2007年5月 |
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2007/5/31 ■ 銭形平次 第430話「片袖の女」1974.7.31フジ/東映 噂の夜鷹を見に行った男が刺され、残された手がかりを持ち奔走する平次たち。捜査の過程で哀しい男女と出会い、謎の女は宙に浮き毒婦が立ち現れる。 ロケ地、噂の女を見に行った吉次が刺される御茶ノ水の池端、御室霊場放生池石橋たもと。「吉次を刺した女」の遺留品の片袖の大元の出所・旗本三千石の本多家(飯田町)、相国寺方丈前白州。平次が控えるのは唐門際、樋口さまが奥方を待つのは方丈階際、奥方らが出てくるのは方丈前縁。本多家の奥方から衣を下賜された元女中のお国を訪ね、外で話を聞く平次、大覚寺放生池堤。謎の女の瓦版を売っていた男を締め上げる平次、大覚寺参道石橋。 *吉次の女房・おりょうは三島ゆり子、亭主の亡骸に取り縋って泣くさまからもう怪しい、定番の悪女。お国は磯辺洋子、彼女と暮らす胸を病んだ本多の殿様は「赤影さん」坂口徹。二人を庇う大家に村田正雄。二人の愛は権高な奥方により凄惨な結末。*今回はうまく平次に使われて捜査に精出す万七親分、でも相変わらず泣きぼくろの女萌えとかやってて、萌え度の高さは怒りにつながり三島ゆり子締め上げ。*深更出張る親分の着替えシーンに、珍しい褌一丁の姿が・いや別に萌えではないが。 2007/5/30 ■ 銭形平次 第429話「朱い吹矢」1974.7.24フジ/東映 窃盗で島送りとなり赦されて帰った男は、身に覚えのない罪を晴らそうと駆けずり回る。出てきたのは凶賊の影、しかも彼をさした張本人は恋人、頭に血ののぼった男は出刃を呑んで女の家に駆け込むが、親分に愛するが故の行為と聞かされる。 ロケ地、神田相生町のおとよの家を訪ねた巳之吉が外で話す川端、宇治公園左岸河川敷。三年前求婚は断ったはずと駆け去ったおとよが親方に叱られている角兵衛獅子を見るのは堰堤脇、彼女が割って入るのを見ている平次は左岸堤。平次に髑髏組の引き込みが落としていった紙入れを見せられた巳之吉がおとよを問い詰めるのは中州(おとよが去ったあと一味に囲まれ襲われる)。捕物のあと、おとよと巳之吉に別れをさせてやる段も中州、見やる平次と八は「塔ノ川」と書かれた橋の上。このほかにも中州に架かる橋が映り込む。設定はおとよの家の近く、神田相生町からほど近い神田川和泉橋設定か。 *おとよは鳥居恵子、巳之吉は林ゆたか。髑髏組首領は美川陽一郎、凶賊より病でげほがほの親父のほうがよく似合っている。手下は小田部通麿、小峰一男、森章二など強面揃い。 2007/5/29 ■ 銭形平次 第428話「おふくろの嘘」1974.7.17フジ/東映 煙草売りの婆さんの息子が仕出かす盗みは恩人のため、盗った仏像には阿片が仕込まれており、悪辣な抜け荷一味検挙のきっかけとなる。 ロケ地、抜け荷一味のお京が平次を誘い込み暗殺を企てるくだり、不明(お京がお参りの神社〜神社本殿脇〜茂みを抜けて広場・四柱の真ん中に卒塔婆?が立つ。開き直り毒づくお京の背後に用途不明の小屋)。急に阿漕な商いをはじめた煙草売りのお峰を追及する平次、木島神社本殿前。奉行所門前で倅の判決を待つお峰、大覚寺大門。 *お峰は荒木道子、倅の新吉は田村勝彦。抜け荷一味の骨董屋は田口計、かしらは小松方正。 ■ 八州廻り桑山十兵衛 捕物控ぶらり旅 第4話 2007.5.29テレ朝/東映 主家の金を持ち逃げした青年は主街道を避け大がかりな回り道、彼の闖入は頼ろうとした安房の網元と周囲にとんだ災禍をもたらす。 ロケ地、十兵衛が娘とお参りの神社、吉田神社竹中稲荷本殿。十兵衛一行がゆく下総の街道、山室堤(持ち逃げの忠吉を内々に追う岡っ引とばったり会い話を聞く茶店を堤にあしらい)。忠吉が勝浦へ向かうルート、犢橋(こてはし)から上総一宮のくだりは大覚寺大沢池北辺水路際(駕籠)〜山室畦道(映像は忠吉一人、直後に地図被り「東金」、ここまでは東金街道)〜日本海海浜(地図は大網、本能、茂原を経て一宮川を渡り一宮。忠吉が一人ゆく海岸は一宮海岸設定か)。干鰯並ぶ勝浦の浜、日本海海浜に合成か。須崎屋、宝厳院通用門。忠吉の死体が見つかる川、保津峡落合河口(流れのみ映し崖や保津峡は入らず・小河川しかない勝浦の地形を反映か)。忠吉殺しの疑いで捕えられていた津国屋が破牢し須崎屋を刺してしまう浜、琵琶湖・舞子浜(当地を去る一行も同所)。 *親切心から忠吉を泊め、金を盗られると思い込み猛る彼を殺めてしまう夫婦は中島ひろ子と宮川一朗太、子に着せてやりたくて忠吉の衣を仕立て直してバレる運び、その哀れに十兵衛は「見逃し」。忠吉が古着屋で贖めた「三筋だての結城縞」はなかなか印象的。お大尽の津国屋は石田太郎、成り代わろうとする野心家の須崎屋は片桐竜次。津国屋に女房を奪られた当地の道案内は三浦浩一、充分に描ききれておらず勿体無い。白札屋に内々の調査を頼まれる岡っ引は峰蘭太郎。*忠吉が勝浦へ向かうルートの設定は画面から追ったが、駕籠舁きが犢橋から一宮まで送ったと言っているので厳密には設定されていないイメージとも思われる。*健気な八重ちゃん、出かける父上に形代の姉様人形を渡す…目がしもげているのでつい「それに世を震撼させる秘密が」とか思うのはおりんの見過ぎ。 2007/5/28 ■ 銭形平次 第427話「きつね女」1974.7.10フジ/東映 狐憑きの後家がトランス状態で夫を刺す事件が出来、なんとか助かり回復に向かうところで怪死し庭には狐の足跡、しかしもちろん親分は一切の怪異を信じない。狐憑きそのものがハナっから怪しいほか、見え透いた登場人物が配されるが、糸を手繰ってゆく面白さで引っ張ってゆく。 ロケ地、恵比寿屋の後家が憑かれた稲荷、吉田神社竹中稲荷本殿(後段、女中に話を聞くのも同所、雇われ浪人が降りてくるのは三高碑への石段、逃げた女中が殺されるのは本殿裏手摂社群)。恵比寿屋の検分を終えて帰りの平次と八が話しながらゆく道、宇治川左岸堤(背景に平等院の甍映り込み)。釣りの御家人・小波を見かけ降りてゆくのは派流側の宇治川左岸河川敷(堰堤下)。平次のブラフに引っ掛かった後家が出向く川端の諦念寺、不明(眠狂円月殺法2話や仕舞8話と同じ、狭間が向き合う門)。裏口から出て川端をゆく後家、宇治公園中州(堰堤脇)。入る船宿は中州に草戸をセットして派流を借景(入ってくる後家を内側から見るアングル、船宿は撮影所セットに切り替わり)。後家と会っていた手代が観念して黒幕の名を吐きかけたのを口封じした編笠の武士を追う平次、雇われ浪人が出て大立ち回りは宇治公園中州。 *後家は白木万理、殊勝な顔もトランス時も色悪に裏切られ放心した表情も良し、さすがの巧者。つぅかもうこの時点で主水の嫁で定着してるし。狐に脅える田舎くさい番頭は梅津栄、生臭祈祷師は富田仲次郎、御家人は春日俊二、手代は石山律雄、雇われ浪人は阿波地大輔・白川浩二郎・宍戸大全。 ■ 水戸黄門37 第8話「嘘泣き父子の二人旅」2007.5.28TBS/C.A.L 舞台は秋田・久保田城下、哀れを装い善男善女から涙金を毟る「父子」には血縁はなく道連れ。子のない夫婦に望まれ養子話が出たり、「親父」はヤバいヤマに足突っ込んだりで切れかけた縁は雨降って地固まる。 ロケ地、老公一行と騙り親子の出会いの鎮守(秋田音頭の練習場)、鳥居本八幡宮(練習等は鳥居下、坊を引き取ってきた一行が談義の際は舞殿も)。 *「父」はうじきつよし、「子」は篠田拓馬(くりくりイガグリ坊主)。彼らを構うきりたんぽ屋の女将は大場久美子、子を貰いたがる大黒屋夫婦(上納金拒否で狙われ)は堀内正美と三浦リカ、悪徳商人は黒部進でグルのヤクザは草薙良一、ラス立ちに福ちゃんチラリ。巧者を揃えていてけっこう面白い筋立てなのにテンポ悪くもったいない。「父子」出会いの砂の器ふう場面のセットもちょっとちゃちいぞ。絵燈籠の一つ、たかじん似の異人描いてあるの大笑い。 2007/5/27 ■ 武士道無残 森川英太朗監督作品 1960.11.30松竹 「何事も仕来り通り」の武家社会の掟、加えて古今変わらぬ支配階級の自儘に振り回される「下級」武士の悲劇を描く。 若君の逝去に伴い殉死者が選ばれるが、はじめに名指しされた若者は逃亡を企て斬られ、お家断絶の憂き目を見るのが前振り。この不祥事が幕府に聞こえてはと急いで次が選ばれ、指名された青年とその兄、青年を母代わりに育てた嫂の苦悩がはじまる。 青年を蕾のまま散らすに忍びぬ嫂は己の体を与え餞とするが、青年が覚悟して切腹の座についたそのとき、幕府から追い腹罷りならんとのお達し。全てが狂ってしまった一家の上に、ひょんなことで腹を切られては困る家老の思惑で青年の抹殺指令も降りかかってくる。 ロケ地 ・殉死を厭い逃げた吉村家の次男が追っ手に斬られる「砂丘」、鳥取大砂丘か。 ・OPに被るお城イメージ、二条城北大手門と彦根城石垣と天守。 ・殉死を厭い逃げた青年のことを今時の若者はと噂する「声」に被る若侍たちの修練シーン(馬上から的に手槍打ち込み)、下鴨神社馬場か。 ・兄・榊原信幸に殉死の役目を言い渡された伊織が家を飛び出し立ち尽くすのを見て泣く下男、広場の奥に林、不明。 ・兄に伴われ城内の持仏堂へ参籠に赴く伊織、彦根城天秤櫓下〜天秤櫓。 ・参籠中の伊織を見舞った友人らが、本来追い腹切るべき重臣の子弟を見て憤激する城下の原っぱ、不明(伊織が立ち尽くしていたのと同所)。 ・一日の自由を許され城を下がってきた伊織が馬を責める道、川堤か。父母の墓がある荒井村の屋敷、不明(この民家に酷似)。 ・嫂・お幸と父母の墓に詣でる伊織、墓は不明(五輪塔)。帰り道の二人、三重塔の傍を通り湖を遠望する高台、安土城跡内のハ見寺(「西の湖」の見え方について現状未確認)。手をつなぎ寺を出てくる二人のくだりで仁王門をくぐり、その後丘陵(不明)を経て伊織が馬を駆けさせていた堤へ。 ・自分は死ぬがこの山河は在り続けると語り、己の生きた証はどこにもないと歎ずる伊織、琵琶湖西岸汀。その夜伊織に体を与えるお幸、西岸松原。 ・切腹の座につく伊織、セットか(作法通りの挙措、短刀を手にするも嫂との情事がフラッシュバックし逡巡、長い尺)。 ・殉死が中止となったあと城を下がる兄弟、彦根城石垣際〜天秤櫓(兄は家老に呼ばれ、伊織は寺に監禁と指令)。 ・伊織出奔を聞き荒井村へ走るお幸、屋敷とハ見寺石段。 ・伊織に死んでくれと言い刺すお幸、やって来た兄が伊織を斬り捨てる松原、琵琶湖西岸。 ・ラストシーンに被るお城イメージ、二条城隅櫓と彦根城天守。 キャスト 榊原伊織/山下洵一郎 榊原信幸/森美樹 お幸/高千穂ひづる 家老/渡辺文雄 2007/5/26 ■ 遠山の金さん 第72話「罠にすがった女」1977.2.24NET/東映 火盗与力の色欲のため操られる恋人たち、もちろん桜吹雪が危機を救うのだが、二人の「傷」も強弁して救済。 ロケ地、火盗改与力・工藤が両国の福島屋から帰る道、大覚寺放生池堤〜護摩堂前(縁下に寄場を脱走してきた平四郎が隠れて見ている)。金さんが平四郎の名で福島屋の若後家・お直を呼び出す稲荷堂、大覚寺五社明神舞殿に扉あしらい。お直の回想、嫁入り前平四郎と最後に話した水辺、広沢池東岸。 *平四郎は高橋長英、お直は鮎川いずみ。火盗改与力は入川保則、配下の岡っ引は西沢利明。 ■ 必殺仕事人 III 第38話「淋しいのは主水だけじゃなかった」1983.7.1ABC/松竹 次期将軍を狙う御三卿の一・清水家のご隠居は、活動資金を陰富で調達。手先に使った越後屋が女房に逃げられ、秘事を知る者としてその女に魔手が伸びる。復縁したばかりの前夫を殺したことにされ女は刑死、その恨みは主水たちが晴らすが、御三卿の隠居を殺ってはタダでは済まない。 ロケ地、清水家の庭、不明(永観堂の溢水口に似る。セットの可能性あり)。店に現れた母を追い共に暮らそうと言うおひさ、広沢池観音島。おすみの処刑、酵素河川敷。江戸城、姫路城天守。別れのツナギ、大覚寺天神島。江戸を去る仕事人たち、大荷物を持った加代がゆく野道、北嵯峨農地・畦道。秀がゆく街道、不明(堤)〜桂川松尾橋上手右岸汀。勇次がゆく街道、北嵯峨竹林〜広沢池(船上)。 *おすみは二宮さよ子、陰富を牛耳る越後屋は高野真二、清水の用人は草薙幸二郎、グルの吟味与力は浜田晃。 2007/5/25 ■ 銭形平次 第426話「五本目の入墨」1974.7.3フジ/東映 若い掏摸と薄幸の女の恋、二人を見守る元掏摸の老爺。若者は闇の金貸しの財布を掏ったことで悪党同士の争いに巻き込まれるが、老爺の献身で虎口を脱する。 ロケ地、軍鶏鍋屋で財布を掏られた吉田屋の手代が死体で見つかる川端、罧原堤下汀。葬儀に来て小判を渡した栄次を追ったお関、返すと押し問答の祠脇、大覚寺天神島。縊死した父・作次の墓に参るお関、永観堂墓地(自害を止める栄次→求婚し上方へ行く約束/隠れて見ている常吉)。吉田屋が栄次を監禁している倉へゆく道、宇治川派流沿い酒蔵。吉田屋が掏摸の元締・助五郎を消す算段をして呼び出す瓢箪池弁天橋、永観堂放生池弁天島鳥居前(立ち回りはここ中心)。逃がしてくれた常吉が心配で見に来る栄次とお関、永観堂図書館前。 *栄次は南条竜也、お関は服部妙子。はじまりが唐突な恋だが、シメは罪を清算して再会を待つまっとうな展開。お関を見守る元掏摸は今福正雄、オカマや爺やも似合う芸達者だが今回は凄味も見せる。肝心の「仕事」で石踏んでコケるおじいちゃんなのも笑える。タイトルは彼の腕に既に刻まれた四本の墨。闇金業者は天草四郎、彼を強請る元締は北原将光。 ■ よろずや平四郎活人剣 第5話「一匹狼」2007.5.25TX/松竹 料理屋の美人女将の依頼は「説得」、危ない仕事をしている幼馴染を口説き商売替えをさせてくれと言う女将は、昔その男を好いていた。プライドの高い男の説得には手間どるが、男の雇い主が口封じにかかり事態は変わる。 ロケ地、神名邸、妙心寺隣華院。吉次の娘・おはるをあずま屋へ連れてゆく平四郎、行き道の竪川河岸は大覚寺護摩堂前(おはるを泣かす)〜天神島朱橋。吉次一家が急に越してしまい落ち込む平四郎、大覚寺放生池堤(原作では東両国へ向かう竪川河岸)。 *あずま屋女将・おこまは有森也実、吉次は遠藤憲一、阿漕な金貸しは中田浩二、おはるは野村美緒。エンケンの巧さは今更言うに及ばず、原作のイメージにもぴったり。女将もなかなかハマっているが子役も出色。*嫂や北見の意見を聞くのは付加部分だがよい肉付け。また、兄上が語る情勢に金貸し・山幸の事情を重ねる設定も良し。逆に、一張羅を着込んであずま屋へ赴く吉次のくだりは平四郎が見届けるシーンを省いてあるがこれも良し。*福本先生登場はほんの一瞬だが、早苗の亭主が連行されるくだりの緊張感を高めなかなか。*原作表記は「あづま屋」。 2007/5/24 ■ 銭形平次 第425話「女ごころの裏表」1974.6.26フジ/東映 内儀を蔑ろにして好き放題、公然と女を囲う富商が殺される。囲いものの偽証で内儀が一旦引っ張られるがすぐに釈放、万七などは「喪服の貞淑な妻」萌えで舞い上がるが、お静の分析通り、内に激しい憎悪を滾らせた夜叉がいた。 ロケ地、お駒の身請け金を強奪したやくざ者が匿われていた両替商・大隅屋寮、中山邸門。お駒の同僚に聞き込みの際出てくる岡場所の塵芥まみれのどぶも印象的(セット)。 *岡場所から落籍されたお駒は行友勝江、ふてぶてしく逞しい悪所の女を好演。染め上がってきた自分の名の店の幟をぎゅっと抱きしめるさまが哀切。大隅屋内儀は三好美智子、亭主と別れるようお駒に迫る顔が無表情に近いので余計怖い。最初に刃傷沙汰起こしかける派手な芸者はかっとなっただけで拍子抜け。平次の聞き込みに答えるお駒の同僚もいい味。大隅屋は永野達雄、実は内儀の使嗾を受けていたチンピラは滝譲二と井上茂。 2007/5/23 ■ 銭形平次 第424話「苦い水」1974.6.19フジ/東映 皆目正体の知れぬ賊の手がかりは子らの泥棒ごっこ、貧者に施しを撒く義賊はヒーロー。正体を隠し長屋に暮らす賊の首領は、気にかけた女が子供に悪影響と案じる姿を見て悩む。 ロケ地、鬼面組がツナギをとるお堂、大覚寺護摩堂。泥棒ごっこを聞き込みにゆく平次、根岸の浄閑寺は赤山禅院、お志乃の寺子屋は地蔵堂で、子らが遊ぶ情景や寺子屋周りに拝殿や御滝堂脇石段、雲母不動堂や延命地蔵など映り込む。龍三の墓、不明(丘の上の崖地?)。 *鬼面組の首領・龍三は南原宏治、奥行きの深い人物像を見事に演じる。隣人で未亡人の武家女は早瀬久美。*子らに与えた悪影響は、瀕死の龍三の望みで惨めな姿を見せつけ呪縛を解く次第で親分のお説教つき。タイトルは父を無実の罪で獄門にされた龍三が舐めてきた辛苦。 2007/5/22 ■ 銭形平次 第423話「哀しき追跡」1974.6.12フジ/東映 妹の薬代のため凶賊に身を投じてしまう傘張り浪人、事情も人となりも知ったうえで追う平次は、妹に事実を知らせぬようはからう。火盗のダンナとの機微も見もの。 ロケ地、凶行現場にあった処方箋から割れた南条浪人、彼の周囲をあたってきた八が平次と落ち合う谷中法住寺門前の茶店は今宮神社東門内側塀際にあしらい(石橋映り込み)。凶賊が隠れ潜む法師岳の籠り堂、大覚寺五社明神舞殿に建具あしらい(南条浪人が外へ出て佇む池辺は大沢池畔)。一味を追って街道をゆく平次、谷山林道か平和台公園か(切り通し)。捕縛した南条浪人とともに八が連れて帰る綾乃を見遣る平次、八らが渡る橋は平和台公園鶯橋か(狭いが深い谷、平次の背後は松林)。 *場所の設定補足/谷中の寺裏に南条の長屋/法師岳は赤城の奥の袈裟丸連峰か、代官領で用心棒稼業と鳴海が話しているのでほぼ関八州と推測される/八の「千住から先の一本道」発言からおそらく日光街道*南条は長谷川明男、妹の綾乃は市毛良枝。凶賊の浪人、リーダーは今井健二、あとの二人は五味竜太郎と玉生司郎。登場時嫌味なるもここ一番に駆けつけ加勢してくれる火盗のダンナは川合伸旺、正義感に燃えて悪を斬る役まわりなんていうのはマジ珍しい。*親分、立ち回り前にぱっと上衣を脱ぎ捨てるときりりと襷掛け、二丁十手で今井健二をビシバシ。*火盗のダンナが馬をやる物音を寝転がって聞く万七のたわごと「このところ平次も見ないな/野郎も脚気だろう」。 2007/5/21 ■ 銭形平次 第422話「密告」1974.6.5フジ/東映 グレた青年と健気に尽くす水茶屋女の情話、女の献身も心に届かぬ色悪が更生するきっかけは、あまりにも重く哀しい。 ロケ地、ワル仲間の溜まり場へのこのこ現れた直五郎を捕まえ諄々と諭す平次、赤山禅院雲母不動堂前。直五郎に岡場所へ身を沈めてくれと懇願されたお佐代が佇む不忍池畔、大覚寺放生池堤。 *直五郎は山下洵一郎、お佐代は八木孝子。市兵衛は島田正吾、長年放ったままだった息子に会いにやって来た「父」。正体はお手配中の大泥棒で、倅がお佐代にした仕打ちを贖うため彼女に訴人させ賞金を得さしめようとする←馬鹿息子は父と知らず欲をかいて己が訴人。*市兵衛の話を立ち聞いた平次は黙して去る「親心に俺の十手は向けられない」。 ■ 水戸黄門37 第7話「家族を捨てた母の愛」2007.5.21TBS/C.A.L 絵蝋燭職人の亭主と諍い家を出た女は、その死を知り戻るも息子に拒まれる。献上の品を作っていた亭主の死後に製作者が選び直されることになるが、父に力量及ばず悩む息子に、母は憎まれ役を買って出て心にもない悪態をつき奮起させるのだった。 ロケ地、家を出たあとのおきぬが仲居として働く羽州・温海の湯治場、鳥居本・愛宕参道の家並み。羽黒山五重塔、本物。妹のおはなが助さんに母への伝言を託す水辺、母を探すおはなを見かけた山室屋の番頭がおきぬの仕事場へと誘う木の根方、母がライバルになると知った和吉が自棄になり酒肆へ走る道、大覚寺天神島。お参りの和吉・おはな兄妹に悪態をつきつつアドバイスする神社、大覚寺五社明神本殿。鶴岡のお城イメージの「門」、不明。鶴岡を去りかける母に戻ってくれと駆け寄る和吉、大覚寺天神島北辺並木。 *おきぬは藤真利子、勘定奉行と通じ最上川回漕利権のため絵蝋燭に手を出す悪徳商人に伊藤高。*おきぬが家を出た「真相」が最後に語られる作り、もちろんこういうのはアリだが、立ち回り→印籠開陳をCMでぶった切るのは「水戸黄門」として如何なものか。 2007/5/20 ■ ひばり・チエミの弥次喜多道中 沢島忠監督作品 1962.1.3東映 乞食坊主に身をやつし麻薬密売組織を追う南町与力、事件に巻き込まれる宝楽座の下足番がひばりとチエミ。座をクビになった二人は路銀を渡され旅の途に、そこでも与力と悪党どもの騒動に巻き込み巻き込まれ、スラップスチック・コメディが繰り広げられる。もちろん歌と踊りがたっぷり、二人して「法界坊」の与力に惚れて舞い上がる。 ロケ地 ・お君とおとしが叩き出される南町奉行所の門、大覚寺明智門。 ・旅に出る二人、富士の見える橋は流れ橋(ワイヤーが映っていない)、橋下に渡世人姿の秋月与力と熊吉。 ・お昼を使う二人、琵琶湖畔か(岩浜か石積みか不明)。 ・持たされた財布に思わぬ小判で舞い上がった二人が踊り歩く道、不明(川堤にびっしり並木)。 ・二人を水増し酒で酔わせるいとしこいしの茶店、不明(セットか)。 ・箱根八里を馬に揺られゆく二人、不明(地道際に林、木はけっこう高木)。 ・道端でいちゃつく男女を見る道、不明。 ・恋の歌をそれぞれ違うタッチで歌う二人、西の湖畔か。 ・「法界坊」を追って早駕籠をやる二人、不明(土手/林際)。 ・片山同心が京都所司代へ走る道/捕り方を連れて戻る道、不明。 ・ラス立ちの普請場、不明。 *花嫁道中を見る川べり、反物を干してある河原等大掛かりなセットも多数。 キャスト お君/美空ひばり おとし/江利チエミ 秋月与力・法界坊/東千代之介 片山同心/千秋実 地獄の熊吉/加賀邦男 六助/堺駿二 和泉屋/山形勲 2007/5/19 ■ 遠山の金さん 第71話「女騒動!うわなり打ち」1977.2.17NET/東映 別れてすぐ若い女房を貰った亭主が許せない辰巳芸者は、公事師の提案でうわなり打ちに。しかしそのあと亭主が死んで大騒ぎ、裏には芸者のあずかり知らぬ、亭主が仕出かしたとんだ事件が隠れていた。 *ロケなしセット撮り。芸者は北川めぐみ、亭主は楠年明、父が殺された証拠をつかむため嫁いだ後妻に有吉ひとみ、公事師は砂塚英夫でお白州でも理屈を言い募る。 ■ 必殺仕事人 III 第37話「芝居見物したかったのはせんとりつ」1983.6.24ABC/松竹 名優を父に持つ青年は役者を志し若村座に入るが、母の危惧通りそこは魔窟だった。淡い恋も摘み取られ父同様に殺されてしまう青年、病の床で悲報を聞いた母は仕事人に恨みを託して果てる。 ロケ地、船で出陣の秀と順ちゃん、広沢池東岸。 *沢村菊之丞は西川鯉右、市川富三郎は藤間勘十郎、座の親方の金貸しに深江章喜、一味なるも恋の恨みで旧悪を暴露し殺される女形に梅津栄。*役者二人の仕置は舞台で、演しものは曽根崎心中、お初徳兵衛心中のクライマックスで主水と勇次が仕掛ける。 2007/5/18 ■ 銭形平次 第421話「蛤河岸に雨あがる」1974.5.29フジ/東映 恋しい男の罪を被り遠島となった女、赦されて帰るも男はお店の婿に納まっており、さらなる裏切りも知ることとなる。 ロケ地、おしのが下総屋の番頭に迫られ突き飛ばしてしまう深川・仙台堀神社、木島神社本殿。下総屋を覗くおしのを絵馬堂へ引っ張ってゆく太一、松尾大社水路脇(山吹の茂み越しに楼門が映り込む)。太一とおしののいる旅籠へやって来た平次、表へ連れ出しおしのに事情を聞くのは常寂光寺境内(眼下に山門映り込み)。店の庭へ入り込んでいたおしのを外へ連れ出し「言い訳」のすえ東金の知人のもとへ隠れるよう指示する長次郎、松尾大社本殿脇摂社前。蛤河岸付近の木場で働く太一に経緯を聞く平次、「材木置場」。東金さして街道をゆくおしの、歩き疲れ休む木陰(千葉街道・市川手前)、桂川松尾橋下手右岸堤。ならず者に殺されかかる河原は堤下か。 *おしのは江夏夕子、全てを知ったあと長次郎をきっと睨み唇を噛む顔が印象的。共に島から帰った太一に工藤堅太郎、己の思いは殺しあくまで長次郎と添わせてやろうとする大度が泣かせる。おしのに言い寄る番頭は牧冬吉、主にプレッシャーかけてたりと裏の顔も持ち、結局欲がらみで因果応報。長次郎は清川新吾、身勝手な優男を好演。*タイトルの蛤河岸は太一が傷心のおしのに晴れ着を与えた酒肆のある河岸、長次郎をきっぱり諦めたおしのが太一会いに来てラストを締める場所でもあり、二人を見届けた親分の帰り道に「雨あがる」。*万七珍しくお手柄、番頭殺しの真犯人を検挙・平次の邪魔はせず。 ■ よろずや平四郎活人剣 第4話「亡霊」2007.5.18TX/松竹 久々に舞い込んだ仕事はけっこう難物、大昔に起因する盗っ人の揉め事。裏の世界のトラブルを仲裁する古狸と渡り合ったり、依頼者宅を強襲する大人数と死闘を繰り広げたりで明石と北見の手も借りる。 ロケ地、嘉助に伴われ実家へ行く道、金戒光明寺東坂下石垣際(困ったことがあれば「安くしてやる」発言で嘉助を泣かせる)。神名邸、妙心寺隣華院(義姉に呼び出され)。神名邸を窺う奥田伝之丞がゆく道、妙心寺東海庵前路地〜隣華院(門内側から・門前に福ちゃんチラリ)。神名邸を出てくる平四郎、隣華院式台玄関脇〜東海庵前路地。「古狸」桝六宅はセット。 *依頼者の臼杵屋は金田明夫、桝六は石橋蓮司、ともに持ち味を発揮。*仲間三人と襲撃を迎えうつ大立ち回りには尺をとり「見せる」。*福ちゃん存在感たっぷり、遠目にも姿勢の良さで一発で判る。*義姉上の援助を痩せ我慢で断る平四郎が大笑いなほか、客来て慌てて押入れに布団突っ込み・後で頭から降ってくるのもあり、臼杵屋がボロ畳見て閉口なんかもあり小汚さもちゃんと出ている。*「速報」テロップはED「猫」のあたりにちょっとだけ。 2007/5/17 ■ 銭形平次 第420話「浪花男の江戸の夢」1974.5.22フジ/東映 上方者の屋台の親爺が、贔屓にしてくれたご浪人とその娘のため命を張ろうとする情話。事件は浪人が切腹を装い殺されたうえ、長屋立ち退きの金を着服したことにされるもので、新橋架橋による繁栄を当て込んだ悪党が暗躍。 ロケ地、塩見浪人の墓、不明。その娘が長屋衆に責められ思い詰めて入水未遂の橋、中ノ島橋。 *けつねうどんの屋台を牽く親爺に芦屋雁之助、賞金首の大盗と似ていることからその金目当てに名乗り出る。小雁は黒幕の藩の中間。大盗を長年追っていた大坂の岡っ引は茶川一郎、瓦版売りに化けている。一味の芸者は三島ゆり子。 2007/5/16 ■ 銭形平次 第419話「寄場帰りの詩」1974.5.15フジ/東映 善悪ないまぜの人物を描き、それに絡む群像を情感たっぷりに見せる話。侍のごり押しにも屈せず身内を庇う侠気を持った、寄場帰りの入墨者を親身に世話する口入屋は平次をも感心させるが、彼には已む無き経緯で仕出かした「過去」があった。 ロケ地、ならず者の平十と弥市がやって来る道、赤山禅院参道(山門内側映り込み)。池辺に佇むお澄を見つけ殺そうとするのは参道左手の疎林と池(朽ちかけた小屋あり)。平次が踏み込む賭場、伏見の酒蔵(イメージカット、大倉浜か松本酒造か特定できず←窓の形が?)。山谷墓地裏にある平十らのヤサで彼らが殺されているのを発見し、そこから逃げた男を追う平次、赤山禅院御滝堂脇石段〜本殿前(喜久三が隠れているのは延命地蔵)。 *山崎屋は岡田英次、この人だからあとで悪人面出てくると思ってるとその通り。しかし単なる悪党ではない深さがこのお話のメインテーマで、ラストの平次の述懐につながる。彼に証文を捲いて貰った元飯盛女・お澄は加茂さくら、命を投げ出して恩を返そうとするいじらしさが哀れ。喜久三は二瓶秀雄、山崎屋に恩義を感じ罪を着ようとする。*万七主従、情報提供で平次から飯タカり。*山崎屋は日本橋穀町にあり、お澄はそこからの帰り殺し屋に襲われる設定。*山崎屋が身の上を語るくだりで出る「逃散」のターム、「とうさん」と発音されていたのに引っ掛かったが広辞苑では可の模様、お芝居等ではそう訓む事例もあるのかも。 2007/5/15 ■ 銭形平次 第418話「扇屋おわか」1974.5.8フジ/東映 悪党の使嗾を受けた兄が恋しい人を殺すと知った妹は、捨て身で防ごうとする。庭に潜んでいた兄は自分が誰を刺したか知り、妹の語る父の思いを聞き嗚咽するのだった。 ロケ地、売扇堂の番頭が殺されて見つかる川端、中ノ島橋下手右岸河川敷(以降、再調査や聞き込みで橋上や橋たもとも何度も出る)。売扇堂の主・与一郎が万七に捕縛されたあと平次に縋るおわか、話すお堂(?)、不明(石積基壇、窓は格子)。 *養女なためよけい兄と恋人の狭間で苦しむおわかに十朱幸代、与一郎は前田吟。悪たれ兄貴は藤木敬士、「与一郎」の布団を刺すがやり損なうお決まり。ライバル店主は中井啓輔。*万七ギャグ、牢での与一郎とおわかのやりとりを聞き「人情家の俺には辛ぇわ」。 ■ 八州廻り桑山十兵衛 捕物控ぶらり旅 第3話 2007.5.15テレ朝/東映 捕まえた貸元は上州で三本の指に入る大物、その凶悪を恐れる者たちにより今回もまんまと微罪で逃れるが、桑山のダンナは捨て置かない。のうのうと「酒肆の親爺」で過ごす喜三郎、その真向かいの木賃宿に陣を構えた十兵衛は、執拗な監視を続けアゴを干上がらせてゆく。 ロケ地 ・喜三郎を告発した又八が消される林、鳥居本か糺の森か(死体は倒木に凭れかかり)。 ・八州の黒田が喜三郎に啖呵を切るも「酔って落ちた」工作で消されるくだり、保津峡落合河口、落下岩。 ・粂蔵が喜三郎を護送してゆく道、大覚寺放生池堤。 ・粂蔵とは別に江戸へ戻る十兵衛、広沢池西岸際の道(農地からの撮り)。 ・喜三郎の処分が決まったあと十兵衛が狙撃される帰り道、大覚寺護摩堂裏手。 ・五料宿で道案内の辰次らをピックアップしてきた十兵衛が、遅れてやって来た粂蔵らと合流する街道、嵐山自転車道。 ・近在の道案内を呼び集め指令を出す鎮守、大覚寺五社明神裏手。 ・事後、木崎に戻ってきた桝吉がお京と再会する道、大覚寺大沢池北辺並木(植え込み際に地蔵あしらい)。 *喜三郎は火野正平、スキンヘッドの強面。丁寧な物言いには凄味、狭まる包囲網にキレてゆくさまは哀調を帯び、「渋い」正ちゃんの魅力全開。木賃宿の女将で元喜三郎の情婦に喜多嶋舞、彼女のため身代りとなる桝吉は高杉亘。道案内の辰次は四方堂亘。*八重ちゃんネタは食いものがらみ、せっかく作った蕎麦も天麩羅も苦手で義姉上に嫌味を言われる次第。大きな瞳がカワイイ。 2007/5/14 ■ 銭形平次 第417話「無頼の兄」1974.5.1フジ/東映 妹の幸せを思うあまり刃傷沙汰を起こす兄、猛る心は赤子を宿し祝福を受ける妹夫婦を見て急速に解けてゆく。寄場送り、入牢、火事での切り放し→涙の出頭と、おきまりの場面が続く。 ロケ地、牢内での政吉の回想・雨宿りする幼い角兵衛獅子の兄妹、大覚寺五社明神舞殿。妹の相手の絵師を捜し歩く平次をつける政吉、捜しあぐねて一息つくところで彼に気付く平次は大覚寺天神島朱橋たもと。妹の妊娠を知った政吉が平次の説諭を受ける水辺、大覚寺放生池堤。政吉が出頭する囚人集合場所の安養寺、大覚寺大門。 *政吉は志垣太郎、むちゃくちゃ短気で刃物振り回しまくり、口を割らせるのに女の首絞めたりとにかく乱暴で、金を作る手立ては賭場荒し、お白州では妹の「男」を激しく呪詛し喚き散らす…こういうのががらっと変わって情話になる作りが面白い。兄に似て、妹もちょっとエキセントリック。 ■ 水戸黄門37 第6話「家族涙の隠し金山」2007.5.14TBS/C.A.L 佐渡へ行くと家を出たまま消息知れずの父を追う子供たち、父は金山で働いていたが、好待遇のうえ破格の報酬というのはきっちり怪しいのだった。 ロケ地、柏崎の浜辺、佐渡の隠し金山の抜け穴や浜辺、間人海岸各所。隠し金山の坑口は、例の小滝落ちる砕石場跡のような岩壁、爆破シーンあり。金山解説に道遊の割戸。 *子らの親父は佐川満男、仲間を気遣う好人物のおっちょこちょいがよくお似合い。人夫らを好条件で釣り、用済みになるやヤマごと発破かける留守居役は成瀬正孝、父親の命をタテに娘を呼びつけた次の間にはお布団。 2007/5/13 ■ 銭形平次 山内鉄也監督作品 1967.10.10東映 父の後を継がず鳶の兄哥の若き平次が親方の横死に遭い、仇討ちのため十手をとりみごと初手柄をあげる過程を描く。 賭場で捕まった平次をお静とともに貰い受けに来てくれた親方は、二人と別れた帰り道を襲われ、見知らぬ女と心中の態で発見される。偽装と見た平次は、捜査の資格を得るため笹野さまに目明しとなることを望み、亡き父から託されていた十手を渡され解明に乗り出してゆく。 上州屋は「千里の虎」から脅迫を受けていて、親方に相談を持ちかけていた。その正体は不明、目的は上州屋に訴人され惨めに死んだ父母の意趣返し。乗り出した平次にも早速刺客が差し向けられ、上州屋は身代限りの大金を取られてしまうが、虎の根城へ乗り込んだ平次の働きで正体は明らかとなる。しかしそれは懐かしい友との永訣でもあった。 ロケ地 ・上州屋から事情を聞いた平次が襲われる夜道、石座神社参道。虎の手下が実相院の塀に飛び乗るシーンもあり、立ち回りは実相院塀際へ移動、謎の助け手・立花数馬は実相院の門に現れる。 ・襲撃の人数にいた幼馴染の辰之助が平次を呼び出す三囲神社、赤山禅院本殿。平次に手を引けと忠告する辰之助、話す二人は玉垣の内外。辰之助の背後に効果的に池が映り込む。 ・稲毛屋へ上州屋の虎の子を運ぶ道、行く手で喧嘩がはじまり道を変えるのは疏水分線沿いの哲学の道(大豊神社御旅所付近、今はない黒板塀脇)。橋を渡って回り道、道の前後から人数が繰り出してくる路地は下鴨神社境外・石村亭前を林と玉垣越しに。糺の森へ入る橋たもと付近へ出て、その後の船小屋傍のシーンでセットにスイッチ。 ・事件解決後、平次の活躍を書いた瓦版売りが走る橋、三条大橋。 *お静は鳶政の娘、かしらも薄々二人の仲を許容している模様。鳶の平次はやんちゃで賭場にも出入り、得意の技を摘発時に蝋燭消しに使ったり。岡っ引だった父に反発して継がなかった件は、笹野さまに話を聞いてあっさり解消。 *八五郎との出会いは大番屋の牢、のちに出てきて平次宅へ上がりこみ押しかけ子分に。 *辰之助は昔明神下の長屋に蜆売りに来ていた少年、棒手振りと苛められている彼に親切だった平次を殺すのを躊躇う設定。 左/石座神社参道 右/実相院山門 2007/5/12 ■ 必殺仕事人 III 第36話「ニセ占いで体力消耗したのは主水」1983.6.17ABC/松竹 大経師乗っ取りの陰謀、天文方の役人が世話した後妻がとんだ悪女。企みに加担する怪しの易者が皆既日食で大儲けのネタなども挿まれる。 見込まれた家の娘と親しかった順ちゃん、彼女の死を見届け仕事に参加・後妻を始末。 ロケ地、日月堂の娘と話す順ちゃん、「材木置場」。江戸城イメージ、彦根城天守(日月堂が刷り上った新暦を持って上がる)。母を殺そうとしたかどで処刑される美緒、下鴨神社池跡(柵あしらい)。 *巫女あがりの後妻は磯村みどり、一見貞淑な悪女がハマリ。天文方は原口剛。 2007/5/11 ■ 銭形平次 第416話「死神を子が招く」1974.4.24フジ/東映 大店の主が不審死を遂げ、喪も明けぬうち若旦那は番頭に多額の金を求める。跡取りはとんだ放蕩者というおきまりの話だが、借金の中身に捻りがあり、妹をめぐる人情話も絡んでくる。 ロケ地、暮夜女といちゃついていた髪結いが「泳ぐ男」を目撃する不忍池端、御室霊場のお堂(池から猪之松が上がってきたあと伊勢崎屋の死体が浮く)。墓参帰りの伊勢崎屋の娘・お芙佐が、同じく墓に詣でてきた出入りの担ぎ呉服屋・綾吉と行き合わせる雨宿りのお堂、大覚寺護摩堂(設定は菩提寺境内)。お芙佐が兄の指示で赴く寮、中山邸門(兄に吉原行きの説得を頼まれた綾吉が出迎える。つけていた平次が邸内に「侵入」する場面で境内の建物も映る)。事後、大旦那の墓に参る兄妹と綾吉、化野念仏寺(墓標は石仏群脇の新墓)。 *お芙佐は松木聖、綾吉は剣持伴紀、若旦那は松橋登。若旦那に死一倍の証文を書かせた吉原の始末屋は福山象三、大旦那殺し実行犯の猪之松は福ちゃん(福本清二と誤記されている)、髪結いを消した雇われ浪人は出水憲司。*伊勢崎屋の検死を担当して水死とした万七親分、不審を言い立てる平次に「俺ァ銭形平次の居ねぇ国へ行きてぇよ」が爆笑もの。始末屋をハメるお芝居の捜査状況べらべらリークがまた傑作で、ほんっとに遠辰はカワイイ。万七に肩叩かれてる実行犯の福ちゃんも可愛い。*放蕩者の若旦那が追い詰められての葛藤、血の繋がらぬ妹に「恩返して貰ってもイイよね」のあたり寒気するなと思っていると、律義者のはずの綾吉の過去が出てきてうひゃあなのも妙味←若旦那は五百両だけど綾吉のは二千両で桁違い…大丈夫かそいつでお絹さん。*若旦那の苦悩シーンに出てくるガラス板真下からのアオリ、この頃流行ったのか←1973年の助け人走る第5話「御生命大切」博打のシーン。 ■ 遠山の金さん 第70話「帰って来た男」1977.2.10NET/東映 婿がねが妬みを受けるほどの娘の縁談に射す暗い影、良かれと富商の軒先に我が子を捨てた島帰りの親爺が遠い昔仲間に寝物語した秘事はとんだ強請りネタに。命を賭して娘の幸を願う老爺に、遠山奉行は全てを呑み込んで虚言を事実認定する。 ロケ地、北町奉行所、大覚寺明智門。 *越後屋の娘の「実父」は島田正吾、娘のためにする行為は全て涙なみだの泣き芝居、「赤城の山は」とか聞こえてきそうなそれに合わせた杉良のからみが見もの。富商を強請る親分は郡司良、恐喝ネタを提供したチンピラは伊吹聡太郎。 2007/5/10 ■ 銭形平次 第415話「女すりの子守唄」1974.4.17フジ/東映 腕利きの掏摸・稲妻のお加代は、町で拾った捨て子に我が身を重ねて甚く思い入れ。ろくでもない来し方、ひとつくらい善い事をと赤子の父が殺された汚職隠蔽事件に関わってゆくが、慕っていた長屋のご浪人さんを失う結果となる。 ロケ地、町でお加代を見かけた八が怪しみ追ってゆく道、金戒光明寺参道石段脇林間〜長安院下坂〜鐘楼下石段(ここでお加代が赤子を拾う)。竹原代官所手代が殺されて見つかる市中、金戒光明寺極楽橋たもと。元竹原代官所元締で現勘定奉行所吟味役の霜野と行き会い肚を探り合う平次、金戒光明寺永運院下坂。霜野が丹波浪人に指示を出す料亭、嵐山公園中州料亭・錦。丹波浪人の墓、黒谷墓地。 *お加代に「和歌山ブルース」の古都清乃、赤子をあやす段で「根来の子守唄」を披露。丹波浪人は小林勝彦、平次の指弾に改心し霜野を討ちにゆくが、腕はさっぱりの言葉通り返り討ちに。霜野は北原義郎。 2007/5/9 ■ 銭形平次 第414話「万七純情」1974.4.10フジ/東映 偽小判を追っていた同心が変死、彼を持ち上げておいてこき下ろした怪しい与力は、未亡人に甘言を用い甲府行きを勧める。ご新造は万七を頼り、もちろん親分は舞い上がり母子とともに甲州街道をゆく。仕組まれた旅には危険がいっぱい、頼りない万七をサポートの平次、与力が甲府勤番支配に宛てた悪企みの文をゲット。 ロケ地、加治木同心の墓、永観堂か。甲州路、切り通しの山道・野道・小屋のある谷地田・田畔等ほぼ不明(亀岡か)。平次の尺八がかぶる夕景の水辺は広沢池東岸か。甲府勤番支配・高坂邸、相国寺大光明寺。 *加治木は不破潤、未亡人は磯村みどり。悪い与力は高原駿雄で悪徳札差は内田朝雄。*悪党のスケールはけっこう大きく、大量に作った偽金を御金蔵の金とそっくり入れ替える魂胆。*万七親分もちろん未亡人に岡惚れ、旅籠の風呂でピンク妄想全開。元より娘に頼りないとか言われていて、危機に平次でますます株を下げるのが大笑い。 2007/5/8 ■ 銭形平次 第413話「女心に背を向けて」1974.4.3フジ/東映 一度潰れた店を立て直した女傑は先代に恩ある元女中、遺言に従い頼りない惣領の妻となり店を切り盛りするが、諦めた恋が厄介事を伴って立ち現れる。店のため恋しい男を訴人し、ために亭主には冷酷な女と呼ばれてしまう女将、負わされた重荷は彼女を押し潰してしまう。 ロケ地、三人組の追い剥ぎが出る夜道、大覚寺五社明神。悲鳴を聞く夜回りの平次は有栖川畔。井筒屋女将の回想、金策に出る次男・源二郎に守袋を渡す水天宮、赤山禅院本殿玉垣脇。源二郎に呼び出される兄(井筒屋主)、相国寺弁天社前〜鐘楼裏手。弟に通行手形を渡しに水天宮へ赴く井筒屋、赤山禅院参道石段〜本殿脇(女将が本殿裏手から現れ自訴を勧める)。女将に場所を聞き出動してくる平次だが、見当たらずまさかと戸惑う「水天宮裏」、赤山禅院弁天社前。 *女将は三浦布美子、自訴するよう勧めに現れた時点で唇が蒼白。源二郎は伊吹吾郎、金策ままならず失踪後盗っ人の一味に。仲間は城北幸夫と千葉敏郎。 ■ 八州廻り桑山十兵衛 捕物控ぶらり旅 第2話 2007/5/8テレ朝/東映 八州のニセモノが出る話、ハメられて御判物を盗られた同僚を思って秘密裡に事を運ぶ十兵衛、偽者の真似っこまで出る始末で、こやつらを囮に江戸まで護送してゆくが押さえたのは一味の女一人。上司に雷を食らいかけるが、当の川端さまの口がそもそもの発端なのだった。 ロケ地 ・江戸へ帰る十兵衛一行、大宮宿手前の中仙道は山室堤(大宮宿泊、八州の山下ご乱行を耳にする)。 ・江戸イメージ、妙心寺霊雲院前路地(通行人の足もとのみ映る)。八重を連れた十兵衛が風車を買い与えるのも同所。 ・偽八州を探索に出る十兵衛、日光街道を古河に下り山下の道案内と落ち合う茶店、谷山林道頂上付近。 ・偽八州が捕まったと聞き栃木宿へ、本物の山下が捕まっている名主邸、走田神社社務所。 ・御判物を追うべきという十兵衛、妾が気になり江戸へ戻る山下、別れる街道分岐は谷山林道分岐道(十兵衛らは脇道の登り、山下らは本道を雲心寺平方面へ/妾宅は足利)。 ・偽八州が凶行と聞き上州大浦へ向かう十兵衛、道案内と落ち合う山道、谷山か。 ・偽八州を求め野州を歩き回る十兵衛、セットを挟んで河原のシーンは大堰川河川敷。 ・木崎宿で捕えた真似っこ一味を唐丸に籠め、偽八州らの接触を見張りながらゆく深谷から江戸へ向かう中仙道、熊谷手前の池堤は1話と同所(不明)、鴻巣を過ぎ蕨宿手前の街道は山室堤、板橋宿近くの池堤不明、板橋手前で昼を使う茶店は大覚寺大沢池畔。 ・御側御用の旗本・小川讃岐守邸、大覚寺明智門(三男の冷や飯食い・半四郎が出てきてブチの二毛猫を構う)。半四郎がゆく市中、擦れ違う町娘を見返るのは走田神社稲荷社重ね鳥居。十兵衛が彼に「山下どの」と声を掛けるのは参道、立ち回りは本殿前。半四郎の供述で上州大浦の利根河原で見つかる手下の死体、広沢池池底。 *山下は石橋蓮司、百姓家に飯泥棒に入ってたりのナサケナイ系レンジで、最後にはあんまり反省してナイので十兵衛の鉄拳を食らう。レンジの妾はメイサツキ、お妾さん部分は思わずレンジ悪趣味!で、唐丸を見に現れ十兵衛の指弾を受ける部分では哀しい女。半四郎は榊英雄。*父親と部下の会話を聞いて、そそくさと荷物をまとめている八重ちゃんがいじらしい。大仕事を前に張り切ってトレーニングの粂蔵の気合いも見もの。 2007/5/7 ■ 銭形平次 第412話「お父っあんの十手」1974.3.27フジ/東映 老目明しのグレた息子は瀕死の重傷を負った父に目もくれず、好きな娘を取り返す算段に走る。手立てに使った父の十手、それは強欲で非道な実父を捕るものとなる。 ロケ地、父の十手を継ぎ仇をとれと迫る万七から逃げた伊之吉が、おさよが女郎に売られると聞かされる水場、松尾大社亀の水場(水路、楼門映り込み)。おさよ奪還をしくじり、勝五郎らに父の書付を盗ってくるよう命じられた伊之吉を懇々と諭す平次、中ノ島橋下手右岸河川敷。 *伊之吉に水谷豊、拗ねた青年を好演。この二年後に「青春の殺人者」。養父も実父も失うが、好いた娘は戻ってきて父の十手は許されて彼の手に。老目明しは加藤嘉、島帰りの勝五郎は外山高士。博打の借金でおさよを売るハメに陥る親父に北見唯一、勝五郎の仲間に藤尾純や上野山功一。*勝五郎が執着したのは伊之吉に遺された祖父母の財、岡っ引になった伊之吉はこれを返上。 ■ 水戸黄門37 第5話「陰謀砕いた美人姫」2007.5.7TBS/C.A.L 舞台は旅の目的の越後高田、改易となった元の高田藩士は当地に留まり新田を拓くが重税にあえぎ、姫をさらって年貢軽減を迫ろうとしていた。その頭目は密かに悪家老と通じ、郷士らも姫も危地に陥るが、城に立て籠もった郷士を姫ごと砲撃するというド派手展開。 ロケ地、姫の到着を知らせに城へ急ぐ早馬を見る郷士たち、谷山林道頂上付近。お国入りの姫の駕籠を襲う郷士たち、酵素ダートか。藩士の子弟に苛められる郷士の子を助ける助格、酵素ダート河畔。姫を連れて老公が隠れる小屋、酵素河川敷(小屋あしらい)。越後高田城、福知山城。天守まわりに実際に人を入れ撮影、映画村の門や高田城(復元された三層櫓、イメージカット)等と組み合わせて使ってある)。 *減免されたはずの郷士の年貢を私していた悪家老は林与一、武者姿が優雅でさすがの風格。彼と通じる郷士の頭目は石丸謙二郎。里を襲う兵士の中に福ちゃん、物頭っぽい。*己の城をドンパチ砲撃って無茶っぽいのと、ラス立ちが誰を相手か混乱してそうでなんかアレ。 2007/5/6 ■ あかね空 2003.9.15テレビ愛知 深川で京豆腐を作り商う一家の話、芸達者を揃えしっとりと描かれる情味深い佳作。 かっちりと硬い深川の豆腐、柔らかな京豆腐を持ち込んだ京屋ははじめ受け入れられなかったが次第に評判となり、ところで一番の名店の女将の死の間際に店を譲られることに。新店でのスタート、よそへ修行に出ていた長兄も帰り経理を任され順風満帆に見えたが、同時に家族間に隙間風が吹き始める。なに故か長兄ばかり構う母、長兄に伸びる京屋蹴落としを目論む魔手、長兄を放逐した心労で父が倒れあっけなく亡くなり、改まらぬ長兄を心ならずも切った母も逝き、その葬儀が済んだ夜に悪党が長兄の借金をタテに店を乗っ取りにやって来る。 軋む感情が迸り兄弟は相争うが、もののわかった助け手はちゃんと複数居て、再スタートをきった三人兄弟が暖簾を上げる暁の空は見事に美しいのだった。 ロケ地 ・深川八幡、お参りの本殿は新日吉神社本殿(長兄の回復を祈ってお百度を踏む母のくだりでは後生車つきの百度石あしらい。茶店があしらわれたりする鳥居前は不明)。 ・品川の豆問屋に奉公していた長兄が帰ってくる海辺の道、舞子浜。 ・深川の堀端に八幡堀、白雲橋・明治橋間の堀端のほか明治橋上なども使われる。 ・母に引導を渡された長兄が鳶として働く木場の情景、八幡掘新町浜。 ・京屋潰しを目論む平田屋が長兄に甘言を用いて接触するくだり、父に反発する長兄の愚痴を調子よく聞いて同調し信用させる屋形船は大覚寺大沢池。 ・夜に外出する長兄を怪しんだ妹が尾行して平田屋の企みを聞く賭場の廊下、妙顕寺の回廊か(今はない、反った自然木を使った渡り廊下に似る)。 ・母の野辺送りの川端、罧原堤下河原か。 キャスト おふみ(母)/浅野ゆう子 永吉(父・京屋主)/赤井英和 おきみ(末妹)/前田愛 栄太郎(長兄)/松田悟志 悟郎(次兄)/近藤公園 政五郎(鳶の頭領)/石倉三郎 平田屋/遠藤憲一 伝蔵/内藤剛志 秀弥(料亭・江戸屋女将)/三田佳子 ■ 潮来出島 美男剣法 安田公義監督作品 1954.12.22大映 兄の仇を求め江戸へやって来た若き剣士は、なんの奇縁か仇の娘と知らず恋仲に。当人たちはもちろん、娘の祖父や当の仇の父もその無惨に懊悩するが、愛憎は大利根河原の死闘のさなかで昇華される。 まだ前髪の竜四郎と知り合い師と呼ばれる平手造酒、その友であるお雪の父・門川好蔵、造酒の情婦の深川芸者、造酒の体を気遣う笹川の貸元と、若い二人をめぐる人物群もいきいきと描かれる。 ロケ地 ・竜四郎とお雪が初デートの神田川畔、不明(高い堤、河原には傘が干してあり大樽が転がっている。堤には木、向こうに屋根が覗く。川水は瀞をなし対岸に家並みも霞む)。 ・造酒と間違えて襲われた竜四郎が松平家留守居役の北原たち四人を返り討ちにしてしまう道、西本願寺・興正寺間の北小路通(竜四郎に仇討ちはやめろと言い立ち去る造酒のくだりでは、興正寺塀際から東望の絵があり、今では見えない本堂の甍が背景を飾る)。 ・竜四郎が留守に訪ねてきたと長屋のおかみさんに聞いたお雪が駆け出してゆくお玉ヶ池、青蓮院か(塀下が崖、五本線の塀、起伏の多い場所に奇怪なまでの枝を伸ばす大楠)←お雪の父が仇と知るシークエンス。 ・苦悩の果て師のいる下総へ発つ竜四郎、街道筋不明(林間の地道/山へ向かう丘の道・崖際で下は谷地田/路傍に萱葺民家の地道・茶店に仕立て)。 ・帆掛船が往来する水郷、琵琶湖(葦原の湖岸や石積護岸、河口部のような地形も。遠景に竹生島?に見える島影や河口州と思われる長く伸びた州も映り込む。石積護岸には桟橋などもあしらわれている)。 ・祭礼の鹿島神社、不明(はっきり神社なことを示すものは映らず)。 キャスト 北原竜四郎/市川雷蔵 お雪/嵯峨三智子 お紺/水戸光子 平手造酒/黒川弥太郎 門川好蔵/市川小太夫 笹川の繁蔵/沢村国太郎 飯岡の助五郎/東良之助 門川伊作/水野浩 ■ 酔いどれ二刀流 森一生監督作品 1954.4.7大映 無頼の喧嘩安が高田馬場で名を上げ、婿に乞われ堀部安兵衛として長屋を出てゆくまでを描く。 画面からアルコールの香りがしてきそうな、豪快な酔態を見せる長谷川一夫の安兵衛は寝ている姿も豪快。菅野の叔父の文も途中で放ったらかして寝てしまうし、内匠頭に呼ばれた御殿でも大酒食らって眠りこけ。 立ち回りは、高田馬場と内匠頭に槍で突きかかられる御殿と、見せ場たっぷり。 長屋衆との交流も、しつこく食い下がる弥兵衛とのやりとりも情味あふれ味わい深く、お鶴坊に見せる優しさが胸に迫る。 ロケ地 ・幸にからむ巾着切りを懲らしめる市中(鬼子母神境内か江戸橋か)、不明(北野?)。 ・菅野六郎ヱ門が果し合いの場へ駕籠をやる道、不明(川堤か/堤に軒を接する家並み)。 ・高田馬場、不明(白砂の広場、松の孤立木がちらほら/周囲は松林、竹林ものぞく)。 ・高田馬場へ走る安兵衛、叔父の駕籠が行った堤のほか、塀際は東福寺か。田んぼ脇の地道も。 ・叔父の墓に参る安兵衛、不明(後ろの塀に宝筐印塔の頭がのぞく)。帰り道の縁日、不明。 ・堀部の姓を捨てて中山姓にと内匠頭に願い出る弥兵衛、不明(お寺の境内?塀と門/内匠頭は弓のお稽古中)。 キャスト 中山安兵衛/長谷川一夫 お鶴/若尾文子 お滝/入江たか子 屋根松/益田キートン 甚兵衛(差配)/瀬川路三郎 菅野六郎ヱ門/香川良介 堀部弥兵衛/菅井一郎 幸/三田登喜子 わか/浪花千栄子 浅野内匠頭/黒川弥太郎 2007/5/5 ■ 遠山の金さん 第69話「お白州に小判の雨が降る!」1977.2.3NET/東映 千住の長者の遺産を巡る大騒ぎ、子供たちの心底を見届けようとした長者は地獄絵図を見せられる。欲深者たちが狂奔しだすと、ちゃらちゃら馬鹿囃子が聞こえてくる仕立て。 ロケ地、北町へ投げ文してきたおりんが帰ってくる道、不明。長者の墓、不明(山際、小さな池も見える)。 *長者は神田隆、白州に持ち出された早桶から狂気の態で小判を取り出し撒くのがタイトル。争いを嫌う長者の娘・おりんは渡辺やよい、番頭は柴田p彦。長男次男にくっつくヤクザに五味竜太郎と汐路章、長者に芝居を頼まれた医師は永田光男、不気味な拝み女に新屋英子。 2007/5/4 ■ 銭形平次 第411話「江戸は今夜も」1974.3.20フジ/東映 出稼ぎから帰らぬ父を案じ江戸へやって来た子供たちが、とんでもない口入屋に騙されタコ部屋へ放り込まれている父親たちと曲折を経て再会する情話。子らに手を貸す孤児の三太がいい味、彼の身の振り方も決まるハッピーエンド。 ロケ地、顔役の政五郎らに殺された人足の死体が上がる大川、広沢池か罧原堤か。荷車の後押しで子らが三太と出会う橋、中ノ島橋。子らの事情を聞く三太、松尾大社楼門続きの塀のくぐり戸。出稼ぎ人たちが集まる飯場へ赴く平次、桂川松尾橋下手右岸堤。飯炊き女に聞き込みをする飯場は河原にあしらい。政五郎らが人夫に非道をはたらく等々力の工事現場、不明(雪の山道)。 *鮫州の政五郎は山岡徹也、出稼ぎ人夫の一人の森章二がなかなか・悪役もいいけど土臭い好人物も巧い。 ■ よろずや平四郎活人剣 第3話「道楽息子」2007.5.4TX/松竹 家から叩き出したものの、正式には勘当していない倅をどうにかしたい橘屋の依頼は女の始末。岡場所上がりと女を蔑む橘屋が気に入らない平四郎だが、女の人柄で話はいい方へ転がってゆく。田島と書付の一件にはとんだしくじりが出来するが、北見の手助けも得てこれも解決、飯にありつく平四郎なのだった。 ロケ地、夫の阿漕に沈む早苗がやって来るいつもの茶店、上賀茂神社ならの小川畔(川に友禅流しあしらい)。江戸城イメージ、姫路城天守。城の御廊下で鳥居耀蔵に奉行就任の祝いを嫌味まじりに述べる神名監物、東福寺通天橋(東面遠望の絵には姫路城を合成)。鳥居邸、大覚寺明智門。邸内縁先、部下に田島の見張りを増やすよう命じる鳥居、東福寺方丈縁先(石庭映り込み)。出てきた部下を尾行する監物の配下、大覚寺御殿川沿いと河床(直接の尾行者のほか堀掃除を装った者が河床に)。鳥居が田島を隠してある伊勢屋の寮(原作では亀戸)、酵素民家セット(竹林越しのアングル)。救出した田島を妻子と会わせる寺、粟生光明寺(甍は本堂屋根、座敷は阿弥陀堂か)。 *橘屋のどら息子の「嫁」に星野真理、芯の強い薄幸の女を好演。どら息子は蟹江一平、父は田山涼成。*飯櫃の底が見えて情けない平四郎、食いものに執着するのが傑作。しかし自炊してお行儀よく食する横顔はお坊ちゃんでなかなか。部屋が小汚いのもイイがまだ鼻毛を抜いたりはしない。*福本先生の殺陣たっぷり、まさかコレでおしまいではないよね。 2007/5/3 ■ 銭形平次 第410話「夢が殺した」1974.3.13フジ/東映 息子を出世させたい父親の、行き過ぎた期待が若い恋人たちに悲劇をもたらす。色魔のチンピラと浪人は本筋には無関係だが、殺伐を強調(シナリオが破綻している気がしないでもナイと、こそっと言ってみる…銭平には珍しいもんだから)。 ロケ地、お縫が墜死した崖(「上野の山と不忍の間を谷中へ抜ける途中の、お花畑の向いあたり」と発見者の火消し・峰蘭太郎の台詞)、吉田神社大元宮西側崖(後段、おきさが浪人に襲われかけるのは大元宮本殿前)。南部屋の娘が暴漢に拉致される下谷高徳寺近くの坂、吉田神社本宮と大元宮間の参道。お縫が見つかったと兄のもとへ駆けてくるおきさ、和三次が佇むのは赤山禅院境内池端。後で鼈甲の櫛のことを問い詰めるのは本殿の中。伍平に事情を聞く平次、大覚寺放生池堤(伍平は自分が邪魔なら親子の縁も切ると言い放ち、伏線に)。 *倅の立身を願うきっつい親父に花沢徳衛、彼の親友でお縫の父に村田正雄、和三次に柴田p彦と来てまたハナっからおどおどしていて丸わかりの筋立て、この三者が展開するのは三様の持ち味を活かしたベタな人情劇。 ■ 必殺仕事人 III 第35話「金融札に手を出したのはお加代」1983.6.10ABC/松竹 借りたら地獄の、今でも笑えない高利貸しネタ。厳しい取り立てに遭い家をとられたうえ娘を失った母は、辻に立ち頼み料を作る。気触れ芝居で大江戸屋から逃れるおふみ、直後に見せる凄絶な恨みの顔が印象的。目隠しカウンターも仕置の際効果的に使われる。 ロケ地、女衒にひかれ街道をゆくおふみ、北嵯峨か。 *おふみは入江若葉、高利貸し一党はお馴染みの悪役さんたち。順ちゃんツナギの席で異議を唱え離脱。 2007/5/2 ■ 銭形平次 第409話「江戸と田舎の若旦那」1974.3.6フジ/東映 表題どおり対照的な二人の青年が登場、優男の恋人に見返られた女は、山出しの純情者の暴走気味の愛に救われる。 ロケ地、上方で油を買い付けてきた井筒屋と河内屋の番頭が暗殺される林、不明(起伏のある丘の上に蔵のような建物・丘の下には池/杉良の金さんでも何度か出ている)。木曽から出てきた山持ちの「若旦那」直介が、一目惚れの女を追ってゆくと優男とデートで頭に血がのぼり暴れる堀端、嵐山公園中州料亭際路地(路地奥が水路)。おのぶが井筒屋の若旦那に預かった荷受書を突きつけ問いただす神社、吉田神社竹中稲荷(悪党の同士討ちをおのぶの犯行として来合わせた万七が逮捕)。 *山出し男に山本紀彦、水茶屋女のおのぶは北川美佐。実は親父も悪党の井筒屋主人は北原将光、儲け話に絡んでくる賭場開帳の悪党は小田部通麿。 2007/5/1 ■ 銭形平次 第408話「ろくでなしの叫び」1974.2.27フジ/東映 父にも兄にも邪慳にされるグレた青年に殺しの疑い、実母に会い出自を確かめた彼は自首して出るが、それには深い思いが隠されていた。得心のゆかぬ事象は放置せず、かつ青年の心底を見据える平次の目が冴える。 ロケ地、地回りと酌婦の「心中死体」が上がる大川・緑橋下、中ノ島橋下河原(見物衆は護岸に/橋の裏側も見えている)。その二人の墓、不明。二人について偽証した源造が出没という八幡さま、木島神社(本殿前で刺されて見つかり/仙次が本殿へ駆け込んで逃走。夜間撮影)。源造殺害時の返り血がついた衣が犬に掘り返されて見つかる男坂下稲荷、大覚寺五社明神本殿脇。 *仙次は小倉一郎、飾り職人の父は美川陽一郎、大店へ婿入りが決まっている兄は寺田誠、美人局カップル殺害実行犯の源造に松山照夫。 ■ 八州廻り桑山十兵衛 捕物控ぶらり旅 第1話 2007/5/1テレ朝/東映 博徒の揉め事が血を見そうという厚木宿へ出向く十兵衛、着いたその晩に代貸が血祭り。激しい憎悪を滾らせる代貸の女房を抑え、金での手打ちに持ってゆく十兵衛だが、秘事を見た道案内が斬られたことで真相が発覚、黒幕を成敗する次第に。 ロケ地 ・中仙道坂本宿に出没する押し込みを捕え江戸へ護送する道、不明(溜池の堰堤)。 ・厚木へ向かう大山街道、粂蔵と十兵衛が落ち合う茶店、上賀茂神社ならの小川畔。大山詣の行き交う、五兵衛が二人を待つ茶店、山室堤登り道。 ・厚木の渡し(相模川)、大堰川(道案内の勘助が出迎え)。 ・弥五郎一家の代貸が殺されて見つかる竹林、鳥居本か(死体は大岩に寄りかかり)。 ・代貸殺しの犯人と目された、対立する彦次郎一家の熊吉が土左ヱ門で上がる相模川の河原、桂川松尾橋上手・罧原堰堤直下右岸河川敷。 ・おさわに示談金を持ってゆく勘助と、宿へ戻る十兵衛が別れる夜道、不明(道端に祠・背後は林/ゴイサギの声あしらい)。 ・おさわの回想、旅芸人として流れ歩いた「道」、木津河原か(一面の砂地・水みちと思しき筋/画面上部に枯草の土手)。 ・おさわの家で「男」を見た勘助が斬られる道、保津峡落合崖道。 ・厚木を発つ一行を見送る勘助の女房・お絹、大堰川河川敷(渡し場)。 キャスト 桑山十兵衛/北大路欣也 粂蔵/寺島進 五兵衛/河相我聞 川端三五郎/笹野高史 登喜/梶芽衣子 八重/北村一葉 勘助(道案内)/神保悟志 お絹(勘助女房)/山口香緒里 おさわ(代貸・為蔵女房)/星野真理 真田仁兵衛(厚木陣屋下役)/羽場裕一 ■ 旗本退屈男 謎の七色御殿 佐々木康監督作品 1961.8.1東映 西の東照宮と称される伊豆山中の大伽藍には、将軍家の次男坊が預けられていた。その内部で続いて起こる巫女の変死、徳川家簒奪を企む巨悪が姿を現し、将軍の名代で代参の鶴丸君の危機に早乙女主水之介が大剣を振るう。 ロケ地、こまどり姉妹や半五郎、おみねたちが湯ノ川へ向かう山道、谷山林道か。子らと兎狩りに出る寺子屋の先生、彼らを見かける主水之介のくだり、丘陵地の谷地田か。狩りと称し葵の宮を望む頂に出る主水之介のくだり、用人らがヘタる山中は本物ぽいが宮を望む林はセットっぽい。葵の宮へやって来た鶴丸君の駕籠に矢が射掛けられる参道、下鴨か。了庵の墓に参る主水之介、墓標が丘を這う態の本物か。江戸へ戻る一行がゆく街道、谷山林道か。 *お馴染み・退屈の殿様の豪華衣装にも負けぬ迫力の、葵の宮のセットが凄い。陽明門そっくりの楼門は細部まで作りこまれているし、回廊等は目が痛いくらい派手。葵の宮から里へ抜ける洞窟も凝っていて、ヘンな神像もあるほかラス立ちでは鍾乳洞も細かく表現されているが、本物の義丸君の氷漬けは不気味。ニセ義丸の菅貫も見もの。 キャスト 早乙女主水之介/市川右太衛門 半五郎/東千代之介 おみね/久保菜穂子 笹尾喜内/佐々十郎 鶴丸君/山城新伍 角田了庵/小沢栄太郎 義丸/菅貫太郎 宗像寛山/月形龍之介 宝木竜伯/徳大寺伸 能美左源太/吉田義夫 |
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