眠狂四郎 無頼控

1983 テレビ東京/歌舞伎座テレビ

キャスト
眠狂四郎/片岡孝夫
金八/火野正平 お蘭/松尾嘉代 武部仙十郎/小松方正 吉蔵/北村英三

 前作「円月殺法」の主要メンバーをほぼ踏襲、狂四郎が二階に巣食う船宿が出るので主と下女がレギュラーに。主の吉蔵は一旦店を手放す話があるが、またすぐ戻ってくる。行きつけの酒肆も出て、親爺は北見唯一。お話は旅ものもあるが、基本的に舞台は江戸でシリーズを通して引っ張る筋はなし。眠のダンナが繰り出す魔剣には新たな効果が加わり、ストロボ効果のあと背景が幻惑サイケ模様に。必殺技が出たあとの、ニュース速報のような機械音は健在。立ち回り後豪快な血振りを見せるシーンも加わるが基本は懐紙で拭い、もちろん天に向かって撒くようなことはしない。また、円月殺法は強敵のみならず単なるラスボス倒しにも使われ、安売りのきらいも。

 →眠狂四郎 円月殺法

第1話「殺さないで私の子を 異人妻の絶叫!」1983.4.6

 旅先で異人の子を産んだ女と関わる狂四郎、因縁は江戸に持ち越される。
江戸に戻った狂四郎にさっそく武部のじいさまの御用、大奥ではお世継を害そうとする企みが進行中で、陰謀の中心にいる法印は青い目の坊の祖父なのだった。

ロケ地
・狂四郎の前に我が身を買えと立ちはだかる女、琵琶湖東岸(遠景に沖ノ島と雪嶺、母・松子が春をひさぐ祠や青い目の坊・新吾が回す後生車をあしらった葦原が砂浜に控え、奥には松原)
・江戸城イメージ、二条城濠と隅櫓。
・松子の父である法印・室矢醇堂邸、相国寺林光院
・大奥へ潜り込む金八を乗せる汚穢船に話をつけるお蘭、大覚寺放生池源頭部
・狂四郎を狙う忍びが大八の箱から現れる路地、妙心寺大庫裏脇路地
・金八を乗せた汚穢船が検問を受ける堀、大覚寺有栖川(検問は大沢池木戸下、御殿川も有栖川も満々と水を湛えている)
・醇堂の示唆で炭俵にくるまれ運ばれる新吾、広沢池西岸(その後船から投棄、舟仙の吉蔵が拾い上げ)
・金八のツナギを受け急遽宿下がりした中掾E三浦の駕籠がゆく夜道、下鴨神社河合社(刺客が出るが円月殺法で殲滅、殺陣部分はセット撮り)
・室矢邸を飛び出した松子が彷徨う路地、相国寺路地、弁天社。
・心を開かぬ新吾を馬に乗せて駆ける海岸は琵琶湖、初めて会った海岸に連れてゆき自分も混血児と告げるのも先と同じ琵琶湖東岸、汀には特徴のある砂州が見えている。
・新吾のこれからを話し合うくだり、入水する狂四郎の母は桂川か。
・狂四郎が室矢邸に乱入のくだり、相国寺林光院門を入り中庭をゆき式台玄関を上がる(土足)
・長崎へ帰る母子を見送るのは金戒光明寺本堂前、去る狂四郎は石段・背景に三門。

*松子に加賀まり子、室矢醇堂は永井智雄、三浦は水原まき、備前屋は田畑猛雄。*お世継を害し徳川の治世を終わらせようとする陰謀の主体は悪魔信仰、転び伴天連の黒ミサもあるがいるまんは備前屋で全然似合ってねー「天草四郎の襟」つき。拝んでる像がまた怪しげ、歓喜天かパズズみたいなけったいな代物で笑える。*新吾に自分を重ねる狂四郎、人間不信に陥った彼に「仲間」と告げるくだりが泣かせる。新吾の別れの言葉もこれ。


第2話「生肝頂戴つかまつる」1983.4.13

 町で異常行動をとる若侍に暗い翳を見る狂四郎、彼は不幸な生まれ性のうえ藩の捨て石に選ばれてしまっていた。

ロケ地
・狂四郎に斬りかかりいなされる大導寺兵庫、金戒光明寺三門三門前石段上。
・藩の刺客に斬られる兵庫、中ノ島橋(お蘭が来かかり保護)
・兵庫の無縁塚、不明(丘の上、一本松の根方)
・そこで名誉の死を遂げよと兵庫が命じられていた向島・祥雲寺へ赴く狂四郎、門は大覚寺勅使門、老女と会う茶室は梅宮大社神苑(ゲストハウス、池中亭)
・藩邸へ乗り込み江戸家老を追い回す狂四郎、金戒光明寺境内路地参道石段

*兵庫に加納竜、江戸家老は睦五郎で手下の刺客は五味龍太郎、権高な老女に長谷川待子。*名誉の死は腫瘍を発した将軍家息女への生肝献上、兵庫の無駄死にに怒った狂四郎が家老のそれを充てる運び。*金八、駕籠屋へ入ってきて「恵まれない雲助たち」とタコ社長の如き言辞を吐く。


第3話「魔性の血を宿す妻」1983.4.20

 身売りさせられたことで夫を詰った妻は、浪々の身はおまえのせいと逆に罵声を浴びせられ殺意を抱く。狂四郎は夫婦の心を再度結び合わせてやるが、前を向きかけた矢先、浪人は仇討ち坊ちゃん手配の人数の前に斃れる。

ロケ地
・宮部浪人を襲う刺客、上賀茂か。
・津軽藩上屋敷、相国寺大光明寺
・妻女に夫の殺害を頼まれた狂四郎が宮部と対峙するお堂、仁和寺経蔵
・長屋を仇討ち勢に襲われた宮部が外に逃れるも斬り伏せられる原っぱ、広沢池東岸(水少なし、水面映らず)
・巡礼姿で旅立つ妻女、仁和寺塔下。道をゆく狂四郎に陰ながら頭を下げるのは参道見返り・狂四郎は中門の方へ歩み去る。

*妻に横恋慕した藩士を斬り片腕をなくし浪人した宮部に河原崎建三、情けない系用心棒のセンセイが絶妙。妻女は島村佳江、開き直ってチンピラに「これ下郎」とやる段の、目の座ってさ加減が迫力。好色なヤクザの親分は千葉敏郎、狂四郎馴染みの女郎は三島ゆり子。*妻女の財布を掏った金八を邪慳に扱う眠のダンナがちょっと笑える。


第4話「光る白刃に燃える女」1983.4.27

 業から逃れるため江ノ島の弁天へ願を掛けに行った女は、狂四郎と出会い光明への道筋を示されるものの内なる暗黒から逃れ得ず、悲しみの裡に逝く。

ロケ地
・小里が狂四郎と刺客の斬り合いを目撃する江ノ島へ一里二丁の街道、谷山林道か(大内の可能性あり)
・狂四郎が雨宿りするお堂、大覚寺護摩堂(手前に移動壁あしらい、内部描写はセット撮りで行灯置場)
・小里が語る、病の因となった幼い頃に目撃した仇討ちの斬り合い、桂川松尾橋上手右岸汀
・無銭飲食の仇討ち侍を拾った小里が「病気」を出しかけるが遠目に狂四郎を見て思いとどまる水辺、不明(遠景に堤、溜池か)
・庫之助と行く鎌倉へ14丁の道、大内か。
・駕籠舁きにからまれ庫之助が斬り捨てるのは藪田神社入口。
・庫之助と二人逃げた板橋宿で見つかり、小里の目の前で「亭主」の浪人が庫之助を斬る林、下鴨神社泉川(小里らが慌てて道をゆくシーンには参道石橋が映る)

*小里は佳那晃子、庫之助は内田喜郎で亭主は片岡五郎。亭主も小里も水野老中が邪魔な向きにつながりがあり、狂四郎殺害を命じられる運び。


第5話「妖刃殺法!美女肌からくり将棋」1983.4.27

 細川の殿様の参勤交代時のお楽しみは、健気な娘に要らざる苦しみを与える。金と色で勝負を曲げる者どもの企みを暴く狂四郎、悪しき慣わしが廃止される「いい話」もついている。

ロケ地
・大磯宿代表の娘が勝つよう八幡さまでお百度を踏む娘たち、鳥居本八幡宮(カウント用の後生車あしらい。姉ちゃんを見て忖度の金八は小柴垣脇)
・御前将棋の敗者方が負う苦役イメージ、柊野堰堤大沢池畔に普請場演出。
・狂四郎のお使いで二宮宿へ向かう金八、夜の川端は桂川か。
・二宮方の代表の娘の悪企みを探りに保土ヶ谷宿へ急ぐ金八の駕籠、桂川松尾橋下手右岸堤か。
・保土ヶ谷宿を発った細川候の行列がやって来る海沿いの街道、沖ノ島を望む宮ヶ浜と小豆ヶ浜間の山道
・勝負に出かけたお汐を追って出る狂四郎と金八、北嵯峨農地畦道。
・細川候が泊まる古刹・高麗寺、毘沙門堂(茶の宗匠として入る将棋名人は薬医門、案内されるシーンに本堂・方丈間の渡廊も映る。対戦中の二宮方の娘に出される指図を高みから狂四郎らが見る俯瞰もある)
・大磯を去る狂四郎と金八、北嵯峨農地

*お汐に奈良富士子、金と色で転ぶ細川の家臣に平泉征(宝蔵院流の槍で向かってくる)、狂四郎が渡りをつけにゆく側用人に中村錦司(古狸とか言われてるけど、あとでお詫びに来るしいい人にしか見えない)。*高麗寺は曽我物語の虎御前ゆかりと伝えられる寺、廃仏毀釈に遭い消滅。


第6話「悪女の色香は殺しの匂い」1983.5.11

 国元でも江戸表でも命ぜられるまま汚れ仕事をしてきた居合の達人、狂四郎との出会いは自ら運命を清算する結果となる。

ロケ地
・品川宿で密書を持った男が斬られるのに出くわす狂四郎、大覚寺護摩堂
・金八をお供に釣りに出かけた狂四郎が刺客に遭う葦原、広沢池北西岸(水無、後段狂四郎を待ち構える甚内も同所)
・妻と上司を斬ってきた甚内が狂四郎に立ち合いを求める夜道、相国寺大光明寺南塀(去る狂四郎は墓地側の塀越し)

*野々呂甚内に高橋長英、欲深色魔の悪妻に本阿弥周子、留守居役は藤木孝。甚内の鍔、凝ったつくり。


第7話「毒婦異聞 殺しを囁く女」1983.5.18

 自らも手を血で染める凶賊の情婦、手下を誑しこんでかしらを殺そうとしたりするしたたか者。しかし自分のせいで妹が不幸に落ちると知り、命を投げ出し救おうと動く。

ロケ地
・船を頼みに来たおうたに気まぐれで棹を操り渡してやる狂四郎、広沢池か(水面しか映らず・水質は悪そう)
・土蜘蛛一味のアジト・東国寺、宝塔寺(おうたが手下を籠絡する場面で出るほか、妹を人質にされ呼び出されるくだりでも。使われるのは楼門、場面はいずれも夜。賊をぶった斬って出てきた狂四郎たちが楼門から坂を見下ろすと御用提灯が十重二十重)

*おうたに新藤恵美、きつい眦が印象的。金八は誑しこまれるもののビビり引きかけるが、放っておけず一時狂四郎にも逆らい行動を共にする設定。彼女が覚悟して凶賊のもとに行ったあと、狂四郎に助けを懇願する金八がかわいい…ものを頼むのに人のことを「表から見れば変人で臍曲りで薄情でどうにも難しいような人」なんてフレーズをまくしたてるから大笑いなんだけど。


第8話「悪魔儀式いけにえの女」1983.5.25

 抜け荷の尻尾をつかまれた黒田藩は、脅迫者の海賊に狂四郎を当てようと一芝居。誘いの道具に使われた女の覚悟を憐れんだ狂四郎は彼女を屋敷から連れ出すが、焦れた家老は彼女の恋人を新たな刺客に選んでしまう。

ロケ地
・奈美を使った芝居に乗り黒田藩邸へ赴く狂四郎、相国寺林光院(門が開き中へ)
・江戸家老が語る海賊・呂宋十兵衛が藩士を血祭りに上げるシーン、保津峡落合トンネル
・藩邸から奈美を連れ出し駕平へ向かう狂四郎、途中中ノ島橋を渡る。
・事後、国へ帰る奈美を見送る狂四郎、大覚寺大沢池堤(茶店あしらい、木は落葉)

*奈美に中島ゆたか、恋人の藩士に佐藤仁哉、江戸家老は堺左千夫で海賊は阿藤海。*タイトルにある儀式、海賊が奈美をいたぶるくだりの自称南蛮渡来のそれ、祀ってある像がドゴン族の仮面に見えて仕方ない。


第9話「首斬り無用にて候う」1983.6.1

 土壇場で強烈なオーラを放ち首斬り役人をたじろがせる囚人、彼に興味を持った狂四郎は脱獄の手引きをするが、汚名を雪ごうとした男は醜い裏切りを見て再び刑場に戻る。

ロケ地
・狂四郎に頼みごとをしにやって来る牢奉行、広沢池観音島(狂四郎は階下に船をつけて釣り中)
・平和な市中イメージ、中ノ島橋(直後土壇場に立ち血の染みを見る狂四郎)
・神谷入りの早桶を墓守から買い上げる狂四郎、下鴨神社糺の森(卒塔婆を立てかけた塀あしらい)
・神谷が殿様に滞在を命じられた深川竜泉寺、西明寺(山門下の石段で上意討ちの手勢と立ち回り)
・丸岡藩上屋敷に乗り込んだ神谷が殿と妻を追いかけてチャンバラ、大覚寺大門参道参道石橋

*神谷右近に若林豪、この人が出るとよくある男の友情譚。眠狂なのでニヒル風味強し。


第10話「仇討無惨!秘めた出生の謎」1983.6.8

 死期を覚ったじいやの口から父の死の真相を聞いた少年は、無謀にも一人大身旗本に向かってゆく。狂四郎以上にお子様を放っておけぬ金八がはじめに彼を助け関わってゆくが、少年にその仇を討たせる訳にゆかぬ秘密が隠されていた。

ロケ地
・河原にいる鉄之介に声をかける金八、中ノ島橋(鉄之介は右岸河川敷)
・少年の母の墓、二尊院墓地。金八が自刃の理由を聞くが黙して去る狂四郎、紅葉の馬場

*鉄之介の母に入江若葉。*金八と少年の「金ちゃん鉄ちゃん」もアレだけど、ヘンなものでいっぱいの金八のお部屋も爆笑もの。


第11話「妖鬼一閃!おんな牢秘話」1983.6.15

 いるまんの信仰心を試す狂四郎。捕われた敬虔な伝道師は欲深役人の奸計にはまり、父を救いたい一心の娘に手を出し堕ちるが、転び伴天連をさらなる悪企みに使おうとしていた手合いは地獄に落とされ、いるまんには望み通り死が与えられる。

ロケ地
・吉蔵と縁日をゆく狂四郎、金戒光明寺本堂前。いるまんが十字架を負わされて登る坂、参道石段
・ヨハネスの投げた言葉に興味を持ち切支丹屋敷へ赴く狂四郎、芦浦観音寺門。
・切支丹狩りで追い立てられる信者たち、大覚寺御殿川河床
・父は所払いで釈放と聞かされ品川宿へ赴くお艶がゆく道、大覚寺放生池堤天神島(奉行差し回しの刺客が出る)
・捕まった切支丹のうち、異国へ売り飛ばされる女たちがボートに乗せられる渡し場、広沢池東岸
・仏師・光源を含む切支丹の処刑場、砕石場か(見物衆がいる竹矢来は別の場所)
・光源の墓、大覚寺護摩堂裏に卒塔婆あしらい、手前に塀も。

*ヨハネスには「いつもの異人」大月ウルフ(トンスラなし)、冷酷な役人に宮口二郎。*仏師の娘は伴天連を転ばせる道具に使われるが、役人に騙されていただけで特段の後付はなく、弟と共に京へ去ってゆく。


第12話「闇の狩人!少女を食べる鬼」1983.6.22

 幼女を襲う変態殺人鬼は仏面の顔役、こやつに妹を殺された女は立ち向かうが敵わず。鬼は庭に被害者の亡霊を見るが、それが掻き消えたとき狂四郎が引導を渡しに現れる。

ロケ地
・紅絵売りの幼女を誘い出す「茶人」、今宮神社東門内石橋。その娘の死体が上がる大川、広沢池東岸
・一連の幼女殺害がなら屋の犯行と知り強請った同心が殺される青田稲荷、今宮神社稲荷社前〜高倉脇坂
・なら屋に犯行を指摘し連れ出すおはん、仁和寺九所明神裏手。

*舟仙に異変、吉蔵が夜逃げ。権利を手に入れた金貸し女は、船宿経営も乙とやって来て船頭や下女はそのまま雇うが、問題は居候。追い出すつもりでいたところ、自信満々の狂四郎に抱き寄せられ「俺のことが気に入ったようだな」と居直られてしまう。彼女には荒っぽい用心棒がガッツ石松でついていてぶっとい薪ざっぽ掴んだりしているが、狂四郎には全然ダメ。この金貸し女は武原英子、犯行時茶人に化ける変態は船戸順で元作州浪人という笑える設定つき。


第13話「怪談!髑髏と祝言する花嫁」1983.6.29

 馬鹿息子の罪を負わされ殺された青年の母と許婚者が、復讐を試みる。二人が墓から髑髏を掘り返しているのを見た時点から関わりまくりの狂四郎、健気な娘の危機に現れ悪党をまとめてさっくり。

ロケ地
・若様が取り巻き連と屋台の親爺に無体をはたらく縁日、今宮神社石橋たもと。

*狂乱の若様は堀内正美、大身旗本の父は外山高士でつるむ同心は山本昌平。許婚者は佐藤万理、母堂は二葉弘子で息子は伊庭剛。


第14話「お庭番秘話!裏切りの人肌」1983.7.6

 お役目第一の堅物に肩入れする狂四郎は、状況から彼に近い筋の陰謀と見てとり、侍として決着をつけようとする男の定めを斬って捨てる。

ロケ地
・金八が探りにゆく江郷の組屋敷、不明(塔頭か)
・妻女に会えなかったうえ尾行されたと江郷に告げる金八、広沢池東岸
・江郷がいなくなったと舟仙へ走る金八、中ノ島橋
・若年寄・秋月肥後守邸、大覚寺大門(内部はセット)
・町人となり妻女と旅立つ江郷がゆく街道、不明(堤道か)。船を出す狂四郎、嵐峡

*若年寄支配のお庭番・江郷に倉石功、彼を長期出張させ女房を寝取る鬼畜若年寄に黒部進、嗜虐の表情が怖い。


第15話「美女崩れ!にせ狂四郎参上」1983.7.13

 好いた男をお家のため消されて以来狂乱の姫、姫を慕い尽くす若侍。彼らの運命を狂わせお家乗っ取りを企む悪家老だが、狂四郎を利用しようとして墓穴を掘る。

ロケ地
・狂四郎を迎える駕籠が控えている門は今宮神社東門、狂四郎と金八がいる茶店は門前茶屋のかざりや床机。
・若い役者の土左ヱ門が上がる川、下鴨神社泉川(騒ぐ民衆の背後、参道を狂四郎の駕籠がゆく)。辻斬りのニセ狂四郎が出たと注進に走ってくる金八、下鴨神社馬場・河合社脇。狂四郎は河合社鳥居からうっそりと現れる。
・丸亀藩江戸家老の回想、姫と駆け落ちしかけ斬られた若侍、相国寺大光明寺石庭と通用門。

*今宮神社名物焙り餅が焼かれ味噌につけられる映像あり、狂四郎の分までとって四本いっぺんに口に入れる正ちゃんカワイイ。


第16話「怪奇!妖刀に呪われた女」1983.7.20

 妖刀・村正ばなし、怪異を起こす刀をライバル追い落としに使った痴れ者は、妖刀とともに狂四郎の無想正宗により真っ二つ。

ロケ地
・ならず者に追われる武家の妻女を助ける狂四郎、下鴨神社糺の森
・襲撃失敗を咎められ口封じに殺されるならず者三人、吉田神社竹中稲荷参道重ね鳥居下。
・勘定吟味役・能見が下城途中の道で無役の旗本・今川の挨拶を受ける石段、金戒光明寺参道石段
・能見邸、相国寺大光明寺(前庭、門、南塀)
・事後、お出かけの能見夫妻が立ち寄る安産祈願の神社、今宮神社石橋〜楼門(表側)〜境内(狂四郎のいる茶店は楼門傍にしつらえ)

*村正が怪異を引き起こす際現れるのは怪しの鎧武者で、平家の怨霊みたいにじゃりっと音立てて近付いてきたり。憑かれるのはタイトルの妻女のほか、津軽少将や火事場泥棒とわりと相手選ばず、女性には鎧武者が透明化してヤラしい真似もはたらくので金八ちゃん気まずいのなんの。最終的にとり憑かれるワル旗本、お決まりで電髪当てたみたいに鬢がほつれるのもご愛嬌。狂四郎の理屈は、村正は無想正宗の弟子筋で正宗に憎しみを込めて作られたもの→戦いは必然。*能見を蹴落とそうとする旗本は内田勝正、火事場泥棒は丹古母鬼馬二(憑かれるほう)と小船秋夫。


第17話「仕置うけます闇のからくり肌」1983.7.27

 周到にして遠大な企みを仕掛ける凶賊。五千両の冥加金の用心棒を買って出た狂四郎が危惧したとおり、堅物の若主人はとんだ色仕掛けにはまってしまう。

ロケ地
・火盗改に見せ金と言い含められ冥加金を持ってゆく厩河岸、広沢池東岸
・正体を現した毒婦が仲間と大金を分けようとしていた鎮守、鳥居本八幡宮舞殿。立ち回りは広場で。

*隣に越してきた後家・実は髑髏のお蝶と二ツ名を持つ毒婦に山本みどり、騙される紙問屋仲間束ねの若主人に大竹修三。今回舟仙に吉蔵帰還、博打で手放した店を博打で勝って買い戻し。


第18話「なみだ旅 母を求める子守唄」1983.8.3

 消息を絶った母を求め江戸へやって来る幼女、その母は悪徳商人から役人への人身御供の身で、母に会いたい娘は阻まれる。町を彷徨い倒れた娘を保護するのが狂四郎ゆえ、母子対面を妨げる有象無象は無想正宗の露と消える。

ロケ地
・祖父と江戸を目指すおひな、日本海の砂丘か。旅に臥す祖父、落合か(崖際)。祖父の塚、不明(水辺)
・おりきが託した娘への品を川に放り捨てる丸屋の番頭、中ノ島橋
・おひなを預かっているとおりきを連れ出す小人目付の化けた定斉屋、粟生光明寺参道石段。
・定斉屋が監禁していたおひなを救出しおりきも連れ舟着へ走る吉蔵、広沢池東岸(丸屋一党が出て母をさらいおひなを池に叩き落し)
・国へ帰る母子を遠目に見送る狂四郎、谷山林道か。

*おりきは田島令子、丸屋は高野真二で結託の材木改役は大木悟郎。定斉屋の江幡高志がいい味、いつもの小ずるい顔と酷薄な隠密と二度おいしい。


第19話「毒牙を隠した花嫁」1983.8.3

 武部の爺さま気の毒ばなし、老いらくの恋破れるの巻。悪態をつきながらもご老人のため水野家の宝刀と粛清リストを取り返してやる狂四郎、騙り女の事情もちゃんと勘案。

ロケ地
・下城の水野の駕籠を襲う浪士たち、下鴨神社馬場(浪士が潜むのは糺の森、狂四郎が出て彼らを撫で斬りにするのは河合社脇)
・吉蔵がおくにを狂四郎の待つ庵へ案内するくだり、不明(ランダムな石段から草戸らしき門を見上げ、背後は雑木林)
・粛清に脅える寺社奉行・土井河内守邸、相国寺大光明寺。土井の家来と密かに会うおくに、鐘楼脇。
・おくにの墓(空)、黒谷か。・子らとほおずき売りのおくに、中ノ島橋。寺を出る狂四郎、墓地を背に坂を下って門のアレ。

*おくには岩井友見、祝言後爺さまに純情・父なし子を五人も養育という、狂四郎がほっとかない要素を備え。吉蔵とっつぁん尾行で大活躍のほか、武部の初夜をからかいに出向くなどお元気。冒頭、筋立て示唆する酒肆の親爺の北見唯一もいい味。


第20話「悲怨!赤いしごきは地獄花」1983.8.3

 大恩ある主人夫婦が非業に死したあと、遺児を守り育ててきた女。「若旦那」は彼女に隠れ両親の恨みを報じるべく仇を殺してゆくが、警戒され窮地に。今度やったら命はないと狂四郎に言われた女は、命をかけて阻止にかかる。

ロケ地
・舟仙から船を出す御高祖頭巾の「女」、広沢池か。
・伊勢屋をハメた悪徳商人が二人まで殺され、残った一人を囮として町をゆかせるくだり、今宮神社東参道〜石橋〜稲荷社脇〜稲荷社(つけてきた日傘の女はただのデート待ち合わせで、見張りの警戒緩む)。囮の山城屋も一息ついて休む茶店で「若旦那」が刃を突きつけ連れ出し、茶店は高倉下にセット/見張りは近くで白玉買い食い中。
・山城屋を連れ込む祠、大覚寺天神島朱橋〜天神島祠。
・舟仙前の汀、不明。
・お蓉の墓、二尊院か。狂四郎が船を出す場面は水面のみで不明。

*お蓉は松本留美、若旦那は川崎公明(二人の商人を殺す際女装)。悪徳商人とつるむ町方は亀石征一郎、お蓉に朝の女風呂で狙われ褌一丁で大立ち回り。*二人から目を離すなと狂四郎に命じられ張りこむもぐっすり寝込み役立たずの吉蔵とっつぁん、あとでおんおん泣くのも可愛い。


第21話「座頭殺法!闇を斬る仕込杖」1983.8.24

 医者と組んで人を泣かす阿漕な金貸し、その上を行く悪党は二つの顔を持つ凶悪極まりない男だった。

ロケ地
・捕縛された仲間と取り調べた同心を消してきた賊が、首領に斬られる橋、中ノ島橋(斬られた男は船で通りかかった狂四郎に覚書入りの吹き矢筒を投げる)
・医師・道庵邸、不明(同シリーズで既出)
・初の市に刺客が差し向けられる神社、鳥居本八幡宮(狂四郎が手を引いてやる段、広場に「壁」あしらい・場面切り替えてセットにスイッチ)
・事後、船で去る狂四郎に呼ばわる染吉、広沢池東岸

*凶賊の首領にして按摩、元奥州浪人で居合の達人に南原宏治、裏で窩主買いもしている金貸しの古着屋は北村晃一、医師は中庸助。*姉の病を治すため必死な芸者を手先に使って狂四郎の逆鱗に触れる悪党ども、今回はいちいち悪事を指弾なんかして正義の味方っぽく「おまえらは人でない」なんてブチ上げるものの次の台詞はお決まりの「叩っ斬る」じゃなくて「魔界へ送ってやる」…。*初の市との対決はじっくり、目を瞑りやがるから円月殺法出すのにちょっと手間がかかる。今回の「効果」にはサイケ模様なし。


第22話「明日に別れの円月斬り」1983.8.31

 運命に翻弄される娘と無頼浪人の邂逅、縋られても困ると口先は冷たい狂四郎だが、娘に無体を強いた悪たれはそのままに捨て置かない。そしてなお変転する娘の定め、豪奢な駕籠のなか幸せそうに見えぬ「お袖の方」は、狂四郎がやった簪を示してみせる。

ロケ地
・小間物行商のお袖がお昼をつかう水場、仁和寺水場(以降いつもここで出会う)
・いろんな姉ちゃんたちの尻を撫でながら歩く金八、吉田神社竹中稲荷参道重ね鳥居下。
・お座敷遊びの井筒屋が目隠し鬼で出たところを暗殺される庭、梅宮大社神苑池中亭と土橋。
・金八が殺し屋を見る本所割下水、梅宮大社神苑門と石橋。
・前に会った際の態度を反省し謝ったあと、狂四郎についてくるお袖、仁和寺観音堂脇〜中門参道(縁日屋台あしらい)広沢池(猪牙船)
・近江屋がお袖を連れ込む寮、中山邸通用門
・狂四郎を襲う殺し屋(予習)大覚寺参道石橋(浪人が御殿川から躍り出る)
・いつもの場所にお袖がいないのを見たあと狂四郎が休む茶店、仁和寺塔脇に床机あしらい(殺し屋の襲撃、避けると親爺に当る)
・近江屋の寮へ乱入する狂四郎、立ち回りが外へ押し出すくだりは大覚寺五社明神
・お袖の方の駕籠がゆく橋、中ノ島橋(物乞いの父親が橋に)

*お袖は山本ゆか里、言い寄る近江屋に頭師孝雄、殺し屋に浜田晃。


★下記サイトのデータを参照させて頂きました。
火野正平サイト☆かまゐます


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