1998、6〜9月 CX/東映
キャスト
朝比奈河内守正清/北大路欽也
りん/萬田久子
真鍋平太郎/金田明夫
渡辺弥左衛門/鶴田忍
土屋相模守/船越英二
大目付・朝比奈は老中の命を受け各地へ飛ぶ。隠密奉行権限で悪の芽を摘むか、大目付権限で上様に進言するかは朝比奈の判断に委ねられるが、ワルをぶった斬って「何もなかった」で済ますのがパターン。旅のお供は御小人目付の真鍋、彼は目付筆頭の言いつけで朝比奈を監視するが、丸め込まれたり使い走りにされたりがお決まり。
第1話「桜島に消えた割符」
捕えられるも殺されず監禁されている公儀隠密を探しに朝比奈は薩摩入り、用心棒としてワルの内懐に入り岩牢で大立ち回りのすえ任務を果たす。父を探しに来た隠密の娘と、彼女を庇った通辞の青年の新たな旅立ちで幕。
ロケ地
・江戸城、姫路城天守(堀留からのショット)。
・溶岩越しの桜島はなぎさ遊歩道からか。
・隠密奉行薩摩に来ると急使が来る鶴丸城唐物倉庫、彦根城三重櫓。
・巡礼女(隠密の父を探しに来た娘)と六部(御小人目付・真鍋)が別れる城下の道、不明。
・真鍋が変装を解いて侍姿で出てくる浜の洞窟、山川町砂蒸し海岸(足もとから湯気が立つ。遠景に俣川洲や開聞岳←長崎鼻越し)。
・開聞岳の岩牢、砕石場(岸壁に小滝かかる)。
*大ワル役人は石橋蓮司で悪徳商人に小沢象、示現流剣客は亀石征一郎、国家老は御木本伸介で、通辞が妙を匿う家の親爺に織本順吉。結局は落命する隠密に清水絋治。急使に峰蘭太郎や藩士の福ちゃん(クレジットあり)。
第2話「萩焼きの女 秋吉台の決闘」
藩政の腐敗を憂える萩藩の若侍たちは暴発、家老の娘をさらい立て籠もりの挙に出たり。朝比奈は「草」の芝居に乗ってみせ、専売制をタテにとり専横を極める者どもを成敗、若者たちの処分を家老と大人の会話で「取引」。
ロケ地
・江戸城、姫路城天守。
・朝比奈がゆく城下の浜は菊ヶ浜か。仰ぎ見る指月山は本物。
・国家老・堀田図書邸、萩城下堀内・口羽家住宅。
・ヘマをこいて逃げてくる真鍋を匿ってやる神社(?)、不明(石垣)。
・若侍たちが家老の娘をさらう路地、萩城下の鍵曲付近か。立て籠もる大照院、本物の山門。
・萩焼窯場下働きのおえんが素性を草と明かす山道、谷山林道。
・蔵元役の兵頭らが不正蓄財を隠匿している洞窟、秋芳洞(ここへ向かう際に秋吉台が映る)。
・兵頭の配下が討ち込み大立ち回りの大照寺、殺陣が室内からわっと出るシーンは神光院中興堂。
・藩侯菩提所の大照院は、OPで境内の灯籠群も映る。
*兵頭監物に黒木進。ラス立ち福ちゃん入り、逃げ去る一団にいて斬られず。
第3話「山形蔵王 世継ぎをさがせ」
出羽・上山藩のお家騒動、側室と次席家老が我が子を次期藩主にと暗躍。朝比奈は道中で拾った遊び人を若君に仕立て介入、乱暴なお部屋さま一派を掃討したあと城代の狸芝居を引き継ぎ、しれっと老中に報告。
ロケ地
・上山城、本物。
・江戸城、姫路城天守。
・出羽入りの朝比奈が巡る名所は蔵王のお釜、山寺(追っかけてきた真鍋が息をつく神社は山寺境内の日枝神社参道か)。
・朝比奈の財布を盗もうとして企みに引きずり込まれる鶴吉、清滝河原。
・お優の方と菊丸ぎみの行列が襲われる山道、谷山林道か。
・若君が襲われるお神楽の神社、鳥居本八幡宮。
・入城するお優の方が城代と押し問答、彦根城天秤櫓。
・楢下宿で襲われ逃げ出した朝比奈らが城代派の藩士と会う河原、保津峡落合河口。
・若君が重傷と城代に報告する女密偵、彦根城内か。
*城代に石立鉄男、鶴吉に宮川一朗太、お優の方は栗田ひろみで次席家老は内田勝正。次席家老が放つ刺客、虚無僧のリーダーが福ちゃんで台詞・クレジットあり。*朝比奈邸へお土産届けの真鍋くん、すっかりパシリ。殿様の布団に寝てる鎧(つぅか面頬)傑作。
第4話「信濃路逃避行 狙われた姫君」
松本藩江戸家老が姪である姫を擁して藩政壟断を画策、正室の産んだ上の姫を消しにかかる。江戸から国元へ向かう姫と若侍たち、江戸家老一派との丁々発止は信濃路で繰り広げられる。
ロケ地
・夕姫を乗せ早瀬をゆく船、桂川か。
・OPに被せ信濃入りの朝比奈イメージ、谷山林道〜上高地(梓川と雪嶺、景色をスケッチする朝比奈は谷山林道切り通しの崖端に立つ)〜茶店あしらいの街道は大堰川堤か(河畔林は竹)〜松本城。
・江戸城、姫路城。
・目付筆頭の渡辺が朝比奈の行状を言いつけに行く土屋相模守邸、大覚寺大門。
・江戸家老配下の追っ手と戦う若侍たち、酵素ダート(このあと家老の乗る馬と行き合わせる朝比奈もここ。勝沼宿手前設定)。
・斬り死にした若侍らの印籠を手に志は無駄にしないと呟く夕姫、酵素河川敷川辺。
・囮の真鍋が誰何される関所、不明(片側に石垣の地道)。
・城下を馬で駆け抜ける江戸家老、映画村に松本城天守を合成。
・江戸家老が姫を連れ込みついでに殿様も始末しようとする寺、龍潭寺(山門、本堂前)。
*江戸家老に中山仁、夕姫は山口香緒里。*老中への報告「単なる噂でした」/江戸家老の「病死」については「働き盛りの急死が増えています」…ここんとこヨロキン風味。江戸家老派の藩士に福ちゃん、ゾンビ復活あり。
第5話「奥州棚倉 姫さまの財政改革」
棚倉藩主は田舎も蛇も大嫌い、入封して半年なのに裏金を使ってまで国替を願い出る始末。その性格に付け込んだワルは、彼を陥れお家断絶に持ち込もうとしていた。タイトルは、藩主を口喧しく諌める役柄の、民思いの妹姫の活躍。
ロケ地
・棚倉の里遠望ショットに続き亀ヶ城跡、本物(亀ヶ城公園)。
・御田植神事が行われる神社、八槻・都々古別(つつこわけ)神社。
・江戸城、姫路城天守。
・下城する綾部老中が女密偵に朝比奈の件を指令、二条城本丸櫓門。
・朝比奈が追い使うつもりで真鍋を待ち構え呼び止める水戸街道の茶店、美山町北山かやぶきの里。
・棚倉藩領の百姓家、美山民家(殿様のカラ駕籠が「見回り」のシーン)。
・八槻陣屋、不明(萱葺き曲がり家)。
・棚倉城、彦根城太鼓門櫓、石垣。
・濡れ衣を着せられかけた城代の屋敷、不明(石垣の坂の行く手に庫裏、正伝寺に似る)。
・逃散百姓の新助が女房を捜す岩場、保津峡落合落下岩前崖道。小姓頭配下の侍(峰蘭太郎)が新助と妹姫を襲う河原、保津峡落合河口。
・綾部老中邸、大覚寺明智門。
*真鍋を使って追い返した財政再建請負人・松波勘十郎は小峰さん。朝比奈はこれに化けて堂々と城入り、しかし呼ばれて来たのに追い返すとは何事としたためた松波の怒りの文が届いてバレバレ。*殿様が嫌がるのも納得の、寝所に蛇がぼたぼたはくの一の仕業、しかしその部屋にしか出ないのに気付けよ殿様…。
第6話「越前竹人形の秘密」
越前丸岡藩の殿様は養子に入るや財政を立て直した優秀な若者、しかし悪家老の奸計により改革は失敗と思い込まされ、幽閉に甘んじていた。
ロケ地
・殿様が幽閉されている屋敷、民家門と周辺(門前から領民に一斉射撃なんかもあり、夜間撮影も)。
・領民らが殿様に送るメッセージの花火を上げる屋敷近くの野原、酵素河川敷葦原と木の前付近。
・丸岡城、本物。
・越前の荒磯に立つ朝比奈、東尋坊(磯の見える街道筋は荒磯遊歩道か)。
・江戸城、姫路城天守。
・藩主の思い込みを是正する術を話し合う朝比奈と領民たち、鳥居本八幡宮広場〜舞殿前。
・「大目付」朝比奈が視察の桑畑、不明。
・ラス立ち野点の席、彦根城玄宮園池畔。
*殿様を騙し私腹を肥やす悪家老は立川三貴。朝比奈が拠点にする飯屋の親爺に北見唯一。今回、老中差し回しのくの一も登場、真鍋の報告書の薄さを嘆いた目付筆頭の渡辺さまが直に朝比奈夫婦を尾行するお笑い場面もある。
第7話「出雲松江 灼熱地獄タタラ」
密造した玉鋼を警戒厳重な領内から持ち出すため大芝居を打つ欲深ども、朝比奈の介入は悪党に強制労働を強いられていた民の救済ともなる。
ロケ地
・OPの出雲イメージ、出雲大社、日御碕、宍道湖(嫁ヶ島)。
・道中安全のお札を貰いに来ていた朝比奈夫婦が掏摸を見る三崎神社の縁日、大覚寺五社明神に縁日あしらい〜大沢池畔で掏摸追い回され。
・出雲入りの朝比奈、砂浜(不明)〜宍道湖。
・太吉坊に「買われる」朝比奈、酵素ダート。
・秘密のタタラ場、酵素河川敷に小屋や柵あしらい、奥に民家セットちらっと映り込み。
・代参一行がゆく出雲大社、本物。
・潮の湯を発った代参一行がゆく山道、酵素ダート。
・松江城、本物。
・玉鋼を船に積み込もうとする斐伊川上流、流れ橋下木津河原(橋脚のみ映る)。
*太吉坊の父に大橋吾郎、出雲藩鉄奉行に津村鷹志、その弟の京極家側用人に堀内正美。*真鍋くんは路銀も貰えず朝比奈を追わされ、京極家代参一行に中間として雇われてバイトしながら出雲へやって来る。
第8話「京の罠 逃げ出した花嫁」
酒井家と公家の姫の縁談の裏に老中追い落としの陰謀、前関白の姫が不自然な縁談を嫌い逃げ出したところへ、朝比奈たちがやって来る。
ロケ地
・壬生中将邸、中山邸通用門。
・蹴鞠に興じる公家衆、大覚寺有栖川畔(これを凝視する白川女は勅使門橋の上)。
・OP京イメージ、仁和寺塔〜妙心寺涅槃堂前路地〜金閣〜銀閣〜御所紫宸殿〜二条城隅櫓〜南禅寺三門と僧堂坂〜仁和寺中門。
・江戸城、姫路城天守。
・釣りの朝比奈、広沢池観音島。
・壬生中将が朝比奈に斬りかかり腕を試す「南禅寺」、南禅寺三門。
・前関白・九条基房邸、妙心寺隣華院。
・屋敷を逃げ出した鈴姫が拉致されかかる路地、妙心寺大通院裏路地。
・助けた真鍋が姫について来られてしまう京都所司代、大覚寺明智門。
・姫が白川女の卯乃とばったり会って話す祠、大覚寺天神島祠。
・九条基房と会い壬生中将と小浜藩京都留守居役の陰謀を聞く朝比奈、仁和寺観音堂前。
・夏越しの祭りに出かける姫と真鍋、鳥居本八幡宮鳥居手前に茅の輪あしらい。
・姫をおぶって帰る真鍋、嵐山自転車道。
・京を発つ朝比奈に礼を述べ見送る姫、南禅寺三門。
*前関白に大出俊、壬生中将に秋野太作。中将のほうはキモチワルイ系で、怪鳥の如く飛び回っての立ち回りも。
第9話「近江路 遺書を運ぶ女」
世継問題で江戸表と国元が割れた水口藩、決着後も粛清人事で揺れるなか、間隙を突いてワルが私腹を肥やしていた。そこへ夫が残した諫言の訴状を持ってやって来る一人の女、朝比奈は有志の若者たちに肩入れする。
ロケ地
・駕籠訴の若侍が斬られる道、大覚寺参道石橋(御殿川での殺陣もあり)。
・近江イメージ、白髭神社湖中大鳥居〜琵琶湖西岸〜浮御堂。
・江戸城、姫路城天守。
・東海道を西に行く朝比奈、嵐山自転車道。
・箱根山中で侍に囲まれた多恵を助ける朝比奈、酵素ダート(手拭を浸すのは河川敷)。
・水口領内へ入るのを阻まれる多恵、琵琶湖西岸松原。
・多恵の実家(現当主は徒士組の兄)・多田邸、妙心寺金牛院門、玄関。門前払いされた多恵に声をかける弟・新六は金牛院付近の路地・北望。
・徒士組に絵が濡れたといちゃもんをつけ、追われていた若侍たちを匿ってやる朝比奈、保津峡落合。
・若侍たちのアジトの新田の百姓家、民家門。
・徒士組にアジト急襲が命じられる屋敷、妙心寺寿聖院。
・勘定奉行・今藤邸、相国寺林光院門、式台玄関、前庭(ラス立ち)。
・姉を見送る新六、谷山林道切り通し(茶店あしらい)。二人を見やる兄と朝比奈、分岐道上から。
*家老の専横に憤る弟・新六に丹羽貞仁。ラス立ち福ちゃん入り、見事な前のめりゴケ(福ちゃんが斬られる時点では林光院からスタジオにスイッチ)。*今回朝比奈の行動をチェックしメモする真鍋くん、「女に言い寄る」「肘鉄を食らう」とか書きまくり。
第10話「阿蘇山の死闘 清正公の秘宝」 スペシャル拡大枠・72分
熊本城の石垣が何度も崩れ再三の修復願、怪しんだ老中は朝比奈を派遣。石垣爆破は15年前の「事件」の因縁、全てを知った朝比奈は「遺児」らに代わって悪を討ち、欲の元となった清正公の財宝を阿蘇の神火に擲つ。
ロケ地
・熊本城、本物(天守直下の石垣際に「人柱」にされた石工の供養堂あしらい)。
・「築城指南」の不破邸、中山邸門。
・ラス立ちの阿蘇中岳火口、本物。
*前段を不破が財宝を見つける話に費やし、後段を石工の遺児の因縁話に使う作り。ラス立ちの阿蘇のお山での大殺陣は迫力。*間道を発見するも悪者にばったり遭い不慮の死を遂げる築城指南家に寺尾聰、財宝を運び出す権限を得るため作事奉行に昇りつめた大ワルに中田浩二。
時代劇で出てくる地方の風景はたいてい「行ってない」イメージ映像、各地の名所のカットを挿みお馴染みの大覚寺ロケや撮影所セットにつなぐのが慣行なのだが、この作品はホントに「行ってる」数少ない貴重なケース。もちろん通常の「京都ロケ」と組み合わせての撮影ながら、風光明媚な観光名所が数々使われ画面に迫力をもたらす効果は計り知れない。
→隠密奉行 朝比奈 第二シリーズ
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