ぼんくら

2014年 NHK木曜時代劇

原作/宮部みゆき「ぼんくら」

語り/寺田農 音楽/沢田完

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第1話 「忍びよる影」 2014.10.16

 鉄瓶長屋で、殺人事件が起こる。被害者の妹の申し立ては訝しいものだったが、差配とは違った意味で顔役のお徳は、彼女の嘘を飲み込もうとするのだった。
測り魔がハナから出ているほか、新しい差配をチラ見せ。子供もたくさんいて、うるさいくらい賑やかな長屋を、初回には演出してある。

ロケなしセット撮り、松竹セットのいつもの長屋と、いつもの橋が効果的に使われている。

井筒平四郎/岸谷五朗 志乃/奥貫薫 佐吉/風間俊介 友兵衛/秋野太作 おしま/草村礼子 久兵衛/志賀廣太郎 弓之助/加部亜門 小平次/植本潤 お露/勝野雅奈恵 お律/清水くるみ 権吉/越村公一 富平/福本清三 蓑吉/濱田和幸 お絹/真由子 おえん/鮎川まゆ美 正次郎/柴田善行 加吉/岸辺一徳 お徳/松坂慶子

脚本/尾西兼一 演出/吉川一義


第2話 「烏を連れた差配人」 2014.10.23

 またぞろ揉め事が持ち上がり、店子が減る気配の鉄瓶長屋。新しい差配は来るものの、有り得ない若僧で、お徳などは全く認めない始末。
そしてゆるりと動き出す「何か」、執念深い「敵」も姿を見せる。

今宮神社

ロケ地

  • 失踪したお律が、お店ものふうの男と話す茶店、今宮神社絵馬堂前に床机など出してしつらえ。神社境内の設定らしく、巫女さんが掃除をしている。燈籠の陰から、これも失踪中である元差配・久兵衛が、お律を凝視している。

井筒平四郎/岸谷五朗 志乃/奥貫薫 佐吉/風間俊介 友兵衛/秋野太作 おしま/草村礼子 仁平/六平直政 久兵衛/志賀廣太郎 弓之助/加部亜門 小平次/植本潤 権吉/越村公一 お律/清水くるみ 蓑吉/濱田和幸 お絹/真由子 おえん/鮎川まゆ美 房吉/渡邉紘平 お露(回想)/勝野雅奈恵 正次郎(回想)/柴田善行 太助(回想)/西村匡生 お徳/松坂慶子

脚本/尾西兼一 演出/吉川一義


第3話 「やってきた迷い子」 2014.10.30

 鉄瓶長屋へ迷い込んだと見えた浮浪児はさにあらず、きちんと訳あり。また、新しく越してくるという女は癖あり、たちまちお徳の心に波紋を広げる。
結局また一家族が出て行って、空きが増えてゆく。

もりやま芦刈園

ロケ地

  • 迷い子の手がかりを求めて牛込へ赴く途中、お供の弓之助と茶店に寄る平四郎、大覚寺遣水跡に茶店設営のほか、映り込む範囲にも演出物多数。ここで政五郎が声を掛けてきて、おでことの出会いとなる。
  • 幸兵衛長屋へ赴き、おくめに会い話す平四郎、もりやま芦刈園。水路橋と汀を使い、荷揚げ風景なども演出されている。幸兵衛長屋は南辻橋たもと、柳原町三丁目。
  • 成美屋の前を通り、善治郎からの心付けを受け取った平四郎が、その金で長助に桜餅を買って帰る道、大覚寺閼伽井屋脇〜放生池堤。

井筒平四郎/岸谷五朗 志乃/奥貫薫 佐吉/風間俊介 友兵衛/秋野太作 おくめ/須藤理彩 おしま/草村礼子 善治郎/徳井優 仁平/六平直政 久兵衛/志賀廣太郎 弓之助/加部亜門 小平次/植本潤 卯兵衛/小倉一郎 蓑吉/濱田和幸 お絹/真由子 おえん/鮎川まゆ美 おでこ/高村竜馬 長助/森遥野 政五郎/大杉漣 お徳/松坂慶子

脚本/尾西兼一 演出/酒井信行


第4話 「消えゆく隣人」 2014.11.6

 めんどくさいことが大嫌いな平四郎の、信仰に関するスタンスが描かれてはじまる話、鉄瓶長屋での信心騒動へつなげる。
結局、「壺信心」がもとで三家族の出奔となり、若い差配は激しく落ち込み、いよいよ平四郎も事態を怪しみはじめるのだった。
長屋の持ち主の湊屋が登場してくるほか、女房・おふじをチラ見せ、一目で曲者な感じぷんぷん。

本法寺

ロケ地

  • 弓之助と小平次を連れて見回りに出かける平四郎、足が遠のいていたお徳のところへ行こうという話になる町角は随心院長屋門前、東望のローアングル。
  • 鉄瓶長屋からの帰り道、信心騒動は八助だけの智恵でないと話しながら行く平四郎一行、本法寺境内。方丈・本堂間の回廊をくぐって来て、本堂脇(南側・東望)へ。回廊には人を案内してゆく僧侶を、その下の植栽は鳥居を演出して小平次が拝む稲荷に、塔が映り込む本堂脇には花売りと、細かい演出がなされている。
  • 他出の志乃が、家を出たところで屑屋と行き会う道、随心院裏塀際。お長屋へ入ってゆくその紙屑買いは、隠密回りの辻井英之介という寸法。

井筒平四郎/岸谷五朗 志乃/奥貫薫 佐吉/風間俊介 友兵衛/秋野太作 おくめ/須藤理彩 おしま/草村礼子 おふじ/遊井亮子 辻井英之介/音尾啄真 仁平/六平直政 久兵衛/志賀廣太郎 弓之助/加部亜門 小平次/植本潤 房吉/渡邉紘平 八助/田井克幸 蓑吉/濱田和幸 お絹/真由子 おえん/鮎川まゆ美 長助/森遥野 湊屋総右衛門/鶴見辰吾 お徳/松坂慶子

脚本/尾西兼一 演出/酒井信行


第5話 「恨みを持つ者」 2014.11.13

 井筒のダンナが腰をやってしまい動けぬ間に、過去のお話。湊屋の事情を説く「黒豆」の報告書と、おでこ語りと政五郎の解説による仁平の因縁。
仁平の怖さ厭らしさ疎ましさが、真に迫って背筋がぞぞ。

琴滝

ロケ地

  • 平四郎の細君・志乃が手習いを教えている、日本橋小網町の桜明塾(寺子屋)神光院中興堂。仕事を終えて帰る志乃に飴売りがぶつかるが、これが黒豆の変装で、風呂敷包みの中に手紙を仕込まれ。
  • 佐吉が植木屋へ奉公に出された経緯を聞き込む黒豆(職人に変装)、植甚の仕事場は大覚寺聖天堂脇。聖天堂西側側面と、大日堂がちらり。黒豆に話をしてくれる植木職は小峰さん。
  • 湊屋の落とし種の一人・おみつが、湊屋の娘・みすずを姉と呼んでひっぱたかれる、王子・七滝近くの茶店、琴滝前に設営。原作設定では、王子は岸村・不動の滝のそば(「日暮らし」から引用)
  • 湊屋に対する仁平の執念を知ったあと、弓之助相手にその恐ろしさを述懐する平四郎、大覚寺護摩堂縁先(西側)。二人の帰り道は放生池堤。

井筒平四郎/岸谷五朗 志乃/奥貫薫 佐吉/風間俊介 友兵衛/秋野太作 おくめ/須藤理彩 葵/佐藤江梨子 おふじ/遊井亮子 辻井英之介/音尾啄真 幸庵/鶴田忍 仁平/六平直政 久兵衛/志賀廣太郎 弓之助/加部亜門 小平次/植本潤 みすず/山田朝華 蓑吉/濱田和幸 おでこ/高村竜馬 長助/森遥野 お絹/真由子 おえん/鮎川まゆ美 湊屋総右衛門/鶴見辰吾 政五郎/大杉漣 お徳/松坂慶子

脚本/稲葉一広 演出/吉川一義


第6話 「過去から迫る闇」 2014.11.20

 湊屋の娘・みすずの出現により、佐吉の、母に関する思い込みの異常さが浮き彫りに。そう仕向けた誰かがいることとその意図に思い至り、平四郎は激しく怒る。

大覚寺

ロケ地

  • 佐吉と葵の話をしてきた帰り、とくとくと話す弓之助に声を荒げてしまう平四郎、大覚寺閼伽井屋前付近。
  • 鉄瓶長屋から出奔した八助一家が茶店を営んでいる川崎弁財天の仲見世、大覚寺境内か。黒豆はそこに久兵衛の姿も見る。

井筒平四郎/岸谷五朗 志乃/奥貫薫 佐吉/風間俊介 友兵衛/秋野太作 おくめ/須藤理彩 葵/佐藤江梨子 おふじ/遊井亮子 辻井英之介/音尾啄真 久兵衛/志賀廣太郎 弓之助/加部亜門 小平次/植本潤 房吉/渡邉紘平 みすず/山田朝華 蓑吉/濱田和幸 お絹/真由子 おえん/鮎川まゆ美 長助/森遥野 湊屋総右衛門/鶴見辰吾 お徳/松坂慶子

脚本/尾西兼一 演出/吉川一義


第7話 「仕組まれた出奔」 2014.11.27

 起こったこと全てを考え直さねばと、平四郎。政五郎親分に調査を頼むとさっそく出てくる、おかしな話。「鉄瓶長屋の心」たる女は、周到な仕込みによって操られていた。

もりやま芦刈園

ロケ地

  • 久兵衛抜きで企みは成り立たないと、弓之助に話す平四郎、もりやま芦刈園水路端(「船着き」そばの土手法面)。その後「堀端」を歩くシーンもある。水路には荷船が演出されている。導入は、水路「土管橋」を望む南望のロング。
  • 町をゆく平四郎一行が、木陰で休むおくめ(汗疹の薬を貰いに長命寺の先の医者へ行く途中)に出くわすくだり、上賀茂神社神事橋〜ならの小川畔(左岸側に茶店を設営)。おくめにところてんを奢り話を聞いたあと、久兵衛の姿を橋上に見た平四郎、追っかけてゆくルートは北神饌所裏手からセットにスイッチ・橋の上で久兵衛に「吠える」。

井筒平四郎/岸谷五朗 志乃/奥貫薫 佐吉/風間俊介 友兵衛/秋野太作 おくめ/須藤理彩 辻井英之介/音尾啄真 仁平/六平直政 久兵衛/志賀廣太郎 弓之助/加部亜門 小平次/植本潤 権吉/越村公一 お律/清水くるみ 房吉/渡邉紘平 蓑吉/濱田和幸 おでこ/高村竜馬 長助/森遥野 お絹/真由子 おえん/鮎川まゆ美 湊屋総右衛門/鶴見辰吾 政五郎/大杉漣 お徳/松坂慶子

脚本/尾西兼一 演出/真鍋斎


第8話 「飛べ!官九郎」 2014.12.4

 もう誰の目にもあきらかな、鉄瓶長屋の終焉。ここに至って、ようやく謎が解れはじめる。その手がかりを得るため、官九郎は牢屋敷へ飛んでゆくのだった。

今宮神社

ロケ地

  • 黒豆の報告書にあった、湊屋女房・おふじの信心遍歴、霊験あらたかな神社をあちこち渡り歩いた際のひとつ、今宮神社本殿。人物の背景に楼門が映り込んでいる。
  • 八百富のお露が久兵衛と会っていたことを平四郎に報告する政五郎、一同がいる茶店は大覚寺大沢池北辺並木際に設営。弓之助とおでこは、平四郎に奢らせた葛きりを食べている。

井筒平四郎/岸谷五朗 志乃/奥貫薫 佐吉/風間俊介 友兵衛/秋野太作 おくめ/須藤理彩 おふじ/遊井亮子 辻井英之介/音尾啄真 仁平/六平直政 久兵衛/志賀廣太郎 弓之助/加部亜門 小平次/植本潤 権吉/越村公一 お露/勝野雅奈恵 相馬堂/東根作寿英 房吉/渡邉紘平 おでこ/高村竜馬 長助/森遥野 みすず/山田朝華 蓑吉/濱田和幸 お絹/真由子 おえん/鮎川まゆ美 富平/福本清三(クレジットはベタ) 政五郎/大杉漣 お徳/松坂慶子

脚本/尾西兼一 演出/真鍋斎


第9話 「土の中で眠る女」 2014.12.11

 牢屋敷にいた巫女・ふぶきの証言から、長屋の床下を掘ることに。さんざん掘っても駄目で、やっとかけらが見つかったところで、妄執の鬼が現れて勝ち誇るが、それは彼の弔い歌となる。

大覚寺

ロケ地

  • おくめを大八に乗せて千駄ヶ谷の医者のところへ運んでゆく佐吉とお徳、途中の道は大覚寺大沢池堤

井筒平四郎/岸谷五朗 志乃/奥貫薫 佐吉/風間俊介 友兵衛/秋野太作 おくめ/須藤理彩 葵/佐藤江梨子 おふじ/遊井亮子 仁平/六平直政 久兵衛/志賀廣太郎 弓之助/加部亜門 小平次/植本潤 お露/勝野雅奈恵 ふぶき/蓮水ゆうや 相馬堂/東根作寿英 房吉/渡邉紘平 おでこ/高村竜馬 長助/森遥野 みすず/山田朝華 蓑吉/濱田和幸 お絹/真由子 おえん/鮎川まゆ美 富平/福本清三(クレジットはベタ) 湊屋総右衛門/鶴見辰吾 政五郎/大杉漣 お徳/松坂慶子

脚本/尾西兼一 演出/吉川一義


第10話 「さよなら鉄瓶長屋」 2014.12.18

 仁平が牢で喚いている間、ダンナはついに湊屋と会う。平四郎たちが推察した事象は、一人の女の消息を除き正鵠を射ていた。
そして来る、最後の一人が鉄瓶長屋を離れる日。お徳は、ふいに現れた奇妙な女の物言いにかちんと来て、手ひどく追っ払う。そのお徳の捨て台詞に呼応したか官九郎、因果を作った男どもを懲らしに飛んでゆくのであった。

大覚寺

ロケ地

  • 湊屋の招きで平四郎が乗り込む屋形船、大覚寺大沢池。湊屋が乗り込む際には、船着(小)が使われる。夜間撮影。船内の描写はセット撮り。

井筒平四郎/岸谷五朗 志乃/奥貫薫 佐吉/風間俊介 友兵衛/秋野太作 おくめ/須藤理彩 葵/佐藤江梨子 おふじ/遊井亮子 辻井英之介/音尾啄真 仁平/六平直政 久兵衛/志賀廣太郎 弓之助/加部亜門 小平次/植本潤 お露/勝野雅奈恵 房吉/渡邉紘平 おでこ/高村竜馬 長助/森遥野 湊屋総右衛門/鶴見辰吾 政五郎/大杉漣 お徳/松坂慶子

脚本/尾西兼一 演出/吉川一義


参考文献 ぼんくらシリーズ 講談社文庫

→ ぼんくら2

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