暴れん坊将軍
IV
1〜19話

1991-1992テレビ朝日/東映

キャスト 徳川吉宗/松平健 おさい/浅茅陽子 紋次郎/渡辺篤史 お葉/伊藤つかさ 才三/五代高之 茜/入江まゆ子 おちよ/田中綾子 大岡忠相/横内正 常吉/白井滋郎 伊助/斉藤弘勝 六太/原亮介 才次/真砂皓太 源八/大石源吾 おはる/山本真由美 田之倉孫兵衛/船越英二 辰五郎/北島三郎


スペシャル「ご生母、謎の失踪!吉宗、江戸城決戦春一番!!」1991/4/6

 吉宗公の弟を仕立てての目論みは将軍の権威失墜、「弟ぎみ」の出生にまつわる秘事を黙して語らぬお由利の方、裏には彼女と同じく見捨てられた側室の哀れな事情が隠されていた。
陰謀の黒幕はいつものように尾張宗春、お由利の方を追い詰め悩ませた者どもに上様の怒りを込めた鉄槌が下る。

ロケ地

  • 紋次郎と新さんの初めての出会いとなる、め組と加賀鳶の大喧嘩、今宮神社境内、東門前。
  • 俺には弟はおらんと言う上様に証拠の品は本物だったと報告する忠相、姫路城西の丸
  • 母に会いに清流庵を訪ねる新さん、中山邸通用門(草津へ湯治で不在)
  • 岸へ船をつけた女船頭・お俊が釣り人に深川・正覚寺への道を聞く川端、嵐峡。正覚寺、大覚寺大門(恋人の平太を訪ねたお俊は門前払い、菊千代ぎみの調査に庭番が潜入するくだりには宸殿白州や宸殿前廊)。寺を出た直後お俊を襲う刺客、下鴨神社河合社裏手(新さん介入、助けたあとめ組へ保護)
  • 草津へ向け早駕籠をやる田之倉さま、嵐山自転車道(じいを撒いて江戸へ向かうお由利の方も同所)。草津温泉イメージ、日吉山荘
  • 平太=菊千代ぎみの調査に潮来入りし船頭に話を聞くおさいと紋次郎、嵐山公園掘割(中ノ島橋手前の堰堤上手静水域)。平太の養親である庄屋宅、民家門(手が回り庄屋夫婦殺害)。手がかりを求めるも死んでいた早見半兵衛の墓、化野念仏寺(半兵衛殺害目撃者の桜木健一が経緯を教える)
  • お俊のことが気がかりでこっそり夜間外出の菊千代に声をかけるお由利の方、大覚寺五社明神(家来が捜しに来て由利の方は身を隠す)
  • 江戸城へ入る菊千代の駕籠、姫路城菱の門。菊千代と馬をやる上様、下鴨神社馬場
  • 菊千代に会いに来たお由利の方に声をかけ事情を聞く新さん、大覚寺勅使門橋
  • め組で平太を案じて待つお俊の回想・平太と遊んだ雪の潮来、下鴨神社馬場(雪景)
  • お由利の方を脅しつけた菊千代付き用人の件を報告する才三、大覚寺天神島

*お俊に大沢逸美、菊千代に円谷浩、用人・山名に勝部演之、手下の侍に福ちゃん。
*め組の新しい小頭に紋次郎登場、新さんとは鳶との喧嘩で初めて出会う。お由利の方は自刃騒動後頭を丸め尼に。


第1話「いざ成敗、天下を狙う大泥棒」 1991 

 老中の空きを狙う館林藩主と高崎藩主。折りしも持ち上がった館林の若様が上様に御目見えする殿上元服を前にしての失踪事件を好機と見た高崎藩は若様を拉致、窮した館林藩は替玉を立てて儀式に望もうとする。しかし上様の御前で偽者を暴こうとして失敗、自棄になった藩主以下で城を下がる館林の駕籠を襲おうとする。そこへ手早く新さんルックになった上様、ラス立ち突入。

ロケ地

  • 江戸城に姫路城各所。冒頭の上様の剣の稽古は西の丸下。タイトルに三国濠。忠相らと館林のことを話す、はの門下の坂。庭番に高崎藩探索を命じる、ろの門内側。
  • 館林藩邸に大覚寺大門・蔵・式台玄関。若様が藩邸へ戻る途中拉致される、放生池堤〜大沢池北西畔
  • ラス立ちのお城近くの坂、南禅寺法堂僧堂坂
  • 事後、一心にコサギをスケッチする若様、広沢池観音島(水無)

*若様失踪は左利き矯正を無理強いしたためチック出たもの、切腹まで思い詰めるちょっとカワイソな展開。しかし上様の計らいでくびきを逃れ町場に暮らすことに。このパターンって絵師多いような気がする。タイトルの泥棒は盗みに入って若様を連れ出す羽目になるどんくさい石川五右衛門の末裔、長門勇がほんわか人情劇を展開する。彼のガミガミ女房がこめかみに膏薬貼ってるのは、90年代のドラマでは珍しいかも。


第2話「春の嵐、江戸城刃傷事件」 1991 18

 江戸城内で御徒士頭が部下に刺されるという事件が出来、出役吟味を受けるため上司に賄賂を使っていた同僚が裏切られて窮地に陥り一家心中したことへの怒りから、不正を糺す非常手段であった。この裏に両替商と組んだ更なる巨悪あり、上司殺害のかどで捕われた徒士侍を証拠隠滅のため亡き者にせんと狙う。捕縛後黙して語らぬ徒士侍、上様は牢内に恋人を入れて会わせてやり心をほぐし真実を語らせる(途中で上様と気付くしるしの「カーン」入る)

ロケ地

  • 市原千蔵が徒士頭を刺す城の御廊下、相国寺方丈(導入は回廊の花頭窓から覗く形で、前廊をゆく上司に斬りかかるのが廊下から階、白州を使ってスローモーションで)
  • 市原の恋人がお葉に語る回想、市原が暗に別れを告げた登城途中の道、南禅寺三門
  • 小姓組組頭がじいに刃傷は芸者を争ってのことと耳打ち、相国寺方丈北廊下
  • 奉行所牢内に刺客が潜入した件と芸者のことを庭番から聞く新さん、上御霊神社本殿脇。後段でも出る。
  • その芸者にカマをかけた新さんに刺客、大覚寺大沢池堤
  • 市原の恋人に事件のことを聞かれる新さん、上御霊神社本殿前(舞殿で巫女さんの舞)
  • 市原が新さんを上様と気付く記憶の映像、庭を逍遥の上様は阪口青龍苑。事後、一人事件を述懐する上様も同所(茶亭前芝地)

*正義漢の御徒士は伊吹剛、許婚者は小田薫。黒幕の小姓組頭は小沢象で用人は五味龍太郎、冒頭斬られる御徒士頭は大木晤郎、悪徳両替商は田口計。
*事後、市原への咎めは記憶無くしてたからナシって…いいのかそんなんで。成敗時、御簾自動ロールアップ。


第3話「裏切者に涙あり!」 1991 18

 お忍びで吉原へ通いつめるなど放蕩三昧の松前藩主、当然のことに藩政は放ったらかし、実権は江戸家老・伊佐山が握り特産の海産物を息のかかった商人に一手に流し私腹肥やしまくり。君側の奸を除こうと立った勘定奉行は失敗し切腹の憂き目を見る。残された娘・お静は事件の際父の同志で婚約者の中畑弥四郎が裏切者と思い込まされ、二年が過ぎる。新さんは弥四郎の心底を見、拷問により同志の名を吐いてしまったことを恥じ腑抜け同然に江戸家老に仕えている彼を奮い立たせ、彼を伴って再び起った反伊佐山派を助けに采女ヶ原へと向かう。

ロケ地

  • 松前藩主がお忍びの吉原帰りを襲われる日本堤、大覚寺大沢池堤
  • 松前藩主の行状を聞く弓のお稽古上様、姫路城西の丸。田之倉に放蕩を意見されるが意に介さない松前藩主、三国濠前。
  • 弥四郎がお静に裏切りを告白する、上賀茂神社渉渓園遣水脇。新さんに事情を打ち明けるお静、ならの小川畔。
  • 正義派の藩士たちが家老を討つべく待ち構える采女ヶ原、下鴨神社糺の森池跡河合社をバックに大立ち回り。

*弥四郎に沖田浩之(殿の宴におてもやんの馬鹿踊りを披露)、悪家老に亀石征一郎、正義派の藩士のリーダーは峰蘭太郎(めちゃハマり)、ラス立ち福ちゃん入り。
*今回はラス立ち前の名乗りなしで「カーン」もなし、出張った大岡さまが「上様」と呼ぶのに弥四郎が恐れ入る運び。


第4話「女盗賊の恋」 1991 18

 徳田新之助が以前市中で危機から救った親子、その娘は盗賊一味の引き込み女となっていた。裸足だった娘・お涼に自らの草履を脱いで与えた新さん、お涼はその後ずっと「徳田様」を思慕し続けていた。
江戸に舞い戻った凶盗・藪塚の陣兵衛は無役の旗本・野村玄之丞と結び更なる凶行を企てる。お涼は病身の父を人質にとられ商家へ潜入していたが、新さんと再会しその真情に触れ、また父を救出して貰った知らせを受け「徳田様」のいるめ組へ走るが一味に捕まり裏切者として斬られる。腕の中で息絶えたお涼を看取ったあと、新さんはちょっとメロウ入り、挿入歌流れるなかうっそりとワルのアジトへ向かう。

ロケ地

  • 商家に潜入しているお涼を呼び出し事情聞く新さん、梅宮大社神苑(茶店あしらい)
  • お涼と一味の伝次がツナギをとる市中、南禅寺三門
  • 野村のことで才三から報告を受ける新さん、梅宮大社境内〜楼門。
  • ヤケ酒を呑むお涼を連れ出し助力を申し出る新さん、広沢池東岸(池に鵞鳥、鳥の効果音はヨシキリ)
  • 庭でお涼の形見の鈴をいじる上様をからかう田之倉のじい、阪口青龍苑

*盗っ人一味はかしらの藤岡重慶をはじめ大木正司、長谷川弘、長谷川明男とコテコテのキャスト。旗本は松橋登、髑髏を弄らせて変態ぽい味付け、上様の怒りの一撃に刀を叩き折られる。
*お涼の父連れ出しはめ組の宴会パワーで。


第5話「天晴れ!孝行息子に名裁き」 1991 50

 北町奉行と手を組み米価を吊り上げ私腹を肥やす大黒屋、奉行のほうは忠相に強烈な妬心を抱き米問題で失脚させようとする。その小道具に、上様の計らいで忠相が賞揚した孝行を使っちゃったりして悪辣。うまく行かないと更に罠を仕掛け周介を主殺しに仕立ててまで忠相の非を責め立てるありさま、庭番から悪事の証拠書類ゲットの上様にきっちり乗り込まれてしまう。

ロケ地

  • 周介が母を背負って養生所へ通う途中お参りの神社、今宮神社合祀摂社。お葉ちゃんと一緒に出てゆくのは東門。
  • 庭番が報告したり忠相が今回の件を詫びるお城の馬場(上様乗馬中)下鴨神社糺の森馬場

*米価高騰について、何度も「将軍は馬鹿」呼ばわりの紋次郎、しかし故郷の農民の困窮ぶりをしんみりと語る、泣かせる一幕もある。
*悪徳商人は伊吹聡太朗、似合いすぎで笑い顔か目に焼きつく。北町奉行は川辺久造で腹心に中田博久。孝行息子は加藤純平、おっかさんは白石奈緒美。


第6話「もう一つの十手御用」 1991 

 定年を迎えた老同心・佐々山作兵衛は、役を退いた途端冷たくなった世間を感じ寂寥感に襲われる。無聊の日々のなか同年輩の仲間の白金堂や木曽屋らに誘われ、彼らを老人扱いせず立ててくれる呑み屋の女将と出会う。しかし彼女は作兵衛が捕えられず心残りとしていた凶盗・黒雲の甚五郎の手先だった。

ロケ地

  • 作兵衛が錠前師の九蔵を捕縛の橋、中ノ島橋。ダンナは橋たもとで足もつれてコケてて、立ち回りはめ組の衆。捕縛の瞬間鐘が鳴り定年の運び。
  • 隠居仲間と身の処し方をボヤく茶店、今宮神社東門外一和
  • 年寄りの処遇についてじいの屋敷で話す上様、相国寺林光院(門と縁先と中庭)
  • 新さんに口入屋に仕事を断られた話をする作兵衛、今宮神社東門内石橋
  • お蔦の「教唆」実行を決意する作兵衛、嵐山公園中州桂川堰堤畔
  • お蔦を人質にとり作兵衛を脅すくだり、広沢池東岸(料亭?跡脇を抜けて汀へ・甚五郎たちは屋形船)
  • 九蔵を奪ってゆく一味、中ノ島橋
  • 江戸払いになったお蔦がゆく街道、嵐山自転車道(茶店あしらい)

*作兵衛ダンナは内田稔、頑固だがさばけた老人を好演、珍しい死なない例でもある。彼に手を貸す隠居仲間の北見唯一と森幹太もいい味。お蔦は鈴鹿景子。賊の背後にいた大ワルは北町嘉朗演じる勘定組頭、新改鋳の小粒二万両をそっくり頂く魂胆でいたところを上様ルックで乗り込まれてしまい一巻の終わり。賊のかしらは山本昌平、手下に広瀬義宣や河本忠夫、錠前師は小峰隆司、彼らと通じる勘定組頭の部下は唐沢民賢。
*江戸払い中、お蔦の居酒屋は作兵衛ダンナが見るという後日談つき。もちろん仲間の二人も手伝い。


第7話「逃げた花嫁」 1991 18

 不行跡で鉄砲組頭を罷免になった旗本寄合席の加賀爪外記は、大奥の中揩ニ通じ孕ませる・これをネタに脅した御数寄屋坊主を斬り捨てる・目撃者の町娘を追い回し惨殺するなど悪逆非道の輩。そのうえ返り咲きを画策し資金調達のため、武家との縁組を渇望する商家の娘を妻にし財産乗っ取りを目論む。
しかし商家の娘がはねっ返りで、縁談を嫌って家出し、外記の悪行を目撃してしまったことから騒動が持ち上がる。この娘・お染と関わった新さんは、剣突を食らわされるわ共に爆殺されかかるわタイヘン。爆薬と自害した中揩フ線から外記の名が浮上し、お染と外記の婚礼の席に乗り込んだ上様が成敗。

ロケ地

  • 御数寄屋坊主が斬殺される上野の寺社地、大覚寺五社明神
  • 目撃者の小町娘が斬り殺される林、赤山禅院雲母不動堂裏手石段(上の摂社群や下のお堂も映り込む。摂社前で新さんに拾われ・後で二人で見に行くシーンは雪を演出←忠相も出張り検分中)
  • 本所小町の殺害現場に行き物売りに話を聞くお染、松尾大社本殿と摂社の間付近。
  • 新さんがお染の推理を聞く川端の茶店が爆破、木津河原。お染を庇って転がる新さん、木津堤。旅人を出してあるので渡し場設定か←しかし画面の隅に橋ちらり。
  • お染が呼び出され新さんの別れの文を読むあやめ河岸近くの神社、赤山禅院本堂朱玉垣脇(雨を演出)
  • 事後、新さんに淡い思いを抱いていたお染が上様のことを一生忘れないと祈る祠、今宮神社稲荷社

*お染は伊藤智恵里、父の三州屋は園田裕久。外記は有川博。
*殺された御数寄屋坊主の行状を聞いた上様「では恨まれても仕方ないな」…カルい…。お染と喧嘩腰の不毛な会話も傑作。茶店が爆破されても動じる様子ないのは、さすがに天下人か単に鈍いのか。


第8話「人情!め組の成金騒動」 1991 19

 小頭の紋次郎が身投げから助けた女は幼馴染のおかつ。境遇を憐れんだ「モンちゃん」は母子ともども引き受ける心づもり。おかつが差し出した、家の焼け跡から出たという甲州金と印籠が田之倉の鑑定により武田の埋蔵金とされ大騒ぎ。借金のカタにとられた家を取り戻し大金ゲットの夢を見るめ組一同は金を掻き集めるが、話はおかつの亭主が仕組んだ作り話だった。
これに不満分子の粗野な旗本・菅井又左衛門が絡み、騒動起こしプチ謀反の企み。菅井は甲州金を風魔の残党に盗られたと称し隠匿、これを放出し人を煽ろうとしていた。おかつがネタに使った金の出所は菅井のもとから中間が盗み出したもので、おかつは命を狙われることに。最後は銃を大量に買い付けようとしている菅井のもとに新さんが乗り込む。追い詰められた菅井は自刃と見せかけこずるく立ち向かうが、上様にぶっ叩かれたうえ成敗。

ロケ地

  • 大川端で侍に追われた中間が負傷しているのを見て手当てするおかつ、中ノ島橋たもと(ここで甲州金を託される。旗本に誰何されるのは堀端、中間が殺されるのは中州下手汀)
  • 増上寺門前町で料理屋にいちゃもんをつけ暴れる旗本と事を構えるめ組、今宮神社東門内。
  • おかつが身投げの芝居、中ノ島橋上。
  • 新さんにおかつとの思い出を話す紋次郎、大覚寺天神島
  • 埋蔵金が見つかるよう神仏に祈るめ組の女たち、今宮神社合祀摂社、稲荷社
  • 亭主といるところを刺客に狙われるおかつ、神護寺鐘楼下石段。亭主が逃げ去るのは金堂下石段。おかつに事情を聞く新さん、五大堂前、新さんの背後に大師堂が映りこむ。
  • 紋次郎におかつが金を詐取と告げる新さん、酵素(降り口際に茶店セット、話すのは川べり)
  • おかつが亭主を責めるお堂、勝持寺本堂
  • おかつ一家が旅立つのを見送るめ組一同、木津川流れ橋上。モンちゃんは顔を見せず橋下で見送る。

*おかつは伊藤美由紀、亭主の政之助は沖田さとし。悪い旗本は小笠原良知、捨て台詞は「まことの上様なら好都合、お命頂戴仕る」。
*ラスト、お城でまだ埋蔵金の話する田之倉の相手の忠相、背後で上様の口パク「ばぁかばぁか」…。


第9話「天下御免のくいしん坊侍」 1991 19

 美人と評判のおかんの煮売り屋へ通いつめる下総大金藩の勤番侍・千林惣十郎は上司や同僚にも軽侮される道楽グルメ男。しかしこれは見せ掛けで、殿と国家老の密名を受け藩金に手を付けた挙句偽小判を鋳造する留守居役の悪事を暴くための擬態、食べ歩きも鋳造の工房を探るため。
おかんの母や辰五郎からあの侍をどうにかしてくれと頼まれ関わる新さん、千林が鋳造場所を突き止め乱戦となる現場に介入、大暴れ。今回は同行した忠相が「このお方をどなたと心得る」で「カーン」。

ロケ地

  • 偽金工房の清月寺、神光院山門、中興堂(町寺で昼間は子供の遊び場、はじめ気付かず見逃す)
  • 千林が旗本にいちゃもんをつけられる車坂町の田楽の店、真如堂茶所(ここへ至る道に参道や石段、立ち回りは塔前の参道で)

*千林は並木史朗、おかんは森恵。留守居役は中田浩二、千林の直属上司に真田健一郎(遣い手設定)。
*煮売り屋手伝いの新さん、妙なステップで店をひらひら。ラストは御座所の前に卓袱台据えて、千林の食った江戸グルメをずらりと並べて食す上様トリオ。


第10話「大岡越前、なみだの鉄拳!」 1991 19

 漁村から江戸での暮らしを夢見て家出の少女、回船問屋に下働きに入るが抜け荷で結託の船手奉行の妾にされてしまう。これを探しに江戸へ出てくる老父は、忠相の旧知・知行地で幼い頃「忠相坊ちゃん」を鍛えた漁師の忠次。忠相は探し出した娘を手荒く諭し忠次に受けた恩を返すのだった。
で、事件は回船問屋と船手奉行が組んでの抜け荷。

ロケ地

  • 忠次が幼い忠相を鍛えた茅ヶ崎の海、間人海岸(冬の夜の海イメージと、忠相が荷揚げを臨検にゆく浜も同所か)
  • 忠相がお八重を諭す神社、松尾大社。楼門前で声を掛け、亀の水場で八重の顔を水に突っ込み(タイトルは鉄拳だけど殴ってナイ)

*父のほうは抜け荷隠していた樽から塩鯖を放り投げるのに激怒、娘のほうも塩鯖の中に隠した翡翠玉を取り出したあと臭いと言って魚を棄てる奉行を嫌う。このシーンを海の画と魚を捌く父子の画が伏線となり引き立てる。品川隆二と伊藤真美が好演。悪徳商人は高城淳一で強面の用心棒は有川正治、船手奉行は御木本伸介。
*今回「乗り込む」際おのれは徳田新之助、と言われ「俺には今ひとつ名がある。余の顔見忘れたか」。


第11話「女泣かせの憎いあいつ!」 1991 19

 徳田新之助と以前付き合いのあった辰巳芸者・鶴吉は、別れたあと侍相手の脅迫を生業とするようになっていた。鶴吉は或る日妹分で高岡藩の殿様のもとに上がっていたおなみが横死したことから調べにかかり、江戸家老がおなみの生んだ若様を毒殺しおなみを死に追いやったことを知る。復讐の念に駆られた彼女は手下と謀り家老を脅し大金をせしめるが、刺客が放たれる。高岡藩が唐物問屋と組んで抜け荷を働いていたことを内偵中の上様がこれに絡んでくる。
刺客から救ってくれた新さんに諭され鶴吉は自ら奉行所に出頭、江戸家老は上様に乗り込まれる。

ロケ地

  • おなみの土左ヱ門が上がる大川端、嵐山公園中州下手河原
  • おなみの葬儀が行われる法徳寺で手下と謀議の鶴吉、西明寺(山門、境内、鐘楼に本堂も使用。後段、解散の話をしていて襲撃に遭うくだりもここ)
  • 市中で偶然出会う新さんと鶴吉、鶴吉がゆくのは大覚寺大沢池北西畔放生池堤を新さんが歩いてくる。鶴吉に知らん顔をされたあと新さんが木に凭れ考え込むのは護摩堂前。
  • 高岡藩お抱え医師開伯道邸、金戒光明寺善教院。その後駕籠がゆくのは永運院下坂。伯道を脅す屋形船がもやっているのは広沢池東岸
  • 鶴吉の回想シーン、新さんとデートの祠に今宮神社稲荷社、待ち合わせの茶店は高倉下(秀五郎が徳田様は来ないと告げにくる)
  • 上様の回想シーン(秀五郎が姐さんは来ないと騙す)今宮神社中門
  • 上様が江戸払いの鶴吉を白馬で見送るのは谷山林道分岐道の上方。

*新さんとラブラブ状態の鶴吉、双方の回想シーンがフォーカスかかった画で何度も出てくる。一部には挿入歌「夜明け」が被る。鶴吉を慕う板前が邪魔をして会えなくなった二人が描かれ、江戸払いとなった彼女を見送る上様はなんと峠道に上様ルックで白馬に乗って現れ、忠相が身分を明かすという無茶な仕儀となる。乗り込んだ際の断罪に「余の目を欺けると思いおったか」・カーン、も珍しいパターン。
*鶴吉は一色彩子、秀五郎は井上高志、あとの子分二人は竜川真と佐藤晟也。高岡藩江戸家老は川合伸旺。江戸家老一派に捕まり責め問いされる鶴吉の手下のくだり、拷問シーンでうしろに福ちゃん、手は出さず立ってるだけ・でもラス立ちには真っ先に斬り込み隊長。


第12話「血ぬられた折鶴」 1991 19

 やむなき家の事情から、或いは悪党にたばかられ、悪事を犯してしまうか弱き者たち。彼らを更なる苦境に追いやる悪党どもに、上様の鉄槌が下される。

ロケ地

  • おふじが財布を隠した稲荷、伏見稲荷(奥社奉拝所、千本鳥居、本殿脇)
  • 伊勢屋寮、中山邸(門)
  • 同心がおふじに自作の簪を見せる水辺、中ノ島橋下河川敷(岸からヤクザが窺う)
  • 城の庭、彦根城玄宮園(池畔、橋上)
  • 磯貝邸、不明(妙心寺長慶院に似る)

*裏帳簿入りの忘れ物の財布を、父のため出来心で隠してしまう下女・おふじは吉野真弓、目を患った錺職の父は牧冬吉、弟子入り志願の若き同心は山本太郎。思い詰めて辻斬りをはたらく御家人・磯貝は荒木しげる。悪徳札差・伊勢屋(兄のほう)は小林勝彦、強面の手下は堀田真三、使うヤクザは重久剛一、蔵奉行は深江章喜。ラス立ちに福本先生と峰蘭太郎(切り込み隊長)。


第13話「恋の細道、通りゃんせ!」 1991 50

 奥向き掌握を狙い虚血で倒れた田之倉を卒中と偽る典医、裏にはじいが邪魔な幕閣と大奥年寄。しかし目論見は、法印についてきた若い御目見得医が独自の見立てを上様の前で披露したことにより崩れ去る。その青年は幼馴染の娘が品川宿の女郎に身を落とし労咳を患っているのを見捨てておけず奔走、しかしその過程で折角助けた女は医師を庇って悪党の白刃の前に。

ロケ地

  • 御目見得医師と女郎が逃げる品川の浜、間人海岸
  • ワルどもが密議の寺、東寺南大門越し五重塔(イメージカット)神護寺(山門下石段、五大堂、毘沙門堂、金堂下石段、金堂前)
  • 事後、遠乗りして町を見やる上様、谷山林道

*青年医師・坪内は片岡弘貴、幼馴染だったお女郎は片山由香。若年寄は名和宏で腹心は曽根晴美、法印は小笠原弘、大奥御年寄は水原まき。曽根晴美に斬られちゃう楼主は江幡高志、丸め込まれる手下は当銀長太郎。
*じいの病は坪内清四郎に虫下し貰っていきなり全快…田之倉さま、快復の表現がキタナイ。


第14話「酔いどれ女の風車」 1991 19

 大身の殿様が「趣味で」辻斬り、証拠を握る女は命を狙われるがなぜか沈黙。侍と大岡忠相を恨むその女は、老父と息子を無礼討ちにされ復讐をはかった亭主が島流しという事情を背負っていた。

ロケ地

  • 矢部邸、相国寺大光明寺門。
  • お房に事情を聞く新さん、上賀茂神社ならの小川神事橋(川中に魚獲りの子らあしらい、お房の長屋は本所亀沢町)
  • おカマの鶴次郎からネタをとる才三、広沢池東岸に張り出した屋台をセット(岸にスラムあしらい)
  • お房が矢部一味の剣客・香川に印籠を返せと迫られる、大覚寺有栖川(河床から見上げのアングルも)
  • お房の回想、無礼討ちの寺、真如堂本堂前。
  • ラスト、トリオ逍遥のお城の庭、彦根城玄宮園龍臥橋。

*酌婦のお房は栗田陽子、亭主は渡辺篤史の二役。屋敷に乗り込まれ追い詰められた矢部の狂態、恐れ入ることもなくもはやこれまで・上様の血潮とくと味わわせてやると刀に話しかけ斬りかかってくる…作事奉行なんだよね、コイツ。役者は伊藤高。これにくっついてる道場主は工藤堅太朗。香川配下の浪人の一人に福本先生、お房を付け狙う・無人の小屋に火付けなど大活躍、最後は上様に叩きのめされくりゅっくりゅっと左右に首を振り倒れる。クレジットは「浪人」。才三にネタ提供のおカマ・鶴次郎(KINYA)、やはりお馴染のようで「才ちゃぁーん」としなだれかかる。
*め組で将軍さまもお忍びでお楽しみとか言われ「そんなことはないだろう」と情無い声の新さん、このパターンは第四シリーズの特徴か。


第15話「女賞金稼ぎ、江戸を斬る!」 1991 19

 江戸へ賞金首を追ってきた博多の女賞金稼ぎ・お銀、命知らずは孤児たちに金を残したい健気な動機。狙った百両首は取りそこなうが、境遇に涙してくれた「将軍さま」の情に感謝しつつ江戸を去ってゆく。

ロケ地

  • 地蔵の辻で賞金首の渡世人を仕留めるお銀、谷山林道
  • 代官を斬って逃げた賞金首の浪人について報告する忠相、阪口青龍苑(上様は石橋上で鯉に餌やり中)
  • 妙法寺、勝持寺参道石段、山門。
  • 勘造一家に騙され殺されたおしのの死体が上がる大川、大覚寺大沢池汀。お銀の身の上話を聞く新さん、天神島
  • お銀が弟を預けてある博多の尼寺、勝持寺本堂、鐘楼。
  • 旅立つお銀を見送る渡し場、広沢池東岸に船着きセット。

*背いっぱいに刺青を背負った女賞金稼ぎに芦川よしみ、博多弁が可愛い。百両首の浪人に黒部進、唇まわりに派手な傷。寺を中心にワルが群がり、メンバーは和尚にヤクザに兇状持ち浪人に寺社奉行、珍念なんて青坊主までワルくて笑える。お銀が賞金稼ぎになったきっかけの、父の仇だった「客」は小峰隆司。大岡さま配下の捕り方に福ちゃん、きりっと襷がけ。


第16話「泣くな妹よ、母ありせば!」 1991 19

 丹沢の山から母を探しに江戸へやってきた幼い兄妹、だがやっと見つけた母は何故か知らぬ人を装う。幼子らの父は三年前天目茶碗を奪うために藤馬伊勢守兄弟に殺されており、母は仇の悪事の証拠をつかむべく懐に入っていたのだった。秘密がワルにばれ母子共に斬られかかるところへ正義の扇、天領の物資を横流しし、猟官運動のため茶道具を奪った伊勢守らに断罪の刃が下る。

ロケ地

  • 行商の万平たちがひったくりに遭う、今宮神社門前茶屋・一和東門内石橋
  • 殺された伊豆屋は伊勢守邸へ行ったと上様に報告の庭番、阪口青龍苑
  • 悪ガキにボコられる万平、大覚寺五社明神(背景に心経宝塔)。お堂で休む万平たちが伊勢守のアイパッチ弟に追われる、大覚寺護摩堂大沢池堤梅林(穴に潜む)。その後飢えて鳩を獲ろうとして法力寺の小坊主に捕まる、大覚寺五社明神
  • 括られてベソかき万平の回想、母の幻影は酵素
  • 忠相が兄妹の父が殺された件を報告の庭、阪口青龍苑(背景に大きな築山)
  • 伊勢守邸に庭師で入り探索の庭番、伊勢守が槍の荒稽古の芝庭、阪口青龍苑(丘の上、奥に茶亭)
  • 兄妹の父が殺された丹沢山中、酵素か。

*なぜ一人で潜入と聞かれたおせき、代官はアテにならないから「自ら証拠を握って名奉行の大岡さまに」…物陰で聞いてる忠相がにやけている。*ラスト、丹沢のもぐさを田之倉に施し悪戯っぽくふうふう吹く上様、悪ガキみたい。*挿入歌は「花」。*おせきは東千晃、伊勢守は遠藤太津朗で腹心は浜田晃。


第17話「鬼を退治の夫婦饅頭」 1991 19

 銀座の火事でいち早く駆けつけた紋次郎は誉められ、遅れをとった定火消しの本多甲斐守は叱責されお役御免、これをきっちり逆恨み。企む悪事は欲がらみ、こちらも饅頭屋を逆恨みの岡っ引と組んで盗みをはたらき紋次郎と饅頭屋を陥れようとする。

ロケ地

  • 江戸城の庭で饅頭食ってお茶の上様トリオは姫路城西の丸。
  • 本多邸、金戒光明寺西翁院
  • 田之倉邸、相国寺林光院

*饅頭屋は錠前師修行時代の紋次郎の弟分、三波豊和。彼が饅頭屋の娘に惚れた一件できつく意見したことが、紋次郎のPTSD「饅頭ホントに怖い」。女房は佐藤真浪、これに岡惚れのイヤな岡っ引は伊藤達広で下っ引は井上茂。本多伊勢守は佐原健二、強面の腹心は岩尾正隆。


第18話「夢を撃った六連発!」 1991 19

 腕の良い鍛冶屋だった弥吉は日々のなりわいに倦み博打三昧の日々、その借金をタネにヤバい仕事を持ちかけられ失踪してしまう。残された妻は働きづめで体を壊し業病を患うが、弥吉の弟分が何くれとなく世話を焼き、弥吉が戻らぬことから周囲は死んだものと扱い勧めて夫婦とする。帰ってきた弥吉は懊悩するが実の母に諭され妻子との再会を断念、弟分のため銃密造の一味とやりあい、新さんに真相を告げ死んでゆく。

ロケ地

  • 旅姿の弥吉が戻って来いと備前守の配下に迫られる道、大覚寺大沢池堤
  • 近江屋の寮、中山邸(参道、門、無畏庵)
  • 弥吉が母や息子と会う神社、わら天神(敷地神社)境内。
  • ラスト、じいが鯉に餌やってて落ちかける池、阪口青龍苑

*弥吉は大橋吾郎。ラス立ちに福本先生、一番乗り。役柄は鉄砲御用人・備前守の配下。備前守は宮口二郎で小判じゃらじゃらもお似合いの凶相。つるむ両替商は近江屋、故郷で鉄砲作りという設定なので「近江」。
*前回に続いて紋次郎落語ネタ「そこつの使者」で尻つねり。


第19話「愛しき炎の剣!」 1991 

 定期的にある、尾張の陰謀ばなし。初手から幕閣二人を血祭りに上げるという暴挙発生、裏には薩摩がいて焚きつけている。実行部隊は尾張柳生で、これを阻止しようと四天王の一人・滝口平八郎が出府し総帥・柳生兵庫を諫止しようとするが聞いちゃいねー。どころか監禁したうえ彼の身を案じ出て来た恋人・由紀を拉致って協力を迫る始末、しかし由紀は自ら兵庫の刃に身をさらし平八郎の枷となるを拒む。その後庭番の働きで出牢した平八郎は上様とともに尾張柳生道場に乗り込み兵庫と対峙、相討ち。漁夫の利を得ようとしていた薩摩の大庭監物は上様に成敗され、今回の尾張の陰謀もポシャる。

ロケ地

  • 茶室に乗り込まれ暗殺される若年寄・田原備中守邸の塀、相国寺大光明寺南塀
  • 尾張柳生江戸道場、金戒光明寺瑞泉院。周囲の路地は長安院下坂永運院下坂
  • 柳生藩藩主・柳生備前守(江戸柳生総帥)の登城、姫路城菱の門。備前守が上様に稽古をつけるのは姫路城西の丸広場。
  • 尾張柳生を探っていた才三を追い誰何する平八郎、石清水八幡宮(楼門、境内)
  • 由紀の回想、平八郎と戯れる幸福の思い出、木津河原流れ橋(夕景)
  • 江戸へ発つ平八郎が由紀に別れを告げる神社、走田神社本殿前。
  • 尾張藩上屋敷、相国寺林光院。平八郎が尾張大納言・宗春に諫言の廊下、相国寺大光明寺(石庭前の方丈縁先)。大庭監物が尾張と将軍家戦わせ疲弊させて、と連れに語る庭、相国寺大光明寺石庭(南塀通用門より出る)

→ 暴れん坊将軍 IV 表紙


★注意
 話数は時代劇専門chでの放送順に準拠しています。記事作成時にはスペシャル版を視聴できなかったので、話数が本放送とは異なります。私的資料をこのナンバーで作ってしまっているため、ここはこのままにします。全話リストは別に作りましたので、正しい話数についてはこちらをご参照下さい。


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