1983 テレビ東京/歌舞伎座テレビ キャスト 前作「円月殺法」の主要メンバーをほぼ踏襲、狂四郎が二階に巣食う船宿が出るので主と下女がレギュラーに。主の吉蔵は一旦店を手放す話があるが、またすぐ戻ってくる。行きつけの酒肆も出て、親爺は北見唯一。お話は旅ものもあるが、基本的に舞台は江戸でシリーズを通して引っ張る筋はなし。眠のダンナが繰り出す魔剣には新たな効果が加わり、ストロボ効果のあと背景が幻惑サイケ模様に。必殺技が出たあとの、ニュース速報のような機械音は健在。立ち回り後豪快な血振りを見せるシーンも加わるが基本は懐紙で拭い、もちろん天に向かって撒くようなことはしない。また、円月殺法は強敵のみならず単なるラスボス倒しにも使われ、安売りのきらいも。 →眠狂四郎 円月殺法第1話「殺さないで私の子を 異人妻の絶叫!」1983.4.6 旅先で異人の子を産んだ女と関わる狂四郎、因縁は江戸に持ち越される。 ロケ地 *松子に加賀まり子、室矢醇堂は永井智雄、三浦は水原まき、備前屋は田畑猛雄。*お世継を害し徳川の治世を終わらせようとする陰謀の主体は悪魔信仰、転び伴天連の黒ミサもあるがいるまんは備前屋で全然似合ってねー「天草四郎の襟」つき。拝んでる像がまた怪しげ、歓喜天かパズズみたいなけったいな代物で笑える。*新吾に自分を重ねる狂四郎、人間不信に陥った彼に「仲間」と告げるくだりが泣かせる。新吾の別れの言葉もこれ。 第2話「生肝頂戴つかまつる」1983.4.13 町で異常行動をとる若侍に暗い翳を見る狂四郎、彼は不幸な生まれ性のうえ藩の捨て石に選ばれてしまっていた。 ロケ地 *兵庫に加納竜、江戸家老は睦五郎で手下の刺客は五味龍太郎、権高な老女に長谷川待子。*名誉の死は腫瘍を発した将軍家息女への生肝献上、兵庫の無駄死にに怒った狂四郎が家老のそれを充てる運び。*金八、駕籠屋へ入ってきて「恵まれない雲助たち」とタコ社長の如き言辞を吐く。 第3話「魔性の血を宿す妻」1983.4.20 身売りさせられたことで夫を詰った妻は、浪々の身はおまえのせいと逆に罵声を浴びせられ殺意を抱く。狂四郎は夫婦の心を再度結び合わせてやるが、前を向きかけた矢先、浪人は仇討ち坊ちゃん手配の人数の前に斃れる。 ロケ地 *妻に横恋慕した藩士を斬り片腕をなくし浪人した宮部に河原崎建三、情けない系用心棒のセンセイが絶妙。妻女は島村佳江、開き直ってチンピラに「これ下郎」とやる段の、目の座ってさ加減が迫力。好色なヤクザの親分は千葉敏郎、狂四郎馴染みの女郎は三島ゆり子。*妻女の財布を掏った金八を邪慳に扱う眠のダンナがちょっと笑える。 第4話「光る白刃に燃える女」1983.4.27 業から逃れるため江ノ島の弁天へ願を掛けに行った女は、狂四郎と出会い光明への道筋を示されるものの内なる暗黒から逃れ得ず、悲しみの裡に逝く。 ロケ地 *小里は佳那晃子、庫之助は内田喜郎で亭主は片岡五郎。亭主も小里も水野老中が邪魔な向きにつながりがあり、狂四郎殺害を命じられる運び。 第5話「妖刃殺法!美女肌からくり将棋」1983.4.27 細川の殿様の参勤交代時のお楽しみは、健気な娘に要らざる苦しみを与える。金と色で勝負を曲げる者どもの企みを暴く狂四郎、悪しき慣わしが廃止される「いい話」もついている。 ロケ地 *お汐に奈良富士子、金と色で転ぶ細川の家臣に平泉征(宝蔵院流の槍で向かってくる)、狂四郎が渡りをつけにゆく側用人に中村錦司(古狸とか言われてるけど、あとでお詫びに来るしいい人にしか見えない)。*高麗寺は曽我物語の虎御前ゆかりと伝えられる寺、廃仏毀釈に遭い消滅。 第6話「悪女の色香は殺しの匂い」1983.5.11 国元でも江戸表でも命ぜられるまま汚れ仕事をしてきた居合の達人、狂四郎との出会いは自ら運命を清算する結果となる。 ロケ地 *野々呂甚内に高橋長英、欲深色魔の悪妻に本阿弥周子、留守居役は藤木孝。甚内の鍔、凝ったつくり。 第7話「毒婦異聞 殺しを囁く女」1983.5.18 自らも手を血で染める凶賊の情婦、手下を誑しこんでかしらを殺そうとしたりするしたたか者。しかし自分のせいで妹が不幸に落ちると知り、命を投げ出し救おうと動く。 ロケ地 *おうたに新藤恵美、きつい眦が印象的。金八は誑しこまれるもののビビり引きかけるが、放っておけず一時狂四郎にも逆らい行動を共にする設定。彼女が覚悟して凶賊のもとに行ったあと、狂四郎に助けを懇願する金八がかわいい…ものを頼むのに人のことを「表から見れば変人で臍曲りで薄情でどうにも難しいような人」なんてフレーズをまくしたてるから大笑いなんだけど。 第8話「悪魔儀式いけにえの女」1983.5.25 抜け荷の尻尾をつかまれた黒田藩は、脅迫者の海賊に狂四郎を当てようと一芝居。誘いの道具に使われた女の覚悟を憐れんだ狂四郎は彼女を屋敷から連れ出すが、焦れた家老は彼女の恋人を新たな刺客に選んでしまう。 ロケ地 *奈美に中島ゆたか、恋人の藩士に佐藤仁哉、江戸家老は堺左千夫で海賊は阿藤海。*タイトルにある儀式、海賊が奈美をいたぶるくだりの自称南蛮渡来のそれ、祀ってある像がドゴン族の仮面に見えて仕方ない。 第9話「首斬り無用にて候う」1983.6.1 土壇場で強烈なオーラを放ち首斬り役人をたじろがせる囚人、彼に興味を持った狂四郎は脱獄の手引きをするが、汚名を雪ごうとした男は醜い裏切りを見て再び刑場に戻る。 ロケ地 *神谷右近に若林豪、この人が出るとよくある男の友情譚。眠狂なのでニヒル風味強し。 第10話「仇討無惨!秘めた出生の謎」1983.6.8 死期を覚ったじいやの口から父の死の真相を聞いた少年は、無謀にも一人大身旗本に向かってゆく。狂四郎以上にお子様を放っておけぬ金八がはじめに彼を助け関わってゆくが、少年にその仇を討たせる訳にゆかぬ秘密が隠されていた。 ロケ地 *鉄之介の母に入江若葉。*金八と少年の「金ちゃん鉄ちゃん」もアレだけど、ヘンなものでいっぱいの金八のお部屋も爆笑もの。 第11話「妖鬼一閃!おんな牢秘話」1983.6.15 いるまんの信仰心を試す狂四郎。捕われた敬虔な伝道師は欲深役人の奸計にはまり、父を救いたい一心の娘に手を出し堕ちるが、転び伴天連をさらなる悪企みに使おうとしていた手合いは地獄に落とされ、いるまんには望み通り死が与えられる。 ロケ地 *ヨハネスには「いつもの異人」大月ウルフ(トンスラなし)、冷酷な役人に宮口二郎。*仏師の娘は伴天連を転ばせる道具に使われるが、役人に騙されていただけで特段の後付はなく、弟と共に京へ去ってゆく。 第12話「闇の狩人!少女を食べる鬼」1983.6.22 幼女を襲う変態殺人鬼は仏面の顔役、こやつに妹を殺された女は立ち向かうが敵わず。鬼は庭に被害者の亡霊を見るが、それが掻き消えたとき狂四郎が引導を渡しに現れる。 ロケ地 *舟仙に異変、吉蔵が夜逃げ。権利を手に入れた金貸し女は、船宿経営も乙とやって来て船頭や下女はそのまま雇うが、問題は居候。追い出すつもりでいたところ、自信満々の狂四郎に抱き寄せられ「俺のことが気に入ったようだな」と居直られてしまう。彼女には荒っぽい用心棒がガッツ石松でついていてぶっとい薪ざっぽ掴んだりしているが、狂四郎には全然ダメ。この金貸し女は武原英子、犯行時茶人に化ける変態は船戸順で元作州浪人という笑える設定つき。 第13話「怪談!髑髏と祝言する花嫁」1983.6.29 馬鹿息子の罪を負わされ殺された青年の母と許婚者が、復讐を試みる。二人が墓から髑髏を掘り返しているのを見た時点から関わりまくりの狂四郎、健気な娘の危機に現れ悪党をまとめてさっくり。 ロケ地 *狂乱の若様は堀内正美、大身旗本の父は外山高士でつるむ同心は山本昌平。許婚者は佐藤万理、母堂は二葉弘子で息子は伊庭剛。 第14話「お庭番秘話!裏切りの人肌」1983.7.6 お役目第一の堅物に肩入れする狂四郎は、状況から彼に近い筋の陰謀と見てとり、侍として決着をつけようとする男の定めを斬って捨てる。 ロケ地 *若年寄支配のお庭番・江郷に倉石功、彼を長期出張させ女房を寝取る鬼畜若年寄に黒部進、嗜虐の表情が怖い。 第15話「美女崩れ!にせ狂四郎参上」1983.7.13 好いた男をお家のため消されて以来狂乱の姫、姫を慕い尽くす若侍。彼らの運命を狂わせお家乗っ取りを企む悪家老だが、狂四郎を利用しようとして墓穴を掘る。 ロケ地 *今宮神社名物焙り餅が焼かれ味噌につけられる映像あり、狂四郎の分までとって四本いっぺんに口に入れる正ちゃんカワイイ。 第16話「怪奇!妖刀に呪われた女」1983.7.20 妖刀・村正ばなし、怪異を起こす刀をライバル追い落としに使った痴れ者は、妖刀とともに狂四郎の無想正宗により真っ二つ。 ロケ地 *村正が怪異を引き起こす際現れるのは怪しの鎧武者で、平家の怨霊みたいにじゃりっと音立てて近付いてきたり。憑かれるのはタイトルの妻女のほか、津軽少将や火事場泥棒とわりと相手選ばず、女性には鎧武者が透明化してヤラしい真似もはたらくので金八ちゃん気まずいのなんの。最終的にとり憑かれるワル旗本、お決まりで電髪当てたみたいに鬢がほつれるのもご愛嬌。狂四郎の理屈は、村正は無想正宗の弟子筋で正宗に憎しみを込めて作られたもの→戦いは必然。*能見を蹴落とそうとする旗本は内田勝正、火事場泥棒は丹古母鬼馬二(憑かれるほう)と小船秋夫。 第17話「仕置うけます闇のからくり肌」1983.7.27 周到にして遠大な企みを仕掛ける凶賊。五千両の冥加金の用心棒を買って出た狂四郎が危惧したとおり、堅物の若主人はとんだ色仕掛けにはまってしまう。 ロケ地 *隣に越してきた後家・実は髑髏のお蝶と二ツ名を持つ毒婦に山本みどり、騙される紙問屋仲間束ねの若主人に大竹修三。今回舟仙に吉蔵帰還、博打で手放した店を博打で勝って買い戻し。 第18話「なみだ旅 母を求める子守唄」1983.8.3 消息を絶った母を求め江戸へやって来る幼女、その母は悪徳商人から役人への人身御供の身で、母に会いたい娘は阻まれる。町を彷徨い倒れた娘を保護するのが狂四郎ゆえ、母子対面を妨げる有象無象は無想正宗の露と消える。 ロケ地 *おりきは田島令子、丸屋は高野真二で結託の材木改役は大木悟郎。定斉屋の江幡高志がいい味、いつもの小ずるい顔と酷薄な隠密と二度おいしい。 第19話「毒牙を隠した花嫁」1983.8.3 武部の爺さま気の毒ばなし、老いらくの恋破れるの巻。悪態をつきながらもご老人のため水野家の宝刀と粛清リストを取り返してやる狂四郎、騙り女の事情もちゃんと勘案。 ロケ地 *おくには岩井友見、祝言後爺さまに純情・父なし子を五人も養育という、狂四郎がほっとかない要素を備え。吉蔵とっつぁん尾行で大活躍のほか、武部の初夜をからかいに出向くなどお元気。冒頭、筋立て示唆する酒肆の親爺の北見唯一もいい味。 第20話「悲怨!赤いしごきは地獄花」1983.8.3 大恩ある主人夫婦が非業に死したあと、遺児を守り育ててきた女。「若旦那」は彼女に隠れ両親の恨みを報じるべく仇を殺してゆくが、警戒され窮地に。今度やったら命はないと狂四郎に言われた女は、命をかけて阻止にかかる。 ロケ地 *お蓉は松本留美、若旦那は川崎公明(二人の商人を殺す際女装)。悪徳商人とつるむ町方は亀石征一郎、お蓉に朝の女風呂で狙われ褌一丁で大立ち回り。*二人から目を離すなと狂四郎に命じられ張りこむもぐっすり寝込み役立たずの吉蔵とっつぁん、あとでおんおん泣くのも可愛い。 第21話「座頭殺法!闇を斬る仕込杖」1983.8.24 医者と組んで人を泣かす阿漕な金貸し、その上を行く悪党は二つの顔を持つ凶悪極まりない男だった。 ロケ地 *凶賊の首領にして按摩、元奥州浪人で居合の達人に南原宏治、裏で窩主買いもしている金貸しの古着屋は北村晃一、医師は中庸助。*姉の病を治すため必死な芸者を手先に使って狂四郎の逆鱗に触れる悪党ども、今回はいちいち悪事を指弾なんかして正義の味方っぽく「おまえらは人でない」なんてブチ上げるものの次の台詞はお決まりの「叩っ斬る」じゃなくて「魔界へ送ってやる」…。*初の市との対決はじっくり、目を瞑りやがるから円月殺法出すのにちょっと手間がかかる。今回の「効果」にはサイケ模様なし。 第22話「明日に別れの円月斬り」1983.8.31 運命に翻弄される娘と無頼浪人の邂逅、縋られても困ると口先は冷たい狂四郎だが、娘に無体を強いた悪たれはそのままに捨て置かない。そしてなお変転する娘の定め、豪奢な駕籠のなか幸せそうに見えぬ「お袖の方」は、狂四郎がやった簪を示してみせる。 ロケ地 *お袖は山本ゆか里、言い寄る近江屋に頭師孝雄、殺し屋に浜田晃。 ★下記サイトのデータを参照させて頂きました。 |