2006年4月 |
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2006/4/30 ■ 遠山の金さん 第19話「渡る世間の鬼を斬れ!!」1976.2.5NET/東映 辛酸を舐めて育った孤児の捨八青年は、同じ境遇の子らを救うための金を欲し強請りをはたらくが、そのネタには彼の心を塞がせる悲しい事情があった。娘や孫を道具に使い金策の強欲親父や、孤児らを食い物にする悪辣目明しは、遠山奉行の断罪を受ける。 ロケ地、佐野屋の番頭が赤子の消息を求め彷徨う縁日、仁和寺観音堂脇に屋台あしらい(ここは損料屋がいたり捨吉がぶらついているので、後で何度も出てくる。水場も映り込んでいる)。番頭が佐野屋主人の雇った用心棒に斬られる夜の堀端、大覚寺大沢池畔(佐野屋の調査結果を金さんに報告するお竜の段でも出てきて、茶店あしらい)。 *このお話では「損料屋」は孤児を貸し出して過酷な労働を強いるヤクザまがいで、山本一力氏の「喜八郎」とはかなり違う。*捨吉に佐々木剛、佐野屋の娘に本阿弥周子、陰で損料屋を営む目明しに曽根晴美。*タイトルは断罪の際のお奉行の台詞。 ■ 松平右近事件帳 第25話「人情破れ傘」1982-1983日テレ/東映 野心旺盛な御典医の企み、息のかかった町医者らは患者に無駄な投薬をして大金を毟り、グルの口入屋が取り立てて回るという図。傘下の医師らをポストにつけるため養生所にまで手を伸ばす悪辣、タダ同然で診る右近が邪魔になり、刺客が差し向けられる。 お話の主筋はこの刺客で、労咳を病み主家を退転し悪事に手を染める彼が、襲った相手の右近に手厚い看護を受け揺れる心を描く(結末は悲惨)。 ロケ地、河野仙竹院法印邸(御匙屋敷)、妙心寺衡梅院(門左手の塀に口入屋を尾行してきた清太郎が取り付き潜入)。貝崎浪人の墓、不明(孤立木の下、北嵯峨あたりの農地か)。 *ラス立ち福ちゃん入り、出会えの声に先頭切って殺到、つごう三回斬られてうわぉ。 2006/4/29 ■ 阿修羅城の瞳 滝田洋二郎監督作品 2005.4.16松竹 鬼狩りの際童女を斬った鬼御門の副長は、五年を経て再びその瞳に出会う。互いの奇縁を知らず恋に落ちる人気役者と渡り巫女、その激情が阿修羅王転生の契機となる。邪悪の王の出現で火の海となる江戸、病葉出雲は恋する女を求めて逆しまの城へ向かう。 ロケ地、中村座の舞台、金毘羅宮の金丸座。縁日で曲芸を見せる渡り巫女の一座、下鴨神社河合社脇。出雲から白椿の簪を取り戻したつばきが佇む祠、吉田神社竹中稲荷裏手摂社群。出雲に会って出現した肩の痣を鏡で見ていて笑死に見つかるつばき、逃げ出して石段を降りると邪空が待ち構えているのは竹中稲荷舞殿脇、石段は三高碑への石段(邪空の手下の鬼がつばきを襲うのは近くの林間)。中村座へ逃げ込み再び出雲と出会ったつばきが身の上を話す海浜、琵琶湖畔(マイアミ浜か新海浜か、水制の先端に灯台あしらい、背景に河口州、砂浜と松原、対岸にうっすらと灯)。出雲と心を通わせた途端痣が発動し、逃げ出したつばきが辿る道、妙心寺春光院南路地〜大庫裏北西角クランク〜大庫裏脇路地〜黄鐘調鐘(笑死が上段に腰掛けている)。阿修羅城から放たれた火球に加え鬼の大量出現で逃げまどう人々、金戒光明寺鐘楼、長安院下坂。 *ド派手CGは鬼の渡る橋や阿修羅城でふんだんに出てくるほか、鬼やつばきの痣などにも効果的に使われる。阿修羅城へ攻め入った出雲のシーンでは、エッシャーの騙し絵ふう階段が面白い。画の傾向は三国志系アクションゲームみたいで、イマドキのワカモノに迎合かと思いきや最後が祟徳院。 ■ この首一万石 伊藤大輔監督作品 1963.4.21東映 埒もない意地の張り合いが大ごとになり、腹を切れの首を差し出せの騒ぎに。しかし己の命は惜しい侍たち、下郎と蔑む人足を身代りに立てて済まそうとはかる。斬りたてられ膾の権三、いくたりかは血祭りに上げ道連れとするが、出役した代官の銃隊の斉射に斃れる。 町の人気者・権三の日常が丁寧に描かれるぶん、結末の悲惨さが利いている。 ロケ地、道中風景が主でほぼ不明。木津っぽい川堤や、土止めの石が敷かれた林道など。富士を望む山道は圧巻。 ■ 大暴れ一心太助! 〜天下の御意見番 大久保彦左衛門罷り通る〜 1990.12.25NTV 太助と悶着を起こした、魚河岸で悪事をはたらく商人は外様大名とつながっていて、その殿様は摘発に手を貸した彦左を恨みことは旗本と大名の対立にまで発展。老中・知恵伊豆は御世の安泰のため断腸の思いで旗本らに処分を下すが、将軍の勘気を蒙った彦左のじいさん落ち込みまくり。物も食わぬ彼を案じた太助は、死を覚悟して伊豆に駕籠訴の挙に出るのだった。 彦左のエピソードは、よく知られた盥で登城のアレが中心。これが特注品で、太助の恋人のオヤジの桶屋が製作する運び。旗本は水野十郎左衛門だけ出てきて、太助の危機に介入し大名の若様の悪ガキを斬ってしまい切腹。恋人である丹前勝山が後を追う挿話も付属。 ロケ地、駿河台の大久保彦左衛門邸へ魚の配達に向かう太助、建仁寺久昌院前路地〜両足院前路地〜西来院(彦左邸)。上州屋と賄頭が流通量操作のため魚を廃棄する現場、積み込む浜は琵琶湖西岸松原、湖上へ漕ぎ出し廃棄の場面もある。美濃高須五万石の徳永左馬助が登城途中彦左の駕籠に自分の駕籠をぶつけさせる大手橋、彦根城大手橋。特注の桶に乗って登城の彦左、建仁寺西来院門〜彦根城大手橋〜石垣下。彦左を召して伊豆に面倒をかけるなと諭す家光、彦根城玄宮園池端。彦左の肝煎りでお仲との祝言も決まりご機嫌の太助が商売を終えて一休みしていると寺の門から囲碁指南のご浪人・勘兵衛が出てくる、大覚寺大沢池木戸前。ともに家路につく太助と勘兵衛を襲う徳永の馬鹿息子たち、上賀茂神社ならの小川畔(襲撃者は祠の間からぬっと出る。二人の危機を見て介入の水野十郎左は右岸から一本橋を踏んで現れる。川中での立ち回りあり)。水野の切腹後引きこもる彦左を案じてお百度のお仲、大覚寺天神島(鳥居から祠を見るアングル、スモーク焚き)。お百度帰りのお仲に声をかける水垢離帰りの太助、天神島朱橋。老中に直訴するとお仲に告げる太助、護摩堂脇(背景に心経宝塔、ライトアップ)。登城する伊豆に駕籠訴の太助、大覚寺参道石橋。伊豆が太助を将軍に会わせる庭、枳殻邸印月池畔。 *彦左の丹哲は暴れまくり、盥登城のほか太助らの危機に騎馬武者で現れたり、駕籠ぶつけてきた大名の駕籠ひっくり返して濠に落としたり。もちろん例の繰言の長い昔話もあり、出ると皆が即座に止めるのもお決まり。杜夫太助は上様と二役。太助と彦左まわりの人間はシンプル、太助恋人のお仲に美保純で親父の桶屋は小林昭二、囲碁のセンセイは織本順吉。終始いいカッコで切腹で締める水野十郎左は里見浩太朗、彼にぞっこんの丹前風呂・紀伊国屋の勝山に沢田亜矢子。老中・知恵伊豆は若林豪、板挟みに苦しむ管理職が絶妙にお似合い。悪役陣は、上州屋に田口計、徳永の殿様に田中明男、馬鹿息子に南条弘二。 2006/4/28 ■ 銭形平次 第156話「浮世数え唄」1969.4.23フジ/東映 母子再会の情話、養子に出した娘の成長を陰で見る母だが、祝言を契機にきっぱり未練を捨てようという健気さ。しかし彼女の周りには碌でもない男たちがいて、あわよくば大金を脅し取ろうとはかる。 ロケ地、お駒(水芸の朝駒太夫)が放生鰻を放す玉姫橋、中ノ島橋。夜にこそこそ外出した小屋主をつける平次、東福寺一華院南塀際〜臥雲橋(平次に出刃が飛んでくる)〜日下門脇塀際(設定は護持院坂)。お駒を呼びとめ十三年前の件を指摘し迫る平次、不明(塀際、五本線)。出刃打ちの元竜斎に自首を勧める平次、永観堂御影堂。脅迫者だった小屋主に迫るお駒、永観堂弁財天前(見返りのシーンには「図書館」も映り込むが、現在と様態は異なる)。 *欲深好色の小屋主に藤尾純。 ■ 徳川おんな絵巻 第45話「姿なき殺人」1970-1971関テレ/東映 求める仇の最後の五人目の正体は、左太夫と入った黒幕の屋敷で明らかになり養父との悲しい別れとなる。そして千鶴は、己をつなぐ鎖を断ち切った小次郎とともに旅立つ。 ロケ地、所司代の塀を飛び越えて表に出る小次郎、御所管理事務所西塀際。桔梗屋に打ち込まれた手裏剣の呼出状を見て朱雀野へ赴く小次郎、下鴨神社池跡(窪みから左太夫登場)。街道をゆく小次郎と千鶴、不明(山道)。 *オカルトはなく、最後の忍者たちの悲哀を描く情話。 ■ 庄助武勇伝 会津磐梯山 松田定次監督作品 1960.10.9東映 会津の人々に愛されている伝説の人物・小原庄助を描くお話、「幕末の豪放磊落な郷士」説が採用されている。登場時のビジュアルは髭ぼうぼうのご浪人で、一目で判る好人物。 時は幕末、会津の殿様は松平容保公、庄助さんは歌の通り家作を蕩尽していて、朝寝朝酒朝風呂は家風という設定、但し身上潰したのは稀に見る無私無欲の人柄ゆえ。今日も今日とて酔っ払いの浪人を家に連れ込んでおり、老僕の爺さまに叱られているところへまた一人、先祖が家来だったなどと言い立てて食客が転がり込んでくる。そんなこんなでどうにも食い扶持に困り果てているところ、殿の要請もありお城へ上がることになる庄助さん。はじめ妹姫の指南役を仰せつかるが、女を見ると震え出す性質のためアウト、次なる任務は領内に入り込んでいるという幕府や薩長のスパイの狩り出し。しかし見つけられず、殿の厚情に報いること能わぬと思い詰めた庄助さんがハラキリを言い出す段で、実は密偵だった食客二人がたまらず正体をぶちまけ、進行中の陰謀を教えてくれるのだった。 ロケ地、一箕村の小原庄助邸、不明(独立して建っているように見える長屋門、アヤしい一件に見覚えあり)。美空ひばり歌いながら登場のシーン、本梅川若森廃橋。容保公がやって来て庄助を召す秀安寺、不明(参道と平門、龍譚寺に似る)。殿様の頼みで化物退治にゆく南山口の下屋敷、大覚寺大門。食客の二人が筒井屋を騙すのに新式の大筒の試験をする戦場ヶ原、湖南アルプスか。姫がスパイどもの人質になり監禁されている滝沢街道の荒れ寺、勝持寺仁王門(周囲の様子が今とかなり違う)。スパイと通じていた武具奉行と筒井屋の一行が逃げ出すのを追い詰め大立ち回りの街道、不明(谷地田か)。 *庄助さんラブの女二人、老僕の孫娘と、腕自慢が昂じて嫁入りを遅らせている殿の妹姫。普段から庄助の傍にいるお光は女として見て貰えずしょんぼり、姫様ははじめ彼を侮るも手荒く扱われメロメロのよくあるパターン。姫が陥落の挿話は下屋敷の化物退治、これは落語の「化物つかい」を翻案してあり、実はスパイの化物たちが傑作。落語通りにまず一ツ目小僧が、次いで三ツ目の大入道が出て、怪異に動じない庄助にこき使われるのだが、等身大ダッコちゃんなんかも出てきてしまい、最後に「出た」のは姫で化物扱いされてクサヤを焼かされたりする。*美空ひばりの歌ももちろん入っていて、「会津磐梯山」をたっぷり。 2006/4/27 ■ 徳川おんな絵巻 第44話「復讐の女豹」1970-1971関テレ/東映 父を忍者に惨殺された娘は、伊賀忍者に拾われ仇討ちのため鍛錬の日々を送り成長。仇を三人まで討った段で、所司代の密偵とやりあうが彼は娘に求愛、心乱れる娘に養父は残る仇の名を告げる。 ロケ地、伊賀・御斉峠に近い山中の勘兵衛の小屋付近、清滝河原と落合河口(左太夫が小屋の焼け跡で千鶴を拾うのも同所、木橋あしらい。鍛錬の汀も同じ)。千鶴に殺られた下忍たちが晒される林、広沢池畔。猪十とやりあうのは東岸。京イメージ、東寺五重塔を門越しに。所司代屋敷、御所管理事務所正門。千鶴が潜り込んだ旅の一座がゆく路地、金戒光明寺永雲院下坂。猪十は京にと千鶴に告げる左太夫の配下、長安院下坂。京へ出た千鶴が猪十を探す市中、石段に雲水あしらい。左太夫の手下が狩られるシーンの一部に三門。 *千鶴に安田道代、左太夫に長門勇、所司代密偵の小次郎に杉良、猪十に宮口二朗、怪しい島原の楼主に田口計、下忍に志賀勝や川谷拓三。 ■ 銭形平次 第155話「誓いの匕首」1969.4.16フジ/東映 島帰りの佐吉を気遣う親分と「妹」の情話、鉄砲玉に利用された男が再びハメられかけるのを寸前で救う。堅気を装うワルとの狸芝居や、佐吉を誑しこむ毒婦に容赦ない親分が痛快。 ロケ地、佐吉をお島と会わせる重太がゆく池端、不明(汀に道と塀、お島と会う植え込みに鐘楼みたいな建物の脚がちらり)。 2006/4/26 ■ 月形半平太 マキノ雅弘監督作品 1961.4.25東映 時は幕末、薩長連合成立前夜の京。藩論統一のため長州へ帰った桂小五郎に後事を託された月形は、同志の暴発を抑える役目を果たすが理解されず憎まれ孤立、四面楚歌となる。京に潜入した桂から連合成るを聞く月形だが、その夜彼は同志の手で新選組に売られ、壮絶な斬り死にを遂げる。 ロケ地、桂・西郷会談が行われている大乗院、曼殊院勅使門(このときは役者入らず)。見廻組の過酷な浪士狩りの噂をする舞妓たち、八坂神社本殿前。長州浪士の寄合が持たれる二軒茶屋、本物(祇園さんの西鳥居も映る)。ごろつきにからまれた舞妓・歌菊を助ける見廻組の早瀬、上賀茂神社奈良社前。会津本陣(見廻組本部?)、御所長屋門。長州藩邸、不明(長い塀、背の高い門)。萩の城門を出る早馬、不明。それが京へ走る街道筋、不明(堤と野原の地道)。偽の桂の文で月形が呼び出される松ヶ崎大乗院、曼殊院勅使門(駆けつけた早瀬の立ち回りは下の塀際で)。 *工夫を凝らした橋蔵の殺陣がたっぷり拝める。桂や西郷を逃がし新選組と戦う際の、本能寺を吟じながらの立ち回りは華麗。見廻組に襲われる夜道では、べろんべろんの千鳥足でのユーモラスにして雄渾なステップ。そして圧巻は大乗院本堂での大立ち回り、大広間で気配に向き直りくるりと羽織を脱ぎ捨てる所作からもう憎いくらい決まっていて荊軻の吟も良し、二刀流も駆使しての殺陣は悲壮感たっぷり、血塗れ大わらわで「混乱」のシーンは一場の舞の如く・バックに流れる春畝公の詩もよくハマる。*新国劇で有名な「春雨じゃ」は、傘をさしかける染八に「ナニたかが春雨」。*松ヶ崎大乗院は現存せず、松ヶ崎廃寺塔頭の大乗院と思われる。都名所図会にはそれらしき甍が描かれている。 ■ 徳川おんな絵巻 第43話「呪いの剃刀」1970-1971関テレ/東映 おしのの死後一月して楼に現れたのは双子の妹、信三とともに姉の死の真相を聞いた彼女は、殿様を誘き寄せるため二代目・東雲太夫となる。 ロケ地、おいとに詫びつつおしのの位牌を抱き船でゆく信三、琵琶湖。 *見ものはなんといっても「憑かれた」殿様の狂乱。太夫の打ち掛けをまとい楼外へよろばい出て見境なく刀を振り回す川合伸旺、頭をめぐらし見得を切るカッコよさ、必見。最後はぐいっと背を反らせて絶命、体のしなやかさも見事。老いた牛太郎の藤原釜足もいい味、二人に味方して楼主をビビらせるお芝居が傑作で、墓掘り返してる北村英三の脇にちょこんと座って中国で埋葬された女が生き返った話を呟くのがメチャ可愛い。 ■ 銭形平次 第154話「闇夜の短筒」1969.4.9フジ/東映 銃を使った辻強盗は押し込みにエスカレート、手蔓を求めてお静を怪しい道場に潜入させる平次。結局そこに犯人たちが現れお縄となるが、この間お静や八は正体バレて危機一髪。 ロケ地、辻強盗の路地、不明(石畳の路地、腰に石垣の塀)。斧塚の道場、不明(塔頭みたいな四脚門、入ると細かい敷石の石畳が分岐し式台玄関)。 *お静は道場門前で癪起こしたお女中、八は通りかかった医者で髭つきというお芝居で入る。勝手な行動で露見と反省するお静が可愛い。事件現場でいちゃつく夫婦もほんわかお笑い。 2006/4/25 ■ 座頭市物語 第5話「情知らずが情に泣いた」1974.10.31フジ 博打狂いの父のせいで売られる娘を助けることは、妹思いの浪人との対決につながる。互いを認める仲の男たちの戦いは空しく、盲いた妹に声もかけられず市は去る。 ロケ地、馬子と会いその父をヤクザから助ける街道、不明。浪人が妹を連れて釣りにやってくる川辺、不明(河畔林は竹、粗い礫の河原、桂川宇津根付近か)。子らが拉致されたと市を引っ張ってゆく博打男、不明(堤〜河原)。村上浪人と斬りあう市、酵素河川敷。その妹と行き会うも黙し去る道、酵素ダート。 *浪人に黒沢年男、妹の目を蘭方医に診せるための金を貯めている用心棒。博打狂いのオヤジに常田富士男。 ■ 座頭市物語 第6話「どしゃぶり」1974.11.7フジ 弟を殺したと市を恨む女、自棄酒をやめさせるため市は仕込杖を女に預けるが、意趣返しに来た一家に散々打たれる市を見た女は二階から投げ返して寄越す。 ロケ地、市とおせいが行き会う橋、本梅川若森廃橋。おせいがお札を売りにゆく中里村の百姓家、民家内部からの撮影か。野博打に介入しヤクザを散らし素人衆に負け分を取り戻させてやる市、藪田神社舞殿。それでいいとこを見せたつもりかと毒づくおせい、狛犬脇。殺し屋・空っ風がやって来る街道、亀岡・河原林付近の畔道か。 *おせいに朝丘雪路、幼馴染の女衒に長谷川明男、梵天の親分に藤岡重慶、空っ風に成田三樹夫(殺陣は一瞬だが、それまでの存在感が凄い)。 ■ 徳川おんな絵巻 第42話「怨霊おはぐろどぶ」1970-1971関テレ/東映 殿様の横恋慕で父を斬られ、恋人と逃げた女は追われて入水。その後女は吉原の楼主に助けられ女郎に、そして男との再会。しかしお忍びの殿様がやって来てしまう。狂乱の殿に斬られた「東雲太夫」が「出る」精霊流しの夜で中ほど。 ロケ地、信三と逃げるおしの、葦原〜早苗の田畔〜萱原〜琵琶湖(船上、対岸に三上山が霞む)。 *おしのに野川由美子、信三に栗塚旭、殿様に川合伸旺、楼主に北村英三、つるむ岡っ引に汐路章、楼の老僕に藤原釜足。川合伸旺の殿様の好色ぶりと狂乱が迫力。 ■ 名奉行!大岡越前2 第2話 2006.4.25テレ朝/東映 玉扇堂主人の誘拐事件、本人が見つからぬまま開かれるお白州。お奉行は謎解きとともに心得違いの家族を諌め、主が自分の金を持ち出しただけの事と扱い、全ては夢と笑う。 ロケ地、おりんの屋台で知り合った人足の源助に声をかけるお奉行、上賀茂神社ならの小川畔(源助は神事橋上、欄干に腰掛け)。玉扇堂の下女が身代金を携え赴く富岡八幡宮、上御霊神社楼門〜参道〜舞殿前(源助と「ぐる」のおりんが場所変更を耳打ちして去る)。要橋で接触を待つ下女、八幡掘明治橋(堀端に変装した町方が詰める)。橋から金を放らせ受け取った源助の船が去るのは新町浜。おりんが神社から出たあと古着屋で追っ手をまくくだりは、映画村お化け屋敷脇をうまく使ってある。 *源助に竜雷太、爺さん役なことにちょっと感慨。商家主の画はEDにあるが、汚いカッコのほうがハマると思うのは浪人姿ばかり見ていたせいか。*お奉行の夢発言に書記の手が止まっているのがおかしい。 *テレ朝公式サイト掲載サブタイトル「夢裁き」 ■ 銭形平次 第153話「駕籠の中の女」1969.4.2フジ/東映 烏山藩の中揩ェ襲われる事件、無辜の駕籠舁きが斬られたことで乗り出す親分。出てくるのはおきまりのお家騒動、奸物の甘言に乗り恋人を裏切る女や、その身代りに三両で命を投げ出す下女など複雑な綾が入り乱れ、親分の大嫌いな侍の横車がわんさか。 ロケ地、千住はずれで黒イカに襲われるお峰の駕籠、不明(杉林の地道)。お峰の実家・立花屋の寮、不明(萱葺?の平門に瓦つき、ポーチ脇には幼杉の植え込み)。墓参のお峰が襲われる寺と墓地、金戒光明寺本堂と裏手の墓地。黒イカの元烏山藩士の妹が勤める両国橋の船宿・喜仙、嵐山公園中州料亭・錦。立花屋から帰る浪人・戸上が襲われる夜道、不明(碑に「下かう道」、短いステップや石柵など見える)。 2006/4/24 ■ 銭形平次 第152話「投げ銭由来」1969.3.26フジ/東映 平次の得意技のルーツが、悲しい形で語られる。 一見密室殺人に見える現場にあった痕跡から呼び覚まされる遠い記憶、そして怪しい女の立ち回り先には、果たして懐かしい友の姿があった。 ロケ地、芳松と競い祭りを楽しんだ神田明神、不明(透垣が下御霊神社に似る)。立木に刃物の痕が残る護持院ヶ原、下鴨神社糺の森(芳松との対決も同所)。 *芳松に川合伸旺。 ■ 徳川おんな絵巻 第41話「闇に光る眼」1970-1971関テレ/東映 番頭はあきらめないし兄は居座るし、三州屋の跡取り娘の悩みは解消しないまま「殺した女」の亡霊が出てキャー、これは「兄」が正体を現す段で解決するが、別の真実も露わとなる。 ロケ地、暇をとったはずの女中の死体が見つかる沼、不明。小夜の恋人・桜井が三州屋を突き落としてしまった杖突峠、保津峡落合落下岩。事後小夜が佇む沼、不明(クリークの河口ふう水辺)。 *番頭の仕組むおみちの亡霊より手がこんでいる、南町同心の仕込みが笑える。井戸から血どばーは悪党をも震え上がらせるが、いったいどうやって…恐るべし、南町の技術。 2006/4/23 ■ 座頭市物語 第4話「縛られ観音ゆきずり旅」1974.10.24フジ 旅ゆく市の様々な出会い、子を思う母には情けを、腐れ外道には制裁を。和田浩二演じる、口から出まかせのチンピラを「信頼」する挿話がなかなかにぐっと来る。 ロケ地、伝馬町牢屋敷イメージ、御所長屋門。子を探すお駒が男たちに好奇の目で見られる神社前、不明(石鳥居)。座頭市を味方にとカラ約束の渡世人・半次が市を呼び止めるお堂、大覚寺護摩堂。子育て地蔵のある渡し場、亀岡盆地の桂川畔か(川相は瀞)。市を臭いという八州に啖呵を切る街道、北嵯峨農地・陵前付近の竹林際。お駒の佐渡おけさに送られ発つ市も同所(この路傍に縛られ観音)。 *八州に呼ばれた座敷で、足もとに置かれた刀をかわして歩く市のステップ、太地喜和子の腕の入墨を「斬る」シーン、見もの。 ■ 遠山の金さん 第18話「島帰りを探れ!!」1976.1.29NET/東映 五年ぶりに遠島から戻った亭主に違和感を覚える女房、果たして直感は正しく、南町同心がらみの盗みが露わとなる。親切面のお役人は怪しいというお決まりの展開。 ロケ地、浅吉が傷つけて遠島になった岡っ引が消される、相国寺鐘楼脇、宗旦稲荷。戻った亭主が「違う」と家を飛び出した女房が佇む橋、中ノ島橋(金さんに保護される)。同心にツナギをとる偽亭主の浅吉、酵素か。本物の浅吉が女房に暗示した金の隠し場所の谷中永林寺墓地、不明(池端に墓石林立、丘にあり石段等も見られる。松平右近事件帳19話「生きていた夫」と同所)。 *女房に土田早苗、偽亭主に工藤堅太郎。 ■ 松平右近事件帳 第24話「鶴亀情話」1982-1983日テレ/東映 ドジな掏摸の「とんずらの亀」は、同じ長屋の後家にぞっこん。或る日賭場の帰りに殺しを目撃し強請りを思いつき、後家さんの借金を完済してやろうとはかるが脅迫状を作るのからして一苦労なのだった。 ロケ地、掏摸をはたらくもドジをかまし新八親分に捕まる亀吉、本法寺(摂社と塔下等境内、お参りの場面で縁日を演出)。亀吉が指定した池之端に金を置きに来る春日屋の手代、大覚寺天神島祠。後家の息子をさらい亀吉を呼び出す一味が指定の棚倉橋、中ノ島橋。捕り方が出て追うも船で逃亡の一味、広沢池東岸。 *「鶴」は病弱な子を抱える後家がお鶴。借金をした相手を暗殺する手口で悪事を重ねる旗本に浜田晃、用人は中田博久、亀さんは赤塚真人。ラス立ち福ちゃん入り、旗本の家来。 2006/4/22 ■ 銭形平次捕物控 八人の花嫁 田坂勝彦監督作品 1958.1.3大映 洲崎五万坪に建設進む八大竜王社、竣工の暁には選ばれた八人の娘たちが練り歩きを奉納する予定。その小町娘が次々と殺されるが、裏には埋立地を追われた人々の怨嗟が隠されていた。 手に余る事件としてお品親分は平次に助けを求めるが、突き放す親分。これは彼女に手柄を立てさせようとする心遣いで、もちろん乗り出してゆく。 事件の謎解きがひとしきり終わると、竜王社建設に伴う甘い汁を吸う面々から平次に圧力がかかり、十手お取り上げというピンチを迎え、次いでお静がさらわれたりもする。そして事態は急激に動き一揆衆が竜王社に殺到するが、平次の真情を見た首謀者の娘は一身に罪を受けやしろの中で自爆、虚栄の象徴を道連れに儚く散るのだった。 ロケ地、八乙女の一人・お半の死体が上がる河原、不明(中流域の川相、粗い礫、護岸は石積み)。お品がお参りの矢柄神社、不明(絵馬堂に隠れていた者が小間物商の「おきん」を射る)。一味の諸岡道場、不明(竜宮門)。蜂起する一揆衆、法華の太鼓の一団がゆく浜は琵琶湖西岸松原。編み笠武士の率いる騎馬が渡る木橋、不明。農具を手にした一団がゆく堤、不明(天井川堤)。ぼろんじ集団がゆく道、不明。おきん(錦)が蜂起を聞き船を出す川、不明(川端に蔵など建ち並び、木の高橋が架かっている)。竜王社のセット設営地、不明。笹野さまが出役の奉行所、御所長屋門。巡礼に出る叶屋親子を見送る道、不明(ここにも橋)。 *竜王社は大掛かりなオープンセット、このまわりで繰り広げられる大人数の乱闘が迫力。最後は楼閣を爆破、大映の美術は派手。 ■ 八百八町夢日記スペシャル「国盗り夢物語」1992.3.24NTV/東映 著名な仙石騒動のお話、産業振興策をとる家老と質素倹約を唱える家老の対立という「史実」とは違い、豊臣の隠し金なんか出てくる講談調の娯楽作。 現藩主を擁する御為派には虚無僧がつき、悪家老側は下屋敷に浪人を集めて気炎を上げる構図。虚無僧と浪人の市街戦でとばっちりも出てお奉行が乗り出すが、二つの勢力をよそに見て漁夫の利を得ようとする前藩主御正室の陰謀も出てきてしまう。そして黒幕は老中、北町にも圧力がかかるが、擬態の吉原通いがマジになりかけていた藩主をお奉行が諄々と説き正道に立ち返らせる。 ロケ地、出石城、不明(石垣と櫓)。脱藩し江戸へ向かう勘定奉行・河野が忍びに襲われる山道、不明(切り通し)。元出石藩士・神谷転である虚無僧・友鵞が起居する虚無僧寺・一月寺、常寂光寺仁王門。前藩主正室・常真院が隠棲する月照庵、西明寺山門。河野が縁戚の銀山奉行を頼り逃げ込む生野銀山、不明(小滝ある岩場)。友鵞らが目安箱へ訴状を入れようとする辰の口評定所、二条城北大手門(橋上で刺客とチャンバラ)。生野銀山奉行邸、不明(民家門、萱葺きで前に広いスロープ)。江戸へ出立する前、息子に声をかける国家老・仙石左京、二条城清流園。河野の墓に佇む妻女に「お蝶」のことを聞く次郎吉、大覚寺天神島汀。妻女が案内する多田銀山瓢箪間歩(坑道を抜けると胡蝶の里)、不明(入口は先の生野銀山と同じ岩場)。出石藩上屋敷、大覚寺大門。月照庵を出たお蝶が「息子」で前藩主の落胤である瓢之助と参る天神さま、天神島祠。月照院にお蝶を訪ねた友鵞が話す川端、西明寺下の清滝河原(瓢之助が母を探してやってくるのは参道脇の崖)。江戸城イメージ、姫路城天守と二条城北大手門。国へ帰る出石藩主を見送る奉行と次郎吉、大覚寺大沢池北岸の並木道(林越しに心経宝塔)。 *仙石左京に亀石征一郎、評定の席でつるんでいた老中に見捨てられたうえ「田舎家老」と詰られブチ切れ、「卑怯者め道連れにしてくれるわ」と斬りかかるから傑作。これにビビったか老中の御木本伸介は賄賂の額を口走り、お奉行に突っ込まれる仕儀に。観念した左京「地獄の鬼どもが迎えてくれるわフハハハ」に鈴ヶ森で斬首のナレーションが被さる。お蝶に野村真美、江戸家老は荒木しげるでラス立ち扇で大わらわ要員。神谷転(うたた)は金田賢一。*八田同心の「活躍」はフライングで藩邸に入ってしまい監禁、いいだけ馬鹿呼ばわりされてさんざんだけど、ラス立ちで女を巻き添えにした浪人をシメ上げる場面も。 2006/4/21 ■ 銭形平次 第151話「振袖が泣いている」1969.3.19フジ/東映 丁子屋の染物が大評判、しかしその振袖を着た娘の袂に火が投げ入れられる事件が頻発。出てきたのは染物をめぐる怨恨、張本人だった父を諭す息子(峰蘭太郎)が泣かせる情話。 ロケ地、丁子屋の軒先を借りお情けで暮らす老爺が怪しい眼帯男とこそこそ話す林、下鴨神社河合社裏手。老爺の息子が父を問い詰める神社、不明(下御霊神社に似る)。 *万七親分ちょっといい話×2。お春宅でご飯ひっくり返したのを屋台蕎麦で補填、お春と源次が出した蜆屋から連日山ほど購入。平次に恩を感じる元掏摸の女が、昔の腕を生かして着物放火犯を封じて歩くネタもある。 ■ 徳川おんな絵巻 第40話「女相続人の恐怖」1970-1971関テレ/東映 父の急逝で高遠藩御用の商家を継ぐことになった娘は、遺言をタテに結婚を迫る番頭に悩まされる。彼の仕掛けで人を殺したことになってしまい危ういところへ「兄」が出てくるが、これがまた全財産俺のもの主張のトンデモなのだった。 ロケ地、父の死を聞きお城を下がってくる小夜、彦根城太鼓門櫓〜天守の見える石垣際〜湖畔(西の湖か)。三州屋の弔い船、広沢池西岸・観音島脇から東望。小夜の回想、江戸店へ帰る父を見送る街道筋、保津峡駅付近の崖道か(地道)。同じく回想、恋仲の桜井とデートの川辺、落合河口汀。猫を捨てたり船上で番頭に迫られたりする「沼」、西の湖か。桜井が気にかけつつ通り過ぎる三州屋門前、中山邸通用門と参道。 *小夜に山本陽子、桜井に中山仁、番頭に勝部演之。買収されて偽証の船頭に小峰さん。*この回からナレーションが杉村春子に代わって村松英子に。お話の傾向も様変わり。 2006/4/20 ■ 銭形平次 第150話「謎の供養料」1969.3.12フジ/東映 押し込んだ先で殺される賊、しかしその仏は奪った金を持っておらず、傍には謎めいた線香代の紙包み。金の行方も殺しの謎もすっぱり解いた親分、律儀なオヤジには手厚いケアを施す人情話。 ロケ地、杉田屋の番頭が持ってきた賄賂入り菓子折りを携え墓参の女将を訪ねる平次、相国寺大光明寺南塀際。墓地も相国寺。殺された賊の片割れが倅を人質に儀助を呼び出す三間堂、相国寺経蔵(この前に挿まれる刻の鐘は本法寺鐘楼・背景に塔、「無宿者狩り」の使い回し)。 *元こそ泥のおでん屋のオヤジに谷村昌彦、金ちょろまかしの番頭に牧冬吉、女将に阿井美千子。はじめから死体の凶悪なお尋ね者に阿波地大輔、手配書があまりにそっくりで笑える。 ■ 徳川おんな絵巻 第39話「みなしごたちの太陽」1970-1971関テレ/東映 夜這いと間違え伝次をはたいてしまうおみつ、そのまま小さい子を連れて出奔した彼はきっちり盗賊団のもとへ。賊は子を使い二件まで盗みを重ねるが露見しお縄、この騒動の責任をとると近習頭を辞する吉村、わらべ所専任となりおみつと共に生きる道を選ぶ。 ロケ地、わらべ所へやって来た目付に雑言を吐く伝次、毘沙門堂方丈式台玄関前。吉村の婚儀のことを聞くおみつを見つめる伝次、本堂囲いの格子を挿んで内と外。賊一味がゲン入りの瓶を運ぶ城下の道、彦根城濠端(遠景に天守)。追われた賊がわらべ所に逃げ込むくだり、毘沙門堂薬医門下石段と仁王門(内側)。殿様に近習辞退を申し出た吉村が下城するのを待っているおみつ、彦根城西の丸北端・観音台への橋付近。イメージに熊本城の映像を挿入。 *賊の首領の汐路章、帰りたがる子に猫撫で声で「おじさんがお寺に火をつけちゃうよ。おともだちが焼け死んだらかわいそうでしょ」と脅す…メチャ怖。 2006/4/19 ■ 銭形平次 第149話「胡蝶の印篭」1969.3.5フジ/東映 苦学生が射止める長崎遊学、友の成功を寿ぐ男には隠していた思いがあった。ライバルを蹴落とそうとする企みが親分の働きによって潰える話に、苦学生まわりの人情話をてんこ盛りに添えてある。 ロケ地、肥前屋押し込み犯の血痕を追って辿り着く川端、宇治川畔。川筋を聞き込む八、網を繕う漁師に聞き込みの川端は宇治川橘島右岸べり(対岸に現在朝霧橋たもとにある屋形)。船の手入れをする男に聞き込みも宇治の中州、歩き疲れた八が護岸に寝っころがる。漢方医・大室道庵で聞き込み出てくる平次、不明(門)。医者へ行ってないなら薬屋かと推理しながら歩く平次が渡る橋、宇治・発電所放水路に架かる観流橋(下を轟々と水が流れる)。探索を終えて合流する平次と八、宇治の中州(対岸に甍)。蘭方医・高野英次郎の塾、御所拾翠亭門。賊の片割れの土左ヱ門が上がる河原、不明(夜景、石礫河原で流れは瀞)。娘の懐妊を知った蕎麦屋の親爺が親子連れをしみじみ眺める川べり、宇治中州。 *苦学生・高山に河原崎長一郎、師匠の高野に曾我廼家明蝶。高山の隣人が蕎麦屋親子で、賊と疑われた彼を庇うのにオヤジ黒イカに作って賊のフリしたりするがバレバレ。高山には、行き倒れたところを救ってくれた番太との交流という情話もあり、これがけっこうなトンデモでそのオヤジはキリシタン。通夜の席でヒミツ祭壇開けっぴろげてるけど大丈夫なのかな…。豪放磊落な蘭方医と意気投合する平次のくだりも傑作、ラストには質札つき紋付の笑い話もある。 ■ 徳川おんな絵巻 第38話「子供がいっぱい」1970-1971関テレ/東映 舞台は肥後、名君・細川重賢の治世。大火で孤児となった子らを集め養育する武家娘は、自身の身の上から彼らを放っておけず、遂に殿の許しを得て孤児院設立に漕ぎつける。できたばかりの肥後わらべ所に、年嵩のグレた少年がやってきてひと悶着ありそうな段で中ほど。 ロケ地、熊本城天守、本物。印籠を盗んだゲンを追いかける近習頭の吉村、彦根城濠内側土塁際。彼を家へ引っ張ってゆくおみつ、通る路地は金戒光明寺永雲院下坂。おみつの家(馬廻役・松野伊兵衛邸)、不明(塔頭の門?)。家計の足しにと子らを連れて山で雁皮採りの山、不明(滝や谷川に架かる木橋など映る)。松野家での養育は違法として役人に連れて行かれる子ら、金戒光明寺長安院下坂。吉村邸、相国寺大光明寺門。お城へ乗り込み孤児について請願するもたらい回しのおみつが歩き回る城内、彦根城石垣際、天秤櫓、太鼓門櫓、天守下など。官許の孤児院「肥後わらべ所」となる本妙寺、毘沙門堂薬医門。おみつに気持ちを告げ寺を出る吉村、仁王門(内側)。 *おみつに林美智子、父に大友柳太朗、吉村に松方英樹、殿様に高橋長英。 ★仕事前に御室桜を見に仁和寺へ。ほぼ満開、しかし明日はきっつい寒冷前線の通過で荒天と予報…せっかくの花なのに土日まで保たないと可哀想。早朝なのと黄砂のせいで視界悪く、青空バックの絶景は撮れず↓↓ 2006/4/18 ■ 徳川おんな絵巻 第37話「まぼろしの恋」1970-1971関テレ/東映 酒肆の娘が助けた男は記憶喪失、思い出せぬまま時は過ぎ二人は恋仲、しかしというおきまりのお話。「若様」は迎えに来た家来に家の大事を聞かされ娘に帰還を約し去るが、ひさごの追廻・卯之さんはもう戻ってこないのだった。 ロケ地、新三郎が刺客に襲われ斬られて濠落ちの鎌倉河岸、不明(橋蔵版銭形平次で頻出の「傾いだ玉垣」の神社)。津山藩邸、大覚寺大門。おしのが「殿様」と会う庭、阪口青龍苑。 *おしのに十朱幸代、記憶喪失の若様に伊吹吾郎、ひさごの板前に財津一郎。出自を知るため行く賭場の中盆に福ちゃん、酒肆で強請りのチンピラに川谷拓三。一話完結。 ■ 銭形平次 第148話「九尾の狐」1969.2.26フジ/東映 かつて跋扈した凶盗が押し入った商家の三万両の隠し金を狙い再び暗躍、仲間割れの殺しからアシがつくが、悲しい因縁も掘り起こされる。 ロケ地、仕入れ帰りのお千代が清五郎殺しに行き合わせる明神藪の稲荷、吉田神社竹中稲荷本殿前。平次の追及から逃げたお千代がおみくじを結ぶ御籤堂、今宮神社本殿右翼前(前の梅におみくじ結び)。お千代を稲荷に呼び出した新助が平次を見て逃げ出す石段、竹中神社脇・三高碑への石段。隠し金のある小梅の信太稲荷、竹中稲荷本殿裏手摂社群。 *九尾の狐は凶盗・信太小僧の背の刺青、彫ったのはお千代の祖父、この凶賊に両親を殺された泉屋の生き残りが新助という因縁。二人は仇同士と言う八を叱りつける平次、もちろん固く口を閉ざしたまま終わるが、観念して投降した雅扇堂にも情をかけ「娘」に対しひとこと言わせてやるのが泣かせる。一味の盲いた浪人と暗闇対決の殺陣も見もの、賊の下っぱに福ちゃん。*カラー作品。 ■ 名奉行!大岡越前2 第1話 2006.4.18テレ朝/東映 お奉行が大川端で蘇生させた土左ヱ門は記憶喪失、すぐに身内がやって来るが三組も現れ三様に怪しい節もなく謎めく展開。この上に、駿府から来た岡っ引が女は殺人犯と主張、ますますややこしくなるが、お奉行はそれぞれの人体を鋭く見ていた。 ロケ地、南町奉行所へやって来る役人の辿る道筋で奉行所の位置と広さを説く冒頭のくだり、姫路城天守(甍と合成)〜南禅寺僧堂坂〜妙心寺玉鳳院前路地〜妙心寺大通院裏路地〜映画村屋敷町セット(奉行所門)。香織がおりんを待ち構えて父との関係を詰問のくだり、八幡掘明治橋上からおりんの乗った船を見て、新町浜で話す。ここで死人と騒ぐ声、場面河原に切り替わりお奉行が女に活を入れるシーン、桂川松尾橋上手右岸汀。女の夫と名乗り出た一人・飛脚の喜助が状箱を持って走る街道、大覚寺大沢池堤(昼を使うのは天神島大楠の根方)。役宅から女を斬られたかも知れない場所へ連れ出すお奉行、大沢池船着(小)。女が駿府で夫を刺したヌタ場、広沢池観音島南側の池底(水無し)。お裁きの後、おりんと女の行く末を話すお奉行、大覚寺天神島朱橋(香織が来て犬を押し付けられお散歩は放生池堤)。江戸払いになった女がゆく街道筋、大沢池北岸並木。 *のっけから部下たちはお奉行がいないと探していて、またコレ(酒)などと言われているうち登場するお奉行は井戸端で二日酔い。娘には女性関係を忖度されていて、前シリーズと変わらずホントに名奉行?扱い。周囲がなんだかヒステリックな割にお奉行と老僕はゆったりと静謐なのも同じ。 *テレ朝公式サイト掲載サブタイトル「五つの顔を持つ女」 2006/4/17 ■ 銭形平次 第147話「子供が見た」1969.2.19フジ/東映 強請りたかりのゴロツキ殺し、万七の予断で職人が投獄され、それは違うと動く平次の捜査は行き詰るが、八と芸者の応酬で出た言葉が真実に行き着く鍵となる。 投獄された職人の子が殺害現場を目撃しており、その子の言葉を信じて動く親分と、背を押すお静の会話が泣かせる。 ロケ地、ヤクザの仁兵衛が絞殺される深川弁天小橋近くの岸、哲学の道・若王子神社の北、宗諄女王墓所前の右岸。宇之助の釈放、大覚寺明智門(待つ妻子は御殿川べり、設定はもちろん南町奉行所)。 *殺された仁兵衛周辺を洗う親分、賭場に手入れし捕まえた貸元以下が殺しと関係ないと判っても、ちょっと牢にブチ込んでみるというヤクザ嫌いが笑える。能村庸一氏の著書にあった、野村家と交わした約束通りのコンセプトなことに感心しきり。親分、侍もキライだもんね。 ★今日の銭形ではっきり確認の哲学の道、このほか75、76話の「堀」も同所なことを録画してあったディスクで確認。 ■ 徳川おんな絵巻 第36話「姫君と用心棒」1970-1971関テレ/東映 輿入れを前に恋も知らぬ身を嘆く姫様は出奔、おきまりのアバンチュールもの。紀州家の姫なもんだから超弩級の世間知らず、ごろつきガキに連れられ賭場へ入り込み、危ういところを一家の用心棒をしていた浪人に助けられる。出合茶屋に姫を連れ込んだ浪人は、あらぬ妄想に駆られたりもするが結局は紀州家に使いを出し、姫様の冒険は淡い恋の思い出を残し終わる。 ロケ地、説明部分に和歌山城と雑賀崎。紀州藩上屋敷、西本願寺大玄関門(扉が開いていて玄関がのぞく)。飴を奢ってくれたちんぴらガキの仁吉と歩く姫、下鴨神社参道石橋。賭場から姫を連れて逃げた神保浪人が一息つくやしろ、河合社南西角(追っ手が来るのも同所、慌てて逃げる際には門が映る)。 *姫に松原智恵子、浪人に入川保則、貸元に遠藤辰雄、ちんぴらガキに雷門ケン坊、神保の旦那の情婦に三島ゆり子。*姫様は伊勢や源氏を読んで恋に憧れているので、なんかあるとそこから引いた和歌(伊勢物語98段の「知る知らぬ…」)が出て妄想の世界に。妄想は相手の神保もお盛んだがこちらは生臭く、姫を押し倒すにとどまらず殿様のおほめに預かり姫と祝言で「高砂や」。このほか、質屋に「備前長船」を持ち込む神保が桐箱に蛇仕込んで押し借りのエピソードや、三島ゆり子と痴話喧嘩の段も傑作。一話完結。 ★ヨロキン子連れ「雲竜風虎」でイメージの天守に彦根天守発見。 2006/4/16 ■ 遠山の金さん 第17話「裏入学をあばけ!!」1976.1.22NET/東映 貧しい町人の子ながら学問を志す少年、その母の殺害には昌平黌裏入学の汚い陰謀が隠されていた。少年を侮辱した旗本の子が父の悪事を知り反省、謝罪する話で締めてある。 ロケ地、粂吉が麦湯の屋台を出す寺?、不明(夜、この傍で殺される粂吉の母のくだりも不明、死体は「大川」に遺棄)。学問所勤番組頭・矢島邸、相国寺光源院。これとつるむ紙問屋・大津屋の弥生町の寮、中山邸通用門。 ■ 松平右近事件帳 第23話「ねずみ講の罠」1982-1983日テレ/東映 一分が六十両になどと煽り、多くの民から金を巻き上げるマルチを仕出かすのは寺の坊主。身に危険が迫ると、スケープゴート用に雇っておいた書役を横領犯に仕立てて逃げにかかるが、事態を確かめにきた黒幕の元大目付ともども右近の成敗に遭う。 ロケ地、宝念講を開催する覚全の寺・下谷宝念院、本法寺(受付は本堂、縁先に立つ覚全の背景に塔が映り込むシーンもある)。寺へ金を返せとねじ込んだ男(出資者)が縊死を装って見つかる林、相国寺弁天社裏手。覚全にカマをかけた帰りの右近を襲う浪人たち、相国寺大通院前路地〜鐘楼前。しょんぼりと佇む書役の与吉に話しかけ講の矛盾を問う右近、相国寺法堂基壇(子守女あしらい)。青山老中に宝念院の件を告げ断りを入れる右近、相国寺大光明寺玄関前庭。与吉の女房入り長持と金箱を運ぶ荷駄を臨検する石部同心、相国寺大光明寺南路地(湯屋角に潜んで待つ)。 *与吉に石山律雄、覚全に内田稔、元大目付に北原義郎。 ■ 座頭市物語 第3話「祥月命日いのちの鐘」1974.10.17フジ 母の命日にはドスを抜かぬ市の誓い、しかし渡世の義理人情は構ってくれない。人を斬りもし助けもする機微を、コミカルな場面を交え情感たっぷりに描く。 ロケ地、門屋の倅の窮地を救うため証文を燃やした市が簀巻きにされ流れる川、木津川。追ってきた紋次がそれを見下ろす橋、流れ橋(衣を乾かす二人は橋下)。そのあと市について歩く紋次、追っかけっこの堤は桂か。市が門屋で斬った浪人の娘と出会う川べりの茶店、桂川宇津根付近か。父の仇と迫る娘に抵抗せず斬られる市、神護寺石段。一人で中森一家に斬りこむと去った門屋の倅を追って橋を渡る市、流れ橋。「暮れ六ツ」の鐘を撞く紋次、不明。中森一家を斬り伏せてきた市を「橋の手前」で待ち構え名乗らず斬り合う紋次、木津河原(このあと市が彼と気付くのは「約束」していた流れ橋の下)。 *紋次に北大路欣也、軽くもあり熱くもある渡世人を熱演、市の手並みに感心して事切れるくだりが見もの。中森の親分に江幡高志、斬られ際の声が傑作。茶店に現れる見掛け倒しの風来坊にチャンバラトリオ、南方英二のどたばたが大笑い。 ★伏見城(キャッスルランド跡地)訪問、現在まだ立入禁止なるも運動公園として整備中、お城は毀たれず残されるようなのでひとまず安堵。遊園地施設は撤去済みで更地になり、広々とした空間から見た散り際の桜と城はなかなかに美しかった。観光バスで団体さんが来ていたのは意外、こういう企画もあるのね。 2006/4/15 ■ 八百八町夢日記スペシャル「みちのく忠臣蔵」1991.10.8NTV/東映 二百年に亘り確執を持つ、隣り合う南部・津軽の二藩を利用し漁夫の利を得ようとするワル。お奉行は二藩の諍いで町衆にまで被害が及び、また戦となれば大勢が苦しむと調査に入る。しかし南部へやった次郎吉が、関わった侍夫婦を自宅の絵草紙屋へ行かせたことでお初が巻き添えを食い落命してしまう。 このことで次郎吉は荒れ一時夢之介たちから離れるが、お初が庇った侍の不可解な行動が引っ掛かり戻ることに。果たして侍は天晴れ忠義の士、妻女を離縁し脱藩、誰にも迷惑かからぬ立場に己を置いてから藩主の遺恨を晴らそうとしていた。 ロケ地、深川・閻魔堂橋で南部藩士・関前に鞘当て因縁をつける津軽藩士たち、中ノ島橋(五郎八の店は橋が見える位置設定)。奉行の要請で南部へ発つ次郎吉がゆく道、広沢池東岸〜谷山林道。津軽藩邸、随心院薬医門(殿様が鷹狩に出るシーン)。南部藩士・相馬大介夫婦が津軽忍者・道の者に襲撃される峠、谷山林道切り通し(両側)。お初の墓、大覚寺聖天堂前・護摩堂裏に墓石と塀あしらい。相馬に三下り半を突きつけられた妻女を見送る次郎吉、放生池堤。矢立峠で津軽藩主の駕籠ほ砲撃する大介、谷山林道頂上付近・愛宕道分岐の切り通し(砲を据えるのは向いの崖道)。大介が磔になる刑場、酵素河川敷(近くの茂みで妻女が自刃)。 *相馬大介に堤大二郎、彼を腹心とする江戸家老に堀内正美(老中や津軽忍者とグルの悪者、今回のラス立ち大わらわ要員)、老中・安倍豊後守に大出俊(なかなか姑息)、お奉行と気脈を通じる老中・土居に夏八木勲(ピンチの夢之介を助けに入る。言い訳は碁の約束の日を間違えてワハハ、ついでにこの浪人に仔細を聞くからついて来なサイなどとやる狸ぶりがなかなか)。五郎八は名古屋章、お奉行との馴れ初めを語る場面あり。娘・おつやと飯屋を経営、二人は密偵をつとめる。レギュラー陣ではほかに八田同心の馬鹿ギャグあり、夢之介が用心棒に雇われる芝居に参加、夢さんに帯切られて逃げ去る役をするが、帰り道娘たちに笑われ「見たけりゃ見ろホレ」とばっと前を広げキャー、「なんだ褌くらいで今時の娘は」と立ち去るが、褌は下に落ちているという趣向。*関前に鞘当て因縁の藩士の一人に福ちゃん。 ■ 銭形平次捕物控 女狐屋敷 1957.8.13大映 水難剣難のご託宣がぴたりと当る天心教、その教祖に死ぬと予言される商人。娘は平次に泣きつき、厳重な警戒が敷かれるがまんまと謀られ、託宣通りに主は怪死。そしてますます募る教団の悪事、果てには大奥中揩ノ取り入り何やら不穏な企みも進行するなか、手口と素性を調べ上げた平次は単身悪の巣へ乗り込んでゆく。 ロケ地、船が転覆して大騒ぎ[水難]になる海神祭りの御幸ヶ浜、不明(海中に立つ両部鳥居、浜は松原、琵琶湖か)。藤間勘美津師匠の大さらい[剣難]が行われる料亭、錦水亭(北から池越しに東屋、夜景で屋形にはずらっと灯が入る)。天心教本部、セットか(入口は冠木門ふう)。お参りの勘美津を刺客が襲うところ、察していた平次が立ち回りの神社、御香宮本殿前(立ち回り部分セットの可能性あり)。単身乗り込んだ平次の置手紙を見て出役の笹野さま、御所長屋門〜宗像神社塀際(大人数の派手な出陣風景)。事後、海辺で静養の平次ファミリー、不明(マジ海と思われる)。 *教団の手代と踊りのお師匠さんに因縁、父の仇。教祖はこやつが担ぎ出した大塩の甥で元熊野の行者、手代は大塩一派生き残りという図。大塩の名は出るものの一味は総体的に悪辣そのもので、クーデター計画もなんか正義のかけらも無いっぽい感じ。*単身乗り込んだ親分はぴしぴしと悪事を指摘、しかし潜入していたお品を人質にされ捕われの身に。ここからが凄くて、神殿へ連れて行かれ巨大な作り物の蓮(金ぴか)の中に据えられ、花びらが不気味に閉じると機械仕掛けで地下へ、ここで待ち構えた一味が槍で刺すという仕組み。前にやられた油屋のオヤジはぶっすりだったけど、親分は手代がご大層に掛けやがった神鏡で刃を防ぎ戻ってくる。立ち回りは十手とられてるので素手と投げ銭で。 ■ 大岡越前 第2話「町火消し誕生」1970.3.23TBS ガエンと町鳶の喧嘩で死人まで出る騒ぎ、伊織の思いつきで越前は町火消し設立に動くが、重職方は定火消しへの根回しが先と腰が重い。そこへ持ってきて、神山左門が火事場にいた怪しい男を仕方なく返り討ちにすると、定火消し支配の甥だったりして事態は膠着。しかし越前は配下の探索の成果を突き付け、脅したりすかしたりの荒技で左門の件をチャラにしたうえ町火消し成立に漕ぎつける大物ぶりを見せる。 ロケ地、放火実行犯の小普請方人足が口封じされて見つかる深川櫓下の掘割、白川巽橋上手河床(ここではほぼ河床と橋のみ映る)。探索中の源さんが辰と行き会いハッパをかける橋、今宮神社東門内の石橋(脇の小さな橋越しのアングル)。放火の手引きをした逃亡中のガエンが女の家で佐久間家の法被を物干し台に干されてしまい、源さんに見つかって追われるくだり、物干し台から見える堀と橋は先に出た白川巽橋をクレーンショットで二階からの視点に見立てて(この際川端の町家など大映しになる。物干し台は撮影所のセット。逃げた男がうろついている辰から身を隠すのに辰巳大明神の玉垣、現在は使えないアングルもあり)。 *左門が越前の傍らで不審の目で見たり感心してみたりの、微妙な表情が傑作。探索が進まないのに焦れて不貞寝も可愛い。白川に捨てられて左門に早桶(塩漬け中)開けられる人足に藤岡重慶。 2006/4/14 ■ 銭形平次 第146話「顔の無い兄貴」1969.2.12フジ/東映 柳原の川っぷちに上がった長持の中の死体が下っ引と大騒ぎ、出てくるのは兄弟の確執と怪しの女。お静姐さんの情に負けた女から真相が割れ、乗り出した親分はもつれていた兄弟の絆を結び直してやる。 ロケ地、川べりで長持を開け中身に腰を抜かす為吉、宇治川汀(背景に河畔の旅館と槙の尾山)。兄・英造の前に立ちはだかり恨み言を述べ立てる弟・源太、大覚寺五社明神(二人に気付き駆け寄る平次らは観月台前)。源太に英造生存を知りながら黙っていたことを詰問する平次、御香宮摂社脇。お紺が平次らに告白するかたちで回想の英造の仙太殺し、御香宮絵馬所。運び屋の仲間になった英造が、金を運んできた男に十手をかざすも正体は首領で危機に陥る、御香宮本殿脇(平次や捕り方が出て立ち回りの際には祠も映り込む)。入水を覚悟した英造を思いとどまらせ逃亡を示唆する平次、宇治川畔(観流橋下からの放水が流芯に見える)。 *タイトルは中の死体の顔が潰され英造に擬装の件、実は彼に殺された仙太で川谷拓三。 ■ 徳川おんな絵巻 第35話「涙の祭り囃子」1970-1971関テレ/東映 母はないものと自分を納得させる源太だが、小雪が知らせた事情を看過し得ず協力、幼君が阿波踊りの上覧の席で危難に遭うところへ斬り込みをかける。しかし彼はとどまるよう勧める母に別れを告げ、再び草鞋を履くのだった。 ロケ地、天守イメージ、松前城か。一旦当地を離れかける源太、手水を使った河原で虫の息の忠臣・村田を見つけお歌へ伝言を託されるのは落合少し上手の清滝河原。お歌の要請で讃岐へ赴く源太、ヘアピンカーブの山道は谷山林道雲心寺道分岐か(弟分が彼の代わりに撃たれる道は不明)。母子として抱き合うお歌と源太、建仁寺方丈か。旅ゆく源太に追いついてくる小雪、舞子浜(その前の道は不明)。 2006/4/13 ■ 銭形平次 第145話「邪魔者」1969.2.5フジ/東映 凍てつくような寂しさを抱えた女は、自分を殺しにやって来た浪人に切所で助けられ、命の価値を噛みしめる。タイトルの「邪魔者」が幾重にも意味を持たされ、妙味を醸すつくり。おこんは弓恵子。 ロケ地、夜回りの平次が川べりに立つおこんを見かける護岸、高野浪人が仙次を追って走ってくる橋、不明。このあとおこんが実は賊の板倉屋一味に拉致されかかる川辺や、高野が平次を呼び出し殺そうとする「柳川橋」も同所。水に突き出した護岸の形、法面のアール等が鴨川の剣先や宇治川塔の島の舳先によく似る。橋は欄干が木で橋脚はコンクリート、周辺には狭い石段なども見える。 ■ 徳川おんな絵巻 第34話「母恋い三度笠」1970-1971関テレ/東映 顔も名も知らぬ母を求めて阿波へやって来る渡世人、何の手がかりも得られず落ち込むが、無頼から助けたお女中の伝手で涙の対面。しかし当の母は幼君の乳母で政争の渦中にあり、彼を息子とは呼べない立場なのだった。 ロケ地、説明部分に徳島城址。阿波めざし街道をゆく源太、舞子浜(歌つき)。父の情報を求め和尚に話を聞く寺、不明(墓地)。その帰り、侍に襲われる腰元を助ける境内、不明(どう見ても神社)。腰元が持ち帰った金平糖に毒が仕込まれていて幼君あわやの縁先、不明(後段でも出てくる)。寺を訪ねまわる源太、落胆して出てくる寺二件、はじめのステップ付きの門は不明、あとの門は建仁寺僧堂。度重なる幼君の危難、讃岐の松平を頼るべく街道をゆく忠臣が斬られる山道、谷山林道か(分岐道、谷川沿いの林道)。お乳母さまの母に邪慳に扱われた源太がゆく雨の道、下鴨神社参道。 *お乳母さま(お歌)に淡島千景、源太に橋幸夫、幼君を狙う後見役の叔父に天津敏、源太にお乳母が母と告げてしまう腰元に岩井友見、忠臣の爺様に北村英三。 2006/4/12 ■ 銭形平次 第144話「消えた御用金」1969.1.29フジ/東映 御用の金塊を運ぶ途中の放馬が、身延参りの男たちの運命を狂わせる。金塊を隠匿し何食わぬ顔でやり過ごそうとする男たちだが、果てしない欲が結局身を滅ぼすもととなる。 ロケ地、逃げた馬の背から御用金が消える下田街道、不明。父が刺されたあと粂吉を呼び出すおきち、禅林寺(永観堂)画仙堂。 *おきちに三島ゆり子、万七を追い返す迫力が見もの。甲府勤番支配の切腹を回避し南町に面目を施さしめた親分、八も一緒にお奉行にお呼ばれで、紋付着た二人が可愛い。 ■ 徳川おんな絵巻 第33話「戦場のなでしこ隊」1970-1971関テレ/東映 城と運命を共にする覚悟の娘たち、妙にはしゃぐ一幕もあるが官軍の容赦なき砲撃がはじまり、血みどろの結末が待っている。 ロケ地、鶴ヶ城、本物。官軍が砲台を築く小田山(城を望む設定)、沢ノ池畔。炎にゆらめく天守、彦根城天守。白虎隊と娘子軍の出陣、彦根城大手橋。娘子軍が守る柳橋、不明(欄干のある木橋、官軍の背後に河畔林?の竹林、見返りはセット)。 2006/4/11 ■ 徳川おんな絵巻 第32話「美しき女教師」1970-1971関テレ/東映 維新前夜の会津、官軍が迫り戦意高揚するなか、婦女子の教育に当っていた中野竹子は曲折を経て娘たちを率い戦う決心をする。はじめ主戦派に反発する竹子が、悩みつつ変わってゆくさまを描き、官軍母成峠に現る段で中ほど。 ロケ地、会津若松城天守、本物。生徒らを連れて遠足の川辺、柊野堰堤下左岸岩場。藩校・日新館門、不明(門構えのアップのみ、彦根城天秤櫓か)。足取り重く登城の家老・西郷頼母、彦根城埋木舎前内堀端。銃撃を受け倒れるのは大手橋上(竹子と行き会い天守を仰ぐシーンの直後)。白虎隊の調練が行われる城内、彦根城佐和口多聞櫓内側。官軍のイメージ映像、欄干のついた木橋や野原に道、不明。 *竹子に南田洋子、西郷頼母に中村竹弥、容保公に葉山良二。兄の威を借り主戦を唱えイニシャチブをとろうとする権高な勘違い姉ちゃんが「娘子軍」命名の運び。 ■ 座頭市物語 第2話「子守唄に咲いた女郎花」1974.10/10フジ 柿泥棒の片棒を担いで子供と道連れになる市、その子の祖父の臨終に居合わせ実父のもとに送り届けるハメになる。父は高崎の富商、欲をかいたところの親分やちんぴらが群がるが、市のドスに蹴散らされる。ちんぴらの渡世人といい仲のお女郎が、市としんみり身の上を語り合い、坊の行く末に思いを致すくだりが泣かせる。 ロケ地、太郎吉と出会う柿の木のある家、不明(萱葺、側面に竹の置き台)。高崎さしてゆく市らが遊ぶ川、落合か。先に高崎へ行きナシをつけてきた渡世人がお女郎と待ち合わせの清水神社、不明(幅の狭い石段、両部鳥居など映る)。高崎の絹問屋へ坊を送り届ける市、大覚寺蔵を門越しに。その後渡世人とお女郎と行き会い、貰った涙金を渡してやる市、流れ橋。 *親分に小松方正、胴元に今井健二、女郎に中村玉緒、渡世人に江原真二郎。 2006/4/10 ■ 銭形平次 第143話「いれずみ者」1969.1.22フジ/東映 強突ばりの金貸し殺し、彼に讒訴され島送りになった男が疑われ追われるが、ひとり平次のみ予断をもってせず、真実に行き着く。嘘まじりの話を聞く親分の、顰めた眉がきりりとかっこいい。 ロケ地、仕出屋の仙造が平次に捜査状況を尋ねる道、不明(低い塀越しに甍、立派な破風に大きな懸魚)。御用の帰りの平次が襲われる夜道、大覚寺護摩堂脇・石仏前。島帰りの由松を追い込む万七、嵐山公園中州側湛水域堀端(由松は堀に飛び込んで逃亡、設定は大川)。妹のお照とひそかに会う逃亡中の由松、大覚寺護摩堂脇(平次を見て逃げ出した由松を銭で足止めは天神島朱橋たもと)。金貸し殺し一味の浪人が欲をかいた仲間を斬る、護摩堂脇(ここでラス立ち、強面の浪人が弱っちくて笑える)。 *久々のオフにお静を手伝う親分、布団の綿入れするのに手拭マスクが可愛い。お照の保証人を引き受けた話で出る、ぱりっとした衣装一枚も持ってないお静のエピソードもなかなかの情味。 2006/4/9 ■ 遠山の金さん 第16話「燃える男の胸で泣け!!」1976.1.15NET/東映 母の薬代のため人斬り稼業に手を染めてしまう浪人の悲哀、人の生き血を吸うワルどもは、抜け荷の人参を捌いていた。 ロケ地、人参を横取りした船頭が殺される林、不明(吉田山か)。両町奉行所・船手方共同の手配で厳戒の翌朝、通報があったのと違う所で行われている抜け荷を見つけた堺同心だが斬られ逃げられてしまう南飯田町河岸、広沢池東岸。酔って荒れる戸田浪人に意見し殴り倒す金さん、吉田神社竹中稲荷舞殿脇(戸田は吉田山の石段を降りてくる)。事後、父母の墓に参る戸田の妹、黒谷墓地(背後に文殊塔)。 *戸田浪人に大出俊、さほどでない腕で暗殺をやらかすさまがなかなかに見せる。妹役は竹下景子。 ■ 松平右近事件帳 第22話「日本橋の団十郎」1982-1983日テレ/東映 芸者に身をやつし父の仇を求める女、それを助ける若党はお薦さんに化け登城のルートを見張る。健気な二人を助け動く右近、猟官運動のため甲府金山の財を私していた悪党を成敗、思いあう二人を結びつけてやる。 ロケ地、夜釣りの右近と梅吉が侍に因縁をつけられている芸者を助ける川端、広沢池東岸。右近の動きを警戒して知行地へ逃げ出すワルを追いかけ大立ち回りの鈴ヶ森、酵素ダート〜降り口〜河川敷(梟首台やお題目の碑などあしらい)。 *タイトルは日本橋たもとに出ているお薦さんが男前と女たちが群がる馬鹿な展開、団十郎と称される実は忠義の若党に荒木しげる。彼が慕い忠節を捧げる主の娘に高橋恵子。*今回右近の出現が昼間で野外という珍しいケース、立ち回りは二刀流で(刀のしまい方は通常通り)。 ■ 功名が辻 第14話「一番出世」2006.4.9NHK 同輩に妬みを受ける一豊だが、彼も功名餓鬼なのは同じ。秀吉の係累と関わることで地歩を築く千代さん、そろそろ内助の功が本格的に描かれはじめるが、夫を賢く操っているふうでないのはこのドラマの方向性か。 ■ 座頭市物語 第1話「のるかそるかの正念場」1974.10.3フジ 足尾銅山で人を出し抜き強権を振るう残忍な口入屋、彼に乗っ取られかけている一家と関わる市。看板を降ろせと期限を切られた日の前夜、市の機転で大逆転の大立ち回り。しかし市は感謝の言葉を掛けられる前に、黙って場を立ち去っていた。 ロケ地、足尾の山元一家へ行くという老渡世人と道連れになる市、山中の街道、不明(崩壊地形で侵食が激しい)。宿場はずれで市を狙撃する弥三郎のスナイパー、不明(川堤か)。 *弥三郎に津川雅彦、色悪で、市にやられる際はじたばたと悪あがき。必殺でゲストしたやられキャラとほぼ同じ。彼が懸想している山元の女主に土田早苗。 ★ロケ地発見・確認 ・銭形平次77、81、86、97話にて使用の「堀」、北野さん脇のお土居および天神川と確定。現在はお土居まわりにびっしりとフェンスが張られ、崖上の塀の向こうには萱葺きに代ってマンション建ってたりするけど、特定できるポイントは多数残存していた。確認後西陣警察の脇で「一本饂飩」を食し帰宅。 2006/4/8 ■ 花の折鶴笠 河野寿一監督作品 1962.12.1東映 「朱鞘の一本どっこ」を気取るちんぴらやくざの半次郎、なりゆきで助けた娘に純情する。 娘は盲目で、旅籠の主の誤解から殿様扱いされている半次郎を信じきっており、そんな娘にほだされた彼は身の危険を顧みず、お菊を狙う貸元一家と大立ち回り。娘は半次郎に惚れた巾着切りによって無事江戸のお店へ送り届けられるが、そこへ娘を助けた殿様と称し騙りが現れる。これもやはり看過し得ぬ男伊達、敵わぬかもしれぬ相手にかかってゆく半次郎なのだった。 ロケ地、半次郎が大根泥棒の畑、不明。お菊一行と出会う街道筋、野道や海辺不明(この部分の海はマジ海っぽい)。馬入川の渡し、琵琶湖内湖か湖畔か(葦原)。江戸へお菊を送り届けたお芳が街道へ出て半次郎を待つ松林沿いの道、琵琶湖西岸松原(近江白浜付近、風車街道に似る。橋はクリーク河口に架かるものか)。ラスト、干草の荷車に潜り込んでいる半次郎を見つけるお芳、不明(高島の鴨川扇状地か。クリークや山なみが似る)。 *冒頭では半次郎のおいたがひとしきり描かれ、いたずらっぽい橋蔵の表情が可愛い。大根泥棒や、転んで潰した蛙を村娘のほうへ投げたり、卵泥棒に農家へ侵入したりと騒がしい。なんでもひとまず懐に入れる癖が後段の伏線となるのかどうか、衣の中で割れる卵はとりあえず汚い。中段では、お芳が懐に突っ込んでいった大金入りの財布に有頂天で散財しまくるお調子者ぶりが描かれる。財布はお菊についてきた番頭がお芳に掏られたもので、そこに加賀様御用の書付が入っているもんだから、旅籠の主が半次郎を前田家家中ととんだ勘違いを仕出かす設定。このくだりでは、さんざん呑んだあと賭場へゆくと言い出す半次郎が宿の者に見送られるシーンで、股間にぶらーんと揺れる財布が傑作。ここで登場する浪人、貸元の用心棒で途中からお菊を使った悪企みを思いつく熊谷甚十郎、これが佐藤慶なのも見もの。後段は江戸、無事お菊の手術は成功するが、場末の酒肆で身分違いとしんみりの半次郎が泣かせる。お芳を相手に惚気てみせるのも見せ所。そして熊谷の企みに気付いた半次郎は鳴海屋に向かい、殿様として入り込み賊に豹変する熊谷と大立ち回りを繰り広げる。このすったもんだの騒がしいコミカルな殺陣が楽しい。半次郎が晴れて目の開いたお菊には会わず、簪を置いて黙って立ち去るのも憎い。この段では、明日包帯がとれるというお菊が、部屋に下がった折鶴モビールを触って「お殿様」半次郎の面影を見るイリュージョンが挿入されており、妄想は発展し池の釣殿から平安貴族の衣装に移行し、舞い踊る二人でホワイトアウト…どんな育ち方をしたのかお菊さん。 ■ あずみ2 Death or Love 金子修介監督作品 2005.3.12東宝 清正を殺してもまだ残っている使命、的は真田昌幸。彼を狙う刺客の道は修羅の道、誰も彼も死んでゆくなか死闘を続けるあずみ。 一騎打ちにて昌幸を仕留めるものの、戦なき世が招来されるのか判らぬまま、血河を踏んであずみは去る。 ロケ地、山中で上野甲賀衆に追い詰められ海崖から落ちるあずみとながら、不明。ながらを手当てし眠り込んだあずみの夢に去来する思い出、トレーニングの渓流は保津峡落合河口。なちや仲間と暮らした家、不明(崖に小滝の岩場)。天海に会い昌幸を討つと告げるあずみ、外観は神護寺石段、座敷は粟生光明寺方丈。こずえを道案内に九度山へ向かうあずみ、酵素ダート(茶店あしらい)。真田の兵士募集に応じる牢人たち、不明。こずえに矢を避ける間合いを伝授するながら、谷山林道切り通し(両側)。あずみを銀角のもとへ生かせてやれとさがらを説得するこずえ、谷川不明。あずみの前に現れ昌幸の出陣を知らせる金角たち、谷山林道か(林道)。あずみと別れたとこれでいいと呟くながら、背後の滝は菩提滝か。満願寺から避難した天海一行が上野甲賀衆に囲まれ危機に陥る山、白水峡。土蜘蛛との死闘を制したあずみの前に立ちはだかる空如、酵素河川敷。痺れて動けないあずみに止めを差しに来た空如の前に飛び出し、身に刃を受けつつ空如を斬る銀角、鳥居本竹林か。真田の陣に討ち入るあずみ、白水峡。 *あずみの前に現れた野盗団のなかに、なちそっくりの銀角。あずみの視線がついつい彼を追うのを見たながらは、こずえの示唆もありあずみを使命から解放し銀角と行かせようとするなど、仲間意識から恋への変化が描かれる。 ■ 銭形平次捕物控 からくり屋敷 森一生監督作品1953.1.3大映 手をかざすと足萎えが立ち目が開く生神さま、そればかりか金を供えると二両が四両になって帰ってくると大評判で、大勢が紫御殿に詰めかける。しかし信者の不審死が続き、調べに入った三輪の下っ引も八五郎も帰ってこない。乗り出す平次、怪しさ満点の紫教団の御殿で会った教祖は、一文長屋にいた幼馴染の女だった。 教祖の紫琴女は駿河大納言の忘れ形見、教団の別当で大奥のお局をコマし教祖も操る総髪の男、裏で動く浪人たちは天草党なんていう奇々怪々な道具立て、老中も籠絡されかける天下の一大事に、銭と十手で平次が向かってゆく。 ロケ地、七五三で賑わう神社、松尾大社楼門(子供相撲は門前のポーチ)。八五郎が庭から忍び入る紫御殿の回廊、清涼寺本堂裏回廊(下から見上げ、本堂側にビケあしらいで普請中を演出。後で平次が坊主と男が金でモメているのを見るのも同所)。紫御殿を手がけた棟梁に図面を見せられたあと、天草党に追われた平次が銃撃を受け落ちる橋、渡月橋。 *教祖のご落胤話は本当、これを赤井主水に利用されるのだが、お琴が話に乗ったのは江戸へ戻って平次に会いたかったから。しかし既に平次はお静を娶っており、以降信仰に生きるがこれも赤井に利用されるという悲劇。しかもお琴は赤井に平次の面差しを見出し、離れられずにいた。*「からくり」は御殿の椅子が巨大歯車でごごーっと地下へ下りたりなんかして、八五郎はこれに乗ってしまい監禁の運び。赤井とのラス立ちはこのからくりの傍で行われ、悪者が機械に挟まれ敢無い最期を遂げるお約束の展開。 ■ 銭形平次捕物控 金色の狼 森一生監督作品1953.12.1大映 旗本屋敷の焼け跡で続く不審死、以前そこに住んでいて廃絶になった大名の因縁話が出てくる。その大名は能役者上がりで伊豆の金山を掘り当てた功で出世、七万両という遺産を隠しており、在り処を記した書付をめぐり騒動が起こる。お上からも七万両の行方を追うよう沙汰が来るが、平次の行動原理はあくまで庶民の平穏を守ることであった。 ロケ地、現場周辺に影のある虚無僧を追う平次、路地不明(セットの可能性あり)。金のありかを記した書付を入手した喜助たちが向かう箱根湯本、湖南アルプス(水車小屋はセット)。 *そのままでは何の事か判らない書付の謎の歌、解いてみせるのに使う小道具が将棋の駒なのも妙味。原作は「水車の音」。 2006/4/7 ■ 銭形平次 第142話「三千両の恋」1969.1.15フジ/東映 お弓ちゃん悲恋話、踊りのお師匠さん殺害現場に来合わせた彼女は、賊の隠し金をめぐる物騒な事件に巻き込まれる。拉致しようとする賊から助けてくれた青年を憎からず思うお弓、しかし彼は当の賊の手先だった。 ロケ地、師匠の兄の土左ヱ門が上がる永代、深川木場の船宿・喜仙周辺、不明(例の「傾いだ玉垣」付近、今までにも映った建物のほか船宿入口が水際ぎりぎりに設けられているのが見える。裾に忍返しがあるのでセットでなく既存建物と思われる)。専次に誘われ散歩に出るお弓のシーン、不明(池端と思われる汀、一味の男が二人を注視する鐘楼?もある)。師匠の撥から出た金の隠し場所、お弓を人質にした賊とのラス立ち・向島若宮八幡、木島神社(平次らが潜むのは本殿内陣、賊との立ち回りは舞殿脇)。 *お弓ちゃん、専次の正体を平次に指摘されても断ち切れぬ思い、彼の死後も位牌を店に置く女心が哀切。 ■ 徳川おんな絵巻 第31話「嵐の中の女」1970-1971関テレ/東映 好きあった男とは身分違いで添えず親の勧める先へ縁付く女、しかし十日目、嫁した夫は元恋人との果し合いで頓死、夫の弟と仇討ちの旅に出ることとなる。以前から義姉を慕っていた弟が思いを滾らせるのは当然、情に押し流されてしまったそのとき「仇」の所在が知れ、三人の男との因縁に女は命を絶つしかないのだった。 ロケ地、舞台となる彦根藩の説明に彦根城天守と欅御殿、楽々荘など(ドラマの舞台に彦根城は出てこない)。宿下がりのお珠が出てくる城門、知恩院北門〜黒門道坂(喜四郎と行き会う)。お珠の夫となった遠藤喜一郎とお珠の恋人だった田崎伸太郎が果し合いの西方寺、善峯寺多宝塔脇(遊行松越しに護摩堂が映り込む)。仇討ちの旅に出るお珠と喜四郎、御油へ四里の東海道、琵琶湖西岸松原。旅の途中、無事本懐を遂げたのちの身の振り方を義姉に問う喜四郎、不明(北嵯峨農地に似た畦道)。 *お珠に三田佳子、伸太郎に高橋幸治、彼に頭を割られて頓死する夫に今井健二、義姉を慕う喜四郎に目黒祐樹。珠をめぐる三人の男で心情が細かく描かれるのは喜四郎、義姉と二人旅籠の狭い部屋に泊まらされ悶々等お決まりのアレ。珠の自刃後の経緯は描かれずエンド。この回一話完結。今井健二、伸太郎にとっては身分を鼻にかける憎たらしいヤツだけど、別段ワルいことしてないのは珍しいかも。 2006/4/6 ■ 銭形平次 第141話「金色の指」1969.1.8フジ/東映 便りのない姉を案じて江戸へ出てきた娘、その純心さは乱暴者の大工の心を動かす。彼が素直に平次を頼ったことが幸いし「姉」の死の真相が明らかになり、田舎娘を騙して地下工房で強制労働をさせていた悪者はお縄となる。 ロケ地、おきみが探し当てて額づく姉の墓、不明(設定は深川乗心寺で投げ込み寺、合祀された無縁仏が積まれた墓地と、ならず者が岡っ引を刺す石段が見える)。大工の政蔵が出入りしていた賭場がある正林寺、不明(調べて出てきた平次が小間物屋と行き会う門、塀に五本線で右手にくぐり戸)。墓地で殺しを見て逃げたあと行く当てなく橋に佇むおきみに声をかける政蔵、白川巽橋(辰巳大明神の玉垣や川端の町家が映り込む)。おきみに豊市を面通しさせたあと尾行する八、豊市が入ってゆき見失う民家?裏門、不明。平次と歩く道すがら姉のことを語るおきみ、上賀茂神社神事橋。河内屋が禁制品を投棄しようとするところを誰何する平次、不明(川端に路地と塀、川はちょっとした谷)。 *禁制品を秘密裡に製造していたワルは金田龍之介、普段の顔は上品そうだが、地下工房が見つかって踏み込まれた土壇場で爆薬に火を点じて「ざまあみろ」と高笑いするとこはちょっと阿部怪異。*タイトルは工房で疲弊し死んだ娘の指に付着していた金糸の痕跡。 ■ 徳川おんな絵巻 第30話「情事の秘密」1970-1971関テレ/東映 川越のお城の奥向きでのドロドロはなく、引きずった江戸の事情がべたべたの愛憎劇。大雅堂に託した妹を案じつつ過ごすお雪の方は、或る日江戸から届いた新着の錦絵に、春衛が描いた水茶屋女の妹を見てしまう。 ロケ地、川越のお城へ入るお雪の方、知恩院黒門(内側から俯瞰)〜黒門道坂。江戸、死んでいたのはお雪でもお波でもなく自分の腕と悲観し鴨に石を投げる春衛、広沢池観音島(お波がやって来てお茶目をやり、このあと舟遊びデート)。川越城奥御殿、腰元たちと目隠し鬼をして遊ぶお雪の方、阪口青龍苑(殿様が訪ねてきた春衛を伴いやって来る)。川越城イメージ、上田城櫓(濠越し遠景)と二条城隅櫓。ラスト、湯島天神境内の水茶屋で働くお雪、今宮神社門前茶屋・一和。 *前回見せなかった顔が出る南原宏治、お波に襲いかかるケダモノ。津川雅彦は相変わらずの色悪、ご夫婦で演じる壮絶な愛憎バトルも見もの。 2006/4/5 ■ 銭形平次 第140話「春姿一番手柄」1969.1.1フジ/東映 正月早々出た義賊は瓦版屋のネタ芝居、しかし彼らが滞在している芸人宿の主がその元義賊・ましら小僧という奇縁。彼の正体は、生き別れの娘の線から平次の知るところとなる。 ロケ地、万七の決めつけで町方にしょっ引かれる芸人たち、蝦蟇の油売りが捕まるのは今宮神社東門前(捕り方門内から)。決まって正月やってくる鳥追いのお春とデートの秀、御所厳島神社(清吉が来て「御用」→逃げられ)。芸人たちが解放されたあとお参りの平次一家、今宮神社舞殿脇に茶店あしらい。 *元ましら小僧の仁助に中村竹弥、彼に恩ある秀に「赤影さん」坂口祐二郎、火事で生き別れた父を探すお春に都はるみ(「好きになった人」を披露)。*カラー作品。 ■ 徳川おんな絵巻 第29話「浮世絵の女」1970-1971関テレ/東映 川越の殿様に見初められ側室となったお雪の方がお国入りの道中を前後に置き、回想の形で「駒形屋お雪」の転変を描く。お雪につくヒモ、彼女をモデルに使う絵師、きちんと躾けていいところへ嫁にやろうとしている妹などが登場し、浮世絵で人気の婀娜っぽい美女の可愛らしい内実が描き出される。 ロケ地、川越城、上田城櫓(冒頭映し出される現代の川越に本物の川越城本丸御殿)。お雪の方の駕籠が川越指してゆく道、北嵯峨農地・陵前。お雪の水茶屋・駒形屋のシーン直前挿まれるのは浅草寺か(宝蔵門?)。春衛の世話を焼いて女房気取りと怒らせ、しょんぼり佇むお雪を見初める松平直恒、大覚寺大沢池堤(お雪が佇むのは水門脇の池辺、殿様は遠乗りの途中で、その前に馬をやっていた道は北嵯峨農地)。殿様から来た話をお雪に告げる版元と春衛、シーン直前に挿まれた水景は中ノ島橋上手堰堤の落水(橋映らず)、これが外に見える座敷という趣向(怒ったお雪が窓外に放ったお銚子がじゃっぽんと水音を立てる)。 *お雪に朝丘雪路、三味と小唄が必見。絵師・歌川春衛に津川雅彦、芸術第一の鬼畜ぶりが絶品。版元・大雅堂に南原宏治、別段の性格設定はなく普通に話しているのに目が怖い。 2006/4/4 ■ 銭形平次 第139話「無宿者狩り」1968.12.25フジ/東映 オランダ使節入府を控え治安強化の下達、万七などは片っ端からしょっ引いて大得意だが、人情家の平次に同じ真似ができる筈もなく、一応連行した島帰りの伊之吉にも温情を見せる。そんななか出る賊、目すりかと悩む平次だが、信じた心は通じていた。 ロケ地、町奉行所、大覚寺大門。無宿人狩りの一情景、橋の上の捕物、中ノ島橋。伊之吉の女房から聞きだした屋台へ行ってみると殺し、そのとき鳴る鐘のイメージ、本法寺鐘楼越しに多宝塔。分け前の相談をぶつ盗賊と火の番、木島神社舞殿脇。仲間割れするところへ平次の銭、本殿前(平次が現れるのは元糺ノ池鳥居前から)。 *平次が情けをかけた島帰りの左官・伊之吉に寺田農、強面はナシ。 ■ 徳川おんな絵巻 第28話「恋を追う女」1970-1971関テレ/東映 あちこちで人に助けられながら市郎太を探し求めるおたね、緒方洪庵の適々塾で再会を果たすが、語学力不足から南の入門は足踏み。彼を励まし学問を続けさせるおたね、洪庵が南を見直すきっかけも盲腸を発症して作ったり。 ロケ地、入門を断られおたねの長屋に帰って来た南が、外で遊ぶ子らの「あかんたれ」という言葉に反応して見る裏の川、不明(巨椋池幹線水路か有栖川下流部か、汚濁が激しい)。 2006/4/3 ■ 銭形平次 第138話「女の賭け」1968.12.18フジ/東映 三年半別れての暮らしは、恋人たちの間に越えられぬ溝をつくる。男との再会に揺れた女は夫を害し、女の行為を知った男は我が身に罪を引き受けようとするが、結局は悲しい終の別れが待っているのだった。 ロケ地、大番屋送りの芳三の身柄を奪おうとしたならず者を泳がせ尾行する八、神光院西門〜本堂脇・蔵前(男の消えた先からおとせ、蔵脇から彫師が出て女を脅す。八はこれを本堂前の橋上から見ている)。大番屋、大覚寺明智門。芳三の裁きが迫り、おとせに質しにゆく平次、墓参の帰りのおとせを呼び止めるのは神光院中興堂前。平次の指摘に遂に崩れるおとせ、蓬月庵前。裁きを待つ牢内の芳三が回想するおとせとの日々、デートの追っかけっこは大覚寺天神島(池畔、碑、祠)。京へ発つ芳三を見送る平次、不明(松林沿う地道、堤か)。 *おとせを落としたあと裁きの場へ引き出される寸前の芳三のもとへ伴う親分、この先二度と触れ合えぬ定めを思いやり二人にしてやる。結果おとせの自害で平次の失点となるが、樋口同心の「よく不覚をとってやってくれた」が泣かせる。*ワキ、彫師の伝法三千雄や番太の小峰一男(現・小峰隆司)が渋い。 ■ 徳川おんな絵巻 第27話「花嫁学校」1970-1971関テレ/東映 舞台は九州・小倉、天保年間。城下の薬種問屋の娘・おたねと学問所の藩士・南市郎太は、言い交わした仲ではないがほとんど親も承知の二人。蘭学を志す南だが、藩侯が嫌うため儘ならず煩悶。そんななか、お転婆のおたねが南を思って仕出かす数々の無茶が、南を脱藩させるきっかけを作る。 ロケ地、小倉城、本物。小倉藩学問所・思永館の門、知恩院黒門。おたねがらみで南を訴えた者ありと聞き学問所を飛び出してゆく南、黒門道坂。学問所内部の描写は萬福寺(大雄宝殿、回廊、天王殿前、法堂ほか境内各所)。脱藩し江戸への道を辿る南、不明(川堤か)。 *おたねに上月晃、南に中尾彬。おたねの父も学問所の教授も若い二人をひそかに支援し逃がしてくれるが、紹介した先は高野長英で蛮社の獄始まってたり。 2006/4/2 ■ 遠山の金さん 第15話「哭くな南蛮鳥!!」1976.1.8NET/東映 娘南蛮手妻の太夫は、キリシタンの疑いで獄死した長崎の骨董商の娘。欲をかいたワルに冤罪でハメられ非業の死を遂げた二親の仇を江戸で討つ。 ロケ地、骨董商・平戸屋番頭の熊吉が射殺される川べり、上賀茂神社ならの小川畔。 *太夫をサポートする大工の留吉に浜田寅彦、キリシタンで、死を前に金さんに懺悔。熊吉を射殺する鏃が氷柱という変わった手口。 ■ 松平右近事件帳 第21話「消えた花火職人」1982-1983日テレ/東映 帰らぬ亭主を探し江戸に出てきた女、彼女は目を患っており右近が保護し手術。しかし晴れて目の開いた日、散歩に出た彼女は高札に掲げられた亭主の人相書を見てしまう。 ロケ地、高札を見たおあきが沈み佇む水辺、広沢池東岸。 *亭主は花火職だが勤め先をしくじり賊の仲間に。その賊は公儀役人とつるみ御金蔵を狙わんとしていた。頭目・追分の久蔵に汐路章。ラス立ち福ちゃん入り、表御番頭の家士。花火職の亭主は森次晃嗣。 ■ 座頭市物語 第23話「心中あいや節」1974-1975勝プロ/フジ 庄屋の息子が懸想した瞽女は、庄屋の差し金ではなれ瞽女に。息子は強制的に嫁をとらされ子もなすが、愛した女を忘れ得ず死をもって逃避する。 ロケ地、雪嶺、雪に埋もれた里、朽ちかけた木橋、荒波寄せる浜、全て不明。クレジットには芦原温泉と記されている。 *瞽女に浅丘ルリ子、その妹に吉沢京子、庄屋に加藤嘉、息子に松平健、庄屋が放った刺客に石橋蓮司。じょんがらや謡はもちろん見事、あと音ではレンジの噛む豆の音が印象的。勝新太郎監督作品。 ■ 新・座頭市物語1 第13話「母の涙に市が走った」1976勝プロ/フジ 口喧しいものの優しい武家の老女と道連れになる市、彼女の息子は藩随一の遣い手なるも才を発揮する機会を得られず、人斬り稼業に身を落としていた。 ロケ地、田畔や野道、不明。賞金稼ぎのちんぴらにハメられた兄とともに野寺に隠れる旅籠の下女、丹波国分寺(門越しに本堂を望む図や、石仏越しに境内を見て立ち回りなど。地面に色づいた銀杏の葉が散り敷く)。 *老女に北林谷栄、息子に松平健。ハメられ賞金首になってしまう男は中条きよし。*老女のため息子の「狼」部分を斬り捨てる市が泣かせる。 ■ 功名が辻 第13話「小谷落城」2006.4.2NHK 黒塗りの箱を開けると金の盃、その下の紫の布をとると…ギャーな名札つき×三個。個室で長政の髑髏に告白もなかなか気味悪し。しかし機密あっさりゲロったり、千代がちっとも賢夫人に見えないのはどうしたものか。 2006/4/1 ■ 消えた小判屋敷 天野信監督作品 1958.8.19大映京都 京は綾小路の両替商・大黒屋は、大恩ある三ヶ月藩の参勤交代費用・一万二千両を工面し、勘定奉行らとともに御用金を運び西国街道をゆく。途中宿泊した吹田村の庄屋・黒田孫右衛門宅ではたいそうなもてなし、しかし翌朝御用金は蔵ごと忽然と消えていた。 パニックに陥る大黒屋、この手で錠をさした蔵はほんとうに建物ごと無く、彼は道に迷って夕べ一人で来たのだと家人は口を揃える。そんなはずはと宴の折藩士が剣舞で損じた床柱を見ると傷ひとつ無く、座興の席画と出され名前を書いた屏風にも痕跡なし、果ては酔ってつまづき壊した置物も割れていない。いよいよ気触れと扱われてしまう大黒屋、そこへ一行と別れて石清水の護符を受けに行った息子・清十郎がやってくる。後段は清十郎により謎が解かれてゆく過程を描き、騙りの賊との大立ち回りもたっぷり。 ロケ地、街道で悪たれガキに打たれている大黒屋を助ける天満の目明し・三次、不明(山際の竹林沿いの地道)。御用金を運ぶ一行が高槻藩士の改めを受ける街道、不明(川堤か)。勘定奉行が清十郎に石清水八幡宮を指し護符を貰ってくるよう指示する松林の街道、不明(先触れが帰ってきてこの先の橋が落ちていると告げる)。迂回し予定より遅れた一行が辿り着く吹田村の庄屋・黒田孫右衛門邸、民家長屋門。黒田邸周辺の描写、田畔の道や塀際、孫右衛門の後妻・お若が編笠の侍とツナギをとる神社(愛宕社か)、ラスト出立の街道(国分寺付近か)など、思い当たる節はあるものの同定の決め手なく不明。 *清十郎に梅若正二、大黒屋に香川良介、実は本物孫右衛門の娘のおひなに美川純子、色っぽい後妻に毛利郁子。天満の岡っ引と下っ引は中田ダイマルラケットのコンビ。*清十郎は大黒屋の倅だが、剣の腕を買われ三ヶ月藩に仕官、御用金運搬が初仕事という設定。梅若正二氏はこの頃赤胴鈴之助シリーズ出演中。*民家長屋門を使った蔵の消える屋敷のからくりは、当主が双子でそっくり同じ家が建てられていたという奇譚。片方が蔵で縊死しており、不吉と取り壊されていたのだった。もちろんロケは同じ屋敷の門、アングルを変えてうまい演出がなされている。犯人は三ヶ月藩を横領の咎で追われた侍、村ごと脅していた大ワル。 ■ 風流使者 天下無双の剣 松田定次監督作品 1959.5.5東映 仙台黄門と称し天下を周遊、不満分子を糾合するほか外様の雄藩と御三家の間を周旋し、世に騒擾を齎さんとはかる怪物・藤木道満。これに対するは本多豊後守の弟・左近、横紙破りの「気まぐれ左近」は白頭巾に身を包み神出鬼没、曲折の果て道満の企みを打ち破る。 道満の陰謀で左近を仇と狙う男女や、面白がってトラブルの匂いを嗅ぎ回る泥棒など出て賑やかにお話が進行、最後は道満に成敗されかかってる弟子のところへ仇討ち乱入・次いで白頭巾介入と、三様の戦いが集中する大立ち回り。道満処断のあと、水野老中からお墨付きを託された白頭巾は、水戸に次いで尾張へ「風流使者」に立つ。 ロケ地、水戸街道をゆく道満一行、不明(松林の地道)。次郎吉を追いかけたお悦が人違いの街道、不明(山際に神社)。その頃道端で煙管をくゆらし道満が来るのを見ている次郎吉、木津堤か(馬子の財布掏って元に戻す)。江戸に戻った左近が竹千代の三味を聞きつつ居眠りの座敷、不明(窓外に広い池と橋)。斐を連れて井上傳兵衛道場へ赴く左近、御所長屋門(立会いは斐姫、左近は見所に座る)。道満江戸入りを知らせる早馬が駆け入る水野老中邸、仁和寺本坊表門。道満が入る戸田流江戸仮道場、不明(二層の仁王門、両翼は塀、前に築地が唐突に出ている)。道満の弟子・又四郎が暇乞いを申し出成敗されかかるのを注進の次郎吉、不明(大寺の門か)。左近の屋敷から虎之助と佳永を道満のところへ案内する次郎吉、不明(馬の前を走る)。 *左近に御大・市川右太衛門、道満は月形龍之介。道満の弟子で秘剣習得を志す剣士・又四郎に若山富三郎で「格さん」。左近を師匠の仇と誤認する島田虎之助に大友柳太朗。次郎吉に大川橋蔵。 ■ 八百八町夢日記スペシャル「おりん無惨!今蘇る関が原の戦い」1990.10.2NTV/東映 関ヶ原ののち八丈に流された宇喜多秀家、彼の死後も一族は帰還を許されず島に九代を数える。その恨みと、せめて墓を建てたいという望みを利用するワルあり、流人から金を掠めるにとどまらず彼らに罪を着せ将軍暗殺をはかるというトンデモ。巨大な陰謀を阻止するため動く夢之介たち、しかし大奥に潜入したおりんが正体を見破られ御広敷伊賀者に刺されてしまう。 ロケ地、札差を襲った賊が逃げる際行き合わせた油屋の青年が転落する橋、中ノ島橋(後段、綾乃が飛び込んで助けたシーンが出てくる)。浪人を集めているという光照寺へ赴く夢之介、金戒光明寺善教院(坂と門)。菩提寺・知泉院へ参詣のお光の方、金戒光明寺方丈唐門(イメージ)。寺社奉行に呼び出された榊原の駕籠がゆく道で浪人の襲撃+銃撃、大覚寺大沢池北岸(天神島の北、駕籠の中は福助人形)。御広敷番が潜むのは護摩堂脇。ちゃんと榊原が乗って入ってゆく寺社奉行邸、大門。夢之介に宇喜多のことを告白する綾乃、桂川松尾橋上手中州流れ込み際。ワルどもが将軍暗殺を計画して催す歌くらべが行われる吹上の庭、枳殻邸(池畔の芝地に幔幕めぐらせ、女たちが渡る橋に侵雪橋や回棹楼など)。大奥の井戸と通じている光照寺の井戸、下鴨神社糺の森池跡。ここへ単騎駆けてくる榊原は馬場を走り抜ける。おりんの墓に参る夢之介と次郎吉、黒谷墓地。帰りの二人、鎧掛けの松の前〜石段。 *黒幕は御側室のお光の方と寺社奉行。お光の方は世継の件で上様に害意を持ち、奉行のほうは欲がらみ。お光の方御寵愛の白猫・小雪ちゃんにも着目(平吉が天井裏で立てた物音に耳ピクで反応。豪華お布団から出てる耳がタオルくさいぞ)。浪人団のリーダー格で福ちゃん、台詞もけっこう長いのがあって、いちいち体を捻るアクション付き。*寺の井戸は大奥と通じていて、掘ったのは由比正雪という設定←彼が起居していた寺がここという因縁。 |
2006/3←●→2006/5 |
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