時代劇の風景  ロケ地探訪

摩気

− 摩気神社 −

鳥居と参道 楼門
 摩気神社は延喜式にも見える古社で、胎金寺山の麓に鎮まり、摩気郷の総鎮守として尊崇を受けてきた。
祭神は大御饌津彦命で、農業神である。祭神の「ミケ」が転訛し「マケ」となったとされる。
裏手は谷地田となっており、先は谷に消えている。余計な現代的要素は無く、境内のどこでも使える得がたいスポットである。
摩気橋使用の際同時に用いられるケースが多い。
拝殿 本殿
拝殿の床 絵馬が掲げられた屋形
 豊臣秀吉天下を獲る!では日吉丸の在所・尾張中村在の鎮守として使われた。村の男たちが合戦の際集合・解散する場として使われ、楼門に腰掛けて語り合う日吉丸と父の姿などが撮られている。
同じTXの長尺シリーズでは炎の奉行大岡越前守で天一坊が育った紀州・名草村の鎮守として使われた。
鬼平犯科帳「暗剣白梅香」では密偵・伊佐次が尾行する元締・丸太橋の与平次が入ってゆく隠れ家に使われた。同「盗法秘伝」では東海道筋の村の鎮守として使われ、祭りが演出されている。いずれも「村の鎮守」という設定で、鄙びた風情が生かされている。最近撮られた三匹が斬る!のシリーズや水戸黄門でも同様の使い方がなされている。
鬼平の「一寸の虫」では密偵仲間の仁三郎の様子がおかしいと五郎蔵に相談するおまさのシーンで使われ、鳥居前に茶店がセットされている。これは江戸市中の設定。
社務所の塀
 続・三匹が斬る!「獅子舞の童が聞いた子守唄」ではつばめ一座が芸を披露する場として使われ、殿様が短剣投げを披露する場面に拝殿前が使われたほか、上写真の社務所塀が印象的であった。設定は寺のようである。
鬼麿斬人剣では鬼麿の師匠・清麿が鍛えた名刀の試技が行われた金沢の宮さんとして使われている。この際にも拝殿が使われるが、土俵のような神籬として床の石篠が印象的に使われている。
狛犬と楼門 本殿裏手 裏手の谷地田
 本殿の裏手は谷地田となっている。ここも使われる。
水戸黄門33「おっかさんは村の太陽」では岩国在の村で、作った和紙を食い物にされ困窮した民が本殿裏で一揆の相談をぶっている。
国盗り物語(2005年)では、叡山焼き討ちに際して信長を諌めようとする明智光秀のシーンが本殿裏。永く尊崇されたものを守ろうとする光秀と、腐りきった既存の価値観を破壊したい信長と、思いは完全にすれ違う。もちろん光秀の諫言は容れられず、怒気を発した信長は光秀を足蹴にするが、このとき渡部篤郎が突っ伏すのは谷地田。

摩気 表紙

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