1983/4-9 NTV/東映
キャスト
里見浩太朗 火野正平 かたせ梨乃 高品格 深江章喜 田島真吾 野川由美子 丹波哲郎
*藪さんの髷は総髪に。大家さんが野川由美子の絵草紙屋、溜り場は高品格の居酒屋でおらんはここの従業員、火野正平は店賃代わりに使い走り。丹哲は兄の将軍。*ラス立ちは医者のなりで現れ、上衣を脱ぎ捨てて葵の御紋を見せつける。決め台詞は「人の病ばかりじゃねぇ、世の中の悪を治すのも医者の務めだ。荒療治をさしてもらうぜ」。
→松平右近事件帖
第1話「稲荷小路に春が来た!」
いろは長屋に越してくる藪太郎先生、さっそく馴染むが早々と事件も出来。身重の女房を抱える左官の浅吉は仕事にあぶれ、思い詰めて借金の証文を盗みに入るが、つい悪心を起こし盗った切り餅を包んだ袱紗には、普請奉行が商人と取り交わした密約の書付が入っていた。
ロケ地
・普請奉行・鏑木邸、相国寺大光明寺(門、石庭と方丈縁側)。
・鏑木の指図で書付泥棒を捜すため牢から出された盗っ人・卯三郎に殺された男(四人目)の検死、大覚寺大沢池・放生池流出口汀。
・鏑木の意を受けた北町与力とツナギをとる卯三郎、大覚寺天神島祠脇。
・浅吉の前に立ちはだかる卯三郎、今宮神社合祀摂社前(後段の口封じも同所)。
*浅吉に小倉一郎、女房に今出川にしき、普請奉行に青木義朗、つるむ口入屋に伊達三郎で番頭は森章二、卯三郎は藤岡重慶。
第2話「父娘を結ぶ神田川」
涙の親子再会もの、一目父にと願う娘にとても会わせられぬチンピラを更生させる藪さん。説得に応じ中間として働き始める男だが、彼が雇われたのは勘定奉行の金脈である、斬罪が確定した山師の身代りにするためだった。
ロケ地
・勘定奉行の家来が囚人の身柄を渡すよう牢屋敷の友人に頼む茶店、大覚寺心経宝塔前広場に床机あしらい。
・小伝馬町牢屋敷、大覚寺明智門。
・なかなか父親であることも認めない松造を根気よく説得する右近、大覚寺護摩堂〜大沢池池底(庭湖石が露出)。
・牢の火事で解き放ちになった山師の仙吉と松造の服を替えさせる瑞泉寺鐘楼、相国寺鐘楼。
*松造に小池朝雄、悪役陣は近藤宏に平泉征、成瀬正に八名信夫。勘定奉行の家来に福ちゃんがいて、乗り込んできた右近に腕をひしがれている。
第3話「地獄から還った男」
同心殺しで追われる岡っ引だが話は全然違い、近頃奉行所で大はやりの夜鷹狩りにまつわる黒い霧が関与してハメたもの。彼の無実を明かすとともに哀れな女たちを救うため、藪さんは捕り方の前に立ちはだかる。
*ロケなしセット撮り、岡っ引がハメられるくだりの背景がウルトラQ。岡っ引は伊吹剛、騙されて彼をハメる恋人に金沢碧。一般人を含む大勢の前で正体を現している右近が気になる…。
第4話「腰抜け武士道」
油奉行と組んで値を吊り上げる商人、博覧強記の性ゆえ生き証人として狙われる元家来は、藪さんの強い勧めで告発を決心した矢先、凶刃に斃れる。
ロケ地
・油奉行の手の者に囲まれる飯田浪人、渡月橋下背割堤。立ち回りは河原へスイッチ、橋たもとの屋台にいた平四郎たちが悲鳴を聞いて駆けつけ。
・南の隠密回りに襲撃の理由を聞かれる飯田、車折神社参道。隠密回りが襲撃者に斬られるのは芸能神社付近。
・飯田が身を隠すお寺の縁下、愛宕念仏寺本堂。子らと遊ぶくだりでは石仏群がたっぷり映り込む。
・奉行所へ出頭する途中襲われ落命する飯田、下鴨神社泉川畔(境外へ通じる道に架かる橋の下手、堰板を嵌める柱が映り込む)。
*飯田浪人に仲谷昇、剣技優れず勇気なく、しかし不正に目を瞑れずお役を退いたナイーブな男を好演。油奉行は名和宏で悪徳商人は嵯峨善兵。*屋根から覗き、泥酔して大胆にコケる、女誑し・穀潰しと囃す子らを追っかけるなどイチビリまくる正ちゃんが目立つ。
第5話「花嫁売ります」
富商に娘の嫁入りを強要し身代を巻き上げる旗本、追い詰められ胃を痛めた若旦那と関わったのが藪さんなもんだからワル一巻の終わり。
ロケ地
・旗本たちが臨検の渡し場、広沢池東岸(駆け落ちした若旦那と女中が繁みから覗く)。
・絶望した二人が入水しようと来る橋、中ノ島橋(旗本に見つかり娘は斬られてドボン、若旦那連れ去られ)。
・事後、「兄」に旗本成敗を報告に登城する右近イメージに姫路城天守。
*旗本のボスは遠藤太津朗、手下に中田博久や福ちゃん。ヒロインの女中は三浦リカ。*正体を現した右近を見て下っ端どもは平伏、親分のエンタツの危機にも動かず見てるだけで成敗されたあとはささっと逃げ去り。また、これが将軍の弟の仕業との噂を音松が聞き込んでくる一幕も。
第6話「白い花散る怨み川」
阿片を使い女を苦界に叩き込む悪党ども、姑息にも彼らに捜査情報を流す火盗改の男。彼らにぽろぼろにされた挙句殺される女郎や、悪を追い詰めかけていた北町同心がハメられるにおよび、右近はワルを断罪に赴く。
ロケ地
・北町同心・榊兵庫のお長屋、本能寺塔頭。
・音松情報で阿片密売一味のアジトに踏み込むももぬけのカラの小屋、広沢池東岸(引き上げは北西岸、葦原に一味の男が潜みほくそ笑む)。
・阿片取引現場の汐留で一味を断罪の右近、広沢池東岸。
・榊の墓、不明(丘の上の一本松の下、北嵯峨か)。
*北町同心に村野武範、右近が保護した女郎に風祭ゆき、阿片密売のヤクザは汐路章でグルの火盗改は草薙良一。
第7話「瞼の父の子守唄」
その昔妻子を捨て消息不明となった父、凶賊の一味と成り果てている男だが、子への思い已み難く市松人形を形代として慈しむ。押し込み先が娘の職場と知った「父」は、物売りに扮し娘を惨事の現場から遠ざけるが、これが彼の命取りとなる。
ロケ地
・亭主を娘に会わせたくないと藪さんに縋る母、金戒光明寺参道石段。
・「父」が娘の形代としていた市松人形をお焚き上げして天に送る右近、広沢池東岸。
*父に北村英三、賊の浪人は福ちゃんで、つるむ旗本は内田勝正と原口剛。ラス立ちは旗本兄弟二人のみ、人数が出ないぶん、屋根での大立ち回りなど演出。
第8話「鞠子宿から来た女」
文蔵の娘だとやって来た娘は、彼に困難な盗みをさせるための罠。高品格お得意パターンの人情話で、娘は悲しい結果に。
ロケ地
・墓参帰りの侍が右近を見かけ跪く寺の境内、金戒光明寺参道石段。彼が右近に御書院番頭に取り立てられる件で、宝刀を上覧に入れる話をするのは三門。
・文さんの「娘」おとよが拉致(仕込みのお芝居)される五十本稲荷、吉田神社竹中稲荷参道重ね鳥居。
・文さんが呼び出される浅草五番堀六地蔵、広沢池畔。
・宝刀を盗ってきて渡す約束の「対岸」の浮御堂、広沢池東岸にお堂あしらい・ちょっとした橋つき。
*ライバル蹴落としのため来国俊を狙う旗本に菅貫太郎、気だるそうな仕草や開き直りがいかにもスガカン。彼が追い使う盗っ人は江幡高志。
第9話「涙に消えた母の影」
おらんが拾って保護した、母を求めて江戸へやって来た坊の話。消息の知れぬ手妻使い芸人の母は、坊の大怪我を治療するのに要った大金のため、凶賊の手下と成り果てていた。
ロケ地
・小屋の聞き込みで作った女の似顔を持って浜町あたりを聞きまわる藪さん、婆さんに聞く一シーンは二尊院九頭竜弁天前(浜町弁天社)。
・女に迫る藪さんを始末しようと出る一味、二尊院墓地。
・坊の母であるとことを頑として認めない女を呼び出し、坊と会わせる藪さん、金戒光明寺鎧掛けの松前(経蔵や方丈の塀、禅堂など映り込み/おらんが坊を連れてやって来るのは参道石段・三門を背負って)。
・女が一味に呼び出され始末される蔵、二尊院墓地(漆喰壁がボロボロに剥落)。
*母は范文雀、彼女の器用さに目をつけ錠前破りに追い使う凶賊の首領は亀石征一郎、身分は旗本。手下に阿波地大輔。母のいた小屋の座頭は夢路いとし、坊を預かっていた和尚は中村錦司。
第10話「罠にはまった夫婦花」
料亭の女将の悲話、先代に見出され若旦那と夫婦となるも、博打狂いの亭主に泣かされる日々。悪党にハメられた亭主はどん底に落ちて改心し夫婦の絆は戻るが、ワルの凶刃が彼女に振り下ろされる。
ロケ地
・イカサマ博打でハメられた大工夫婦が心中、検分は広沢池東岸。
・悪党の手先となることを強要された女将が、被害者を見て落ち込み佇む祠、永観堂弁天社。藪さんの助力申し出を断り駆け去る女将、放生池流出口の楓橋。
*女将は本阿弥周子、亭主は内田喜郎、いかさま博打主宰の両替商は小林勝彦、屋敷を賭場に提供しさらなる悪行を示唆する旗本に睦五朗、用心棒は五味龍太郎。
第11話「命百両 闇の助け舟」
町方の黒星続きの裏には逃がし屋、おらんの掏摸仲間だった男が巻き込まれ命を落とす哀話をからめる。
ロケ地
・町方に追われ船陰に隠れる清吉、罧原堤か木津か。清吉の回想、大雨で流された畑、酵素河川敷(川端に清吉の家あしらい)。
・逃がし屋が賊を連れて通ろうとする中川番所、流れ橋(堤を駕籠政が来て、番所は橋の端にあしらい。右近が橋の上で立ちはだかり大乱闘、飛び降りて橋下でもチャンバラ)。
・清吉の墓、黒谷か。
*足を洗うも天災に泣き、借金弁済のため江戸へ戻り掏摸をはたらく清吉に河原崎建三。逃がし屋の駕籠政は上野山功一、つるむ番所役の旗本に玉川伊佐男。凶賊は牧冬吉に平沢彰など。
第12話「無縁坂に消えた男」
火事で二親を亡くし神田を出た源太が帰ってくるが、冷たい世間に揉まれた彼は前科持ち、町のダニのヤクザの構成員。しかし幼馴染の娘の父を殺せとの親分の命にきっぱり背き、男の意地を示して散ってゆく。
ロケ地
・神田神社(神田明神)、上御霊神社(本殿まわりを中心に境内)。
・陰ながら町を守る旦那衆が協議する越中屋の縁先、不明(縁に池泉が迫る)。
・上司の命令で鹿島屋を別件逮捕する平四郎、神泉苑(法成橋、善女龍王社前に茶店あしらい)。
・源太の墓、永観堂墓地(背景に阿弥陀堂の破風と塔)。
*源太は下塚誠、幼馴染の越中屋の娘は遠藤真理子。阿漕な口入屋は南原宏治で姐さんは白木万理、子分に唐沢民賢や小峰隆司と賑やか、つるむ与力は和崎俊哉。正義派の旦那衆も渋く、中心の越中屋が増田順司、あと二人は永田光男に北見唯一。ラス立ち福ちゃん入り、白木万理は南原宏治の手槍が滑ってぐっさり。音松の「犬」ぶりが妙に目立つ。
第13話「おいてけ堀河童騒動」
河童に扮し人を脅して金品を盗る青年をとっ捕まえる藪さんだが、世話を焼いて更生させようとした矢先、青年は口を封じられてしまう。また、青年を殺った兄貴分も、彼の面倒を見ていた女掏摸も虫けらのように消されるに及び、かよわき者を利用し尽し甘い汁を吸っていた香具師は成敗される。
ロケ地
・おいてけ堀はセット。
・藪さんが捕えた「河童」の惣太の長屋(本所回向院裏)を訪ねた音松が、「姉」と称するおきちと話す門は金戒光明寺三門。
・香具師の雷門の五兵衛が追い使うならず者が屯する本所回向院裏のスラム、下鴨神社泉川畔(境外への橋下手)、池跡(泉川にも池跡にもテントやバラック風味の建物や煮炊きの風景を演出)。
・惣太が藪さんに保護されている件で言い争うおきちと為吉、柊野堰堤下。
・惣太が毒殺されたことにショックを受けたおきちが歩く夜道、大覚寺有栖川畔(河床から見上げのアングル、背後に大沢池木戸、河畔に杭あしらい)。
・為吉が呼び出され殺される神社、五社明神(為七の死体を見たおきちが訴えてやると喚き始末されるのも同所、燈籠際)。
*おきちに水原ゆう紀、惣太に水森コウ太、為吉に本郷直樹、香具師の元締は川辺久造。*惣太の「おっかさん」に反応し無償で動く音松はお決まりの正ちゃん節、斬られたおきちが彼の背でこときれる、いつかどこかで見た構図もある。*音松の「河童は女が好き」の軽口に女装してくる常八親分が大笑い(ご丁寧に化粧もしている)、惣太を追って堀に飛び込んだ右近とおらん二人分の着物を見て「んー?心中か」も抱腹もの。
第14話「涙に濡れた花嫁衣裳」
病篤い富商のもとに、生き別れの娘を探し出し届ける甥はもちろん悪党。偽者に仕立てられた娘は、藪さんらがよく知る気立てのいい働き者、皆して彼女の幸せを願い動くが、音松はいちいちお金にこだわる(悉くパァ)。
ロケ地
・お峯が迷い鶏を捕まえようとして和尚に怒られる寺、神光院きゅうり塚前(コラっと怒鳴る和尚は本堂縁先)。
・お峯の養親・丸屋が高飛びの途中殺されて見つかる境内、神光院本堂脇。
・気色の悪い松前屋の甥との縁談を嫌って逃げたお峯を匿う音松、隠す船小屋は広沢池西岸湿地にセット。
*お峯は岩崎良美、松前屋は佐竹明夫、甥は藤木孝でつるむ松前藩江戸家老は近藤宏。
第15話「越すに越されぬ箱根山」
箱根の寺へ墓参の藪さんに、湯治を当て込んだ音松ばかりかおらんもついて来てしまい賑やか道中。これに加え凶賊を追う平四郎たちもヒントが箱根で出張り、藪さんたちを疑ったりしてドタバタ。宿では賊一味の仲間割れで次々と血腥い事件が起こり、哀れな身上の娘も手にかけた悪党どもは右近の制裁を受ける。
ロケ地
・箱根さしてゆく藪さんと音松に追いついてくるおらん、北嵯峨農地畦道(背景に富士のお山を合成)。
・お昼をつかう平四郎たちが藪さん一行を遠目に見る小田原の山道、谷山林道。
・藪さんが巡礼親子(父が発作)を拾う道(渓流沿い)、不明。
・箱根関所、谷山林道に柵あしらい。横目付と会う平四郎、座敷から見える山なみは谷山林道から見た山なみ(縁先のみ林道にセットか)。
・甲州屋が千両箱を埋めるやしろ、鳥居本八幡宮広場(箱根関所定番とガハハのところへ現れる藪さんは石段から、立ち回りは竹林でも行われる)。
・関所定番と賊が相討ちなどと事件の経過を話す平四郎たちが休む茶店、谷山林道。そこからズームされる藪さんたちが行く街道は切り通し。
*巡礼親子は西川峰子と奥村公延、正体は賊一味で娘は押し込み先で「父」に助けられた赤子設定。実は賊の首領の甲州屋は田口計、つるむ役人は原口剛。*帰り道、大荷物を持たされた音松がはしゃぐおらんと藪さんに「おめぇたっちゃ人間じゃねぇ」の一発ギャグ、行き道では浮かれてひばりの「旅笠道中」を唸る場面も。フツーの着流しだった藪さんが、成敗場面ではちゃんと医者の服を着てきて、成敗衣装への変身もやるのが大笑い。これも荷物に入ってたのか。
第16話「藪が名医で名医が藪か?」
阿漕な金貸しが非効率なので新たな儲け口を考え付く両替商、典医を餌に偉そうな町医者を抱きこんで弱者を騙し、骨までしゃぶろうとする。お話は、悪徳商人に飼われている青年が恩と正義の板挟みになり懊悩を描き、彼の口から黒幕の名が藪さんに知れる趣向。
ロケ地
・両替商の用心棒が御典医を暗殺する夜道、大覚寺有栖川畔(河床から見上げ)。仕える相手の悪事に気付き悩む仙太が思い悩む水辺←藪さんが出てお説教)、広沢池西岸(葦原をかきわける形で桟橋をあしらい)。
*仙太は宮崎達也、但馬屋は浜田晃で仙太の兄貴分は苅谷俊介、用心棒は福ちゃん(典医暗殺時の殺陣がシャープ、ラス立ちでは障子突き破ってうわぉ)。悪徳医師は山岡徹也で黒幕の坂井豊後守は外山高士。*音松、ボコられて濠に落ちた仙太を発見←立小便してて、這い上がってきた仙太を見て「あ゛ー腫れちゃう出た河童」パニック…音松ちゃん、ミミズと間違えてない?
第17話「浮世絵女の怨み唄」
富商の女将を色仕掛けで恐喝する一味あり、藩御用の看板が欲しい悪徳商人と結びつき、いつもの手で乗っ取りを仕掛けるが、その店に出入りしていた藪さんの知るところとなり、つるんでいた留守居役ともども荒療治を受けることとなる。
ロケ地
・結城屋の座敷と庭、不明(縁先まで寄せる池泉)。
・脅され店の譲渡証文を渡す際激しくなじった結城屋の女将が襲われる帰り道、大覚寺護摩堂前。案じて駆けつけた藪さんが「縊死」している女将を見つけるのは天神島。設定は不忍池。
*色仕掛けの絵師は三田明、つるむ瓦版屋で元侍の強面は山本昌平、乗っ取りを画策する悪徳商人は武藤英司。結城屋番頭の早崎文司もいい味。*スケベ心満タンの音松、ケダモノの息づかいが大笑い。
第18話「大金貸す奴御用心!!」
悪徳高利貸しが横行、死人まで出るきつい取り立て。しかも返済金を用立てた先に盗みに入り、親切面で金を貸し込む非道な手口、彼らの手先となり盗みの手引きをしていた女の哀しい死に様が描かれる。
ロケ地
・常八親分にコナをかけるおたき、中ノ島橋上。
・文蔵が保証人になっていた友吉が縊れて見つかる木、大覚寺天神島大木。
・お店者を誑し込み駆け落ちの約束をするおたき、大覚寺護摩堂脇。
・土壇場で裏切り逃げたおたきが斬られる神社、今宮神社稲荷社脇(駆けつけた藪さんと常八は高倉前で悲鳴を聞く)。
・おたきの墓に参る常八、黒谷墓地(様子を見ていた藪さんたちが帰るのは墓地石段、背後に塔)。
*おたきに夏木マリ、高利貸しは須賀不二男で金主の佐倉藩留守居役は北原義郎。*結婚を持ちかけられ舞い上がる常八親分、目当ては彼の部屋を空けることで隣の米問屋が賊のターゲット。もちろん騙されたわけだが、女は亡夫の恨みを晴らすため賊をお上に捕縛させようとしていた。*音松、高利貸しの手先で布袋屋に現れ非道の振る舞い。
第19話「怪談 すすり泣く古井戸」
貧乏御家人が欲にかられて妻女を殺す話、大身旗本の娘と婚儀とか話を持ちかけるのが宅悦じみた茶坊主とか、微妙に四谷怪談に似た仕立て。しかし藪さんが科学者なので「出る」一件に不思議なし、成敗時には仇討ちもさせてやる。
ロケ地
・旗本・青山主膳の娘が暮らす向島別邸、中山邸通用門。
・御家人の妻女が放心して帰る道、大覚寺大沢池畔(護摩堂前で藪さんが見かける)。
・主膳の娘と夜の川端でデートの御家人・田村、広沢池東岸(蛍を追ってゆくと繁みに「出る」)。事後、御新造の墓に参る双子の妹と田村家の郎党(旅装)、不明(高台か)。
*御家人・田村貞次郎に亀石征一郎、妻の幽霊を見て錯乱→祝言相手の旗本の娘を斬殺のおきまりパターン。旗本は戸浦六宏、御新造を手篭めのヒヒ爺。茶坊主は北九州男。御新造は二宮さよ子、妹の軽業師と二役。*平四郎ダンナが採取してきた井戸水を濾紙使って分析したり。←器具とか使ってるのは久しぶり。
第20話「お夕慕情」
惚れた女を苦界から救うため、賊一味に身を投じた男。女が既に亡くなっていたことに加え、よすがを求めた女は賊の仕込みなうえタテにとられてしまう。
ロケ地
・遊里にお夕を捜す巳之吉が草笛を吹く水辺、広沢池東岸。
・お夕の墓、例の場所か。
・巳之吉の回想、お夕とデートの鳴海宿の水辺、広沢池東岸。
・巳之吉が金を隠していた石仏、大覚寺石仏。
・お篠と金を交換と指定の根津権現、今宮神社稲荷社脇。
*巳之吉は沖雅也、お夕お篠は立石涼子、賊の首領は森章二で手下に峰蘭太郎と福ちゃん(役名は粂造)、凶賊とつるんでいた道中奉行は伊達三郎。
第21話「旗本屋敷に鬼が棲む」
江戸へ出たまま帰らぬ亀有村の百姓、実は御大身の殿様の双子の片割れ。頓死した「馬鹿殿」の身代りを強要されるが、その屋敷はとんだ伏魔殿だった。
ロケ地
・伊助の女房が子を生んだことを注進に及んだ産婆が殺されて見つかる川端、広沢池東岸(後段出る殺害シーン回想は夜間)。
*屋敷の鬼は当主の叔父の田中弘と許婚者の三浦真弓、こやつらはデキてる設定。産婆殺しの手下は笹木俊志。馬鹿殿と双子の百姓は高岡健二の二役(クレジットは伊吉とあるが劇中呼称は伊助)。身代り強要を心苦しく思う、屋敷で一人だけまともな母上は鳳八千代。*赤子に静止画のイメージ、劇中では硬そうなおくるみで出てくる。
第22話「右近の旅立ち」
塩問屋株仲間元締の座をめぐる陰謀、反対者を辻斬りに見せかけて暗殺する悪党は、勘定奉行の使嗾を受けていた。ともに孤児の、音松の親友が現場を目撃したため消される悲劇を、火野正平の「泣き」で見せる。
ロケ地
・親友の結婚を機に発奮し就職する音松、ヨイトマケの現場(エンヤコラの歌入り)は大覚寺大沢池畔に滑車等あしらい。
・長崎へ向かう右近がゆく海浜、琵琶湖西岸・舞子浜。
*音松の親友の大工に桜木健一、悪徳商人は井上昭文で勘定奉行は西山辰夫、刺客の浪人は下元年世。三州屋は元凶賊、捕まえて商人に仕立てる図。しかし回想シーンで出るのは怪しの教祖様でワケわかんねー。*藪さんの旅立ちは唐突、通常の尺通りのラス立ち後すぐで、事情は書状で説明。
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