時代劇の風景  ロケ地探訪

今宮神社

− 境内 −

本殿 本殿前の舞殿
 正門を入ると、本殿に至る参道がまっすぐ伸びている。敷地の左右には摂社等の施設がひしめく。境内の諸施設は本殿をはじめ明治に再建されたものが多いが、程よく古びた風雅な風情で、どの一角を切り取っても時代劇にそのまま使えそうな画となる。参道に縁日のセットを仕立てて使われることが多い。お宮さんへお参りするというストレートな設定もよくある。
 お参りのシーンは鬼平犯科帳「女掏摸お富」で王子権現に額づくお富のシーン、同「男の毒」で三七二十一の願を掛けに来るお清、雲霧仁左衛門「川止め」で松屋に伴われ大須観音近くの神社に詣でる七化けのお千代が一つだけ色違いのおみくじでツナギを受けるというシーンで使われた。
絵馬堂正面・東側から
絵馬堂北端・北側から 絵馬堂北端・東側から
絵馬堂下から北の坂を見る 絵馬堂北の坂 摂社へ通じる
 絵馬堂もよく使われる。建物の下で床机に座ったり柱に寄ったりという場面が多い。ツナギをとる、密談をするといった局面でよく使われる。
絵馬堂はどこの社にもよくあるが、ここの識別ポイントは北側の坂。柱越しにゆるい坂が映っていればたいていここである。
 江戸中町奉行所では、高倉北端でツナギをとる木暮楽太郎と密偵・お篠のシーンが撮られたほか、悪徳商人を強請っている南町同心がツナギをとるシーンに使われた。このときには建物の下に茶店のセットが作られ、その床机でのやりとりとなっている。
諸神合祀の摂社 合祀摂社アップ
 参道西側にはさまざまな神様を一緒に祀った祠がある。いちどきにたくさんお参りできてべんり、という発想だろうか。他所でもよく同様の施設を見かけるがここのは規模が大きめ。縁日の場面などにちらっと映ることが多い。参道に据えられた縁日のセットから離れた人物が一息ついたり襲撃されたりするなどという場面をよく見かける。
参道 境内
 参道もよく使われる。シチュエーションはほぼ縁日で、石の舗道の両脇にびっしりと屋台のセットが組まれる。セットや木の間から丹塗りの楼門などがちらっと見えたりする。暴れん坊将軍などの定番ものから鬼平犯科帳などの渋い作品まで幅広く使われ、昨日は新さんや長さんが取り巻きと逍遥した道を今日は鬼平の密偵が灯籠の影から窺う、といった具合に時代劇をランダムに何作か見ればほぼ出てくるといった頻繁さである。
 劇場版必殺!THE HISSATSUでは仕事人たちにたわいも無い依頼をする少女が出てくるが、少女に依頼の詳細を尋ねるシーンがこの参道で撮られた。姿を見せない仕事人チームの言葉だけが縁日の雑踏に立つ少女の耳に響くコントラストの強い印象的なシーンである。このシークエンスでは東門付近から摂社、絵馬堂と今宮神社各所がふんだんに使われている。
社務所脇の建物 小祠 絵馬堂脇の摂社
地主稲荷鳥居 地主稲荷拝殿 地主稲荷の祠
 境内にはお稲荷さんやら何やらの摂社や祠がいっぱいある。これらと本殿まわり・参道を組み合わせて使う例が多い。
 鬼平犯科帳「浅草鳥越橋」では目黒不動近くの大鳥大神宮の縁日に擬して使われ、必殺劇場版「黄金の血」では飴売りのお歌を百足の新吉がスカウトする場面で縁日風景として使われた。
 境内ではほかに服部半蔵 影の軍団「京の春 お歯黒の罠」で、伊賀の草である白川女が襲われるシーンに、江戸中町奉行所では殺し屋の手下を追い回したり、事件関係者に水流添我童が職質したりする場面に使われた。また鬼平犯科帳「男のまごころ」では放火犯を発見し取り押さえるシーンに用いられた。
本殿 様々な角度から

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