新必殺仕舞人

1982ABC/松竹


第1話「草津湯煙血の煙」1982.7.2

 京山が仕事に立ち戻る経緯を描く一話、受戒寸前に元の一座の娘らが人買いに追われて本然寺へ駆け込んでくる。この騒ぎを収めに俗世に戻る京山、仕事を再開する意志はなかったが世に女を食い物にする外道は絶えず、再び武器を取ることになる。

ロケ地
・旅ゆく尼姿の京山たち、琵琶湖岸〜北嵯峨農地(田畔、竹林。竹林では無法者の餌食になる女を見るが手を出さず耐える)
・本然寺山門、曼殊院勅使門。縁に座し受戒を待つ京山とおはな、妙顕寺回廊(背景に壽福院塔映り込み)
・人買いに追われ逃げ惑う一座の娘たち(+直)下鴨神社馬場。駆け込んできた一座の娘らと再会し縋られる京山、妙顕寺三菩薩堂。善行尼と娘らの処置(借金ほか経済事由の駆け込みは×)を話す京山、妙顕寺尊神堂座敷(障子が開いており回廊が映り込み)
・娘らを買った親分に掛け合いにゆく京山、下鴨神社糺の森(晋松の影が映るのは河合社塀)
・旅立つ京山に鐘撞きの権太を使者に立てると言う善行尼、権太が鐘撞き中の鐘楼は妙顕寺鐘楼で背景に本堂大屋根や貝塚伊吹の頂部が映り込む。
・草津の親分と話がつき当地へ向かう京山一座、大内辻堂(祠の裏からのアングル。これに先立って北の山から辻堂付近を見た遠望の画もある)
・草津温泉、小屋掛けは木津河原流れ橋も映り込む。小屋を建てている最中にやって来る本然寺からの使者・権太、桂川松尾橋下手右岸堤。仁兵衛らに殺されたお寅親分たちの無縁墓、木津河原(流れ橋が背景)。仕事を終えたあと待っていた娘らと合流する京山、木津堤
*仕舞人メンバーは変わらず、晋松の技が紐つき拍子木に変更。本然寺使者として権太が新レギュラーに。*荒っぽいが正義感つよく太っ腹のお寅親分に三崎千恵子、京山と意気投合。草津宿で無法をはたらく二足の草鞋の仁兵衛に牧冬吉。


第2話「大黒舞は殺しの舞」1982.7.9

 舞台は山形、紅花で阿漕に儲け民を泣かせる庄屋がターゲット。行ってみると当人は死罪となっており、一座が拾ったのはその娘なのだった。庄屋の後を襲った男は同じ悪党、再びの使者を待って仕置となる。

ロケ地
・山形入りした一座が荷車に隠れている千代を見つける道、大堰川堤か。
・的が消えたことについて協議する仕舞人たち、松尾大社門前の燈籠。小屋掛けの広場も松尾さんか。
・千代が隠れていた水車小屋(許婚者だった現庄屋次男坊と逢引していた所)酵素河川敷(川を跨ぐ形で小屋をセット、脇に水車つき。恋人たちが謀殺されたあと仕舞人たちが見に来る段で降り口も使用)
*仇同士になってしまった恋人たちに同情を寄せるおはなと直、差出口が二人とも殺される悲劇を呼ぶ。激す直、ドス取りに疾走するのがまだまだ青い。


第3話「三界節娘恋し父恋し」1982.7.16

 江戸へ奉公に行ったはずの娘らは、庄屋宅の地下工房に閉じ込められ過酷な労働を強いられていた。増産を目論む庄屋は一座の娘らを拉致、この救出と仕置が同時進行。

ロケ地
・工房から逃げた娘が駆け込む行庵寺、不明(無印仕舞第一話での本然寺と同じ)
・奉公に出た娘が夢枕に立ち絶望した父が入水未遂(晋松が止める)の川、保津峡落合
・越後へ向かう一座がゆく山道、谷山林道(去る際も同じ)。直の荷車を避け転んだ老婆のため谷川の水を汲むおはな、不明(滝か堰堤か)
・村娘の奉公に口を聞いた和尚が住持する妙法寺、丹波国分寺(前の道にはさ木)
・宿場でチラシを配る娘たち、セット背景に三上山を合成。
・妙法寺村庄屋屋敷、民家門。
・役人に連行される道で逃げ出す娘たち、丹波国分寺付近の田畔や果樹園(最後は丹波国分寺に逃げ込み)
・牢から逃げた京山が床下に潜み隠れるお堂、大覚寺護摩堂(後で権太も逃げ込んでくる)


第4話「八木節は悲しい村の恨み節」1982.7.23

 鉱毒に土地をやられた民は飢えるが、代官は援助金をピンハネ。窮状を直訴の動きも制圧され、夫と子を同時に亡くした女の涙を京山は正視できない。

ロケ地
・渡河村の民が直訴の件で寄合、大覚寺五社明神(舞殿に扉セット)
・橋に設けられた検問所、流れ橋
・山道をゆく一座、谷山林道
・休もうとする茶店に「本然寺御使者」の幟、丹波国分寺門前に茶店あしらい(門と塀の一部のみ映す)
・渡河代官所、民家長屋門
・小屋掛けの水辺、平の沢池か。
・亥の吉の家、酵素河川敷。
・代官が女を囲っている寮、中山邸通用門
・渡河を去る一座が渡る橋、保津小橋
*八木節は、舞台で太鼓叩いて歌う直のほかたくさんの面々によって歌われる。一部プロのも混じる。


第5話「会津磐梯山 涙の嫁入り」1982.7.30

 舞台は会津、八ツ目地蔵を恐れる村人は山役人の横暴に苦しむ。苛烈な役人の仕打ちを謗ったり藩に直接訴えようとする者は次々と死に、地蔵の祟りと怯える日々、しかし地蔵の正体は山役人に通じるスパイだった。

ロケ地
・白川関所で権太を待つ一行、大内辻堂(関所は大内道に柵をセット)
・待ちくたびれる一行をよそに樹上でお昼寝の権太、酵素河川敷の木。
・会津入りの一座がゆく野、猪苗代湖と合成は七谷川河畔林か。
・河原に小屋掛ける一座、大堰川河原。
・八ッ目地蔵の林、下鴨神社糺の森(地蔵の前に転法輪あしらい)
・会津藩山役所、民家長屋門
・喜三郎を婿にとる件で京山に泣きつく桔梗屋の娘、大堰川汀。
・桔梗屋が若松へ訴えると一人出て「地蔵」に殺される夜道、大覚寺天神島
・会津を発つ一座、直が泥鰌掬いの川および一座が渡る橋、七谷川か(最近河川改修があり木橋は消失)。橋を渡ったあとの野道は会津入りの際と同じ画。
*「八ッ目」喜三郎に河原崎次郎、山役人に高野真二。


第6話「南部よしゃれは鬼の道」1982.8.6

 葵御紋の権威を借り非道の限りを尽くす御数奇屋坊主、こやつとつるみ御用金丸パクリの役人たち。陣屋に巣食うワルどもを相手に大立ち回りが迫力の一話。

ロケ地
・一座が南部領へ向かう峠道、谷山林道(御用金「強盗」が出るのも同所、ちょっと伊達領へ入ったところ設定)
・「強盗」の放った銃声を聞く晋松、酵素竹林際の水辺(手拭を洗っている)
・金ヶ崎陣屋、相国寺林光院(門、式台玄関、ラス立ちの際には塀際も。玄関前の水石が大きく映り印象的)
・一座が泊まる町はずれの万宝院、相国寺大光明寺(門、前庭、方丈縁先)
・「強盗」に遭いからがら逃げた人足頭が姉の住持する万宝院へ向かう途中転げ落ちる溝、相国寺弁天社脇の溝(京山が紙縒りを読むのもこの溝端)
・南部を発つ一座、酵素河川敷(川からローアングルで東望)
*なにかというと無礼討ち、意味の無い嫌がらせしまくりの残忍好色坊主に山本昌平。ヅラなしの頭も怖さに拍車、剃り込みが深い。*今回は紙縒り紛失騒動や、悪事の現場に居合わせたおはなが始末されかかるなどハプニング多めの展開、多人数相手の無茶な立ち回りで締める。


第7話「貝殻節は子捨て唄」1982.8.13

 山伏の過酷な支配に苦しむ民から、本然寺に訴えが届く。一座は権太から許し状を巻き上げ興行を仕切ろうとする娘に出会うが、彼女の突っ張りには哀しい身の上が隠されていた。

ロケ地
・鳥取の浜、間人か。
・「山伏の子」の始末を語る老婆のくだりに挿入される仏イメージ、酵素(「斬り抜ける」OPに使われたものと同じ)
*直、汀に誘き出された山伏を海から躍り出て襲う。なりは例の赤褌一丁、横からすごい光量のライト当り眼球が金色に光る。


第8話「その手は桑名の焼蛤」1982.8.20

 役人とつるみ女を騙して岡場所に引き入れるヤクザ、お調子者の蛤大尽を隠れ蓑に。京山にプロポーズしたりするお大尽も紙縒りに名を書かれていたが、騙されていたと気付いた途端始末されてしまう。

ロケ地
・宮の渡しや桑名の浜、間人か(7話と同じ、一本松の岬など映る)
・小屋掛けするもヤクザに阻まれる揖斐川河原、罧原堤下河原
・海女の土左ヱ門が上がったり、お美津(鳴海屋娘)の小屋がある浜は舞子浜
*お大尽は織本順吉。


第9話「金毘羅船々恨みの波越え」1982.8.27

 狂乱の若殿は遂に隠居を命じられるが、行いは改まるどころか暴走、幾人もの無辜の命が失われる。裏には、藩政壟断を目論む男勝りのお乳母さまが控えていた。

ロケ地
・夜さり女を求めうろつく若殿が魚網を裂き漁師を手討ちの浜、琵琶湖西岸松原(夜景シルエット、漁具あしらい)
・城代屋敷に若殿の横暴を訴えにくる民、大覚寺大門
・丸亀入りの一座の娘たちがはしゃぐ海辺、琵琶湖西岸汀。
・若殿の隠居所、中山邸(門、参道)
・お乳母が弟と悪企みの栄正寺、招善寺墓地参道と門(境内の半跏思惟像も映る)
・町でお乳母を見かけた八重のばあやが尾行する道、金戒光明寺極楽橋〜「栄正寺」へ。
・一座が小屋掛けする神社、不明(社殿裏に特徴のある逆茂木みたいな囲い)
・若殿の宴席から逃げた一座の娘らが一息つく辻堂、鳥居本八幡宮
・当地を発つ一座がゆく浜、舞子浜(松原越し、汀)


第10話「喧嘩も楽しい河内音頭」1982.9.3

 乗っ取りのため不妊に悩む夫婦をハメる悪党、始末の手段に本然寺を騙す手口を知った京山は怒りに震える。

ロケ地
・河内入りの一座が権太と出会う川、罧原堤下桂川
・百舌屋が組ませる河内音頭の櫓、鳥居本八幡宮広場にセット。
・八尾中垣内村庄屋屋敷(百舌屋は木綿問屋兼庄屋で十手持ち)民家長屋門
*夫婦は藤岡重慶と正司花江、徹頭徹尾騒がしく河内弁で大喧嘩を繰り広げるさまはほぼドツキ漫才。権太は櫓に上がり新聞詠み。


第11話「化け猫騒ぎはのんのこ節」1982.9.10

 色鍋島を異人に売る際、娘を特典につけるという非道が罷り通る里。本然寺への訴えは仕組みの当人から、己が罪を恥じ仕置を受ける覚悟なのだった。

ロケ地
・有田藩進物方詰所、不明。
・大川内の里を発つ一座、不明。

*父の所行や真意を知らず「猫の籤」摘発に動く長の娘、おはな以外の一座の娘たちが同調し仕出かすのは幽霊芝居、洋妾が恨めしそうに立ち現れる趣向。


第12話「けだもの狩りにはしげさ節」1982.9.17

 凶悪な海賊を退治てくれた用心棒が狼に変じ嘆く民、更なる死者が出て本然寺への願いが再び出されるのを見届け仕舞人たちは動く。

ロケ地
・隠岐を望む浜、琵琶湖東岸(岬や島影の見え方から日野川左岸・佐波江と思われる。設定は美保関か)。隠岐の島影、沖ノ島
・用心棒が海賊たちを殲滅する隠岐の島の浜、広沢池東岸(土手、汀、水中戦闘もあり)
・一座が大八を引いて通る道、酵素ダート。権太から状箱を受け取るのは河川敷の草むら・川べり(これに先立ち「御使者」の幟が草むらに突き出ているのを見る)
・お春と仙太姉弟が参る両親の塚、酵素河川敷林の際(後段、お春が縊死するのは「木」)
・玉若須村庄屋屋敷、民家長屋門
・お民の入水を止める菊千代、広沢池か。
*用心棒の一人・菊千代は仲間の狼藉を止めようとするが返り討ちに。野伏に妹を殺され鍬を刀に持ち替え「けだもの狩り」に身を投じた経緯が語られる。*現地にある神社の表記は「玉若酢命神社」。


第13話(終)別れ囃子は阿波踊り」1982.9.24

 終いの話は、おはなの哀しい恋を描く。舞台は阿波で事件はお決まりの藍がらみ、はなの思う相手は藍玉の秘法を探りに潜入していた。的は若侍をハメた奴輩、藍玉奉行と公儀御庭番。依頼者がおはなと知り、仕舞人たちは覚悟を決めて困難な敵に立ち向かう。

ロケ地
・詮議厳しい徳島藩の舟番所、琵琶湖西岸
・城下に向かう道で腹下しの若侍・真田文吾を保護するお堂、御室霊場(開けた丘の上)
・この任務を終えたら侍を捨て紺屋になるとおはなに告げる文吾、保津峡落合
・藍玉奉行・牧野邸、相国寺林光院
・讃岐へ抜ける山越道で捕縛される文吾、保津峡落合(河口部を渡渉中)
・文吾の詮議、相国寺方丈(縁先に藍玉奉行、文吾は石畳上)
・改易となり竹矢来が結われる浜坂藩邸、相国寺大光明寺
・権太が昼を使う道端、木津堤
・チームに的を告げる京山、流れ橋下・橋脚の間。
・京山を待つが来ず権太と出発する一座の娘たち、流れ橋(影で見送る京山たちは河原)
・解散後のそれぞれ、筏の直は琵琶湖上、雲水の晋松は保津峡落合、巡礼の京山とはなは琵琶湖西岸湖成三角州。本然寺、曼殊院勅使門


 前作「仕舞人」と比べると小味な感じは否めない「新仕舞」、再放送などでは続けて放送されることが多いためよけいそれが強調されてしまうが、ルーティン化したなかに殺し屋チームのつながりの強固さが見えるところや、踊り子たちの個性が発揮される話もあり見どころは結構多い。こなれて馴染んだ本田博太郎のお調子者ぶりも好感度高し。
→必殺仕舞人

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