キャスト
土方歳三/栗塚旭 近藤勇/舟橋元 沖田総司/島田順司 井上源三郎/北村英三
原田左之助/徳大寺伸 永倉新八/有川正治 藤堂平助/国一太郎 山南敬助/早川研吉
山崎蒸/坂口祐三郎 大石鍬次郎/林彰太郎 斎藤一/左右田一平
1965-1966NET/東映京都テレビプロ
脚本/結束信二 音楽/渡辺岳夫 主題歌「新選組の旗は行く」(唄:春日八郎)
第1話 「虎徹という名の剣」 1965.7.11
池田屋事件で前後を締め、近藤勇の佩刀・虎徹にまつわるエピソードを、回想の形で挿入。原作にない偽虎徹を売り込む女を登場させ、近藤が薄々は偽物と知る件をぼかし「虎徹」を信仰する彼をより単純で人のいい性格に仕立ててある。また、近藤を騙したことを深く後悔した女が本物の虎徹を京まで持ってくる段で、土方のキャラクターを掘り下げてみせるのも見事。
ロケ地
- 池田屋から逃げた浪士を追って外で戦闘のくだりの橋、白川巽橋。川は白川、辰巳大明神の玉垣がちらっと映り込む。池田屋なので、設定はおそらく三条小橋と高瀬川。
- 日蔭町の刀屋に唆されたおみねが「清麿」を持って試衛館に来るくだり、試衛館門は旧地裁官舎長屋門(現・平安女学院有栖館)。代金を貰って帰るおみねが歳三の鋭い視線に目を伏せ行き過ぎる広縁、興聖寺方丈(縁側手すりに腰掛けて沖田と話す歳三の背後に法堂側面)。
- 上洛後、未だ無名の「壬生浪」である近藤らが京都所司代の見回りに誰何されるくだり、近藤・土方・沖田の三人がゆく道、金戒光明寺善教院脇坂〜瑞泉院前路地(西望、所司代の人数が西端の坂を上がって現れる)。三人が誰何されるのは永運院下坂(歳三が皮肉っぽく啖呵を切る)。
- 鴻池の京店から出てきた御用金押し借りの賊をやっつけるくだり、黒谷の路地(龍光院前)にも見えるが、造作も少し異なり断定できず(ちょっと坂ぎみ)。思いきり新選組をアピールする土方がおかしい。
- 鴻池に貰った本物の虎徹を佩びた近藤が、鎖帷子を着込んだ刺客を倒せず「斬れん」と吠える市中、金戒光明寺本堂脇(西側)。原作設定は四条大橋だが、ここでは違う感じ。
*おみねに丘さとみ、娘の所行を嘆く病臥中の父(元目付役の浪人)に嵐寛寿郎。おみねが身をかけて入手した虎徹を持って土方に会いに来るくだり、そっぽを向いていた土方が一転「娘さん」と呼びかけ、刀を新選組が買い取ると申し出るのがなかなか。
第2話 「誠の旗」 1965.7.18
近藤一派を侮り「雑務」を押し付け、連日酒色に耽る芹沢一派。近藤らは黙々と組織作りに励み足もとを固めてゆく。その一環として隊旗調製に勤しむ土方は染屋の女将と交流を持つが、彼女は土方を暴発させようとはかる芹沢に屯所内で陵辱されてしまう。屈辱に耐えた土方は、荒れ狂う芹沢に「もっと狂え」と内心で毒づき、時節を待つ。
ロケ地
- 浪士隊がゆく街道筋、萱葺民家前。三条大橋はセット。新徴浪士隊仮本陣、妙心寺大庫裏入口門(浪士たちは西側路地から来て入る)。
- 壬生・八木邸の新選組屯所、民家長屋門。中も使っている。
- 染屋の女将に誘われ友禅流しの川にやってくる歳三、大堰川河川敷(河原は礫、河畔林は竹)。設定は鴨川と思われる。
*隊士徴募、局長の決定、局中法度制定が主な動き。新徴の隊士・山崎を監察に据え芹沢の動向を見張らせるが、呑んだくれている癖にそういうことに鋭い芹沢は、土方を怒らせる手に出てくる。土方の夢の結晶である新選組のシンボルの旗を、誠心を込めて共に作ってくれた女を目の前で汚されキレかける歳三を思いとどまらせる近藤の、労わりに満ちた言葉が泣かせる。芹沢鴨は遠藤辰雄。
第3話 「昏い炎」 1965.7.25
芹沢鴨の腕前を冷静に見積もる試衛館メンバー、黙って「その時」を待つ。つのる悪行に遂に守護職から示唆、実行は多摩の仲間のみで行われる。
ロケ地
- 大坂へ向かう新選組(芹沢派+近藤・土方)、東高瀬川堤(今は架け替わった大信寺橋を渡り、松本酒造酒蔵前へ。設定は伏見)。
- 大坂城、本物(イメージに、東側内濠越しに天守望む図。役者が入ったシーンの、高麗門越しに天守、という画は北仕切門越しに天守望む図)。城を下がる一行が坂をおりてゆくシーンは、知恩院北門と黒門道にスイッチ。
- 壬生屯所、民家長屋門。
- 資金調達に鴨が目をつける大和屋の屋敷、不明(第1話で出た鴻池京店と同じか、この回では門内も映っている)。
- 大和屋内儀の兄の悔みに赴き、鴨の企みに気付いた土方が馬で伏見へ急行するくだり、東高瀬川堤(京街道設定)〜中ノ島橋、嵐山公園中州料亭・錦(伏見の船宿設定)。
- 芹沢粛清が示唆される会津本陣(金戒光明寺と書いた表札も出ている)、大谷祖廟通用門(円山公園側)。近藤・土方が公用方と会う座敷もロケか。
- 決意も新たに町をゆく土方、金戒光明寺東坂〜三門〜三門下石段〜参道石垣際。
*大坂では力士と乱闘はなく酔漢を無礼討ち、これが職人の頭で怒った若い衆が押しかける。斬られたかしらは大和屋内儀の兄という因縁もつく。鴨が弄ぶ女がこの内儀なのでお梅さんナシ、暗殺時の鴨は一人寝。
第4話 「胡沙笛を吹く武士」 1965.8.1
土方が期待し目をかけていた剽悍な南部侍は、女と深間に落ち危惧されたとおりに堕ちてゆく。彼の存在など誰もが忘れ去ったある日、土方はかつて仲良さげな二人を見かけた店先に、赤子を抱いて笑う、もういない男を幻視する。
ロケ地
- 屯所、民家長屋門(前の道や内部も映る)。
- 守護職の命で、ある男を斬りに鹿内を伴ってゆく土方、粟田口の長楽寺は本物、参道入口付近を使う。
- 鹿内が故郷の笛を吹く林(原作設定は真葛ヶ原、河合社裏塀は小つるが参ってきたお宮)、下鴨神社糺の森・河合社裏手。
- 逃げた鹿内が討たれる林、糺の森、池跡(引き上げる十番隊は窪地から藪の細道を登って去る)。
*制札損壊事件で任務をしくじる鹿内のくだり、原作と少し変えて同僚を死なせてしまう演出にしてあり、膾となってこときれた隊士を見た近藤が「鹿内薫君、士道不覚悟!」と叫ぶのはすっきりしていて良い。
*気配りトシさん、鹿内の鎖帷子の綻びにも目を光らせ、沖田に命じて女を見逃させるほか金も置かせる気遣い。
第5話 「海仙寺党全滅」 1965.8.8
新選組三番隊隊長・斎藤一の人柄を活写する一話、ものに拘らないお人よしな面と豪胆さがないまぜの男・斎藤が、巧者によって顕現する。
お話は、あるかなきかの縁で斎藤を頼り入隊した男が、入隊動機だった情婦に見返られ間男に斬られた件で、斎藤が紹介者として「責任」をとるもの。侍にあるまじき死に方をした男の一分を守ってやる斎藤、たった一人で誰もが手を焼く暴れ者の水戸浪士たちを殲滅する。
ロケ地
- 斎藤を語るナレーション部分、ひとり町をゆく斎藤(中倉に呼び出され酒肆へ赴く道筋)、大谷祖廟参道石畳〜大覚寺明智門前〜祇園・白川畔。
- 中倉が情婦・お小夜の家へ行く道、石塀小路。
- 三番隊の巡察、隊列は長楽寺参道坂をおりてくる。
- 水戸の過激分子・海仙寺党が高歌放吟しつつ闊歩する町、出てくる水戸家京屋敷は大覚寺大門、ゆく道は木立越しに祇園閣を望む大谷祖廟参道、アジトの海仙寺は妙顕寺(方丈庭園南塀の勅使門越しに方丈望む図。お堂内部も使っているかも←室内の柱に四海唱導の字句が見える)。
・女衒が海仙寺党首領の赤座を引き合わせるお小夜の家、石塀小路(赤座を内偵中の目明しが見張っている。セットと併用)。
- お小夜の家で中倉を斬った赤座が、お小夜を連れて逃げ込む寺、三面大黒天(境内に今は移転した文の助茶屋、看板そのまま)。
- 中倉の死を見届けた所司代の目明し・佐吉(唐沢民賢)が斎藤を呼び出し経緯を告げる市中、知恩院放生池橋たもと(背景に納骨堂が映り込む。原作では屯所が不動堂村だがドラマでは定かではなく設定不明←沖田と将棋中に呼び出されすぐ帰ってくるので屯所近くと思われる)。
- 斎藤が単身入る海仙寺、妙顕寺。方丈庭園南塀の勅使門まわりを使い、石塔基部が門柱か碑のように見えるアングルもある。夜間撮影もある。
- 三番隊を率い巡察の斎藤、大谷祖廟参道〜祇園・白川畔〜円山公園(蘇鉄庵前石段と東屋/井雪下崖際から知恩院泰平亭屋根越しに多宝塔水輪と阿弥陀堂破風を望む図)。
*原作を大幅に変えてあるが、主人公のスタンスはこのドラマでの斎藤一によく似ている。お小夜は三島ゆり子を配したゆえか妖艶な悪女設定で、画面にある家の設定は原作通りの寺町ではなく祇園界隈かも知れない。
第6話 「鴨千鳥」 1965.8.15
虎徹を届けた女と再会する土方、二人の機微が描かれる話。女が親しくしている芸妓は幾松で、桂小五郎が気障にからんでくる。土方に女というので、隊士一同忖度するのがおかしい。
ロケ地
- 浪士に襲われる土方がおみねに出会い料亭に匿われるくだり、夜道や料亭・千鳥はセット併用で円山公園あたりか(小丘から建物を見下ろす感じ、ねねの道あたりにも似ている。千鳥は二階家、半月形?の窓が印象的。後段、昼間の画もあり)。
- 屯所、民家長屋門。
- 長州の間者になれと迫られ千鳥を辞めたおみねが筵を広げ人形を売る三条室町の辻、御香宮境内東域、舞殿の南の玉垣際。店を仕舞い帰るおみねが御高祖頭巾の幾松とばったり会う市中は本殿脇。人目を避け物陰で話す二人は境内北西隅の摂社脇。
- 桂小五郎の潜伏先へ出動する新選組、料亭は民家門。隊士らは、道を挟んで向かいの団体敷地内路地に一旦集結、料亭を見遣る。料亭の裏は河原という設定、他の場所と組み合わせて使ってある。
- 幾松に教えられた三条室町の辻へ行く土方、先述の御香宮境内。おみねを伴い歩く土方、本殿脇〜参道(ここでおみねの荷物を持ってやり、鴨河原へ誘う)。
- 鴨河原、鴨川と思われるが特定困難(川岸の高さはほぼ鴨川と一致。ちらっと映る河畔の並木は松やケヤキ等。途中に挿まれる画には、疏水からパンしたと思しきものも出てくる)。
*「ごこんさん」は各所を違う場面にうまく使ってある。北西隅の立木の向こうの境外は、今は建て込んでむかしとずいぶん様子が違う。
*幾松姐さんや女将に按摩の京言葉がよくできているので、「歯切れのいい江戸女」のおみねが引き立つ。原田に「女にかけては坊や」と言われている歳三、その通り少年のような態度がかわいい。
第7話 「菊一文字」 1965.8.22
勧められて行った医者で余命を告げられる沖田、そんな彼の手もとに古刀がやってくる。七百年というその刀の寿命に比べ己が命の儚さを嘆じる沖田は、身に危機が迫っても刀を損じることを恐れ使えない。しかしそのとき抜かなかったことが、沖田に尽くしてくれた親ほど年の離れた篤実な部下の死につながってしまう。
ロケ地
- 新選組が慰労会を開く料亭、料亭・左阿彌の門をイメージに。夜の画、中から光が漏れている。
- 倅も同じ病で死んだと話し、沖田に診察を受けるよう勧める一番隊隊士の日野、八坂神社境内(本殿や拝殿など派手なものは映らず、灯籠や献灯、玉垣などでそれと判る)。
- 新選組隊士が陸援隊の戸沢に斬られる路地、長楽寺参道。
- 医師・半井玄節邸、大徳寺大慈院参道と門(参道入口にある鉄鉢料理・泉仙の看板を医者の看板に使ってある)。入るのをためらった沖田が隠れるのは大徳寺瑞峯院門前の石柱。出てきた娘が沖田を見咎めるシーンで背後に映っているのは別の塔頭の甍。
- 玄節に余命を告げられた沖田が、帰途言い渡された療養方針を守れないと呟く橋、祇園・白川巽橋(心象風景に川面も映る)。
- そのあと訪れた刀屋で菊一文字を渡された沖田が、戸沢の襲撃を受ける路地(原作設定は松原通堀川下ル)、東福寺一華院・同聚院間路地。
- 一番隊の出動、屯所の門、民家長屋門(沖田は菊一文字を佩かず)〜金戒光明寺参道石垣際〜三門下石段(山崎蒸が逃げられたと告げに来る/沖田発作)〜引き上げる一番隊を見下ろす戸沢らは参道石垣上・背景に浄源院。
- 沖田の薬を取りに行く日野のくだり、町を走る戸沢一味は東福寺一華院北東塀際(ラウンド部分)、日野が斬られるのは一華院門前。
- 日野の死後仇を討つため菊一文字を佩び戸沢を捜す沖田、日野の死んだ現場で山崎に戸沢の動向を聞かされる段、隊には知らせるなと言って去る沖田が登ってゆく石段は東福寺大機院石段。その後医師の娘とばったり会う道は大徳寺総門内側と周辺。
- 大坂へ下るという戸沢を高瀬川で待ち構える沖田、岩倉川源助橋と周辺。往路は橋下手の堰堤脇川端(画面左手は石積の上に生垣、対岸には水車←有りものか演出か不明だが、回ってはいる)。戸沢らを待つ橋は源助橋、欄干に腰掛けて川面を見下ろす。その後橋たもとの塀に凭れ、自分のために死んだ日野のことを回想。そうこうするうち、戸沢らが左岸側の路地から現れ橋を渡ってくる。チャンバラは橋上、土方と山崎が駆けつけてくるのは上流側右岸川端。
*戸沢一味が引き上げる一番隊を見下ろすくだり、福ちゃん発見。ぼさぼさ髷で濃いメイク、最後のほうは西田良の顔に隠れて見えなくなる。
第8話 「長州の間者」 1965.8.29
竹生島参詣で縁のできた女と深間にはまった浪人は、結婚のための就職で、とんだ役目を与えられる。言われるまま新選組に入るも、間者として何の働きもないまま僅か二日で露見し処断、眩暈のような恋は終わる。
ロケ地
- 竹生島と宝厳寺、本物(竹生島の西側が映し出される際には飛び立つカワウの群れが見え、木がこの頃から一部枯れているのが確認できる)。
- 帰り船が着く長浜港、ロングのイメージは堅田(出島の灯台があるドックのところと、浮御堂のある「先端」が二つ突き出ているところを、当時できたばかりの琵琶湖大橋から撮ったものと思われる)。港の情景は湖西の漁村か(石積護岸のある河口)。帰途の彦根手前の街道、湖西の小河川堤道か(はさ木のような並木が続く。古い映画で何度か見ているような)。
- 京へ入る前に二人が参詣するお堂、浮御堂。
- 京都へ帰り着いた二人が再会を約束するお寺、三井寺唐院三重塔下。再会のデートも唐院。塔や潅頂堂が映り、経蔵へ渡された石橋が効果的に使われる。
- 二人が逢瀬を重ねる出合茶屋、錦水亭。
- 屯所の門、民家長屋門。
*心象風景に何度も挿まれる水面や、彦根の旅籠の明滅する行灯などの視覚効果も面白く、半ばまで新選組など全く出てこない、細かい経緯をばっさり省いたシナリオとよく合っている。
第9話 「池田屋騒動異聞」 1965.9.5
土方の信頼も厚い監察・山崎蒸の秘話、過去の経緯から長州を憎む彼は池田屋探索に精励、薬屋に化け入り込んだところ、憎悪のおおもとの男を見る。「武士の鑑」であるはずの男が見苦しく逃げ回るのを仕留める山崎、肉迫の殺陣が見もの。
ロケ地
- 屯所、民家長屋門。
- 大坂船場・高麗橋の鍼医・林屋五郎兵衛邸、上賀茂・社家町屋敷(上写真)。
- 山崎が目録を授けられたのを祝い芝居に誘う道場主の娘、御所九条池畔。
- 山崎が大高忠兵ヱと長州藩士に面罵される長州藩大坂屋敷の門前、御所管理事務所東門。
- 池田屋への紹介状を貰うためまず伏見の船宿の馴染みになる山崎、薬屋のなりで歩く京街道は松本酒造前東高瀬川堤。
- 池田屋に入り込み浪士の会合について情報を掴んだ山崎がツナギをとる高瀬川、山崎が渡る橋は白川巽橋、お薦さんで張り込んでいる同じく監察の島田魁は白川新橋の上。
*大高忠兵ヱは赤穂義士・大高源吾の子孫、山崎は大石内蔵助の片腕なるも離脱した千石取りの重臣・奥野将監の子孫という設定。原作の、道場主らが薄々知っていた設定を変え、大高出現までは師匠の娘や道場仲間とは和気藹々で前途洋々だった山崎が一気に突き落とされる、わかりやすい図に仕立ててある。先祖のことを聞かされるのが父の臨終というのも小説とは違うが、これも絵的に効果高し。
第10話 「刺客」 1965.9.12
公家絵師の情報漏洩は尊攘派の怒りを買い、天誅を加えようとする向きに狙われる。所司代の意向で新選組からも人が出るが、もはや無価値となった男の護衛が長丁場に及ぶことに誰しも倦むのだった。
ロケ地
- 冷泉為恭邸へ「天誅」に向かう長州浪士たち、仁和寺参道(背景に塔)。ここは冷泉家の下女・お清の回想シーンでも出てきて、雪が降っている。
- 冷泉為恭邸、不明(りっぱな屋根押さえと破風の付いた萱葺の門で、両翼の塀は細竹編み、料亭ふう。見張りシーンでは周囲も映り、真ん前に木。手前には置いたっぽい板塀とかも見える)。
- 長州藩京屋敷、御所管理事務所東門。
- 為恭を狙う浪士たちがツナギをとる市中、仁和寺水場脇。
- 田舎へ帰るお清が都を振り返る峠道、御室霊場脇を原谷へ抜ける坂(塔の手前に金堂の甍が見えているので、ほぼここと言ってよいと思う。ただ、葉っぱの無い季節に行ってみても同じアングルは得にくい。また、聾学校改築が1981年なので、撮影当時の様子はわからない。画面では千束御室線?は地道)。
*同じ作者になる「幕末」に『冷泉斬り』があるが、趣向は全く違う。ドラマは、内儀が尊攘浪士に斬られたのは自分のせいと気に病む下女と、「任務」を黙々と果たす大石鍬次郎と、妾にうつつを抜かすほかお清にもちょっかいを出す為恭と、三様の思惑が交錯する。冒頭、為恭は唾棄すべき男だが護衛は任務としつこく言う土方がおかしい。
*下女に御影京子、為恭を狙う長州浪人に戸上城太郎で手下の十津川郷士に西田良。
第11話 「槍は宝蔵院流」 1965.9.19
烈士に紛れた不純物は取り除かれる。近藤の縁戚であることを振りかざす中身の程も怪しい追従者は、口先ひとつで斎藤一に失態の責めを押し付けるが、真実を知った土方は近藤の名誉を守るかたちでの処断を考えていた。
ロケ地
- 屯所、民家長屋門。後段、谷のことを話し合う近藤土方のくだりでは庭も出て、大きな庭石の上に近藤がどっかと座る。
- 大坂町奉行に乞われ出張する三番隊と七番隊がゆく京街道、穴太橋と上手の曽我谷川堤(お昼をつかう)と派流の小橋と府道406号西条風ノ口線(川相はさして変わっていないが、橋は架け替わっていて道は舗装路に。遠景の家々は現存するものもある。建材会社はもうあった筈だが、セメントサイロは映っていない)。
- 大坂、浪士が集まる天神境内、不明(山中の道?)。
- 七番隊を全滅させた浪士らが気勢を上げる北新地の料亭・二軒茶屋、清流亭正門(店名を染め抜いた暖簾が掛かっている。斎藤らが入って来るシーンには、お向かいの植込みも見えている)。
- 妾宅から出てきた谷三十郎が斎藤一と「試合う」雨の清水坂、清水寺・子安塔脇(植込み越しに清水さんの堂塔が霞んでいる)。
- 近藤周平が最前線に配置されたと語られるくだりの鳥羽伏見の戦い、砲弾雨嵐の戦場はいずこかの山裾か。幼松や松林も見える。
*谷に対する幹部連の態度が傑作。ことに、七番隊が全滅したのは斎藤が悪いと谷がわぁわぁ騒ぎ立てる座敷に、浪士らを斬って返り血を浴びた斎藤が入って来るや、それまで谷に辟易し渋面を作っていた土方はじめ沖田や大石も満面の笑みに。
第12話 「紅花緒」 1965.9.26
田舎侍に侮られ屈辱を受けた青年は、武士の身分を得るため新選組に。腕はからきしだが妙な経緯で採用され、勘定方となるも戦闘集団に身を置くには欠格、必然とも言える落とし穴が、口を開けて待っていた。
ロケ地
- 下駄屋の清作が行商中侍にからまれ荷を損じる祇園町、祇園・白川畔の石畳(料亭・白梅前、看板そのまま)。
- 姉への贈り物を買いに、見立て要員の原田と町へ出る沖田、祇園・辰巳大明神脇〜白川新橋。
- 屯所、民家長屋門。隊士の出入りで、周囲もけっこう映る。
- 高田清作が公金受領に赴く会津本陣、大谷祖廟北側通用門。強盗に変じた護衛の隊士に斬られる壬生村の川端は、岩倉川。小者に金箱を担がせて通る川端と橋は御旅橋(橋標に御旅橋と名が見える)、山住神社の鳥居が画面左端を掠めるカットもある。その後右岸側川端の道を北(上流側)へ、対岸には水車が回っていて、「壬生村」と書かれた道標が斜めに立っている。護衛の二人が刺客に変ずるのは源助橋たもと、橋上のほか河床でも立ち回り。両橋とも欄干は木製。
*下駄屋の兄妹は橋爪功と土田早苗、公金を強奪する隊士の一人に川谷拓三。
*高田の悲惨な切腹のあと、夜道で刺客に遭った土方が草履を痛め買いに入ったのは清作の実家というエピソードは、同趣向の話が結束信二脚本になる「維新の篝火」にも出てくる。映画ではヘマを仕出かし腹を切る平隊士が里見浩太朗で、履物屋で土方が罵声を浴びるのは同じだが、映画のほうの親父は生きていて演者は志村喬。
第13話 「強襲十津川屋敷」 1965.10.3
純朴な勤皇の志に燃える十津川郷士が、尊王の旗手たる水戸の志士を斬る皮肉。薩長の密約成り情勢がめまぐるしく動くなか、鉄砲玉にされる田舎剣士の哀れを描く。
ロケ地
- 十津川郷の民がゆく山川、保津峡落合河口。この前に映る、ロングの峡谷は神護寺あたりの清滝川か。里の民家は現地のものか。
- 郷士たちが京を目指してゆく道、保津峡落合崖道、崖下桟道。
- 十津川屋敷を出た長州藩士たちが、刺客に使えそうな者の品定めをする帰り道、祇園町白川畔。
- 刺客に「抜擢」され潜伏場所へ案内される十津川郷士の若者、白川巽橋を渡り辰巳大明神脇を通る。
- 新選組屯所、民家長屋門。
*長州藩士に加賀邦男と波田久夫。水戸浪士の「替え玉」の正体を見たときの表情が傑作。
第14話 「狂った盃」 1965.10.10
禁門ノ変後、長州征討について喧しい世情に、各方面を周旋して回る総長・山南。根回しを頼んだ隊士に口止めしたことが、無用の死を呼ぶ。
ロケ地
- 世論沸騰を語るナレーションに被り二条城隅櫓と会津本陣、前者は本物で後者は大谷祖廟通用門。
- 山南が本願寺僧と会った料亭、不明(どこかの塔頭とかではなく、料亭かお屋敷といった風情の門。夜間撮影)。
- 佐野が斬った浪人の死体を運ばされた職人の話から事実を突き止めた目明しが、河合に耳打ちする市中、建仁寺茶碑前。開山堂が映り込んでいる。
- 佐野が斬った浪人の遺族に山南からの金を届けに行った沖田と原田だが、引っ越したあとで会えず帰る道、建仁寺両足院前〜久昌院前(浪人の妻女と知らず風車を拾ってやる)〜開山堂前。屯所は民家長屋門。
*孤立しはじめる山南を描くのに持ってくるエピソードは陰惨、酒乱気味の佐野がパニくって見るぐるぐるイリュージョンが効果的。佐野に好意を抱いたことを恥じる浪人の妻女と沖田らが行き違うのも、よく利いている。
第15話 「脱走」 1965.10.17
脱走に至る山南の心情を、伊東甲子太郎や沖田の逸話をからめ没骨の墨絵のように描く。山南の切腹後には、土方が強行したと囁く声が満ちはじめていた。
ロケ地
- 屯所、民家長屋門。
- 伊東の宴からの帰り、藤堂に疲れたと漏らす山南、三井寺境内坂。
- 医師・半井玄節邸、大徳寺大慈院参道および大徳寺境内路地。
- 沖田が玄節の娘と行く清水寺、本物。三重塔、舞台(足場が付いている)が映り音羽の滝へ。「あも」を食す茶店は滝の脇、子安塔への道が見えている。
- 娘と別れ町をゆく沖田に声をかける山南、三井寺唐院前(橋〜大路)。
- 脱走した山南を追い大津で見つける沖田のくだり、葦原に船舫う琵琶湖岸を映したあと、山南が本名を名乗り泊まっていた宿屋・近江屋は浮御堂(宿入口は方丈?玄関で、山南が滞在する離れは湖が見える座敷、松のほかに現存する碑が二基見えている。湖岸へ出るシーンもある)。
- 主題歌が流れるなか、屯所を出て隊伍を組み町をゆく隊士たち、大徳寺徳善寺前付近石畳。
*山南の処分について幹部連にはかる近藤、各人の個性が出て傑作。一番に名指されて混乱し壊れたレコードみたいな源さん、アタシならと的外れな原田が笑えるが、永倉の逃げが最終的に土方に来て「局中法度」の流れは見事。明里の登場はなく、切腹も沖田が刀を拭っているシーンで表現され終始抑制が利いている。
第16話 「襲撃木屋町二條」 1965.10.24
新入見習隊士の悲劇、初めての任務をしくじった青年は再び得た機会に気負い、無茶な吶喊の果て散る。彼を隊に誘い目をかけてやった者も、彼を厳しく鍛えた者も、その無惨に悄然と立ち尽くす。
ロケ地
- 近江の田舎で隊士徴募の源さん、集合を待つ茶店、牧が村娘と別れの小橋、琵琶湖畔(茶店は湖畔の地道・松原で汀は葦原、小橋は小川の河口直近に架かるもので流れ込みとその先のエリも見えている)。
- 源さんに率いられた新徴隊士らが大石鍬次郎の手荒い出迎えを受ける、「是より山科」の道標が立つ峠、不明(小丘に見えるのは、天井川堤を切り崩した地形)。
- 見どころのある見習隊士三人も参加しての浪士狩り、潜伏先の建物、不明(東福寺通天橋に見えたりもする)。ここへ行く坂道や、大石が逃げてきた浪士を斬る塀際も不明(丘陵地の公園とか?)。
- 先の襲撃の際の残党狩り、潜伏先の木屋町二条の料亭、祇園・白川左岸の料亭。浪士たちが入って逃げる高瀬川は白川。
- また隊士徴募に赴く源さんが行く田舎道、仰木の棚田か(早苗の侯)。
*源さんの人のよさが仇になるのも、大石鍬次郎の愛の鞭が裏目に出るのも深い。源さん、娘と対峙していたたまれないからって総司に振ってやるなよ。
*屯所は不動堂村へ移転、建物も変わりオープンセットに。
第17話 「鴨川銭取橋」 1965.10.31
隊内で立場をなくした士たらぬ阿諛つかいは、即座に組織を裏切る。細心の注意を払っての内通は、関わりのない事件から発覚する。
ロケ地
- 武田観柳斎の洛北の私邸、上賀茂・社家町。 後段、見張りシーンも。
- 参寧坂で斬られて死んだ隊士の情婦が勤める料亭・あけぼの、清流亭正門。
- 武田の五番隊巡察風景、不明(塀際の地道、昔の鹿ヶ谷界隈に似るような)。
- 武田が斬られる鴨川銭取橋(勧進橋)、不明(川堤は高く屋根と同じくらい、橋は欄干が木製で橋台はコンクリート、橋脚は五本以上、護岸に栗石も見える。芥留杭も付いていて、橋周辺は湛水)。
- 武田を迎えに出るものの沖田に阻まれ逃げ帰った薩摩侍が中村半次郎に次第を報告する道、不明(バットレス塗り込みの塀際。河畔?)。
*原作とは観柳斎裏切りの時点と契機が異なるが、ひととなりが招いた必然なのは同じ。ドラマのほうが、武田の惨めさを強調した作り。
第18話 「油小路の決闘」 1965.11.7
伊東甲子太郎は遂に分派するが、自信満々の才子はうまうまと誘い出されて粛清の刃を受ける。伊東の片腕・篠原泰之進の描写に尺を割く。
ロケ地
- 篠原泰之進が浪士を殺さず逃がしたことが問題となる奈良事件の市中、三井寺唐院前参道、唐院参道と門前。
- あとで伊東の差し金と判明する土方襲撃、大徳寺龍源院前路地。
- 御陵衛士屯所の高台寺月真院、大谷祖廟北通用門。
- 伊東が暗殺される七条界隈、大徳寺総門内側。衛士たちが伊東の亡骸を取りに来る油小路は、平康頼塔周辺(油小路と刻まれた大きな碑をあしらい)を目いっぱい。斎藤が潜むのは三門前築地、乱闘に石橋と溝も使われ、皆して逃がした藤堂が土方の前に出てしまい斬られるのは瑞峯院前。
*篠原が後ろ傷を受けたことが分派決意のきっかけなのは原作と同じだが、傷を隠匿したことが篠原の心持ちを変えた件はドラマでは描かれず。この酔っ払いの喧嘩、相手の浪人の一人に福ちゃん。
第19話 「あかね雲」 1965.11.14
風雲急を告げ、幕府方は京を退去。新選組も屯所を引き払い、伏見に陣を構えることとなる。その情勢下、斎藤一は辻占売りの女児と知り合い彼女の行く先を心にかけるが、彼が京を去るその日、小さな魂は現し世を翔け去ってゆく。
ロケ地
- 佐幕派の秘密会合が持たれる寺、智積院。導入は講堂南東塀際、入ってゆく門は拝観口の唐門、そこからパンして映る花頭窓が美しいお堂は現在の明王殿。
- 親方に怒られたと屯所へやって来た辻占売りのおしづに餅を奢ってやる茶店、上賀茂神社ならの小川神事橋たもと(右岸側)に設営、川に板橋を渡してある。里の子らに遊びの輪に入れて貰えず泣くおしづ、奈良社鳥居そば。
- 竹田街道を伏見へ向かう新選組の列、渡る橋は17話の銭取橋と同じ。
*斎藤が「しぃちゃん」の亡骸に語りかけるシーン、淡々とした口調が内なる感情を際立たせるモノローグ「日本中の海岸を歩いてでもきっと捜すから」が涙もの。
第20話 「その前夜」 1965.11.21
伏見奉行所に陣を張る新選組だが、脱走者相次ぎ長州の軍勢は公然と門前を通り、挙句近藤が御陵衛士の残党に狙撃され戦線離脱。年が明けて間もなく戦端は開かれ、女房のお産のため京に「出張」していた原田は、弾雨をかいくぐり戻ってくる。
ロケ地
- 近藤が狙撃される墨染の竹林、北嵯峨か西山か(両側に密生、林床に起伏あり)。 篠原らが潜む、下地の竹が出てしまっている小屋はありものか。
- 伏見奉行所は「不動堂村」屯所と同じオープンセット。
- 薩摩軍が砲兵を配置する高台の龍雲寺、イメージの山頂の建物は不明、堡塁は吉田神社大元宮鳥居前にあしらい。御香宮のほうは本物の境内か。伏見奉行所に照準を合わせた四斤山砲が配置される龍雲寺からのビュー、吉田山の竹中稲荷付近から真如堂方面を見たもの(右端に塔が見えている)。時間経過を表す鐘楼は黒谷のそれか。
- 大坂城、本物。 濠と石垣越しに天守見上げの図。
- 男児誕生を見た原田が、戦場となっている伏見へ駆け戻る道、東高瀬川堤(松本酒造酒蔵前も通る)。
*原田の京行きは土方が公務扱いで許可、近藤離脱後微妙に土方のキャラクターは変化している感じ。監察の用がなくなった山崎蒸が原田や永倉と談笑する場面も出てきて面白い。沖田は大坂で療養と語られ不在、なぜか斎藤も不在。
第21話 「夕陽の果て」 1965.11.28
圧倒的な戦力差、吶喊も空しく雨と降る弾丸に次々斃れゆく壮士たち。後段は敗走が描かれ、負傷した隊士を実家に送り届ける永倉にスポットが当る。
ロケ地
- 大砲が発射される薩摩の陣地、吉田神社大元宮。
- 戦死者を荼毘に付す敗走の淀河原、不明(朽ちかけた木橋の下、堤は高く草が猛々しく茂る。流れは湛水)。 この前に出ている会戦の野も河川敷か。
- 宮田を桂の実家へ送ってゆく途中通る山崎の竹藪、不明(20話の竹林と同所か、林床に起伏あり)。
- 宮田の実家近く・遠望の里、不明(山裾に里居、亀岡か)。宮田の実家、不明(前にスロープ付きの萱葺長屋門、1991年の「また又三匹」第4話にも出ているからまだあるかも)。 村の鎮守も出ているが不明。
- 宮田一家の死を見たあと永倉が大坂へ向かう街道、不明(高い川堤?)。
*前段の戦闘シーン、薩摩の歩兵に福ちゃん。
第22話 「海鳴りが呼ぶ」 1965.12.5
江戸への退却は軍船で、瀕死の山崎は隊士として死ぬことを欲し乗船をせがむ。看病していた許婚者もまた、先のないことを百も承知でもう意識も定かでない彼と祝言を挙げる。山崎の棺を呑んだ波濤に、「妻」も後を追ったと語られる。
ロケ地
- 大坂城イメージに濠越しの本物。
- 渦巻きは鳴門の渦潮。「紀州の荒磯」は日本海か。 また、波を蹴立てて進む船を舷側から見た図や航跡は、琵琶湖っぽい。沖合をゆく富士山丸の画はバンクフィルムか。
*沖田と枕を並べて寝る斎藤さんが可愛い。
第23話 「江戸の月」 1965.12.12
再建に向け奔走する土方だが、来た話は詐欺紛いの甲府行き。体よく追い払われた新選組が逃げ戻った江戸にはもはや居場所なく、同志も離れゆく。
ロケ地
- 近藤が収容される幕府医学所、屯所や伏見奉行所だったオープンセットに板塀と冠木門あしらい。
- 土方が面会にゆく老中・河津伊豆守邸、御所管理事務所門(東門)。
- 深川で英気を養う永倉と原田、屋形船は嵐峡、料亭は亀山公園内の一件か。
- 新選組は厄介者という永倉の剣友・芳賀の話を聞き、永倉たちがシラけて帰る道、疏水分線端・大豊神社御旅所付近(哲学の道)。
- 甲府勤番支配の話を聞きに登城する近藤土方、江戸城イメージは皇居櫓か。
- 官軍に散々に負ける甲陽鎮撫隊、戦闘の野原は不明( 饗庭みたいな高原のような広野や、山中の湖のような地形も見える…これは沢ノ池とか中山池とかかも)。
- 甲陽鎮撫隊潰走後、牛込の屋敷(セット)を引き払った近藤が住む中野村の屋敷、御所拾翠亭門。
- 芳賀の肝煎りで永倉・原田が近藤らを呼ぶ旗本屋敷、大覚寺大門。交渉が決裂し帰る近藤ら、大覚寺参道石橋。中野村へ帰る二人が昔話をしながら歩む夜道、大徳寺徳善寺前路地南望。八王子出稽古の回想シーン、不明(奥がカーブの地道、小橋も見える。友と合流する道隈のあとは高い植込み際の道。おそらく走田神社の南、穴太橋から来る道・県道406号西条風ノ口線で小橋は曽我谷川派流のものと思われるが、霧がかかっていて遠くが見えず断定はムリ)。
*近藤の妻女・つね初登場。貧にも富貴にも変わらぬ、留守を守る女に好意的な歳さん、モノローグでもベタ誉め。
第24話 「風去りぬ」 1965.12.19
沖田の最期を描く話、前話と時を重ね角度を変えてある。病の進んだ沖田は透明感を増し、哀しみに縁取られた明るさが袖を絞らせる。
ロケ地
- 沖田が隠れ住む千駄ヶ谷の植木屋、不明(個人宅か料亭か、起伏のある敷地内には宝筐院塔なども据えられている。水車も同じ場所?)。
- 江戸城イメージ、皇居門か。埒の開かぬ重職方に憤激し下城する近藤と土方、知恩院黒門道。 振り返り見上げるお城は、皇居伏見櫓。
- 品川の旅籠から引き移り新選組宿とする大名屋敷、大覚寺大門。
- 原田らの誘いを断って帰る近藤と土方が斎藤と出会う道、東福寺一華院まわり。三人で誠の旗を広げてみせるのは北東角の霊雲院道標(現存)前。
- 下総流山へ向かう騎馬の近藤、不明(山裾の田園地帯)。
- 流山・近藤勇仮屯営イメージ、宇治川派流沿い酒蔵。
*次々やってくる別れに際し明るく笑って見送る沖田、訪問者が去ったあと曇る顔が痛々しい。姉にも斎藤にも笑ってみせる沖田だが、土方には笑顔を作れず。島田順司の演技が光る。
*前話にないエピソードは島田魁戦死(このお話での設定)、斎藤の会話に出てくる富士山丸で目をぎらつかせて歩兵操典を読んでいた土方など。
第25話 「流山」 1965.12.26
遂にやってくる近藤との別れ。まだ訓練も済まぬ若者たちを戦わせるわけにはいかず、官軍の出頭命令に応じる近藤。ふだんの顔をかなぐり捨てて泣きっ面で止める土方だが、とうに覚悟を決めていた近藤はただ一人刀も脱して屯営を出てゆく。
ロケ地
- 武州・日野在イメージ、亀岡盆地か(田畔にはさ木が多数散見される)。
- 日野村名主・佐藤彦五郎邸(土方の姉・おのぶの婚家)、写真の民家(現存、母屋の萱葺屋根は鉄板化)。
- 官軍の制圧から一人逃れた佐藤家の下女が渡る橋、穴太橋(原市太郎の潜入場面も同所)。
- 佐藤彦五郎と妻子が連行される八王子の官軍本営、金剛禅寺(鐘楼門前に薩摩の陣幕、行商人に身をやつし窺う原の背後には現存する里の民家塀も映り込む。おのぶに加えられる打擲に耐えられず息子が流山のことを喋ってしまうくだりには境内を使っているが、本堂も庫裏も建て替わっているので貴重な映像)。 寺に先立って映る、八王子イメージのロングは穴太の里遠景か、はさ木が多数見える。
- 姉一家が官軍に捕われたことを聞き物思う土方、石を投げ込む堀は前話にも出た宇治川派流沿い伏見の酒蔵。
- 流山に近藤ありと見て江戸川を渡ろうとする官軍、不明(斥候に出た土方が馬をやる地道は涸れ川河床にも見える。官軍が展開するのは川堤、水深は把握できないがゆったりとした流れが見える)。
- 単身出頭する近藤がゆく野原、不明(遠くに見える幔幕は川堤上か、日野川あたりにも似る。手前にはポプラが二本)。
*憂愁に満ちた別れの言葉にはただ涙。送らないと強がりを言い出てゆく近藤に顔を背けていた土方が堪らず駆け出し近藤の背に喚ぶ絶叫、遠く江戸で近藤の叫びに呼応する沖田は痩せこけていて凄絶、泣きそうな顔で無言の斎藤も泣かせる。
第26話 「燃える生命」 1966.1.2
もはや散り方しか考えていない土方は、亡霊と会話する。開陽丸が嵐に沈み、宮古湾でのアボルダージュが失敗し、遂に官軍に包囲され、デ・ファクトの政府のサロンで交わされる議論に加わらぬ新選組副長は、ひとり敵中に向かう。
ロケ地
- 東京府下石田村、亀岡の里か。石田村土方家、民家母屋(萱葺屋根は鉄板化)。
- 戦闘シーン等、バンクフィルムや書割が多い。
*明治9年、石田村を訪ねる斎藤一からはじまる作り。ご一新後のザンギリ頭のはじめさんがなかなか可愛いほか、決戦直前の五稜郭で離脱を命令され激すくだりが圧巻。ドラマ自体は淡々とした流れで、土方戦死も直截な表現はなく、静かに挽歌を奏でる。
*放送日時について、「チャンバラ狂時代」様の記事を参照させて頂きました(謝)。
*7話と12話のロケ地、岩倉川について、ご覧くださっている方からご教示頂きました(謝)。
*原作である司馬遼太郎「新選組血風録」(角川文庫)を参照させて頂きました。
|