若き日の次郎長 東海の顔役

マキノ雅弘監督作品  1960.12.27東映


 生業に不熱心で、許婚者に叱られてばかりいた若者は、ある事件を境に己の行く道を選び取る。拙速ながら仕立てた一家を率い、初舞台を見事につとめあげ清水に凱旋するまでを描く。
 天保八年の清水港には無宿人が溢れていたが、彼らに蔵米を売ることは禁じられていた。叔母の養子に入り米屋を継いでいた長五郎は、米を求める難民に関わるうち、心に熱き炎を滾らせてゆく。暴発ののち所払いとなり、実父の示唆で船に乗った長五郎は、旅先で米の回らぬシステムの裏側を知り、その壊滅を決意。ここに原初の清水一家が産声を上げ、伝説の侠客が世に出ることとなる。

琵琶湖

ロケ地

  • 米問屋から仕入れての帰り、仙右ヱ門と喧嘩のくだり、荷駄がゆく道、不明(川堤、遠景に山なみ、前景に茶摘娘あしらい。堤は相当に高く、河原は砂地。分流のような流れに木橋が架かっている。琵琶湖流入河川か)
  • 長五郎の店に盗みに入った老武士が死んだと聞き駆けつける小屋、琵琶湖西岸松原にあしらい。腹を切った侍の亡骸を見、残された娘の嘆きを見るうち、長五郎の感情は昂ぶってゆく。
  • 尾張ヤクザの権六と勝負しイカサマを見抜き「勝った」長五郎に刺客が立ちはだかる、桑名へ一里の道、不明(谷地田の道、一帯は丘陵地で木橋架かる小川も)。ここで出る刺客は追分の三五郎。
  • 梵天丸が係留されている桑名の港、琵琶湖西岸松原。浜にある灯台や石積護岸はあしらいもの。後段、急遽成立した清水一家が殴りこみに走るシーンも松原、木立沿いの道や内湖畔の道など出て、湖側・山側両方のアングルが出る。

 次郎長は中村錦之助、絶頂期の錦兄ィの威勢のよい啖呵がたっぷり聞けるほか、燻っている米屋の若旦那の投げやりっぽい言動も可愛い。米屋の隣の炭屋の妹で許婚者のお蝶は丘さとみ、フグとかババアなどの雑言に負けず言い返すやりとりが楽しい。お蝶の兄で小博打仲間の大熊は徳大寺伸。長五郎の実父・三右ヱ門は月形龍之介、ピストルくれたり大金任せたり船頭付けてやったり、大甘。
「次郎長」の乾分となる六人、元から渡世人な追分の三五郎は東千代之介、一番乗りの豚松は中村錦司、怪態な予言で長五郎を流れに追いやる乞食坊主の法印大五郎は田中春男、尾張で拾った桶屋の鬼吉は加賀邦男、食い詰め者の無宿人だった松川の仙右ヱ門夫婦は平幹二朗と扇町恵子、船頭の相撲常は大前均。
坂田屋へ盗みに入って長五郎にボコられ、「鼠侍」を恥じて腹切った難民のオヤジは原健策。彼の娘は大川恵子、のち桑名の遊里で出会う場面が用意されている。
尾張のヤクザ・権六は阿部九州男、桑名の顔役で長五郎が入手した三百俵の米切手の振出人の古市の伝兵ヱは山形勲、米切手を換えてくれない憎さげな桑名の米問屋は吉田義夫。次郎長デビューの大出入り、彼の勝ちを宣し幕を閉じる役をする大親分・大前田英五郎は大河内傳次郎。


→ 若き日の次郎長 東海道のつむじ風


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