。おしのを裏切る南町吟味与力・松岡は鹿内孝←長さんに「死ね」と罵られメチャ斬りされる。佐竹は今井健二、お金と女が大スキ設定で「良いではないか」アリ。肥前屋は城所英夫、強面の手下は内田勝正。ラス立ち福ちゃん入り、派手に斬られ。


第9話 「雪どけを待つ女」 1979.12.20

 世直し組と称する御用盗が頻発、民衆に金をばらまき義賊と称されるが、金の大半は大身旗本の猟官運動に使われていた。騙され、町方に差された事に気付いた、本気で世直しを夢見ていた若侍たちは縄目の恥辱を受けるに忍びず、長さんの目前で次々自刃。激怒した長七郎ぎみは旗本屋敷へ乗り込み、粛清の嵐を吹かせるのだった。
横糸に、太助が助けた行き倒れ娘の恋人が世直し組に入っているという、おきまりのドラマが織り込まれる。

ロケ地

  • おなつに世直し組の調査を指示する長さん、大覚寺護摩堂前。
  • 世直し組のアジト、広沢池東岸土手に崩れ土塀等あしらい。
  • 騙されていると武藤を説く長さん、大覚寺五社明神
  • 武藤が裏切者として仲間に始末されかかるアジト近くの水辺、広沢池東岸(水の中でも殺陣、伊助が割って入る)

*志津は早乙女愛、恋人の武藤清十郎は柴田p彦。世直し組主宰は塚本信夫、裏にいた大身旗本は高野真二。ラス立ち福ちゃん入り、お仕着せの旗本家来衆。
*志津と武藤が対で持つ印籠、これで正体が知れる運び。引っ張ってくるエピソードは、浜乃家の親爺が世直し組に堀へ投げ込まれた際印籠を引きちぎってきた話。この際オヤジはさあ殺せと大の字に、褌丸見えのアングルで撮られてて笑える。志津にぶつかった太助の、「江戸では魚屋にぶつかったほうが悪い」発言も大笑い、家に志津を置いた際風呂敷で部屋仕切るエピソードも青臭くてなかなか。


第10話 「浮かれて泣いた大漁節」 1980.1.10

 幼い後継ぎ息子を亡くしたあと自棄となり荒れた生活を送る内藤隼人正、遊興費のため知行地から苛烈な年貢を取り立てる。この裏には、内藤の傍に取り巻きを送り込み煽り立て、知行地で一揆を起こさせ我がものにしようと企む、縁戚の旗本がいた。

ロケ地

  • 釣りに出た先で行き合わせた内藤の奥方に薬を与え介抱する長さん、大覚寺放生池堤(北側に竹垣セット)
  • 内藤邸、相国寺大光明寺門。庄屋含む陳情者が門前に立つと、中からご乱行の音が漏れ聞こえ。
  • 内藤の取り巻きを探るようなつに指示する長さん、大覚寺五社明神祠脇。
  • 内藤が取り巻きと舟遊び、嵐峡。通りかかった庄屋たちが乱行を嘆くのは嵐亭生垣際。
  • 内藤の船を見張っていた侍たちが入ってゆく御書院番頭・榊原安房守邸、相国寺林光院門。
  • 内藤の奥方が子息の墓参に来たところへ長さんが接触、金戒光明寺(墓地、本堂西側、金堂前石段)
  • 庄屋の女房に説得され改心し、荒井浜へ向かう隼人正一行が襲撃される山道、大内・亀岡道山道。長さんが駆けつけ、馬上から松平長七郎と名乗る。

*隼人正は島田順司、奥方は北川恵。内藤の知行地・荒井浜の庄屋は池信一、女房のおたみはあき竹城。領地を狙う榊原は田中浩、内藤のもとに送り込まれた煽り屋の侍は中田博久。


第11話 「泣き笑いにせ者人生」 1980.1.17

 長さんの名を騙っていたちゃっかり浪人の哀話、うっかり乗ったうまい話は汚れ仕事。己を思う娘の真心や長さんの説得で真人間に立ち返ろうとするが、辻斬り浪人を片付けることはかなわず終わる。

ロケ地

  • 柴田弥五郎が辻斬り浪人と接触する御霊神社、大覚寺五社明神。仲間に入るのも、合流して「仕事」に出かけるのも、「仲間」を仕留めようとして返り討ちにあうのも同じ場所で。大沢池水面や木戸も映り込む。

*騙り浪人・柴田は長門勇、娘は大森不二香。柴田を誘う辻斬り浪人は波多野博と笹木俊志、値を抑える同業者が邪魔な油問屋は菅貫太郎、黒幕の若年寄は永野達雄。


第12話 「起て!魚河岸の暴れん坊」 1980.1.24

 苦労してやっと出した政吉の魚屋が、旗本奴に潰されかかり、喧嘩っ早い政吉は彼らに傷を負わせてしまう。事は大きくなり、魚河岸自体に嫌がらせをかける侍たち、しかし裏には魚河岸を潰して新たなものを作ろうとする遠州屋の陰謀があり、幕閣入りを狙う大身旗本が資金目当てで噛んでいた。
政吉の女房である娘を思う、魚河岸元締の苦衷が泣かせる。

ロケ地

  • 乱暴旗本・沢村らについて、なつの報告を受ける長さん、上賀茂神社ならの小川・神事橋上。
  • 政吉が隠れていた箱崎神社のやしろ、今宮神社境内。伊助が保護し浜乃屋に移し。
  • 笹島権太夫邸、相国寺大光明寺(門、中はセット)。元締が入ってゆくのを見届けたなつが長さんに報告の町角は金戒光明寺東坂下石垣際(角)

*政吉は高橋元太郎、女房のおきみは久保にしきで薄幸の被害者面が凄い。魚河岸元締の森九右衛門は村田正雄。黒幕の大身旗本・笹島は近藤忠、グルの海産物問屋・遠州屋は谷口完で笹島邸門前に括られて晒され。笹島のパシリの乱暴な旗本・沢村は岩尾正隆、腰巾着は五十嵐義弘。旗本がらみなので、大久保の御前も登場。


第13話 「吾兵衛が惚れた!」 1980.1.31

 長崎奉行と結託し、抜け荷の白糸で大儲けを企む回船問屋あり、抜け荷用の二重底の大船を造るのに船大工集め。この際、入牢している大工を死んだ者と偽り監禁・強制労働という悪行を働く。浜乃屋の吾兵衛の後妻話が絡んで展開。

*ロケなしセット撮り。
*吾兵衛の後妻にと話が来る「未亡人」は宮園純子、実は生きていた船大工棟梁の亭主は葉山良二。悪い回船問屋は稲葉義男でグルの長崎奉行は穂高稔。丸菱屋の手下は玉生司朗と福本清三、用心棒の浪人は国一太郎と西田良。悪党と通じ牢から大工を出す医者は重久剛一、ナシ通ってる牢名主は小田部通麿。吾兵衛に縁談を持ち掛ける米問屋は西山辰夫。監督は河野寿一。福ちゃん、ラス立ちでは伊助にからんで大八からふっ飛んだり、長七郎ぎみに斬られてプール落ちたり。


第14話 「殴り込み!鉄火娘」 1980.2.7

 盆栽狂いの小普請奉行、趣味が昂じて自らの悪企みもワヤにしてしまう一話。
荒筋は口入屋同士の対立、浜乃屋とは火事の被災者への炊き出しの際かかわりが出来。浜乃屋と盆栽フェチとのかかわりは、炊き出しがお上から誉められ、上様御手ずからの盆栽が下賜されたことから。

ロケ地

  • 神田の火事で焼け出された人々に浜乃屋が炊き出しを届ける寺、神光院中興堂前。シマ荒らしと大国屋の衆が怒鳴り込むところ、おあき介入し啖呵切る。
  • 釣りの長さんと太助が、腹を減らした豊島屋が世話したアブれ人足に話を聞く水辺、大覚寺大沢池畔。人足たちの回想、小普請組の役人が豊島屋の人足は使わんと言い渡す外濠の工事場(豊島屋が掛け合いにゆくシーンでも出る)嵐山公園掘割の石積(映画村セットの櫓併用)
  • 小普請奉行・倉橋采女正邸、相国寺光源院

*豊島屋の娘・おあきは甲にしき、彼女に仕える若い衆は森次晃嗣、倉橋の前で盆栽ぶった斬った亡き大旦那は新井和夫。倉橋采女正は遠藤征慈、大国屋は須藤健で乾分の亀助は岡部正純。工事現場のエラソーな役人は出水憲司。
*伊豆どのが吾兵衛に「松平長七郎」の名を吹き込み、あとあとお決まりギャグに。すりかえられた盆栽見て怒り心頭、大国屋を斬りかける采女正も大笑い。


第15話 「酔いどれ女の子守唄」 1980.2.14

 公共工事を巡っての陰謀。御用達の材木問屋から仕事を奪う企みは、若旦那の子を産んだものの引き離されて生きてきた酌婦を利用して行われる。女の心底を信じた長さんが動き、危機一髪で救出、内外のワルを殲滅。

ロケ地

  • おりんが地回りに強請りを持ちかけられる夜道、大覚寺有栖川(河床から見上げ)五社明神(地回り殺害やおりん拉致も同所)
  • 武州屋の工事辞退申し出を聞き喜ぶワル三匹が集う山城屋寮、大覚寺望雲亭(門、玄関)

*おりんは町田祥子、武州屋の若旦那は和崎俊哉、曲者の番頭は小栗一也。二本松藩勝手方は外山高士、御用の後釜を狙う悪徳商人は溝田繁。


第16話 「風が運んだお姫さま」 1980.2.21

 飯田藩の世継を巡るお家騒動、守役が密かに落した姫を拾った長さんが大活躍。世間知らずのお姫様が浜乃屋でとぼけたお笑いを繰り広げ、姫を慕う若侍が落命する哀切な一幕も用意された、おきまりストーリー。

ロケ地

  • 愛宕下をゆく琴姫一行が刺客に襲われるのは下鴨神社糺の森(川辺で休むのは泉川、姫を隠すのは当時涸れ川だった瀬見の小川の切石橋、守役たちが斬られるのは林間、通りかかった長さんに拾われるのは河合社塀ぎわ)。事後、国家老に伴われ行く姫の駕籠も同所の馬場(長さんの待つ茶店をセット)

*琴姫は吉沢京子、御側室の子が己の種な江戸家老は久富惟晴、強面の部下は有川正治や高並功、悪徳商人は幸田宗丸。愛宕下で斬られる姫の守役は北原将光、江戸家老一派に入り込んでいて露見・始末される姫を慕う若者は真夏竜、正義派の国家老は中村錦司。


第17話 「かあちゃんに逢いたい!」 1980.2.28

 駿河大納言に仕えていた女が、卿自刃の折他家の若党をしていた夫に世を憚って離縁され、その後縁あって普請奉行の後妻に。夫のもとに残した子らとの十年来の涙の再会に、同役の普請奉行と、癒着する悪徳商人の魔手が忍び寄る。

ロケ地

  • 江戸へ来た姉弟が寝泊りの河原の小屋、広沢池東岸にセット。水抜き後の風景。
  • 普請奉行・谷村右京邸、相国寺(南側通用門、門は映画村セット)
  • 谷村の奥方(姉弟の母)が松平伊豆宅にワカサギのお裾分けに行く道、相国寺鐘楼脇・宗旦稲荷前。長さんが出てきて姉弟の居場所を告げる。

*悪いほうの普請奉行に川合伸旺、伊豆宅で長七郎に引き合わされた際のお追従の福福笑いや、乗り込まれた際に長さんの顔見て「いかん本物」と顔を背ける仕草がラブリー。つるんでいる悪徳商人は須賀不二男。善人の相役は根上淳、奥方は亀井光代。


第18話 「大江戸一の与太役人」 1980.3.6

 父を天秤棒で殴り殺された同心は、犯人探しで棒手振りを目の仇にして「蝮」と恐れられる。この事件の真相は、米で不正働く蔵奉行を諫止した同心が暗殺されたというもので、七年後再び同じ奴の企みで蔵米を利用した大がかりな不正が行われ、江戸市民は屑米を食わされ難渋。
真相を知った長さん、先走って敵討ちに走って行った同心の危機を救い、ワルを断罪。

ロケ地

  • 長さんが豆蔵を訪ねてゆく際通る「八丁堀」、嵐山公園中州堀端(渡月小橋下手の湛水域)。開削の経緯等解説ナレーションつき。
  • 豆蔵の妹が開く寺子屋、神光院蓮月庵。その他、中興堂、本堂、渡廊も使用。立てこもりの際の内部描写はセット併用、セットでは題目塔を演出。

*棒手振り嫌いの糸井川豆蔵は左とん平、妹は清水あけみで亡父は武内文平。蔵奉行は草薙幸二郎、つるむ悪徳商人は武藤英司、こやつらとグルだった豆蔵の上司の北町与力は北村英三。浜乃屋に屑米を納入する、一癖ありそうな顔なるも悪党ではない米問屋は西山辰夫。
*豆蔵の父を殺ったのは奉行本人、凶器はその辺へ投げて去る。


第19話 「唄を忘れた箱入娘」 1980.3.13

 抜け荷の疑いで死罪確定の唐物問屋、処刑寸前に娘は無実の証拠書類を見つけるが、途中早駕籠にひっかけられ頭を強打し記憶喪失。浜乃屋へ運び込まれた娘の力になる御馴染みの面々。裏にいた同業者と公金横領の勘定奉行は、長七郎ぎみに処断される。

ロケ地

  • 抜け荷の証拠を見つけたおすみが、怖くなってそれを持って家を出て一夜を明かす屋形船、大覚寺大沢池船着(小)に係留。設定は行徳橋近く、おすみの現住所は浅草。後段、元手代にたばかられもう一度頭を打つ段では、ここへ至るのに天神島朱橋を渡る。
  • 記憶の戻らないおすみを河内屋へ連れて行く途中、思い出す恐怖に足を止めるのを叱咤する長さん、大覚寺大沢池堤。河内屋は下谷広小路。

*浜乃屋へ保護される娘・おすみは岡田奈々、父の河内屋は中村錦司。ライバルの悪徳唐物問屋・平戸屋は山岡徹也、こやつと通じる公金横領の勘定奉行は川辺久造、平戸屋に内通していた元河内屋手代は石田信之。
*河内屋は「こうちや」と発音されている。


第20話 「恋も蕾の仇討ち」 1980.3.20

 浅草に小屋掛けの娘手妻使いの一座、花形の太夫は両親の仇を探す元武家娘だった。そして、一座に無理難題の地回りとつるむ大身旗本が仇だったり。もちろん介入の長さん、太夫が淡い恋心を抱く一幕も挿まれる。

ロケ地

  • 浅草寺、「雷門」と書いた大提灯が下がる門は仁和寺中門か。常香炉は金堂前と思われるが、蕨手の燈籠の先っぽしか見えてない。露店に嫌がらせをする観音一家のシーンは仁和寺観音堂(石畳脇にわんさか露店)
  • 浅草三社裏で地回りたちに囲まれる太夫、仁和寺九所明神
  • 長さんが太夫に事情を聞く、大覚寺大沢池堤

*お駒太夫は夏樹陽子、長さんの身分を知って恋をあきらめる運び。これがらみで「長七郎さま?まさかぁキャハハ」の定番ネタあり。元太夫の家の女中だったおばさんは山口朱美、座頭は雪代敬子。仇の旗本は勝部演之、ヤクザは金井大で用心棒は黒部進。


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