湖東 大根干しの浜

 冬が間近な候、各地で見られる収穫物を干す風景。水分を飛ばし旨味を増し保存性も高まる、昔ながらの大根干しは、湖東における初冬の風物詩。琵琶湖を渡る寒風が、滋味をもたらす。

 大根干しは各家のベランダや庭でも行われるが、湖岸にはぜ架けをして干す光景も見られる。青い空と湖水に映える大根の真白が、絶妙に美しい。

 俺は用心棒「同志の八人」は、血気に逸った若侍たちが君側の奸を斬るも、身分制度の因循にからめとられ同志の紐帯を失ってしまう、結束節の利いた哀話。悲惨な結末を見て去る主人公の、栗塚旭演じる「野良犬」がゆく寒々とした道が、湖東の岸で撮られた。モノクロ作品ながら、大根の白は鮮明。

 ドラマの画面には汀と架台しか映っていないので、野良犬ダンナが歩いた実際の場所の特定は難しい。画面に見える架台はけっこう大きく、上写真の大根がかけてあるものよりは、下写真の緋蕪が干されている台に近い。モノクロなので判りづらいが、大根のほかに緋蕪もあるような気がする。現地では、日野菜を干してあるのも見た。

緋蕪漬 左写真は緋蕪漬。架台のあった浜近くの、湖周道路沿いの食堂(しる万浜店/2号大津能登川長浜線沿い・彦根市松原町)で分けてもらったもの。あっさりとした素直な味で、後をひく美味。

俺は用心棒 第9話「同志の八人」 1967.5.29放送

滋賀県米原市、彦根市


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