川を訪ねる旅

竜鎮渓谷

竜鎮渓谷 室生寺門前の室生川

 竜鎮(りゅうちん)渓谷は奈良県室生村に発し榛原町で室生ダム湖に注ぐ深谷川がつくる峡谷。
今回は渓流沿いの山道と室生の里をゆく。

− 竜鎮渓谷への道 −

大野寺門前を流れる宇陀川 磨崖仏

 近鉄大阪線・室生口大野駅を下車し、宇陀川沿いに歩き出す。
古刹・大野寺の門前にさしかかると、対岸に磨崖仏が見えてくる。後鳥羽院の勅願になるもので、光背まで入れると高さは13.8mにもなる。室生火山群の岩肌に線刻されたこの美しい石仏は承元2(1208)年につくられた。

 ここを過ぎてたいていの人は室生寺に、ハイキングの人は東海自然歩道へゆくが、今回我がパーティは深山の霊気を吸いにゆく。
竜鎮渓谷へは、まず室生ダムへ出る。ダム湖への道は傾斜のきつい舗装路であまり面白味もない。汗ばみつつダム堤体の上へ出る。このダムは夏場の渇水期によく干上がった姿がニュースで報道されるが、この日は満々と水を湛えていた。

室生ダム ダム下の谷

 ダム堤体の上をゆき、右岸の深谷川流れ込みの方へ進む。ダムの影響で滞っていた水も歩を進めるうち渓流の相を呈してくる。頭首工と竜鎮橋が見えだすあたりではもう相当山深い。

竜鎮渓谷入口となる竜鎮橋 錦繍の山と蒼穹

 竜鎮橋を渡り、舗装路のほうへは行かず橋のたもとから川沿いの土道へ入ると竜鎮渓谷への入口。山々は青空を背に錦をまとい、渓流は赤や黄色の落ち葉を水面に受け晩秋の装い。

入口付近の渓流

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■ 竜鎮渓谷への道(本稿)  ■ 竜鎮の滝  ■ 渓谷沿いの山道  ■ 室生の山里


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